【カリフォルニア:62】イ プルーリバス ウナム 、ボンドエステート旗艦銘柄

こんにちは、HKOです。
本日はボンドのプルリバスです。



【データ】
ハーランエステートこそカリフォルニア最高峰のカルトワイナリーと言って差し支え無いでしょう。
もともとハーランエステート1種類のみのワイナリーでしたが、95年にはセカンドワインの「ザ メイデン」を、99年にはハーランの別プロジェクトであるボンドエステートから単一畑の「メルバリー」「クエラ」「セントエデン」「ヴェシーナ」「プリュリバス」そしてマルチヴィンヤードの「メイトリアーク」がリリース。それらのいずれも驚く程評価が高くワインアドヴォケイトでは5回(94,97,01,02,07)、ボンドを含めると7回(01セントエデン、07ヴェシーナ)の100点を取得しています。
もともと不動産業界に活躍していたウィリアム ハーランが1980年代半ばにオークヴィルの西に位置する標高100~180mの丘陵(裾野にはモンダヴィのト カロンがあります)を購入。ロバート レヴィを栽培責任者・醸造長に、ミシェル ロランをコンサルタントに迎え、カリフォルニア最高峰のワイナリーはスタートしました。
その後高い評価を受けていきますが、99年には別プロジェクトのボンドエステートを立ち上げています。マルチブレンドのハーランに対して、ナパのテロワールを緻密に再現したシングルヴィンヤードのボンド。
基本的には製法は畑に合わせて行われています。
ブドウの栽培は徹底した収量の抑制が成され、収穫はタンニンと糖度が上がりきった遅い時期に手作業で(小さいトレイに入れながら)行われています。 収穫した後、除梗(完全除梗)と手作業による3回の厳しい選果を実施。ステンレスタンクとオーク製のバリック樽を併用し、基本的に高い温度で1ヵ月以上発酵を行います。そしてフレンチオーク新樽(ミディアム ロースト)100%にて25ヶ月程度熟成。マロラクティック発酵は熟成過程で実施。清澄、濾過せずに瓶詰めする。
今回のプルリバスはスプリング マウンテンの壮大なスロープにある火山性岩盤の険しい畑。初ヴィンテージは2003年です。



【テイスティングコメント】
生産者: ボンド エステート
銘柄: プルリバス 2013

外観は濃いガーネット、粘性は高い。
濃厚で目の詰まった凝縮した果実味に満ちている。そのベースの上に樽とMLFが調和し、シルキーかつボリューミーな体躯を形成している。強烈なワイン、それでありながらスタンダードなカリフォルニアのカベルネの最上級たる風格を感じる。
キャラメルトフィーやミルクポーションの様な甘露かつ滑らかなタッチ、ブラックベリーやカシスのコンポートの様な果実味、ローストしたシダーの様な焦げ香、バニラなどの要素が主軸となる。やや土っぽさがあり、丸みがある。
なめし皮、ピーマンの様な青い風味は一切ない。
トースト、シナモン、クローヴ。ベーコンなど。
徐々に甘酸っぱさも現れる。
タンニンと酸のバランスが素晴らしく、シルキーで滑らか。ふくよかな果実味と甘み、グリセリン感、エレガントな酸があり、非のうちどころのないワインになっている。



【所感】
素晴らしい。
全く非の付けどころが無い完璧なカベルネソーヴィニヨン。
堅牢な体躯ではなく、親しみやすくリッチで非常に豪華な作りとなっています。強いて言えばムートンあたりに近いかもしれません。
さりとて果実味は完全にナパヴァレー王道のものとなっていて、ビッグな果実味に滑らかさを与えるMLF、そしてウイスキーにも似た樽の豊かで香ばしい香りが調和。ほのかな青さや土の要素が複雑さをもたらしている。強烈なインパクトと豪華さがあり、ヴィンテージ的な差異があるかもしれませんが、ヴェッシーナやクエラと比べてもよりパワフルな体躯があるように思えました。
※例年プルリバスはクエラ、ヴェッシーナより評価的には低いです。今回でいうとパワフルさの断面でセントエデンにも近いような気がしています。
極めて偉大なワイン。
ポイントがもう一つ。酸の美しさ、流麗さにあります。
極端にタニックというわけではなく、グリセリン感に包まれたほのかな甘さがあり、そこに綺麗な酸が乗ってきます。
完璧なハーランエステートと比べると個性がありますが、ともすれば強すぎるハーランと比べるとより優しさを感じます。
そういう意味だと若くして飲みやすくなっていると思います。

熟成したボンドは飲んだことがないので、今度は熟成を経て飲んでみたいですね。


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【カリフォルニア:61】シン クア ノン 2017年リリース2種


こんにちは、HKOです。
本日はSQNの2014年です。



【データ】
シン クア ノンはマンフレッド クランクルが運営するサンタバーバラの生産者。ポートフォリオはコロコロ変わるので、イマイチ掴み難いんですが、僕の知ってる限りだとグルナッシュ、シラー、シャルドネ、ルーサンヌ、ヴィオニエ、それらの混醸。(ワインアドヴォケイトもバレルテイスティング時のものは名称を明確に書いていませんでしたね。「まだ名前がない白ワイン」...とかそんな。)南仏の匂いのするカリフォルニアカルトの生産者ですね。
初リリース以降キュヴェ別にラベルは毎年異なるデザインが用いられ、同じラベルは二度と使用されません。
今回は2種。シラーの赤、そしてルーサンヌの混醸の白。

・ピラニア ウォーターダンス
品種:シラー81% プティ・シラー8% ムールヴェードル6% トゥーリガ・ナシオナル4% グラシアーノ1%
すべて自社畑より収獲。Eleven Confession Estate35%、
The Third Twin Estate34%、Cumulus Estate31%
醸造:全体の74%を除梗し、上面開放型の発酵槽にて発酵。フレンチオークバリックにて26ヶ月熟成。(新樽率54%)

・ライトモチーフ
自社畑のイレブン・コンフェッション、キュミュラスから合わせて70% 残りの30%が ビエン・ナシドから。
ブドウ品種はルーサンヌ46%、シャルドネ22%、プティ・マンサン13%、ヴィオニエ11%、マルサンヌ8%のブレンド。
コンクリート・エッグ・タンク45%、55%に木樽を使用。
同容器内にて19ヶ月の熟成。

-畑について(インポーターHPより)-
◾︎自社畑
・ELEVEN CONFESSIONS
サンタ・バーバラの東、サンタ・リタ・ヒルズに位置する22エーカーの畑です。主にシラーとグルナッシュが栽培され、少量のヴィオニエ、ルーサンヌも作られています。比較的涼しい気候で、11月頃収穫されます。熟成がゆっくりと進むため、風味の豊かな果実が採れます。
・CUMULUS
サンタ・バーバラの南、オークビューに位置する畑で、シネ・クア・ノンのワイナリーもここにあります。いくつかの区画があり、シラー、グルナッシュ、ルーサンヌの他、プティ・マンサンやトゥーリガ・ナシオナル、ムールヴェードルやプティ・シラーが栽培されています。比較的暖かく、通常一番最初に収穫が行われます。
・THE THIRD TWIN
セントラルコーストの街、ロス・アラモス近郊に位置する、2010年に購入した畑です。樹齢10年ほどのシラーやプティ・シラーが植えられています。砂質土壌で、全て自根葡萄です。
・MOLLY AIDA
サンタ・マリアの東、テパスケット・キャニオンに位置します。標高1800フィートの畑に、2012年の春ムールヴェードルを植樹しました。

◾︎契約畑
・WHITE HAWK
THE THIRD TWINから程近いところに位置する畑です。砂質土壌で、シラーが作られています。
・BIEN NACIDO
サンタ・マリアにある畑です。この畑のシラーから、最初のシネ・クア・ノン“Queen of Spades”が生み出されました。現在はシャルドネなどが栽培されています。



【テイスティングコメント】
生産者: シン クア ノン
銘柄: ピラニア ウォーターダンス 2014
品種: シラー81% プティ・シラー8% ムールヴェードル6% トゥーリガ・ナシオナル4% グラシアーノ1%

外観は濃いガーネット、粘性は高い。
濃厚だが、広域に伸びる凝縮感に寄ったタッチのワイン。
剥き出しの引き締まった果実味のシラー。
スパイシーな黒胡椒、甘露なシロップの香りが充満し、アンズのジャム、熟したブラックベリーの果実味。熟しているものの、適度な酸を感じさせるタッチ。エナメルリムーバーやラベンダーの様な華やかな香りもある。毛皮や鉄分などの要素も強め。ミルクティー、ユーカリ。
焼いたゴムの様なロースト香、燻製の様なニュアンス。
鉄観音の様な葉の香り。ジンジャーブレッドの風味もある。
グリセリン感が突出し、タンニンは滑らか、酸は生き生きしている。タンニンの毛羽立ちは無く、綺麗な酸と素直な果実の甘み、酸味に満ちている。余韻にはアンズのジャム、ブラックベリー、MLFの滑らかなタッチが残る。



生産者: シン クア ノン
銘柄: ライトモチーフ 2014
品種: ルーサンヌ46%、シャルドネ22%、プティ・マンサン13%、ヴィオニエ11%、マルサンヌ8%

外観は黄色い色味の強いイエローで、粘性は高い。
構成としてはルーサンヌとシャルドネが主体の様だが、どこかシュナンブランを感じさせる旨味がある。オイリーなミネラル感も豊か。
クリアなタッチだが、果実はとても熟している。
白胡椒。花梨やパイナップルの様な果実味の後、徐々に黄桃のコンポートを思わせる甘さが現れてくる。杏仁豆腐やバター、ブリオッシュなどの甘露さ。上白糖。
ハチミツのようなニュアンス。白い花のニュアンスがある。とても豊かな厚みがある。
美しい酸とそれに伴う豊かな旨味がある。じわっと広がる黄桃や杏仁豆腐のニュアンス。ふくよかでさりとて酸の低さを感じない。引き締まったワインになっている。
余韻にほのかな甘みがある。


【所感】
今回は2014年ヴィンテージのシンクアノンです。
1本は得意のシラー、そして毎年お馴染みのルーサンヌを主体とした白ワインです。
まずは赤から。シラーを主体としつつもカリフォルニアの固有品種のプティシラー、そしてムールヴェードル、ポルトガルの土着品種トゥーリガナショナル、スペイン品種のグラシアーノを混醸している。
あまり見ない複雑なアッセンブラージュです。
結果、シラー(シラーズ)の華やかで凝縮したタッチに、フレッシュさと美しい酸味をもたらしています。
シラーのプラムやブラックベリー、黒胡椒的なスパイシーなニュアンスに乗る、アンズのジャムのような甘酸っぱい濃密な甘露さがあります。
華やかさは健在で、ややアルコーリックなエナメルリムーバー、ラベンダーの華やかさ、そしてユーカリ、鉄観音の様な清涼感が感じられます。この全体の中に於いてはミルクティーやロースト香はやや控えめに配されています。
従来のシンクアノンのシラーと比較すると、凝縮感はありつつも酸味寄りのバランス。それでいて完成度が高いです。
アタックから舌触りに至るまで毛羽立ちや収斂性のキツさはほとんどなく、余韻は滑らかなタッチが残る。
さすがはシンクアノン。突出したレベルの高さです。

次に白のライトモチーフ。
シンクアノンの白としては従来のタイプとかけ離れた作りのルーサンヌ。前回のレジストが糖蜜や白桃、フルーツヨーグルトを思わせる様なリッチで濃密な作りでしたが、今回のライトモチーフは飾り気の少ない果実本来の要素を前に押し出したシンプルな作りになっています。
個人的には従来のタイプの方が好みで、それを期待していたので、少し拍子抜けの印象です。
南アのシュナンブランにも似た果実の濃密度+穀物感が前に出たタイプで、加えてルーサンヌというよりヴィオニエ的なフレッシュも伴います。
いわゆるルーサンヌ、マルサンヌの南仏的なアッサンブラージュから想起される様なワインではありません。
ややオイリーなミネラル感があり、クリアさを助長しています。花梨やパイナップルを思わせる甘みを感じさせる要素に杏仁豆腐、ブリオッシュの要素など。
甘い香りは伴うのですが、いわゆるクリーミーなタイプではなく、フルーツのシロップ漬けに近いかも。蜂蜜などもあります。こちらも酸味がやや強めに効いています。

今回の2014は少なくともこの2本を見るに酸の表現にはすごくこだわっている様に思えます。
フルーティーで華やか、凝縮感のあるワイン、例えばシャーヴの様なスタイルが得意かと思っていましたが、結構大きく変えてきたような気がしています。
想像とかなり違かったのでそこは違和感がありましたね。正直。
ただ相変わらずそうはいっても素晴らしい完成度で、流石と言わざるを得ないクオリティの高さを感じました。




【カリフォルニア:60】キスラー ヴィンヤーズ テイスティング(Part2:赤)

こんにちは、HKOです。
本日はキスラーの赤となります。どうぞ。



【データ】
キスラーは1978年にルシアンリヴァーヴァレーに設立されたカリフォルニア最高峰のシャルドネを算出する生産者。収量を抑え、丁寧な栽培を行った樹齢の高いシャルドネやピノノワールは収穫後選果され、それぞれのキュヴェに回される。除梗は100%。発酵には100%自然酵母を使用している。
醸造工程はそれぞれ異っている。

◾︎シャルドネ
マックレアヴィンヤードはソノママウンテンの12haの石灰岩と火山岩の混じった畑。MFLを行いフレンチオーク新樽50%旧樽50%で11-18ヶ月熟成を行う。
ダットンランチはソノマカウンティの中心部に位置する創立当初から存在する畑。
ストーンフラットヴィンヤードは2005年初リリース。カーネロス西側に位置する川から流れてきた丸い石が沢山存在する冷涼な畑。

◾︎ピノノワール
キスラーヴィンヤードは1979年から所有する自社畑、キスラー・ヴィンヤードは山の尾根の上に位置しています。
一方に海、他方にルシアン・リヴァー・ヴァレーを臨むこの畑の土壌は砂岩を中心にした構成。
キュヴェ ナタリー シルヴァーベルトヴィンヤードは2006年からリリースされているキスラーのトップキュヴェの一つ。
キュヴェ名の「ナタリー」は、スティーヴ・キスラー氏の三女の名前。隆起した赤い、鉄と砂利の混じった土という特異な土壌の畑。

他にフラッグシップはキュヴェ キャスリーン キスラーヴィンヤード (Ch100%)、キュヴェ キャサリン オクシデンタル ステーション ヴィンヤード (PN100% 現在はオキシデンタル)、キュヴェ エリザベス ボデガ ヘッドランズ ヴィンヤード(PN100% 現在はオキシデンタル) が存在する。

オキシデンタル ワインズはキスラーのスティーブキスラーが、2013年にソノマコーストでスタートした新プロジェクト。
使用する畑はオキシデンタル ステーション ヴィンヤードとボデガ ヘッドランズ、SWKヴィンヤードの3畑のみ。
フラッグシップのSWKヴィンヤードは同名畑の単一、キュヴェ エリザベスはボデガ ヘッドランズ、キュヴェ キャサリンはオキシデンタル ステーション ヴィンヤードの単一畑。ソノマコーストはこの2つのキュヴェのアッサンブラージュ。収量は30hl/ha、厳密なグリーンハーヴェストか行われ、収穫は夜間に行われます。除梗はせず、天然酵母を使用して全房発酵。ピジャージュは最低限に。新樽25%、MLF後5ヶ月熟成後無濾過無清澄で瓶詰めされます。




【所感】
生産者: キスラーヴィンヤーズ
銘柄: キスラーヴィンヤード ソノマ コースト ピノノワール 2014

スパイシーさがありつつも洗練されたピノノワールとなった。瑞々しい果実味に加え、今回はMLFは控えめに、抽出は強め。華やかさと凝縮感を伴う作り。
熟したストロベリーやダークチェリーの様な黒系、赤系果実のジャムの様な果実味、スミレや鉄分を感じさせる華やかさ、そして茎の様な青い風味。多少キャンディ香。
の様なフレッシュさがある。鉄観音や焼いたゴム、ドライフラワー。燻製肉、ユーカリ、シナモンの様な要素。
酸味と共に心地よい旨味と鉄分、青さ、いちごの様な甘い果実の余韻が広がる。タンニンはかなり控えめで滑らか。
ほのかに余韻に苦味がある。


生産者: キスラーヴィンヤーズ
銘柄: キュヴェ ナタリー シルバーベルト ヴィンヤード ピノノワール 2014

ソノマコーストの果実味をより強くし、MLFの要素も感じさせる。バランス感として上白糖やシロップを思わせる果実味の甘露さにミルクティーの要素を主軸にしながらも華やかさも豊かになっている、全房らしさもありながら、すこしその部分は落ち着いている。
スミレや鉄分の様な強い華やかさを軸に、上白糖の様な甘露さを持ったジャムの様な熟したストロベリーやダークチェリーの果実味。パウンドケーキやバニラ、ほのかな土の要素。
ユーカリやシナモン、そしてクローヴなどの要素も感じさせる。
果実味は新世界的だが、全体を見るとブルゴーニュの中でも上位に近い様な作りをしている。樽は控えめながら、房や抽出は近いものがある。
豊かな酸味とタンニンがある。果実の凝縮感に富んでいて果皮の華やかさと共にダークチェリーやパウンドケーキの様な甘やかさの余韻を感じる。苦味は少ないが、酸味のエッジがすこし経っている。


生産者: オキシデンタル(キスラーヴィンヤーズ)
銘柄: SWKヴィンヤード ピノノワール 2013

樽香。そしてスミレ、なめし皮を思わせる華やかさを軸にしながら、ナタリーにも感じられる強い果実の凝縮感、甘露さを感じさせる。青さはナタリーより感じる。
シガーやコーヒー、ゴムの様な樽香、海苔の様な樽香、そして鉄やなめし皮の様な強靭な華やかさ、オイリーさを主軸に、厚みのあるダークチェリー、ブラックベリーの様な果実味が感じられる。キャラメルトフィーやメイプルシロップの様な甘露さが徐々に現れる。そして茎の様なニュアンス。
生肉、ユーカリ、そして、シナモンやクローヴの様なニュアンスが感じられる。
果実味や樽、抽出は新世界的。かなり強めに作られていて、ブルゴーニュ感は青さからしか感じ取れない。
この中だと最も凝縮感に富む。
酸味豊かでタンニンも強めになっている。やや酸味の方が立っているか。スミレの様な華やかさ、ダークチェリーの様な果実味、引き締まった酸があり、余韻は長い。苦味も控えめ。



【所感】
やはりキスラーのピノノワールは素晴らしい。
シャルドネが素晴らしいのは当然として、ピノノワールもカリフォルニア最高峰と言っても過言では無いくらいにはレベルが高い。
今回はフラッグシップ中心。
キスラーヴィンヤード、そしてキュヴェナタリー、オキシデンタルですからね、超豪華。
まず共通して感じられるのがストロベリーを中心とするキュートな赤系果実の果実味ですね。これがキュヴェごとに厚さに差分はありながら共通しています。そして抽出の華やかさですかね。
これらが中心となります。
大体のキュヴェごとの特徴を言うと、キスラーヴィンヤードは
果実味が瑞々しく、華やかさ、鉄分が目立った形となります。
果実の熟度が他のキュヴェに比べると控えめで、やや青さも感じます。除梗は100%なので何故か、というところはあるのですが、茎の様な、ハーブの要素が目立っています。
果実味の方向性的にはカリフォルニア的ですが、この中では最もバランス感でいうとブルゴーニュ的です。

その点キュヴェナタリーはより全体の印象がシルキーに、甘露さを感じさせるものとなっています。果実味の方向性は変わりませんが、熟度が高いからか甘露な香りを放っています。
そこにキスラーヴィンヤードに控えめだったマロラクティック発酵の特徴がより強く出ています。
恐らく、この要素が前面に出る事でシルキーさが演出されているのではないかと。こちらも樽は控えめ。バニラやパウンドケーキを思わせる。蕩ける様な風味。
口当たりも香りと近しいものがありますが、やや酸が立っている印象。

オキシデンタルは端的にナタリーのボディを強化させた様な印象。タンニンと樽が強く感じられ、堅牢さが増しています。
果実味の甘露さはほぼ同程度。華やかさはより鉄分寄りになり鞣し革的。したがって受ける印象は黒系果実。樽も非常に強くシガーやコーヒーの様な焦げ香をよく感じます。
それと果実味の甘露な香りと混ざり合いキャラメルトフィーやメイプルシロップの様なニュアンスにも発展します。
全体的にカリフォルニアでよく見るタイプで強い体躯のワインです。そういう意味でいうとキスラーヴィンヤードと比べると大分違いがある様な気がしています。

個人的な好みとしてはキスラーの良さが最大限に感じられるキュヴェナタリーでしょうかね。
SWKヴィンヤードはやや強めの様な気がする。
いかにも豪華な感じはあるんすけどね。バランスも良く美味しいのですが、僕的にはこのナタリー推しです。


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キスラー ピノ・ノワール キスラー・ヴィンヤード 2006 750ml
価格:19980円(税込、送料別) (2017/6/4時点)









【カリフォルニア:59】キスラー ヴィンヤーズ テイスティング(Part1:白)

こんにちは、HKOです。
本日はキスラーの白です。


【データ】
キスラーは1978年にルシアンリヴァーヴァレーに設立されたカリフォルニア最高峰のシャルドネを算出する生産者。収量を抑え、丁寧な栽培を行った樹齢の高いシャルドネやピノノワールは収穫後選果され、それぞれのキュヴェに回される。除梗は100%。発酵には100%自然酵母を使用している。
醸造工程はそれぞれ異っている。

◾︎シャルドネ
マックレアヴィンヤードはソノママウンテンの12haの石灰岩と火山岩の混じった畑。MFLを行いフレンチオーク新樽50%旧樽50%で11-18ヶ月熟成を行う。
ダットンランチはソノマカウンティの中心部に位置する創立当初から存在する畑。
ストーンフラットヴィンヤードは2005年初リリース。カーネロス西側に位置する川から流れてきた丸い石が沢山存在する冷涼な畑。

◾︎ピノノワール
キスラーヴィンヤードは1979年から所有する自社畑、キスラー・ヴィンヤードは山の尾根の上に位置しています。
一方に海、他方にルシアン・リヴァー・ヴァレーを臨むこの畑の土壌は砂岩を中心にした構成。
キュヴェ ナタリー シルヴァーベルトヴィンヤードは2006年からリリースされているキスラーのトップキュヴェの一つ。
キュヴェ名の「ナタリー」は、スティーヴ・キスラー氏の三女の名前。隆起した赤い、鉄と砂利の混じった土という特異な土壌の畑。

他にフラッグシップはキュヴェ キャスリーン キスラーヴィンヤード (Ch100%)、キュヴェ キャサリン オクシデンタル ステーション ヴィンヤード (PN100% 現在はオキシデンタル)、キュヴェ エリザベス ボデガ ヘッドランズ ヴィンヤード(PN100% 現在はオキシデンタル) が存在する。

オキシデンタル ワインズはキスラーのスティーブキスラーが、2013年にソノマコーストでスタートした新プロジェクト。
使用する畑はオキシデンタル ステーション ヴィンヤードとボデガ ヘッドランズ、SWKヴィンヤードの3畑のみ。
フラッグシップのSWKヴィンヤードは同名畑の単一、キュヴェ エリザベスはボデガ ヘッドランズ、キュヴェ キャサリンはオキシデンタル ステーション ヴィンヤードの単一畑。ソノマコーストはこの2つのキュヴェのアッサンブラージュ。収量は30hl/ha、厳密なグリーンハーヴェストか行われ、収穫は夜間に行われます。除梗はせず、天然酵母を使用して全房発酵。ピジャージュは最低限に。新樽25%、MLF後5ヶ月熟成後無濾過無清澄で瓶詰めされます。




【テイスティングコメント】
生産者: キスラーヴィンヤーズ
銘柄: マックレア ヴィンヤード シャルドネ 2014

外観は淡いイエローで粘性は中程度。
引き締まった凝縮感のある甘露な果実味を強く感じるシャルドネ。果実味、酸、MLFのバランスが良い。
上白糖の様な甘露さを感じさせる甘やかさとラムネの様な酸味を感じさせる果実味、メイプルシロップがあり、シトラスや洋梨のコンポートの様な果実味がある。
酸味を感じさせるアロマがあるが、蜜の様な甘い香りを伴います。バニラや白い花、はちみつの様なアロマがあります。多少スパイシーさを感じる。
樽の要素はあまり前に出ておらず、ほのかにローストナッツを感じる程度。
しっかりした酸はあるが滑らかで、広がる旨味とシロップや洋梨の様な余韻を感じさせる。余韻の苦味は控えめ。


生産者: キスラーヴィンヤーズ
銘柄: ダットンランチ ソノマコースト シャルドネ 2014

外観は淡いイエローで粘性は中程度。
シャープかつミネラリーな体躯と酸を持つシャルドネ。
砕いた石の様なミネラル感にシトラスやレモンなどの酸味を感じさせる果実味があるが、徐々に温州みかんの様な甘露さが現れてくる。引き締まった冷涼な作りとなっていて、有塩バター、そしてローストナッツの様な樽香。
そしてドライハーブの様な香りが感じられる。
比較的樽とMLFは強く感じられる。
酸はこの中だと最も強くシャープ。柑橘やチョーキーな余韻を残す。バターや洋梨の様な甘い果実味と厚みもある。
冷涼だが完成度は高い。


生産者: キスラーヴィンヤーズ
銘柄: ストーンフラット ヴィンヤード シャルドネ 2014

外観は淡いイエローで粘性は中程度。
豊かな樽香と広がりのあるボリューム感を感じさせる果実味のシャルドネ。いかにもニューワールド的なワイン。
オイリーなミネラル感も感じられる。
コーヒーやモカの様な苦味を想起させる豪華な樽香とトースト、そして煮詰めた洋梨や黄桃の果実味を感じる。そしてバターの様な厚み、ドライハーブ。 徐々にブリオッシュやドライハーブ。ほのかにラムネの様なシトラスも感じる。
かなり強い樽香があるが、果実味にもボリューム感がある為、よくバランスが取れている。
酸は豊かだが厚みがある。モカや洋梨、ブリオッシュの様なふくよかな余韻があり、旨味もしっかりと広がってくる。ミネラル感もあるが、ふくよかな含み香が主体的。



【所感】
本日は白になります。
キスラー白のラベルは相変わらず風格があってカッコいいですよねえ。ブルゴーニュみたいで。モンラッシェみたいで。
今回はマックレアとダットンランチ、ストーンフラットの3種類。
この中ではストーンフラットが、気候的には冷涼な様ですが、最も冷ややかなタッチを感じるのはダットンランチでした。逆にストーンフラットはふくよかで、マックレアは引き締まった凝縮感があります。一番高級感を感じるのはマックレアですね。マックレアとストーンフラットはなんとなく近しいところを感じるのですか、ダットンランチだけ少し方向性が異なる様な気がします。
ストーンフラットとマックレアは果実味が強いのに対して、ダットンランチはやや冷涼でミネラルが先に来る感じです。
時間が経つと近しい方向性に収束していくのですが、スタートの出だしに差異がありますね。

マックレアはこの中ではブルゴーニュに近く、引き締まった酸と豊かな果実味があります。安納芋の様なほっこりとした果実味とメイプルシロップ感はニューワールドですが、全体のバランスはもっともそれに近いと感じました。軸はメイプルシロップとシトラス、洋梨のニュアンス。バニラやハチミツの要素。樽の要素は程よく突出しているという感じではないですね。クリーンというわけではないですが、樽が程よく溶け込んだ絶妙な1本です。

対して樽が強めに感じるのが、このストーンフラット。
のっけから樽の強いロースト、トースト香が前に出ています。そこと分離した形で感じるニューワールドの王道的な豊かな果実味。酸味がひかえめでボリューム感を感じさせるアレです。洋梨や黄桃、そしてブリオッシュ。
感覚としてはこの中でもっともリッチでふくよかな体躯をしています。これはこれでニューワールドの典型としてよくバランスが取れています。(※とはいえそれにしては焦げ香が強い様な気がしますが)
マックレアがブルゴーニュファンと親和性が高いだとするならば、こちらはパーカーポイント高得点を叩き出しそうなワインになっています。


そしてそれらと方向性を異にするのがダットンランチで、唯一鋭角的なタッチを持つワインになっています。
ミネラルと酸が良く目立つワインで、果実味はレモンやシトラスなどの柑橘を中心としています。あと樽香もローストナッツの様な要素がはっきりとありますね。MLFもあります。
キリッと引き締まった体躯のワインとなっています。
MLFはワインの中の酒石酸とリンゴ酸を消費して乳酸に転化するので、かなりMLF前は酸味がかなりあったんじゃないかな...
現状でもやや酸味は強いです。
とはいえブルゴーニュの中においては平均的な酸味では有るんですけどね。比較するとシャープさ感じるなと。
とはいえ時間経過でミカンの様な甘露さも出るので、一概に冷涼とは言い切れないんですが、他の果実味の強さを考えると、やっぱりそう感じてしまいましたね。
このワイン、けっして冷涼な地域から出来ているわけではないので、タイミングによってボリュームが跳ねる可能性も無きにしもあらず。ボトル差という可能性も。
ただ個人的な所感としてはそんな印象でした。












【カリフォルニア:58】コルギン カリアドを利く

こんにちは、HKOです。
本日はコルギンのカリアドです。


【データ】
コルギン セラーズはアン コルギンとジョー ヴェンダーによって1990年代初めプリチャードヒルに設立されたワイナリー。所有する畑はヘネシー湖の丘の頂上にあり、近年ⅸエステート(標高950~1,400フィートの前述のヘネシー湖を見下ろす48ヘクタールの区画)の単一畑もリリースしている。当初へレン ターリーがコルギンを手がけていたが、現在は元ピーターマイケルのマーク オーバートが手がけている。栽培責任者はデイヴィッド エイブリュー、醸造コンサルタントはアラン レイノー。
醸造は重力を利用したグラヴィティフロー、オープントップの大樽と密閉式ステンレスタンクの併用を行い、フレンチオークの新樽100%で19ヶ月間熟成後、清澄濾過なしでボトル詰めにてリリースされる。
ちなみにコルギンは3つのフラッグシップ銘柄をもっています。
「ナンバー ナイン エステート」はプリチャード ヒルの標高約350-420mの高台に50haの保有する自社畑。巨石が埋まる急斜面。
「カリアド」はデヴィット・エイブリューの自社畑の3つのブレンド。セントヘレナ西斜面にあるマドロナ ランチ ヴィンヤードを主体として、ハウエル マウンテンのルチア ヴィンヤード、ソレヴィロス ヴィンヤードの葡萄をブレンド。
「ティクソンヒル ヴィンヤード」は1881年に植樹されたセント ヘレナ北、スプリング マウンテンの裾野の1.6ha。
こんな具合です。


【テイスティングコメント】
生産者: コルギン セラーズ
銘柄: カリアド ナパヴァレー レッドワイン 2012
品種: カベルネソーヴィニヨン53%、メルロー26%、カベルネフラン12%、プティヴェルド9%

外観は黒に近いガーネット、粘性は高い。
徹底的な凝縮感があり、そのくせ果実味は赤系という異端的なワイン。バランス感は新世界なりの甘露さを押し出した重量感のある作り。
濃密で凝縮したイチゴやブラックベリーの甘露なジャム。
コンデンスミルク、フルーツケーキ、バニラの様な滑らかで厚みのある甘露さ。ヨーグルト。ほのかに茎の様な風合いもある。
ワッフルやカカオ、黒糖の様な樽香。結構強めのリコリス、ピーマンの青さ。そしてベーコンなどの燻製肉。
果実は熟していて、果皮の要素は目立っていないが、エナメルリムーバーやインクを思わせる風合いがある。
全体的に要素は強いながらもキャッチーな仕上がりで、ナパらしいナパのナンバーナインとは少し印象を意にする。
酸は穏やかで、タンニンはよく熟しており、丸みを帯びている。グリセリン感があり、余韻に甘みが感じられる。
ミルク、ブラックベリーやダークチェリー、肉の様な旨味が非常に強く広がる。



【所感】
今回はカリアドでした。
ナンバーナインエステートは過去に2ヴィンテージほど記事にしてますので、興味があれば是非どうぞ。
基本的な軸は完全に熟したコンポートの如き甘露な果実味、ミルキーなMLF、焦がした樽香を高密度のボディでバランスを取る形のワイン。カリフォルニア的といえば、大変カリフォルニア的ではあるのですが、どちらかというとその性質はナンバーナインエステートの方が強い様に感じます。
ナンバーナインエステートの全体のバランスの中で構成される果実味はカシスやブラックベリーなどの黒系果実。そしてやや目立ったコーヒーや燻した様な樽香、土の様な香り。
バランス値の振り方としてはラトゥールと近いかな、とも思います。
今回のカリアドはもう少しフレッシュです。
果実味は赤系のイチゴなどを思わせる果実味で、さりとて軽さはなくジャミーで完熟しています。コンデンスミルク、ヨーグルトを思わせる滑らかさが調和している。樽香はその点(強いには強いのですが)ナンバーナインエステートと比べると控えめです。やや果皮の要素は強めだが、かなり親しみやすい作りに仕上がっている印象です。酸は穏やかでグリセリン感があり、タンニンに甘みがあり、かなりわかりやすいですね。
個人的にはナンバーナインエステートより好みかもしれません。ポールホブスのドクタークレインに近く、ボルドーにおいて似たタイプはありません。
流石コルギン...ニューワールドファンにビシビシと響く素晴らしい仕上がりでした。
残すところはティクソンヒル。
できる事ならば3種水平とかできるといいんですが、なにぶん値段がなぁ...



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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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