【チリ:1】エラスリス 普及品カルネメールとフラッグシップ カベルネ ソーヴィニヨン

こんにちは、HKOです。
本日はチリの老舗ワイナリー、エラスリスのエントリーグレードとハイエンドの2本です。


【テイスティングコメント】
ヴィーニャ エラスリスはアコンカグア ヴァレーに拠点を置く1870年から135年以上続く名門ワイナリー。
創業者はドン マキシミアーノ エラスリス。
チリで唯一のコースタルレンジのアコンカグアヴァレーの大部分を所有しています。
フラッグシップはドン マキシミアーノ、そしてヴィニエド チャドウィック。
今回はエステート カルメネール、そしてドン マキシミアーノ ファウンダーズリザーブの2本
エステート カルメネールはアコンカグアのMAX Vエステートのフラットな土地から生まれるブドウを使用。
フレンチ&アメリカンオーク樽で8ヶ月間熟成する。カルメネール100%。
ドン マキシミアーノ ファウンダーズは急斜面の中腹付近に位置する最高の区画から作られるカベルネ。熟成には100%フレンチ&アメリカンオークの新樽で18ヶ月熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: エラスリス
銘柄: エステート カルメネール 2013
品種:

約1500円
外観は黒に近いガーネット、粘性は高い。
乾いた土やタバコ、グリニッシュなピーマン、リコリス。レッドペッパー、果皮の厚いブラックベリーやカシスの香りが感じられる。華やかさが花の方向に向いているわけではなく、モロに果皮の香りが感じられる。土系の香りと燻製肉、ミルクティーなどの要素が感じられる。
果実は熟れているが、平面的で若干散漫な印象を受ける。タンニンはしっかりとあるが、滑らかで酸味も穏やか。マロラクティック発酵を経た様な滑らかなミルクティーや木材の香りが感じられる。


生産者: エラスリス
銘柄: ドン マキシミアーノ ファウンダーズ レゼルヴ 2012(抜栓1週間)
品種: カベルネソーヴィニヨン78%、カルメネール10%、プチヴェルド7%、シラー5%

約8700円、WA92pt
外観は黒に近いガーネット、粘性は高い。
これが抜栓一週間のワインか。驚くほど素晴らしいワイン。エレガントさすら帯びている。
旨味が十分に包含されたアプリコット、ブルーベリー、ブラックベリーのジャム。決して甘露さに寄せすぎず、瑞々しさと旨味を最良の形で演出している。
スミレやパストラミハム、ドライハーブ、徐々に甘いバニラの様な樽香が現れてくる。ミルクや西洋杉、ベニヤ板、ほのかに土の要素は感じるがカルネメール的な要素は感じない。リコリスや溶剤などの風味が感じられる。酸味が豊かだがタンニンは少し経過時間によって柔らかくなっているのかも。後味のわずかな苦みにタンニンの力強さの面影がある。バニラや熟したフルーツの余韻が感じられる。


【所感】
まずエステート カルメネールですが、まさにチリの王道的カルメネールといった感じで、土の香りと充実した果実味が感じられます。ただ濃厚かというとそんなに粘度はないので、突出しているかというと、そうではない感じです。若干果皮の香りが強いのが華やかな感じですね。価格よりはお得だと思いますが、そんなに突出したワインではないかな、と思います。

っていうのはきっとドン マキシミアーノが素晴らしすぎるから、そう思うに違いない。
抜栓1週間というイレギュラーな環境ですから、正しくそのポテンシャルが図れているかというと、そうではないと思いますので、それ前提で見ていただければと。

1週間後のドンマキシミアーノ、素晴らしいです。
ボティが柔らかくなっているのは感じますが、いわゆる酸化的なカベルネの香りはわずかにしか感じません。むしろ樽がかなり溶け込んでいて、絶妙な最初の飲み頃感を感じます。
ガッツリ系のチリカベではなく、落ち着いたデュガピィのシャルムシャンベルタンみたいなエレガンスをまとっています。旨味と果実味のバランスを取れた黒系果実のジャム、パストラミハムやバニラやミルクの芳香、ほのかに土を感じるが、基本的にエレガントな果皮と果実味の要素がメイン。タンニンもこなれていて、恐らく抜栓直後から全く別物になっているかもしれない。
コント リジェ ベレールのチリカベにも驚いたが、チリ生まれのエラスリスがこれだけエレガントで集中力の高いカベルネを作るというのが驚き。
これが綺麗に熟成したら...としたら恐ろしいですね、きっと。
エステートブランドもいいですが、比類なきコストパフォーマンスはどちらかというとこちらの方が高いかもしれません。


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原初の喜び、コノスル ゲヴェルツトラミネール

こんにちは、HKOです。
本日は困った時のコノスルです。
今回のエントリーは余談多め。そのかわりいつもの所感とデータは省いております。今更このワイナリーについて語ることもないワイナリーですので。

さて、コノスルはほぼ説明不要の自転車マークが印象的なお買い得ワイナリーであります。
この様なブログをやっていると、元々は自分で見返す為のメモとはいえ、1本1本に対して非常に集中してテイスティングをする事となります。
あとで見返した時に訳の分からん文面になっていないか、同じ生産者の別の銘柄との差異は何なのか、同じ銘柄で年によってどう異なるのか、熟成時どういう形になるのか。醸造はどうなっているのか、栽培はどうしていたのか、などなど。さまざまな要素を考えながらのテイスティングは想像以上に疲れるものです。

そんなテイスティングが鬱陶しくなった時や単純にアルコールを楽しみたい、となった時に選ぶのは、やはり国民酒であるビール。
そんな中大手国産ブルワリーのビールはなかなかに心を癒してくれるものです。
美味しいですし、安いですし、どこでも手に入るし。
(本当は日本酒も同じ様なポジションだったのですが、最近このブログでも取扱はじめているので、油断の置けないものとなりました。)

そんな中で、唯一気楽に飲めるワインがコノスルです。ビールと同様、品質がそこそこ高く、値段も安価で、どこでも手に入る。大変助かります。

先述しましたが、ブログを書いていて、すごく面倒臭くなる時があります。酷い時はワイン自体嫌いになりかける時もあります。
まさに本末転倒ですが、実際問題、いくら趣味とはいえ、自分自身に何かを強制する様なものになってくると、かなーり鬱陶しく感じてくるのは事実です。(勿論素晴らしいワインが与えてくれる愉悦は他の酒類には無いものだと思います)

コノスルは、ワインを楽しむ、という事を思い出させてくれるワインだと思います。
何故なら何度も飲んでいるから、コスト的に気負う必要がないから、どこでも手に入るから。単純に美味しいから。
幾ら安くて美味しくてもネットでしか手に入らないのは面倒だし、安くて何処でも手に入るものでも美味しくないのは飲みたくない。美味しくて何処でも手に入るものでも、流石に3000円を超えてくると気負ってしまう。
それらが全部ちゃんと備わったワイン。

特に私が気に入っているのは、このゲヴェルツトラミネールです。
シャルドネや赤ももちろん美味しいと思うのですが、醸造技術がものを言うシャルドネより、そもそも品種自体が個性的で香り高いゲヴェルツトラミネールやソーヴィニヨンブランなどのアロマティック、セミアロマティック品種の方が安定して高品質に感じられます。
これは基本的にどの生産者でもそう思うのですが、あまりこれらの品種でハズレを引いたことがありません。

特にコノスルはもともと品質が高いですから。手堅いながらも素晴らしいワインを作っていると思います。

ことワインに関してはコノスルですが、趣味にはどこか安心出来るような逃げ場所が必要だよなあ、と思った次第です。


【テイスティングコメント】
生産者: コノスル
銘柄: コノスル ゲヴェルツトラミネール 2013

外観はやや濃いめのストローイエロー、粘性は高い。
極めてベタだが、間違いのないゲヴェルツトラミネール。アロマティック品種らしい強烈な芳香が魅力的だ。ほのかなミネラル、ライチやシトラスなどの清涼感のある豊かな酸を持った果実味、熟したリンゴの様な甘露さ、フォキシーフレーヴァー、フレッシュハーブや白胡椒。
酸とボディは豊かで、凝縮感があり、シトラスやライチのアフターが残る。
シンプルだが、味わいや密度に隙が無く、手堅く纏まった良質なゲヴェルツだ。


【チリ:1】コント リジェ ベレールが作る超絶カベルネソーヴィニヨン、デューク ダ 2008

こんばんわ。
いや、かなり間を空けてしまいました。連続更新が売りのこのブログで更新が止まるとはどういう事なの...?

さて、久々の更新はコント リジェ ベレールが造るチリのカベルネソーヴィニヨンです。
アリストスはブルゴーニュの生産者コント リジェ ベレールがチリで興したワイナリー。ペドロ バラとフランソワ マソックとのジョイントベンチャーです。特徴的なのはその畑の立地です。
例えばブルゴーニュであれば日照条件の良い立地を選定して場所を選びますが、これはブルゴーニュにおいて葡萄の成熟を満たす日照量が場所を考慮しないと確保できない事に起因しています。しかし例えばチリに限らずスペインなどでは、すでに天候に寄って十分な日照が確保出来ているため、逆に条件の良い場所では日照量が過多となります。その結果晩熟のカベルネソーヴィニヨンですら熟度が上がってしまい、土壌から十分な複雑さを得ないままボリューム感だけ高いワインが出来てしまいます。(ですので、昔の新世界のワインはビッグワインばかりでした。今は大分状況が変わりましたが)
そこでアリストスのワインはあえて高い標高(1000m)かつ日照量を制御する為に日当りの良い立地を選んでいません。これによってエレガントで複雑なワインが出来るとのこと。葡萄は当然手摘みでの収穫が行なわれ、ステンレスタンクで発酵後、フレンチオークの新樽(比率は不明ですが恐らく100%)で26ヶ月熟成されています。


生産者: アリストス
銘柄: デューク ダ 2008

8400円
黒に近いガーネット、粘性は非常に高い。
いやいや、想像以上に凄まじいカベルネソーヴィニヨンだ。
濃厚さな風味がが途轍もない凝縮感で襲ってくる。甘露で酸味も際立っている。
カラメルやバニラ、シロップ漬けのカシスや熟れたプラムの強烈な果実味。
そしてブラックチェリーを想起させる酸味。ドライハーブやミント、西洋杉、薔薇。
そしてミルクコーヒー、ピーマン、タバコ、パストラミハム、溶剤、リコリスなど。
(十二分にあるが)タンニンよりも充実した酸味を強く感じさせるのは生産者の個性だろうか。
アタックはパワフルでカシスやプラムの強靭なアフター。凄まじい。
リジェベレールが作るピノと比較すると、当然ながらカベルネソーヴィニヨン。タニックで力強く、豊満だ。
しかしその異質なほどの強い酸味と凝縮感、品の良さは、同じく濃厚で酸味の強いシラーより、品が良いピノノワール的でブルゴーニュのスタイルを感じさせる。


素晴らしいカベルネソーヴィニヨンでした。力押しだけでない作りの巧さを感じました。
かなりいい線行っているワインで、チリワインの中でもかなり好みな部類。
豊満で膨らみのある過熟感というより、密度の高い凝縮感とキャラメルの様な甘さを持ちながら、一本筋の通った骨格のしっかりしたワインだと思います。重さというより密度と力強さがある。
チリ的な熟した味わいがあり、かつ樽も強いのですが、作りの方向性が凝縮感を目指しているのが良くわかります。
そしていささか酸味に欠けるチリワインの中でも突出した酸を保っており、勿論構成要素は全く異なる前提で、あえていうならブルゴーニュ的な側面を強く感じさせるカベルネソーヴィニヨンでした。葡萄としてはやはりチリっぽいのですが、作りが違うとここまで異なるという好例だと思います。

コント リジェ ベレールが作るカベルネソーヴィニヨンという事で興味本位で飲みましたが、想像以上に良いと思いました。出自がハッキリと出たスタイルですね。
今までブルゴーニュの生産者が海外の葡萄に手をつけるのを見たことがなかったので(ハイド ヴィレーヌとか)結構衝撃的でした。小規模生産者が多いので自分の所だけでいっぱいいっぱいなんだとは思いますが、予算とビジネス手腕が卓抜した生産者にはどんどん海外に手を広げて貰いたいですね!

価格的には品質を考えると妥当ですかね。
正直アルマヴィーヴァとかと比べるとよっぽど好みなカベルネソーヴィニヨンです。

場繋ぎ的更新3: チリの綺麗なピノノワール、ヴィーニャ エチェヴェリア

こんにちは、お久しぶりです。
ここの所大変更新が滞っておりました。
というのも、先月末から自身が参加していたプロジェクトが大詰めに入っていたのと、社内的な処理と異動の準備でとてもバタバタしていました。
とりあえず引き継ぎも終わり、だいたいの目処がつきましたので、ボチボチ再開して行こうと思います。

記事は溜まってるんですが、正直まだ全然かけていないので、場繋ぎ的に最近飲んだデイリーワインをつらつらと書いて行こうと思います。

さて、再開一発目はチリのピノノワールです。しけてますね。


生産者: ヴィーニャ エチェヴェリア
銘柄: ピノノワール レゼルヴァ 2011

外観は淡いガーネット、粘性は高い。
過熟した木苺やダークチェリーの太い果実味やミルク、スミレの強い芳香が感じられる。
いわゆる新世界のどっしりとしたピノノワールだが、造り自体は雑な感じは無い。
煙草や土っぽさ、燻製肉、紅茶、粘土などの風味が感じられる。
酸味も十分だが、タンニンが際立っていて、ややキツめの印象を受ける。
ただ、根本的な果実味は高く、ジューシー。飲み口は悪くない。
チリのピノノワールとしてはなかなか良い出来ではないか。


なかなか良いピノノワールでした。
決して濃さだけに依存しない綺麗さを感じさせる良いワインだと思います。
ただやはりタンニンが際立つのは気候的に仕方ないのかな、と思います。
このワイナリー、自然農法、平均樹齢30年、100%手摘み、4~5日間の低温浸漬、フレンチオーク12ヶ月間樽熟成となかなか手の混んだ作りをしている様ですね。

だからか分かりませんが、濃いだけではなく透明感や複雑味があり、2000円台としてはとても完成度が高く甘露なチリのピノノワールだと思います。
コストパフォーマンスはとても良いと思います。

タンニンが際立つ悪い部分もありますが、基本的にはチリの良い気候の恩恵を受けながら丁寧で綺麗な仕上がりのワインだと思いました。


新世界探訪3: チリの偉大なボルドーブレンド、セーニャを味わう。

こんばんわ。
今日はカリフォルニア、オーストラリアに続き、チリのワインを1本紹介したいと思います。セーニャです。

セーニャはロバートモンダヴィとチリの名門エラスリスのジョイントベンチャーから生み出されたチリのプレミアムワインです。エラスリスはチャドウィック、ドン マキシミアーノというフラッグシップが、国際的にも評価されています。
カベルネソーヴィニヨンの聖地アコンカグア・ヴァレーの畑で収穫された葡萄(平均樹齢は15年程度)を使用しています。収穫された葡萄は丁寧に選果され(選果台は2回通します)、ステンレスタンクでアルコール発酵、フレンチオークの新樽100%でマロラクティック発酵を行い、22ヶ月の熟成を行います。
土壌は砂利、岩、ローム層。水捌けの良い土壌で、標高は290メートル~500メートル。
土壌構成は何処と無くマクラーレンヴェイルに似ていますね。

ではいってみましょう。


生産者: モンダヴィ & エラスレス
銘柄: セーニャ 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン、メルロー、カルネメール

9500円、WA96pt
とてもチリらしい過密な果実味を感じられるワインだが、どこかカリフォルニアのグランヴァンの様な樽のエレガンスも併せて感じられる。
色調は濃いめのガーネット、粘性は高い。
チョコレートやバニラの甘露な樽香。そしてブラックベリー、プラムの強烈な日照を感じる爆発的な果実味が中心になっている。
そして薔薇や西洋杉、リコリス、ミント、パストラミハム、タバコなど風味が感じられる。
ボルドーやナパの様に群を抜いた複雑さがある言い難いが、シンプルながらチリの爆発的な果実味とカリフォルニアの丁寧な樽使いや凝縮感を両立させた魅力的な一本。
タンニンはきめ細やかだが流石に強烈。酸味は柔らかく、全体的な印象としては豊満なボディとリッチさを感じさせる。口の中で木材とドライフルーツの芳香が広がる。


極めて新世界的な作りだな、と思います。先日のヌーンワイナリーと極めて近い作りですが、カベルネ主体のため、こちらの方がタンニンが際立っています。
ボルドーが果実味とともに西洋杉とコーヒーやバニラの風味が強く現れるのに対して、こちらは非常に甘露で凝縮した果実味が突出した印象を受けます。勿論樽のニュアンスもありますが、ボルドーは全ての要素が一塊なのに対して、果実味を補助する一要素である印象。
ただそれもそのはずというか、アコンカグアヴァレーは日照時間が長く、晴天も300日(!)程度続きます。また夜間は海風で冷涼な風が流れるので寒暖の差が激しいのですね。
ボルドーも日照時間は良く、ジロンドを流れる冷涼な風がありますが、何分平地ですし、日照時間もアコンカグアヴァレーほどではありませんので、この過熟感と凝縮感はチリならではだな、と思います。
勿論、エレガントに作り上げたボルドーやナパヴァレーのカベルネソーヴィニヨンは素晴らしいと思いますが、テロワールによるカラーの違いは、やはり面白いですね。

カリテラ セーニャ2008 No.82785

カリテラ セーニャ2008 No.82785
価格:9,450円(税込、送料別)

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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