【南アフリカ】アタラクシア、ポールクルーヴァー2種を利く

こんにちは、HKOです。
昨日に引き続き、本日は南アフリカのいくつかのワイナリーのフラッグシップを利いていきます。


【データ】
シモンシッヒは南アフリカ ステレンボッシュに1953年設立されたワイナリー。マラン一族が所有しています。
スパークリングやスティルに複数の銘柄を持っていますが、フラッグシップはこのティエラにあたります。
ティアラは96%をフレンチオーク、4%をアメリカンホワイトオーク樽で16ヵ月熟成。20%は新樽を使用。

ポールクルーバー・ワイナリーは、ケープタウンの中でも冷涼なエルギン地区の家族経営のワイナリー。最も南アフリカて注目される生産者です。フランス ブルゴーニュ地方とほぼ同じ気候で涼しい気候となっている。
畑の標高は280-400m。樹齢6-25年。その中で最も良質の畑のブドウを更に収量を抑えて収穫。始めは自然発酵。その後、ブルゴーニュ酵母を入れて発酵。その後フランスの5社から取り寄せたフレンチオークで11カ月熟成(新樽20%)。最終的に一番良い樽だけを選んでブレンドして瓶詰め。

ワインメーカーの南アフリカを代表するウォーカーベイ地区のワイナリー、ハミルトン・ラッセルで醸造責任者を務めたトップワインメーカー。その後、海外で経験を積み、2004年、ヘメル アン アードにアタラクシアを設立。
テロワール主義、不干渉主義でワインを醸造。畑はヘメル アン アードの標高400m、ヘメル アン アード リッジ。(ケープ アグラスの西まで約35kmに渡る地区)。リッジ、ヴァレー、アッパーヴァレーの3つの小地区の中でも更に冷涼な場所で畑はより涼しい南斜面を向いている。
今回のアタラクシア ピノノワールは収穫後、発酵前に10日間のコールドマセラシオン。オープンタンクでの22日間の発酵(最高で28度)。発酵中は、1日2回のパンチダウンを行う。その後プレスされ、225Lのフレンチオークに移して100%マロラクティック発酵。そのまま11ヶ月熟成(新樽21%)。



【テイスティングコメント】
生産者: シモンシッヒ
銘柄: ティアラ 2011
品種: カベルネソーヴィニヨン66%、メルロー21%、プティ・ヴェルド9%、カベルネフラン4%

かなり強烈なロースト香と浮いたような生乳を思わせるMLFの香りが主体的。品種こそボルドーブレンドだが、ボルドースタイルというより、オーストラリアのワイナリーに近い重厚な仕上がりになっている。パワフルかつリッチな作り。ドライフラワーやエナメルリムーバーなど。炭焼き、ガソリンにも近い樽香、そして生乳クリームのような香り。そしてブラックベリーやカシスのような果実味がそれぞれ独立して存在している。シロップやキャラメル、燻製肉。インクの様なアルコーリックさ。鰹節、オリエンタルスパイスの香り。
カノンコップやミヤルストがボルドースタイルを行っているが、こちらは根本から違う形。新世界的。
ただこちらの方が酸味が鋭い。そしてタニック。多少熟成感があり旨味を感じる。


生産者: アタラクシア
銘柄: ピノノワール 2014
品種: ピノノワール100%

外観は透明度の高い、少し橙を帯びたルビー。
面白いワイン。ヴィンテージ的には非常に若いが、枯葉や下草を思わせるほのかな熟成ニュアンスを感じさせる。
クランベリーや木苺の様な果実味と共にほのかな上白糖の様な甘さが降り混じる。よく熟成したブルゴーニュのピノノワールに通じる熟成香がある。
パウンドケーキやキノコ、ドライフラワーの様な落ち着いた華やかさ、野生的な生肉など。そしてハチミツやクミン、グローヴなど。
熟成感のある香りが主体的だが、果実味は非常に若々しく甘やかで不思議な風味を感じさせる。
完成度自体は非常に高い。
酸は柔らかく、タンニンも穏やか。膨らむ旨味があり、優しいタッチの味わい。キノコや木苺、濡れた木のような余韻が残る。


生産者: ポール クルーヴァー
銘柄: セブン フラッグス ピノノワール 2015
品種: ピノノワール100%

外観は赤みを帯びたルビー、粘性は低い。
凝縮感が強く、ギュッと引き締まった様な果実味がある。
ブルゴーニュ的ではないが、果実の凝縮度は村名~1級クラスではあると思う。ブルゴーニュというよりも繊細な作りをするカリフォルニアのピノノワール。
よく熟したダークチェリーやブラックベリーのコンポート、ミルクの様な滑らかさ、ほのかな茎の様な青さや濡れたスミレの花、ブリオッシュやパウンドケーキなど、果実味とはなやかさのバランスが取れている。樽香は控えめ。鞣し革、ほのかにベーコンの様な燻香。ローリエ、オレンジピールの様なニュアンスを感じる。
酸は天鵞絨的で緻密、タンニンは厚みがあるが滑らか。
ミルクの様な滑らかさと共にフレッシュなダークチェリーとブラックチェリーの果実味が感じられる。



【所感】
南アフリカ第二弾になります。
今回はポール クルーヴァー、アタラクシア、シモンシッヒの3本です。
まずはシモンシッヒのティエラ。
物凄い樽のロースト香が強く、炭焼きやオイル感を感じるほど。
MLFの要素もあるのですが溶け込んでおらず、生乳の要素が少し浮いて見えます。風格はあり、フラッグシップらしく大変リッチですが現状ではややバランス感の悪さを感じます。
抽出も強くアルコール感も顕著。かなり作り込まれたワインだと思います。ボルドー的ではなく新世界的。
黒系果実の要素もありますが、醸造的な要素が前に出ている様に思えます。
熟成によって馴染んでくるとは思うのですが、これでも既に6年経ってるんですよね...難易度の高そうなワインでした。
酸味・タンニンも強いです。

お次はアタラクシア。品種はピノノワール。
非常に面白いワインです。繊細で瑞々しいのですか、若いにもかかわらず不思議な熟成香とオレンジを帯びています。
濁りとかはあまりないので、不良、という訳では無さそうですが、不思議とエイジングされた様な印象を受けるあたり、醸造起因でしょうか。これ、別のヴィンテージはどうなんでしょうね。
ちょっとわからないですね。
赤系の溌剌とした果実と共に甘い香りが漂うのですが、そこに森の下草や枯れ葉、キノコ、クミンの様なニュアンスが混じります。これが謎ですね...
ただ非常に美味しくて、若々しい果実味と共に複雑な熟成香を感じられるのも良いですし、柔らかい酸やタンニン、丸みのある旨みはかなりレベルが高いと思います。
薄旨系ピノノワール。美味しいと思います。

最後はポール クルーヴァーのフラッグシップであるセブンフラッグス ピノノワール。
アタラクシアとは全く異なったワインで、カリフォルニアの中でも繊細なタッチを得意とする生産者のピノノワールにも良く似ていると思います。ブルゴーニュというには果実味やMLFが目立ちすぎている。でもかなり美味しいです。
まず凝縮感が非常に高く、引き締まった様な果実味が軸になっていて、そこにコンポートやミルクの様な滑らかさ、そして茎の様な青さとスミレの様な花の香り。
樽香こそ控えめですが、冷涼なピノノワールの良さは存分に感じる事ができます。オレンジやなめし皮、ベーコンなど香りは多岐に渡り複雑さもあります。
かなりいいですね。アタラクシアも良いですが、こちらの方が王道的な美味しさがあります。

タイプは本当に多岐に渡るんですけど、基本的にはどれも良くて、流石だなと。色々なスタイルを許容出来るバリエーションがあるんだなと。
南アフリカは今みなさん追ってると思いますが、僕もボチボチ見てきます。

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【南アフリカ】ブーケンハーツクルーフ、シラー含む3種類を利く

こんにちは、HKOです。
今国内の南アフリカで最も注目を浴びているワイナリー、ブーケンハーツクルーフです。


【データ】
ブーケンハーツクルーフは南アフリカのフランシュック地区に1776年に設立 された最古のワイナリーの一つ。醸造は南アフリカの天才ワイン醸造家と称されるマーク ケント。エレガントで力強いローヌスタイルを目指しています。
ワイナリーはフランシュック地区の山々に囲まれた谷にあり、東向き斜面の25haのブドウ畑。日照時間が少なく生育が遅いため、長い成熟期間により複雑なテクスチャを生み出します。
フラッグシップは7つの椅子が並ぶラベルのブーケンハーツクルーフシラー、カベルネソーヴィニヨン、セミヨンの3種類。
シラーは選果、破砕、発酵前に低温保管。大部分を除梗し、4日間の低温浸漬。1週間半程度の発酵を行い、ピジャージュはわずかに行います。マロラクティック発酵を行いながら、2、3年の中古樽で27カ月熟成。
カベルネは5日の低温浸漬。日当たり3回のルモンタージュを2週間行う。シラーより若干高い温度で発酵。スロベニアンオーク新樽100%で27カ月熟成。
セミヨンはローム含有率の高い土壌に1902年に植えられた古木と砂が多い土壌に1942に植えられた古木を使用。葡萄は全房でプレスの上24~48時間静置される。MLFは実施。 100%フレンチオーク新樽を使用しているが低温の為、要素の抽出は最低限に抑えられる。13カ月熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: ブーケンハーツクルーフ
銘柄: シラー 2015
品種: シラー 100%

外観は黒に近いガーネット、粘性は高い。
オーストラリアの様なコテコテさではなく、洗練された北部ローヌを思わせる作り。シャーヴ的な感じではなく、ポールジャブレエネ系。
甘酸っぱいブルーベリーガムやプラムなどの黒系果実のジャムの様な果実味。スパイシーな黒胡椒のニュアンス。非常に華やかで薔薇やスミレの様なアロマオイルのニュアンスが感じられる。少し燻製肉の様な獣っぽいニュアンス。炭焼きや漢方、エナメルリムーバー、ユーカリなど。
香り同様酸もシャープで非常に華やか。タンニンもしっかりとしているが、酸の方が目立つ感じ。口の中で丸みを帯びる。高級感がある。
華やかな薔薇やスミレとミルク、シロップの様な甘露さが鼻から抜ける香りがある。


生産者: ブーケンハーツクルーフ
銘柄: フランシュック カベルネソーヴィニヨン 2015
品種: カベルネソーヴィニヨン94%、カベルネフラン6%

外観は黒に近いガーネット、粘性は高い。
ボルドーのグランヴァンに近いバランスだが、グッドヴィンテージに近い甘露さがある。充実した甘露さはあるが、南ア特有の引き締まった酸がある。
ミルクポーションやオーク樽。焼いたゴムのようなロースト香。カシス、ブラックチェリーの熟した甘やかな果実味がある。黒糖やバニラ、ワッフルやブリオッシュなどの甘露さがある。抽出は程よく、スミレの砂糖漬け、ベーコンやユーカリなどのニュアンス。グローヴなど。パンを思わせるトースト香。
ピーマンの様な青さはほとんど感じられない。
酸はしっかりとあり、グリセリン感とともに心地よい滑らかなタンニンが感じられる。フレッシュな黒系果実とバニラを思わせる余韻がある。


生産者: ブーケンハーツクルーフ
銘柄: ノーブル レイト ハーヴェスト 2014
品種: セミヨン100%

外観は濃いイエローで粘性は高い。
ソーテルヌと比べると多少凝縮感に欠ける部分はあると思うが非常に近いところに行っていると思う。
白桃や花梨の様な濃密な果実味、甘露さがあり、黄桃感は少ない。よりフレッシュな印象を受ける。カマンベールチーズ、ハチミツ、白い花や杏の様な風味が感じられる。
白胡椒、濡れた木など。
甘露さは相当なもので、白桃シロップを頂いている様な糖度。ただソーテルヌと比べると少しさっぱりとしているというか、チーズ的な複雑さはありつつも、余韻はさっぱりとする形で作られている。



【所感】
という感じです。
ブーケンハーツクルーフ、本当に手に入りにくくなりました。
ほんの2年ほど前は値段も安くすごい美味しい、という感じでしたが、今やグランヴァンほどではないにせよ価格も高騰し、お得感は少し薄れている様な気がします。ただ旨さはさすが、と言ったところ。
シラーもカベルネソーヴィニヨンも極めてフランスの王道を行く作風になっています。
ざっと所感を言うと、シラーは北部スパイシー系、カベルネソーヴィニヨンはメドック格付け系、ノーブルレイトハーヴェストはさっぱりとしたソーテルヌ系だと感じました。雑ですね、すいません。

まずはシラーから。
今年も大変よく出来ているのですが、ちょっと毛色が変わったかな、と。2011年のシラーがシャーヴ的だったのですが、今回はポール ジャブレ エネやシャプティエのタイプに似ているかも。
果実味の凝縮度の高さ、瑞々しさというより、ジャミーさはありながらも、黒胡椒のスパイシーさがとても表出している様にも思えます。燻製の様なニュアンス、漢方など複雑さが感じられる。
古式ゆかしい北部といった感じです。さすがですね。
安易にバロッサヴァレーのシラーズやギガルの様なスタイルに寄らない事に好感が持てます。
北部ローヌの最高クラスのワインと言ってもあまり違和感はないかもしれません。

次にカベルネソーヴィニヨン。
これもとても上手く作られていて、非常にメドック格付け的なバランスで作られている様な気がします。
流石に1級格付け的とは言えませんが、2~3級にいそうなタイプしてます。しかもグレートヴィンテージ的。
前回のステレンボッシュは「1級のオフヴィンテージ的」だと申しましたが、今回はこんな感じ。バランスの問題ですかね。
ちなみに甘露な果実味が大変目立っています。でもカリフォルニアやオーストラリア的では全くない。
果実味とMLF、樽香のバランスが大変ボルドー的なんですね。
抽出も適切で、堅牢すぎず、風格はありながらも親しみやすい作りになっています。
厚みはないけど、甘露な果実味。そこに絡むミルクポーション、ワッフル、ローストした樽香。非常にバランスが良いですね。
美味いです。

最後はノーブル レイト ハーヴェスト。
こちらは甘口ですが、とても良く出来ています。
やはりこちらもフランス的というか、ソーテルヌに近いと思うんですけど、どこかこざっぱりとしていて、シンプルな作りになっているかと思います。
黄桃的なねっとりとしたソーテルヌに対して、白桃の様な少しサラッとした質感で、酸味もやや強めに出ているかと。
それ以外の副次的な要素はソーテルヌそっくりでカマンベールやハチミツの要素を含んでいます。
高級感はあり素晴らしいのですが、じゃあソーテルヌに対して圧倒的に価格的に優位だよね?というと特にそんな事はないかなと。とても美味しいんですけど。
手には入りにくいんでコレクター向けかもしれません。

毎度のことながら、ブーケンハーツクルーフ素晴らしいです。
南アフリカのやや冷涼な気候の影響を反映させた高クオリティのワインが出来つつあります。極端なバランスに振れないので、その分差別化、カルト化にはなかなか難儀かもしれませんが、コスパでは計られないワインがどんどん出てくると良いですね。












【南アフリカ:10】ザ サディ ファミリー ワインズ Part.2 レッドワイン

こんにちは、HKOです。
本日はサディ ファミリーの続きです。



【データ】
ザ サディ ファミリー ワインズは南アフリカにおける最上の生産者。当主はイーベン・サディ氏。10代の頃から15年間ヨーロッパのワイナリーで修業、スパイスルートで醸造責任者を担当。1998年にスワートランドに自身のワイナリーを設立しています。
今回のワインは赤はソルダード、ポフェイダー、コルメラ。
ソルダードはウエスタンケープ、ピーケニアスクルーフの標高700mの畑から産出。冷涼な東向き斜面の花崗岩土壌。
グルナッシュ単一品種。
ポフェイダーはスワートランド カステルバーグ西の畑から産出。土壌は粘板岩と分解頁岩。
コルメラはスワートランドのバードバーグ、カステルバーグ、マルムズバリー、ピケットバーグの高い標高から産出されたシラー、グルナッシュ、ムールヴェードルを使用。解放樽で発酵後、プレス。8区画ごとにフレンチオークで12カ月発酵。新樽10%程度。
白はスカーフバーグ、スケルピオン、パラディウスの3種類。
スカーフバーグはオリファンリヴァー スカーフバーグ斜面より産出。土壌は石が混ざった砂質で、標高は高く海に近い乾燥した地域。古樽で12カ月熟成の後ブレンド。
スケルピオンはスワートランドの西海岸から産出。土壌はチョークと石灰岩。乾燥した地域。樹齢60年。古樽で熟成。
パラディウスはパードバーグ、花崗岩質の13区画と、砂質土壌の4区画に植えられた計9品種から産出。
選果しながら収穫、圧搾は伝統的なバスケットプレス。卵型のコンクリートタンク、アンフォラ、古い木樽に入れられ発酵~24か月間熟成。
フラッグシップは無灌漑の古樹のみから造られるローヌブレンドのコルメラと、独自アッサンブラージュのパラディウス。


【テイスティングコメント】
生産者: サディ ファミリー ワインズ
銘柄: ソルダード 2015
品種: グルナッシュ100%

獣香香るラムネのような果実味と華やかでありながら突出したシャトーヌフに酷似。
レッドカラントやラズベリーなどの甘酸っぱい果実味と共に、やや強めの獣香、生肉の様なニュアンスが感じられる。イースト、花の蜜の様な甘い香り。甘草やジンジャーブレッドなどのスパイシーさ。瑞々しいスミレやユーカリの様なほのかな青さが統合して感じられる。
ほのかにユーカリや茎の様な青さを感じる。
酸もタンニンもやや控えめで、甘酸っぱい果実の風味と獣香の余韻を感じられるが、やや短め。
ボディとしては低めでやや水っぽさを感じてしまう。


生産者: サディ ファミリー ワインズ
銘柄: ポフェイダー 2015
品種:サンソー 100%

外観は明るいルビーで粘性は中庸。
極めて華やか。蜜のような果実味があるフレッシュなキャンディ香。ニュージーランドのピノノワール(あるいはボージョレ)に酷似。
フレッシュなイチゴやラズベリーの果実味があり、非常に甘露。フレッシュなキャンディ香。砂糖漬けのスミレが主軸になっている。ややエナメルリムーバーの様なアルコール感を感じる。
そしてブリオッシュや鉄観音の様な樽香。ユーカリやベーコンの様な香りも感じられる。赤リンゴ、リコリスの様な風味。比較的クリーンなタッチ。
酸もタンニンもしっかりと感じられ、甘みを包含し立体感を感じさせる。特に酸がやや強めで、甘みを帯びているので心地よい。そして含み香は生のスミレの様な華やかさ。



生産者: サディ ファミリー ワインズ
銘柄: コルメラ 2014
品種:シラー、ムールヴェードル、グルナッシュ

やや濃いめのガーネットで粘性は中庸。
凝縮した果実味、樽の効いた比較的強めのロースト香。
複雑かつ繊細、凝縮した果実味はカリピノ的な体躯を思わせる。(キスラーにも似ているかも)傑出している。グリセリン感すら感じさせる果実味。
イチゴやダークチェリーのコンポートの様な果実味、バターやミルクポーションの様なまろやかさ。焼けたゴムや黒糖の様な樽香、ブリオッシュなどの風味が感じられる。
甘露さとMLFをしっかりと主張しながら重くならない様に相当気を使われている。そこにスミレや赤い花の華やかさ、シダーウッドの様な清涼感、スパイシーなパストラミハムが相乗する。ユーカリやクローヴの様なほのかな青さも複雑さを助長している。
タンニンは柔らかく、酸もシルキー。立体感もあり、厚みを感じる。コーヒーやチョコレート、ダークチェリー、昆布の含み香を感じる。めちゃうま。



【所感】
本日はサディ ファミリーの赤です。
赤もバリエーション豊かで、3種類とも方向性が異なっている様に思えました。
ソルダードはシャトーヌフにも近いスタイルのワイン、ポフェイダーはややそこから洗練されてニュージーランドのクリーンなピノノワール。そしてコルメラはカリフォルニアのハイクオリティのピノノワールを思わせる作りでした。
共通して感じるのは各々の品種、グルナッシュ、サンソー、シラー、ムールヴェードルから連想される味わいからは離れた冷涼で凝縮感を重視した作りになっています。
過剰な重さ、ボリューム感は無く、いい意味で削ぎ落とされたスタイリッシュなワインが作られています。
その最もたるはコルメラ。モダンで豊かな果実味と巧みな醸造を感じ取れる秀作になっていると感じました。

ではソルダードから。
先述した通りタイプとしてはロジェ サボンやボーカステルを思わせる香りの要素や輪郭を感じますが、それらより冷たく冷ややかで、華やかさをやや強めに感じ取れるものとなっています。線の細さはガメイとかそこらへんに近いんですが、結構獣香があるので、そこでしょうか。
全体的によく出来ていると思うのですが、かなり線が細い、というか凝縮感に欠けるので、人によっては物足りなさを感じるかもしれません。

次にポフェイダー。
明るいタッチのキュートな果実味が魅力的ですね。
若々しいキャンディ香とフレッシュやイチゴやラズベリー、砂糖漬けのスミレなど華やかさとフレッシュさを前面に感じる作りですね。樽も目立っておらず、むき出しのピュアな果実を感じる作りです。サンソーはピノタージュの交配元という部分で、あまりこういった印象が少ないワインになっていますが、かなりフレッシュさによったサンソーになっています。そういう意味でいうとプロヴァンスのロゼあたりに感覚としては近いのかなとも。
ワインの骨格もしっかりとしていて、華やかさに満ちた素晴らしいワインになっています。

最後はコルメラ。
個人的にはこれらのワインの中で最も完成度が高く、世界基準の品質で見ても高い方に含まれる様な気がしています。
非の付けどころが殆どない優秀なワインになっています。
タイプとしてはキスラーに似ていると思います。
甘くフレッシュな赤系果実の果実味と、マロラクティック発酵的なミルクの様な甘露な要素、ブリオッシュや黒糖、スミレの様な華やかさと上質なピノノワールの要素が揃っている。ただスパイシーさはシラーとかグルナッシュから感じられる部分がそのままですね。全体的にはグルナッシュ色の方が強いかも。
グルナッシュではラヤスやアンリボノーあたりは自然派ピノの要素を感じる事もありましたが、このモダンなスタイルは珍しいですね。スペインの冷涼なグルナッシュともまた違うし、ローヌブレンドでこれは結構珍しいんじゃないかと思います。
素晴らしいワインでした。

全体的に言うと、優れたワインも非常に多いですが、全てのポートフォリオが優れている、と言うわけではない様です。
それはどんな生産者にも言える事なのですが(例えばマルゴーのサードとか、優れた生産者のACブルだとか)裾物はそれなり、最上級が如何に素晴らしいかで語られる事が多いと思います。この生産者もそうなのかな、と思います。
手放しですべてが優秀、と言うわけではないのですが、良かったです。

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【南アフリカ:9】ザ サディ ファミリー ワインズ Part.1 ホワイトワイン

本日は南アフリカ最高の生産者イーベンサディ率いるザ サディ ファミリー ワインズのテイスティングです。
全体のポートフォリオとしては白はスカーフバーグ、スケルピオン、フラッグシップのパラディウス。赤はソルダード、ポフェイダー、トレインスプール、フラッグシップのコルメラがあります。
今回はトレインスプールを除いた全種類となります。



【データ】
ザ サディ ファミリー ワインズは南アフリカにおける最上の生産者。当主はイーベン・サディ氏。10代の頃から15年間ヨーロッパのワイナリーで修業、スパイスルートで醸造責任者を担当。1998年にスワートランドに自身のワイナリーを設立しています。
今回のワインは赤はソルダード、ポフェイダー、コルメラ。
ソルダードはウエスタンケープ、ピーケニアスクルーフの標高700mの畑から産出。冷涼な東向き斜面の花崗岩土壌。
グルナッシュ単一品種。
ポフェイダーはスワートランド カステルバーグ西の畑から産出。土壌は粘板岩と分解頁岩。
コルメラはスワートランドのバードバーグ、カステルバーグ、マルムズバリー、ピケットバーグの高い標高から産出されたシラー、グルナッシュ、ムールヴェードルを使用。解放樽で発酵後、プレス。8区画ごとにフレンチオークで12カ月発酵。新樽10%程度。
白はスカーフバーグ、スケルピオン、パラディウスの3種類。
スカーフバーグはオリファンリヴァー スカーフバーグ斜面より産出。土壌は石が混ざった砂質で、標高は高く海に近い乾燥した地域。古樽で12カ月熟成の後ブレンド。
スケルピオンはスワートランドの西海岸から産出。土壌はチョークと石灰岩。乾燥した地域。樹齢60年。古樽で熟成。
パラディウスはパードバーグ、花崗岩質の13区画と、砂質土壌の4区画に植えられた計9品種から産出。
選果しながら収穫、圧搾は伝統的なバスケットプレス。卵型のコンクリートタンク、アンフォラ、古い木樽に入れられ発酵~24か月間熟成。
フラッグシップは無灌漑の古樹のみから造られるローヌブレンドのコルメラと、独自アッサンブラージュのパラディウス。


【テイスティングコメント】
生産者: サディ ファミリー ワインズ
銘柄: スカーフバーグ 205
品種:シュナンブラン100%

外観は透明感のあるストローイエロー、粘性は中庸。
王道的シュナンブラン。多少穀物的かつ非常に甘露。オイリーかつクリーンな質感のワイン。
熟した黄桃やアプリコットの様な果実味があり、そこに小石を感じさせるミネラル感を感じさせる。麦、フレッシュハーブや蜜蝋、白胡椒の様なスパイス感を感じさせる。イーストの様な風合いがある。
酸とボディの厚みも潤沢で、ハチミツや上白糖の様や含み香、黄桃の様なニュアンスの余韻を感じさせる。
余韻自体はあまり長くないが、旨味があり、心地よい味わいが尾をひく。



生産者: サディ ファミリー ワインズ
銘柄: スケルピオン 2015
品種: シュナンブラン50%、バロミノ フィノ 50%

外観は透明感のあるストローイエロー、粘性は中庸。
より蜜の香りとオイリーさが強く、穀物の香りはやや控えめになっている。こちらもクリーンな質感。
より鮮明な輪郭。
白桃や洋梨の香りと共に、オイリーな油分の香り。フレッシュ感に満ちている。ナッツや白胡椒、アスパラガスの様な香りを感じさせる。白い花の香り。重いスカーフバーグと比べると軽妙。
酸味は感じられるが柔らかく、やや薄めに感じられる。
厚みも控えめで、さわやかでフレッシュな白桃のフレッシュな余韻を残す。



生産者: サディ ファミリー ワインズ
銘柄: パラディウス 2014
品種:シュナンブラン、グルナッシュブラン、クレレット、ヴィオニエ、ルーサンヌ

ほのかな辛子の様な香りと濃密な上白糖、引き締まったミネラル感を感じさせる。
上白糖、白桃やシトラスの様な果実味があり、そこに複雑な辛子やクレイ、石灰の様な強靭なミネラル感を感じさせる。ややブランデーの様な甘露さでヘーゼルナッツやバターの様な感じもある。白胡椒やブリオッシュ、ハチミツの様な要素がある。
酸味、ボディ共に申し分なく、アタックのはっきりした酸と厚みのある甘露さを感じさせる。伸びに物足りなさを感じるが、ニューワールド的で、白桃や上白糖の甘い含み香が素晴らしい。



【所感】
本日は白ですね。シュナンブラン単一のスカーフバーグ、バロミノ フィノとのアッサンブラージュのスケルピオン、シュナンブランに南仏品種を加えたパラディウス。
全体的に余韻は短めではあるのですが、どのキュヴェもかなり手堅く作られています。シュナンブランの王道を行くスカーフバーグ、オイリーさと果実の香りが目立つスケルピオン、そして南部ローヌ、あるいはニューワールド的な側面が強いパラディウスと比較的バリエーションが豊かに感じられました。
スカーフバーグは先述した通り、南アのシュナンブランの王道ともいうべき作り。果実味豊かで穀物的。クリーンな質感があります。
核種系の果実、はちみつをベースに穀物や蜜蝋、ミネラルを綺麗に感じさせます。ボディにも不足感はなく、クリーンで洗練されたワインになっています。
余韻は短いですが、旨味豊かで完成度は高いです。
次にスケルピオン。
この中では厚みが控えめで、やや薄めのワインに感じられました。
香りこそシュナンブランの穀物を抑えミネラル、蜜の香り、白胡椒を押し出していて複雑。されど、厚みにバランスの悪さを感じました。
スカーフバーグの厚みと対照的で、多少の物足りなさを感じるキュヴェに感じました。
最後にパラディウスですが、これは流石というか、前述2本と比べると完成度に大きな違いを感じました。
独特の辛子のような複雑な香りに上白糖のような凝縮した果実味と引き締まったミネラル感を感じます。
これはMLF的な要素もあり、さながらブランデーにも似たアタッキーかつ甘露で滑らかなタッチがあります。ニューワールド的でわかりやすくしっかりと作られたワインです。こちらも余韻は少し物足りませんが、十分に及第点クラスの味わいだと思います。

どれも土壌の構成に即した作りになっていると思います。
一部薄さを感じたり、余韻の部分に違和感を残す部分はありますが、基本的にはとてもレベルの高い南アのワインになっているかと。

ただやはりその本懐は赤。そうコルメラを飲んで感じました。
続きは次回。



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【イスラエル】ヤルデン シャルドネ 2015

こんにちは、HKOです。
本日はヤルデンです。
超有名ワイナリーですが、実は飲むのは初だったりします。


【データ】
ゴランハイツワイナリーはイスラエル ゴラン高原 カツリンに1983年に設立されたワイナリー。
イスラエル航空のファーストクラスワインとしても採用されています。
醸造手法は伝統的かつ革新的な醸造手法を組み合わせている。最先端の圧搾、ポンプ施設、コンピューターでの温度管理が可能なステンレスタンクで醸造。徹底した管理システムを構築している。フレンチオーク新樽50%、旧樽50%でシュールリーで7ヶ月熟成。フラッグシップはエルロム ヴィンヤード。


【テイスティングコメント】
生産者: ゴランハイツ ワイナリー
銘柄: ヤルデン シャルドネ 2015

外観はやや濃いめのイエローで粘性はやや高め。
カリフォルニアの典型的なスタイルのシャルドネに酷似したスタイルで、濃密な白桃や洋梨の様な果実味と、甘露な杏仁豆腐、シロップ。そしてバターの様なまろやかさがある。熟度自体はそこまで高くはないが、しっかりとMLFがなされている。フレッシュハーブや白い花のニュアンス。
構造自体はそこまで複雑ではないが、しっかりとしたアルコール感と甘露さを感じさせる。
酸は柔らかくやや余韻に苦味が残る。ハーブや杏仁豆腐、グレープフルーツの様な余韻が膨らむ。余韻は比較的長く、杏仁豆腐のフィニッシュが残る。


【所感】
遅れ馳せながら初めて飲みましたが、これはいいシャルドネですね。とてもボリューム感のあるリッチなシャルドネ。
カリフォルニアの様な温暖な新世界の空気感を纏わせています。果実味の厚みとクリーミーさが併存していて、しっかりとしたアルコール感と甘露さを感じます。
香りも余韻の苦味もまさにそんな感じではあるのですが、少しハーブ感があるのも面白いですね。
程価格帯でこれだけ良ければ、エルロムも相当期待出来そうかも。
ヤルデンはとても有名な生産者なのですが、ワインの文化的な側面で見た場合重要な産地ではあるものの、今ひとつ地味感が否めないイスラエル。隣接するシリアとの問題を抱えていますが、ヤルデンに続く様な生産者がたくさん出てきてくれるといいんですがね...




プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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