【ロワール】ディディエ ダグノー、幻のアステロイド

こんにちは、HKOです。
ついにこの日がやってまいりました。
ロワール、プイィ フュメの素晴らしさに目覚めたきっかけとなったティディエダグノー。フラッグシップは言わずと知れたシレックスですが、実はその上に...というには特殊ですが、もう一つ特別なキュヴェがあるのはご存知でしょうか。
そう、「アステロイド」です。


【データ】
ディディエ ダグノーは、1983年に様々なキャリアを経てプイィ フュメにドメーヌを興します。93年から有機栽培を始め、いわゆるソーヴィニヨンブランの枠組みを大きく飛び越える卓抜したプイィフュメを一貫して作り続けています。作付面積は11haほどで、その最高の区画である「シレックス」「ピュール サン」がフラッグシップとしてリリースされています。有機農法、大人数での手摘み収穫や選果。収穫した葡萄はプレス後、ステンレスタンクで2日間寝かせた後、22度まで温度を上げながら10-12日間木樽でアルコール発酵。マロラクティック発酵はしない。新樽20%-30%程度で12ヶ月シュールリーで熟成し、更に4~8ヶ月間の間ステンレスタンクで熟成する。最長で20ヶ月程度の熟成期間を経て、瓶詰めされ出荷されます。
今回はピュールサン区画、樹齢85年のフラン ド ピエを利用した年産500本の幻の白、アステロイド。
36ヶ月熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: ディディエ ダグノー
銘柄: アステロイド 2002

外観は明るいイエローで、粘性は中庸。
強烈かつ堅牢なミネラルを纏ったシレックスと比べると、剥き出しのソーヴィニヨンブランの要素が前に出ている。
樽を使用していないボルドー最上クラスのそれに近い。
果実味の熟度も高く、先鋭的というより、幾分かのリッチさを感じさせる。それでも前に来るのはミネラルで塩気や小石の面のような艶々としたミネラルを感じさせる。
蜂蜜に漬けたシトラス、ライム。上白糖、ライチ。比較的強い青草のニュアンス。
徐々にオイリーなミネラル感がより強くなってくる。
海苔やフレッシュハーブ、ムスクなどのニュアンス。
そしてニンニクやエナメルリムーバーのような要素がある。柑橘と青草、ミネラルといった王道的なニュアンス。
口に含むと柔らかな酸に穏やかに包まれた強い旨味を感じる。はちみつレモンやほのかにバターの要素を感じる。広がるようなじんわりとした旨味。


【所感】
シレックスの時にソーヴィニヨンブランの見方を変える程に衝撃を受けたんですが、ちょっと期待しすぎたかもしれません。
とても良く出来ているのですが、シレックスの数倍凄いかというとそんな事はない様に思えます。
クリーンなタイプのソーヴィニヨンブラン、強いていえば樽を強くかけないタイプのボルドーの最上クラスと言った感じでしょうか。
果実のリッチな熟度の高さと引き締まったミネラルが最前面にあり、品種固有のフレッシュハーブ、ムスク。海藻の様なニュアンスを強く感じられます。果実味自体は強く極めてリッチなので、上質感は感じられますが、あまりにも裸の、剥き出しのソーヴィニヨンブランなので、悪くいえば王道から大きく逸脱しない、ランファンテリブルらしからぬ作りと言えるのではないかと。
酒質がとても素直。素直が故に強烈なインパクトがない。
この価格なのであれば、ブラン フュメ ド プイィ、ピュール サン、シレックス、余裕があればル ジャルダン ド バビロンを全て購入する方が楽しそうです。
自根に強いこだわりがある方にオススメ。
ただ最上級のソーヴィニヨンブランであるということについては異論なしです。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

アステロイド 2004ディディエ・ダグノーAsteroid 2004Didier Dagueneau
価格:122000円(税込、送料別) (2017/11/14時点)




スポンサーサイト

【ローヌ】南仏マイナーアぺラシオン古酒2種

こんにちは、HKOです。
転職活動で忙しく、大分更新が滞っておりました。
申し訳ございません。

では、久々のワインのレポートです。
今回は南仏、バンドールと南部ローヌです。


【データ】
ドメーヌ タンピエは、バンドールに1880年には設立されたドメーヌ。バンドールにおけるスター生産者。“ミグア”,“トゥルティーヌ”,“カバッソウ”という3つの単一クリュを別々に醸造、生産している。
現在はドメーヌ オットをはじめとし、10年近く南仏を経験したダニエル・ラヴィエが責任者を務めている。
ペイロー兄弟が栽培に関わって以降は、化学肥料と除草剤の完全廃止,機械による耕耘と除草,リュット・レゾネ,台木の選別など・・・,限りなく有機栽培に近いブドウ栽培を実践し,ワインに自然なテロワールが反映するように努め、90年代中期からはバイオダイナミック農法の手法も導入している。
今回は単一畑のトゥルティーヌ。ムールヴェードル80%を中心にサンソーとグルナッシュをブレンド。平均樹齢40年。
ブドウはすべて手摘みで収穫され,選果台を使って傷んだブドウや未成熟なブドウはすべて取り除かれる。完全に除梗し,野生酵母のみを用いて発酵を行う。発酵は温度管理機能付きのステンレス・タンクとセメント・タンクで15-21日かけて行われ,その後,フランス産オークの樽(容量25-75ヘクトリットルまで様々な容量の樽を使用)に移し,マロラクティック発酵と熟成を行う。熟成期間は18-20ヶ月。無清澄・無濾過で瓶詰め。
ラ・トゥルティーヌ”は,カストゥレ/Castelletのコミューンに位置する栽培面積6.5ヘクタールのクリマ。平均樹齢40年。標高170メートル。約1億年前のサントニアン期の粘土石灰質土壌。

ドメーヌ ラ スマドはコート デュ ローヌ ラストーに拠点を置く生産者。現当主はアンドレ ロメロ。コンサルタントはステファン ドゥルノンクール(カノン ラ ガフィリエール、モンドット)。 ラストーを中心に醸造しています。
栽培は1990年頃から、化学的な肥料、除草剤、殺虫剤などは不使用。肥料は、牛馬の糞と葡萄の皮を混ぜたコンポストを2年がかりで造っています。畑を、60cmスコップで掘り返し、土を柔らかくして、根が伸びるようにしています。
ピジャージュを短く行い過度の抽出は抑え、ステンレス製円錐形タンクで醸造、バリックを使わず、大樽(600、800hl)のみ使用。ミクロビュラージュ、シュールリー。赤ワインは2度冬を越し、4月に瓶詰め。フリーランジュースのみ使用。通常全てのワインにフィルター。




【テイスティングコメント】
生産者: ドメーヌ タンピエ
銘柄: バンドール キュヴェ ラ トゥルティーヌ 1995
品種: ムールヴェードル 75%、グルナッシュ16%、サンソー8%、カリニャン1%

外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
熟成香が主体だが果実味もとても際立っている。
キノコ、腐葉土、松ヤニ。そして獣香、牛脂などの要素。
ブラックベリーやダークチェリーのコンフィチュール、生肉や出汁の風味が際立っている。旨味と甘味のミックス。
すみれのドライフラワー、クローヴなど。焦げたゴムなど。
酸味は比較的強くシャープ。タンニンも比較的強めに残る。旨味と塩気、血液や梅しばの様な余韻を感じられる。


生産者:ドメーヌ ラ スマド
銘柄: ラストー 1998
品種: グルナッシュ80%、シラー10%、ムールヴェードル10%

外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
熟成の酸化香と若々しい果実味が同居する。
アルコール感が強く、かつダイナミックな香りな表出。
強烈な血液や鉄分などのギュッと引き締まったニュアンス。焼いたゴム、イチジクやプルーンの様な果実味、トマト。酵母的なトースト香、落ち葉などのニュアンス。
燻製肉の様な旨味があり、ほのかにミルクの様な風味。
徐々に上白糖の香りが感じられる。
タンニンは比較的強く、酸味も際立っている。
藁やイチジク、血液の様な余韻がある。レアな牛肉と合いそう。



【所感】
前者はムールヴェードル主体、後者はグルナッシュ主体です。
共に南仏を象徴する品種、しかも貴重な熟成バンドールとラストーです。
まずバンドールから。これが南仏品種としては非常に品のある熟成をしている。方向性としては北部ローヌのかなり熟成が進んだタイプによく似ています。
ピノノワール系のキノコや腐葉土を想起させるタイプですね。
繊細で複雑な熟成香があるんですが、骨子は南仏的というか、黒系果実の砂糖漬けを思わせる果実味がはっきりと感じられる。
出汁や生肉など野性的なニュアンスもあります。液体的には淡い感じがしますが、果実味がちゃんとあり、極めて品良く熟成している様な気がします。美味いです。

次はラストー。
1998とかなり熟成していますが、液体はかなり元気です。
アルコール感はしっかりとあり、ダイナミックな果実味があります。濃くて厚いタッチ。いかにもローヌを感じさせる作りとなっている。若々しい香りの上に熟成香か乗っている感じ。
故に樽香や抽出のニュアンスもはっきりとあり、かつ野性的なニュアンスも現れ始めているといった感じ。
そんなに高いワインではないのですか、なかなか熟成ポテンシャルが高いですね。
血の風味が結構あるので、牛肉のタルタルとかと好相性って感じ。








【アルザス】マルクテンペの作る特級マンブールの貴腐

こんにちは、HKOです。
周りの環境がかなり変わりまして、なかなか更新できておりませんでした。
申し訳ありません。
今回はマルクテンペのグランノーブルをご馳走になったのでレポートします。


【データ】
マルク テンペはアルザスにおけるスター生産者。
醸造専門学校を卒業後、大手メーカーの醸造に携わり INAOで11年務めた後、醸造コンサルタントに。グランクリュ制定責任者を務める。その後を1993年に愛妻アンヌ・マリーと共にドメーヌ・マルクテンペを設立。1996年からビオディナミ農法に転向。2002年よりミネルヴォワでのワイン造りを開始。
今回のゲヴュルツトラミネール マンブール セレクション・グラン・ノーブル Sはアルザスの著名な特級畑であるマンブールの樹齢80年のゲヴェルツトラミネールを使った貴腐ワイン。
栽培はビオディナミ、土壌は石灰 礫岩 泥灰土。栽培面積は0.25ha、収量はわずか15hl/haです。
収穫は手摘みで、除梗・破砕なしで自生酵母で発酵。空気圧搾機にて5 ~ 6時間圧搾、フードル(大樽)で24 ~ 36時間発酵
木樽で36 ヶ月シュールリー熟成。瓶詰め時軽くフィルターのみ行う。



【テイスティングコメント】
生産者: マルク テンペ
銘柄: マンブール セレクシオン ゲヴェルツトラミネール セレクシオン ド グランノーブル S 1999

外観はやや茶色で、粘性は高い。
濃厚かつ甘露さと強烈な旨味が感じられる。ソーテルヌと比べるとより旨味と酸味が強く、りんご、ネクタリン、黄桃の様な果実味が感じられる。重々しい凝縮感こそないが、ハチミツ、ドライフルーツなどの濃密な風味を感じられる。
またハーブやライチの要素などの爽やかな香りも包含する。
熟成による塩気も帯びている。
ややアルコールの揮発香がやや強めに感じられる。アルコール度数自体は低いくらいなのだが。
全体的には上品かつトロピカルな印象を受ける。
酸は引き締まっていて、甘みは優しくスムーズ。やや熟成感のあるソースと塩気が感じられる。



【所感】
マンブールといえばマルセル ダイス!と思っていたのですが、マルク テンペも作っていたのですね....知らなかった...
アルザスのテロワールは殆ど分からないので、いややっぱりマンブールはこんな感じだよな!とは言えないのですが、出来はとても良いです。1999年とよく熟成もしているし、甘みと旨みのバランスがとても素晴らしい。
もちろん強い糖度がある為スティルのようには飲めませんが、十分な酸味があり、爽やかに頂くことができます。
熟成のバランスも良く、これくらいの熟成も丁度良いかと思います。美味いですね。



【ボルドー】ラグランジュがオーメドックで作る秀逸なデイリーライン

こんにちは、HKOです。
本日はラグランジュの作るオーメドックでございます。


【データ】
ラグランジュはメドック格付け三級シャトー。
現在の所有者はサントリー。
1960年代~1970年代までは非常に品質が悪買ったが、1983年にサントリーが買収し、並外れた投資と改良を施し、マルセルデュカスと鈴田健二氏の手によって急激に品質を向上させた。
畑の作付面積は117ha。
2つのなだらかな丘陵が広がる沖積層の砂礫質土壌で、表土は珪土・砂利質、その下は粘土・石灰岩質の土壌です。
1haあたり7,500から8,500株という植樹密度。メドック仕立て。畑は105区画に区分され、区画毎に成熟度を管理。手摘みで収穫、選果台で選果が行われています。
平均年間生産量は30万本、平均樹齢は25年、平均収量は58hl/ha。28℃の発酵と3週間のマセレーションは温度管理されたステンレスタンクで。熟成は新樽60%で20ヶ月。清澄も濾過も行う。
今回のオーメドックはシャトー ラグランジュがつくりあげた新しいブランド。オー・メドック地区に新たに購入した畑でつくったぶどうを使っています。


【テイスティングコメント】
生産者: シャトーラグランジュ
銘柄: ル オー メドック ド ラグランジュ 2013

外観は若々しい澄んだガーネットで粘性は中庸。
軽いタッチのワインで、濃い樽香やMLFをかけた、あるいは強い果実の風味がある訳ではない、バランスのとれた軽妙なワイン。ベイシュヴェルと通じるようなスタイルにも見える。
切りたての木材や、ダークチェリーやカシスの果実味、ほのかなミルクポーションの風味が調和している。少し甘草やゴムの香りを帯びている。青い要素は結構顕著に感じられる。ピーマンというよりユーカリ。鉄分など。
酸はしっかりとあり、さりとて口当たりもスムーズ。
デイリー感は否めないが、非常にしっかりと作られたワイン。


【所感】
シャトーラグランジュのデイリー的な立ち位置のワイン。
セカンドはフィエフがあるので、その下ですね。
価格としては3800円とやや高級ではあると思います。ジスクールやブラネール デュクリュ他、様々なシャトーがオーメドック産のぶどうで低価格レンジを作っていますが、まさにそのクラスのワインですね。
だいたいどのシャトーも手堅く作っていて、そのシャトーのエスプリを感じられる様になっているのですが、こちらもそんな感じ。
ラグランジュのファーストラベルと比べると、やや薄め。目が詰まった様な感じではないのですが、樽やMLFはボルドーらしく品のある感じだし、2013年のワインとしては全く悪くない作りだな、と感じました。
2013年は他のシャトーのものもいくつか試しましたが、割と(ファーストラベルですら)ズタズタだったので、品質重視なのは十分にわかります。
なかなか高いので、日常的には...という感じですが、例えばフレンチレストランのバイザグラスでは使いやすい価格帯と品質なんじゃないかなーと思います。





【シャンパーニュ】ドンペリニヨン 50年の軌跡(その軌跡)




こんにちは、HKOです。
最後にまとめです。色々な観点から着目してみたので、ぜひご覧ください。



【目次】
(1) 印象の要約
(2) ドンペリニヨン1955~2005の各主要素における変化
(3) 1995 Late disgorgementの影響
(4) 1966年ドンペリニヨンとモエ エ シャンドンの比較
(5) ヴィンテージについて
(6) グラス内の変化について
(7) ペアリングについて
(8)総評



(1) 印象の要約
・2005

樽香(モカ)>ナッツ(オイル)>MLF(バター)=果実味(洋梨のコンポート)
リッチな質感。ただし酸は少し緩め。ニューワールド的な側面がある。


・1995

MLF+樽香+果実味(クリームブリュレ)>塩気>濡れた木材>酵母÷樽香(トースト)
酸と旨味が合わさり、厚みが出始める。


・1995 エノテーク

MLF(チーズ)=塩気+酵母(ナッツ)=果実味(柑橘)>樽香(モカ)>ドライハーブ
バランス感的には2005に近く、かつ非常に還元的。
酸や泡も強め。


・1995

MLF+樽香+果実味(クリームブリュレ)>塩気>樽香(濡れた木材)>酵母÷樽香(トースト)
酸と旨味が合わさり、厚みが出始める。


・1985

MLF+樽香+果実味(クリームブリュレ、カラメルトフィー)=塩気・旨味> 酵母+果実味+MLF(ブリオッシュ)>樽香(濡れた木材)>果実味(フルーツのコンポート)
旨味が突出し、各要素の統合もかなり強くなっている。


・ロゼ 1985

MLF(ミルク)+樽香(コーヒー)>樽香(濡れた木材)>果実味(フルーツのコンポート)>果皮(紅茶、獣香)>甘草
骨格は1985だが、果皮の熟成要素に起因するニュアンスが混ざり合う。泡や酸はシルキー。


・1975

樽香(濡れた木、茶葉)>塩気・旨味(シェリー) =MLF+樽香+果実味(クリームブリュレ、カラメルトフィー)>果実味(白桃)
やや枯れたタッチ。ピークアウトし枯れたニュアンスと酸化的な要素が前に出始める。果実味はわずかに残る。


・1966

ヴィンテージが良かったのか、とても良好。
MLF+樽香+果実味+塩気・旨味(マディラ・ラムレーズン・バニラ)>塩気・旨味(シェリー)>樽香(濡れた木、茶葉)>果実味(アプリコット)
酸化的な要素は強いが、バランス的に果実味やMLFが同じくらい強いので枯れきった感じはない。余韻も長く良好。


・1955

樽香(鉄分+枯葉+焼き栗の皮)+酸化ニュアンス(ドライシェリー)+MLF(カマンベール)+果実味(ドライアプリコット)
一体化し複雑さという意味では減退しているし、酸化的な要素も極めて比重が大きい。ボディと立体感があるが、構成要素としては比較的シンプルになっている。


・1966 モエ エ シャンドン

酸化ニュアンス(コンソメ・羊肉・蜜蝋・鉄)>果実味(ドライアプリコット)>樽香(ココア)
酸化の要素が極めて支配的。ただ酸化要素がドンペリニヨンと全く異なる方向性となっている。



(2) ドンペリニヨン1955~2005の各主要素における変化
1:樽香の変化
樽香は比較的最後まで残るが変化がある。
モカやコーヒーから濡れた木、そして枯葉、焼き栗の皮。
進めば進むほど木材というか焦げた要素が主体的に感じられてくる。若い時も焦げを想起させるがどちらかというとロースト的。熟成後は炭に近い。焦げ(2005年~1985年)から木材(1985年~1975年)木材を残しながら炭のようなニュアンス(1975年~1955年)へ変化。


2:マロラクティック発酵によって精製された乳酸の変化
MLFは樽香ほど残らないが様々な要素と紐付きヴィンテージごとに違った側面を見せる。
2005年は単一のバターの要素として、95年、85年、75年は樽香と果実のニュアンスと紐付きクリームブリュレへ(ピークは85年)、85年は酵母と共にブリオッシュの要素も。66年は旨味とも紐付きマデイラやラムレーズンアイスクリームなどに。55年は酸化ニュアンスが主体的となり、ほぼ乳酸的な要素は感じられなくなった。


3:酸化ニュアンスの変化
酸化ニュアンスは経年毎に右肩上がり。
2005年にもわずかに感じられるが、1995年になると一気に旨味が増してくる。各10年毎の比較においても2005年から1995年の差分が参加の側面では最も大きい。
1985年は95年は2005年との差分と比べると旨味においては微増。75年はそもそも弱いからか、一気にシェリー的に。他の要素が弱いので特別強く感じる。66年はシェリー的な要素が強いが、他の要素も生きているので主体的とは言えない。55年はほぼ酸化ニュアンスに占められている。スープに近い。


4:果実味の変化
MLFと同様に様々な要素と影響しあってヴィンテージ毎に大きく変化している。
比較的フレッシュな果実本来の要素を残しているのは2005年と1995年エノテーク。そこからは甘露な香りを残しながらクリームブリュレに変化する(1995年~1975年)。旨味が主体的になるとその要素とも合わさる。(1966年)、1955はMLFが消えた影響でドライアプリコットを思わせるニュアンスとなっている。

様々な要素が有機的に変化しながらマージされておりヴィンテージ毎に一筋縄とはいかない変化を起こしている。
全ての要素が適度に残った上で一体化しているのがピークとするのであれば1985年だが、どの程度が適度かは人によって異なる為、ピークの定義は難しい。
旨味を中心とする場合1955だと思うが、若いニュアンスが好きなのであれば1995エノテークだろう。



(3) 1995 Late disgorgementの影響
端的に酸化の変化が限りなく抑えられています。
1995年とは思えないほど還元的で若々しい。
素の1995より2005年に近い。酸化の影響こそ少ないが熟成の影響はないわけではなく、果実味は引っ込み、酵母のニュアンスが支配的。旨味は95ほどではないにせよ、感じられるようにはなっている。徐々に甘露さが出てくるあたり還元状態だったのであろうが。
通常のドンペリニヨンとは全く異なる熟成の方向性の味わいになりそうだ。


(4) 1966年ドンペリニヨンとモエ エ シャンドンの比較
全く異なるシャンパーニュである事がわかる。
特に出来が良かったと思しき1966年同士の比較においては顕著で、モエ エ シャンドンはほぼ熟成起因のスパイシーさとコンソメを思わせるスープ感、ドライシェリー、樽の要素となるが(ただ決して薄くはない)、ドンペリニヨンは甘露さを軸に置きながら、樽やMLF、果実味などの各要素の結合が非常に素晴らしい。酸化しきっている前者と比べると、こちらは酸化しつつも、そもそもの要素が強固だから、ほぼ要素が生き残っている感じ。
モエ エ シャンドン 1966はどちらかといえばドンペリニヨンの1955年と近いか。


(5) ヴィンテージについて
ヴィンテージ毎の特性は下記の通り。
2005普 ドンペリニョン
1995良 ドンペリニョン
1985良 ドンペリニョン
1975良 ドンペリニョン
1966偉 ドンペリニョン
1955良 ドンペリニョン
1995良 ドンペリニョン エノテーク(現P2)
1985良 ドンペリニョン ヴィンテージ ロゼ
1966偉 モエシャンドン ブリュット(ハーフ)

今回良いと思った順序としては下記のような感じ。1985>1966>1995>1955>1995RD>2005
1985や1995は時期的に全ての要素がバランス良く整ったタイミングだと思うので、作柄というよりタイミングだと思うのですが、明らかに1966は異質でした。
熟成で枯れかけた1975と、熟成を終えてスープ苦手なっている1955の間で、変な話、若々しさがあり、ワインとしての形をしっかりと保っている。
1966が1975からの変化だと考えると、果実味とかが若々しすぎるんですよね。おそらく想定の1966と実情の1966の差分が作柄によって差分が出るものだと感じました。
ちなみに2005年はどうかというと平準的で、熟成の進み方はやや早いような気がするのですが、これもタイミングでかなり美味しく頂けました。
ただ後述しますがグラス内での足の速さは最も早かったようにも思えました。


(6) グラス内の変化について
熟成を進めば進むほどグラス内での変化は落ち着いているようにも見えます。
特に変化が大きかったのは2005と1995エノテーク。
2005は最初からかなり美味しく仕上がっていましたが、グラス内で時間を経過する度に果実味や香りが希薄になっていきました。逆に1995年は時間経過と共にそのポテンシャルが発揮、果実味も複雑さも経過によって生まれています。
恐らく2005は抜栓直後から適切な状態にあり、デコルジュをせず長期熟成をしている1995RDは、酸素不足で還元状態にあった為、適切な状態に戻るまで時間がかかったのでしょうか。
1985以前は基本的にはしばらく変わりません。1985には変化はありますが1995や2005ほどではない印象です。
熟成がゆっくりと酸化することによって変化するのであれば、酸化が進んでいるものの変化が少ないのは納得できます。ゼロではないんでしょうが、少なくとも遅いのではないかと。


(7) ペアリングについて
ちなみにペアリングも素晴らしく、メインどころだけで言うと、オマール海老とは塩気が程よく現れた95と絶妙に合致し、タルタルは牛肉の血とほのかな獣の風味と合致して、85ロゼが合いました。鱸に関してはバター風味が残る2005、1995エノテークなど比較的若いヴィンテージが合致し、お椀については出汁の風合いを思わせる1955あるいは1966と見事にペアリングしています。
これは磯の風味とシェリー系の風味との王道カップリングですね。
デセールは対象外だと思いますが、恐らく(既に空でしたが)2005年あたりと上手くあったんじゃないかと思います。
前菜も沢山あったのですが、ラングスティーヌと95エノテークのやや柑橘の効いたニュアンスがよく合っていたと思います。


(8)総評
あまり書くこともないんですが、以上となります。
個人的な主観で言うと完全に1966と1985が素晴らしかったですね。RDは少し時間がかかりそう、ポテンシャルはあるのですが。
今回長い期間の垂直でドンペリニヨンという偉大なワインを検証できたのは非常に良い経験になりました。
例えば直近の3ヴィンテージなどは結構機会がありましたが、作柄ごとの違いは分かれど、熟成の推移は分かりませんし、水平であればこれも結構機会がありましたけども、土壌の違いは分かれど、これまた熟成の推移がわかりません。
そういう意味で、1回でこれだけ経験はなかなかできないのではないかと。
大変勉強になりました。シャンパーニュの一つの基準・定点として体系化できたような気がします。
多分ね。


◾︎00年代




◾︎90年代




◾︎90年代 エノテーク




◾︎80年代
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ドン・ペリニヨン ヴィンテージ[1985]
価格:54000円(税込、送料別) (2017/9/12時点)





◾︎80年代ロゼ




◾︎70年代
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

[1973] ドン・ペリニヨン ドン・ペリニョン
価格:95040円(税込、送料無料) (2017/9/12時点)





◾︎60年代




◾︎50年代
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

[1955] ドン・ペリニヨン【ドンペリニヨン】 ヴィンテージ
価格:213840円(税込、送料無料) (2017/9/12時点)


プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR