【アルザス・ロワール:15】トリンパック テイスティング(リースリング)


こんにちは、HKOです。
本日は昨日に引き続きトリンバック。
今回はその本懐とも言えるリースリングです。



【データ】
トリンバックは1626年にジャン トリンバックが興したドメーヌ。アルザスで有数の規模を誇る老舗ワイナリー。
現在は12代目となるピエールとジャンが指揮を取っています。フラッグシップはクロ サン テューヌ。
リースリングはトップキュヴェにフレデリックエミール、ガイスベルク、そしてクロサンテューヌ。ゲヴェルツトラミネールはセニョール ド リボビエールがあります。
フレデリック エミールは粘土石灰質の特級ガイスベルグ40%と特級オステルベルグ60%の混醸。
グランクリュ ガイスベルクはその名の通り特級ガイスベルクの単一畑(2.66ha)。
そしてクロ サン テューヌは特級ロザケール最良の区画(1.67ha)の単一所有畑を使用しています。年間生産本数はわずか8000本。
セニョール ド リボビエールは標高250~300mの自社畑100%のゲヴュルツトラミネールを使用。
グランノーブルは良年にのみ作られる(40年に10回!)この中唯一の甘口ワイン。貴腐粒寄り。
特に今回のクロ サン テューヌは世界最高のリースリングとも言われています。
平均樹齢は50年。標高260~330mに位置する南東向き斜面の小石の多い石灰岩土壌から産出され、平均収量は50hl/ha。空気圧によりソフトに圧搾、ステンレスタンク内で2~3週間発酵(MLFはしない)した後早期に瓶詰めをして5年間、瓶内熟成を行った後出荷します。
基本的にどのキュヴェもマロラクティック発酵は行なっていない。


【テイスティングコメント】
生産者: トリンバック
銘柄: リースリング キュヴェ フレデリック エミール 2007

外観は淡いイエローで粘性は中庸。
石灰の様なミネラルとペトロール香が主体。ガイスベルクの規模感を一回り小さくしたキュヴェ。
果実味はシトラスやネクタリンを思わせる清涼感があり、ほのかにチーズやバターの様な風味を感じさせる。
白い花、ヨード香やドライハーブのようなニュアンス。
この中では控えめだが、ミネラル感は十分に強靭。
酸はソリッドで柑橘やバターのニュアンスを思わせる余韻がある。
引き締まった風合いで、余韻に旨味が溢れる。
ペトロール感を感じる含み香。



生産者: トリンバック
銘柄: リースリング グランクリュ ガイスベルク 2009

外観は淡いイエローで粘性は中庸。
クロ サン テューヌに近いが、バランス的にはミネラルの方が強め。 チョーキーの様なミネラル主体で、非常に硬質。フレデリックエミールのミネラル感の強さをそのまま大きくしたような印象。ペトロール香がかなり目立っている。
その中に杏子やネクタリンの厚みのある果実味と強い塩気がある。
ほのかにカマンベールチーズを思わせる香りとイーストの香りが伴う。徐々に甘い蜜のような甘露さが現れてくる。
白い花やドライハーブ、ハチミツのようなニュアンスも感じられる。
こちらも酸はソリッドで、レモンの様な鋭さがある。
その中に熟したみかんの様な甘露な香りやペトロールの香り、バターが鼻を抜けて行く。余韻は長い。


生産者: トリンバック
銘柄: クロ サン テューヌ リースリング 2011

外観は淡いイエローで粘性は中庸。
最も厚みがあり、果実起因のボリューム感とガイスベルク並みのソリッドなミネラルを感じさせる。
強靭なミネラル感と供に厚みと塩気を感じる厚みのある果実味、双方がバランスよく備わっている。
ドライアプリコットやスモモの様な旨味に満ちた果実味とペトロール香、石灰の様な強靭なミネラルが主体となる。
そこにトースティーなイースト香、徐々に果実味がアプリコットジャムのように遷移する。白い花、ドライハーブ、濃密なハチミツのニュアンス。凝縮感だけでなく、厚さが比類ない。
酸は力強く厚みがある。オレンジや杏子的な酸味の現れ方で、レモンの様なシャープさは希薄。濃厚でフルーティー。2007年と比べると硬質感は控えめで心地よいオレンジやアプリコットの余韻が残る。



【所感】
今回はトリンパック、その本懐と言うべきリースリングです。ゲヴェルツは良く出来ていながらも、どこか過不足があったのですが、リースリングはどうかというと...
流石です、ほぼほぼドライリースリングの最高峰を行っているといいくらいには素晴らしい。
今回はフレデリックエミール、そして特級ガイスベルク、
特級ロケザールの最上区画クロ サン テューヌです。
全体感で言うと、フレデリックエミール、そしてガイスベルクはミネラル感に偏った印象があり、クロ サン テューヌはガイスベルク同等クラスのミネラルがありつつも果実味の厚さも備わっている印象です。
フレデリックエミールは強靭なミネラル感と共に柑橘の酸味を感じさせるシャープな果実味、ガイスベルクはフレデリックエミールを一回り強固にした堅牢なミネラル感、そして厚みを感じさせるネクタリンの様な果実味があります。
フレデリックエミールとガイスベルクの関係性は相互に互換していて、ガイスベルクが全体的に一回り規模感が大きい作りになっています。
この2本はかなりミネラルに寄った作りの印象で、ペトロール香も前面に感じられます。
そこから多少バランス感が異なっているのがクロ サン テューヌ。過去に飲んだ時はミネラルの堅牢な際立ちに気圧されましたが、この中では意外とバランスの取れたタイプに仕上がっている様に見えました。

まあ、ミネラルは相変わらずすごいんですけど。

塩気と酵母、樽、そして核種系の厚みのある果実味を包含しています。そこに甘露な香りが混ざってくる感じですね。
凝縮感と厚みのあるリースリングになっています。
シャープというかソリッドですね。

全体感でいうとそんな感じですね。
個別に言うとフレデリックエミールはやや果実味が冷涼。
柑橘の様な風合いとミネラル、ペトロール香が主体的です。
そこにハーブの香りが感じられます。
この中では最も普通のレンジに近いものですが、とはいえゴールドラベル。一般的なキュヴェと比べると上位ワインの風格は感じられます。
ガイスベルク。
基本的にはフレデリックエミールの上位互換で、ミネラルの強固さ、果実味の厚さが増しています。甘露さも感じます。
トリンパックはMLFをしていませんが、ほのかに乳酸発酵を帯びた様なチーズやバターの様な風合いを感じるのが不思議ですね。意図的に仕込んだと言うよりは自然にそうなった可能性はあるかもしれません。酸は幾分か厚みがありますが、ややこちらも立っている印象。
最後クロ サン テューヌ。
ミネラルの堅牢さ、ソリッドさ、ペトロール香を維持したまま、核種系の分厚い果実味を感じました。
トーストやハチミツ、ハーブのニュアンスがあり、太い酸と力強いボディがあります。
この中でピーキーさを控えめにして完成度を上げた感じしますね。ただ2007年のミネラルに偏った作りを知っているだけに、偶発的なのかもしれない...とも思うのですがね。

いずれにせよ、3種とも極めて高いクオリティのリースリングになっていると思います。
個人的にはフレデリックエミールあたりでも十分楽しめるのですが、最上を求める方はやはりガイスベルクやクロ サン テューヌを是非お試し下さい。













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【アルザス・ロワール:14】トリンパック テイスティング(ゲヴェルツトラミネール)

本日はトリンパックのテイスティングです。
今回はそのポートフォリオのうちの5つを試します。
本日はゲヴェルツトラミネールを主体としたワイン2種類となります。



【データ】
トリンバックは1626年にジャン トリンバックが興したドメーヌ。アルザスで有数の規模を誇る老舗ワイナリー。
現在は12代目となるピエールとジャンが指揮を取っています。フラッグシップはクロ サン テューヌ。
リースリングはトップキュヴェにフレデリックエミール、ガイスベルク、そしてクロサンテューヌ。ゲヴェルツトラミネールはセニョール ド リボビエールがあります。
フレデリック エミールは粘土石灰質の特級ガイスベルグ40%と特級オステルベルグ60%の混醸。
グランクリュ ガイスベルクはその名の通り特級ガイスベルクの単一畑(2.66ha)。
そしてクロ サン テューヌは特級ロザケール最良の区画(1.67ha)の単一所有畑を使用しています。年間生産本数はわずか8000本。
セニョール ド リボビエールは標高250~300mの自社畑100%のゲヴュルツトラミネールを使用。
グランノーブルは良年にのみ作られる(40年に10回!)この中唯一の甘口ワイン。貴腐粒寄り。
特に今回のクロ サン テューヌは世界最高のリースリングとも言われています。
平均樹齢は50年。標高260~330mに位置する南東向き斜面の小石の多い石灰岩土壌から産出され、平均収量は50hl/ha。空気圧によりソフトに圧搾、ステンレスタンク内で2~3週間発酵(MLFはしない)した後早期に瓶詰めをして5年間、瓶内熟成を行った後出荷します。
基本的にどのキュヴェもマロラクティック発酵は行なっていない。


【テイスティングコメント】
生産者: トリンパック
銘柄: ゲヴェルツトラミネール セニョール ド リポビエール 2011

外観はやや濃いめのストローイエロー。
非常に明るい性質で、ライチやカリンの様なオリエンタルな果実味とレモングラスや白胡椒、カルダモンのようなスパイスの風味を強く感じさせる。ドライハーブ、白い花などの要素。一言で言うと甘露かつスパイシー。ミネラルの残滓的な小石感はあるがリースリングとは大きく差がある。
酸は控えめで、やや厚みがある体躯。ほのかに残糖が感じられる様な甘露さ。非常にスパイス感の豊かな余韻があり
、最後に少し苦味を感じさせる。


生産者: トリンパック
銘柄: ゲヴェルツトラミネール セレクシオン ド グラン ノーブル 2007

外観は濃いイエローで粘性は高い。
セニョール ド リボビエールからスパイス感を減らし、凝縮した果実味と濃密さを演出した貴腐。
シロップ漬けのライチやアプリコットの様な濃密な果実味が前面に現れており、カリンの様な爽やかな酸、黄桃など、フルーツの盛り合わせといった感じ。白い花やドライハーブ、レモングラスなどの要素も感じられるが、基本的には果実味が圧倒的な分量のバランスを占めている。ハチミツや藁、パンドミに見られるイーストの要素がある。
クリーンで焦がした樽などのニュアンスはない。
非常に甘口で、ねっとりとした残糖分がある。
酸はやや緩めながら、その分ボディは非常に豊かで、力強く。ヒリヒリする様な甘さがある。
ライチやシロップ、スパイスの様な余韻が感じられる。



【所感】
ゲヴェルツトラミネールはセニョール ド リボビエールとセレクション グランノーブル(貴腐)の2本です。
どちらもオリエンタルで甘露な香りを放つワインになっています。やっぱりゲヴェルツトラミネールはいいですね。キャッチーで、低価格レンジでも魅力が大変わかりやすい。
ただ今回は共に高価格レンジ。これらはどうかというと、やっぱりすごく良いのですが、品種特性の香りがとても強いので、低価格レンジとの違いはパッと感じにくいとは思います。貴腐は全く違うので、どちらかというとセニョール ド リボビエールの方ですが。
オリエンタルな果実味は強いですが、それだけではなく多分にスパイシーさやハーブの香りも包含しています。例えばカルダモン、レモングラス、白胡椒。
果実味も「爽やかな」というより、とろりとした厚みのある甘露さがかなり強く前に出ているとは思います。
MLF感はなく、クリーン。剥き出しのゲヴェルツを正当進化(複雑化、果実味の厚さを拡充する)する形となっています。
かなり良く出来ていますが、酸味が淡いので、多少くどさを感じてしまう部分も少しありますね。
次は貴腐のグランノーブル。
スパイシーな要素は減退し、より果実味と酵母香を強く前面に押し出した形に感じられました。
流石にかなり風格のある作りに仕上がっています。
ライチの様なオリエンタルスパイスの様な香りはしっかりと主軸として存在していながら、アプリコットの様な甘酸っぱさが感じられます。厚みはTBAやソーテルヌの上位ワイン相当。そこにイーストやレモングラスの様な香りが混じります。糖度はかなり高く重量感のある味わい。
酸味はやや緩く、余韻に苦味がある。
風格はありながら洗練さで前述のワインに劣るかもしれません。品質は高いですが、全体感で最上かと言われればそうではないですね。ただお値段も極端に高いわけではないので、十分に満足感はあるんじゃないかと。





【アルザス・ロワール:13】アルザスの熟成リースリングを利く

こんにちは、HKOです。
本日は温めまくっていたアルザスです。


【データ】
ヒューゲルは1639年にアルザス地方リクヴィール村に設立された、大手ワイナリー。現在は12代目にあたります。
アルザスの代名詞とも言えるワイナリーです。
ヒューゲルが保有する自社畑の殆どはグランクリュに分類され、契約農家からもブドウを購入しています。平均樹齢は35年。ヒューゲルのセラーは16世紀に中世リクヴィールの中心の地下にあり、100年以上の大きな木樽と共に、使用中の世界最古の樽である1715年産の有名なセント カトリーヌも所有。
今回のジュビリー リースリングとピノノワールは、1989年の創立350周年を記念して生産が始まったワイン。最良の年にのみ造られ、自社所有する最も古い畑のブドウのみ使用。
ジュビリー ピノノワールは1966年に植樹されたフロスティグ畑の斜面から作られるワイン。樹齢42年、収量は35 hl/ha
。ブルゴーニュクローンを使用。100%除梗。2週間漬け込み、約10ヶ月小樽で熟成、一部新樽を利用する。
ジュビリー リースリングは特級畑シュナンブールの中心部にある最良の区画より収穫されたブドウを使用。土壌は第四紀のシリカを含む砂利質層、中心部はコイパー、マール、ドロマイトとジプサム、そしてヴォージュ砂岩層とムッシェルカルク層。そして東端部はリアス式の泥石灰岩層から形成。樹齢は30年、収量は45 hl/ha。
重力によってプレスし、18℃から24℃で温度管理された樽や大樽で発酵。澱引きは一度だけ、低温での安定化は行なわず、冬の寒さで自然に清澄。翌年の春には、軽くろ過したワインを瓶詰めし、私たちのセラーにて市場へ出荷するまで瓶内熟成させます。


ドメーヌ アルベール マンは、17世紀にマン家とバルテルメ家が統合して設立されたワイナリー。現当主はモーリスとジャッキー・バルテルメ兄弟。品質へのこだわりから借金をしながらグランクリュの優れた畑を少しづつ買い足し、現在は総面積21ヘクタールを所有。アルザスでは比較的大規模ワイナリーとなりました。保有畑のグランクリュの割合が高く、シュロスベルグ、シュタインブルグラー、ペルシベルグ、フルシュテントゥム、ヘングストを所有。
ビオディナミを実践しテロワールと環境を尊重したワイン造りを行っています。木樽で発酵し、熟成はステンレス タンクで9ヶ月。年間生産量は7400本。平均収量は28.5hl/ha。


【テイスティングコメント】
生産者:アンリ エラール
銘柄: ゲヴェルツトラミネール レゼルヴ パルティキュリエール 2014
品種: ゲヴェルツトラミネール100%

外観はやや濃いめのイエローで粘性は高い。
ゲヴェルツの華やかな香りが前面に出たトロピカルでアロマティックなキュヴェ。
ライチとパッションフルーツの濃密で特徴的な果実味が主体的で時折アプリコットのような風味を感じさせる。存外ミネラル感はしっかりとあり火打石のような風味を感じさせる。クリーンな作りだが、ヨーグルトやフレッシュハーブ、蜂蜜のような風味が感じられる。ボディはしっかりとあり、球体的で粘性がある。
冷やして飲むとボディの厚さとフレッシュな果実味が際立ち非常に南国的な風合いを感じさせてくれる。


生産者: ヒューゲル
銘柄: ジュビリー ピノノワール 2008

外観は淡いルビー、粘性は低い。
熟成感はかなりでている様に見受けられるが、今ひとつ香りが迫ってこない落ち着いたピノノワール。
基本的には鉄や血液の香りが主体的で果実部分はあまり主張してこない。スミレなどの花の香り。
ほのかに感じられる果実味はレッドカラントなどのほのかな香り。そして青いハーブのニュアンス。枯葉や土、キノコ、比較的明瞭な獣香がある。
タンニンや酸はかなり落ち着いていて、もう少しでぴーくが過ぎそうなニュアンスを感じる。引っかかりはほとんどなく、過剰なシルキーさ。余韻にはスミレキャンディーやレッドカラントの様な余韻が残る。近々ピークアウトしそうな気配がある。


生産者: ヒューゲル
銘柄: ジュビリー リースリング 1985
品種: リースリング100%

外観はやや濃いめのイエローで粘性は中庸。
ペトロール香が落ち着き、バターや豊満なシロップに漬けたスポンジケーキの様な芳香がある。熟した洋梨な黄桃の果実味。イーストやヘーゼルナッツの様な芳香。
白カビの要素やほのかにシェリーの様な塩気を感じる芳香も混ざってくる。ドライハーブの様なニュアンス。
甘くふくよかな香りに塩気が混ざる絶妙なバランス。
酸味は柔らかく、旨味が非常に充実。
ほのかなペトロール香や温州みかんやスポンジケーキの豊満な風味が凝縮感とともに広がっていく。


生産者: アルベールマン
銘柄 フルシュテントゥム リースリング 1997
品種: リースリング100%

外観はやや濃いめのイエローで、粘性は高い。
リースリングらしいペトロール香を携えながら、しかしてその要素だけ浮くわけではなく、完全に果実味と結合している密度の高いリースリング。
火打石の様なミネラル感。
ペトロール香に随伴する黄桃、マンゴーのコンポートやハチミツの様な甘露な果実の香りが漂う。バターやフレッシュなグレープ、ドライハーブ。そして蜜蝋やリコリスなどの果実味が感じられる。ペトロールと蜜の様な香りが際立っている。
とろりとした強い粘性をアタックからも感じられ、アルコール感は控えめながらグリセリン感は突出。しなやかなペトロールと核種系果実のボリューム感のある余韻が感じられる。



【所感】
まずはアンリ エラール。
ゲヴェルツラミネールで外した事はそもそもあまりないんですが、これも例によってデイリーワインとして大変良いワインになっています。ちなみにこれはカルディで購入しました。ライチやパッションフルーツの様な南国果実の果実味を強く感じられるものです。ボディもしっかりとあり、典型的ながらも手の出しやすいワインだと思いました。

次はヒューゲルのジュビリー。
まずはリースリング。
素晴らしいリースリングだと思います。
アルザス リースリングの偉大なワインはミネラル感が堅牢ですが、ジュビリーは流石にいい感じに落ち着いています。
マロラクティック発酵起因のバターや熟したシロップ、黄桃などの果実味、白カビやシェリーの様な風合いも感じます。甘くふくよかな中に塩気を感じる作りです。
古酒ながら甘露さがあり、枯れていない。元がとても力強いワインであったのではないかと思います。
秀逸です。ほのかにペトロール香も品種特性も感じられるのがいいですね。素晴らしいと思います。
それに対しピノノワールは些か弱い体躯である印象を受けました。ヴィンテージは2008年と比較的若いながらもどこか弱く、香りが上がってこない。
熟成感もかなりあり、鉄や血液の香り、枯葉や土、キノコが主体的、ほのかに赤系の果実も感じられるが微弱。
なんとなく熟成前酸化的な気もしますが、あまり魅力のあるワインにはなっていませんね。近々ピークアウトしてしまいそうなアンバランスさを感じます。

次はアルベール マン。特級畑のフルシュテントゥムから作られるリースリング。
密度の高いリースリング。ミネラル感は充実、核種系コンポートや蜂蜜の様な甘露な果実の風味とペトロール香がよく馴染んでいる。とろりと粘性のある濃密な作りが20年近く熟成しても残っており、ボリューム感も豊か。秀逸なリースリングです。

しかしピノノワールはともかくとして、辛口にも関わらずリースリングの長期熟成は目を見張るものがありますね...
特にジュビリー リースリングは80年代にも関わらず、あの味わいは恐ろしい...

【ロワール:12】サンセールとシノンの程良く熟成した赤ワイン。

こんにちは、HKOです。
本日はロワールはトゥーレーヌ、セントル ニヴェルネの赤ワインです。


【データ】
ドメーヌ シャルル ジョゲは1840年に設立されたシノンを代表する老舗生産者。1960年代半ばからドメーヌ元詰めを始めています。当主はケヴィン フォンティーヌ。
36ha の所有畑からその区画と樹齢の違いにより5種類のシノンを生産。 畑はロワール河とヴィエンヌ川の間に広がるシリス土壌の段畑に10ha、ヴィエンヌ川の左岸に広がる沖積土の土壌に12ha、クロ デュ シェーヌ ヴェールに2ha所有しています。
栽培は2008年からビオロジック。平均樹齢は30年で、収量制限も厳密に行っています。
収穫から破砕までの時間を最短にするために、葡萄畑の真ん中に醸造所を置いています。
除梗後、低温浸漬。バリックとステンレスタンクを用いて発酵。MLFは行う。
フラッグシップはクロ ド シェーヌ ヴェール、そしてクロ ド ラ ディオトリの単一畑銘柄。

アルフォンス メロは19世紀初めからサンセールに拠点を置く老舗生産者。現在は18代目と19代目が引き継いでいる。
所有畑は丘の頂上の南西向き斜面に広がり、総面積は約50ha。ソーヴィニヨン ブランが41ha、ピノノワールが9ha、栽培されています。土壌はサンセールの南から南西向き。キメリジャン(石灰粘土質)の上部をサン・ドゥルシャールと呼ばれる泥灰層が覆う地質。
ラ ドゥモワゼルは樹齢52年の1.2haの南南東に向いた一区画のピノノワールからのみ造られます。



【テイスティングコメント】
生産者: シャルル ジョゲ
銘柄: シノン クロ デュ シェーヌ ヴェール 2008
品種: カベルネフラン100%

外観は深みのあるルビーで透明感は高い。
サンテミリオンの新樽の要素を差し引いた冷涼で青さの残るカベルネフラン。ただ青い要素がありながらも果実はしっかりと熟している印象。
ピーマンや茎の様な青臭さと共にダークチェリーやブラックベリーのコンポートの様な果実味が感じられる。トースト、なめし革やベーコンの要素が感じられる。八角のスパイシーな要素、濡れた枯葉、スミレの様な華やかな香りが折混じる。
酸味は柔らかく落ち着いており、タンニンもしなやか。
枯葉や鉄分、ドライフラワーの含み香がある。旨味がしっかりとある。


生産者: アルフォンス メロ
銘柄: サンセール ルージュ ラ ドゥモワゼル 2007
品種: ピノノワール100%

外観はやや透明度の高い深いルビー、粘性は中庸。
やや自然派的でオレンジの香り、そして茎の様なほのかな青さが前に出ている。若干果実味の香りは希薄で、クランベリーやブラックベリーの様な酸味を感じさせる果実の香りが主体的。若干MLFの要素もある。
炭焼きの様な風味、漢方、オリエンタルスパイス、マホガニーの要素。ベーコンの様な風味。
そして血液の様な要素も感じられます。ハーブ的な青さがあり、芍薬のような風味もある。
酸味と共に鉄のような風味と旨味があり、じんわりと広がるような青さと味わいが感じられる。収斂性もある。



【所感】
まずはシャルル ジョゲから。
非常に良い生産者だと思います。若くても美味しいし(以前飲んだ)古酒も大変良かった記憶があります。
この生産者、実は古酒を先に飲んでいて、若いヴィンテージはこれが初めてだったりします。
印象としては、新樽の要素が少ないきちんと熟したカベルネフランといった感じです。
樽の要素が少ないので、比較的強めに青い香りをかんじますが、未熟かというとそんな事なく、しっかりと熟した感じはあります。(いわゆる冷涼な地域における熟した...です)
香り自体は樽の要素はあまりないですが、なかなか複雑だと思います。液体密度は薄くなく、しなやかなタンニンがあり、平準的な体躯を維持しています。良いワインだと思います。

次にアルフォンス メロ。
少し香りが弱い様にも見えました。
ただ香りの質感としてはとても良くて、自然派のワインに稀に見られるオレンジの様な風味があり、茎の要素も前に出ています。
果実味はやや希薄で赤系ベリーの風味があり、そこにまろやかなミルクの様な風合いが乗ってくる感じです。
樽香はやや強めで、血液の様なニュアンスも感じられます。所感としては冷涼ですが、同時に未熟さも感じます。
冷涼でありながら、熟している。という感じではないですね。サンセールの生産者なので白が主体だと思いますが、個人的な好みからは逸れています。酸味は当然豊かで、タンニンは柔らかいです。
酸っぱいワインなので、もう少し熟度が欲しいところですねえ。

シャルル ジョゲはやはりよかったですね。
美味しいカベルネフランだと思います。ただやはりクロ ルジャールの卓抜したサヴィニエールを知っていると物足りなさを感じざるを得ません。
ロワールの赤はやはり層が薄いのだろうか。
ガメイは全体的に美味しいとは思うんですけどね。


【ロワール: 12】ソーミュール最上の生産者、クロ ルジャール2010水平テイスティング Part.2

こんにちは、HKOです。
本日は先日に引き続きクロ ルジャールのソーミュールをレポートします。
本日は上位キュヴェのポワイユー、そしてフラッグシップのル ブールです。

【データ】
クロ ルジャールは1664年に設立された世界最高峰のカベルネフランを作り出すソーミュールシャンピニーの生産者。現在はシャルリー フコー、ナディ フコーが指揮を取っています。
樹齢は40年~45年。栽培はビオディナミで行われており、収量は春の芽掻きや冬場の摘芽により最大限にまで抑えられています。(なんと30hl/ha。低収量主流のローヌに劣らない低収量!)、そして収穫は手摘みのみ。
最もベーシックなソーミュール シャンピニー「ル クロ」は平均収量は40hl/ha、樹齢30年~40年の複数区画のブドウから生産されます。自然酵母にてステンレス及びセメント槽にて発酵、熟成はポワイユーで使用した2年樽にて約2年行います。発酵・熟成中は亜硫酸の添加をせず、ノンフィルタにて瓶詰め。
単一区画「レ ポワイユー」は南向き斜面の上部に位置し、風通しが良く温暖な気候となっています。平均収量は35hl/haで、樹齢40年~45年。
選果された葡萄は100%除梗、選果台で更に選果を行います。発酵は主にステンレスタンク、もしくはセメント槽で行われ、自然酵母で発酵。30日程度の長いマセラシオンの後、新樽とシャトーラトゥール使用の1年樽で36ヶ月の熟成が行われます。
そして単一区画「ル ブール」はクロ ルジャールのフラッグシップにあたります。
平均収量は20hl/ha。樹齢75年~80年、自然酵母にて木樽で発酵、木樽は新樽を2割から3割使用し、残りは1年及び2年樽を使用。発酵で使用した樽をそのまま用い約2年5ヶ月熟成。発酵・熟成中は亜硫酸の添加をせず、ノンフィルタにて瓶詰めされます。
最後はシュナンブラン100%の白ワインである「ブレゼ」。
畑は南向きの斜面に広がり、日照に優れ石灰質が強く通気性の優れた粘土に火打ち石が混ざる土壌。
収穫量は40hl/haで、樹齢40~50年のシュナン ブランを使用。自然酵母にて木樽で発酵、木樽は新樽を2割から3割使用し、残りは1年及び2年樽を使用。熟成は発酵で使用した樽をそのまま用い約2年行います。発酵・熟成中は亜硫酸の添加をせず、ノンフィルタにて瓶詰めされます。



【データ】
生産者: クロ ルジャール
銘柄: ソーミュール シャンピニー レ ポワイヨー 2010

外観は澄んだ淡いガーネット、粘性は中庸。
ピーマンの様なグリニッシュさがかなり控えめとなり、より熟した黒い果実とミルクティーの様な印象が前に出ている。熟したブラックベリーやダークチェリーのシロップの様な要素はより凝縮度と純度を増し、ミルクティーやバニラの様な風味が重なり合っている。その中にグリニッシュな要素がミルクティーと綺麗に調和している。シナモンや甘草、燻製肉の様な要素、ほのかに華やかなスミレや濡れた土、西洋杉や枯葉の様な要素が感じられる。凝縮感もあるが、広がりのある甘露な果実の風味が感じられます。
タンニンと酸のバランスは良いが、酸はやはり強め。
で、ありながら、滑らかな舌触り、かつ液体の密度が詰まっており、しっかりとした骨格がある。ダークチェリーやミルクティーの余韻が残る。


生産者: クロ ルジャール
銘柄: ソーミュール シャンピニー ル ブール 2010

外観は透明度の高い濃いガーネット、粘性は高い。
圧倒的なカベルネフラン。ポワイヨーとは少し格が違う。
ブランデーの様なキャラメリゼされた樽香と共に、より黒土の様な堅牢さとスミレの様な果皮の香り、熟したブラックベリーやダークチェリーリキュールの黒系果実の凝縮感が前に出ていて、ハッキリとした輪郭が感じられる。その中にピーマンや甘草のグリニッシュさが複雑さとして存在していると言った感じ。
溶剤や甘草、クローヴ、ユーカリなどのごく僅かな青さ、そして西洋杉の様な要素。燻製肉や鉄釘、ドライハーブなどの要素が感じられる。
タンニンと酸はバランスが良く、どちらもパワフル。
合わせて骨格がしっかりとしており、かなり立体感のある体躯になっている。ポワイヨーと比べるとややパワフルなので、引っ掛かりがあるが、凝縮感が強く、ブラックベリーやチョコ、グリニッシュな余韻が感じられる。


【所感】
さて、上位キュヴェです。
まずはポワイヨー、相変わらず素晴らしいカベルネフランです。完全にサンテミリオンとは異なる方向性でありながら繊細なエレガンスと果実のボリューム感より凝縮度が押し出された味わいと香り。その中で更にキャッチーな甘露さとマロラクティック発酵のしなやかなニュアンスが感じ取れます。痩身でありながら、筋肉質さをそこかしこから感じ取れる作りですね。
ピーマンの様なフランらしさはあるものの、かなり控えめになっており、シナモンや甘草などのスパイシーな要素、枯葉などの要素と見事に調和している。
ル クロも調和の取れたワインでしたが、こちらも各々の要素の比重こそ異なるものの、驚異的なバランスで凝縮感や複雑さを演出しています。
ボディの質感的にはやはりボルドーというよりブルゴーニュに似て酸を綺麗に演出していると思います。
クロ ルジャールの中で相対的に見ると、広がりのあるしなやかさが印象的なキュヴェだと思います。

次にル ブール。
これは凄いカベルネフランです。でもこちらもサンテミリオンとはやっぱり質感が違いますね。
ボリューム感というより冷涼さから生まれる凝縮感やピュアさを強く感じます。この中だと最も引き締まって高度な集中力のあるワインです。
質感的にはエマニュエル ルジェのクロ パラントゥなどの最上のブルゴーニュに似た集中力が感じられます。勿論カベルネフランなんで、香りや味わいは全く異なりますが、醸造的な要素と果実の凝縮度とのバランス感がとても似ています。新世界とは全く異なりますが、球体感があります。
そんな果実の凝縮感と共に、新樽のブランデーやビターチョコレートの様な風味も表出していて、堅牢さや凝縮感、複雑さがポワイユーと比べても一段高い位置に居ます。
古木+収量が20hl/haという事からも、その凝縮感の強さが伝わるんじゃないでしょうか...。ていうか収量とか古木の良さが凄く伝わってきますね。
液体や質感はブルゴーニュなのに香りはカベルネフランの不思議さ、しかしてサンテミリオンとは全く異なるカベルネフランの頂きに存在しているワインだと感じました。
今回テイスティンググラスで飲みましたが、これ、ブルゴーニュグラスで飲んだら凄いんじゃないかな...。

そんな感じです。
やっぱりブールが圧倒的ですね、ポワイユーも素晴らしいのですが、ブールの素晴らしさから見ると少し散漫な感じを受けますし...
何れにせよ、ソーミュールシャンピニーに収まるレベルのワインじゃないな、と感じます。
ブールは見かけるタイミングもないかと思いますが、あったら即購入をお勧めします。



やっぱりブールとポワイユーはないなー
プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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