【ボルドー:39】サンテミリオン第一特別級A2本、パルメの伝統的かつ異質なワイン。

こんにちは、HKOです。
本日はボルドーのグランヴァン3種です。


【データ】
シャトーパルメはメドック第三級でありながら第一級に匹敵するスーパーセカンドとして扱われるシャトーのうちの一つ。
小塔のある個性的な建造物のあるシャトーだが、製法は伝統的。
主だった特徴としてメルローを多く使用している点とマセラシオンの期間が28日から30日間と非常に長い点が挙げられる。90年代後半からセカンドラベル(アルテレゴ)を導入し劇的な品質向上している。
栽培面積は52ha。平均樹齢35年程度の葡萄を、平均46hl/haの収量で栽培。除梗を行った後、破砕をし、アルコール発酵とマセラシオンはステンレス槽で28~30日間行われる。新樽45%で20~21ヶ月熟成後、無濾過で瓶詰めが行われる。
今回のヒストリカル19thセンチュリーは19世紀のボルドーワインが酒精強化の為にエルミタージュをアッセンブラージュしていた事からインスピレーションを受けて作ったもの。250ケース。コルナスからコートロティの北部ローヌのシラーを30%混醸。新樽40%で18ヶ月熟成。

シャトーパヴィはサンテミリオン最上位とされる第一特別級Aに位置するシャトー。所有者はジェラール&シャンタン・ペルス。サンテミリオン有数の大きな畑を保有。もともと人気があるシャトーではあったものの、前所有者の元で作られるワインそのものは必ずしも評価の高いものではなかったようで、1998年に所有者が変更になりセラーへの設備投資を増強して以来品質が劇的に向上した。
栽培面積は35ha、平均樹齢43年、平均収量は28~30hl/ha。発酵とマセレーションは温度管理された小型の開放型の木製タンクで4~週間。熟成は細かい澱に触れたままオークの新樽で18~22ヶ月。樽内マロラクティック発酵。、清澄も濾過もしない。年間10万本程度。

シャトーオーゾンヌはサンテミリオンにおいてシュヴァルブラン(現在はそれにパヴィとアンジェリュスが加わる)に並び最上位とされる第一特別級Aに位置するシャトー。現在はヴォーティエ家が所有しています。メドックの5大シャトー、ペトリュスやディケム、その他のサンテミリオン第一特別級Aと比較して最も生産量が少ないシャトーで、生産量は僅か2万本程度。 保有畑はラ ガフリエールとパヴィに隣接する平均樹齢50年程度の7ha(粘土と砂で構成)。収量は35hl/ha。低収量に抑え葡萄が完熟するまで待ち、すべて手摘みで収穫。畑と除梗後の2回選果。アルコール発酵は木製タンクで実施。ルモンタージュは軽めに行う。
マロラクティック発酵を行いながら、新樽比率100%で19ケ月から23ケ月熟成。無濾過で瓶詰めする。


【テイスティングコメント】
生産者: シャトーパルメ
銘柄: ヒストリカル 19th センチュリー 2013

外観は赤みの強いガーネット、粘性は強い。
極めて豊かな果実味があるが、樽香に紛れてシラー的な特徴は然程強くは感じない。(ねっとりとした上白糖のような果実味は確かにシラー的と言われればシラー的)
熟したブラックベリーやプルーンのような果実味、バニラやミルクポーションの様なまろやかさと果糖ヨーグルト、そして焦がした木材、メイプルシロップの様な樽香が調和している。甘く滑らかトースティな香りが主体的。
ほのかに薔薇やスミレの華やかさがあるが、あくまで果実味主体。血や鉄分、ユーカリやリコリスなどのハーブ香がある。青臭さはない。
やや酸に寄った味わいで、タンニンは滑らか。
フレッシュな黒系果実とメイプルシロップの様な余韻を感じさせる。やや線が細く、ミディアムなボディとなっている。


生産者、銘柄: シャトー パヴィ 2005

WA98pt
外観は黒に近いガーネット、粘性は高い。
やや酸化を帯びてソースの様な濃密な香りになっている。
ナツメグやデーツ、トマトソースの様な香りを主軸として、ブラックベリーのジャムの様な香りを感じさせる。
ミント、焦げた西洋杉、熟成肉の様な野生的な香り。
リコリスなどの要素がある。
タンニンは見るからに強そうだが、意外とこなれており、酸も柔らかい。収斂性は高く、ソースや熟成肉の様な余韻を感じさせる。重厚なワイン。


生産者、銘柄: シャトー オーゾンヌ 2008

WA98-100pt
外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
ほのかに熟成感が出始めており、濡れた木材の香りが出始めている。果実味も豊かだが、熟成感と均衡を取る様な繊細な状態となっている。
濡れた木材や杉の木の香り、枯葉の要素と共に、加糖のないジャムを思わせるブラックベリーやダークチェリーの様な果実味が感じられる。ピュアな果実味。リコリスやローリエなどのスパイス、ハーブの要素もしっかりと感じ取れる。それと共に燻製肉や生肉のような、少し野生的なニュアンス。徐々にミルクティーやバタートーストのような香りも現れる。青い葉やドライフラワー。ちょっとハーブ的な風味がある。
酸も強いがタンニンもやや刺々しい。
甘露なミルクやベリーの果皮の余韻が残る。さすがにオーゾンヌだけに余韻は長いが、こちらも熟成ならではの線の細さを感じる。


【所感】
まずはパルメのヒストリカル19thセンチュリー。
色物ですね、別地域のワインを混ぜているのでVdTになります。ただ流石はパルメ、非常に素晴らしいワインに仕上げています。基本的な方向性としては樽やMLFの要素が前に出るワインなので、ボルドー的と言えます。
もちろんシラーが混醸されている事で上白糖を思わせるボリューム感のある甘露さ、果実味はしっかりと出ていて、ボルドーにはあまり無いタイプだと思います。
そしてやはり興味深いのがそのエネルギッシュさですね。
2013年ボルドーは繊細なので、よりわかりやすいんですが、ボルドーのヴィンテージの弱さを北部ローヌのシラーのパワフルさが見事に補完している形となっています。
ともすれば、安定感は2013年ボルドーらしからぬものだと思います。
勿論70%はマルゴーなので、ボディそのものの線の細さや酸に寄った作りではあるのですが...グリニッシュさは希薄。酸はシラーではよく出るので、特に違和感はないと思います。ヴァン ド ペイの応用性の高さが非常に面白いですね。しかしボルドーとローヌって遠いのに大変ですね...
ぶどうで持ってくるってのも違和感あるし、やっぱバルクワインなんでしょうか。

お次はパヴィ。
サンテミリオンのグランクリュクラッセAで最も堅牢で強靭なタイプだと思っています。
残念ながらやや酸化気味のコンディションではありましたが、並外れた強靭さと果実味の凝縮感は十分に感じられました。故に非常に惜しい事をしたものだと。
凝縮感においてはボルドーの典型と言うよりはむしろカリフォルニアにも近いものになっており、参加前においては果実味の発露も相当なものであったと思います。
参加した事によりソースやジャムの要素が色濃く現れていますが、その香りの強靭さたるやボルドーではそうそうないものではないかと。
見るからにタニックそうですが、その実舌触りはシルキーで程よい熟成を感じさせる作りとなっていると思います。

最後はオーゾンヌ。
やはり繊細で複雑な要素がおり混じったワインである事がよくわかります。タイプとしてはオーブリオンやラフィットの様な方向性に近いです。香りや味わいがそうであるというよりは、重くなりすぎず、複雑さを強く感じさせる部分ですね。今回の2008年は果実味と熟成香の均衡が極めてよく取れている状態です。
枯れた木材や葉、ハーブやスパイスの複雑な要素に砂糖の含まれていないピュアな黒系果実、そして熟成肉のような旨味を感じさせるアミノ酸的な風合いを感じさせます。
ただ味わいはやや酸が前に出ており、タンニンもまだこなれていない状態。アルコール度数の高さで滑らかに感じさせるワインでもないですから、やや刺々しさを感じさせるものとなっています。オーゾンヌとしては最上級のヴィンテージに当たりますが、熟成の狭間ともいうべき微妙なラインに位置しているのかもしれません。
ただ香りから若かりし頃の素晴らしさが窺いしれるというものです。香りに若々しさが残るので、これからタンニンや酸がこなれた時にどう進化を遂げていくのか非常に楽しみです。

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【ボルドー: 38】ボルドー最高峰の白 水平テイスティング2013

こんにちは、HKOです。
本日はボルドー最上の白2013年水平です。


【データ】
ラ ミッション オー ブリオン ブランはラ ミッション オーブリオン所有のボルドー最上の辛口白ワインの一つ。1927年に、当時のシャトー ラ ミッション オーブリオンの所有者フレデリック ヴォルトナーによって設立された。追加購入したクロ ラヴェイユと含め1927~1930年はシャトー ラ ミッション オー ブリオン ブランとして販売を開始、1934年からはシャトー ラヴィル オー ブリオンとしてリリースされていましたが、2009年からは元のラ ミッション オー ブリオン ブランとして、高い評価を守り続けています。
土壌はラ ミッション オー ブリオンの畑よりも砂利が少なく、粘度が高い土壌。
平均年間生産量1万200本うち95%は輸出されている。
栽培面積はわずか3.7ha、かつ平均収量35hl/haというち低収量。平均樹齢は51年。
発酵と13~16ヶ月間の熟成はオーク新樽で実施。清澄も濾過もしない。

シャトー オーブリオンは5大シャトー唯一メドック以外から選定された第一級シャトー。拠点はグラーヴ地区ペサックレオニャン。現在はクラランス ディロンが指揮を執っている。一時期評価が低迷した時期があったが、1978年からネガティブセレクションをより厳格に行なうようになって以降、品質が回復し、今や第一級に恥じない品質を保持している。
今回は僅か2.7haから生み出される年間7800本の貴重な白。平均樹齢36年、収量は35hl/ha。
クリスチャンムエックス同様、房ごと切り取るグリーンハーヴェストを行ない収穫はすべて手作業で行なわれる。
温度調整をシステム的に行ないながらステンレスタンクでアルコール発酵を30℃で実施、新樽熟成期間は最大30ヶ月と瓶詰め時期が最も遅い。清澄は卵白を使用し、濾過はされない。
発酵は新樽で。その後澱に触れたまま新樽100%で16ヶ月熟成。濾過も清澄もしない。


【テイスティングコメント】
生産者、銘柄: ラ ミッション オーブリオン ブラン 2013
品種: セミヨン83%、ソーヴィニヨンブラン17%

外観は透明に近いストローイエロー、粘性は中庸。
セミヨンの影響でオーブリオンブランと比べるとやや重心が低めで、丸みやふくよかさが感じられる。
ソーヴィニヨンブランの熟したライムの様な柑橘の酸味、そしてセミヨンらしさが溢れる白桃の果実味や百合や白い花の香りが融合し、突出。非常にクリアな質感でありながらシロップや蜜を思わせる甘露さは極めて強い。そこにMLF的なパンケーキなどの要素も感じられる。ハーブ、青草のニュアンスは控えめ。ヘーゼルナッツ、キルシュ、白檀など。
時間経過と共に甘露さはより強くなっていき、シロップにスポンジケーキに漬けた様な甘露さが現れる。
アタックは非常に落ち着いていて、酸は極めて柔らかい。
旨味が突出しており、さながら強い出汁を飲んでいる様な感覚。旨味の広がり方が巧みで出汁から柑橘へ、甘みを伴いながらミルキーな余韻を残していく。


生産者、銘柄: シャトー オーブリオン ブラン 2013
品種: ソーヴィニヨンブラン54%、セミヨン46%

外観は透明に近いストローイエロー、粘性は中庸。
むせ返る様な香りの強さ。鋭角的で凝縮感が非常に高い。
明確で鮮明な輪郭と高い熟度を持ちながらもソーヴィニヨンブランとしての個性を非常に強く残している。
キュッとしたミネラル感。そしてシトラスやグレープフルーツをそのまま噛み締めた様な酸味と果実味、そして強いシロップや蜜、パンケーキを思わせる甘露さ、青草などの要素が大きく広がっていく。付帯して白い花や百合の様なニュアンスが柑橘とシロップのニュアンスに融合していく。ムスクや白檀、フレッシュハーブなどの香りが混じり合っていく。時間を追うとより凝縮感が明確になる。
甘さは収まっていき柑橘の強さがより高まる。ピュアさがある。
酸は強めでシャープ。ただトゲトゲしさはなく、グリセリン的な丸みがあり、ラ ミッションによく似た出汁や柑橘の余韻を残していく。しっとりと広がる凝縮感。


【所感】
ボルドーにおける最上の白の2本です。
並べて飲むと品種特性の違いが際立って感じます。
ラミッションの方が明らかにボリューム感がありリッチ。オーブリオンはソーヴィニヨンブランの特性が比較的強めに出ていてソリッドな柑橘系や青草の要素を強く感じます。両方とも相当タイプが異なり、それでいて最上たる風格を備えています。

ラ ミッション オーブリオン ブラン。
高域で煌びやかなオーブリオンと比較すると中域でリッチさと豊満さを表現するワインになってます。
タイプとしてはかなり違いますね。いかにもボルドー ブラン、その延長線上の最上級にあるワインだと感じます。
というのもやはりセミヨン比率が高い事に起因すると考えています。金木犀や百合の白い花の華やかさはいかにもセミヨン、果実のボリューム感が高いのもセミヨンって感じですね。
白桃やライムの様な果実味、濃密なシロップや蜜の要素、パンケーキなどのふくよかな甘みが主軸に感じられ、ハーブや青草のニュアンスは控えめです。酸は柔らかく、旨味が突出。その味わいの広がり方も巧みです。
ニューワールドの優れたシャルドネを思わせる質感があります。硬質なオーブリオンと比べると、比較的早くから楽しめるワインに仕上がっています。
しかしながら本懐は熟成にあると思いますので、やはり20年は置いて飲みたいワインではあります。
今飲むラヴィル オーブリオンの90年代は本当に至高と言っても良いクオリティだと思いますので、バックヴィンテージを購入する事をお勧めします。







次にオーブリオンブラン。
今回の2013年はリリースから時間が経っていません、その為かかなり強くソーヴィニヨンブラン的な特徴を残しています。
香り、味わい共に凝縮度が非常に高く力強いという前提を置いた上で、際立つのがそのシャープネスとミネラル。
骨子に引き締まった石の様なミネラルと、柑橘を思わせる鮮明かつシャープな酸、青草の様な香りが前面にあり、そこに分離した形でねっとりとした甘露なパンケーキやメイプルシロップの様な甘露な香りが絡み合います。
抽象的な話ですが、香りに層があるとするならば、柑橘や青草が高域で、パンケーキの様な甘露さが中域にあたります。そこにセミヨンの白い花や金木犀のような甘い華やかさが感じられます。
そんな感じで色々と要素分析をしながらテイスティングしてみましたが、なんというか、このクラスのワインとなると言葉では表現できない偉大さがありますね。
2013年という若さだからこそ、まだ表現しようもあるのですが、あの2010年の適度に各要素が馴染んで矛盾なくソーヴィニヨンブランの要素と果実味、樽、MLFが層状に立体感を持って迫ってくる感じはもう筆舌に尽くしがたいですね。2013は白はよく出来た年らしいので、これからの発展が楽しみ....でありながら、なかなか見極めが難しいワインだなぁ、とも思いますね。
これ、外したらかなり痛いですよ。




【ボルドー:37】偉大なるグランシャトー、ラフルールとラトゥール2002を利く

こんにちは、HKOです。
本日はボルドーです。

【データ】
そんなポムロールで最も人気が高い(そして価格が高い)ワインは、ご存知シャトーペトリュス、シャトールパン、そしてシャトーラフルールでしょう。
特にペトリュスより格段に狭い4.5haから生み出されるシャトーラフルール(年間12000本!)は、時として品質はペトリュスを凌ぎ、また入手困難なワインとしても知られています。土壌は酸化鉄や石灰を含んだメルローに適した粘土質です。現在のオーナーはシルビー&ジャック・ギノドー。ジャックギノドーは醸造責任者も兼ねています。
ペトリュスに隣接した畑の面積は4.5ha、年間生産量は12000本、平均樹齢は30年、収量は38hl/haと抑えられています。作付割合はメルロー50%、カベルネフラン50%。コンクリートタンクで15日から21日間発酵、新樽比率50%で18ケ月から20ケ月熟成。樽内でMLFを行う。
セカンドワインはパンセ ド ラフルール。

シャトー ラトゥールはポイヤックに拠点を置くトーチカの様な塔が特徴的な第一級シャトー。ボルドーメドックでは最も「男性的」「頑強」「勇壮」と称される。現在はフランソワ ピノー氏が指揮を執る。ラトゥールはその品質を安定させる為に約60%がセカンドラベルに回される。1974年に至っては25%のみがグラン ヴァン ド シャトー ラトゥールとなる。また、その偉大なワインが産出がされる畑はメドックにおいて最も歴史が古い畑のうちの一つ。レオヴィルラスカーズに隣接する細かい砂利質で非常に水はけに良い土壌である。
栽培面積は65ha、平均樹齢は40年、収量は40hl/ha程度。
マセラシオンは21日間行なわれ、温度調節機能付きのステンレスタンクで30℃を維持したままアルコール発酵。
新樽を100%使用し20~26ケ月熟成を行なう。清澄は行なうが濾過は行なわない。


【テイスティングコメント】
生産者、銘柄: シャトー ラフルール 2002
品種: メルロー50%、カベルネフラン50%

WA89pt、60000円
外観は少し淡い外観のルビーで、粘性は中庸。
土や木々を思わせる繊細で落ち着いた質感のラフルール。
ポムロールとしては極めてグリニッシュな要素が際立つ。
生肉の様な旨味があり、枯葉や腐葉土を思わせる熟成香、そしてプラムやブルーベリーのジャムの様な香りが感じられる。
リコリスやローズマリー、ほのかに(フランに起因するものか)ピーマンの様な青さも感じさせる。ほのかに甘いく香りもある。水飴に近い甘露さ。炭焼き、ほのかに萎れた花の香りなどの要素が感じられる。
少し青さを感じるが、やはり複雑でたくさんの要素を液体の中に潜め渾然一体となっている。
タンニンは柔らかいながら、やや酸味が立ったアタックで、木材やリコリスなどの余韻を残していく。


生産者、銘柄:シャトー ラトゥール 2002
品種: カベルネソーヴィニヨン74%、メルロー25%、カベルネフラン、プティヴェルト1%

WA96pt、90000円
外観はエッジに淡さを残したガーネットで粘性は中程度。
華やかながら重厚で引き締まった体躯。各要素が未だ鮮明で、目が詰まっている。熟成感としては濃いめ。
元々の抽出に起因するものなのか薔薇やスミレのドライフラワーの香りが鮮明で、ジャミーなブラックベリーやカシス、腐葉土や熟成肉の様な香りが主体的に立ち上がっている。そこに有塩バターや炭焼きの様なロースト香が調和していく。蜜を思わせる甘い香りのバランスも良くドライフラワーの要素とバランスがとれている。ほのかに獣香も。
奥の方からリコリスなどのスパイス、ミントやユーカリに近い清涼感のあるアロマも香ってくるが、あくまで強い果実味と強い醸造が熟成したものという感じ。
舌触りはシルクの様に滑らかながら、タンニンも酸味もしっかりとあり、それを抜けた後に椎茸や熟成肉の様な旨味やミルクやジャムの様な余韻を残す。


【所感】
右岸、左岸の最高峰クラスの水平テイスティングです。
主体品種はラトゥールがカベルネソーヴィニヨン(75%)ですが、ラフルールは半々ですね。
収量、樹齢は同程度、新樽比率が100%とラトゥールの方が高く、樽内での熟成期間も6ヶ月程度高いです。
ヴィンテージは2002年。ポイヤック、ポムロール共に平凡なヴィンテージ、若干ポイヤックの方が出来が良いと言われています。
この事から、強いカベルネソーヴィニヨンを主体とし、そのポテンシャルに寄った醸造を行うラトゥール、しなやかなメルローを主体とし、新樽をかけすぎず仕上げるラフルール。前者が強靭で、後者が繊細に作ろうという意図がなんとなく察しがつきます。
では、実際にどうだろうかというと、やっぱり素直にヴィンテージの弱さを受けたのはラフルールという印象を受けます。2002年と少し熟成が進んでいるのもあり、熟成香が主体的になっているのですが、その奥に少しカベルネフラン起因のグリニッシュさが潜んでいます。果実味も残っていますが、前者の要素の方が目立ちます。少し置くと前に出ますが、それでもガンガン来るような感じではないですね。
ただ引いて見ると素直な作りというよりは複雑な要素が並存し立ち上がるタイプとなっていますので、これはこれでヴィンテージとしてはいい落とし所なんじゃないかな、と思います。
ステレオタイプな良し悪しで言うのであれば、きっと平凡なんでしょうけど、通好みに仕上がっているように見えます。

さてそんな中で、ラトゥールはどうだったかというと、これが非の打ち所がない素晴らしい出来でした...
オーブリオン1989の神が乗り移った様な出来ではないのですが、各要素のバランスがかなりいいと思います。
ラトゥールらしく引き締まった体躯で男性的。熟成によって渾然一体となっている訳ではなく、熟成香はありながらも、各々の要素が鮮明。薄さとは無縁の目の詰まった味わいになっています。
もともと抽出と樽香のロースト感が強いラトゥールですか、華やかさはドライフラワーとなり、炭焼きや腐葉土などの樽香、マロラクティック発酵のニュアンス、そこに繊細な蜜の要素が混じり合います。強靭でありながら果実味も徐々に目立ち始めてきており、絶妙なバランス感を見せています。故あってラフルールに物足りなさを感じてしまうのは道理。
より熟成させてよし、今飲んで良しの素晴らしいワインだと思います。

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【ボルドー:36】ボルドーが誇る白いグランヴァン6種テイスティング #3

こんにちは、HKOです。
本日は日が空きましたがボルドー白の最終回です。
もちろんラストは....あの1級シャトーの白になります!

【データ】
シャトーヴァランドローはサンテミリオンの格付けとしては最下位にあたるサンテミリオン グランクリュに属しています。(今は第1特別級Bまで飛び級しました)
400ケースしか作られない希少性。ミシェルローランを醸造コンサルタントに迎え、品質を急激に伸ばしている。パーカーポイント高得点常連で価格が6倍以上になっている。などなど。
シンデレラワインやガレージワインの典型ですね。実際2000年前後の価格は50000円を超えています。
そういう意味合いで言うのであれば、ペトリュス、ルパンと同格とまではいかないまでも、近いレベルにまで達しているのは間違いないでしょう。
今回の白はる2003年が初ヴィンテージ。
シャトー・ヴァランドローの8.5haのうち1haで造られる樹齢35年以上のソーヴィニヨン ブランとセミヨンを使用。フレンチオーク樽の新樽50%、1年使用樽50%。
ヴァランドローが送り出す白のファーストラベルです。

シャトー オーブリオンは5大シャトー唯一メドック以外から選定された第一級シャトー。拠点はグラーヴ地区ペサックレオニャン。現在はクラランス ディロンが指揮を執っている。一時期評価が低迷した時期があったが、1978年からネガティブセレクションをより厳格に行なうようになって以降、品質が回復し、今や第一級に恥じない品質を保持している。今回はセカンドラベル、クラランス オー ブリオン。
栽培面積は43ha、平均樹齢36年、平均収量は35ha/ha。
クリスチャンムエックス同様、房ごと切り取るグリーンハーヴェストを行ない収穫はすべて手作業で行なわれる。
温度調整をシステム的に行ないながらステンレスタンクでアルコール発酵を30℃で実施、新樽熟成期間は最大30ヶ月と瓶詰め時期が最も遅い。清澄は卵白を使用し、濾過はされない。
今回は僅か2.7haから生み出される年間7800本の貴重な白。平均樹齢36年、収量は35hl/ha。
発酵は新樽で。その後澱に触れたまま新樽100%で16ヶ月熟成。濾過も清澄もしない。


【テイスティングコメント】
生産者、銘柄: ブラン ド ヴァランドロー ヌメロ アン 2007
品種: セミヨン60%、ソーヴィニヨンブラン40%

約10000円、WA90pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
リッチでありながら柑橘の様な清涼感も併せ持つキュヴェ。レモンやオレンジピールの様な清涼感のある香りと共に、ハチミツやボルドー白的な百合や白い花の様な甘く華やかな香りが溢れ出す。バタークリームなどのMLF的な要素。そしてフレッシュな白桃や花の蜜の様な甘い果実味、ムスクやフレッシュハーブが複雑さを与える。
酸味は柑橘を思わせる爽やかさがありながら穏やか。旨味がしっかりと口全体に広がりアーモンドや白い花、白桃の様な豊かな余韻を残していく。


生産者、銘柄: シャトー オーブリオン ブラン 2010
品種: ソーヴィニヨンブラン54%、セミヨン46%


120000円、WA98pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
非常にリッチで滑らかなタッチの香りを持つクリーミーな白。樽香とマロラクティック発酵の要素が非常に強く、バニラやバタークリームの様なニュアンスと、百合や白檀の様なボルドー的な華やかな白い花の要素。そして奥にはスレートの様な硬質なタッチも感じられる。洋梨や黄桃の濃密なコンポートの様な甘露さが感じられる。徐々に焦がしバターやプラリネ。ムスクやフレッシュハーブ、杏仁豆腐の様なニュアンスが感じられる。
酸味は穏やかながら旨味への転移が非常に緻密で、グリセリン感を伴いながら、旨味が口全体に広がっていく。
長い余韻。洋梨や白い花、白檀の様な清涼感のある妖艶な香りが広がっていく。素晴らしい。



【所感】
いやー、なんかもうオーブリオン ブラン物凄いですね...
香りのリッチさといい厚みといい、ボルドー最高の白は伊達じゃないですね...
とりあえずまずはヴァランドローの白から行ってみます。
オーブリオンブランからすると見劣りする事は間違いないですが、よく出来ています。柑橘の爽やかなニュアンスを維持しながら、ボルドー的な白い花の清冽な香りやリッチでふくよかなバタークリームの濃密な香りを両立しています。またムスクやハーブのニュアンスもしっかりと出ていて、とても複雑だと感じました。バランスも良く非常に楽しめる1本ではありますが、爽やかな柑橘という性質上、あまり評論家受けはよくなさそうだな、という風にも思います。
ボルドーの白としては模範的ですが、その他のものと比べても突出している、ということはあまりないかなと感じました。いいワインなんですけどね。

次は虎の子のオーブリオン ブラン。
これは本当にメチャクチャ素晴らしい。モンラッシェ相当で間違いのない白だと思います。一部の隙もない。
まず香りの明確さや立体感。様々な要素が探らずとも、向こうから迫ってきてくれる、教えてくれる様な明快さがあります。
とてもリッチでクリーミー、極めて大きなボリューミーな果実味があり、ボルドー白の白い花が発展したかの様な百合の花を思わせる華やかさがある。ニューワールドにとても近い体躯がありますが、奥にはスレートを思わせるミネラリーで硬質な質感があります。
ある種モンラッシェの酸を落として、花の様な香りを付けた様な形のワイン。
酸はかなり落ち着いていますが、旨味との調和が素晴らしく、思わずニヤけてしまう様な遷移を見せます。
舌触りは柔らかで、徐々に旨味とグリセリン感が広がっていく感じ。ここはニューワールド最上のシャルドネに感じるものです。非常に各地域との差が面白い。
作りは似ているのかもしれませんが、ボルドーの個性やミネラルがよく出ている。
かなり凄いワインだな、と思いました。
高いですけど、これは一生に一度は飲みたいワインです。
ちょっと前からボルドー白をまとめて飲んできましたが、圧倒的にオーブリオンブランが素晴らしかったですね。
ただどれも良かったとは思いますが、やはり球数が少なく選択肢がないところがちょっと辛いところだなぁ。




【ボルドー:35】2013年ボルドーテイスティング



こんにちは、HKOです。
本日は大変興味深いボルドー2013ヴィンテージの水平テイスティングです。
2013年ヴィンテージのボルドーといえば、もう物凄い格安になった事からもわかる様に、言ってしまえばオフヴィンテージ。プリムール市場で奮わないのは致し方なし。
特に赤は専門誌での評価もあまり良くなく、2013年の左岸最高とも言えるシャトームートンロートシルトですらワインアドヴォケイトで91~93点と辛口の評価がなされています。
まあ、ただ人は人、飲んでみるまでは自分の好みかわかりません。という事で5種類飲める機会があったので、ちゃんと見直してみましょう、というのが今回の試みです。

では行ってみましょう。



【データ】
シャトージスクールはマルゴーのコミューンの最南部に位置するシャトー。
ぶどうの栽培区画はわずか1/3ながら240haを超す広大な敷地を保有している。現在の所有者はエリック アルバダ イェルヘルスマ。1950年代までそのポテンシャルを発揮することは無かったピエール タリにより品質が向上し、多くのシャトーが不調に陥った1970年代1980年代を乗り切っている。(これは同年代の間同氏がユニオン デ グランクリュの会長であった事に起因するのかもしれない)、ただその格付けに対する価値については至極妥当なものであると評される場合が多い。作付面積は80ha、平均樹齢30年、平均収量45hl/ha。
収穫されたぶどうは温度管理されたステンレスタンクで15~18日間マセレーション、6~8日間の発酵。
新樽30%程度で18ヶ月の熟成、無濾過で瓶詰め。

シャトー モンローズはメドック第二級格付けのシャトー。現在はジャン リュイ シャルモリュ氏の下良質なカベルネソーヴィニヨンが生み出されている。
所有する67haの粘土と泥炭土の表土、砂利質で構成された畑は、なだらかに川に傾斜しており、葡萄が熟度が上がる事に一役を買っている。
平均樹齢は40年、収量はわずか32hl/ha。収穫は手摘みで行われる。
醸造はオーク槽(カベルネソーヴィニヨン)とステンレスタンク(メルロー)を30度で発酵を行なう。醸しは20日程度。澱引きは6回。
新樽を25~30%使用で24ケ月熟成の後、濾過はせず瓶詰めされる。

デュクリュボーカイユはオレンジ色のラベルが特徴的なメドック第二級シャトー。こちらも年によっては第一級を凌駕する事からスーパーセカンドとされています。2003年からメドックの名士、ボリー家のブリュノ ボリーがこのシャトーを牽引しています。
ボリー家が所有して以降30年間に渡ってその品質を高めたため、現在の地位を築き上げたといえる。
栽培面積は52ha、平均樹齢38年、平均収量49hl/ha。畑で選果を行い手摘みで収穫後、除梗機で除梗。温度管理されたステンレスとコンクリートのタンクで17~21日間、アルコール発酵とマセレーションを行う。新樽50~65%で18~20ヶ月樽内熟成を行います。

シャトー ラ ミッション オーブリオンはシャトー オーブリオンに隣接し、長年ライバル関係にあったペサックレオニャンのシャトー。
17世紀、ラ ミッションの信徒によって設立されたが、フランス革命後、1983年にオーブリオンの現在の所有者であるクラランス ディロン家に売却されるまでウォルトナーによって管理された。1982年以降は新樽の使用比率を増やし、現在は100%新樽。メルロの割合は45%まで増加され、カベルネソーヴィニョンとカベルネフランは減らされた。
一般的にはオーブリオンよりもはるかにリッチで、力強いワインで、貧弱なヴィンテージによいワインをつくることにかけてはラトゥール同様、随一。依然として一級シャトー並みの品質。
畑は20ha、平均樹齢21年、平均収量45hl/ha。
発酵とマセレーションはコンピューター制御で温度管理された180hl入りのステンレスタンク、熟成はオークの新樽で20ヶ月。清澄するが、濾過はしない。

シャトー ムートン ロートシルトはポイヤック村に拠点を置く、メドック第一級シャトー。5大シャトーの中では唯一1973年に格付けの変更を実現させた。現在はその格付け変更を成功させたフィリップ ド ロートシルト男爵の娘であるフィリッピーヌが指揮を執り、パトリック レオン、エルヴェ ベルローと共にこの1級シャトーを牽引している。
毎年変わるアーティスティックなラベルが特徴的なシャトーでコレクターズアイテムにもなっています。
今回はセカンドラベル、プティ ムートン ド ムートン ロートシルト。
栽培面積は78ha、平均樹齢は45年、平均収量は40hl/ha程度。
除梗は100%、完全な果実のみ選定され木製槽で15~25日間、発酵とマセレーションが行なわれる。新樽にて19~22ヶ月熟成。無濾過で瓶詰めが行なわれる。



【テイスティングコメント】
生産者、銘柄: シャトー ジスクール 2013

この中では比較的落ち着いていて、やや酸味を感じさせる果実とヨーグルトを想起させるMLFの要素が主軸として感じられる。強烈な香りの放出はないが、品のある落ち着いたキュヴェ。残念ながらやや青さを感じる古典的なボルドーを想起。
ダークチェリーやブルーベリージャムを含めたプレーンヨーグルト、そしてピーマンやミントなどのハーブの要素、紅茶の茶葉を思わせる香りが感じられる。滑らかな質感はあるものの、やや力が足りず、かなり繊細な作りになってしまっている。華やかなスミレやインク、若い葉や生肉、ユーカリなどの要素を感じられる。日本のボルドーブレンド的。
酸味が突出、タンニンはかなり弱くパワー不足感がある。
華やかなスミレやヨーグルト、黒系果実の余韻を残す。


生産者、銘柄: シャトー モンローズ 2013
品種: カベルネソーヴィニヨン61%、メルロー30%、カベルネフラン8%、プティヴェルト1%

線は細いが高域に伸びていく、華やかで甘やかなキャンディ、あるいは黒系果実の蜜を凝縮させた様な香りが蠱惑的なワイン。しっかりとMLFがされており滑らかな質感がある。
よく熟した甘やかなカシスやブラックベリーの果実味、糖蜜、メイプルシロップ。MLFの影響を強く感じるミルクティーの香りが主軸になり、西洋杉やトースト、バニラの要素。加えてスミレの華やかさや燻製の香り。ほのかにユーカリやリコリスの要素を感じ取ることができる。
ピーマンやミントなどのハーブを感じさせる要素は控えめ。よく熟しているが生来のヴィンテージの問題か、すこしボディが弱い印象をうける。
香りの印象通り、タンニンというより酸の方が際立っている。ミルクティーやフレッシュな黒系果実の余韻を残す。
やはりグリセリン感は低いが品があり、よく出来ている。


生産者、銘柄: シャトー デュクリュ ボーカイユ 2013
品種: カベルネソーヴィニヨン90%、メルロー10%

繊細で華やかかつ甘やかで、黒系果実の蜜を感じさせる果実味があるが、モンローズの様なヒステリックな伸び方をするわけでは無く幾分か落ち着いたキュヴェ。MLFの要素も強く、滑らかでシルキーな香りの質感がある。
わずかにグリニッシュさも感じる。
主軸は果実味でカシスとブラックベリーの素直な果実味とミルクコーヒー、炭焼きのニュアンス、ほのかなユーカリやピーマンの要素が折混じる。糖蜜の様な甘露さはあるがモンローズなどの比べると控えめ。スミレなどの華やかさもあり、パストラミハムやベーコン、リコリスやクローヴなどのスパイスの風味。トマトの様な要素も感じられる。
樽やMLF、果実味はあるが、全体的に控えめに収まっているがバランスは良い。
酸はやはり例年と比べると際立っているが、タンニンとのバランスは良い。酸味と旨味の遷移も良く、繊細ながら口当たりの完成度は高い。ミルクコーヒーや黒系果実の余韻。


生産者、銘柄: ラ ミッション オー ブリオン 2013
品種: カベルネソーヴィニヨン62%、メルロー37%、カベルネフラン1%

かなりスモーキー。甘やかな果実味と比較的控えめなMLFの要素はあるが主軸はタバコやモカの風味が中心となっている。親しみやすさに欠けるが厳格なワインだと思う。
炭焼きやタバコの要素など樽的なニュアンス、そしてリコリスやクローヴなどのスパイスの要素が抜きん出ている。
そこにスミレや鉄分、燻製肉の要素、そしてバターやブラックベリーやダークチェリーの果実味、西洋杉のニュアンスが調和していく。アセロラ、トーストなどの香りも存在する。糖蜜感はあり、熟度は感じるものの、モンローズやムートンの様な甘露さは控えめ。
またスモーキーさに舵を切ったワインで、モンローズなどの高域に伸びる感じはなく、繊細でありながら控えめな印象がある。
ただ口当たりのバランスがいい。
酸味とタンニンは共に控えめでしなやか。そしてシルキーである。球体感こそないが、舌の上で暴れるタンニン、酸は無く、ミルクポーションや炭焼きのニュアンス、黒系果実、血液の余韻が続く。


生産者、銘柄: シャトー ムートンロートシルト 2013
品種: カベルネソーヴィニヨン89%、メルロー7%、カベルネフラン4%

例年より幾分か線が細いながらも、凝縮感があり、高域に伸びていく様な中域の黒系果実の甘やかさ、加えてシダーやモカの樽香しっかりと感じられるキュヴェ。
やや抽出が強くスモーキーで、MLFの影響は強いものの果実、樽起因の要素の方が目立つ。
よく要素が一体化していて、糖蜜、メイプルシロップの様な甘やかさをベースにして熟したブラックベリー、カシスと共にミルクポーションやモカや西洋杉の様な樽香が調和している。渾然一体。ボリューム感のある香り、それでいて華やかで、鉄分やスミレの様な花の香りも充実している。ワッフルやバニラ、燻製肉、ユーカリやリコリスの風味もある。やはり香りからは青い要素は感じられない。
しかしながらこちらもタンニンより酸味が際立っている。
というより、よくバランスよくまとまっている。タンニンが強すぎない。繊細さがある。
フレッシュな黒系果実を中心にほのかにミルクポーションが混ざる。酸と旨味を主軸にした余韻。


【所感】
うーん...なんともパッとしませんね...
基本的に近年のボルドーの凝縮感や高アルコール感(実際はそんなに変わらないんですけど)に慣れてしまったせいか、ボルドーとしてはかなりボディが弱い様な気がします。流石にクリュクラッセの上位のものは綺麗にまとまっているものの、口に含んだ時の粘性やタンニンの甘さが控えめで、やや酸が立っている様な気がしますね。
ありありと「いつもよりちゃんと熟しませんでした...」といった感じがワインから伝わってきます。
ムートンやモンローズなんかは華やかかつ甘露でよく出来ているのですが、いわゆる例年の...特にムートンなんかの様な明らかな別格感は無いですし、デュクリュボーカイユはやや青さを感じます。ラ ミッションはペサックレオニャンの方程式に従った例題の様なワインですが、タンニンの目の荒さが顕著です。
ジスクールに至っては香りもボディも控えめ、酸だけ立っている状態で明らかに格付けの価値を見出す事は出来ませんでした。

いや、ホントあんまり悪い事書かないブログなんですが、ここ最近のボルドーの中ではかなり奮わないと思いますよ。
いわばどのワインもベイシュヴェルと同等のボディしかなく、かつ不慣れなのか良い部分もありながら2013年なりの良さを演出しきれていない感じがします。
今回はモンローズとムートンが比較的良く、次いでラミッション...ただこれは比較的堅牢なワインなので馴染むまでに幾分かかかりそうですが...そんな感じでしょうか。
一本一本はテイスティングコメントを見て頂ければ概ねご理解頂けると思いますが、やはり肝心要は果実なのだな、と強く認識させられるワインとなっています。

ちなみにかなり穿った見方をしてしまうと、従来と収量を変えていないのでは...と思ってしまいます。
特にボルドーはかなり商業的な側面が強いので、収支は明確に見ていると思います。プリムールで予め価格が下がる事を見込んでいたならば、収量を下げすぎてもダメで収益見込みありきで収量の水準を決めてたりするんじゃないかな...とか。
まあ真偽のほどはわかりませんが、もしそうなら1ヴィンテージくらいコケても余裕の体力はあるとは思うんで、数は少なくとも従来通りのヴィンテージ程度には持って行って欲しかったですね。

基本的に従来より格段に安いので、特にモンローズなんかはなかなかいいと思います。












プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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