【トスカーナ:11】あのスーパータスカンをもう一度。

こんにちは、HKOです。
本日はスーパートスカーナです。


【データ】
サッシカイアはトスカーナ州ボルゲリに拠点を置くワイナリー、テヌータ サン グイドのスーパータスカンです。
1944年にボルドーのラフィットからカベルネソーヴィニヨンの苗木を手に入れ自家消費用に仕込み始めたことから歴史が始まります。
その評判から販路を拡大し、遂には1978年のデキャンタ誌主催のブラインドテイスティングでベストカベルネ賞を受賞。1985年にはイタリアワインで初めてパーカーポイント100点を獲得、1994年にはボルゲリ・サッシカイアとしてイタリア唯一、単独ワイナリーのD.O.C昇格を果たしました。
ワイナリーを牽引したのはアンティノリの醸造家であった故ジャコモ・タキス氏、2000年代以降サッシカイアで醸造を務めたセバスチャーノ ローザ氏。
サッシカイアが作られるボルゲリはメドック地区に似た石ころだらけの畑、カベルネ・ソーヴィニヨンに最適の地質。
地中海性の温暖な気候が特徴で常に海からの風を受け乾燥し、日中は年間を暖かい一方、夜は冷え込みます。
そこに所有する畑は約90ha。砂質、石灰質、粘土質が入り組んでおり、海に近いことによりミネラル分も豊富。緩やかながら非常に起伏がある地形で、標高200~300mの斜面もあれば80mほどの平地も存在し、とてつもなく入り組んだミクロクリマを形成。
栽培は高密度の栽培や低収量での収穫を行い凝縮した果実を取得。マロラクティック発酵やオーク新樽による熟成を行う。


テヌータ ディ オルネライアはスーパータスカンの中心的生産者。カリフォルニアで経験を積んだロドヴィコ アンティノリ氏によって、1981年ボルゲリに設立されたワイナリーです。ポートフォリオはオルネライア、そして旗艦銘柄であり、わずか7haの畑から作られるメルロー単一品種のマセット。
オルネライア同様、選定を行いながら手摘みした葡萄を再度選果し、除梗した後、温度管理機能付きのステンレスタンク、木製発酵槽で高めの温度でアルコール発酵。約ひと月のキュヴェゾンの後、100%新樽で20ヶ月間熟成される。12ヶ月目にブレンドされ、残り8ヶ月間はさらに熟成。16ヶ月間の瓶熟成後出荷されます。



【テイスティングコメント】
生産者: テヌータ サン グイド
銘柄: サッシカイア 2013

外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
ブラックベリーやダークチェリーのキャンディの様な香りとバタースコッチ、ブリオッシュ、シロップの様な甘い香りが感じられる。そして個性的なイースト的な要素。華やかさより果実の甘やかさが強調された形。
パストラミハム、エナメルリムーバー、青さを感じるピーマン、少しアーシーな甘草や土の要素が感じられる。
酸味が際立っていてタンニンは控えめ。
余韻は短く、甘草やミルク、キャンディの様な余韻を残す。ボディは強くなく、かなり軽めで2013年のボルドーを更に一回り落とした様な品質。


生産者: テヌータ ディ オルネライア
銘柄: オルネライア 2013

品種: カベルネソーヴィニヨン45%、メルロー38%、カベルネフラン10%、プティヴェルド7%
外観は赤みの強いガーネットで、粘性は高い。
ボルゲリとしてはかなり濃厚なカベルネソーヴィニヨンに仕上がっている。良ヴィンテージの2010年ボルドーにも近いバランスになっている。
熟したカシス、ブラックベリーの濃密な果実味を基軸にし、そこにMLFのクリーミーなバニラや果糖ヨーグルト、西洋杉の香りが混じり合う。黒糖やパウンドケーキの甘露さ。スミレ、薔薇の様な華やかさ。
ベーコンやリコリスの様な風味もある。
青い要素はあまりない。完全に熟している。
酸はしっかりと帯びているが、タンニンは甘く黒系の果実味と甘露さが綺麗な余韻を残していく。収斂さはあるが、余韻に甘い丸みとほのかな苦みを残す。


【所感】
スーパートスカーナ2本です。
なんかかなり久しぶりに飲んだ気がします...4,5年ぶりでしょうか。どういう感じだったっけなぁとちょっと悩みながら飲んだのですが、こんなにボルドーっぽかったっけ?
スタイルはボルドーに似てます。MLFと果実味、樽香の絶妙なバランス感。果実ばかりガツンと出る感じではなくて、バランス。この2本に関しては殊更そう思いました。
ただやっぱり酒蔵毎に結構スタイルが違うみたいで.....

まずはサッシカイア。
2013年、かなり軽めの酒質ですね、
2013年のボルドーは軽く薄めの出来だったのですが、それに輪をかけた様な軽さがあります。
黒系果実の風味はありますが、どちらかといえばリキュールとかではなくてキャンディの様な明るくフレッシュな香りでしょうか。そこにブリオッシュやシロップが混ざっている。
華やかさよりミルキーな甘やかさが強調された感じですね。
やや香りに青さを帯びているものの、香りのバランスは良いです。
ただ酸味がかなり際立っていて、ボディがかなーり軽いですね。飲みにくかったりするわけではないのですが、この手のカベルネソーヴィニヨンの良さってしっかり熟した味わいだと思いますが、それには即してないですね...悪くはないんですが...物足りなさが残るものですね。

次にオルネライア。
こちらもボルドー的風合を感じるんですが、あら不思議。
こちらは2010年にも近しいビックヴィンテージ並の高い熟度を持ったスーパートスカーナになっています。
予想外だったし、控えめにいって最高感あります。
基本的には果実味、MLF、樽でまろやかさや滑らかさを強調しながら、熟した果実の味わいを楽しむスタイルです。
実際カシスやブラックベリーなどの黒系の果実味も凝縮してるし、樽とMLFとのバランスも良い。青さもなく、相当な高クオリティで仕上げられていると思います。
香りも良いですが、アタックも良くてタンニンは甘く、しっかりとした酸もある秀逸。
これ、申し訳ないですけど、オルネライアに軍配上がっちゃいますね...
だって本当によいんだもの...





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【トスカーナ: 10】カーゼバッセ、幻の2008 ブルネッロ ディ モンタルチーノ。

こんにちは、HKOです。
本日はブルネッロ ディ モンタルチーノの最高峰、カーゼバッセのIGT トスカーナ ソルデラです。
今回の2008年ヴィンテージは例の事件の影響を受けたヴィンテージで、極めて品薄になっています。
ちなみにシリアルは2000番台。そう考えると数十樽は残ってる事になりますね...


【データ】
カーゼ バッセ ディ ジャンフランコ ソルデーラは、モンタルチーノ地区の南西部に拠点を置くワイナリー。作付面積は23ha。
栽培は全てビオロジック。標高320mの南西向きの斜面に位置し雨の少なく霧が発生しない日照条件の良い気候。気候収穫したぶどうはオーク大樽で温度管理はせず発酵。酵母の添加やバリック樽は使用しない。
熟成はブルネッロで4年、リゼルヴァで5年熟成させた後、瓶で9ヶ月熟成。
リゼルヴァは上質なぶどうが収穫された年のみに作られます。醸造所は最適な熟成環境を確保するために騒音 温度変化 臭気から遮断されています。
ニュースにもなりましたが元従業員が2006~2012までのバレルの栓をすべて開けて逃げた事によってこれらのヴィンテージは全滅してしまっています。よってほぼこれらのヴィンテージは手に入らない状況です。今回は2008年はごく少量残ったワインを瓶詰めしたもの。
名称がIGTになっているのは2006年から。
上記の理由からか、はたまたは協会から脱退したからなのかハッキリとした事は分かりませんでしたが、まあそんなとこでしょう。


【テイスティングコメント】
生産者: カーゼバッセ
銘柄: IGT トスカーナ ソルデラ 2008
品種: サンジョベーゼ グロッソ 100%

外観は透明感のある濃いガーネット、粘性は中庸。
外観の色調の淡さからは想像つかないようなイタリア的な堅牢さがある。
少し硫黄のような還元香、そしてイーストや毛皮の様な香り、燻製の様なローストした様な味わい。オイリーでタール的、トリュフや土の風味。硬いイタリアワインにありがちな硬さ。
果皮の強いダークチェリーやブルーベリーの様な果実味、スパイシーな甘草。鉄観音の様な香りもある。
香りは今ひとつだが口に含んだ時の味わいの広がりは極めて素晴らしい。
少しの苦味とドライアプリコットをそのまま液体にした様な酸味と旨味、グリセリン感が乗ってくる。
特に含み香が圧倒的に素晴らしく、スミレやアプリコットの様な立体的な余韻が残る。


【所感】
うーん、やっぱりこれまで何本か評価の高いブルネッロ ディ モンタルチーノの飲んでみたけど、改めて僕の好みには合わないみたい。古酒はいいとは思うんだけど、若いワインが致命的に香りが好みじゃない...
ビオンティ サンティは華やかな香りは素晴らしかったですが、他のがなぁ...
ブルネッロじゃなくてサンジョベーゼは比較的好きな方ではあるんだけど。
以上、好みの話。以下ワインとして評価。
やや還元的なワインで、大樽熟成というのもあり酵母と野性味のある香りが主体的です。甘やかな樽香は無く、どちらかというと黒土系、あるいは炭焼き系の樽香、スパイス、ブドウそのものの香りが感じられます。故に堅牢。キャッチーさは無くて、どちらかというと古風なワインだと思います。
しかし、その香りとは裏腹に含み香は抜群に素晴らしい。わずかな苦みとともにドライアプリコットをそのまま液体にした様なグリセリン感を帯びた濃縮した液体です。それとともに果皮のスミレのアロマがしっかりと感じられます。生き生きとした溌剌とした液体です。ここは抜群に素晴らしい。
香りの方向性は異なりますが、全体的な印象はブルーノ ジャコーザに似てますね。もう少し香りと含み香のバランスは良いですが...
という訳でカーゼバッセのブルネッロでした。
うーん、品薄という需給バランスで決まる世界とはいえ、この価格帯なら他に飲みたいワインが沢山あるので、あえて選ぶことはないでしょうなー。
ただこれだけ評価されているのですから、やっぱり好みの問題でしょうなぁ。

【トスカーナ:9】ボルドー品種とのセパージュによるサンジョベーゼの変化

こんにちは、HKOです。
本日はトスカーナのサンジョベーゼ主体のワインです。しかしこのサンジョベーゼという品種、100%のセパージュで飲むと色の濃い鉄分の強いピノノワールといった風合いなのですが、生産者や他の品種が紛れ込んだ時にかなり違った様相をみせてきます。
今回のシナッラにせよ、ティニャネロにせよ、いわゆる単一サンジョベーゼと印象を全く違にするワインを作っていると感じました。

【データ】
アンティノリは1385年よりワインビジネスに関わる名門でイタリア全土に10以上のワイナリーを所有しており、キャンティクラシコの中心にあるテヌータティニャネロはその中でもフラッグシップのワインを生み出しています。その中でもサッシカイアのジャコモ タキスが手掛けるティニャネロはサンジョベーゼを主体としたスーパータスカンとして位置付けられています。ティニャネロが作り出される土壌は標高340~400ha。昼夜の寒暖の差がハッキリある急斜地帯。作付面積は57ha。収穫、グリーンハーヴェストすべて人の手作業によって行われます。またアルベレーゼシステムという土壌の構成自体を変える手法を取り水捌けの改善も行っています。2008年には最新鋭の醸造施設が完成。区画毎に醸造を進めています。
収穫後は手作業で選果。稼働式圧搾機で2階部分から絞った果汁をタンクに移動、発酵が進められます。
フレンチオークやハンガリアンオーク小樽で16~18カ月熟成。最上のキュヴェだけが選定されブレンド。瓶熟成を経てリリースされます。

ファットリア ディ マリアーノはサッシカイアのジャコモ・タキス氏がコンサルタントを務めるワイナリー。ボルゲリ地区からさらに南にあるスカンサーノ地区に拠点を置き、初リリースは2001年となっている。


【テイスティングコメント】
生産者: ファットリア デ マリアーノ
銘柄: シナッラ 2010
品種: サンジョベーゼ、メルロー

約1900円、WA92pt
外観は濃いが透明度が高いガーネット、粘性は高い。
非常に果実味が強くドライレーズンなどの乾いた果実や黒糖、クローヴ、リコリスなどの風味が感じられる。溶剤や土、炭焼きなどの風味。生肉などの風味。
ネロターヴォラにも似た果実味があり、非常にイタリア的。甘いタンニンと豊かな酸があり、ドライフルーツの余韻が残る。イタリアの中でも濃い部類に入るサンジョベーゼだと思う。


生産者: アンティノリ
銘柄: ティニャネロ 2011
品種: サンジョベーゼ80%、カベルネソーヴィニヨン15%、カベルネフラン5%

12000円、WA94pt(2010)
フランとカベルネが含まれているせいか、どこかボルドーのワインの様にも思えるが、遥かに酸が豊かにあり、独特の鉄っぽさが強く感じられる。ボルドー的な醸造手法によって作られたサンジョベーゼって感じだ。
熟したブラックベリーやカシスの豊かな果実味、なめし革や鉄分を感じる果皮の要素、スミレなどの要素が主体的。そこから追う様にタバコなどのスモーキーな要素、若い樹皮やリコリス、ローリエ。わずかに黒糖の様な風味が感じられる。カベルネの果実味を持ちながらサンジョベーゼらしい鉄分からくる華やかさが突出している。
酸は刺々しくなく、それでいてしっかりと存在しており、甘い滑らかなタンニンが感じられる。ブラックベリーや鉄分の余韻を感じられる。なかなかいい。


【所感】
まずはファットリア ディ マリアーノのシナッラ。
よく出来たネロターヴォラの様な濃い味わいのサンジョベーゼ&メルロー。ドライフルーツの濃厚な果実味があり、そこにハーブや炭焼きの風味が乗ってくる。
いわゆるイタリア的な濃厚なスタイルで、高いアルコール度数に裏付けられたタイプの濃さではありません。より果実の熟度に寄ったタイプのワインだと感じました。価格としては1000円台なのですが、その割には大変よく出来ていると思いました。高級なタイプの味わいではないんですが、テーブルワインとしてとても優れていると感じました。
次にティニャネロ。ソライアが濃いめのワインだったので、サンジョベーゼが含まれたティニャネロはより繊細な作りかと思いましたが、全然そんな事無かったです。熟度の高いブラックベリーやカシスの果実味。比率でいうとサンジョベーゼが8割を占めるので、サンジョベーゼらしさが前に出そうなもんですが、カベルネソーヴィニヨンやカベルネフランの個性が強いのか、カベルネ種の香りが結構前に出ています。ただ含有する酸の多さや舌触り、香りに含まれる鉄分の要素は明らかにサンジョベーゼのそれ。よってカベルネらしい果実味やハーブの香りと共に、引き締まったようなシャープな華やかさも合わせて含有しています。
高いレベルでサンジョベーゼとカベルネ種の特徴が反映されたワインだと思いました。


アンティノリ・ティニャネロ 2010

アンティノリ・ティニャネロ 2010
価格:11,232円(税込、送料別)




【トスカーナ:8+】カーゼバッセの熟成インティスティエティ、ヴェッツォーリのゼロ ドサージュを利く。

こんにちは、HKOです。
本日はヴェッツォーリの熟成フランチャコルタ、カーゼバッセの熟成ブルネッロになります。熟成したイタリアは実はあまり経験がないので、結構勉強になりました。
しかもこれがなかなか素晴らしい。


【データ】
ヴェッツォーリは、ジュゼッペ ヴェッツォーリ率いるワイナリーでフランチャコルタのエルブスコに畑を所有おりベラヴィスタに隣接。そこには樹齢は30年~40年のシャルドネが植わっています。
製法は伝統的なシャンパーニュ製法で、アルコール発酵後オーク大樽で12ヶ月、30ヶ月の瓶熟の後ドサージュ、出荷されます。ミラノのフォーシーズンズホテル メインダイニングのハウスワインにも選ばれています。
今回のドサージュゼロはその名前の通り、ドサージュは行わず、SO2も無添加。瓶熟は82ヶ月(7年)の後出荷されます。

カーゼ バッセ ディ ジャンフランコ ソルデーラは、モンタルチーノ地区の南西部に拠点を置くワイナリー。作付面積は23ha。
栽培は全てビオロジック。標高320mの南西向きの斜面に位置し雨の少なく霧が発生しない日照条件の良い気候。気候収穫したぶどうはオーク大樽で温度管理はせず発酵。酵母の添加やバリック樽は使用しない。
熟成はブルネッロで4年、リゼルヴァで5年熟成させた後、瓶で9ヶ月熟成。
リゼルヴァは上質なぶどうが収穫された年のみに作られます。醸造所は最適な熟成環境を確保するために騒音 温度変化 臭気から遮断されています。
ニュースにもなりましたが元従業員が2006~2012までのバレルの栓をすべて開けて逃げた事によってこれらのヴィンテージは全滅してしまっています。
よってほぼこれらのヴィンテージは手に入らない状況です。
ベネッセの例もありますが、従業員の反逆は怖いですね...まあ、この生産者、相当な頑固親父っぽいので無きにしも非ずか。1992年のインティスティエティはインティスティエティ畑とカーゼバッセ畑のブレンドで、本来はブルネッロ ディ モンタルチーノとなるべき葡萄を使ったワイン。ヴィノ ターヴォラにデクラッセされ、熟成期間を延長しリゼルヴァにした一品です。


【テイスティングコメント】
生産者: ヴェッツォーリ
銘柄: ゼロ ドサージュ 2005

約8000円、
外観は濃いイエローで粘性は高い。
ほのかに熟成感があり、極めて旨味が突出、ドサージュゼロだが柔らかくなっている。
ややミネラルを感じる。
塩ナッツ、カリンやアプリコットなどの充実した旨味を擁する果実味。バニラやイースト、ドライハーブ。濡れた木材。ほのかにドライシェリーの風味が感じられる。
ドサージュゼロだが、かなり酸味はこなれてきており、充実した旨味を感じられる。
綺麗に熟成したシャンパーニュにほぼ近い。素晴らしい味わい。


生産者: カーゼ パッセ
銘柄: インティスティエティ ヴィノ ダ ターヴォラ 1992
品種: サンジョベーゼ グロッソ 100%

20000円、WA98pt(1995)
外観は橙を帯びたガーネット、粘性は中庸。
良い出汁の様な香り、新世界の様な味わい。
紫スモモやドライアプリコットの様な旨味が充実した果実味、濡れた木材、濡れた土、梅しばの様な旨味。燻製肉や生肉、紅茶、ハーブティー。ナツメグ、ソースの様な濃厚な風味。腐葉土やアーシーで濃密な味わい。しかしながらミディアムボディ。
非常に充実した果実味、酸は穏やか、タンニンは柔らかい。ソースや旨味が充実した味わいがある。


【所感】
ヴェッツォーリのゼロ ドサージュは、ノンドゼの部分よりも、綺麗に熟成を経ていたことに驚いた。約10年程度の熟成ではあるものの、旨味系シャンパーニュと同等クラスの味わいを4000円で実現しているのは驚嘆に値する。塩気のあるナッツや、旨味を感じさせるカリン、そしてその中にイーストやドライハーブ、濡れた木材の要素。ゼロドサージュによる鋭い酸味の相当量は旨味に転化され、滑らかに、それでいて規模感の大きい旨味を実現している。
マロラクティック発酵の要素はなく、果実味もシャープ。グランメゾン的な熟成シャンパーニュではなく、より酸やミネラルを美しく活かす為の熟成を経ている。
4000円代でこれが買えるのは、ほぼ奇跡に近いだろう。2005年にしてここまでこなれてきているのも貴重。
次にカーゼバッセ。
今回カーゼバッセは初めてで、元の姿がわからないから何とも言えない。
ただ目の前の液体を元に語るのであれば、少なくともサンジョベーゼ グロッソの厚みではない。熟成を経て厚みを増しているとはいえ、強靭な旨味がある。フレッシュさは既に皆無。熟成したニューワールドの様な土っぽさ、そして紫スモモやアプリコットの旨味溢れる果実味、ソースの様な熟成に起因する要素が強烈な旨味を放っている。やや酸化的だが、ブルネッロ最上クラスの生産者の熟成の味わいの一端を感じることが出来る。

今まで熟成イタリアワインはピエモンテや一部のトスカーナくらいの経験しかしていなかったのですが、飲んでみるものですね、ビックリしました。
別に食わず嫌いしてた訳では無いんですが、これだけいい感じになるとは。
カーゼバッセは高いしそもそも手に入りにくいので、別としてフランチャコルタはかなりオススメです。



【イタリア:7】ブルネッロ最高峰、ビオンティ サンティのモンタルチーノ アンナータ、リゼルヴァを利く



こんにちは、HKOです。
久々のスティルワインです。ビオンティ サンティのブルネッロ ディ モンタルチーノ2種のレポートです。
ブルネッロは幾つか飲みましたが、率直な話、そこまで「オオッ」となる様なキュヴェに出会った事は正直あまりありませんでした。基本的にはサンジョベーゼの亜種なのですが、どうにもカステッロ ディ アマなどの単一サンジョベーゼと比べると、そっちのほうが素晴らしくて、ブルネッロは?という感覚が拭えませんでした。
ですので、正直ちょっと敬遠していた部分もあるのですが、ビオンティサンティのブルネッロは正直半端なくすごいです。半端ないです。値段も半端ないんですが。

ビオンディ サンティはトスカーナに拠点を置く、ブルネッロ ディ モンタルチーノのオリジネイター。
クレメンティ氏がサンジョヴェーゼを品種改良したサンジョヴェーゼ グロッソを生み出し、ワイナリー元詰めでリリース。その後フランコによって更なる品種改良や技術改善を行いながら、幅広いプロモーションを行った。その結果当時76haしかなかった栽培面積は2100haにまで拡大し、現在の地位を確立しました。
ビオンティサンティが手がけるフラッグシップがブルネッロ ディ モンタルチーノ アンナータとブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ。
アンナータはビオンディ サンティのスタンダードなブルネッロ ディ モンタルチーノ。ビオンディ サンティが所有する最も古い畑であるイル グレッポに植わっている樹齢10年~25年を使用し、熟成は新旧織り交ぜたスロヴェニアンオークの大樽で3年半熟成されます。リゼルヴァは優良年にのみ生産されるキュヴェでイル グレッポの樹齢25年以上の葡萄のみを使用。スロヴェニアンオークの大樽で3年程度熟成します。

では、いってみましょう。


生産者: ビオンティ サンティ
銘柄: ブルネッロ ディ モンタルチーノ アンナータ 2007

20000円、WA94pt
外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
まるで最上のピノノワールの様に官能的でバルバレスコの様に力強い体躯のワイン。例えるならばサンジョヴェーゼのクロ ヴージョか。
強烈な鉄分やダークチェリーやブルーベリーの果実味。黒砂糖、それらの黒い果皮を感じる薔薇や生肉、なめし革の様な華やかさがある。僅かな腐葉土、ドライハーブ、クローヴやナツメグの様なスパイシーさが感じられる。
口に含むときめ細やかな酸味とタンニンが広がり、クローヴやリコリスなどのスパイス、スミレの華やかな余韻が長く続いていく。
アロマオイルの様に華やかなワインだ。


生産者: ビオンティ サンティ
銘柄: ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ 2007

82000円、WA94pt
外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
アンナータと比べてより華やかさに重点が置かれており、さながらリシュブールにも通じる官能性がある。アンナータと比べるとより高域に伸びる香りがあり、雑味が少ない。
十分な鉄分があり、かつスパイシー。糖度の高くシロップを想起させるダークチェリー、ブラックベリーの果実味。華やかな薔薇や鉄観音。クローヴ、ナツメグ、そして獣香が一塊となって立ち上る。土の香りは控えめでスパイスや花のより純粋な香りが特徴的。鉄観音やなめし革、ドライハーブなどの要素も。
アンナータ同様きめ細やかなタンニンと酸がありスミレの華やかな風味やクローヴやリコリスなどのスパイスの余韻が長く続く。
香水の様に華やかでありながら、強靭な体躯を持ったサンジョヴェーゼ グロッソだ。


最上級のピノノワールにも似た印象を受けます。例えばリゼルヴァは黙って出されたら「リシュブール!」と思うかもしれません。
それだけ筋肉質で強靭な体躯があり、かつ広域に伸びて行く様な突出した華やかな味わいがありました。
もともとサンジョベーゼ自体が冷涼な地域でしか育たない、ピノノワールと似た性質(ミディアム~フルボディ)がありますし、最上のサンジョベーゼに見られる野性的な鉄の香りはヴォーヌロマネにも見られる要素です。
今回のはサンジョベーゼ グロッソですからよりパワフルで筋肉質と言えるのですが、それがより最上のピノノワールにも似た雰囲気を醸し出しているんですよね。
リゼルヴァはリシュブール。ヴォーヌロマネのエシェゾーであるとか1級群と比べると、力強く筋肉質なので、あくまでリシュブールです。
アンナータはクロ ヴージョ。豊富な鉄分と黒系果実、黒砂糖、そしてアーシーさや野性味。リゼルヴァほどの重心の高さはなく、華やかさとアーシーさ、スパイシーさ、黒系果実のニュアンスはクロ ヴージョ グランモーペルテュイを想起。
大樽に起因するものか、新樽比率が低いのかはわかりませんが、あまりトースティーな風味は無い様な気がします。ただどことなく感じさせるバローロやバルバレスコの様なイーストっぽい風味はスロヴェキアンオークを使用している事に起因しているのではないかと思います。特にそれはアンナータが顕著で、レゼルヴァに関しては、ほぼ感じませんでした。
果実味はどちらも充実していました。ただ流石にレゼルヴァの方が豊かにかんじられました。古木とポジティブセレクションによる味わいの違いかと思います。レゼルヴァの方か凝縮感が感じられますね。

微細な違いはいくつもあるのですが、個人的にこのブルネッロ、今まで飲んだどのブルネッロより最上のピノノワールに近いと思います。色は濃いのでその点分かり易いですが、単純に味わいと香りの点においては、ほぼ受ける印象は同じかもしれません。素晴らしい!高いですが!

しかし、このワインを作り出したフランコ ビオンディ サンティ氏、去年の今頃亡くなってしまいました。2008年ヴィンテージ以降どうなるんでしょうか...
ご冥福をお祈りします。



プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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