
こんにちは。
モレ サン ドニは隣に個性的な村に囲まれている為、数多の銘醸ワインがあるにも関わらず、シャンボールやジュヴレに知名度で後塵を拝している村ですが、品質にせよ生産者にせよ、先に上げた2つの村に決して劣ってはいないと思われます。
生産者ならばモメサンやポンソ、デュジャックがいるし、特級ならクロ ド ラ ロッシュ、クロ サン ドニ、クロ ド ランブレイ、クロ ド タール、ボンヌマールがあります。
その中でもほぼモノボールと言えるクロ ド ランブレイ、クロ ド タール、シャンボールとして売られるケースのボンヌマールを除くと、主要特級はクロ ド ラ ロッシュ、クロ サン ドニとなりますが、何れもジュヴレシャンベルタン寄りの立地となっていて、(生産者にもよりますが)力強いワインが産出されます。
今回は熟成したクロ ド ラ ロッシュに焦点を当てて、生産者別にテイスティングしました。
ジョセフドルーアンはボーヌに本拠地を置くネゴシアンで旗艦銘柄はボーヌ プルミエクリュのクロ デ ムーシュ。他にも卓抜した特級畑を多数保有していますが、ジョセフドルーアンの代名詞といえばこれでしょうか。
そしてルモワスネは100年以上続くブルゴーニュの老舗ネゴシアンです。現在はドメーヌ元詰が一般化していますが、ネゴシアン経由での販売が一般的だった時代、今でいう有力な生産者からワインを購入し、販売していました。そしてルモワスネが所有している地下カーヴには地域最大量とも言える古酒が眠っています。
高品質なワインの古酒をここまで溜め込んでいるネゴシアンはそうないでしょう。
最後にデュジャックはモレ サン ドニの赤を得意とするコート ド ニュイを代表する有力な生産者。当主はジャックセイスでブルゴーニュでは比較的歴史の浅いドメーヌ。無濾過、無清張で自然な味わいを活かしたワインを作ります。こちらもラフォン程では無いにせよ、その品質の高さで瞬間蒸発する事もあります。
ではいってみましょう。
生産者: ジョセフ ドルーアン
銘柄: クロ ド ラ ロッシュ グランクリュ 2001

かなり熟成感が出ている。
色調はエッジには橙がではじめているが、まだ若い淡いルビー。粘性は低い。
イチジクと梅やスモモの塩っぽい果実味。白胡椒、生肉やジビエ、ゼラニウムやローズヒップティー、腐葉土、濡れた木、クルミっぽい香ばしさもある。鉄っぽさも。
酸もタンニンも溶け込んでおり、心地よくエレガントなイチジクなどの熟成香が楽しめる。
若々しさは感じられず、かなり熟成しているが、比較的綺麗に熟成しているので古酒として十二分に楽しめる。
生産者: ルモワスネ
銘柄: クロ ド ラ ロッシュ グランクリュ 1997

価格は約12000円、パーカーポイントは不明。
色調は澄んだ淡いルビー、粘性はやや高め。非常に綺麗に熟成していて、ジュヴレシャンベルタン的で力強さとしなやかさを感じる。
アセロラやダークチェリーの瑞々しい赤い果実とイチジクの様な若干熟成を帯びた味わい。
松の樹皮や腐葉土、ローズヒップティー、燻製肉、クローヴ、焦げたゴム、徐々に薔薇とゼラニウムが表れる。ワッフルなど。
基本フルーティで瑞々しくスパイシーな作り。果実とスパイスの瑞々しさが前に出ている。
パワフルというか押し出しの強いエレガントなクロ ド ラ ロッシュ。
こちらはある程度の熟成感はあるんだけど、若々しさと丁度均整が取れていていい感じ。骨格が強いのが所以しているんだろうか。
生産者: ドメーヌ デュジャック
銘柄: クロ ド ラ ロッシュ グランクリュ 2001

ドルーアンと比較するととても力強く経年をはじき返す力強さを内包している。
色調はまだまだ若々しく濃いルビー、ほんの僅かに橙がかかっている程度、粘性は高い。抽出は高めのようだ。若々しさに程良く心地よい熟成感。ジュヴレ寄りの味わいでフレッシュなイチジクやアメリカンチェリーのコンポート、ワッフルやシナモン、ローズヒップティー、腐葉土や樹皮、なめし革、燻製香。そして時間を置くと
果皮に所以する強烈なスミレの華やかさやチョコっぽい甘やかさが現れてくる。
酸味もタンニンも程良く溶け込んでおり、果実原初の爽やかなアタック。余韻は長い。
やはり抽出を強くした方が全然若々しさが保たれるな...これは半端なく若々しいクロ ド ラ ロッシュ。2000年代後半の味わい。
流石に00年代初めと90年代後半だけあっていずれも熟成していましたが、その中で圧倒的に若々しさを保持していたのはデュジャックでしたね。
その後を大きく遅れてルモワスネ、ジョセフドルーアンといったところでしょうか。
デュジャックのロッシュは本当に凄くて、抽出の強さか古木に所以甘やかで溌剌とした果実味が骨子になっていて、そこに僅かに熟成香が出ている感じ。あまり熟成熟成していない所がいいですね。パワフルで美味しいです。
ルモワスネも良かったですが、ややこちらの方が熟成感は強いです。ただ他のロッシュと比べると4年熟成期間が長いので、ひょっとしたら同一ヴィンテージならデュジャックに近かったかも。
ジョセフドルーアンは完全に熟成感がメインでしたが、品は良かったと思います。果実感はあまり無かったのでデュジャックやルモワスネを利いた後だと、やや物足りなさが残る感じでした。
人によると思うんですが、僕的にはこの中だと圧倒的にデュジャックでしたね。さすがはフラッグシップといえる造りです。他のものも美味しいんですけどね。
スポンサーサイト