超絶古酒を味わう。(ブルゴーニュ赤70年代、80年代)


こんにちは。
本日も引き続きブルゴーニュの赤古酒で。前回は90年代のワインでしたが、今回は80年代と70年代を比較しています。
銘柄はフーリエのグリオットシャンベルタン1980、ドメーヌ ド ラ ロマネコンティのエシェゾー1972です。

フーリエはブルゴーニュでジュヴレシャンベルタンに拠点を置く生産者で、非常に手に入りにくいドメーヌのひとつです。価格は高騰しているとはいえ、品質を考慮すると、まだ良心的な生産者とも言えます。特にフラッグシップの一級クロ サン ジャック、そして特級グリオットシャンベルタンは毎年争奪戦です(手に入った事ありません)。
リュットレゾネで自然のまま栽培、摘房はせず摘芽で収量制限を行い、厳重に選果を行った葡萄を100%除梗、この手の生産者では珍しい20%の新樽比率で熟成させます。そしてノンフィルター、ノンコラージュで瓶詰め。いかに自然な果実の風味を大切にしているかわかりますね。今回はフラッグシップのグリオットシャンベルタンの1980年の古酒です。

DRCは言わずとも知れたブルゴーニュに置けるトップドメーヌであり、燦然と輝く最高のグランクリュ、ロマネコンティを所有する唯一のドメーヌでもあります。
その歴史は一冊本が出来るくらいなので割愛しますが、どのワインもブルゴーニュ最高の品質。お値段も高い事で有名ですね。現在の共同経営者はA.P.ヴィレーヌとアンリ フレデリック ロックの2名です。以前はラルー ビーズ ルロワが参画していました。保有する畑は特級エシェゾー、特級グランエシェゾー、特級ロマネサンヴィヴァン、特級リシュブール、特級ラターシュ、特級モンラッシェ、そして特級ロマネコンティです。2009年からは新たに特級コルトンをリリースしています。また各特級の若木を使った1級デュヴォープロシェなんてのもあります。
ヴォーヌロマネの特級およびモンラッシェではいずれも区画最大所有者となっています。
ちなみに自社で瓶詰めはされませんがバタールモンラッシェと一部ヴォーヌロマネの1級畑も保有しています。
基本的にビオディナミで栽培を行い馬を使って耕作をします。除梗はせず長い期間を32度から33度のマセラシオンを行ない、新樽100%で熟成を行います。清澄は卵白を使用して行います。
今回は特級としては最も安価なエシェゾー(小区画はレ プレレールとクロ サン ドニに約4.7ha)の古酒。


生産者: フーリエ
銘柄: グリオット シャンベルタン グランクリュ 1980

約58000円、WA91-93pt(2000)
凄まじい。これだけ素晴らしい熟成ブルゴーニュは今の所味わったことがない。
色調は非常に澄んだ輝きのある明るいルビー、粘性は高い。
香りは熟成感が強い。腐葉土や濡れた樹皮、トリュフなどの土っぽい香り。燻製肉、ベーコンなどの野生的な風味。そして驚くべきレッドカラント、サクランボ、梅柴の目の詰まった球体の果実味。
ドライフラワー、茎、グローヴ、甘草などのハーブや乾いた花。
ジュヴレとしての特徴は残っておりミルクティー、シロップ、ワッフルなどの甘やかさもほのかに感じる。
非常に複雑だが、突出した要素は少なく、全てが渾然一体となって芳香に現れている。
とてつもなく凝縮した旨味、目が詰まっている。
アタックは柔らかくシルキー。酸とタンニンがまさに旨味と完全に調和している。そして永遠に続きそうな余韻。神懸的である。
完璧に熟成した、完璧なグリヨット シャンベルタン。


生産者: ドメーヌ ド ラ ロマネ コンティ
銘柄: エシェゾー グランクリュ 1972

約130000円、WA91-93pt(1978)
外観はやや橙がかったルビー、粘性は高め。
長期に渡る熟成によるものか、非常に複雑で難解なワインとなっている。
焼いた帆立、シャンピニオンを強く感じる。剥き出しの旨味。
やや落ち込んだ紫スモモの果実味。沢庵、かつお節、燻製肉の熟成香が中心となって構成されている。ドライハーブ、オリエンタルスパイス。そして炭焼きなど。
酸とタンニンは穏やかで、すべて旨味に溶け込んでいる。口の中でほっこりとした帆立の旨味が広がる。ワインというよりスープを飲んでいる感覚に陥る一本。余韻は長い。最新ヴィンテージとは全く印象の異なるワイン。


前回のポストから何度も同じ発言をしていますが、生産者の個性やヴィンテージ、畑のポテンシャルが違いますので、一概にこれと断定する事はできません。
その上でこの2回のエントリーをまとめてみます。



■90年代 (17年-18年)
熟成香主体で旨味も良く出ているが、酸、タンニン共に果実味に対して突出しているため、やや刺々しい印象を受ける。
ジョルジュ ルーミエ クロ ヴージョ 1995
エマニュエル ルジェ ヴォーヌロマネ プルミエクリュ クロパラントゥー1996

■80年代(33年)
熟成香主体で旨味がより強く現れている。果実味はより落ち込んでいるが、タンニン、酸は旨味に転化しきっているので、ざらつきや刺々しさはなく。
旨味の詰まった液体に。
フーリエ グリオット シャンベルタン 1980

■70年代(41年)
果実味、タンニン、酸はほぼ残っておらず、熟成香と旨味の柔らかいスープの様な状態。
DRC エシェゾー 1972

生産者的にはいずれも優れた生産者であり、また畑としてもポテンシャルとしては大きく違いはないのかな、と思います。(特徴は違います)
その上で、優れた生産者のフラッグシップである前提で、上記のグラフの様な経年変化となるのかな、と思いました。
00年中盤以降はまだ若々しくフレッシュな楽しみ方が、90年代は熟成始めでやや飲みにくく、80年代は旨味と果実味、そして熟成香の複雑さが絶妙なバランスで現れて、70年代はやや枯れ始める、という。
あくまで主観ですし好みにもよるので、あまり参考にしないでいただきたいのですが、やはりリリース5年以内、そしてリリース後30年前後の2回飲み頃が来るのかな、と思っています。
その間何回か飲み頃は来ているのかと思いますが、まあ、そこはちょっとわかりませんね。パターンが多すぎて。

ちなみに今回は個々の村の特徴は熟成香で覆い隠されてしまっているので、テロワールはあまり重要視していません。
またヴィンテージの特性に関しては、下記の通り。

1996年→95年には劣るが80年より良年。
1995年→90年代としては90,99に次ぐ良年
1980年→80年代としては85,89に次ぐ良年。
1972年→言及なし

という事を考えると今回パッとしなかったクロパラントゥーやクロ ヴージョは、もっと良くなる可能性は全然あるという事ですかね。
ちょっと今の時期に飲んでしまった事は残念でしたか、また次に機会があったらより熟成を経たものを飲んでみたいですね。

最後にあくまで個人的な感想。
フーリエのグリオットは本当に凄かった!これだけの品質の古酒はなかなかないんじゃないかな、と。
澄んだ綺麗なルビーカラーもあいまって、本当に宝石の様な古酒だったと思います。DRCも決して悪かった訳ではなく、旨味の詰まった滋味溢れる素晴らしい古酒だったと思います。
今まで古酒より断然新しいヴィンテージのフレッシュな果実味や官能的な樽香が好みでしたが、古酒の良さにハマってしまいそうですね。
素晴らしかったです。

長い文章お付き合いありがとうございました。





DRC エシェゾー[1973]【smtb-T】

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価格:115,500円(税込、送料込)


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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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