新世界探訪2: オーストラリアの偉大なシラー。ヌーン リザーヴ シラーズを味わう。

こんばんわ。
今日はオーストラリアのヌーンワイナリーです。

ヌーンワイナリーはオーストラリアのマクラーレンヴェイル地区で家族経営を行っているカルトワイナリー。
このワイナリーがカルトと呼ばれる所以はまさに生産量の少なさとパーカーポイントのべらぼうな高さに起因します。最高特典は2001年、2002年ののリザーブシラーズの99点。見返してみても95点以上が殆どで、90点以下に至っては取った事が無い超優秀ワイナリーです。
生産量は6000本程度、シラーズの葡萄はすべて樹齢50年以上のものから収穫がなされ、手作業で除梗を行い、破砕、開示型発酵槽でフェルマンタシオン、手で圧搾し、抽出は(本人達的には)キュヴェゾンは14日程度。
醸造は300Lのアメリカンオーク、フレンチオークを併用し、18ヶ月間旧樽(300l)、新樽30-40%で熟成後、瓶詰めされます。

さて、行ってみましょう。


生産者: ヌーン ワイナリー
銘柄: ヌーン リザーヴ シラーズ 2010
品種: シラーズ 100%

約11000円、WA93pt(2009)
色調は濃いガーネットで粘性はべらぼうに高い。
新世界の最高峰のワインに見られる非常にジャミーで甘露な味わいが特徴的。まるでキャンディの様な芳香。
新世界的な王道シラーズ。
プルーンやブラックベリーの甘露で濃厚なジャム。黒胡椒などのスパイス、ミントや甘草やリコリスなどの複数のハーブ。そしてビスケットやバニラの様なローステッドな香り、マホガニー、パストラミハムなど。やや土っぽさも感じられる。
ひたすらジャミーで甘露。まさに果実味が爆発している。
タンニンは穏やかだが、酸はやや強め。かといって刺々しさは無くて、濃厚な果実味が強靭な酸をマスキングしている。超甘露でインパクト大なシラーズだ。


はい、本文にも書きましたが、果実味爆発って感じです。この手のタイプで言うとチリのセーニャやアルマヴィーヴァ、イクシール、ミシャックシラーズ。酸味を伴いながら、ジャミーかつキャンディーの様な濃密な甘みを垂れ流すタイプ。
ただそれだけではなくて、ローヌや昨日のコングスガードほどではないにせよ、スパイシーなニュアンスはあるし、甘露な中にも複雑さが垣間見れるのがいいですね。新世界の王道的なシラーズでありながら、シンプル一辺倒にならないところが素晴らしいと思います。品種特性ですがタンニンもカベルネソーヴィニヨン程強く抽出されないですし、酸も強いので、どこか明るくはつらつとした印象も受けます。
ちなみにマクラーレンヴェイルは夏季に雨が極端に少なく、暑いため、ブルゴーニュの様に冷夏や雹に悩まされるのではなく、灌漑を必要とするほど水に悩む土地のようです。
たしかに果実の熟度やアルコール度数は非常に高いと思います。
ただブルゴーニュファンとしては冷涼な気候の下、土壌ごとの養分を吸い取り、僅かな日照で複雑性を増すピノノワールをよく知っていますから、やはりこういう真逆なのは不思議な気分がしますね。
ただ、ピノノワールとしては凡作しか出来ない様な(育ちすらしない様な)土地でもシラーズの様な品種にとっては恵まれた土地になるというのは、非常に面白い話ですね。適材適所というか。

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新世界探訪1: ナパヴァレー再検証。絶妙な安定感、シェーファーのワンポイントファイブ、謎めくコングスガード シラー。

こんばんわ。
先日はカリフォルニアのピノノワールをレポートしましたが、今回はピノノワール以外の品種を追っていきます。
ついでにここ最近飲んだオーストラリア、カナダ、スペイン、チリの素晴らしいワインを5回に渡ってレポートしたいと思います。
まだ全然書いてないんで、毎日という訳にはいかないと思いますが、週に2回は最低更新したいと思っていますので、気長に宜しくお願いします。
毎日更新出来たら...褒めてください笑

さて、1回目はシェーファーのワンポイントファイヴとコングスガードのシラーです。

1973年に設立されたシェーファーはナパヴァレースタッグスリーブ地区に拠点を置くカリフォルニアカルト。
作付面積は赤で50ha、白はカーネロス地区で33ha。
今回のワンポイントファイヴはファイアーブレイク(サンジョベーゼ)を引き抜き、カベルネソーヴィニヨンを植え直した区画から作られています。2004年が初ヴィンテージのワインで、有機農法によって栽培、醸造された葡萄はフレンチオーク、アメリカンオーク半半で、65%新樽で20ヶ月間の熟成されます。
フラッグシップはご存知の通り、パーカーポイント100点を獲得したヒルサイドセレクト、カリフォルニアを代表するカルトワインです。

コングスガードはナパヴァレーに拠点を置くカルトワイナリー。
主にシャルドネ、シラー、ヴィオニエ、ルーサンヌ、カベルネ ソーヴィニヨンを産出しています。
このワイナリーは何と言ってもシャルドネですが、ハドソンヴィンヤードから産出される卓抜したシラーも高品質。グリーンハーヴェストによって収量は一般的なワイナリーの約半分。さらに厳格な選果が行われ、新樽比率50%のフレンチオークで24ヶ月熟成される。無論、無濾過、無清張。
フラッグシップはシャルドネを使用した、ザ ジャッジ。


生産者: シェーファー
銘柄: ワンポイントファイブ ナパヴァレースタッグスリープス ディストラクト 2009
品種: カベルネソーヴィニヨン98%、マルベック1%、プティヴェルト1%

約8000円、WA91-94pt
色調は濃いガーネット、粘性は高い。いかにも素晴らしいカベルネソーヴィニヨンだな、といった感じ。下級キュヴェにして風格を感じる。
非常にボルドー的な作りで、甘露なブラックベリーやカシス、そしてタバコやシダーウッド、ドライハーブ、ミント、燻製肉、リコリス、アーモンド、炒ったコーヒー豆のロースト香が漂う。
驚くほど滑らかでタンニン、酸ともに非常に強いのにシルキー。
まるでボルドーのグランヴァン、左岸の若いニュアンスを感じさせる。口に含むとブラックベリーの柔らかで甘露な果実味が広がる。


生産者: コングスガード ワイナリー
銘柄: コングスガード シラー ハドソン ヴィンヤード 2007
品種: シラー100%

約26000円、WA94pt。
色調は濃いガーネット、粘性は高い。非常にスパイシーでオイリー、かつスモーキーで濃厚なシラー。
独特の雰囲気を放つシラーで北部ローヌ的ではない濃厚な果実味と、新世界的ではないスパイシーさが特徴的である。オーストラリアのヌーン シラーズが所謂王道的な新世界シラーズだとしたら、こちらはローヌ、新世界どちらにも属さない異端のシラーだと思う。
五香粉、胡椒、リコリス、ゴムの様なスパイシーでローステッドな芳香。重々しい雰囲気を放つ。
徐々にプルーンやブラックベリーの濃厚な果実味。やや牛肉の脂身、濡れた樹皮などのオイリーでウッディなニュアンスが現れる。
ヌーンの様に外交的なシラーでは無く、果実味は凝縮していながらも、やや内向的な性質を持つ。
タンニン、酸味ともにとげとげしさはあまり感じられない。口の中では豊満な果実味とスパイシーさが両立している。特異だが不思議な魅力を放つシラー。


どれも流石ですね...
シェーファーのワンポイントファイヴはポートフォリオの中では準上級みたいなポジショニングなのですが、これでも十分凄い...
いや、むしろヒルサイドセレクトがパワフルで力強過ぎるせいか、とても絶妙なバランスですね。エレガントって程、軽やかな訳じゃないですが、丁度ボルドー的な味わいを感じられます。
新樽60%にしてはしっかりと樽を感じられるし(逆に言うと果実味がヒルサイドセレクトよりかなり落ち込んでいる...といった感じ)、この価格帯にして、このレベルか、といった感じです。
レオヴィルラスカーズみたいですね。プチラトゥールというか。この手の豪華でエレガントなカベルネソーヴィニヨンはいいですね。
ボルドーではラトゥールとマルゴーが好きな私としてはウェルカムな作りですね。
コングスガードのシラーは、いわゆる新世界のシラーズ的なボディを持ちつつ、どこかローヌを感じさせるスパイシーさがあるのが面白いですね。
新世界のローヌはコテコテのジューシーな果実味と豊かな酸味が特徴で、その酸味やタンニンを残しつつ、胡椒や五香粉、オイリーさがあって、特異な印象ですね。
立地はカーネロス地区にあるハドソンヴィンヤード。比較的冷涼ながら日照条件が良く、粘土が少ない水捌けの良い土地だからこそ現れる特徴なのかもしれませんね。
ローヌやシラーズの生産地域は大抵気温が暑いですし。

いや、カーネロスとスタッグスリーブディストラクトというナパにおいても気候が異なる土壌の異なる品種を利けたのは、とても勉強になりました。
普段ナパと一言で片付けてしまう地域を寄りで見るとここまで違うんですね。参りました。





ブルゴーニュ シャルドネ徒然、至福の4種類。

こんばんわ。
徒然とシャルドネです。
水平垂直テイスティングは「ビシッと解析しないとなー」と思ってるんですが、基本的には一本一本飲む時は緩く楽しんでいます。

さて今回はアルベール クリヴォーの村名ムルソー、メゾン ルロワの村名オークセイデュレス、ジャック カリヨンの村名ピュリニー モンラッシェ、そしてポールペルノのバタール モンラッシェです。

アルベールグリヴォーはムルソーの名門ドメーヌ。白が有名な生産者で、アルベールグリヴォーといえば何と言ってもムルソーの単一一級畑であるクロ ド ペリエールでしょう。
現在はタシュロンが栽培を担当し、新樽比率20%で12ヶ月熟成の後、瓶詰めしています。
ポートフォリオは厳選された赤三本、赤一本。フラッグシップはモノポールの一級クロ デ ペリエール、一級レ ペリエールの2種類。
メゾン ルロワはラルー ビーズ ルロワ率いる説明不要のブルゴーニュ最高のネゴシアン。
栽培は厳格なビオディナミを行っている生産者のものから買い付けを行ない、新樽率100%で熟成、無清澄、無濾過で瓶づめがなされます。今回のオークセイ デュレスはルロワ自らの本拠地で作るシャルドネです。
ピュリニーの生産者はルイ カリヨン。
栽培はビオでもリュットレゾネでもないですが、極力薬剤を控えた丁寧な栽培をしている様です。収量は抑え、凝縮感のある葡萄を使用しています。熟成にはバリック樽を使用し、新樽比率は多くても20%程度で、14ヶ月程度の熟成を行った後、瓶詰めして出荷されます。


生産者: アルベールグリヴォー
銘柄: ムルソー 2010

約5000円、WA91pt(2006)
外観は淡いストローイエロー、粘性は低め。
バターやナッツ、バニラやシロップの様なリッチな香りが主体だが、ムルソーとしては比較的ミネラルや酸味が強く引き締まった印象を受ける。カリンや洋梨の果実味、フレッシュハーブ、リコリスなどの風味。
甘みの発露は上級キュヴェに比べると大分抑え気味。
フレッシュな酸味とわずかに感じる苦味が特徴的。その分液面に軽さは感じない。


生産者: ジャック カリヨン
銘柄: ピュリニー モンラッシェ 2010

6,300円、WA90pt(2009)
色調は明るいストローイエロー、粘性は中庸。
ピュリニーらしい硬質なミネラル感、リコリス、フレッシュハーブや白い花などの清涼感のある香り。
そしてカリン、グレープフルーツなどの柑橘系の冷ややかなニュアンス、やや杏仁豆腐や塩バターのほのかな風味、キノコの様なニュアンスが感じ取れる。
硬質なミネラルが口の中まで現れる溌剌としたシャープな酸味がある。
けっして豊満ではなく、力強い訳ではなくて、しっかりした芯が通った卓抜した村名だと思います。


生産者:メゾン ルロワ
銘柄:オークセイ デュレス 2007

約10,000円
外観はやや濃いめのストローイエロー、清澄は成されているが、やや浮遊物がある。
粘性は高め。傑出したミネラルが感じられる。
抜栓直後はやや硬く、塩を降ったバターや出汁、ライチ、パイナップルの様な果実味。
そして徐々に白い花の蜜やバタースコッチなどのクリーミーで濃厚な甘露さが現れる。
アカシア、西洋サンザシ、白檀、シャンピニオン、ノワゼットなど。
途中から開き始めたときの果実味の凝縮感はルロワならでは。
ムルソーとピュリニーモンラッシェをやや小降りにしたかの様な味わいで、流石にドーヴネと比較すると、水準は低いと言わざるを得ないが、通常の生産者のプルミエクリュ並みの果実感はある。
酸味は強めで、ボディ自体はかなり強固。熟成によりポテンシャルを発揮すると思われる。
口の中で出汁やレモンの風味。余韻は長い。


生産者: ポール ペルノ
銘柄: バタール モンラッシェ グランクリュ 2011

約20,000円、WA95pt(2009)
色調は淡いストローイエロー、粘性は高い。
相変わらず若くてもこの生産者のバタールは素晴らしい。
しっかりした強固なミネラル。シャンピニオン。カリンやライチの酸味を強く感じる凝縮感のある果実味。
徐々に石鹸や焦がしたバター、白い花の蜜などの清涼感を感じさせつつ、凝縮した甘みが現れる。
そして杏仁豆腐、バニラ、フレッシュハーブの風味なども。
酸味は穏やかで、甘みと塩っぽい旨味が充実している。
やや若めで硬さは感じるが、非常に高いポテンシャルが感じられる。



さて、今回は村名が多いですね、特級はバタールだけです。
しかしながらどれも非常に美味しくて、「特級や一級とはなんだったのか・・・」と思わざるを得ないですね。
いや、そりゃ特級と一級は複雑味も果実味も、あと生産者が施している新樽のニュアンスどれをとっても素晴らしいですが、やっぱりあの価格帯のものはなかなか飲めませんからね。村名も高いですが。ハハ。

さてアルベールグリヴォーのムルソーですが、王道のムルソーから感じられるリッチさや豊満さがありつつ、抜きん出たミネラル感があるんですよね。
彼の単一畑、クロ ド ペリエールはミネラル感があるのは畑のイメージから分かるのですが、村名でも十分すぎる程のミネラル感があります。そして引き締まった酸が全体をしっかりと引き締めている様な気がします。フレデリック マニャンの村名ムルソーも同じ様な造りのものでしたが、基本的に樽を利かせてくる村名ムルソーの中にもしっかりとミネラル感を放つものがあるんですね。
個人的にはねっとり系のムルソーの方が好きなんですがね...ミネラル感がしっかりしているのならピュリニーかな、と。
さて、次はそのピュリニー。生産者はルイ カリヨン...ジャックカリヨンですね。
比較的地味な生産者ですが、非常に品質は高いと思います。まさにピュリニーモンラッシェ的なイメージをしっかりとワイン上に表している生産者で、しっかりしたミネラル感とやや冷ややかで硬質なタッチを感じされるピュリニーを作ります。白い花や石けんの様な清涼感の味わいがいいですね。
いわゆるムルソーと完全に差別化されているシャープなピュリニーモンラッシェでした。

次、ルロワ。
これはもう流石ルロワで。たかがと言っては何なんですが、オークセイデュレスという本当に地味な村名でありながら開いたときの果実の凝縮感が甘露さは比類ないものがあるんですよね。
複雑さはともかくとして、ここら辺の凝縮感は1級レベルであると思うんですよね。ぎゅっと引き締まった蜜やシロップの果実味は本当に美味しくて。ドーヴネイの村名ムルソー ナルヴォーがクレームブリュレの様な味わいでしたが、確かにその一本線にある驚異的なワインだと思いました。 これで10000円なら高くないと思います。切れ味の鋭い酸もいいですね。

最後はポール ペルノですが、本当にこの生産者は毎年凄いワインを作りますね。
ここ最近はずっと飲んでいるのですが、ビアンヴニュバタール、バタール、フォラティエール何を飲んでも美味しいので、なぜ有名にならないのか不思議...凝縮した果実味があって、清涼感、ミネラル感、切れ味の鋭い酸もある。
バランスはほぼ完璧で、印象としてはルフレーヴに近いと思います。限りなくピュアで透明感の溢れるピュリニーを作ります。
ルイカリヨンほどの硬質さは無くて、良い意味で、落ち着いたミネラル感があるのもバタールモンラッシェっぽいですね。

ブルゴーニュの白は色々と「樽が強い!」とか「ミネラル感が!」とか言われていますが大体美味しく飲めちゃうんですよね。それがレジオナルであってもおいしいものはマジで美味いです。
この微妙な機微に敏感になるのがブルゴーニュファンではありますが(勿論私も含めて)何分価格がそれなりの値段ですのでどうして敏感になってしまうのですよね。
もうすこし気軽にブルゴーニュのグランクリュ並みのワインを飲めるようになるといいんですがね…うーん。

超優良生産者シリュグ、コンフュロン、トランブレーの一級、特級を利く

こんばんわ。
今日もブルゴーニュですが、特に縛りは設けず3本レビューします。
ロベール シリュグのヴォーヌロマネ一級プティモン、ジャン ジャック コンフュロンの特級クロ ヴージョ、セシル トランブレの特級シャペル シャンベルタンです。


ロベールシリュグは1960年創業の小規模ドメーヌ。某コミックで偉大なワインとしてグランエシェゾーが紹介されていましたが、まあ、今ではちっとも手に入りません。元からレアですが...
今回はプティモンです。
平均樹齢は45年。栽培はリュットレゾネで行われ、収穫はすべて手作業。収穫後の果実は100%除梗を行った上で、30℃から32℃の温度に維持したまま、ステンレスタンクによる発酵が行われる。プティモンは新樽比率50%で18~20ヶ月熟成される。熟成中の澱引きは2回程度。無濾過、無清張で瓶詰めされる。フラッグシップは前述の通り、グランエシェゾー。

ジャン ジャック コンフュロンはプレモープリゼで18世紀に設立されたアラン ムニエ率いるドメーヌ。
今回のクロ ヴージョは前当主とシャルル ノエラとの結婚によってもたらされた特級畑。(その時にサンヴィヴァンも継承している)
クロ ヴージョの区画はグラン モーペルテュイ(か、その周辺)。
平均樹齢は45年、1991年よりビオロジックを導入し、馬での耕作、厳格なヴァンダンジュ ヴェールトが行われる。
除梗は特級で70%程度。低温浸漬を行った上でアルコール発酵を行う。ピジャージュのみで、ルモンタージュは行わない。キュヴェゾンは2週間前後。新樽比率はクロ ヴージョおよびロマネ サン ヴイヴァンで80-100%。熟成期間は15ヵ月から18ヵ月間。その後無清澄、無濾過で瓶詰めされる。
フラッグシップはロマネ サンヴィヴァンとクロ ヴージョ。

セシル トランブレは2003年からメキメキと頭角を表してきているルーキー生産者。有機農法やビオディナミの手法を実践している。
一部除梗した果房を木製発酵タンクで1ヶ月ほど発酵を行い、垂直式圧搾機でプレス、新樽比率75%で18ヶ月の熟成を行う。その際に澱引きは行わない。無濾過、無濾過で瓶詰め。抽出は過度には行わないそうです。
フラッグシップはエシェゾー ドゥスュ、シャペルシャンベルタン。

さていってみましょう。


生産者: ロベール シリュグ
銘柄: ヴォーヌ ロマネ プルミエクリュ レ プティモン 2010

約9000円
不安定さが一切無い堅実な作りのヴォーヌロマネ。
外観は淡いルビー、粘性は中庸。ややミネラル感を感じる。
シナモン、コーヒーやバターの様な風味と華やかな薔薇とスミレの芳香、ダークチェリーやブルーベリーの果皮の厚い果実味がある。
燻製肉、中華料理のスパイス、バニラの甘やかさ、グローヴ、茎、白檀などの風味が現れる。
全体的に甘露な作りだが、ミネラルによる芯がしっかりと通っている。
樽と果実味の均整が素晴らしい。
口に含むとびっくりするほどヴォーヌロマネでエレガント。タンニンは穏やかだが、鋭い酸によってスミレの華やかさが綺麗に表現されている。凝縮感もある。


生産者: ジャン ジャック コンフュロン
銘柄: クロ ヴージョ グランクリュ 2010

約14000円、WA88pt(2008)
やや樽のニュアンスが強いが、バランスの良い香りだと思う。そして果実の凝縮感が素晴らしい。
色調は濃いルビー、粘性は高い。
良く炒ったコーヒー豆や薔薇、スミレの華やかな香り、クローヴ。
そしてダークチェリー、ブルーベリーの黒系果実の凝縮した風味がある。甘露なシナモンや花の蜜、バニラなどの風味、ローズウッド、若い茎、燻製肉、クルミ、シベットなど。
ボディは非常にしっかりしている。パワフルでエネルギッシュ。強靭な果実味。口の中でスミレの様な華やかな味わいを楽しめる。
酸味とタンニンは力強いが、果実味が強いため、さほど気にならない。シュヴィヨンと比べて非常にパワフル。スプリンターの様な力強さがある。
ジュヴレシャンベルタン的な特徴に近いが花の香りを強く感じるあたりヴージョっぽい感じもする。


生産者: セシル トランブレー
銘柄: シャペル シャンベルタン グランクリュ 2010

約19000円、WA91-94pt(2009)
ぐっと閉じ籠った印象のシャペル。セシルの強烈な妖艶さは一体どこに...風味は間違いなくセシルなんだが、本当に閉じこもっていて、その魅力が殆ど感じられない。
色調は濃いガーネット、粘性は低め。非常に強い土っぽさ、埃っぽさ、線香や中華料理のスパイスの風味。
ダークチェリーとブラックベリーの黒系果実の凝縮した果実味。ほのかにバニラの様な甘やかさもある。
パストラミハム、毛皮、生肉などの野性味、土っぽさ、グローヴ。
徐々に樽っぽさから果実味も現れてきた。時間が経つとより鮮明になってきたが、まだ硬い。
タンニン、酸は強めで強固。口の中で芳醇なロースト香りが漂う。
セシル トランブレーは抜栓から十分に時間をかけないと良くないね。むしろ抜栓直後からフルパワーの村名の方がいいかもしれない。



さて、さすがにどれもいい感じでしたが、やはりこの中で最も気になったのはセシル トランブレのシャペルシャンベルタン。
セシル トランブレは個人的にとても好きな生産者で村名、一級、どれを飲んでも美味しかったのですが、今回のは最上級キュヴェゆえか、そうとう閉じこもっている印象を受けました。
もしくは今まで飲んだのが、V.R村名と一級ルージュ、C.Mだったからかもしれませんが、このシャペル、めっちゃ硬くて男性的です。土っぽい印象と言いましょうか。
ヴィンテージが若いからか樽のニュアンスが全くワインに溶け込んでいないんですよね...タンニンと酸もかなり強固。勿論グラスで徐々に解けてくると、卓抜した果実味が現れてきますが、恐らく最初の飲み頃まで、あと2年くらいはかかりそうですね。
ポテンシャルはすごい高いと思いますし、ジュヴレシャンベルタン的な肉厚さがしっかりとありますので、じっくり待てば、本当に凄まじいワインになりそうです。
粘土質で石灰岩を母岩としており、傾斜も強いのでミネラリーかつしなやかで味わいになるかとは思いますが、今の段階ではちょっとわかりませんでした。
ちなみにシャペルシャンベルタンはクロ ド ベーズの下部。母岩はウミユリ石灰岩で、表土は極めて薄く粘土質が強い。傾斜は東向きです。

次にジャン ジャック コンフュロンのクロ ヴージョ。こちらもセシル トランブレ同様、やや樽の風味が強く感じられましたが、非常に甘露で果実味がはっきり出ていました。かつ華やかさもあって非常に肉厚でリッチなクロ ヴージョだったと思います。ボディもしっかりしてます。
コンフュロンのクロ ヴージョは非常に恵まれた区画にあって、最上部においてはユドロ ノエラとルロワの畝の間、中腹部においてはモンジャールミュニュレとクリスチャンコンフュロンの畝の間にあります。基本的にグランエシェゾーに近い位置に畑を有していますので、クロ ヴージョとしては最上のものと言えると思います。
強めの樽のニュアンスを差し引くと、この伸びていく様な果実味は、どことなくグランエシェゾーを感じさせる部分が確かにある様な気がしますね。

最後はロベール シリュグ。
個人的には勝手に華やかで艶やかなワインを想像していたのですが、意外とボディはしっかりしていて、地に足が付いた作りだと思いました。
とはいえミネラル感、膨れ上がらないシャープな果実の濃密さ、目の細かさはまさにヴォーヌロマネっぽかったと思います。
プティモンはリシュブールの上部に隣接する優れた一級畑で、東北東に向いた斜面(傾斜はキツい)地質は石灰の多い、粘土石灰土壌です。
リシュブールとの共通点は果実の濃密さと、やや劣るけどボディが際立っているところですかね。
ただ正直比較しないとなんとも...と言った感じですが。とりあえず素晴らしいのは間違いないです。


4回続けてのブルゴーニュレポートでしたが、次の白でちょっとお休みです。
多分新世界かアフタヌーンティーあたりにいこうかと思います。





優しく華麗なピノノワール、フェミニンさ溢れるヴォルネイ一級畑を効く



こんにちは。
本日はニュイサンジョルジュときてヴォルネイです。
生産者はパスカルブレとレ プスドール。畑はヴォルネイ最上の畑に含まれるカイユレ(ソワサント ウーヴレ)、クロ ド ラ ブスドール、クロ デ シェーヌとかなり豪華なラインナップ。(出来れば最高の畑であるサントノ ディ ミリューも入れたかった...)

パスカル ブレは1975年に設立されたドメーヌ、醸造家はパスカルブレ。今回のクロ デ シェーヌは樹齢15年の葡萄を使用し、栽培はリュットレゾネで行われる。収穫後、100%除梗行い、木製発酵槽で10-12日間のキュヴェゾン。そしてピジャージュ、ルモンタージュを行いながら、発酵、マセラシオンを行う。新樽25%未満で約18ヶ月間熟成の後瓶詰めされる。
ちなみに奥様は私が好きなドメーヌの一つである、セシル トランブレーだとか!

ブスドールは19世紀はデュヴォーブロシェが、97年までジェラールポテルが、現在はパトリックランダンジェが運営するドメーヌで、栽培はビオディナミを実践し、除草剤、化学肥料は使用しない。収穫後入念な選果後、除梗し破砕される。醸造は果実にストレスを掛けないグラビティーフローを使用。低温浸漬は14日間。ピジャージュ、ルモンタージュ、他抽出に関しては記載はありません。
フラッグシップのモノポールである、2.13haのブスドール、0.8haのカイユレ ソワサント ウーヴレは特別な木製発酵槽で発酵させ、新樽30%で15ヶ月間熟成させる。樹齢はブスドール最古の葡萄で樹齢55年、ソワサント ウーヴレは60年となっている。

さて、どうでしょうか。


生産者: ドメーヌ レイヤンヌ エ パスカル ブレ
銘柄: ヴォルネイ プルミエクリュ クロ デ シェーヌ 2006

WA88-92pt
色調は赤みの強いルビー、粘性は高い。
僅かにローストしたトーストやワッフルの香りを主体として、シナモンやアメリカンチェリー、ダークチェリーの果実味を感じる。茎っぽいニュアンスやスミレ、なめし革、グローヴ、甘草などの風味が感じ取れる。
ヴォルネイらしくエレガントで酸もタンニンも柔らかい。しかしながら抽出は強めで果実味と樽はしっかりと感じられる。


生産者: ラ プスドール
銘柄: ヴォルネイ プルミエクリュ ソワザント ヴーヴレ 2002

約10000円、WA92-94pt
色調はやや濃いめのルビー、粘性は高め。
クロ ド ラ ブスドールと比べると、熟成を経ているからか、液体密度が低く、穏やかでエレガントな作りと言える。
スーボワや鉄分と血の様な香り、果皮の厚いブルーベリー、ダークチェリーの果実味。青っぽい茎やスミレの華やかな香り。
そして紅茶やグローヴや甘草、濡れた樹皮、燻製肉のアロマが漂う。しっかりしたミネラル感がある。
タンニン、酸はかなり落ち着いている。清涼感があり、滑らか、かつ穏やかな味わい。
すでに10年近くの熟成を経ているのにも関わらず驚異的な若々しさを放つ卓抜したヴォルネイだ。


生産者: ラ プスドール
銘柄: ヴォルネイ プルミエクリュ クロ ド ラ ブスドール 2005

約10000円、WA92pt。
色調はやや濃いめのルビー、粘性は高め。
エレガントだが、ソワザントヴーヴレと比べると比較的密度の高さを感じる作り。
とりわけ果実味が充実しておりブルーベリーやラズベリーのノンシュガージャムの様な果実味の集中力がある。そして紅茶やチーズ、茎や樹皮の様な青い風味、スミレの華やかさ、シナモン、燻製肉など。軽くロースト香も感じる。
タンニン、酸は穏やかで、非常にシルキー。旨味が綺麗に凝縮している。
濃い作りとは無縁のエキス感溢れるピノノワール。


うーん、ヴォルネイはやっぱりいいですね。なんというか、こう、爆発的な旨味とか甘みではないのですが、ギュッとした滋味がありますよね。
芯の通った洗練されたシャンボールや妖艶でアロマティックなヴォーヌロマネとは異なるフェミニンさ。果実味はしっかりしているのに、どこか素朴でピュアネスな作り。やっぱり好きですヴォルネイ。

さて、今回のヴォルネイは最上の一級畑ですが、どれも例に漏れず滋味と綺麗な黒系の果実味の溢れる味わいでした。
パスカルブレも素晴らしかったですが、ラ プスドールに関しては畑の違いがはっきり出ていて面白かったです。
クロ ド ラ プスドールとソワサント ヴーヴレはほぼ製法、樹齢はは同じですので、今回の際はほぼテロワールによるものだと考えています。

ヴォルネイは基本的にムルソー寄りが最上の区画が集中しています。

クロ デ シェーヌはカイユレとシャンパンの上部に位置する一級畑、勾配がキツく鉄分を含んだ粘土質とウーライトを含む粘土質で構成される。
カイユレ ソワサント ウーヴレはカイユレの北側下部にある一級畑。傾斜は緩く標高250m-290mに位置する。小石の多い泥炭質、石灰質ら粘土質の土壌。
クロ ド ラ ブスドールは村中心部、中腹部に位置する一級畑で標高260m-275m、母岩はアルゴヴィアン泥炭石灰岩で粘土石灰質土壌。

カイユレとブスドールの共通点としては標高と土壌で、確かに粘土質土壌からくるフェミニンがありながら、標高の高さからくる冷涼さによる黒系果実の味わいが特徴的でした。
黒系果実のニュアンスを感じますが、過熟的なところは一切なく比較的ドライで張り詰めた味わいだったと思います。
感触としてはややブスドールの方が肉厚な果実味で、カイユレは密度的には劣るものの、卓抜したミネラル感を感じたのですが、これらが何に由縁するものなのかはあまり良くわかりません。
ひょっとしたらヴィンテージが古いからカイユレの方が柔らかいニュアンスを感じたのかもしれませんが、こじつけていうとブスドールはモロに背斜面に面しているので、やや風の影響を受けている様な気がしますな。あと、南東向きの畑なので、日照時間の長さも関係あるかも。
本来はカイユレの方が小石が多く水捌けが良いので、堅牢な作りになりそうなものですが...(カイユレだって風の影響は弱いながらも受けるとは思いますし...)
ということは、やはりヴィンテージ...?
わかりません、誰か教えてください。

カイユレ ソワサント ヴーヴレは非常にヴォルネイらしいですが、個人的にはやはりバランス感の良いクロ ド ラ ブスドールの方が好きですね。ヴォルネイにたまに見られる(酸味の強い自然な)ジャムの様な果実味がとても良いと思います。

一番好きなのは、勿論サントノなんですがねー。



ロベールシュヴィヨン、ニュイ サン ジョルジュ最上の3種を利く。



こんにちわ。
本日はニュイ サン ジョルジュのトップドメーヌ、ロベール シュヴィヨンの最上の畑であるレ サン ジョルジュ、レ カイユ、レ ヴォークランをレポートします。

ロベールシュヴィヨンは1977年からネゴシアンへ葡萄の販売をやめて、全てドメーヌ元詰としています。現在はドニ氏とベルトラン氏がドメーヌの運用を行っており、ニュイ サン ジョルジュ
の村名、一級のみ生産しています。
フラッグシップは何と言っても、レ サンジョルジュ、レ カイユ、レ ヴォークランの3兄弟。そして脇を固める様にプリュリエ、ロンシエールなど5つの一級畑を所有する、ニュイ サン ジョルジュを代表する生産者です。
収量は30-35hl/ha。カイユ、ヴォークラン、レ サンジョルジュは平均樹齢75年。カイユ80年、ヴォークランに至っては100年を超える古木を使用しています。さらに選果は畑で厳密に行い、収穫した葡萄は100%除梗。
低温浸漬は1週間、抽出はピジャージュとルモンタージュを交互に実施。キュヴェゾンは1週間から3週間と比較的長め。プルミエクリュは新樽率30%で18ヶ月の熟成を行います。
2回の澱引き後、軽く濾過して瓶詰めします。

ではいってみましょう。


生産者:ロベール シュヴィヨン
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ レ カイユ 2010

約12000円、WA92-94pt(2009)
色調は濃いルビー、粘性はかなり強い。
ヴォークラン、カイユ、サンジョルジュの中だと強い華やかさと芯の強さがあるフェミニンなワイン。
薔薇やスミレ、野生的ななめし革や燻製肉の香り。そして甘露なチェリーリキュールやアメリカンチェリーの花の蜜などの赤系果実の華やかさを感じる。徐々にシナモンやバニラの樽っぽさが現れてくるが、その点に関してはヴォークランには遠く及ばない。依然としてやはり華やかさが主体という印象だ。
やや土っぽさ、紅茶、そら豆の様なニュアンスが現れる。
タンニンよりも酸味の方が際立っており、ボディとしてはもっとも軽量級。ムスクの様な野生的な香りと華やかなスミレの風味が口に広がる。


生産者:ロベール シュヴィヨン
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ レ ヴォークラン 2010

約12000円、WA93-95pt(2009)
色調は濃いルビー、粘性は中庸。
干した葡萄の様な凝縮した果実味がある。ドライプルーンやチェリーリキュールなどの甘やかな果実味、次第にやや樽の印象が現れる。キャラメルやバニラの様な風味が現れるが、時間を追うごとに非常に強くなってくる。ヴォークラン、カイユ、サンジョルジュの中で最も力強く甘露。
ほのかにスミレの華やかなニュアンスとクローヴ、樹皮、徐々になめし革などの野生的な風味が現れる。
タンニンや酸は比較的強めでエネルギッシュ。口の中で乾いた果実味が現れる。


生産者:ロベール シュヴィヨン
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ レ サン ジョルジュ 2010

約14000円、WA92-93(2008)
色調は濃いルビー、粘性はヴォークランと同程度。
ヴォークラン、カイユ、サンジョルジュの中でエネルギーの凝縮感と均整さを感じる。シナモンやコーヒーのローステッドな甘やかさとともに、プルーンやデーツの様な濃厚な甘やかさがある。
完璧なバランス感、果実味の凝縮度は非常に高い。徐々にグローヴやスミレ、薔薇の華やかさが現れる。それに果皮の厚い果実味の重さが補強している。燻製肉や土っぽさが現れる。
最終的には樽ではなく強烈な凝縮感のある干したフルーツの果実味と、樽のバニラの甘露でビターなニュアンスが非常に強く現れてくる。
どちらかといえばヴォークラン寄りかもしれない。グローヴ、ベーコンなどの野性味が現れてくる。
酸味もタンニンも力強くボディはヴォークラン同様しっかりしてる。カイユ同様野生的な果実味がある。



いやー、超面白かったです、このテイスティング!
非常に古典的なブルゴーニュの作りでテロワールがデフォルメされながら表現されている。
そして、いずれも綺麗で濃厚な甘やかさがあるのが特徴的でしたね。これはシャトー ヌフにも感じましたが、樹齢の高さによるものだと思います。抽出もしっかりしているので、結構華やかですね。
それと樽も比率が少ない割にはしっかりと効いているかな、と思います。


レサンジョルジュは濃褐色の粘土質土壌、小石による水はけの良さとミネラルが強い。
カイユも土壌構成は同じだが、粘土の比率が高く、やや小石が多い様子。
ヴォークランはレ サンジョルジュと道を挟んだ向かいで、こちらは土壌の石灰比率が高く、やや等高が高く勾配も険しい。
クロ デ ポレ、ペリエールとカイユ、ヴォークランの間の背斜面からの冷涼な風が吹く。

その結果、ヴォークランはマスキュランで力強く筋肉質。これは急勾配と標高がやや高い部分、石灰質土壌に由縁するものだし、カイユは粘土質土壌に伴って、フェミニンでしなやか、そして華々しさが感じられます。
レ サンジョルジュは丁度その中間でありながら妖艶で甘露。力強さと華やかさを併せ持ったユニセックスな印象を受ける。バランスが良く均整が取れている。

テロワールのイメージを明確に丁寧に表現出来ていると思います。
勿論ベースはロベールシュヴィヨンのワインですが、改めて並行で飲んでみると、その違いがとても明確で、生産者の意図を強く感じることが出来ました。
素晴らしいニュイ サン ジョルジュ一級だと思います。




流麗で可憐な2008、強固で力強い2009、2010。反転するラルロー クロ デュ フォレ サンジョルジュ垂直。


こんばんわ。
本日はドメーヌ ド ラルローの08,09,10の垂直です。
ドメーヌ ド ラルローはかなり好きな生産者で、クロ ド ラルローの華やかさと言ったらないですね...。

ドメーヌ ド ラルローは大手保険会社アクサ ミレジム(日本のアクサ損保と資本関係あるのかな?)がオーナーのドメーヌ。責任者はジャックセイスのDNAを受け継ぐジャン ピエール ド スメを雇い入れています。
栽培は完全ビオディナミで除草剤、殺虫剤は使用しない。プレパラートを使用するかなり本格的なビオです。
収穫後は除梗、低温浸漬も行わなず、抽出は発酵後一週間後に行う1日3回のピジャージュのみ (状況によってルモンタージュも実施)。新樽率は45-50%以上。樽熟成期間は不明。無濾過で瓶詰めします。
今回のクロ デ フォレはクロ ド ラルロに並ぶラルローのモノポール。シルトと粘土で構成された緩斜面に位置しています。

ではいってみましょう。


生産者: ドメーヌ ド ラルロー
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ クロ デ フォレ サン ジョルジュ 2008

8000円、WA92pt。
色調は濃いルビー、粘性は中庸。
08にして凄まじく華やかでパワフルな芳香。ややブレタノ系の香りがある。卓抜したミネラル感。
チェリーリキュールやアメリカンチェリーのコンポートの様な濃厚な果実味と薔薇やスミレの華やかさが主体となる。なめし革やお香、八角、鉄釘、口に含むと茎やクローヴ、徐々にハーブの風味も。ワッフルなど。
華やかさが重視されており甘露さは強くは無い。3本の中で最も華やかで艶やか。
酸味、タンニンが強い。加えてやや苦味があり舌の上での印象はあまり良くないが、膨れ上がる香りの妖艶さが全てを帳消しにする。


生産者: ドメーヌ ド ラルロー
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ クロ デ フォレ サン ジョルジュ 2009

11000円、WA92-94pt
08に比べてやや閉じこもった印象。土やシャンピニオン、五香粉、線香などのやや樽っぽい香りが強力に先行する。
徐々にブルーベリーやダークチェリーの黒系果実の甘やかさや果実味が現れてくる。全体的な印象としてはローステッドで重々しい。
炭焼きやムスク、漢方、燻製肉、なめし革。ややシロップやスミレの様なニュアンスも現れてくる。
こちらも2010同様最後まで樽に支配されていたが、甘やかさは最もしっかりと現れていたと思う。
口当たりは08同様タンニン、酸が荒々しく、苦味を感じる。
香りが08と比べて重めなだけ、少し苦味が気になる。液体の密度は軽め。こちらも果皮の厚さを感じる風味。


生産者: ドメーヌ ド ラルロー
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ クロ デ フォレ サン ジョルジュ 2010

12000円。
色調は濃いルビーで粘性は中庸。
丁度2009と2008の間くらいの印象。適度に華やかで、樽香もしっかりと効いている。
五香粉や線香の様な樽香とダークチェリーやブルーベリーなどの黒系果実の濃縮した果実味がある。
最も野生的な風味が強く、煌びやかななめし革や鉄分の香り、そしてミネラル感が徐々に伸びてくる。ムスク、シャンピニオン、土っぽさ。
全体的には2009年同様ローステッドで炭焼きの様な印象を受けるが、その分薔薇やスミレの華やかさは強く感じる。また2008と比べて果実の蜜の様な甘露さがキッチリと現れてくる。
最後まで樽香が支配している。またやや茎っぽい青いニュアンスも感じられる。
こちらも他のヴィンテージ同様、タンニンと酸が強く、苦味が残る。口の中でちょい甘やかな果実味がある。華やかさもある。


どれも素晴らしかったですが、やや2010と2009は樽のニュアンスが強く取っ付きにくかったですね。特に2009はやや閉じこもった様な印象がありました。ただ開き始めてからのねっとりとしたシロップの様な甘露さの発露は最も明確であったと思います。
2008年はその逆で正に最初のフルパワー時期。べらぼうに華やかで強固なミネラル感、花や果実の蜜の様な清涼感のある瑞々しい甘さ、複雑な要素が一気に押し寄せてくる感じ。
2010年は丁度その間ですが、どちらかといえば2009年寄りですかね。樽は強いですが、適度に華やかで果実味も瑞々しかったです。要素も複雑。
タンニン、酸が強いのでポテンシャルは高そうですが、現時点ではあまりバランスが良くないかな、と。

2008年はこの中だと本当に卓抜していて、私が好きなラルローのワインそのものでした。純真無垢で清涼感のある凝縮感に満ちたピノノワール。素晴らしい。
ただ、これはヴィンテージ全般的に言える事ですが、タンニンの裏にある嫌な苦味が気になりました。
新樽比率が高いのとドメーヌで乾燥させているアリオ樽のロースト具合によるなのかしら...フェヴレのフランソワ 時代のワインを思い出しますね。これ。
さて、ヴィンテージとしてはそれぞれどうだったのでしょうか。


2010年 : 収量は落ち込み、開花も遅かったが、夏以降の天候が安定していた。

2009年 : 収量は多く、ビックヴィンテージ

2008年 : 収量が大きく減る様な天候には見舞われなかったが、1年通じて不安定な年。


2009年はブルゴーニュにとってのビックヴィンテージでした。ラルローのワインは硬く閉じこもっていましたが、確かに果実味は豊かでタンニンや酸は充実していたと思います。
2010年は収量こそ落ちましたが、夏に問題がなかったとの事ですので、こちらも比較的良いヴィンテージと言えるでしょうか。単純に冬場に自然による選定が行われたと考えれば、2009年程ではないにせよ、似た性質になるのは自然ですかね。
2010年にせよ、2009年にせよ、恐らくかなりタンニンや酸、果実味は出ているので、長熟型として樽をしっかり効かせたのではないかな、と思います。

対して2008年は成熟期である夏場が不安定な気候だった為、熟度が上がらなかったのかな、と。
ミルランダージュや未熟な房などもあったと思いますので、葡萄そのものの力自体が2009年, 2010年に劣っていて、それに対してバランスを取るために樽を弱めにしたのか。 若しくは抽出を強めにしたのか。まあ、わかりませんが、非常に現段階で均整の取れた味わいだと感じました。

ラルローは2008年いいですね。
2009年、2010年は年を追うと、素晴らしい味わいとなりそうですが、今飲むのなら2008年がオススメです。
それと2006年もなかなか良かったと思います。

そんな感じです。




ドメーヌ デュ ペゴー、最大級の規模感を感じられるCNDP ローレンス、キュヴェ デ カポ


こんばんわ。
さて、シャトー ヌフ デュ パプ特集も今回で終了です。
最後はシャトー ヌフ デュ パプを代表する最上の生産者ドメーヌペゴーのキュヴェ ダ カポを含む2種類をレポートしたいと思います。

1987年に設立されたドメーヌ ペゴーはシャトー ヌフ デュ パプを代表する生産者の一人。
今回のキュヴェローレンス、キュヴェ ダ カポはペゴーのフラッグシップワインで、特にキュヴェ ダ カポは良年にしかリリースされず、かつ某コミックの影響で国内ではなかなか手に入りにくいワインです。
樹齢100年を越える古樹のグルナッシュの収量を更に抑え、成熟した葡萄のみを選定、除梗は全くせず、コンクリートタンク使用した全房発酵を行う。抽出は低温浸漬は行わずルモンタージュのみ。
熟成は澱引きをせず大きな古樽(70年程度のものも)のみで行ない、新樽は一切使用しない。SO2の添加は極力抑えられ、無清澄、無濾過で瓶詰めされます。


生産者: ドメーヌ デュ ペゴー
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ キュヴェ ローレンス 2005
品種:グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル(比率は不明)

14700円、WA95-97pt。
外観は赤みの濃いガーネット。粘性は高い。
やや熟成を感じる風味。
ドライプルーンやデーツなどの干した果実の甘露で濃厚な芳香。
濡れた土や樹皮、煙草や枯葉、茎の様な野生っぽいニュアンス。
パストラミハム、グローヴ、コリアンダー、トリュフ、炭焼きなど。
熟成によりかなり複雑なニュアンスが感じ取れる。
タンニン、酸は際立っており、キュヴェ ダ カポと比べるとやや険しいニュアンスを感じる。
しかしながら全体的には非常に豊満でリッチな香りを放つ。


生産者: ドメーヌ デュ ペゴー
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ キュヴェ ダ カポ 2007
品種:グルナッシュ75%、シラー20%、ムールヴェードル5%

44100円、WA100pt。
外観はキュヴェローレンスと比較して若干濃いガーネット。粘性は高い。
非常に甘露でクリーミー。果実味に由縁する花の蜜やシナモン、デーツや干したブラックベリーの果実味。
スミレや煙草、ベーコン、黒胡椒などのスパイス、クルミ、シロップが如き甘露さ。僅かにコーヒーのニュアンス。
徐々にクレームブリュレの様な甘露な味わいが現れてくる。
タンニン、酸は強固で充実しているが、ローレンスと比べてとげとげしさは無く滑らか。
ボディは濃厚で、多様な要素を支える。口の中で華やかな干し果実が膨れ上がる。


...さすがドメーヌペゴーです、全くもって素晴らしい作り。
特にすごいのがキュヴェ ローレンスにせよキュヴェ ダ カポにせよ、まるでドライフルーツの様な甘露さがある事ですね。恐らく古木や収量制限による糖度の高さだと思います。
そもそもペゴーに限らず、シャトー ヌフ デュ パプは全体的にアルコール度数が高いのですが、それでも甘露さが残るあたり、いかに糖度の高い葡萄が出来ているか想像がつきますね。
それともう一つ特徴的なのは他の生産者のシャトー ヌフ デュ パプと比べて野性味かあるところでしょうか。これは除梗がされていない事に由縁する青っぽさ、果皮の厚さに伴う華やかさに起因したニュアンスだと認識していますが、どうでしょうか。
さて、そのなかで、この二つのキュヴェの違いは、というと、やはり果実の凝縮度やリッチさ、そして複雑さでしょう。
ヴィンテージが異なるので正確かどうかは微妙ですし、ローレンスはやや熟成香もあったのですが、それを取り払って考えると、ダ カポはドライフルーツの甘やかさに加えてクレームブリュレの様な豊満な風味や、スパイスや黒胡椒のニュアンスがあります。
やや複雑で、かつ酸とタンニンは強固でありながらきめ細やかで険しさを感じないという。
ワインとしてのまとまりが半端ないレベルで実現されていますね。
果実味の凝縮感、リッチさ(タンニンが滑らかなのでパワフルという表現はどうにも合わないですね)は、この3回で飲んだヌフの中でも随一で、パーカーポイント100点は凄く納得できますね。

さて、総括としては...

1:甘やかな果実味で押してくるタイプ
キュヴェ ローレンス<グルナッシュ ド ピエール<レゼルヴ デュ ドゥーフレール<キュヴェ ダ カポ

2:新世界的な溌剌とした酸味と果実味タイプ
ガイマルド<モンナイユル

3:華やかさと果実味のバランスがとれたタイプ
シャルル ジロー

といった感じです。
「やはりグルナッシュ比率が多いと甘やかになるのか...」と思ったのですが、ガイマルドやモンナイユルがグルナッシュ90%に対してキュヴェ ダ カポが70%なんで、単純に古木の比率だったりするのかな?
少なくとも単純に比率ではなさそうです。わからん...!

ともあれ、どのワインもすごく果実味が豊かでシャトー ヌフ デュ パプのキャッチーさと真髄に触れられた気分です。ぶっちゃけ北部ローヌ派でコートロティ、エルミタージュのスパイシーさや華やかが凄い好きだったのですが、ここまで素晴らしいヌフを飲ませられると、ちょっと浮気しちゃいますね。



ピエールユッセリオ、常識外れの果実味を放つCNDP。


こんにちわ。
今日はシャトー ヌフ デュ パプ特集2日目、ピエール ユッセリオです。

現当主であるジャンとティエリーが指揮を取るピエールユッセリオは、1949年より自社で元詰めを始めたドメーヌ、生産方法は伝統的な南部ローヌスタイルを踏襲しています。
シャトー ヌフ デュ パプでは最も偉大なドメーヌのうちのひとつで、フラッグシップはシングルヴィンヤードのモンナイユールと、ベストロットのドゥフレール。
モンナイユールはユッセリオが保有する卓抜した畑で、65年(さらにそのうち25%は樹齢85年)を超えるグルナッシュを使用し、シラーとの混醸でリリースする。
収量は25hl/ha、ヴァンダンジュヴェールト、すべて手積みでの収穫後、選果が行われ除梗を100%でコンクリートタンクで28℃までの温度にして醗酵。キュヴェゾンは25日で、60%はオーク製の旧大樽、40%はコンクリートタンクで12ヵ月熟成の後無濾過で瓶詰め、3ヶ月の瓶詰め期間を経た後出荷が行われる。
またフラッグシップとも言えるレゼルヴ デュ ドゥーフレールは樹齢50年から90年のグルナッシュ100%で、ベストロットを選定したワイン。(モンナイユール含む畑のアッサンブラージュ)
収量は20 hl/haと少なく、ヴァンダンジュヴェールト、こちらもすべて手摘みで収穫、選果が行われた後、除梗を100%行い、コンクリートタンクで28℃までの温度にして醗酵。キュヴェゾンは30日間程度。新樽比率30%で12ヶ月樽熟成を行い、無清澄で瓶詰めが行われる。

品種の構成自体はドメーヌ ジローと同じですね(ガイマルドとモン ナイユルはGr90% Sy10%、ピエール ド グルナッシュとレゼルヴ デ ドゥーフレールはGr 100%)


生産者: ピエール ユッセリオ
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ モン ナイユル 2010
品種: グルナッシュ 90%、シラー10%

12000円、WA97pt。
外観は赤みの強いガーネット、粘性は高い。
甘露なデーツやブラックベリーのコンポート、チェリーリキュールの様な果実味。
新世界的なキャンディの様な香りが特徴的。
芍薬やスミレの華やかなニュアンス。そしてシロップ、ヒノキの樹皮などの樽のニュアンス。
どちらかといえば華やかさが前に出ている。シナモン、ハチミツ、燻製肉など。
濃厚というよりどちらかといえば花の蜜の様な澄んだ甘露さが目立つ。
タンニン、酸は際立っているが、白ワインの様な芯の通った甘露さと力強さが漲っている。
ドゥフレールと比べるとより小降りだが芯が通った印象。


生産者: ピエール ユッセリオ
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ レゼルヴ デ ドゥ フレール 2010
品種: グルナッシュ100%

27000円、WA96+pt
色調はややモン ナイユルより濃く、黒に近いガーネット。粘性は高い。
こちらは非常に甘露で柔らかい味わいで、デーツやブラックベリーのコンポートの様な果実味。
モンナイユルの様なガムの様な新世界っぽい甘やかさはあまり無くて、クレームブリュレやシロップの濃厚な風味がある。バニラやシナモン、ハチミツ、リコリス、スパイス。ベーコンなどの野生的な風味も。
薔薇やスミレの華やかさはやや弱く、より複雑な豊満さがありモンナイユールと比べるとリッチな味わい。
酸味とタンニンはやはり強めだが豊満でボリューミーな果実味によって特に気にならない。
素晴らしい甘露さ、濃厚さ。


ううむ、大体ドメーヌジローの時と、各ワインを対比した時の感じとしては同じですねえ。
シラーが入ると一気に華やかにキャンディの様な風味が出てきて、グルナッシュ100%だと豊満で優しいリッチな果実味になるという。酸味の出方もこちらでいうとモン ナイユルやガイマルドの方がやや強く感じます。
さてピエールユッセリオの中で言うと、やや、レゼルヴ デ ドゥーフレールの方が収量が少ないです、それに起因してか若干凝縮感がドゥ フレールの方が強いと思います。ただどちらかというとキュヴェゾンによるタンニンの違いが際立っていたと思います。樽のニュアンスが非常に強く感じられたのは新樽がドゥーフレールには使われているからですかね。
ドメーヌジローはガイマルドの方が好きですが、ややモン ナイユルは小振りな印象があります。
そういう意味でいうと、ドゥーフレールのほうが断然好きですね。
グルナッシュってすげえなぁと心底思ってしまう造りですね。



ジローのモダンなCNDPとサンプレフェールの特異なCNDPを利き比べる



こんばんは、今回は3回に渡ってシャトー ヌフ デュ パプ特集です。特にWAのポイントが高いものを中心に。

さて、まずはシャトー ヌフ デュ パプについておさらいです。
シャトー ヌフ デュ パプ(以外CNDP)はフランス ローヌ南部にあるコミューン。(※プロヴァンス アルプ コート ダジュール地方)
南部ローヌにおいて最も偉大なワインを産出する事で有名な産地です。土壌は、丸い大きな石が点在している褐色粘土土壌。その他に砂地や石灰岩、砂岩と複雑に構成されています。
寒暖の差は激しく、最大で28℃程度違う時もあるようです。作付比率は赤97%、白3%。
中でも特筆すべき特徴はシャトー ヌフ デュ パプの使用可能な品目数です。その数なんと13品種。赤ワイン用としてはグルナッシュ、シラー、ムールヴェードル、サンソー、ミュスカルダン、クーノワーズ、ヴァカレーズ、テレ ノワール。白ワイン用としてはグルナッシュ・ブラン、クレレット、ブールブラン、ルーサンヌ、ピクプール、ピカルダン。
ただ、全て使用しているのはシャトー ド ボーカステルくらいで、他は概ね赤はグルナッシュ、シラー、ムールヴェードル。白はグルナッシュ ブラン、ルーサンヌがいいとこです。

今回はそんなCNDPの中でもフィリップカンビが醸造コンサルタントとして活躍する2つのドメーヌを。

1974年に設立されたマリー エ フランソワ ジローはマリーとフランソワの兄弟が運営しているドメーヌで、フィリップカンビ氏を醸造コンサルタントとして迎え入れています。
生産は全行程ビオロジック。
栽培面積は19haのうち平均樹齢100年のレ ガイマルドが2.5ha(収量:18hl/ha)、同じく樹齢100年以上のグルナッシュ ド ピエールが2.0ha(18hl/ha)。樹齢50年以下の葡萄は全てネゴシアンに売却しています。総生産量は30000本
醸造にまつわる部分は不明ですが、インポーターさんのHPだとシラーのみ新樽で、ほかはステンレスタンク内で発酵を行っている様です。フラッグシップは今回レポートするレ ガイマルドとレ ピエール ド グルナッシュの2本です。

サンプレフェールは1920年代にフェルナンドセッレがシャトー ヌフ デュ パプに興したドメーヌで、最も早く元詰めを始めたドメーヌでもあります。2002年からイザベル・フェランド氏がドメーヌを復興させ、運営を行っている。こちらもマリー エ フランソワ ジローと同様、醸造コンサルタントとしてフィリップカンビ氏を迎え入れています。
こちらは栽培は有機栽培で一部ビオディナミの手法を取り入れています。ヴァンダンジュヴェールト、手作業で完熟した果房のみ朝のみ収穫する。発酵はコンクリートタンクで行われ、品種によってコンクリートタンク、バリック新樽、旧樽を使い分け18ヶ月の熟成を行う。栽培面積は15ha(15hl/ha)で平均樹齢は40~100年。


生産者: マリー エ フランソワ ジロー
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ ガイマルド 2010
品種: グルナッシュ90%、シラー10%

約7800円、WA95-97pt。
外観は赤みの強いガーネットで、粘性は高い。
印象としてはモンナイユールと良く似ている。新世界的な濃厚なガムやキャンディーの様な果実味。ブラックベリーやプルーンの濃厚な果実味が主軸となっている。
やや黒胡椒の様なスパイシーなのはシラーによるものか。ワッフル、キャラメルの様な甘露な果実味。薔薇、スミレの華やかな芳香、ドライフラワー、シナモン、ナッツ、ドライハーブ、ミルクティー、ベーコンの様なニュアンスも。
酸とタンニンは強めだが、こちらも果実味かやはり豊かでリッチで膨らみのある味わいが楽しめる。
例えばアルマヴィヴァの様な甘露で強烈な甘みを持った味わいがある。ピエール ド グルナッシュと比較すると、こちらの方がより華やかさを感じる。モダンなタイプ?


生産者: マリー エ フランソワ ジロー
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ グルナッシュ ド ピエール 2010
品種: グルナッシュ100%(樹齢100年以上)

約10300円、WA98-100pt。
外観はより濃いガーネットで粘性は高い。
同生産者のガイマルドと比較して、深い重みのある芳香で酸味とタンニンがより際立っている。
しかしながら、それらを上回る強烈な甘やかさがある。グルナッシュの特徴か。
ブラックベリーやチェリーリキュールの様な濃厚な果実味と、より甘露でシロップやコーヒーのローステッドな風味。甘露さの持続時間がこちらのほうが全然長い。クレームブリュレやシロップ、ワッフルなどの甘露な樽の香り。アーモンド、ややスパイスを感じる。ベニヤ板、わずかに燻製肉、溶剤、薔薇の様な華やかさ、煙草やベーコンの風味。
ややタニックで酸は強烈だが、分厚い果実味とシロップの味わいが口に広がる。
ガイマルドと比べて全体的に濃厚で甘露な印象、そしてウッディ。


生産者: サン プレフェール
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ コレクション シャルル ジロー 2010
品目: グルナッシュ60%、ムールヴェードル40%

9000円、WA98pt。
外観はやや濃いめのガーネット、粘性は高い。
この中(※CNDP2回、3回含む)では突出したエレガントさがある。グルナッシュの力押しの果実味はあまり感じられない。これは確かにすごい美味しい。果実味に寄らない美味さがある。凄まじい。
スパイシーな味わいで、ダークチェリーやプラム、オリーブの様な果実味はあるのだけど、より複雑で炭焼きや良く炒ったカカオの様なビターさを感じる。ワッフル、クルミやバターの様なニュアンスも。
過剰に甘露な訳ではない。松や樹皮などの青っぽさを感じられる。複雑でいて均整の取れた芳香。
タンニン、酸は厳しめだが複雑で作り込まれた味わいが特徴的だ。
複雑でアロマティック、華やかな香りが楽しめる。


まずはジローからですね。この2本、収量や葡萄の木の樹齢に関してはほぼ同様ですが、味わいは大きく異なっています。樽や地勢に起因する部分もあるかと思いますが、恐らく最も大きな相違を生み出しているのはガイマルドに10%だけ混醸されたシラーに由縁するものだと思います。
10%のシラーが混醸されたガイマルドは華やかで瑞々しく濃密な果実味を有しています。
シラーはスパイシーさや華やかさ、野性味の溢れた品種ですが、一部そういった要素が混じっていると思いました。
新世界的なシラー、というかシラーズを想起させる様なニュアンスがあります。強い日差しを感じさせるキャンディーの様な果実味。
これに対してグルナッシュ100%のグルナッシュ ド ピエールは甘露な果実味と濃厚なボディでしたね。
ギラギラとした濃密な果実味というより、もっと甘やかなドライフルーツ、そして樽っぽいシロップやコーヒーのニュアンスなど、リッチで豊満、そしてしっかりしたボディのワインだと感じました。
力強いといえばどちらも力強い造りなのですが、タイプが異なりますね。しかしながら両方とも非常に高い水準にあるシャトー ヌフ デュ パプだと思いました。樽はグルナッシュの方が利かせてるのではないかな。
インポーターさんのサイトだとシラーのみ新樽で、グルナッシュはステンレスタンクと書かれていますが、恐らく熟成には新樽を使ってると思います。あとインポーターさんの資料が何かコピペっぽいです。

次にサンプレフェールですが、これがまた本当に凄い。卓抜したシャトー ヌフ デュ パプだと思いました。
ブルゴーニュと言うとかなり語弊がありますが、それに似たすごく複雑なニュアンスで、ジローに比べると果実味が若干落ち込みますが、バランスがすごくいい。
ムールヴェードルというとやや地味な感じがしますが、スペインで言うとモナストレルですから第一線級の品種であります。ややスパイシーで土っぽい香りがこのワインにもどこかあって、それらが良くグルナッシュと均整をとっている印象です。とてもアロマティック。
それでも収量に気を使っているからか、凝縮感は結構あります。新樽も一部使っているからか樽香もしっかりあります。テイスティングレポートでも本文でも言っていますが、とにかく均整の取れた味わいです。
素晴らしくレベルの高いCNDPだと思いました。

俯瞰してみて思ったのが、樹齢の高さから来る甘露さと、柔軟なCNDPのアッセンブラージュによって大きく印象が変わる点が最も興味深いと思いました。
ネタバラシをすると次回はピエールユッセリオ、その次はドメーヌ ペゴーなのですが、これらもアッセンブラージュによって当然ながら大きく変わってくるみたいです。
この点に関しては、次回かそれ以降にゆっくりと迫って行きたいと思います。


濃密で硬質。稀有な力強さとエレガンスを放つルシアンのレ ザムルーズ。他ネゴシアンのスショと村名VV。

こんばんわ。
久しぶりのブルゴーニュです。しかも全部ネゴシアン。
やや変わり種をあつめてみました。フレドリック マニャン、ルモワスネ、そしてリュシアン ル モワンヌ。

フレデリックマニャンはミシェルマニャンの父に当たるベルナールマニャンの孫のネゴシアンラベル。
カレラで修行を積んだフレデリックマニャンは93年から自身の名前を冠したネゴシアンワインを市場に送り出しています。2000年代初頭は樽をしっかりと利かせたモダンな作風でしたが、近年はテロワールを尊重した造りを行っています。このネゴシアンの選定スタイルは実にユニークで古典的。自転車で気に入った区画を見つけたら、直接所有者に交渉を持ちかけて高い金額で購入する。(アップルのサプライチェーンみたいですね。)
40年程度の古木を中心に選定、100%除梗を行ないグラヴィティフローで破砕、圧搾、発酵までを行う。
ピジャージュは18日程度、樽はフランソワフレール社のみを使用。村名は30%新樽比率で14ヶ月熟成の後、無濾過で瓶詰めされる。

ルモワスネは100年以上続くブルゴーニュの老舗ネゴシアンです。現在はドメーヌ元詰が一般化していますが、ネゴシアン経由での販売が一般的だった時代、今でいう有力な生産者からワインを購入し、販売していました。そしてルモワスネが所有している地下カーヴには地域最大量とも言える古酒が眠っています。高品質なワインの古酒をここまで溜め込んでいるネゴシアンはそうないでしょう。

そして最後は新進気鋭のネゴシアン、リュシアン ル モワンヌ。
1999年に立ち上げられたこの小規模なネゴシアンはリリース直後からワインスペクテーター、ワインアドヴォケイトなどで非常に高い評価を受けています、残念な事にやや価格は高めですが。煌びやかな程の一級畑、特級畑のみをリリースしています。
常に最高の生産者から発酵後のワインを購入し、自社でMLFおよび樽熟成を行っています。MLFは遅い時期に行われ、ステファヌシャサン製の新樽100%で18~24ヶ月熟成される。澱引きは瓶詰め直前まで行わない。

ではいってみましょう。

生産者: フレドリック マニャン
銘柄: シャンボール ミュジニー ヴィエイユヴィーニュ 2009

約4000円。
色調はやや濃いめのルビー、粘性は高め。
なかなか凝縮感のあるシャンボールミュジニー。ミネラル感もある
ダークチェリー、紫スモモのやや酸味を強く感じる果実味。スミレや薔薇の香りもあるが、残念ながらやや香りは立っていないようだった。ほのかに茎やシナモンのニュアンスは感じ取ることができた。
特徴はよく出ているものの、香り自体がさほど強く現れている訳ではなく、ちょっと飲む環境が悪かったかな、と。
酸は綺麗だしタンニンも穏やか、果実味もあって、口に含む分にはいいワインだなぁとは思うんだけど…別に再挑戦したいワインだなぁ。


生産者: ルモワスネ
銘柄: ヴォーヌロマネ プルミエクリュ レ スショ 1998

約14000円程度。
やや体力が低いのか...ちょっと香りは落ち込み気味。
外観は若々しいルビーでエッジは橙を帯びている。粘性はやや高め。熟成香が強く出ている。
枯葉や腐葉土、ドライハーブの熟成香となめし革、ドライフラワー。ダークチェリー、紫スモモの果実味、キノコ、藁の香り。グローヴ、ゴムなど。ちょっとダレた味わいで、酸味、タンニンは十分に残っているが、果実味がそろそろなくなりそうかも。


生産者: リュシアン ル モワンヌ
銘柄: シャンボール ミュジニー レ ザムルーズ 2010

約25000円、WA92-94pt
色調は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
非常に香りはカリフォルニアピノノワールの如き濃厚さを感じさせるが、シャンボールらしいミネラル感と繊細さが確かにある。
抽出は非常に強く、樽の香りもしっかりと効いている。
岩を砕いた様なミネラル感に強いスミレや薔薇のキャンディー、シベット、凝縮感に満ちたダークチェリーやプラムの様な酸味を伴う黒系果実の果実味、シナモンやコーヒー、キャラメルなどの焼けた樽香。それらが渾然一体となって立ち上る。ヒノキや葉巻や燻製肉、アニスなど。
過剰に甘露にならず、シャンボールらしく切り立ったミネラルとそれに呼応する様な強めの酸味。目が詰まった凝縮感のある果実味が楽しめる。タンニンは柔らかい。
とてつもなくエレガントで濃縮感がありながら切れ味の鋭いアムルーズ。
徐々に時間を経るとかなり柔らかくなってくる。本領発揮と言わんばかりの華やかさを放つ。


フレドリックマニャンのワインは白も赤もミネラル分が際立ってますね。全体の印象としてはやや固めですね。
比較的若いヴィンテージだからか、そこまで新樽のニュアンスは感じませんでした。
ルモワスネのレ スショは...正直リシュブールの古酒が素晴らしかったので期待していたのですが、やはりテロワールに若干弱い部分があるのか、果実味が落ち込んでる印象でした。一級レ スショも一級の中でも卓抜したポテンシャルを持つ畑ですが、流石にリシュブール基準では考えてはいけなかったですかね。流石に20年の熟成は厳しかった様です。
ちなみにレ スショの立地としてはリシュブール、サンヴィヴァン、エシェゾーに隣接していますが、一段低い立地となっています。

これが一級たる所以なのですが、如何程違うのか...

さて、最後はレ ザムルーズ。
リュシアン ル モワンヌらしく非常に濃密で強靭な作りなんですが、彼のマジ シャンベルタンと比べると、やはり冷ややかで硬質な印象をうけます。

レ ザムルーズは特級ミュジニーとよく似た風味を持つシャンボールミュジニー最上の、ブルゴーニュを代表する5.4haの一級畑。コンブラシアン石灰岩が母岩となっており、その下には魚卵状石灰岩がある。表土が薄く小石が多い。そして水はけも良い。
水はけの良さは石灰地質の影響を強く与えるのでこれにより非常にミネラリーでフェミニンなワインが出来るのですが、リュシアンのワインは非常に精密にアムルーズの個性を捉えていると思います。
スタイルはグロフィエやヴォギュエとは全く異なりますが、生産者内のワインの作りで見た時に、明らかに硬質なミネラル感と果実の凝縮感を出しつつ甘露になりすぎない冷涼なタッチを生み出しています。マジシャンベルタンやレ カイユは濃厚ですが、こちらはよりシャープでソリッドです。
抽出が強く、樽はしっかりと効いていますがテロワールをキッチリと表現しているのは素晴らしいですね。

フレドリック マニャンはやや中凡、ルモワスネはもう少し若い方が良かった。
そういう意味で、この2本に関しては、やや難ありと思いますが、その点リュシアンのアムルーズは現時点においても非常に優れた完璧なアムルーズでした。
忠実にテロワールを再現している点に関しても、並み居るシャンボールの生産者には決して負けてはいない。
作りに関してはモダンなので飲む人を選ぶかもしれませんが、僕として注目に値する素晴らしい選美眼を持ったネゴシアンだと思います。



ボルドーメドック、グラーヴの古酒、枯れ際を探る。

こんにちわ。
今日は久々にボルドーの古酒でございます。

ちなみ私は比較的早飲み派ですが、ボルドーやシャンパーニュは幾分か熟成感があった方が好きです。
というのは若いボルドーはタニックだし(果実味は魅力的ですけど)、シャンパーニュは熟成しないと今ひとつ酸味が強くて、なかなかピンと来ないのです。シャンパーニュに関してはNVでもリザーブワインの比率が高いものは深みも酸味もちょうど良くていいんですけどね。

今回はグラーヴのパプ クレマン、オーメドックのカントメルル、そしてサンテステフのカロンセギュールの3本です。

カントメルルは16世紀から続く老舗シャトーで現在はメドック5級格付に位置しています。アペラシオンはいわゆる村ではなくレオジナルのオーメドック。しかしながらその品質は3級シャトーに匹敵すると言われています。
80年代から近代醸造技術により革命的な進化を遂げました。
平均製造本数は約300,000本、平均樹齢は約30年。手収穫で丁寧に収穫を終えた後、マセラシオンは木製タンクで28から30日間行われ、約30-40%の新樽で約12ヶ月熟成の後、無濾過で瓶詰めされます。

パプ クレマンはグラーヴ格付シャトー。13世紀から続くこのシャトーは1970年代中盤に品質を大きく落としますが、85年にベルナール ブショルが雇い入れられ急激に品質が回復、以降90年代にはミシェルロランも参画しオーブリオンやラミッションオーブリオンと比肩するシャトーとなっています。
年間生産量は95000本、平均樹齢は27年。醸造は低温浸漬を3日間行った後、木製発酵槽にて26~29日間のアルコール発酵とマセラシオン。ビジャージュは手作業で行われ、100%新樽にてMLFと20ヶ月熟成後、無清澄で瓶詰めされる。

カロン セギュールはサンテステフに拠点を置くメドック格付3級シャトー。30年代から60年代まで非常に高品質なワインを作っていたが、その後品質が落ち込む。しかしながら1990年代に品質が復活する。平均樹齢は35年、醸造はステンレス槽で3週間のマセラシオンを行う。一部は木製樽で一部MLFを行い、新樽50%で18ヶ月程度熟成させた後、無濾過で瓶詰めされる。

さて、今回はボルドーでもかなりの古酒です。特にカロンセギュール1970。
どうでしょうか。


生産者、銘柄: シャトー カントメルル 1989
品種: カベルネソーヴィニヨン50%、メルロー 40%、カベルネフラン 5%、プティヴェルド 5%

約14000円、WA92pt。
色調はやや薄目のガーネット、エッジに橙。旨味が凝縮しはじめている。なかなかいい。
素晴らしいミントと西洋杉、腐葉土、濡れた土っぽさ。毛皮やジビエなどの動物っぽさ。焼いた木材やカカオ。
グローヴ、甘草。そしてカシス、ブラックベリーの凝縮感があるアロマ。
酸味やタンニンは柔らかく、口の中で木材やブラックベリーの風味が楽しめる。


生産者、銘柄: シャトー パブ クレマン 1989
品種:カベルネ・ソーヴィニョン58%、メルロー42%

約40000円、約87pt。
色調は橙を帯びた濃いガーネット、粘性は高い。
かなり熟成が進んでいる。
沢庵やかつお節の様な円熟した旨味と檜、生ハムの様な血液の香りが主体。
ほのかにブラックベリーやカシスの香りも残っている。腐葉土や濡れた樹皮、ドライフラワー、きのこ、グローヴやリコリス、クルミなど。
タンニンはスムーズで酸味も適度。液体はスムーズで柔らかく、薄めの液体濃度に凄まじい旨味と木材の複雑なニュアンスが乗ってくる。
かなり品格のあるボルドー。あと少しタンニンが柔らかくなるととてつもないワインに成長しそうだ。


生産者、銘柄: シャトー カロン セギュール 1970
品種:カベルネ ソーヴィニヨン65%、メルロ 20%、カベルネ フラン 15%

約34000円、WA80pt。
色調はエッジに橙を帯びたくすんだガーネットで、粘性は高い。
濡れた土や生肉、紅茶、鉄釘などの熟成香、黒オリーブなどの熟成香が液体に漲る。トリュフ、ドライハーブ、甘草、漢方、炭焼きなどのニュアンス。果実味は残っていない。
酸味、タンニンは弱めだが残っており、口に含むとソースや土の風味が口に残る。朽ち果てている様に思えつつ、ボディはしっかりと残っている。


いずれもかなり熟成感があるのが特徴的でしたが、やはり80年代後半と70年代初頭のワインだと大分違いがありますね。ヴィンテージの条件というか、品質はほぼ70年も89年も近しいものがあるので、単純に熟成的な観点と生産方法だけで見る事が出来ると思います。
89年のこの2本のワインは何れも傑出したシャトーで、ほぼ飲み頃ストライクと言っていいタイミング。
タンニンや酸が奇麗に液体にとけ込んでおり、口当たりは滑らか。
熟成香主体の複雑な芳香に、芯のある巨大な旨味が感じられました。その分果実味は若いヴィンテージと比べて目立たなくなっているものの、仄かに旨味に乗る感じがとてもいいですね。
カントメルルと比較するとパプ クレマンは新樽比率や樽内熟成期間が長いため、より樽のニュアンスが強く出るかと思いますが、そういった違いを表すニュアンスはあまり感じられませんでした。
おそらく2本とも24年間の熟成を経て、樽の渋みやロースト香はすべて熟成香や旨味に溶け込んでいるのではないかと。
またカントメルルが1ヘクタールあたり55ヘクトリットルに対してパプクレマンは39ヘクトリットルと低収量。
こちらはタンニンと果実味に如実に出ていたかと思います。カントメルルがかなりタンニンや酸味が落ち着いているのに対して若干パプクレマンはタンニンと果実味を残しています。もうすこしだけ熟成の余地がありそうな感じです。

そしてカロンセギュール。さすがに1970年のワインは違いますね...いや、ここまでくると個人的にはあまり美味しいと思えませんでした。ほぼ果実味はありません。泥の様な...というと言い過ぎですが、かなり土や腐葉土、生肉のニュアンスが強く、果実味はほぼ死んでいます。エキス的というか薄いソースの様な味わい。
素性はいいワインですが、さすがにここまで来ると決して飲んで面白いワインとは思えないですね。
特にワインならではの個性も感じられませんでしたし。
よって、個人的な好みで言うと圧倒的にパプクレマンとカントメルルですかね。現状で言うならカントメルル最高です。

ちなみに89はグラーヴもポイヤックも良いヴィンテージ。70年はサンテステフにとってまずまず良い年だったようです。
89年は素晴らしいですが、70年はもうアウトですね。古酒好きにしか薦められません。




1989 (750ml)シャトー・カントメルル 1989 (750ml)

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価格:35,700円(税込、送料別)

2種のカルト的ブルネッロを利く。カサノヴァ ディ ネリ、サン ジュゼッペ

こんばんわ。
一通り続きましたイタリアの記事も一段落、最後はブルネッロ ディ モンタルチーノ2種類、サンジュゼッペとカサノヴァ ディ ネリのシングルヴィンヤードです。

サン ジュゼッペは女性栽培醸造家ステッラ ヴィオラ ディ カンパルト率いるモンタルチーノの自然派ワイナリー。
栽培は全てビオディナミで行われており、選別された果実を円錐方木製樽で約15日間33度以下で発酵後、MLFを行う。中樽、トノー樽、バリック樽に分けて22ヶ月間熟成(アリエ産新樽比率30%、旧樽70%)を行い瓶熟は最低6ヶ月は行われる。 生産本数は4700 本。標高は280~360 m、樹齢はそんなに古くない様です。フラッグシップはこのブルネッロ ディ モンタルチーノてす。
カサノヴァ ディ ネリは1971年にモンタルチーノの畑を購入しスタートしたジャコモ ネリ率いるワイナリー。アッソ川近く標高300~450mの天然の盆地に広がるピエトラドニーチェ、レ チェティーネ、フィエソレ、チェッレタルトの4つのエリアにブルネッロを所有しています。
フラッグシップのチェッレタルトは良年にしか生産されない最高峰のブルネッロで、収量を徹底的に落とし、厳密な選定が行われた後、21日の発酵、フレンチオークの小樽で約30ヶ月熟成が行われる。


生産者: サン ジュゼッペ
銘柄: ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2007
品種: サンジョベーゼ グロッソ 100%

約11500円、WA89pt
2004のカサノヴァ ディ ネリより僅かに熟成香が目立つ。こちらの方がボディが軽めだから際立って感じるのだろうか。色調はややエッジに橙を帯びたガーネット。
生肉やベーコン、シナモンなどのブーケ。ラズベリー、スモモやチェリーリキュールなどの甘露な風味。
そしてシャンピニオンや腐葉土、タバコなどの大地香、ビスケット、グローヴ、クルミなど。
熟成の方向性はピノノワールと似ているかもしれない。タンニンは柔らかいが、酸味は際立っている。しかしながらキツさはあまり無くて、どちらかといえばベルベットの様な口当たりだ。酸味のハツラツとした果実味が口の中で広がる。熟成香の出方に好き嫌いはあるとは思うんだけど、比較的キャッチーなブルネッロ ディ モンタルチーノだと思う。


生産者: カサノヴァ ディ ネリ
銘柄: ブルネッロ ディ モンタルチーノ チェッレタルト 2004
生産者: サンジョベーゼ グロッソ 100%

約23100円、WA96pt.
熟成香は同様に感じられるものの、こちらはうってかわって非常に強固で力強いボディを有している。
色調は濃いガーネットで粘性は高い。クミンやコリアンダー、パストラミハムなどのスパイシーな風味。ややネッビオーロライクなドライシェリーの様な風味も。干したプラムやダークチェリーの濃厚でタニックな果実味(ほのかな甘みはある)。
薔薇、スミレの華やかな香りとタバコ、燻製肉、オリーブ、干しフルーツ、甘草、グローヴなど。
サン ジュベッセのモンタルチーノと比べると非常に濃厚で力強いブルネッロで同じ品種とはとてもじゃないが思えない。タニックで収斂性は高い。果実味は強く、酸味も充実している。
舌触りはややざらつく印象で、こちらも熟成によって真価を表すタイプのモンタルチーノだと思う。


両方とも幾分か熟成香が現れているのですが、目立つのがカサノヴァ ディ ネリのチェッレタルトの強固さですかね。
ランゲ アルボリーナやスペルスなどの最上のネッビオーロに現れるドライシェリーやスパイスの様な複雑なニュアンスが感じられます。故にこちらも非常にタニックでより熟成を経る事でより良くなると思います。
サンジュゼッペのブルネッロはカサノヴァ ディ ネリのそれと比べるとタンニンはかなり柔らかめで、より近づきやすいライトな造りになっていると思います。アタックも柔らかいです。
幾つかブルネッロは飲んできましたが、大まかな特徴としてはフレスコバルディ、カンポ デル ドラゴ、ピエヴェ サンタ レスティトゥータに近い様な気がしますね。いずれもパワフルで凝縮感のある味わいですね、そして若干タニックという。
ちなみにポッジョ ディ ソットは異端なんですかね。大本のサンジョベーゼの特徴の方が出ているかと思います。
強靭なサンジョベーゼという特徴の理解でいいのかしら。

バローロボーイズの旗手、エリオアルターレの作るネッビオーロ単一畑。

こんにちは。
今日はバローロボーイズの旗手、エリオアルターレのバローロ ヴィネート アルボリーナの双子の兄弟的存在であるランゲ アルボリーナです。

エリオアルターレといえばバローロにブルゴーニュ的な醸造方法を持ち込んだエピソードが有名ですね。
バローロが売れない理由を生産醸造方法に見いだし、先進的なヴァンダンジュヴェールト、抽出の強化、バリック樽、新樽の使用を導入し、伝統的な生産者であった父親と絶縁状態になった...というあれです。
実際に先進的な栽培醸造方法が功を奏して現在のモダンバローロが評価され今に至るということで、バローロを一歩先に進めた偉大な生産者であります。
さて、冒頭に書いたバローロ ヴィネート アルボリーナ、ランゲ アルボリーナの双子の兄弟的存在である、という意味ですが、これは醸造方法に起因するものです。葡萄は同じものを使用しています。生産方法は前述の通り。
バローロ アルボリーナはMLF後に新樽20%、旧樽80%で新樽および旧樽で24ヶ月熟成されるのに対して、ランゲ アルボリーナは100%新樽に移してアルコール発酵とMLFを樽内で行い、そのまま18ヶ月の樽熟成を行うという違いです。
ちなみにランゲアルボリーナは生産量が少なくおよそ2500本~3000本程度。比較的レアなワインと言えます。
今回はモダンなランゲ アルボリーナをレポートします。

さて、いってみましょう。


生産者: エリオ アルターレ
銘柄: ランゲ アルボリーナ 2008
銘柄: ネッビオーロ 100%

WA96pt(2007)、約13000円。
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
ネッビオーロらしい塩漬けのバラ、ドライシェリーなどの華やかな香りが主体となる。
そして紫スモモ、カシスのドライフルーツの果実味が重なる。タバコの様なスモーキーなニュアンス、濡れた樹皮、グローヴ、タール、炭焼きなどの厳格で複雑な風味。非常に密度の高いボディ感。
タンニンは強固で酸味も非常に強く、やや近づきにくい印象を受ける。
口内でドライシェリーやカシス、炭焼きの芳醇な味わいが楽しめる。


モダンバローロは若いうちから飲みやすい...はずですが、さすがに2008は若すぎ?
そう簡単に若いうちから飲ませてはくれない様子。
塩っぽく、かなり硬い作りのため、やや神経質で険の立った味わいに感じました。
ただここら辺のニュアンスはガヤのスペルス、ルチアーノサンドローネのカンヌビ ボスキスにも感じたので、樽をしっかり利かせている偉大なバローロとしては特徴的なニュアンスなのかも知れません。
あと生産醸造方法を見ると新樽100%とありますが、バリック樽の為か、かなりロースト香と共に苦みが若干付加されている部分も気になりました。

ただし、やはり流石に葡萄の品質がすこぶる良いですね。
前回レビューしたヴァレンティーニのモンテプルチアーノ ダブルッツオと同様果実味の力強さ、そして果皮の華やかさ。こちらも熟成のポテンシャルは相当高いと思います。
本当はバローロと一緒に飲んで違いを検証してみたかったですが、そんな贅沢な事は中々できないですね笑


エドアルド ヴァレンティーニ、品種を超越するモンテプルチアーノ、トレッビアーノダブルッツォ。

こんばんわ。
本日はアブルッツオ州の非常にレアな生産者 エドアルド ヴァレンティーニのモンテプルチアーノ ダブルッツオとトレッビアーノ ダブルッツオです。イタリアで最も入手困難な生産者であり、イタリアワインを代表する生産者と言っても過言は無いでしょう。ただ私にはちょっとまだ早かったようであり...

ヴァレンティーニは故エドアルド ヴァレンティーニによって1632年に設立されたワイナリー。
近代的な醸造方法は行わず、徹底的な醸造手法によって、デイリークラスのDOCを遥かに超越するワインを生み出します。ポートフォリオはモンテプルチアーノ、トレッビアーノ、ロゼとわずか3種類。
トレッビアーノ、モンテプルチアーノ共に標高280~300mに植樹された樹齢50年を超える果樹から丁寧に選定が行われ、その最上の10%から20%のみが元詰めの原資となる。醸造後スラヴォニアオークの大樽で24ヶ月熟成後リリースされる。(それ以外は明らかにされていません...)

では最上のモンテプルチアーノ、トレッビアーノ。いってみましょう。


生産者: ヴァレンティーニ
銘柄: トレッビアーノ ダブルッツォ 2009
品種: トレッビアーノ 100%

約8610円、WA91pt。
外観は淡いストローイエロー、粘性は高め。一風変わった風味の品種。
芯の通ったミネラル感とシェリーっぽさ、ライチのアロマティックな果実味、ナッツ、シベットなどの個性的な風味が中心となる。白い花の香りとイースト、旨味がよく出ており魚介出汁の風味も感じられる。
濃厚な蜜っぽさはなく、やや芋の様なほっこりした風味ある。酸味は柔らかく、酸味も柔らかで口当たりに不満はないけど、ややヒネた熟成をした様な香りや味わいで、個人的には、その偉大さはわからなかった。
個性的だがこれに8000円は出せないな...。


生産者: ヴァレンティーニ
銘柄: モンテプルチアーノ ダブルッツォ 2006
品種: モンテプルチアーノ 100%

約33600円、WA94pt
色調は濃いガーネットで粘性は高い。ローステッドで甘やかな果実味が特徴的。
コーヒー豆やカカオの樽香、ドライプルーンやブラックベリーの様な果皮の厚いタニックな果実味、ベーコンなどの燻製肉の風味がメインとなる。
徐々に薔薇、ドライハーブなどの華やかさが前に出てくる。煙草、鉄観音、トリュフ、甘草の様なニュアンスも。
全体的にしっかりとした樽が効いているパワフルなモンテプルチアーノダブルッツォ。
タニックで酸も強く、樽もしっかりと効いているので、かなり長期に渡っての熟成を見越して作っている感じがする。その点はよく見るデイリークラスのモンテプルチアーノダブルッツォとは大きく異なる。口に含むとタニックで濃厚なブラックベリーの風味が広がる。
ネッビオーロ同様熟成て真価を発揮させるワインだろうから、現在ではなんとも評価は出来ない。少なくとも若いうちにも美味しく飲める様な構造のワインではない事は確か。


いやもう、タンニンや酸を俯瞰してみると若いうちに飲む事の背徳感がすごい。
一般的にモンテプルチアーノ ダブルッツオは明るい果実味が非常にキャッチーな造りになりますが、これは一般的なモンテプルチアーノとは考えない方がいいですね。全く異なるワインとなっています。
ローステッドな樽の風味はブルゴーニュに良く似ているのですが、タンニンの出方が非常に荒くタイト。そして果実味は甘露で濃厚です。タンニンの出方を見ると20年かそこらは余裕で熟成しそうな感じですね。
ビジャージュはやや強めに行っているのかもしれません。ただ熟成を考慮した時、果実味が無いとバランスが悪くなりますから、そこはきっちりとヴァンダンジュ ヴェールトを行っているのでしょう。
いずれにせよ現段階では樽がブリブリ、タンニンも強烈なので、もう少し熟成を経ないと真の姿は見せてくれないでしょうね。現状でもポテンシャルは分かりますし美味しいですが、偉大かと言われるとそうでも...

トレッビアーノは...単純に好みではありませんでした。というかそもそもトレッビアーノ自体があんまりなんですけど。やや中途半端な熟成感があるというか、品種の特徴なのか、ちょっと塩っぽい感じがするんですよね。

難易度の高いワインなのか、ちょっと私にはわかりませんでした。


スーパートスカーナ2種、レディガッフィ、ソライアを利く。

こんばんわ。
本日からイタリア特集です。
一発目はスーパートスカーナ。ソライアの古いヴィンテージとレディガッフィ。

ソライアを作るアンティノリは600年間ワインを作り続けている老舗ワイナリー。
キャンティクラシコのワイナリーに良くある事ですが、当時キャンティのDOCはせっかく優れた土地があったとしても、その土地で算出されるサンジョベーゼが優れていたとしても、DOCでキャンティを名乗るためにはサンジョベーゼに白葡萄品種を混醸する必要がありました。
その為、優れたサンジョベーゼを最大限に活かす為に同品種100%にしたり、より高品質のワインを作ろうと外来品種を使用する生産者が登場してきました。これがスーパートスカーナの走りですが、アンティノリも例に漏れずカベルネソーヴィニヨンを混醸してより高品質なワインを求めた事で、ソライアが生まれました。
今となってはスーパートスカーナで最も有名なワインのうちの一つとなっています。
上面開放木製発酵槽での30度を超えない様厳密に管理されながらアルコール発酵、ピジャージュは品種ごとにCS3週間、CF2週間、Sv4週間で行われる。トロンセ産とアリエ産のフレンチオークの新樽100%で熟成、別々に仕込まれたワインをブレンド後、バリックで12ヶ月間、瓶で12ヶ月間熟成がなされる。

アンティノリと比べると遥かにワイナリーとしての歴史は短い。トゥアリタは南トスカーナ スヴェレートにトゥア夫妻によって1984年設立されました。サンジョベーゼ以外に国際品種をメインに据え、瞬く間にスター生産者の仲間入りを果たし、今では手に入る事がレアな人気生産者の一人となりました。
高品質なワインを作る生産者の例に漏れず密度の高い植樹、徹底した低収量化で葡萄の糖度や凝縮度を上げています。
ステンレスタンクで22℃からゆっくり温度を上げて最終27度で27日発酵後、パリック新樽100%で18ヶ月の熟成、瓶で6ヶ月の熟成が行われる。


生産者: アンティノリ
銘柄: ソライア 2000
品種: カベルネソーヴィニヨン 75%、カベルネフラン 5%、サンジョベーゼ 20%

Wa91pt
色調はやや濁ったガーネット。粘性は高い。やや熟成を感じさせるニュアンスが前に出ている。酸味は強め。
腐葉土やスーボワ、生肉のブーケに、甘やかなカシスリキュールやブラックベリーのニュアンスが重なる。熟成の方向としてはボルドーに近い。ドライフラワー、濡れた木材、ユーカリ、リコリス、コリアンダー、クルミなど。
酸味とタンニンはやや際立って感じるものの、心地よい熟成感と心地よさを感じられる。口に含むと木材の柔らかい味わいが感じられる。
サンジョベーゼのせいか、重厚になりすぎず、軽妙でバランスよく感じられる。


生産者: トゥア リタ
銘柄: レディ ガッフィ 2010
品種: メルロー100%

約20000円、WA96pt(2008)
ラ コンセイヤントの様にエレガントな右岸のポムロールといった印象。華美で魅惑的な香りを放つ。
色調は赤みの強いガーネット、粘性は高い。
カシス、ドライプルーンのコンポートの甘露な果実味。炒ったカカオや西洋杉、パウンドケーキ。スミレ、ややミントっぽさ。スーボワや濡れた土。鉄釘、グローヴやリコリスのニュアンスも。ちょっと塩っぽい風味も。
徐々にトーストやカカオなどの樽香も強く出てくる。メルローの小豆っぽさ、粉っぽさはあまり感じられない。
タンニンは強固だが果実味に棘が無くてジャムの様に滑らかなタッチ。酸のバランスも良い。口の中で芳醇なロースト香が楽しめる。


まずはアンティノリ。
2000年という事で比較的熟成感を感じさせる造りでした。基本的にはボルドー メドックに近いニュアンスを感じましたが、特徴的なのは全体に張り巡らされた酸の存在ですね。
これはサンジョベーゼに由縁する特徴だと思いますが、このわずか20%のサンジョベーゼが非常に重要な役割を果たしていて、メドックとは一線を画す要素の一つとなっています。ボルドーは無論エレガントですが、それに強い酸を持たせる事で非常に引き締まった印象を受けるワインとなっています。ボルドーがハムバッカーのレスポール スタンダードなら、ソライアはシングルコイル ピックアップを搭載したレスポール ジュニアでしょうか。
熟成感はボルドーと良く似た出方をしていますが、これはカベルネソーヴィニヨン比率が高いからかな。

次にレディガッフィ。
これがもう本当に美味い。めちゃくちゃ美味い。
レディガッフィはボルドー品種系IGTでは、最も完成度が高い様な気がする。
新世界の革新性を持ちつつ、酸が豊かなイタリアらしさがあるメルロー。
重くなりすぎず、とてもエレガント。「コンセイヤントの様だ」と書きましたが、これはタンニンの滑らかさやじゃみーな果実の密度が非常に高い事を元にしています。コンセイヤントの様にピノノワールを感じさせる部分はありません。非常に繊細で何方かと言えばそのエレガンスはシャトーマルゴーにも通じるものがあると思います。
厚みがありながら、ひたすら滑らかで濃厚でエレガントな素晴らしいスーパータスカンでした。

両者はヴィンテージが異なるし、品種も異なるため、単純比較出来ませんが、流石にスーパータスカントップクラスの味わいは世界に通用する様なものになっているな、と感じました。

惜しむらくはもう少し安く...というのは葡萄に精魂込めている生産者に失礼ですかね。

ソライア [2001]

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価格:37,000円(税込、送料込)


天上に至る福音の雫、シャトー ディケム 1995

こんにちは。
あまり更新をしていなくて、記事が溜まってきました...やばい。

今回はシャトーディケムの1995年です。
シャトーディケムはソーテルヌに拠点を構える世界最高の貴腐ワインを算出するシャトー。現地ソーテルヌの格付けでは、ただ唯一の特別一級(プルミエクリュスペリュール)として君臨しています。
驚異的な低収量が特徴で、平均して葡萄一本につきグラス一杯のみしか取れない、これは木の樹齢の高い事、貴腐粒だけを丁寧に選別している事長期間の樽熟成に伴う蒸発に起因する。100%オーク新樽で42ヶ月の樽熟成。全行程に渡って補糖は行われない。
不作の年はリリースされません。(直近だと2012年ですね)


生産者、銘柄: シャトーディケム 1995

約46000円、WA97-99pt
色調は濃い黄金色、粘性は非常に高い。まさにとんでもなくアロマティックで複雑で濃厚なワイン。
しっかりとしたミネラル感のベースにクレームブリュレ、熟した洋梨、メロン、黄桃の様な豊満で分厚い果実味。清涼感のある白い花、ハチミツや溶剤、出汁、ヘーゼルナッツ、カマンベールチーズ、リコリスなど複雑で深い余韻が楽しめる。バターや濡れた木材のニュアンス、リコリスの風味に熟成を感じるが、あと幾年熟成を重ねても全く朽ちる気配はない。
柔らかい酸味と口の中に広がるハチミツや熟したフルーツの風味が奇跡的な味わいを生み出している。官能的。
素晴らしい。2000年代と比べて明らかに濃厚になっている気がする。


何度飲んでもディケムは本当に素晴らしいですね。
前回は2000年代中盤のものを頂きましたが、今回は90年代中盤と約10年程度熟成を重ねたものになります。
かなり違いがありました。

色調及び粘性: 2000年代と比べると色調は濃く、粘性もやや高め。
→経年、年柄によって大きく変わる。妥当。

風味: 軽やかさを感じた2000年代に比べてかなり重厚さが際立っている。
→粘性が上がっているのと複雑さが増している。しかしなぜ

よりも厚さや密度が際立ち始めましたね。
清涼感は2000年代からやや落ち着いて、濃厚さが際立っている様に感じました。
素晴らしい。価格に見合う価値のある偉大なるソーテルヌだと思います。

シャトー・ディケム(イケム) [1995] 【375ML】

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価格:17,900円(税込、送料別)

新樽の魔術師ドミニク ローラン、20年の熟成を経たシャンベルタン、ラ ロッシュ、リシュモンを利く


こんばんわ。
今日はドミニクローランの古酒、シャンベルタン、ラ ロッシュ、リシュモーヌです。

前回は近年設立されたばかりのドメーヌローランの記事を投稿しましたが、本日は正に新樽の魔術師と呼ばれていた頃のネゴシアン、ドミニクローランの古酒を頂きました。
ドミニクローランは元々お菓子職人で、本職を投げ捨てて1988年からワインの世界に入り始めました。
当初から非常に高品質のワインを作っていることで評価は高かったのですが、新樽に拘りすぎたが故にテロワールを尊重していない、ギイアッカの影響下にあった等と、まぁ賛否両論があります。
しかしながら樽へのこだわりは相当なもので、自身で理想とする樽を作る為に板材の選定から生産まで行ない、しかもそれを他のドメーヌや外国に販売している。
樽を自身で作り始めてから新樽比率は落ち着きはじめましたが、今回のワインは正に新樽200%の時代の代物。
ネゴシアンなのでワイン自体は樽ごと他の生産者のものを買い付けるのですが、その購入条件は「古木から作られた葡萄を手積みした」生産者のもののみ。購入したワインは澱とガスごと新樽に入れ替え、半年後に再度新樽に入れ替える。これが新樽200%の所以。基本的に抽出は弱めのようです。

では行ってみましょう。


生産者: ドミニク ローラン
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ ラ リシュモーヌ 1993

、WA89pt
色調はこの中で最も濃いルビーで、粘性は高い。
味わいも他の2本と比較するとやや濃い印象で、コリアンダーなどのスパイシーなニュアンスが強く感じられる。
濡れた木材や漢方、炭焼きなどロースト香と熟成香が主体となる。クロ ド ラ ロッシュ、シャンベルタンの様に落ち着いたエレガントな感じではなく、チェリーリキュール、プラムの凝縮した果実味。非常に華やかな薔薇、スミレの芳香。濡れた木材やシャンピニオンの風味が感じられる。
酸味、タンニンはやや強く収斂性もある。3本の中では最も抽出が強くパワフルでスパイシーなワイン。


生産者: ドミニク ローラン
銘柄: クロ ド ラ ロッシュ グランクリュ 1992

約18000円、WA87pt
色調は淡いルビー、粘性は高い。
非常に凝縮した旨味がある。素晴らしい古酒だ。
シャンベルタンと比較すると、やや青さを感じるが、こちらもフランボワーズやチェリーリキュールの凝縮した果実味が感じられる。非常にクリアで澄んでいる。茎っぽさやスミレ、薔薇などの華やかで青っぽい芳香。なめし革、燻製肉、血の香り。そして焦げた木材、紅茶の風味など。クローヴ、沢庵の香りも。
不思議な事にシャンベルタンと比べてもパワー感が突出している。酸味もタンニンも溶け込んでいて凝縮した果実の旨味が楽しめる。
素晴らしいクロ ド ラ ロッシュ。


生産者: ドミニク ローラン
銘柄: シャンベルタン グランクリュ 1992

約34000円、WA93-96pt(1993)
色調は最も淡いルビー、粘性は高い。クロ ド ラ ロッシュ同様非常に状態の良い卓抜した古酒。非常に際立った旨味を有しておりストロベリー、フランボワーズやチェリーリキュールの果実味が液体に凝縮されている。そこに綺麗に現れた濡れた樹皮、腐葉土、紅茶、燻製肉などの熟成香、クルミ、グローヴ、バニラなどの甘やかな風味が複雑に編み込まれている。
タンニンや酸などのボディ部分は限界まで削ぎ落とされ、膨大な熱量を持った核から放たれる複雑な芳香のみが残存している。
いわゆる「鉄の鎧の中の鉄の拳」と称されるシャンベルタンとは異質で、どちらかといえばクロ ド ベーズに近い、芯にエネルギーを持ったシャンベルタンであるという印象だ。
酸味、タンニンはすでに旨味にすべて溶け込んでおり、旨味と凝縮感に満ちた、凄まじいシャンベルタン。


びっくりするほどピュアでエレガント!1993年はやや濃いめの作りですが、素晴らしいのは、なんといっても1992年。

従来のドミニクローランの樽っぽいイメージが一切ない凝縮した旨味と、経年により限界までそぎ落とされたタンニンと滑らかな酸。これが本当に素晴らしい。滋味に溢れている。
フーリエのグリオットシャンベルタン1980に感動したのは記憶に新しいですが、それと同等の素晴らしさ。極めて完成度の高い古酒です。
恐らく樽からのタンニンが起因してこの20年間綺麗に熟成を重ねたのだろうな、と思います。
逆に樽が弱ければ、ここまで熟成する間にタンニンが抜けて酸と果実味にトゲトゲしさが残ったまま終わってたのではないかな、と思います。意図しての樽使いかはわかりませんが、92年はとても良いバランスだったと思います。

さて今回のテイスティングで面白かったのが、1992年と1993年のヴィンテージ差。そしてクロ ド ラ ロッシュとシャンベルタンの差異ですね。

ラ ロッシュは16.9haのモレの特級畑でジュヴレシャンベルタン寄りの一級モンリュイザンに隣接しています。浅い表土で石の多い粘土石灰岩が基岩。標高は約280-300m、傾斜はややキツ目。


シャンベルタンは最も偉大なブルゴーニュワインの王とも言える畑で基岩は浅い泥岩の表土でバジョシアン階のウミユリ石灰岩、泥炭岩、プレモー石灰岩、粘土質石灰岩で構成されている。
グリザール小渓谷からの微風の影響を受けるので、やや冷涼な気候でこちらも標高は約280-300m程度。

通常であればシャンベルタンの方が突出した力強さ、肉厚さとフィネスを放つのですが、ドミニクローランのワインを飲むと、ややラ ロッシュの方がパワー感がある様な気がしますね。やや粗野な部分は感じられるのですが。石灰岩が基岩になるので、ミネラル感が出るはずですが、それがパワー感というか硬さにフィードバックされているのかも。
対してシャンベルタンは非常に柔らかく穏やかなタッチ。一瞬穏やかと勘違いしそうになったのですが、凝縮感は卓抜しています。比類なきフィネスのあるシャンベルタンで、クロ ド ベーズにも通じるタッチ(実はクロ ド ベーズだったりしない??)だと思いました。
92年というヴィンテージ特性と冷涼な気候がタッチを柔らかくしたのでしょうか...。
鉄の鎧のくだりがありましたが、ボディの強さというより、密度や目の細かさでいうならしっくり来るな、というのが所感です。

次にヴィンテージ。
比較的色が薄く、旨味や果実味の凝縮感を除いて限界まで削ぎ落とされた感のある1992に対して1993はより濃く、パワフルでボリューム感のある作りになっていたと思います。
リシュモンはヴォーヌロマネ寄りの標高260-280mに位置する一級畑でややキツ目の勾配が特徴的です。日照条件はなかなか良さそうですし、立地的に悪くないですが、さすがに特級と比較してパワフルなニュアンスが出るのはちょっと想像しにくいので、これはヴィンテージ起因か醸造方法に起因するものだと思います。
ただ醸造方法について年毎の細かいレポートがないので、ヴィンテージに絞って考えるとこんな感じかなと思います。
ヴィンテージの特徴は以下の通り。

■1992年
開花から結実まで雨がちであったが、夏頃には天候が回復。特に問題のない気候が続くが、コート ド ニュイの収穫開始である9月18日から、僅か4日後豪雨に見舞われる事になる。

■1993年
春と初夏に発生した大雨がウドン粉病の問題を起こした。夏頃は夏日が続き非常に素晴らしい天候が続いた。9月二は入り天候がぐずつき92年同様9月22日に大雨に降られた。

共に9月22日に大雨に見舞われたアクシデントはあったものの、93の方が夏場の生育が早かったと思われますので、収穫時期が前倒れていたと思います。
そのため多くの生産者が大雨に見舞われる前に概ね収穫が完了していたはず。
92年はそもそも生育が93年より悪く、収穫開始からわずか4日後に大雨に見舞われていたので恐らくこの禍を逃れられた生産者は偶然生育が良かったか、もしくは早めに収穫を始めた生産者となるので、恐らくドミニクローランは間に合っておらず、影響を受けたと考えられます。
その為、92年は夏場の気候の観点も含めて色合いが淡く、93年に比べるとやや力強さで劣ると考えます。
...そういう考え方をすると92年のバランス感は、やや劣るヴィンテージという条件によるもので、それが良い方向に向かっていったのだと思います。
93年は良い年(といっても2000年代では平準的なヴィンテージであった訳ですが)ですが、2012年の現段階では、やや力強すぎる感じがしますので、92年と同等になるにはもう少し熟成が必要となると思います。

結果的には1992年は今飲んで大勝利といったところですね。マジで美味いです。93年もじきにいい線行くんじゃないかなーと。

新樽の魔術師は熟成によって素晴らしく進化する本当の魔術師でした。


キスラーのノワゼッティエール、マックレアヴィンヤード、ルシアンリバーヴァレーを利く



こんばんわ。
今日はカリフォルニア、キスラーのテイスティングレポートです。
ノワゼッティエール シャルドネ、シングルヴィンヤードのマックレアヴィンヤード シャルドネ。そしてレアなピノノワール ルシアンリヴァーバレーです。

キスラーは1978年にルシアンリヴァーヴァレーに設立されたカリフォルニア最高峰のシャルドネを算出する生産者。収量を抑え、丁寧な栽培を行った樹齢の高いシャルドネやピノノワールは収穫後選果され、それぞれのキュヴェに回される。
醸造工程はそれぞれ異っており、ノワゼッティエールはMLF後フレンチオークの新樽30%1年樽70%で10ヶ月熟成。
マックレアヴィンヤードもMFLを行いフレンチオーク新樽50%旧樽50%で11-18ヶ月熟成を行う。
ルシアンリヴァーヴァレーはフレンチオーク新樽60%旧樽40%て14ヶ月の熟成(MLFの記載はありませんでしたが、赤ですし、まず間違いなく行っているでしょう)させる。
すべて無濾過、無清張で瓶詰め。
ブラックシップはキュヴェ キャスリーン(Ch100%)、キュヴェ エリザベス(PN100%)。

さて、いってみましょう。


生産者: キスラー
銘柄: ソノマコースト レ ノワゼッティエール シャルドネ 2011

10500円
色調はストローイエロー、粘性は高い。かなりしっかりとしたミネラル感を感じる作り。
非常に甘露だがシロップの様な甘みではなく、核種系果実の蜜の様な果実味が主軸となる。洋梨や白桃の濃厚な果実味とバニラのリッチな風味。ヘーゼルナッツやドライハーブ、シナモン、ややスパイスの様な風味も。たまにソーヴィニヨンブランの様な清涼感を感じさせる部分もある。
酸味は柔らかくシルキー。口の中でバターや洋梨の果実味があふれる。
最上の生産者のムルソーペリエール的な作りと言える。


生産者: キスラー
銘柄: ソノママウンテン マックレアヴィンヤード シャルドネ 2010

16800円
こちらはより石灰を砕いた様な強固なミネラル感を感じる。
粘性は高く色調は淡いストローイエロー。
より複雑でナッツ類や焦がしバターのオイリーなニュアンスが主軸となる。徐々にノワゼッティエールに見られる白い花やバニラ、そして洋梨と黄桃の酸味と蜜の甘みが現れる。ドライハーブ、シナモン、シャンピニオン、蜜蝋、リコリスなど、より複雑な風味が感じ取れる。
液体の密度はよく目が詰まっており、しっかりしたミネラル感がある。酸味は比較的穏やかで、口内で膨らみのある果実味とバニラの芳香を強く感じられる。やや出汁の様な風味も。


生産者: キスラー
銘柄: ルシアンリバーヴァレー ピノノワール2010

10500円
色調は深いルビー、粘性は高い。
若干酸化が進んでいる印象だが、アメリカンチェリーやラズベリーのジャムの様な果実味が主軸となっている。
薔薇やスミレのドライフラワー、茎や若い葉の青っぽさや、野生的なパストラミハムや生肉のニュアンス、シナモン、シロップの甘い樽香、グローヴ、クルミ、ワッフルなど。
酸味とタンニンはやや強めで凝縮感と旨味がしっかりと感じられる。
やや酸化しているのは残念だが、密度の高い果実味やベリー系の香りがなかなか官能的だ。いわゆるカリフォルニアのピノノワールではなく、ブルゴーニュの良い所もきっちりと取り入れている。


ここで際立つのが、最も手に入りやすい銘柄であるノワゼッティエールの品質がべらぼうに高い事ですね。
価格はキスラーでは最安値でありますが、ピュリニーの様なミネラル感と濃厚さがあります。そして非常に甘露。
これはフレンチオークの新樽の風味と生来の果実の品質の高さに起因するものだと思います。ミネラル感は...土壌に言及がないので、なんとも言えませんが、多分他のヴィンヤード同様石灰岩地質かなとは思います。
そしてそのミネラル感は上位キュヴェのマックレアヴィンヤードで更に増していきます。また濃厚さ、液体の厚み、全体的な規模感が一回り大きくなっている様に思えます。
もともとノワゼッティエールのバランスが非常に良いので、ややミネラル感、複雑さが突出しているのは、なかなか個性が出ていていいんじゃないでしょうか。こちらはムルソーペリエールを想起させる様な作りだったと思います。
マックレアヴィンヤードは標高250mにあり、気候は冷涼。石灰岩と火山岩で構成されているという事なので、ミネラル感の強さは、恐らくそれに起因するものではないかと。濃厚さと複雑さの違いは新樽比率がやや増えたのと熟成期間の違いですかね。多分。

最後はレアなピノノワール。
ルシアンリヴァーヴァレーにあるピノノワールの畑は土壌は小石が多い砂質土壌と海の堆積物に構成された土壌で構成されており、標高は高く気候は冷涼なようです。
ちょっと酸化のニュアンスがあったのは残念ですが、素姓はとても良いのはよくわかりました。膨れ上がった様なボリューム感ではなくて、目の詰まった凝縮感のある果実味のピノノワールでした。
ややタンニンや酸の強さは目立つのですが、比較的冷涼な気候かつ、もともと果皮が厚いか、もしくは抽出を強めに行っているからか。非常に華美な印象を受けますね。
ここらへんの華やかさはカリフォルニアっぽくなくて、むしろかなりブルゴーニュの濃いめのピノっぽさを感じます。
かなり良いですが、ブルゴーニュや先日飲んだポールラトーのピゾーニの方が魅力的に感じました。最高の状態で飲めば、また違った感想が出てくるかもしれませんが...

ピノノワールも良かったですが、やはり真価はシャルドネですね。
確かにブルゴーニュのグランクリュに接近する白である事は間違いないと思います。やや厳しい印象も残すそれに比べると、こちらの方が近寄りやすい気もしますね。


ところで散々MLF(マロラクティック発酵)書きましたが、あれって15度から18度と高めの温度でリンゴ酸を乳酸に分解する現象だったと思うんですが、一個だけ疑問点が。
もともと低温でアルコール発酵を行う白ワインは意図的に温度をあげてMLFを行いますが、赤は自然発生的に起こるんですよね。それはわかるんですが、12度程度(MLFが起こらない温度)で行う低温浸漬と組み合わさった場合どうなるんだろうな、と。
勝手な想像ですが、破砕圧搾→低温浸漬(12度程度)と同時にアルコール発酵→徐々に温度を上げてマロラクティック発酵(12度以上)みたいな感じ?
だれか教えてください!



コングスガード スタンダードなシャルドネ3ヴィンテージとピーターマイケルを利く。



こんばんわ。
本日はカリフォルニアの続き。今日は白でございます。
ピーターマイケルのラ キャリエール、コングスガードのシャルドネ。
ザ ジャッジでは無いにせよ、なかなか豪華だとは思います。

ピーターマイケルはソノマカウンティボルドー系品種を得意としている生産者。シャルドネも有名で、ベル コテ、モン プレジール、キュヴェ インディジーヌ、ポイント ルージュ。そして、ラ キャリエールの5つの畑から作られ、各々の畑ごとにボトリングされている。
果実はビオディナミで栽培。自然酵母100%で発酵後、フレンチオーク100%で12ヶ月熟成。バトナージュの頻度は週一回。無濾過、無清張。
フラッグシップは赤はボルドーブレンドのレ パヴォ。

コングスガードはナパヴァレーに拠点を置くカルトワイナリー。
主にシャルドネ、シラー、ヴィオニエ、ルーサンヌ、カベルネ ソーヴィニヨンを産出しているが、このワイナリーは何と言ってもシャルドネ。ハドソンヴィンヤード、ハイドヴィンヤード(クローンはオールド ウェンテ クローン)から提供を受けており、グリーンハーヴェストによって収量は一般的なワイナリーの約半分。さらに厳格な選果が行われ、100%ブルゴーニュ産のフレンチオークで22ヶ月熟成される。無論、無濾過、無清張。
フラッグシップはシャルドネを使用した、ザ ジャッジ。

共に水はけのよい酸性の火山性土壌のから生み出されるシャルドネです。



生産者: ピーターマイケル
銘柄: シャルドネ ラ キャリエール 2010

12072円, WA91-93pt(2009)
色調は透明度の低いストローイエロー。むしろ濁っている。ミネラル感。
豊満なリッチなシャルドネ。
ヘーゼルナッツや焦がしたバター、ドライハーブ、バニラ、焼いた芋。モカ、シロップ。マンゴーの果実味が目立つ。酸味は穏やか。
旨味は非常に強く、ボディは丸みがあり、柔らかい。やや渋みがある。甘露な作り。


生産者: コングスガード
銘柄: コングスガード シャルドネ 2002

17850円, WA95pt
色調は他のヴィンテージと比べてやや濃いめのストローイエロー、粘性は高い。引き締まった凝縮した旨味。ナッツや魚介出汁、カリンやライチの様な旨味を感じる果実味がある。コートドールの白の風味を強く感じる。2005と比べるとより熟成が進んでおり、果実味をアプリコットを感じさせる様になってきた。ドライハーブやフレッシュバター、シャンピニオンなど。
かなり熟成感があり、酸味も強く、3本の中で最も旨味を感じさせるが、ルフレーヴやドーヴネの様な果実味の甘露さはあまり出てこない様だ。


生産者: コングスガード
銘柄: コングスガード シャルドネ 2005

17850円 , WA95pt。
色調はやや濃いめのストローイエロー、粘性は高い。
やや塩を降ったナッツや濃厚な魚の出汁、灯油の様なニュアンスが現れている。果実味はいまだ強くカリンやライチの果実味、時間が経つとよりシロップの様な甘露な風味が現れる。またフレッシュバターや杏仁豆腐、そして蜜蝋、シャンピニオンの風味も。
2010と比較してより厚みのある酸味が際立って強く感じる。口の中にナッツとバター、出汁の風味が広がる。3本の中では熟成感と果実味のバランスが取れた素晴らしいシャルドネだと思う。


生産者: コングスガード
銘柄: コングスガード シャルドネ 2010

10500円、WA92−95pt(2009)
色調はやや濃いめのストローイエロー、粘性は高い。
若々しく甘露な果実味に溢れている。さながらイタリアのシャルドネの様な白い花の香りと、濃厚なシロップ、バニラ、バター、シナモンの風味が非常に強い。洋梨やカリンの豊満な果実味。ミネラル感もしっかりと存在している。ドライハーブや蜜蝋、焼いた穀物、杏仁豆腐の風味も
非常に凝縮した果実味があり、豊満でリッチ。ミネラル感も強い為、ムルソーというより、本当にバタールモンラッシェを飲んでいる様に感じさせる。美酸味は穏やかで、やや苦味が残る。
バターやシロップの風味が口の中に広がる。3本の中では最も果実味と甘露なシロップを感じさせる味わいだ。


コングスガードの3ヴィンテージは比較的順当な熟成でした。
各々の感想としては特に大きな作柄の差は感じませんでした。どちらかというと熟成の差異が強く出ている印象です。
2010年はバタールモンラッシェに接近する果実味で、強いミネラル感、バニラや果実の甘み、イタリアのシャルドネの様な清涼感のある味わいが感じられました。非常にリッチ。新世界的とも言えるかも。
2005年は印象が2010年とは既に大きく異なっていて、灯油や出汁、ナッツの風味が現れはじめした。やや酸味が際立ち、豊満な果実味とあいまって、より複雑な印象を受けます。ボディ自体は2010年と大きく違いは無く、2010に複雑なニュアンスが加わった様な感じ。
2002年はアプリコットの様な広がりのある酸味とシャンピニオン、塩を振ったナッツ、出汁のニュアンスが強く、やや熟成香前に出すぎている印象。
旨味は感じられるが、2005年や2010年に見られた甘露さは消えてしまった様に思えます。消えたのか、閉じこもってしまっただけなのか...そこはちょっとわかりませんが。
この中だとやはり2010と2005が非常に美味しいと感じました。特に2005年は熟成香と甘さのバランスが良く取れていて、最初の飲み頃なのかな、という印象です。
熟成の傾向としては一般的なコートドールのグランクリュと同等程度。ドーヴネやルフレーヴなどの最高の生産者のものと比べると流石に劣って見えてしまいますね。若い時分は最高峰のシャルドネと言っても差し支えは無いと思います。
フラッグシップのザ ジャッジならまた違うんでしょうか。
全体的にしっかりしたミネラルがあるのも印象的でした。

次にピーターマイケル。
どう見ても無濾過無清張で濁ったシャルドネですが、これがまた素晴らしい新世界のシャルドネでリッチで豊満な芳香があるんですが、液体は香りからすると澄んだタッチ。アルコール度数の高さや濃密感といったものがあまり感じられないんですね。
口に広がる果実や蜜の甘やかさを考えるとちょっとルフレーヴのワインの様な印象もあります。(香りは新世界的なんですが、液体のタッチの柔らかさとか) べらぼうに良いシャルドネでした。

この2つの生産者を比較しようとした時に、フレンチオークの新樽比率100%での樽熟成期間、ソノマとナパの気候、収量の違いが挙げられると思いますが、正直ここらの違いを裏付ける味わいは、ちょっと私には感じられませんでした。
コングスガードが22ヶ月熟成、ピーターマイケルは12ヶ月熟成ですが、個人的にはピーターマイケルの方が樽のニュアンスが強く感じられました。本来は逆なはずなんですがね...多分気のせいだと思いますが。
果実味に関してはコングスガードとピーターマイケルは同等程度だと思いますが、濃密さはコングスガードの方が高かった様な気がしますね。より濃く感じました。

最後にメディアでの評価ですが、2010年のカリフォルニアはまだ結果が出ていません。(WS, WA共に)
なのでなんとも言えませんが、あまり良い年ではなかったようです。
ただ、ナパやソノマはそこまで病害や雹による果実の破損はあまり無いので、そこまで悪くはならない...はず。多分。ただ、個人的な感覚としてはいずれも素晴らしいワインと思いましたので、恐らく微細な違いなんでしょう。

新世界のシャルドネは個人的に非常に好みで、普通にボトルで買って飲むのですがリッチな感じがいいですよね。安いし。
その中で、最上級のカリフォルニアのシャルドネはやはり一線を超えた果実味や清涼感も感じさせるのが、懐の深い所ですよね。

勉強したくなるワインたちです。




プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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