Shangri-La Hotel Tokyo The Lobby Lounge(シャングリラホテル東京 ザ ロビーラウンジ: 丸の内)

こんばんわ。
最近のエントリーの長さに自分自身で軽く引いたので、久しぶりに行ったアフタヌーンティーの事でもゆるく書きます。
たまに紅茶の事をこのブログに書くので、ご存知かもしれませんが、酒が飲めない時、飲む気分ではない時はもっぱら紅茶を頂く時が多いです。結婚する前は全く興味が無かったんだけども、嫁の影響で嗜む事を覚えた趣味の内の一つ。
ですから、家族サービス的な意味合いも含めて、ホテルのアフタヌーンティーに行く機会がたまにあるのですが、ホテルごとに結構大きな違いがあって面白いです。


さて、今回は東京駅八重洲口の森トラストにある外資系ホテル、シャングリラ。


流石にトイレが綺麗。外資ホテルに行くと必ず記念にうんこして帰ります。

マンダリンオリエンタルやペニンシュラ、フォーシーズンズもそうなんですが、このクラスのホテルに来ると泊まってなくても王侯貴族の様な扱いを受けるんですよね。
元が下町育ちの酒屋の倅なんで、こう、なんというか、ここらへんに普通に来る人たちとの差を感じるわけですね。そしてそういう人たちを丁重にもてなすサービスレベルMAXのホテルマン。
もう僕ね、超低姿勢。ローアングラーもびっくりですよ。どうでもいいですが。

それで、肝心のアフタヌーンティーは期間限定の「スイート アフタヌーンティー」。

その名の通り非常に可愛らしいサンドウィッチと茶菓子の数々。とても趣向が凝らされています。

さすがはシャングリラホテルです。
徹底的に男子を排斥しようとする試みはなかなかですね。僕の中に眠るマゾの血が湧き上がってくるのを感じますよ、ええ。


■焼きたてスコーンセレクションとクロテッドクリーム、パッションフルーツクリーム、ベリージャム、ハチミツ


スコーンはチョコレート、バニラ、ローズです。
チョコレートとバニラはとても手堅い味でした。サクサクで美味い。
ローズがなかなか面白くて、クロテッドクリームやハチミツよりも、ベリーのジャムやパッションフルーツクリームと良くマッチングしました。
サクサクな食感と華やかな香りが楽しいです。スコーンまじうまい。


スコーンってすげえよな、クロテッドクリームたっぷりだもん。
個人的には正直全部クロテッドクリームでもいいくらい美味かった。


■サンドウィッチセレクション4種(柚子でマリネしたサーモンとマスカルポーネ、生ハムとビターチョコ イチジクのアクセント、カルダモン香るエビのサラダ、鱈のブランダードキッシュ)

なんとハートの型抜きがされています!KA WA I I!
でも型抜きされてるので量はその分少ないね...
エビがプリプリしてて美味い。マヨっぽいハズレの無い味。そしてマスカルポーネとサーモンって合うね...!マスカルポーネの酸味がレモン的な効果になってて、味が引き締まってるような気がする。
鱈のブランダードキッシュも淡白な鱈の味がしっかりと出ていたのが好印象。生地もサクサク!


■お茶(シングル エステート ダージリン)

シングルエステート。
いい響きです、ワイン好きにはたまりません。とはいえ茶園名が無いのでどこの茶園のものかはわかりませんが...清涼感のある王道の紅茶っぽいです。ちなみに追加料金でキャッスルトンやタルボーが飲めるらしいです。凄い。


ちなみに茶器はノリタケでした。
素敵!


■スイーツセレクション(ラズベリーマカロン、チョコレートムース、レモンタルト、スミレのエクレア)

どれも結構気の利いた味わい。スイーツでありながら甘すぎないのがとてもいいですね。ただ基本的に一口サイズなのでメンズの僕には4口で終了。
個人的にはスミレのエクレアが一番美味しかったですね。
スミレフレーバーのお菓子は、よく輸入食材やお菓子にありますが、そこまでスミレフレーバーは強くなくってクセがないんですよね。
これはとても美味しかったです。


■お茶菓子

お茶も飲んだし、意外とお腹に溜まったなーと思った時にお見舞いされたダメ押しの一撃。フレンチとか行くとデザートの後に出てくるアレです。
大抵メニューには乗っていないので、着地点を定めながら食事をしていて、こういったものが出ると、正直いっぱいいっぱい。キツイ。
じつはあんまり味は覚えてません。



大体2時間くらい居座って、帰りは大丸を見て帰りました。

お菓子はペニンシュラの方が良かったですが、とにかくロケーションと眺めとお茶がとても良かったです。
あと個人的には椅子の座り心地もすごい気にするのですが、かなりいい感じでしたね!

予約なしは厳しそうなので行く人な予約をお忘なく!
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ボルドー グラーヴ、クリスピーで豊満なドメーヌ ド シュヴァリエ ブラン

こんばんわ。
ここのところの更新は殆ど自転車操業状態で行っています。
期末の忙しい時期に毎日更新してるなんて、なにか間違っているような気がしますが、こういうときこそ、現実逃避が必要なのです。

さて、本日は番外編ボルドーの白という事で、ソーテルヌに行きそうになりますが、グラーヴです。
グラーヴの白は基本的にソーヴィニヨンブランとセミヨンのアッセンブラージュによって作られるワインがメインとなりますが、個人的にはソーヴィニヨンブランといえば、やはりロワール。
特にサンセールとかプイィフュメなどを産出するセントル ニヴェルネ地方。ディディエダグノーの強烈なソーヴィニヨンブランの印象がありますが、それ以外も非常に品質が高く安いんですよね。
それに比べるとグラーヴの白は樽を使ったリッチな作りで、高品質である事は間違いないんですが、結構いいお値段するんですよね。その価格なら、ぶっちゃけコート ド ボーヌの村名シャルドネで良いのでは...と。
なので、自発的にはなかなか買ったり飲んだりしないんですが、たまたま機会がありまして、ドメーヌ ド シュヴァリエ ブラン頂きました。

ドメーヌ ド シュヴァリエはグラーヴ特級格付シャトーで赤だけでなく、非常に品質の高い白を産出する事で有名です。ちなみにグラーヴで赤白共に格付扱いのシャトーは、わずか6シャトーのみ(有名どころではブスコーやカルボニュー)。
そしてオーブリオンやド フューザル、スミス オー ラフィットは白に関しては格付け外です。まあ、品質で落ちた訳ではないです。
そんなレアな赤白格付けシャトーであるシュヴァリエ ブランの年間生産数は1000ケース。ボルドーとしては少ないですね。ただ他の地域と比べると特別少なすぎるとは思いませんし、特に手に入りにくい訳ではありません。


収量は37hl/ha、平均樹齢30年で夏季選定は十分に行われ、品質がファーストラベルに満たない葡萄はレスプリ ド シュヴァリエに回される。70%新樽でバトナージュを行いながら発酵、新樽30%で18ヶ月樽熟成を行い瓶詰めを行います。


さて、いってみましょう!


生産者、銘柄: ドメーヌ ド シュヴァリエ ブラン 2005
品種:ソーヴィニヨンブラン70%、セミヨン30%

約11000円、WA95pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は低い。
折り目正しいミネラル感。
非常にクリスピーなスタイルのソーヴィニヨンブラン。
若干熟成を経て複雑で傑出したボルドーブランになっている。
バタービスケットやバニラの香ばしさ、パッションフルーツやカリンの濃厚な果実味。塩を振ったヘーゼルナッツやドライハーブ、アスパラガスやシナモンの風味が漂う。
果実味の強さに起因するシロップの様な甘みもあるが、ディディエダグノーのソーヴィニヨンブランほど濃厚さや集中力があるわけでは無い。ただバニラなどの要素を伴う為、決して薄いとは感じない。要素が互いを補いあっている。
酸味は穏やかながら、溌剌とした果実とバターの風味が口の中に広がる。濃厚で心地よい味わい。
もう少し熟成を重ねればより洗練された味わいになるだろう。


さすがにボルドー屈指の白。
やはりさすがの美味さでした!
それにしても驚きなのが、これだけポッテリとしたまろやかさがありながら、ノンマロラクティック発酵だと言う点。恐らく熟成によって酸味が落ち着いているのと、かなり樽を強く効かせている事で、リッチな印象が出ているんだとは思いますが、まさかノンMLFだとは。悔しい!でもk(ry ビクビクン!

プランティエールも豊満でリッチな香りが漂うのですが、こちらの方が樽や甘みを感じますね。収量の低さや新樽比率の高さによるものでしょうか。非常にクリスピーでバタービスケットの様な甘みが特徴的でした。
また、セミヨン比率は30%ですので、やはりどこかソーテルヌの辛口を想起させる味わいだと思います。たとえばイグレックやエール ド リューセックに樽を利かせた様な感じですかね。
お値段はややお高めですが、品質は高いです。

高級感があって、いい感じです。
ボルドー随一の白ワインは伊達ではないと。

ただ、個人的なタイプとしてはこの値段なら高級感より特異性と独特のクセのあるディディエダクノーのピュールサンを買うかな...と。
いや、単純に好みになるんですが。


ボルドーメドック第一級: シャトー ラフィット ロートシルト 2004

こんばんわ。
さて、ボルドー赤特集最後を飾るのは、メドック第一級の第一位、シャトー ラフィット ロートシルトです。
メドック第一級のシャトーはこのブログでは節操も無く出てきますが、実はラフィットに関しては初となります!
私としても実に3年ぶりの再開だったのですが...んん?これは?

ラフィット ロートシルトは、伝統と格式に満ちたボルドー最高のシャトー(という見られ方をする)。ラフィットを生み出しているものの、1974年までは一級としては比較的凡庸でありながら、75年以降、エリックの行き届いた管理と、32~36ヶ月の樽熟成期間を20~30ヶ月に変更、さらに徹底したグリーンハーヴェストと意識的な遅摘みを行う事で果実味を引き出し、現在はその地位を不動のものとしている。現在はシャルル シュヴァリエがその指揮をとっている。
栽培面積は100ha、平均樹齢は45年。収量は平均で48hl/haとなっている。
栽培は先に述べたとおりグリーンハーヴェストで収量を抑えた果実を選定し、除梗機で除梗したのち、ステンレスと木製のタンクで18~24日間のマセレーションとアルコール発酵が行われる。オーク新樽16~20ヶ月で熟成を経た後に、無濾過で瓶詰めされる。


さて、いってみましょう。


生産者、銘柄: シャトー ラフィット ロートシルト 2004
品種: カベルネソーヴィニヨン 90.5%、メルロー9%、プティヴェルト 0.5%

約84000円、WA95pt
色調はエッジに橙をやや帯びたガーネット、粘性は高い。
西洋杉や土、ドライハーブの香りと共に極めて目の細かい果実味が感じられる、驚くべきバランスを誇るワインだと思う。
やや腐葉土、トリュフ、枯葉などの軽い熟成香、リコリスやパストラミハムのスパイシーな風味。そしてブラックベリーのコンポート、カシスリキュールなどのきめ細やかな果実味が感じられる。またミント、薔薇などのドライフラワーの清涼感のある香り。
途中から急激にワッフルやキャラメルの様な甘露さが現れる。異常な程緻密でエレガントな作りだ。
経過年数としては若干熟成が進んでいる感じだが、タンニンも酸もまだまだ力強く、熟成途中といった風体。
ただトゲトゲしくは無く、比較的滑らかで口の中で木材や土、そしてカシスの濃厚な風味が広がる。
しかしながら、このクラスのワインとしては果実味の凝縮感が低く感じる。
ヴィンテージ起因か熟成によるものか。ただ格の違いは明らかで、強烈なエレガンスを感じるワインだった。ザ フィネス。


■いつものテクニカルデータ

総合ポイントはF1形式を採用。ただどれだけ手を混んだ作りか、ヴィンテージの良し悪ししか判断していない為、調和を重視するワインの旨さとしては指標にはあまりなりません。
※ピジャージュ、ルモンタージュ、ビオの有無、除梗ありなし、圧搾時の手法などは資料が見つからなかったので考慮していません。なので一部、これらの要因が突出していた場合上記の指標通りの作りにはなっていません。


やや、2004年の割には想像以上に熟成感が強く感じられますね。
ただ基本的に育ちの良さというか、品の良さは随所に見受けられて、目の細かく旨味の凝縮した果実味があります。
ムートンのゴージャスさとか、ラトゥールの力強さとか、マルゴーの華やかさとはまた違った、落ち着きがあるけど旨味の溢れるのある味わい。誤解を承知で言うならば良く熟成したピノノワールの様な旨味の出方。
じわっとした...で伝わるかな?
ボディとしてはさほど強くはないんだけど、ボルドーらしい木材や土っぽさ、黒い果実の甘みなどもしっかりと感じられて、幾つもの要素が積み重なって緻密に構成されている感じがする。目が細かく密度が高い。
果実味が強いのは樹齢にも起因するんでしょうね。あとはテクニカルデータの通り、樽熟成期間を押さえている所とか。全体的に調和が取れていてとても品の良い造りだと思います。

ただやっぱりちょっとオフヴィンテージっぽい所はあって、熟成感が早めに出てしまっている所であるとか、ちょっとボディが軽すぎるところとか、そこらへんはちょっと残念な所ですね。
2010年や2009年はどんな感じなんでしょうか。個人的にはパルメが一番良かったかなぁ。

そんな感じでボルドー特集、おしまいです。
長いエントリーが多かったですが、お付き合いいただきましてありがとうございました。
次回はオマケ...というにはちょっと贅沢ですが、ボルドーの辛口白です。


ボルドーメドック第一級: セカンドラベル2010年水平テイスティング!



こんばんわ。
2010年ヴィンテージのボルドーが出そろった所で、5大シャトー(ラフィット除く)のセカンドラベルの水平テイスティングです。1級ファーストラベル4本はあまりにも気前が良すぎるとおもうので、セカンドラベルにしました。
まぁいきなり贅沢はあかんでしょ。


シャトーマルゴーはマルゴー村に拠点を置く、メドック第一級に位置するシャトー。いわゆる5大シャトーのうちの一つ。一時期ジネステ社が所有した時期にその評価を落としたが、メンツェロプロス家に売却されてからは、エミールペイノーをコンサルタントとして迎え、急激な資本投資もあり、1980年以降その評価を回復させた。現在はポール ポンタリエの指揮の下、一級に相応しい卓抜した品質を堅持し続けている。今回はセカンド ラベルのパヴィヨン ルージュ。栽培面積は78haで平均樹齢35年程度の葡萄の収量を45hl/haに抑え収獲を行う。除梗後、温度管理された木製槽で3週間のマセレーションとアルコール発酵が行われ、オーク樽の新樽で18~24ヶ月熟成される。基本的に無濾過で瓶詰めされる。

シャトー ムートン ロートシルトはポイヤック村に拠点を置く、メドック第一級シャトー。5大シャトーの中では唯一1973年に格付けの変更を実現させた。現在はその格付け変更を成功させたフィリップ ド ロートシルト男爵の娘であるフィリッピーヌが指揮を執り、パトリック レオン、エルヴェ ベルローと共にこの1級シャトーを牽引している。
毎年変わるアーティスティックなラベルが特徴的なシャトーでコレクターズアイテムにもなっています。
今回はセカンドラベル、プティ ムートン ド ムートン ロートシルト。
栽培面積は78ha、平均樹齢は45年、平均収量は40hl/ha程度。
除梗は100%、完全な果実のみ選定され木製槽で15~25日間、発酵とマセレーションが行なわれる。新樽にて19~22ヶ月熟成。無濾過で瓶詰めが行なわれる。セカンドラベルのプティ ムートンの生産数は現在不明。

シャトー オーブリオンは5大シャトー唯一メドック以外から選定された第一級シャトー。拠点はグラーヴ地区ペサックレオニャン。現在はクラランス ディロンが指揮を執っている。一時期評価が低迷した時期があったが、1978年からネガティブセレクションをより厳格に行なうようになって以降、品質が回復し、今や第一級に恥じない品質を保持している。今回はセカンドラベル、クラランス オー ブリオン。
栽培面積は43ha、平均樹齢36年、平均収量は35ha/ha。
クリスチャンムエックス同様、房ごと切り取るグリーンハーヴェストを行ない収穫はすべて手作業で行なわれる。
温度調整をシステム的に行ないながらステンレスタンクでアルコール発酵を30℃で実施、新樽熟成期間は最大30ヶ月と瓶詰め時期が最も遅い。清澄は卵白を使用し、濾過はされない。

シャトー ラトゥールはポイヤックに拠点を置くトーチカの様な塔が特徴的な第一級シャトー。現在はフランソワ ピノー氏が指揮を執る。ラトゥールはその品質を安定させる為に約60%がセカンドラベルに回される。1974年に至っては25%のみがグラン ヴァン ド シャトー ラトゥールとなる。また、その偉大なワインが産出がされる畑はメドックにおいて最も歴史が古い畑のうちの一つ。レオヴィルラスカーズに隣接する細かい砂利質で非常に水はけに良い土壌である。今回はセカンドラベル、レ フォールド ラトゥール。
栽培面積は60ha、平均樹齢は35年、収量は40hl/ha程度。
マセラシオンは21日間行なわれ、温度調節機能付きのステンレスタンクで30℃を維持したままアルコール発酵。
新樽を100%使用し20~26ケ月熟成を行なう。清澄は行なうが濾過は行なわない。
清澄:新鮮な卵の白身(樽1つにつき6個分)


さて出来たて2010年、いってみましょう。


生産者: シャトー ムートン ロートシルト
銘柄: プティ ムートン ド ムートン ロートシルト 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン68%、メルロー24%、カベルネフラン8%、プティヴェルト1%以下

25000円、WA90-93pt
外観は澄んだ濃いガーネット、粘性は高い。
この4本の中で最もバランスの良さを感じた一本。
印象としては豊満でリッチ、そしてボルドーの王道を行く作りだと感じた。
西洋杉の清涼感、そしてクレーム ド カシス、ブラッグベリーのジャムの様な果実味、スミレや薔薇の華やかさが液体に満ちている。
僅かに煙草などのスモーキーさも。タイム、リコリス、ミントなどのドライハーブやスパイス。そしてわずかにピーマン香やインク香が感じられる。
洗練されていながら、心地よいボリューム感とふくよかさを感じる。とにかくこの中では最もバランスがいい。
アタックは強烈でタンニンと酸味、ぎゅっと引き締まった苦味など、最初はやや取っ付きにくいタッチだが、徐々に丸みを帯びてくる。カシスや濃厚な黒い果実の風味が楽しめる。


生産者: シャトー オー ブリオン
銘柄: レ クラレンス ド オー ブリオン 2010
品種: メルロー52%、カベルネソーヴィニヨン36%、カベルネフラン10%、プティヴェルト2%

約25000円、WA90-93pt
外観は澄んだやや薄目のガーネット、粘性は高い。
ブラックチェリーやプラムの果実味に満ちた中で、唯一特異な存在感を放っている。
この中だと果実味自体は最も落ち着いているが、最も複雑で難解。
野生的な風味が顕著で、煙草やハーブ、リコリス、タイム、ローリエ、落ち葉などの青っぽい香りが強い。
徐々に過剰なハーブやスモーキーのニュアンスからブリオッシュ、花の蜜の様な甘露な風味も現れる。
燻製肉、トリュフなども。冷ややかで細身な印象、最もボディが軽やかで、やはりこれだけ異質な感じ。
こちらもタンニンと酸がきつめ。酸の方が突出しているだろうか。
徐々に甘やかな風味になる。ベリーの甘みやスモーキーな風味。やや酸は激しいがタンニンは滑らかな印象。


生産者: シャトー マルゴー
銘柄: パヴィヨン ルージュ シャトー マルゴー 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン66%、メルロー30%、プティヴェルト4%
(2009: カベルネソーヴィニヨン67%、メルロー29%、プティヴェルト4%)
(2008: カベルネソーヴィニヨン68%、メルロー26%、プティヴェルト6%)

約20000円、WA90-92pt
外観は澄んだ濃いガーネット
プラムやブラックベリーなどの凝縮した果実味がムートン並みが突出していながら、ハーブや薔薇やスミレの香りが強く感じられる。タイム、リコリス、西洋杉、そしてコーヒーの樽香。スモーキーで全体的に樽が強い。甘い花の蜜、シナモンやワッフルなどの甘露なニュアンスも。やや毛皮の様なニュアンスも。ややインクっぽさが残るが、この中だと澄んだ味わいに感じる。
ムートンと比較するとやや線が細い感じだが、丸みがあり、刺が無い。
こちらも当然だが酸とタンニンは突出しているが、カシスの甘みはしっかりと感じるので比較的若いうちから飲みやすく感じる。徐々にバランスの良くブラックベリーや薔薇の香りが現れてくる。


生産者: シャトー ラトゥール
銘柄: レ フォール ド ラトゥール 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン72.5%、メルロー25.5%、プティヴェルト2%

約33000円、WA92-95pt
外観は澄んだ最も濃いガーネット
やはり堅牢で黒い果実の濃厚な風味や土っぽさが最も強い。
カシスやブラックチェリーの濃厚な果実味。セカンドラベルとしては群を抜いて1級シャトーに接近する味わいで、シャトーラトゥールに通じる強烈で過剰なまでの濃縮感と重厚さを感じる。
乾いた土やトリュフや西洋杉、黒檀。コーヒーやミルクチョコレートの様な樽香、ミント、リコリスなど。
燻製肉、スパイスなど。徐々に薔薇の強い香り。
開き方はツインターボの様に急激で、あくまで主体は土の香りだが、膨大なボリューム感の甘露さが現れる。
他の2010年が当然ながらきつかったので、おっかなびっくり飲んだが意外とタンニンと酸のバランスが良い。
全体の印象も時間が経っても変わらず、大地香やスパイシーさ、力強く堅牢な風味を感じる。
ファーストラベルをまるっと小振りにした感じだ。



もう既にここまで既に長いので、正直な話とてもめんどくさいのですが、飲んでしまったからにはアウトプットしないともったいないですね。
ではいきます。
この4本は概ね一級の特徴を踏襲していたと思います。例えばプティムートンはいかにもカベルネ比率が高そうな豊満さで極まった王道ボルドー的なリッチさがよく出ていたし、レ フォールドは堅固で重厚なタンニンがありながら土の香りや卓抜した果実味があったし、レ クラランスはボディは柔らかく、エレガントでハーブやスパイスなどの複雑さとスモーキーさが出ていました。パヴィヨン ルージュはファーストラベルにある輪郭の鮮明さや透明感を伴った凝縮感はないのですけど、丸みがあり、とても樽がしっかり効いていて果実の密度も高いです。
平たくいえば、どのセカンドラベルも格付級に匹敵するぐらいの品質があるんですが、その中で完全に別々の方向を向いているという。


■いつものテクニカルデータ

総合ポイントはF1形式を採用。ただどれだけ手を混んだ作りか、ヴィンテージの良し悪ししか判断していない為、調和を重視するワインの旨さとしては指標にはあまりなりません。
※ピジャージュ、ルモンタージュ、ビオの有無、除梗ありなし、圧搾時の手法などは資料が見つからなかったので考慮していません。なので一部、これらの要因が突出していた場合上記の指標通りの作りにはなっていません。


今回はグレートヴィンテージ2000、新樽比率は一律100%、マセレーション期間もあまり大きくは変わらない印象。なんで比較はしやすいかもです。要点は下記に箇条書き。
1:樹齢は概ね一律35年程度、しかしムートンは45年と10年以上樹齢が高い。
2:オーブリオンは樽内熟成期間が長い。同じく長いラトゥールと比べても4ヶ月程度長い。
3:収量はラトゥールとムートンが僅かに少な目。
4:カベルネソーヴィニヨン比率はラトゥールの約73%が最も高い。ムートンもマルゴーも65%以上。
5:オーブリオンだけ52%とやたらと低い。その分メルロー比率が高い。

プティムートンは全体を見渡してみても果実味が高く丸みがありリッチな雰囲気でしたが、これは樹齢と収量の差でしょうか。新樽はそもそも高いので対象外として、他のキュヴェと比較しても豊かさが突出していたと思います。果実の単純な力としては(土壌は今回考慮に入れていませんが)ムートンが最も強いと思います。
カベルネ比率が高いのでややピーマン香が出てましたが、まぁこれは仕方ない事でしょうか。
パヴィヨンルージュは造りこみ方が若干他のキュヴェに対して劣るからか、若干樽香が強く出ていました。
樽熟成期間も比較的長めに設定されているのもあり、恐らく果実の力より樽の方が強く出てしまっているんでしょうか。ただセカンドは50%ネガティブセレクションされたものになるので、ファーストラベルはその分果実味が強くなり、樽が目立つことは恐らくないでしょう。ちなみに他のヴィンテージのマルゴーで樽が強すぎると感じたことはほぼありません。
レ フォールドの最も際立った点はやはりそのカベルネ比率でしょうか。
(比較的飲みやすく作られているにせよ)相変わらずの硬さでびっくりしましたが、やはり若い頃のカベルネはメチャクチャ硬い。土っぽいニュアンスも相まって岩を感じさせる硬さ、強固さ。でもそれがラトゥール。
ただ、開いてきた時の果実の甘さは半端ない。土とスパイスの香りと相まって強烈なラトゥールのイメージを作り上げている。そしてマルゴーと同様に樽が溶け込んでいないっぽいのは、ファーストラベルで解消されるのではないかと思います。

そして、最後、クラランスオーブリオン。
ファーストラベル同様、異質。そもそもボディの作りが違う。ミディアムボディ。
そして特徴的なハーブやスモーキーな香りは、長い樽熟成期間によるものでしょうか。コーヒーっぽくは無いんですよね、スモーキー。土壌も関係してるんですかね??
セパージュはカベルネ比率が低くメルロー比率が高く、ボディ自体はしなやかなんですが、丸みとかリッチさとは何か違うんですよねー。
もっと冷涼で硬質な感じがします。

さて、ざっくりと4種類比較しましたが、基本的に言えることは「第一級の個性を踏襲した作りであること」そして「それぞれ別の方向を向いている」という。
セパージュでいうと、そこまで大きくは変わらないんですが、出来たワインはこんなにも違う。それでいてどれも群を抜いて素晴らしいという。
なるほど同じタイプでは並び立たないのが一級か。

ちなみに個人的には、リッチで豪華なムートン、もしくは堅固なラトゥールか好きです。
面白いテイスティングでした。



あれ?
5大シャトーなのに、一本足りませんね?





ボルドー スーパーセカンド 2: 第三級パルメ2008、第二級コスデストゥルネル2007を味わう


こんばんは。
前回に引き続きボルドーでございます。前回はスーパーセカンド、サンジュリアンの王、レオヴィルラスカーズでしたが、今日は同じくスーパーセカンド、シャトーパルメ2008、シャトーコスデストゥルネル2007、そして近年評価を伸ばしているシャトータルボ2009をレポートします。

シャトータルボは、サンジュリアン、グリュオ ラローズのすぐ北に位置する極めて高い品質を誇る第四級格付シャトー。タルボの名は、イギリス軍指揮官ジョン・トールボット伯から取られている。
90年代前半から2000年代前半においては格付同等の評価を受けていましたが、2000年代中盤から特に評価を伸ばしています。
栽培面積は102ha、平均収量52hl/ha。
栽培面積の広さと収量の多さから、お買い得で比較的手に入りやすいシャトーと言えます。平均樹齢35年の葡萄を手摘みで収獲を行い、温度管理されたステンレスと木製の槽で21日間マセラシオンとアルコール発酵を行う。新樽40%で15ヶ月熟成の後。清澄と軽い濾過を行い瓶詰めされる。

シャトーコスデストゥルネルは、メドック第二級のシャトーで、第一級を時に凌駕するスーパーセカンドとして扱われるシャトー。ラフィットに隣接する畑(表土は砂利質、下層土はすい石、石灰岩、シリカ)を70ha保有し、個性的な東洋調の建築物が目印。
平均樹齢35年程度の葡萄を、選定により収量を35hl/ha程度に抑える。収穫は手摘みによって行われる。収穫後の果実は除梗の後、機械制御で高めの温度を維持し、セメントタンクとステンレスタンクでアルコール発酵が行われる。マセラシオンは20~30日程度。
新樽75%~100%程度で18ケ月樽熟成を経た後、瓶詰めされる。瓶詰め後8~30年瓶熟。

シャトーパルメはメドック第三級でありながら第一級に匹敵するスーパーセカンドとして扱われるシャトーのうちの一つ。
小塔のある個性的な建造物のあるシャトーだが、製法は伝統的。
主だった特徴としてメルローを多く使用している点とマセラシオンの期間が28日から30日間と非常に長い点が挙げられる。90年代後半からセカンドラベル(アルテレゴ)を導入し劇的な品質向上している。
栽培面積は52ha。平均樹齢35年程度の葡萄を、平均46hl/haの収量で栽培。除梗を行った後、破砕をし、アルコール発酵とマセラシオンはステンレス槽で28~30日間行われる。新樽45%で20~21ヶ月熟成後、無濾過で瓶詰めが行われる。


生産者、銘柄: シャトー タルボー 2009
品種: カベルネソーヴィニヨン65%、メルロー31%、プティヴェルト4%

約8000円、WA92-94pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
若いカベルネソーヴィニヨン的なニュアンスは結構出ているのだが、若いながらも、とても飲みやすく仕上げている。
果実味がとても豊かでカシスやブラックベリーのコンポートの様な甘露さ、西洋杉の清涼感を主体として、穏やかなピーマン香や煙草。ユーカリやミント、リコリスなどのハーブ。鉄釘、甘草、ジンジャーブレット、カカオなどの風味が感じられる。
流石に若いカベルネゆえ、ややタンニンや酸味はキツめだが、通常のクリュクラッセと比較すると、リッチな果実味があるので飲みやすく感じる。
手軽に楽しめるボルドーワイン。ただ味わいは、流石にクリュクラッセだと思う。


生産者、銘柄: シャトー コス デストゥルネル 2007
品種: カベルネソーヴィニヨン85%、メルロー12%、カベルネフラン3%

約17000円、WA90pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。パルメには劣るものの十分に一級に匹敵するレベルのボルドーだと思う。
こちらも果実味は凝縮しておりカシスやブラックチェリーなどの濃厚な果実味を感じられ、リコリスや胡椒の様なスパイス、オレンジ、茹で野菜や茎、若葉などやや青いニュアンスが複雑さを助長している。炭焼きなどのロースト香。スミレ、燻製肉、ミルクティーの様な風味、土っぽさも感じられる。
パルメの清廉とした印象と比較して、野性味を感じる。骨子はボルドーだが、ちょっとブルゴーニュを思わせる部分がある。


生産者、銘柄: シャトー パルメ 2008
品種: メルロー51%、カベルネソーヴィニヨン41%、プティヴェルト8%

約25000円、WA94pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
一級並、もしくは一級を超えそうな作り。密度の高さ、果実味の豊かさは突出している。
ミントやハーブ、西洋杉、煙草のニュアンス、そしてカシスリキュールやブラックベリーの超濃縮した甘露な果実味が主体。コーヒーやカカオなどのロースト香、シロップやフルーツケーキ、リコリスなど。ほのかに薔薇の香りが広がる。
果実味が非常に豊かだが、受ける印象はエレガントで、一貫して清涼感と甘露さが全体を支配している。
タンニンと酸はヴィンテージゆえ厳し目。しかしながら果実味豊かな為かシルキーに感じる。
全体の印象としてはやはりマルゴーに近いが、パヴィヨンルージュと比較すると、圧倒的に果実味の部分で突出している。


今回はセパージュも生産年も醸造方法も違いますから、良い比較は出来ないかもしれませんが、お付き合いください。

さて、今回はかなり要素が異なりますので、ちょっとテクニカルデータをまとめてみました。

※ピジャージュ、ルモンタージュの頻度が見つからなかった為今回は除外。
※日照条件、土壌は含めていません。
※ABCランク付けは概ね適当です。

[所感]
果実味と甘露さはパルメが突出しています。一級のワインに最も近いニュアンスを感じさせる甘露で豊満な味わい。シャトーマルゴーに近しい雰囲気だが、マルゴー程、瑞々しさや鮮明で鋭角的な味わいは感じ取れない。バランス型のワインでボルドーらしいボルドーと言えるかも。
対してコスデストゥルネルはボルドーとしては特異なタイプで、果実味と共に強いスパイスやハーブ香を感じさせる。こちらも甘露で果実味は豊かなものの、パルメに対して凝縮感、密度で大きく劣る。
タルボーは非常によく出来ていた。果実味とても豊かで豊満。タンニンに刺々しさが無く早飲みできる。クリュクラッセとしては格付け以上のものを発揮できている。左岸の王道的な味わい。冷涼な雰囲気は全く感じなかった。過熟的とも言える。

[所感と分析]
パルメに感じた果実味の豊かさや甘露さは恐らくヴィンテージによるもの。やや豊満な雰囲気を感じるのはメルローが多く含まれるセパージュによるものだと思う。鋭角さや鮮明さは具体的には思いつかないけど、カベルネ比率の違いか、抽出の強弱によるものかもしれない。
コスデストゥルネルのスパイスやハーブは、ヴィンテージ特性による果実味の主張の弱さに起因するものか。ただし、オーブリオンとも若干似た風味を感じたんだけど、セパージュやヴィンテージの特性に共通項が無いから本当にヴィンテージ起因かは不明。
ただ果実味や甘露さは一応しっかりと感じられたのは収量の低さによるものか。新樽比率の高さから樽の風味は感じられたが、若干熟成を経ている為か、そこまで樽香が目立ちすぎる事はなく、溶け込み始めていると思う。
タルボーの果実味の高さやリッチさは間違いなくヴィンテージ起因。捉え方によっては新世界のカベルネ並みの熟し方をしている。収量は高めだが、補って余りあるヴィンテージだったんだと思う。カベルネのピーマン香は感じられたのは、ややクラスが落ちるからからか。他の2本と比べるとテクニカルデータ上で作りの甘さというか丁寧さに若干欠けるが、果実味が全てを補っていたような気がする。
今まで飲んだタルボーと比べると突出して良い。

なんか思考実験みたいな感じになってしまいましたが、各要素がもたらす味わいの差異に、概ね醸造法とヴィンテージの関連性が見られた様な気がします。

ただ最初にもいいましたが、バーチカルでもホライズンでも無いので良い比較になっているかはわかりません。
しかしながら、まずまず面白いテイスティングだったかなと思います。




ボルドー スーパーセカンド 1: 第二級デュクリュボーカイユ2000、第二級レオヴィルラスカーズ1993, 1999。水平垂直で比較する。

こんばんわ。
今日から3回くらいに渡ってボルドーです。幾つかはなかなか面白い考察というか、比較ができたと思いますので、もし宜しければ是非お付き合いください。ちなみにただでさえ長いこのブログですが、今回はかなりの長編となります。

メドック格付2級、レオヴィル ラス カーズ、および同じく2級デュクリュボーカイユのオールドヴィンテージです。


レオヴィルラスカーズはサンジュリアンのメドック第二級シャトーですが、その実力は時に一級を凌ぐ、いわゆるスーパーセカンド。ジャン ユベール ドロンが指揮を取っています。その強烈なこだわりは年によっては50%程度の収穫量をデクラッセしセカンド、サードラベルに回します。
生産量は約21万ボトル。
畑はラトゥールに隣接する主要な畑が40ha、総面積は97ha。平均樹齢は30年で、平均収量はローヌやブルゴーニュの生産者と比べるとやや多い50hl/ha(ただ年によって20hl/ha代になることも)。
木製タンク、コンクリートタンク、ステンレスタンクの槽で20日間程度マセレーションとアルコール発酵を行い、新樽50~100%で12~24ヶ月程度の熟成を行った後、無濾過で瓶詰めを行います。

デュクリュボーカイユはオレンジ色のラベルが特徴的なメドック第二級シャトー。こちらも年によっては第一級を凌駕する事からスーパーセカンドとされています。2003年からメドックの名士、ボリー家のブリュノ ボリーがこのシャトーを牽引しています。
ボリー家が所有して以降30年間に渡ってその品質を高めたため、現在の地位を築き上げたといえる。
栽培面積は52ha、平均樹齢38年、平均収量49hl/ha。畑で選果を行い手摘みで収穫後、除梗機で除梗。温度管理されたステンレスとコンクリートのタンクで17~21日間、アルコール発酵とマセレーションを行う。新樽50~65%で18~20ヶ月樽内熟成を行います。


さて、まずはレオヴィルラスカーズのヴィンテージ比較からいきます。


生産者、銘柄: シャトー レオヴィル ラスカーズ 1993
品種: カベルネ ソーヴィニョン65%、メルロー19%、カベルネ フラン13%、プティヴェルド3%

17000円、WA90pt
色調は濃いガーネット、粘性は中庸。
やはりレオヴィル ラスカーズはすごい。
熟成香はあるが、今現在非常にバランスの良い状態となっている。
濡れた土や燻製肉、落ち葉、シベットなどの熟成香に、西洋杉やソースの様なニュアンスが混ざる。果実味はしっかりと残っており旨味も十分に現れている。紫スモモやカシスの穏やかな果実味、スミレ、タバコ、甘草や焼いたゴム、栗の香り。
酸味やタンニンは穏やかでシルキーな口当たり。とげとげしさは一切感じない。重心は高めで密度はやや低め。滋味を感じる作り。
口の中で木材とカシスの風味が広がる。突出した個性はないが、ボルドーらしさという意味では、やはりレベルが非常に高いワインだと感じた。


銘柄: シャトー レオヴィル ラスカーズ 1999
品種: カベルネ ソーヴィニョン62.4%、メルローとカベルネ フランで37.6%

約36000円、WA91pt
外観はやや小豆色になった濃いガーネット。粘性は高い。
やや熟成感を感じるが、完璧に果実味が残っている。丁度最初の飲み頃といったタイミング。
酸やタンニンは非常にイキイキとしている。
リコリスや薔薇やスミレなどのドライフラワー、腐葉土、トリュフなどの熟成香。濡れた樹皮。
ドライイチジク、ブラックベリーの滑らかな果実味、生肉の野性的なニュアンス。ユーカリ、炭焼きなど。
全体的には木材の香りとイチジクなどの複雑な果実味を強く感じる。
タンニンは優しく酸も穏やかで滑らか。パワー感、エレガントさが綺麗に現れている。


【ラスカーズの垂直比較】
熟成としてはいずれも最初の飲み頃に差し掛かった位ですが、非常に美味かったです。
90年代のレオヴィルラスカーズは何度か飲んだ事がありますが、作柄の良し悪しとしては下記の通り。

■1999年>1998年>1993年
1999年と1998年は大体同じ位の水準で、2004年などと同程度の作柄です。対して1993年はあまり良い作柄とは言えず、2000年代、1990年代通じて、最悪の作柄である1991年に次ぐ不作と言われています。

そんな中で極めてバランスが良く卓抜した味わいだったのは1998年ですね。
あれは神懸かり的で作柄を超越した味わいだったと思います。想像以上に若々しく、適度に熟成を感じる作り。
1999年は作柄もそこそこ良かったせいか、果実味の方が目立っていました。
ボディはムートンの様なリッチなタイプですが、やや土っぽいラトゥールの様な要素も感じられます。ボルドー王道系を突き詰めた味わいだと思います。
93年はかなりエレガント、というと凄くいい感じですね。その実素晴らしいには素晴らしいんですが、今ひとつ他のヴィンテージに比べると密度が薄い様にも思えるんですが(これは熟成に起因するものである可能性も高いです)熟成香がすごい綺麗に出ていて、とても良い古酒に纏まっていると思います。
逆にオフヴィンテージだからこそ、現状美味しく飲める様になってるのかな、と。
個人的には1998が最も好きですが、品質としては1998と1999は拮抗していたと思います。1993は美味しいですが、やや1998と1999に劣る様な印象です。

ちなみに1998のアッセンブラージュはカベルネソーヴィニヨン76%、メルロー15%、カベルネフラン9%と、今回の2ヴィンテージと比較して、かなりカベルネソーヴィニヨンの比率が高くなっています。個人的に最も好みだった1998年のレオヴィルラスカーズにどこかオーブリオン以外の第一級の影が見えたのは、このヴィンテージのカベルネ比率の高さに起因するものかもしれません。だからこそ、1998が最も好みに感じたのかもしれません。


さて、次はデュクリュボーカイユです。


生産者、銘柄: シャトー デュクリュ ボーカイユ 2000
品種: カベルネソーヴィニヨン78%、メルロー20%、カベルネフラン2%

約20000円、WA95pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
13年前のヴィンテージとは到底信じられない位に若々しく、散漫さが無く、雑味を感じない化け物クラスのボルドー。
香りからして、既にその目の細かさや密度の高さは感じ取れるが、同時に若干インクっぽさやピーマンっぽい若いボルドーのニュアンスも感じられる。
果実味は凝縮感に満ちており高密度のカシスやプラムの果実味を感じられる。そして西洋杉、小豆や濡れた土の様なニュアンス、葉巻やドライハーブ。シベットや生肉の野生的な風味。トリュフ、リコリス、溶剤、炭焼きやゴムの様なロースト香が現れる。
エレガントさがありつつ、野性的な側面も見られるボルドー。
酸味やタンニンは落ち着いてきているが、今だ強め。しかしながら卓抜した果実味と麗しい木材の香りが非常に心地よい。より若い状態か、あと10年程度熟成を重ねれば美味しく頂けるのではないか。余韻は長い。


【ラスカーズとボーカイユの(ほぼ)水平比較】
今回のレオヴィルラスカーズとデュクリュボーカイユを比較する方法は2点あります
1:シャトーの特徴を知る為にどちらかの作柄に近いヴィンテージ、もしくは同一ヴィンテージで比較する。
2:作柄の個性を知る為になるたけ近い条件(ヴィンテージ)で比較する。

1でいうと、今回のデュクリュボーカイユはミレニアムヴィンテージですので、比較できるとしたら09か10になると思います。まあこれだと熟成年月が長すぎて良い比較にならないので、妥当に2番でいきます。

デュクリュボーカイユ2000とレオヴィルラスカーズ1999。
前述の通り2000年のサンジュリアンは未曾有の良ヴィンテージでした。いまでは05、09、10と同程度ですが、今ひとつだった90年代と比べると、奇跡的なヴィンテージです。対して1999年は決して悪いヴィンテージではありませんし90年代としてはそこそこ良いヴィンテージに含まれます。
共に約13年程度の熟成を経たものを飲み比べてみると、まず2000年のデュクリュボーカイユの若々しさに驚愕します。もともと硬くて強固なデュクリュボーカイユですが、10年の熟成を経てなお、インクっぽさやピーマンのニュアンスが残っている。果実味もフレッシュな果実味は落ち着いますが、タンニンも酸もギチギチで、まだまだ飲み頃が始まっていない印象。そして、とてもではないですがあと一年で何とかなる様な硬さではありません。
対してレオヴィルラスカーズは丁度最初の飲み頃を迎えていて、熟成香とイチジクの様な果実味のバランスが取れています。酸もタンニンも心地よい。まだまだ熟成はしますし、人によってはまだまだ若いと感じるかもしれませんが、とてもいい状態だと思います。
少なくともピーマンやインクっぽさは無くて綺麗に溶け込んでいます。
2000年と1999年は大分ポテンシャルが違いますね。

そして、セパージュとしてはデュクリュボーカイユのカベルネ比率は約78%、レオヴィルラスカーズは62%。
メルローに関してはレオヴィルラスカーズの方が上回っています。
なるほど、ピーマン香やインクっぽさはカベルネ比率が高く若いヴィンテージに出やすいですが、デュクリュボーカイユについては、ヴィンテージとしても強く、カベルネソーヴィニヨンの比率も高い為顕著に現れたのだと思います。対してレオヴィルラスカーズは、デュクリュボーカイユに比べてややカベルネ比率が低く、かつ良く熟成しているのもあり、出ていたとしても早い段階で溶け込んでいたのではないかと思います。
※最近の良質な生産者は若くてもこれらの要素を出さないらしいので、こと最近に限ってはあまり意識する必要はないのかもしれません。
またヴィンテージ特性もあるのかも知れませんが、若干レオヴィルラスカーズは丸みがある様な気がしますね、割とカベルネソーヴィニヨンの比率が高いものは若い時に青さやソリッドさを感じるのですが、メルロー比率の若干の高さがうまい具合にリッチさに反映されたのかな、と。
新樽比率がレオヴィルラスカーズの方が幾分か確かに高いですが、特段デュクリュボーカイユと比べてレオヴィルラスカーズに新樽の強さは感じませんでした。
樹齢に関してはデュクリュボーカイユの方が高いですが、8年差は誤差範囲だと思いますね...いやシャトー ヌフ デュ パプとか80-100年のとかありますから...収量とマセレーションに至ってはほぼ同等。
ここらへんの要素よりもセパージュやヴィンテージによる個性の方が出ていたと感じました。


■テクニカルデータまとめ

※総合ポイントはF1形式を採用。ただどれだけ手を混んだ作りか、ヴィンテージの良し悪ししか判断していない為、調和を重視するワインの旨さとしては指標にはあまりなりません。
※ピジャージュ、ルモンタージュ、ビオの有無、除梗ありなし、圧搾時の手法などは資料が見つからなかったので考慮していません。なので一部、これらの要因が突出していた場合上記の指標通りの作りにはなっていません。


以上です。
大半の人が「なげーよ!」と思って流し読みか、もしくはブラウザバックものの日記だったと思います。
総評としては、やはりボルドーにおいてはセパージュが最重要だと思いました。
その中でカベルネソーヴィニヨンは若い内はやや厳しいですが、そのものの果実味が強い時や、熟成が上手く進んでいる時は非常に魅惑的な味わい。ただ半端な時期は正直キツイ。それに対してメルローは若い内は茹でた小豆の様なニュアンスが感じられますが、カベルネソーヴィニヨンとのアッセンブラージュを行った際は、丁度中間を埋めるが如く補助している品種だと思います。
勿論メルロー主体も素晴らしいワインが作られますが、ことメドックにおいもなくてはならない品種だと。


いやー、勉強になりました。俺がね。




4haから生み出される多様性、単一一級畑クロ ド ラルローのシャルドネ、ピノノワール。

こんにちは。
本日はドメーヌ ド ラルローのモノポール、クロ ド ラルロー、赤1ヴィンテージ、白2ヴィンテージです。
先月クロ デ フォレ サンジョルジュ3ヴィンテージをいただきましたが、今回はもう一つのフラッグシップです。

ドメーヌ ド ラルローは大手保険会社アクサ ミレジムがオーナーのドメーヌ。責任者はジャックセイスのDNAを受け継ぐジャン ピエール ド スメを雇い入れています。
栽培は完全ビオディナミで除草剤、殺虫剤は使用しない。プレパラートを使用するかなり本格的なビオです。
収穫後は除梗、低温浸漬も行わなず、抽出は発酵後一週間後に行う1日3回のピジャージュのみ (状況によってルモンタージュも実施)。新樽率は45-50%以上。樽熟成期間は不明。無濾過で瓶詰めします。
今回のクロ ド ラルロはクロ デ フォレ サンジョルジュに並ぶラルローのモノポール。同一畑で赤白両方とも産出します。

さて、どうでしょうか?

生産者: ドメーヌ ド ラルロー
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエ クリュ クロ ド ラルロー (ブラン) 2006

WA90pt
色調は淡いストローイエロー、粘性は低い。
やはり果実味が強くボリューム感がある。とても良いシャルドネだ。ムルソーに近い印象を受ける。
カシューナッツやエシレバター、フレッシュハーブ、シャンピニオンの風味。そしてカリンや青りんごの心地よい果実味。徐々に白い花の蜜の様な自然な甘露さ、ハチミツ、ヨーグルト、白檀など。クリーミー。
基本的にリッチな香りがあるものの、主軸は酸味の豊かな瑞々しい果実味。濃くはないが、密度は高い。
やはりコート ド ボーヌのシャルドネに匹敵するニュイの優れた白だ。
酸味は豊かだが果実味が強い、やや後味には苦味を感じる。総じてレベルの高い作りだと言える。


生産者: ドメーヌ ド アルロー
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ クロ ド ラルロー(ブラン) 2007

WA93pt
色調は淡いストローイエロー、粘性は高い。
これが本当に偉大なニュイ サン ジョルジュ ブランで、ピュリニーモンラッシェ一級、もしくはバタールモンラッシェの如き豊満さと強固なミネラルを持ったニュイサンジョルジュ。
非常に甘露で花の蜜やフレッシュハーブ、そして杏仁豆腐、バター、バニラの香りが漂う。ライチや洋梨の果実味も濃厚で、ややシャンピニオンっぽさも感じられる。
濃厚だが、ミネラルや酸味に起因する清涼感のある味わい。豊満な酸が感じられる。口に含むと濃厚な果実味と高い密度で構成された香りが膨らむ。やや苦味を後味に感じる。クローヴ。
ニュイの代表的な白であるモン リュイザン、クロ ブラン ド ヴージョ、テール ブランシュと比較しても非常に卓抜した。


生産者: ドメーヌ ド アルロー
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ クロ ド ラルロー(ルージュ) 2009

WA91-93pt
色調は淡いルビー、粘性はやや高め。鉄釘、シナモン、ローストした樽や線香の香りが占める。それでもフォレ サンジョルジュと比較すると、やや果実味が前に出ている気がする。茎っぽさの青っぽさ、スミレ、バラなどの華やかさが目立つ。ダークチェリーやブルーベリーのドライな果実味、赤い花のシロップ、キノコの様な土っぽさ、溶剤など。徐々にやや獣っぽいニュアンスも。
ヴォーヌロマネの様な伸びやかさがある。
酸味は溌剌としていて、密度が詰まっていて華やかなピノノワール。タンニンは穏やか。


もうね、いつどこで飲んでもクロ デ ラルローは美味いですね。しかも赤白各々品質がものすごく高い。
すごい濃密な作りだけど瑞々しくて、赤はニュイ サンジョルジュというよりヴォーヌロマネ...というかエシェゾーっぽいし、白はムルソーやバタールの様なリッチな作り。
赤は2008年をこのブログでもレポートしていますが、方向性は大きく変わりません。2009年の方が酸、タンニン、そして果実味が豊かさで、その分全体的な骨格がしっかりしている印象はありますが、プティエシェゾーとも言える瑞々しさ、伸びやかさ、凝縮感がしっかりとあります。
白は若干ヴィンテージによって印象の違いを感じます。2006年、2007年共にナッツやバターなどのリッチな風味がありますが、より2007年の方がミネラルや骨格の強さがしっかり出ていると感じました。果実味とリッチさは2006年ですね。
そんな感じで、2007年はピュリニーっぽくて、2006年はムルソーっぽく感じるのですが、これは恐らくヴィンテージの特性によるものなのかな、と思っています。作柄としては2006の方が若干良いので、果実味がやや落ちる2007年と比べてミネラル感や酸味が果実味とバランスが取れてるのだと。
2007年は果実味よりミネラルと酸が突出するのは作柄を見ると自明の理だと思います。
いずれにせよ卓抜したニュイの白で、ニュイ サン ジョルジュのテールブランシュ、モレ サン ドニのモン リュイザン、ヴージョのクロ ブラン ド ヴージョらを凌駕する優れた白の一級だと思いました。

なんか、こう言うと「また大袈裟な!」と思われそうなんですが、飲んだ時に感じる完成度はホントに凄いんですよ!
クロ ド ラルロはプレモープリゼのほぼ最南端(クロ ド ラ マレシャルが一番南)にある泥炭質、石灰質土壌の畑。
生産者の腕もそうですが、優れた畑だからこそ成せる技なんですねー。
しかしこの立地だと、コルトンシャルルマーニュっぽくなるのかな、と思いましたが、ブルゴーニュのミクロクリマには、そんなざっくりしたのは通用しないですね。

なおラルローのフラッグシップはロマネ サン ヴィヴァンですが、これはまだ飲んだ事はありません。
ものすごい気になるんですが、どうすれば飲めるんでしょうね。
誰か飲ませてください!



燦然たる特級リシュブール。脅威の規模感とエレガンスを味わう。

こんばんわ。
今日は若干24歳(!)の美形の3代目、シャルル ヴァン カネット率いるアラン ユドロ ノエラのリシュブールです。

アラン ユドロ ノエラは1964年に祖父アランユドロが起こしたドメーヌ。シャンボールミュジニーの家系ですが、ジャン ジャック コンフュロンとも類縁関係にあり、珠玉の特級、一級畑をほゆうしています。非常に評価の高いドメーヌです。
栽培は場合によってビオを使用する場合もありますが、リュットレゾネ中心の農法を行っています。
収穫後、除梗はせず、10日間の低温浸漬、アルコール発酵、プレス時に種子によるタンニンの抽出を避けるためバスケットプレスでプレス。
新樽比率は村名20%、一級30-50%、特級60%で12ヶ月-17ヶ月で樽熟成を行う。フラッグシップはリシュブール、ロマネ サン ヴィヴァン、クロ ド ヴージョ。

個人的にこのドメーヌはトップキュヴェはもちろんのこと、とてもACブルゴーニュの品質が高くて、お気に入りの生産者です。シャンボールミュジニーは残念ながら諸事情であまり良い状態で飲めませんでしたので、なんともいえませんが、このリシュブール、化け物です。


生産者: アラン ユドロ ノエラ
銘柄: リシュブール グランクリュ 2010

約38850円、WA93pt(2009)
外観はやや濃いめのルビーで粘性は高い。
樽がかなり効いており、コーヒー豆や五香粉の芳ばしい樽香が強く感じられる。そして果実の凝縮度が半端ない、シロップや花の蜜などの強烈な甘さを放っている。
ダークチェリーやデーツなどの黒系果実の甘露で凝縮した果実味。薔薇やラベンダーの瑞々しい華やかさが主体となり、オリエンタルスパイスやグローヴなどのスパイス。なめし革の香りや、ナツメグ、煙草、樹皮、黒檀などのローステッドな骨太な香りを感じ取ることが出来る。
口に含むと赤系果実の旨味が爆発する。クランベリーや梅しばの様な凄まじい凝縮した旨味。しかしながら酸味やタンニンは穏やかなスタイル。
感動的なリシュブール。この凝縮度と華やかさは否応無くヴォーヌロマネの星と言うべき偉大な畑である事を認識させられる。


基本的に今まで、このリシュブールというブルゴーニュ屈指のグランクリュにおいて失望する様なワインに出会った事はありませんが、やはりアラン ユドロ ノエラのリシュブールも途轍もないワインでした。
果実の豊かさや凝縮度、しっかりとした樽のニュアンス、野性的で骨太なスタイル。でもタンニンや酸は若くしてトゲトゲしくないという。
まさに高貴さというか、そういった印象を強く受けるワインだったと思います。ジャン グリヴォー、モンジャール ミュニュレ、ティボーリジェベレール、DRC、いずれもそういった感じでした。
リシュブールは標高260-280mに位置する母岩は石灰岩、表土は粘土と泥土で構成される土壌です。小区画はレ ヴァロワイユ、レ リシュブールの2区画。
所有者は11名。粘土、泥土を表土としているのでボディは比較的強く、表土が薄い為複雑性に富む土壌です。
生産者別に他の畑を飲むと、明らかにリシュブールはエネルギーに満ちているのがわかるんですね。それでいてフィネスがあるという。
若干ほかの生産者と比べると樽が強めの様な気がしますが、特にそこまで極端ではないですし、恐らく綺麗に長熟するのではないかな、と思います。
あとリシュブールなのにメチャクチャ安い...!


ううむ、リシュブール、生産者ごとに同一ヴィンテージで飲んでみたいなー。

ブリューノ デゾネイ ビセイ。テロワールを映し出した華やかなエシェゾー、グランエシェゾー。

こんばんわ。
あまりメジャーでは無いドメーヌですが、ブリューノ デゾネイ ビセイのエシェゾーとグランエシェゾーを飲みました。個人的にはかなりいい線行ってる生産者だと思います。

ブリューノ デゾネイ ビセイは、1975年にフラジェエシェゾーに設立されたクラシックな生産者。
栽培は樹齢80年の古木を中心にリュット レゾネで行われ、葡萄の収穫は手摘み。
収量はグリーンハーヴェストにより1株あたり8房に制限されます。
収穫後100%除梗を行い、20日間アルコール醗酵を行います。空圧式圧搾機でプレス、新樽比率33%で18か月熟成。ノンフィルター、ノンコラージュで瓶詰めします。このテクニカルデータを見るに非常に丁寧な栽培を行っていることがよくわかります。ちなみにここのグランエシェゾーはドミニクローランも購入しています。

あまり雑誌やメディアで取り上げられる事が無いドメーヌですが、その実力の程はいかに。


生産者: ブリューノ デゾネイ ビセイ
銘柄: エシェゾー ヴィエイユヴィーニュ グランクリュ 2010

約11000円
外観は透明度の高い明るいルビー、粘性は中庸。
ハイトーンに伸びて行く、とても華やかで明るい印象を受けるエシェゾー。
ストロベリーやアメリカンチェリーの瑞々しい果実味や、茎や葉っぱのやや青いニュアンスが顕著に現れている。
そしてなめし革や薔薇やスミレの煌びやかなニュアンス。徐々に花の蜜、ハーブ、シナモンなどの甘露さも。鉄っぽさや樹皮、グローヴや香水など。
口当たりはグランエシェゾーと比べると非常に軽やかで、心地よい酸味と華やかな香りが感じられる。タンニンは適度に現れておりキュッと引き締まった清涼感がある。全体的に非常に華やかで伸びやかな印象を受ける。


生産者: ブリューノ デゾネイ ビセイ
銘柄: グラン エシェゾー ヴィエイユヴィーニュ グランクリュ 2010

約13500円
外観は透明度の高い明るいルビー、粘性は中庸である。
エシェゾーと比較して、より香りが濃厚でジャミーで甘露。輪郭がハッキリとしており力強さを内包している。
ストロベリーやデーツのジャムコンポート、花の蜜などの甘露で濃厚な果実味、スミレや薔薇のニュアンスをより強く感じる。またバニラやシナモン、白檀や紅茶などの要素が主軸となる。わずかに土っぽさやなめし革、スパイシーさも。ミルクティーの様なまろやかで甘露な味わいだ。
エシェゾーの様に伸びて行く様な清涼感や酸味は無いが、タンニンと酸のバランスが良くしっかりと現れており、強固なボディを強く感じる。若干ミニュエのボンヌマールみたいかも?


いや、マイナーながらも非常に良い作り手だと思います。
濃いだけではなく、テロワールの違いをしっかりと映し出している様な気がします。
個人的な感覚で、この2本の差異を説明するならば、シャープで伸びやかなエシェゾー、凝縮したジャミー、かつエレガントなグランエシェゾーといった感じ。
グランエシェゾーの方がきっちりと熟しているニュアンスがあって、凝縮感があり甘露。酸よりもタンニンが充実していて、しっかりとしたボディを感じます。
対してエシェゾーは引き締まった酸が特徴的で、香りの要素もハイトーンにまとまっている様に感じます。
甘露さもあるのですが、どちらかといえば華やかさや青さが前に出ていて、引き締まった清涼感がある。
全体的な方向性としては大きく違わないのですが(自然な果実味があるという点で)、その中においてきっちりと差別化が成されてますね。

テロワールに関しては、グランエシェゾーについてはゆるやかな傾斜で標高260m、バジョジアンの石灰岩の上部に酸化鉄が多く含まれた粘土質が乗る土壌で、総面積は9.14ha。
エシェゾーは小区画によって大分印象が変わりますが、仮に(ロベール シリュグが保有する)レ クリュオだとすると表土が浅く小石が多い土壌で総面積は3.29haとなっています。
デゾネイ ビセイのワインは概ねテロワールの特徴に則していて、エシェゾーは骨格がしっかりしてるし、グランエシェゾーはリッチでボディが強いイメージ。ミネラルという点ではエシェゾーの方が卓抜としていた様な気がしますが、まぁ気のせいだと思います。

いやどちらも素晴らしかったですが、やはり個人的にはグランエシェゾーですね。
びっくりするほど官能的ではっきりした輪郭があって、甘露。
グランエシェゾー自体はそんなにたくさん種類を飲んだ事がある訳ではないのですが、DRCやラマルシュのもそうですが、やはり全体的にピノノワールの官能性を凄く感じるんですよね。
エシェゾーも素晴らしいですが、やはりグランエシェゾーの方が、一歩抜きん出ていると思いますね。

いや、素晴らしかったです。

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ところでここからは、ちょっとしたデゾネイビセイのエシェゾーとグランエシェゾーの謎のお話。

このブログの記事を書く上で毎度ブルゴーニュワイン大全や他の書籍を見ながら書いているのですが、エシェゾー、グランエシェゾー共にデゾネイ ビセイが所有者一覧の中に入っていません。
そして今回のワイナートのヴォーヌロマネ特集を見ても所有者の中には入っていません。
以下本当に私の勝手な憶測になります。

1:インポーター資料
1975年に彼の妻の祖母が所有していたフラジェ エシェゾーの2haの畑で分益小作による開墾から始めました。
彼の所有しているポートフォリオの中でフラジェエシェゾーから算出されているAOCは「エシェゾー」「グランエシェゾー」「ACヴォーヌロマネ」「ACブルゴーニュ」の4種類のみ。そして分益耕作ということですから、実際の所有者ではなく小作人として誰かの畑を耕し、自身の名前がついたワインを報酬として受け取っているという事になります。

2:ラベル
1の分益耕作をしている事を前提とすると、所有者が別の名前になっている可能性が非常に高いです。
エシェゾーは所有者が多すぎるので、所有者が絞られるグランエシェゾーで探してみたところ、面白いものが見つかりました。

これは昔のロベールシリュグのラベルです。メチャクチャ似てますね。
っていうかほぼ同じですよねこれ。
ちなみにデゾネイ ビセイのオールドヴィンテージのラベルはマジでまんまです。

3:樹齢
80年くらいと大体同じ。

何度も言いますが、個人的な憶測です。

ひょっとしたら、インポーター資料の「彼(ブリューノ デゾネイ)の妻」というのはロベール シリュグの親類なのかもしれません。そうしたら所有者一覧に名前が乗っていないのも納得。ロベール シリュグの畑で分益耕作をしているのですから。

いやー真実は闇ですが、なんとなく、すごくしっくりくる様な気がする。
これって、ブルゴーニュのミステリーですよね。
もしそうだとしたら、今品薄のシリュグのグランエシェゾー、意外と簡単に手に入るかも...!



ラターシュに隣接する一級畑マルコンソール、区画による差異を探る。



こんばんわ。
本日はユベール ド モンティーユのヴォーヌロマネ プルミエクリュ オー マルコンソール2種類です。

オー マルコンソールは、ゴーディショと共に、DRCのモノポール「ラターシュ」に隣接するプルミエクリュですが、ユベール ド モンティーユはこの区画において2種類のワインを作っています。
「ヴォーヌロマネ1級 オーマルコンソール」そして「ヴォーヌロマネ1級 オーマルコンソール クリスティアンヌ」。
共にAOC的には同一ですが、じゃあ、何が違うのかと。

それはオー マルコンソール内の区画です。

写真でみると一部小道を挟んでラ ターシュにせり出している部分があります。ここの区画で収穫された葡萄を単一で仕込んだものが「クリスティアンヌ」になります。左側の広い区画が何も付かないマルコンソールですね。
なぜ分けられているかというと、本来はラターシュに併合されるべき土地であったからです。
DRCラターシュは周辺のゴーディショなどを併合して今の所有面積となりましたが、現在のクリスティアンヌの区画は別の所有者が持っていた為併合できず、歯抜けの様にマルコンソールとなってしまっています。
ゆえにクリスティアンヌはラ ターシュであるという意味合いを込めて別途仕込んでいると、そういう事ですね。
実際土壌も立地もラターシュとほぼ変わりませんので、非常に優れた特級並の一級といって差し支え無いと思います。

さて、件のユベール ド モンティーユはヴォルネイ、ポマールの筆頭ドメーヌでどちらかというとコート ド ボーヌ寄りのドメーヌで、現党首になってからニュイにも大幅に範囲を広げています。
栽培は一貫したビオディナミで行われ、収量は芽掻きと果実選定で30hl/haまで抑えられます。除梗は年によって比率を変えています。アルコール発酵は高めの温度で行われ、過度の抽出(ルモンタージュ、ピジャージュ)はしません。フレンチオークでの新樽はクリスティアンヌで80%、一級では30%とドラスティックに変えているようです。樽熟成の期間は20ヶ月前後で、ノンフィルター、ノンコラージュで瓶詰めされます。
フラッグシップはポマール リュジアン、クリスティアンヌ、クロ ヴージョ。

生産者: ユベール ド モンティーユ
銘柄: ヴォーヌ ロマネ プルミエクリュ オー マルコンソール 2010

約25200円、WA92-95pt(2009)
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。スパイシーでやや冷ややかな印象を受ける。
華やかさを重視しているのか、ドライハーブ、薔薇とスミレの香りが突出している。チェリーリキュールとブラックベリーのエレガントで瑞々しい果実味。蕩ける様な甘露な味わいで、僅かにシナモンやコーヒー豆のロースト香、シロップの様な甘やかさも徐々に現れる。またトースト、土っぽさ、茎、グローヴなどの香りも。
密度は高いが、酸、タンニンが刺々しい感じは無くて、シルキーで滑らか。口に含むとスミレやブラックチェリーなどの華やかな果実味が開いていく。
意外とクリスティアンヌよりマルコンソールの方が出来は良いか?


生産者: ユベール ド モンティーユ
銘柄: ヴォーヌ ロマネ プルミエクリュ オー マルコンソール クリスティアンヌ 2010

約37800円、WA92-95pt(2009)
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
スパイシーな印象がありミネラル感も感じる。無名マルコンソールと比較すると何故かこちらの方が果実味が弱い印象で香りも穏やかで一瞬拍子抜けしてしまった。
しかし徐々に妖艶で華美な香りが現れる。基本的にはマルコンソールと構成要素は同じで、ドライハーブや薔薇とスミレの香りが突出している。そして果実味も濃厚で、チェリーリキュールやブラックベリー、プラムの凝縮したエレガントな風味を感じられる。トースト、シナモン、コーヒーの樽香。なめし革、パストラミハムや生肉などの野性的なニュアンス。土や茎、松の樹皮、ミルクティーなどの青っぽさ、スパイシーなグローヴ、オリエンタルスパイスなどのニュアンスも。
徐々に果実味が強く現れ、全体的に香りの強度は無名マルコンソールを上回る。肉厚で高密度だが、スロースターターだ。
酸味、タンニンはクリスティアンの方が強い。特に酸味から生まれる凝縮感は無名マルコンソールを超越する。口に含むと華やかなスミレなどの風味とダークチェリーの果実味。余韻は長い。


どちらも華やかで妖艶な作りですね。
甘露さが前に出るキャッチーな作りでは無いんですけど、スパイシーで冷ややかで、どこか瑞々しい甘みがある、良いヴォーヌロマネだと思います。(ヴォルネイっぽくもあり?)
基本的にはこの2本、ややシャープな輪郭のワインだと思いますが、どちらかといえばマルコンソールの方が素直な甘さや華やかさが出ていて、クリスティアンヌは凝縮度が高いのと、スパイシーさ、ミネラル感が複雑に絡み合った印象を受けますね。
タンニン、酸もクリスティアンヌの方が強いので、やや長熟しそうな雰囲気です。クリスティアンヌの方がやや硬質です。
さて、クリスティアンヌとマルコンソールの土壌ですが、マルコンソールは土石灰分の強い粘土石灰質土壌。クリスティアンヌは(ラターシュ下部と同等と考えると)バジョジアンの硬いウミユリ石灰岩を基岩としているようです。
特にここら辺は大きな違いが無いという認識です。(というか基岩と表土ではちょっと比較が出来ないので...)
位置的に、モンティーユがどのような場所にマルコンソールを持っているのかわかりませんが、もし、斜面上部に保有しているとしたら斜面下部のクリスティアンヌと比べると、実はマルコンソールの方が良いのでは...とも思ってしまいます。
実際テイスティングした感覚だとクリスティアンヌの複雑性、凝縮感はマルコンソール以上のものを感じますが、果実味としてはマルコンソールの方が豊かだったりするんですよね。新樽比率の関係かな?
いずれにせよ、どちらも非常にウマイ...というか偉大なワインなので言う事ないんですが、イマイチここら辺の位置関係と味わいがビタッと合わないのが、ちょっとモヤモヤするんですよねえ。

一度他のマルコンソールやゴーディショと照らし合わせてみないと、畑の本質はわからないかもしれません。
ただ、とても興味深い比較だったと思います。


J.F.ミニュエ、2010年待望のミュジニー、ボンヌマールを利く



さて、こんばんわ。
本日はシャンボールミュジニー最高の生産者のうちの一人、ジャック フレデリック ミュニエのミュジニー、ボンヌマールの2010年です。ジャック フレデリック ミュニエのミュジニーおよびボンヌマールは今年の4月にも2009年をレビューしていますが、今回は2010年です。

ジャック フレデリック ミュニエは19世紀後半にその大本となるドメーヌが設立されましたが、実際に本格的にワイン作りが行われるようになったのは1985年から。現在はシャンボールミュジニートップクラスの名手となっています。指揮は5代目のフレデリック ミュニエ。
ミュジニーは2カ所1.13ha、ボンヌマールはテールルージュ、テールブランシュ5カ所に0.36ha保有しています。
ぼぼ有機農法、グリーンハーヴェストによって収量を制限した栽培がおこなわれる。選果は収穫時に入念に行われ、除梗機で100%除梗は行われる。発酵前に2、3日低温浸漬を行なわれ、徐々に温度を上げ自然に発酵を行なうが、必要によってシャプタリザシオンも行う。発酵は18日間。新樽比率はミュジニー、ボンヌマールは20−25%で24ヶ月熟成を経て無濾過、無清澄で瓶詰めされます。
個人的に凄い好きな生産者で(ヴォギュエより好き)毎年楽しみにしています。2010年はどうでしょうか。

さていってみましょう。


生産者: ジャック フレデリック ミュニエ
銘柄: ボンヌ マール グランクリュ 2010

約33600円、WA93-95pt(2009)
色調は中庸なルビー、粘性は高い。エレガントでありながら非常に果実味が強い。
サーヴ直後の印象としてはミュジニーの甘露さが強く感じるが、徐々にミュジニーを上回る。ミネラル感は存在するがミュジニー程明確ではない。
蜂蜜や赤い花の蜜、シナモンの甘露なニュアンス。やや樽っぽさも感じられる。ラズベリーやブルーベリーの力強い果実味。(密度はさほど高くはないか)
ミュジニー同様スミレの強い香りを感じるが、果実味の方が目立つ。そしてコーヒーや炒ったカカオのロースト香。なめし革、毛皮なとのやや野性的なニュアンス。そして僅かに茎や白檀の樹皮、グローヴ、アニスなどのシャンボールらしい風味も現れる。
酸やタンニンは非常に軽やかでシルキー、口に含むと花の蜜や果実味が大きく広がる。優しい液体感があり13%のアルコールを感じない。


生産者: ジャック フレデリック ミュニエ
銘柄: ミュジニー グランクリュ 2010

約53350円、WA94-97pt(2009)
色調は中庸なルビー、粘性は高い。
サーヴ直後はボンヌマールと比較すると意外な事にこちらの方が果実味が強いがかなり冷ややかな印象。ミネラルに由縁する印象だろうか。
岩を砕いた様な石灰石を感じるカッチリしたミネラル感。赤い花の蜜、シナモンの甘露なニュアンス。ダークチェリーやブルーベリーの高密度で凝縮した果実味が感じられる。
そしてそれとバランスを取るような瑞々しいスミレや薔薇の花の香り、甘露さよりミネラル感や茎、下草、フレッシュハーブ、グローヴの様なやや青っぽい香りがボンヌマールと比べて強く現れる。
なめし革や紅茶、僅かにアーモンドやワッフルの様なロースト香も感じられる。徐々にミネラルのせいか、より硬い印象が強くなっていく。甘露さはボンヌマールに劣るものの、強烈無比な凝縮した味わいがある。
酸もタンニンも穏やかだが、幾分かはボンヌマールと比べると酸味が強く、赤系果実や梅しばの様な凝縮感を強く感じることが出来る。


個人的には2009年と比較すると(記憶レベルでしかないですが)今年の方がバランスが取れている様な気がします。
2009年の負の面、良好なヴィンテージだからこそ現れてしまう過熟感があって、ミュジニーとしては重すぎる、甘すぎる印象がありました。勿論2009年のミュジニーも個人的にはとても美味しく頂けたのですが、テロワールの再現という意味ではちょっとズレたのではないかな、と。「謎めいたミュジニー」というイメージに対してキャラクターがはっきりしすぎていた様な気がするんですよね。ボンヌマールはキャラクター的に合致していると思いますが。
それに比べると今回の2010年はしっかりと熟していながらもシャンボールミュジニーらしい複雑さや(ミュジニーにおいては)ミネラル感、それらのバランスがすこぶる良く取れていて「最高のシャンボールミュジニー」になっていたと思います。
さて、2010年のこの2つのグランクリュ。改めて思いますが、同じシャンボールミュジニーでも大きなキャラクターの差を感じました。
ボンヌマールは最初はミュジニーと比べても果実味が落ち着いているのですが、時間経過とともに強烈な凝縮感と果実味が開いてきます。それこそミュジニーを凌駕するボリューム感と甘露さ。ただ液体は滑らかでシルキー。
そして大きく膨れ上がった規模感は更に時間経過でややもって落ち着き、スパイスと青さを残します。
対してミュジニーは最初からボンヌマールより硬質なミネラル感と果実の凝縮感があるのですが、それが時間経過しても全く印象を変えない。一見華やかで甘露だから開いていると勘違いしそうになりましたが、じっと縮こまっていて、ひたすら強固なミネラル感と一定の果実味、スミレや薔薇の香りを放ち続ける。そして何よりも特筆すべきはその液体密度。ボンヌマールが膨れ上がるドラスティックなワインだとしたら、ミュジニーは同クラスの熱量をひたすら高密度に凝縮されたワイン。ミネラル感、酸味、タンニンがミュジニーのイメージを明確にかたどっている様に感じました。
いや、ホントすばらしいです、この2本。
今更ミュジニーとボンヌマールの特徴は説明しませんが(これを読んでる人は大体ご存知かとおもいますし。)、正にその特徴がはっきりと現れていたかな、と思います。

やっぱり卓抜した生産者は違うなぁ。



ネゴシアンで大きな差。ルイラトゥールの特級シャンベルタン、ルイジャドの一級クロ サン ジャックを比較する。

こんばんわ。
本日もジュヴレシャンベルタン関連、ネゴシアン縛りです。
ルイ ジャドのクロ サン ジャック、ルイ ラトゥールのシャンベルタンの2本です。

ルイジャドはブルゴーニュの1859年創業の老舗ネゴシアンで、ネゴシアン業に留まらず上級キュヴェに関しては154haもの自社畑で栽培まで行っています。そして何と言ってもルイジャドといえば天才ジャックラルディエールの存在でしょう。1970年から醸造責任者としてジャドのワイン作りの指揮を取っています。
自然農法を実践しており表土のみを馬で耕作をしています。100%除梗を行ない、低温浸漬は基本的には使用せず、発酵温度の管理もせず、ルモンタージュも行わず、ごくごく自然の葡萄のポテンシャルに任せてゆっくりと時間をかけて醸造を行っています。オーク新樽比率は最大で50%程度。それでいて非常に素晴らしいワインが作れるのですから、ジャックラルディエールのセンスが光る所だと思います。(逆にアンリガジェイとラルディエールが引退したらどうするんでしょうね。)

ルイラトゥールはルイ ファブリス ラトゥール率いる大手ネゴシアン。
栽培、醸造としては100%除梗を行った上で、破砕後、果皮発酵後に新樽率100%程度で長期間熟成させます。
やはり看板銘柄はコルトングランセ、コルトン シャルルマーニュ、ロマネ サンヴィヴァン、シャンベルタンでしょうか。ちなみに僕は最も廉価キュヴェのアルディッシュが好きです。

ではいってみましょう!


生産者: ルイ ジャド
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ クロ サン ジャック 2006

約13000円、WA91pt
外観は中庸なルビー、粘性は高い。
凝縮感がありとてもフルーティーなプルミエクリュ。
野性的でなめし革やパストラミハムのニュアンスがまず前面に現れる。
徐々に完熟したダークチェリーやイチゴの甘露な果実味。甘露なシナモンやバニラ、赤い花の蜜。
そして華やかな薔薇やスミレなどニュアンスが主体となってくる。溶剤や紅茶などのニュアンスも感じられる。
香りだけみれば、一見穏やかにも見えるが、その実、要素が非常に凝縮しており筋肉質。
酸味もタンニンも引き締まっている。
甘露で華やかでありながら、強靱なパワフルさを感じる。
香りとのバランスも良好で品質の高いピノノワール。男性的な色っぽさを感じる。


生産者: ルイ ラトゥール
銘柄: シャンベルタン グランクリュ キュヴェ エリティエ ラトゥール 2001

約14000円、WA91pt(2003)
色調は淡いルビー、粘性は中庸。
豪奢な華やかさやパワフルさは一切無く穏やかな印象を受ける。
良く言えば瑞々しく清廉な印象、悪く言えば地味でひ弱なシャンベルタンだ。
ラズベリーやストロベリーの穏やかな赤系果実の果実味に薔薇のドライフラワー、シナモン、花の蜜のほのかな甘やかさが伴なう。土っぽさや生肉、紅茶など熟成香。そしてグローヴ、トースト、松の樹皮などのニュアンスが感じ取れる。
濃さや凝縮感といった単語は殆ど当てはまらない。密度も低め。
ただ酸味やタンニンは非常に落ち着いているし、赤い果実味が瑞々しく、旨味も感じられる。
滋味溢れる穏やかで柔らかい味わいだ。
しかしながらシャンベルタンという言葉から連想される男性的な騎士王の姿からはかけ離れた、なで肩のフェミニンな迷君を思わせる。これはこれで悪くはないが、シャンベルタンの品質には届いていない。


いや、なかなか好対照でしたね。堪能しました。
ルイジャドのクロ サン ジャックは本当に素晴らしい出来。特級クラス、さもありなん。
本来は特級並の南東を向いた急斜面にあるこの1級畑が、1級畑として格付けされている理由は本当にくだらないものなので、ぜひ調べてみてください。
基本的に所有者の関係(所有者はアルマンルソー、フーリエ、エスナモン、ブリュノ クレール、そしてルイ ジャドの5人のみ)ではずれが無いアペラシオンだと思いますが、ルイジャドもまた1級を超越する造りをしてきましたね。
クロ サン ジャックは白色泥炭質、茶色の粘土質、全体に小石が多い土壌、そして南東に向く急斜面。完璧な立地。
男性的で筋肉質でありながら華やかな雰囲気を持つジャドのクロ サン ジャックは、やはり何処かフーリエやアルマンルソーに近いものを感じますね。
やはりクロ サン ジャックとレ ザムルースを飲む時は凄く特別な感じがしますね。
ルイ ラトゥールのシャンベルタンは....申し訳ないですが、シャンベルタン足り得ないシャンベルタンだったかと。
ピノノワールとして決して悪い出来ではないのですが、燦然たるグランクリュであるシャンベルタンはやはり一歩抜きん出た存在ですし、何と言っても堅牢さが求められるアペラシオンなので、この造りはちょっと受け入れがたく感じました。今までルイラトゥールのコルトン グランセイ、コルトン シャルルマーニュも頂きましたが、何れも感動できない中凡な造りだったと記憶しています。飲む時期が悪かったのかわかりませんが、ちょっとネゴシアンとしてはあまり宜しくない方向かな、と思っています。

今回はやはりルイジャドの素晴らしさが際立ちました。
群を抜いた一級畑、というのもありますが、何より造りの巧妙さが際立っていると思いました。
ルイ ラトゥールも一皮むけてほしいですね。素晴らしい畑はたくさん持ってるのですから伸び代はあると思います。

※ジャック ラルディエールは去年引退されたみたいです...後任はフレデリック バルニエ氏。どうなるかはわかりませんが、ジャックのDNAを継いで頑張って頂きたいですね!



清廉でフェミニンな印象を受けるデュジャック。シャルムシャンベルタン2006-2008を効く。




こんばんわ。
最近ちょっと体調が悪かったので、更新が滞っていましたが、徐々に更新して行きます。
※エントリーもかなり溜まっていますので...!

さて今回はデュジャックのシャルムシャンベルタン3ヴィンテージ飲み比べです!
ドメーヌ デュジャックは天才ジャックセイス率いるモレ サン ドニの大スター生産者。
クレールダユやジェラールポテルの元で修行したジャックセイスが1967年に設立したドメーヌで、近年特に畑を買い足し規模を大きくしています。現在は16のAOCを保有しており、伝家の宝刀クロ ド ラ ロッシュ、そしてル シャンベルタン、クロ サン ドニ、ボンヌマール、ロマネサンヴィヴァン、エシェゾー、そして今回のシャルムシャンベルタン。綺羅星の如き特級畑を複数保有しています。
現在は約75%は有機農法が実践されており、一部の畑はビオディナミの実験が成されています。
(程度は変化しますが)基本的には除梗は行わず、数日間の低温マセレーションを行った後、圧搾、破砕。やや高温でアルコール発酵した後、(シャルム シャンベルタンは)軽く焼いた新樽100%で15ヶ月間熟成、そして無濾過、無清澄で瓶詰めされます。

今回のテイスティングは私がデュジャックのワインに抱いていたイメージを覆すワインでした。


生産者:ドメーヌ デュジャック
銘柄: シャルム シャンベルタン グランクリュ 2006

約21000円、WA91pt
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は中庸。
基本的には若々しい味わいだが、若干熟成のニュアンスを感じ取れる。
ダークチェリーやブルーベリーなどの黒系の果実味、香りに果実の甘やかさを若干感じる。基本はドライな味わい。
鉄っぽさや松の樹皮、生肉、土や焦がした枯葉などのやや枯れたニュアンス。そして薔薇やスミレの華やかさ。
粘土やグローヴ。そして徐々に青っぽい風味も現れる。
酸はやや強めで若干刺々しい印象を受けるが、その分タンニンは穏やかに感じる。後味に枯葉や凝縮感のある果実の香り。
全体の印象としてはエレガントで華やかな作り。2008,2009や他のデュジャックのキュヴェと比べると些か弱さを感じるものの、十分芳香は力強い。


生産者:ドメーヌ デュジャック
銘柄: シャルム シャンベルタン グランクリュ 2007

約19000円、WA89pt
外観は最も薄いルビーだが、粘性は高い。
比較的強めのミネラル感を感じる。凝縮感のある果実味で、甘露ではないものの強烈な華やかさを放つ。
オレンジの様な酸味を伴いながら、ダークチェリー、ブルーベリーの凝縮感のある果実味。
小豆やシロップ、シナモンなどの甘露さは感じるものの、基本的にはドライで、ギラギラした華やかさが主体となる。
密度の高いスミレや薔薇のオイルの華やかさ。なめし革、鉄分、グローヴなどのスパイシーさが感じられる。またトースト、ほのかにバニラの風味も感じられる。
酸味、タンニンともに際立っている。そのせいか細くはないのだが芯の途轍も無く強固な印象を受ける。ただ2006ほどキツイ印象はない。
全体的に華やかで筋肉質な力強いパワフル感がある。細マッチョ。


生産者:ドメーヌ デュジャック
銘柄: シャルム シャンベルタン グランクリュ 2008

約17000円、WA92-93pt
外観は最も濃い赤みの強いルビー、粘性は高い。鋭いミネラル感と共に強めのロースト香を感じる。
果実味が詰まっている為、一瞬硬い印象を受ける。樽のニュアンスが強く残っており、コーヒーや五香粉、線香などの風味が先行する。そして2007同様か、それ以上の凝縮した黒系の果実味...ダークチェリーやプラムなどの密度の高い果実味と、薔薇やスミレのアロマオイルの様な華やかさを感じる事が出来る。
なめし革、パストラミハムの様な野性的な風味。そして花の蜜やシナモンなどの甘やかな風味、樹皮やお香、切りたての木材、鉄っぽさ、焼いたゴムなどの複雑なニュアンスが混じる。
こちらも2006, 2007同様ドライで華やかな印象のワインだ。
酸とタンニンは3ヴィンテージの中で最も力強い。果皮と木材の香りが口の中で広がる。
最もパワフルで高密度、しっかりした骨格を持つワイン。そしてやはりエレガントなスタイルである。


そう、基本的にドライなんですね。
デュジャックのクロ ド ラ ロッシュを思い出して頂くと分かるのですが、果実味が豊かで華やかで官能的ですよね。
それがシャルムシャンベルタンにおいては華やかさに特化している様な気がします。フェミニンというか冷淡で細みで筋肉質な印象。ミネラリーというか硬いというか。
これはこれでデュジャックの別の一面が見えて非常に面白いと思います。まさかこういう造りにしてくるとは...
3ヴィンテージを通して同じ特徴だったので、デュジャックもかなり意識して作ってると思います。
ただ今回はテロワールとしては均一化して考える事は出来ないんですよね。まず区画が広すぎるし、デュジャックはマゾワイエールを保有していますが、マゾワイエール単体でリリースされていない事を考えると恐らくシャルムに混醸されてます。ただともにグリザール渓谷からの風の影響を受けるのでやや冷ややかな印象を受けるワインになりますので、デュジャックの造りは非常にテロワールに則していると思いました。。

さて、ヴィンテージ的な観点で見ると、これがまた微妙で、素晴らしいヴィンテージの2005と2009の間に挟まれた中凡な時期です。一応ヴィンテージとしては2006と2008が比較的優れていて、2007はそれにやや劣るといった感じ。(もちろん2009年、2005年には遠く及びません。)

印象としてはヴィンテージの特性よりも1年違いの熟成の方が強く出ていましたね。
確かに2007年と2008年を比べたときに2007年の印象は若干軽めと感じました。ただ、それより2008年は樽のニュアンスが液体に溶け込んでいないので、本来の果実味の差異よりも樽のニュアンスの強弱の方がはっきりと出ていました。
そして2006年と2007年でいうと、2006年はやや熟成香が出始めておりタンニンや酸は落ち着いていました。故に2007年と2006年のヴィンテージ差でいうと、2007年の方が本来は弱くあるべきですが、1年の熟成を経て、2006年と2007年は概ねボディとしては同等となっていると思います。
そういう点から考えると、2006~2008年はヴィンテージ差はほぼ無いと思われます。もしくは、無い様にデュジャック側で負を吸収しているか。
本来こういった短い期間を対象にした垂直はヴィンテージの差異を感じ取る為に行われると思いますが、あまりにも差がなさすぎて、僅かな熟成が差として出ている感じ。

うーん、今回のは中々面白いテイスティングでしたね。
デュジャックとしては特異ながらもテロワール、造り、ヴィンテージと一気に学べた印象です。(※特に2005と2009を入れた比較だとあまり2006~2008は気にしないものですから)

しかし...クロ ド ラ ロッシュ飲みたいなぁ(本音)




場繋ぎ的更新2。黒系デイリー高品質ピノ、プランタジェネット オムラ 2011。


漂う凄まじい終末感。セブンス トランペッターが今まさにファイナルカウントダウン(※Europaの名曲)のイントロを吹き鳴らす感じ。

こんにちは。
春霞すごかったですね。

だからというわけではないのですが、昨日は一日中引きこもっていました。
ワインも久々にブルゴーニュブランを開けてたのですが、なーんとなく今ひとつでパッとしない感じで、今日の天気みたいな気分になってました。

さて、場繋ぎ更新2回目です。
今回はオーストラリアはプランタジェネットのピノノワールです。
このオーストラリアのピノノワールは個人的にすごく気に入っていて、過熟感が無くてエレガントなブルゴーニュライクなんですよね。
それでいて黒系果実を感じさせる所とかが凄くセンスいいなと思います。
ちょっとニュイ サン ジョルジュみたいな所があるかな、と。


生産者:プランタジェネット
銘柄: オムラ ピノノワール 2011

1500円、WA88pt(2010)
ワッフルやシナモンなどのやや焼いた樽の風味とシロップの様な甘露さ。基本的には冷涼さを感じさせるしっかりした酸と瑞々しい黒系のベリーの果実味が主体となる。
抽出としては中庸か。ダークチェリーやブルーベリーのやや果皮を感じさせる果実味とスミレ、枯れた葉やなめし革、黒檀など。
引き締まった酸味の出方や細く締まる様なタンニンなど、ブルゴーニュのピノノワール的な傾向が見て取れる。村名の様な個性は現れていないが良い生産者の作る4000円くらいのレジオナルに肉薄する様な作り。


そんな感じです。
当然ブルゴーニュに寄った作りだから、そういったものと比較はしちゃうんですけども、そういうのがどうでもいいくらい安いのが素晴らしい。
グラスに注いだ瞬間に「あ、これいいピノノワールだな」って分かるくらい香りがキュートでフルーティ。
ギュッと引き締まった酸もあって、すごくバランスがいいんですよね。
ウマイ。
鴨とか合うかもしれません。

幾つかオーストラリア、ニュージーランドのピノノワールは飲んでいますが、カーリーフラットやマウントメリー、ペガサスベイみたいに比較的ブルゴーニュっぽいスタイルに寄ったピノノワールが多いような気がします。
土壌によるものなのか分かりませんが、まだまだオーストラリア、ニュージーランドには凄まじいポテンシャルが潜んでいそうで、ちょっとした恐怖を覚えますね...!

シラーズ共々個人的には注目している国の一つです。

場繋ぎ的更新1。いい感じのデイリーシャルドネ、レックス ゴリアテ。

こんばんわ。
ここの所体調が悪くて、更新が滞っておりました。まずまず改善の兆しが見えてきたのでボチボチ更新していきたいと思います。

まあ、ただエントリーが溜まりすぎている現状。今のところ完了しているのが3エントリー、そして書きかけなのが12エントリーほどあるので、真面目な更新にはやや時間がかかりそうです。
ですので、一週間くらいは真面目なエントリーを書き溜めつつ、ゆるーくここ最近飲んだデイリーワインや面白いワインを紹介していけたら、と思います。

さて、場繋ぎ的更新第一弾はカリフォルニアのシャルドネ、レックス ゴリアテのフリーランゲです。
川崎のワイズマートで1400円くらいで購入。
丁度気分的に樽のしっかりと効いたシャルドネを飲みたかったので、新世界で安いやつを探してたんですね。
バックハウスとか、最近いいデイリーシャルドネを引いてたんでこれはどうかな、と。
なんかラベルも大手メーカーっぽくない手書き感がちょっとカルトワインっぽくもあり、これだな、だと。


生産者:レックス ゴリアテ
銘柄:フリー ランゲ シャルドネ NV

外観は明るいストローイエロー、粘性は高い。
非常に甘露かつ清涼感に満ちあふれたシャルドネ。濃厚すぎる事も、軽すぎる事もない、絶妙なバランス。
ミネラル感こそ、あまり感じないものの、果実味は豊かである。
赤リンゴやフレッシュなアプリコットの清涼感のある果実味とフレッシュハーブ、白い花の蜜、ナッツやクローヴ、杏仁豆腐やシロップなど。シャルドネとしてのボディを保ちつつ、ソーヴィニヨンブランやヴィオニエなどの清涼感を巧みに取り入れている感じだ。ややオイルっぽさもある。
酸味は豊かだが刺々しさは無く、苦みもあまり強くない、非常にキャッチーな造りである。
枠としてはどこに入れるか悩むが非常に高品質なマコンヴィラージュ、サントーバンやオークセイデュレスの白ワインの様な完成度の高さがある。
これで1000円代とは本当に恐れ入る。


かなりいいですねー。
イタリアと新世界の間を行くようなシャルドネで清涼感があって、かなりウマイ。高品質なマコンってのはゼリティエ ラフォンをイメージして言ってます。クリームをたっぷり使った鱈とかに合いそうな気がする。
日常消費するにはちょっと贅沢な風味のワインですが、この値段でこの品質のが飲めると結構幸せになれるような気がする。
4000円位の価値はある様な気がしますね。

新世界探訪6:カリフォルニア、豊満でリッチな新世界的シャルドネを味わう。

こんばんわ。
ちょっと間が空いてしまいました。最近まともな時間に帰宅する事が稀で、中々こちらを更新できないのは悩みの種です。

オーボンクリマはサンタバーバラに拠点を置くブルゴーニュ品種の名手です。それもそのはず、アンリジャイエに師事した経歴があり、エレガントでブルゴーニュに寄った味わいのピノノワール、シャルドネを作ります。
今回はその廉価キュヴェ、シャルドネ サンタバーバラは65%がビエンナシッド ヴィンヤード、35%はランチョヴィネド ヴィンヤードのシャルドネを使用しています。(※その他のテクニカルデータはちょっとわかりませんでした。)

次はロバート モンダヴィのフラッグシップ、リザーブ シャルドネ。
ロバートモンダヴィは説明不要ですかね。オークヴィルに拠点を置くカリフォルニアワインの父。件のロバートモンダヴィ翁は残念な事で2008年に亡くなられてしまいましたが、アメリカのワイナリーにして欧州に匹敵する品質を追求したことや、母国で造る優れたカベルネ、シャルドネに留まらず、ムートンロートシルトとのオーパスワン、フレスコバルディとのルーチェ、エラスリスとのセーニャなど伝統的な産地と新世界を縦横無尽に繋げた功績が高く評価されています。
フレンチオーク新樽で8ヶ月の熟成を経て出荷されます。こちらも他のデータはありませんが、ロバートモンダヴィとしてリリースする最上級のシャルドネです。


生産者:オー ボン クリマ
銘柄:サンタバーバラ カウンティ シャルドネ 2009

約2000円。
外観は淡いストローイエロー、粘性は高めである。
非常に良く出来た新世界のシャルドネ。
とてもオイリーで果実味があり、コート ド ボーヌに無理に当てはめようとするならば、シャサーニュモンラッシェ的な造りと言える。
ヘーゼルナッツ、フレッシュバター、シャンピニオンの風味が主体的に現れている。
洋梨、マンゴーなどの豊満な核種系の果実味、フレッシュハーブ、リコリス、徐々にシロップや花の蜜の様な甘露な甘みが現れる。ミネラル感はさほど強くないと思う。
酸味は柔らかく、真綿のような柔らかい酸味と豊満な果実の味わいが特徴的である。
シンプルといえばシンプルだが、単純に新世界的な良さがしっかりと現れたいいシャルドネだと思う。


生産者: ロバート モンダヴィ
銘柄: カーネロス シャルドネ リザーブ2010

約7,000円、WA86pt(2008)
色調は淡いストローイエロー、粘性は非常に高い。
ミネラル感はあまり感じられない。
やや提供温度が低いせいか、酸味の強い果実の風味が感じられる。
赤りんごや黄桃、マンゴーなどの濃厚な核種系フルーツの凝縮した果実味が突出している。ラムネ、エシレバター、カシューナッツや杏仁豆腐、濃厚なシロップ甘露な風味、石鹸、リコリス、アスパラガスなどの風味。
とても新世界的でボリューム感がある。酸味はきっちりと存在しており、甘露でぽってりとしているが、締める所をキッチリと締めた素晴らしいシャルドネ。


さて、同じ新世界なのに結構違いが出ましたね。
同じくローステッドな風味がありながら、オーボンクリマはブルゴーニュライクな造りだと思いましたし、ロバート モンダヴィは新世界の王道的な造りだと感じました。
オーボンクリマは、確かに新世界の日照に由縁したきっちりとした果実味があるのですが、重々しさやリッチさが過剰に出る事は無くてハーブの様な風味とのバランスが取れていると思いました。
それに対して、ロバートモンダヴィは非常に濃厚でリッチなスタイルのシャルドネでした。
果実味が突出していて、それに樽のローステッドな風味が重なっていくタイプ。
凝縮感もあるし、印象としてはとても分厚いですね。ここ最近はピーターマイケルやコングスガード、キスラーなどのブルゴーニュライクな新世界、もしくは安価なカリフォルニアシャルドネをよく飲んでいたので殊更分厚い感じ。
ただ、これは決して悪い訳ではなく、非常に作り込まれた伝統的な新世界なワインといった印象です。
個人的には濃厚なシャルドネは好きですので、普段飲む新世界のシャルドネを最大限にまで凝縮させて洗練させた感じのニュアンスはとてもウェルカム。
どちらも値段としては驚く程高くないので、かなりコストパフォーマンスは良いですね。
カルトワインばかりカリフォルニアでは目立ちますが、こうした堅実なワイナリーがとても好感が持てますね。

新世界探訪5: 未知なるテロワール、カナダの高品質ピノノワールとシャルドネを利く。

こんばんわ!
今日はカナダのピノノワールとシャルドネです。
カナダといえばアイスワインが有名ですが、今回は普通のスティルワインです。しかしながら、カナダ、個人的にはオーストリア同様全くノーマークの土地でしたが、この品質の高さといったら、結構感動的です。
丁度ソノマヴァレーとブルゴーニュの中間を行くエレガント極まる香り、ブルゴーニュを一回り小さくした凝縮度が特徴的なピノノワール。まるでドーヴィサやラヴノーのシャブリの様な濃厚なシャルドネ。
いやホントビックリするほど品質が高い!飲める場所が少ないのが本当に残念で仕方ないです。ハイ。

トーズワイナリーはシカゴの上部にあるカナダのオンタリオ地方にあるワイナリー。
オーガニック農法を実践しており、2010年度にカナダのワイナリー・オブ・ザ・イヤーも獲得している優秀なワイナリー(とのことです。)
ノーマン ハーディ ワイナリーはワイン作りの天才と言われるノーマンハーディが指揮するワイナリーで、こちらもオンタリオ、プリンス エドワード地方に拠点を置いています。このプリンスエドワード地方ですが、なかなかに土壌がブルゴーニュと似た粘土質・石灰岩土壌がある(らしいです。)

インポーター情報も産地情報もほとんど無いので、分かるのはこれくらいです。
ただピノノワールもシャルドネも間違いなく、品質が高いです。


生産者: トーズ
銘柄: グロワーズ ブレンド ピノ ノワール 2009

約4,400円
赤みの強いルビー、粘性は低い
こちらは(ノーマンハーディと比べると)ややミネラル感を感じるピノノワール。
ノーマンハーディにも共通している液体密度の低さ、やや果実味も劣る。
しかし香りはこちらも華やかで、ブルゴーニュ的である。
アセロラやラズベリーの瑞々しい赤い果実。舐めし革。松の木やスミレやバラの華やかなニュアンス。
そして赤い花のシロップの様な風味。
酸味はシャープで溌剌としており、タンニンは柔らかい。
こちらもブルゴーニュに接近した、良いピノノワールだと思う。


生産者: ノーマン ハーディ
銘柄: カウンティ ピノ ノワール 2009

約5,000円
外観は赤みの強いルビー、粘性は低め。
新世界らしい甘やかさとブルゴーニュの華やかさを併せ持つピノ ノワール。
これが非常に素晴らしく、ヴォルネイを想起させるエレガントさを感じられる。
とりわけ赤い果実の風味が顕著で、アセロラやラズベリーの瑞々しくピュアな果実味。
バラやスミレ、なめし革の華やかな香り。
徐々にシナモン、赤い花の蜜、バニラの甘露なニュアンスが現れる。新樽比率は低そう。
液体密度としてはブルゴーニュなどと比較すると低く、酸味がやや目立つ。
香りの華やかさはヴォルネイに比肩する。
引き締まった綺麗な酸味と柔らかなタンニン、ピュアな果実味が素晴らしい。


生産者: ノーマン ハーディ
銘柄: カウンティ シャルドネ 2010

約4,800円
色調は淡いストローイエロー、粘性は高め。
シャブリの一級以上を想起させる強固な火打石の様なミネラル感が感じられる。
シャープな酸味と果実味が特徴的で、カリン、洋梨の果実味とバターなどオイリーな風味。
杏仁豆腐やシロップ、バニラ、ローストナッツの様な風味が徐々に感じられる様になる。
とりわけシャープな酸味と強固なミネラル感が豊か。
よく出来たシャルドネ。樽はしっかり効いている。


今回はピノノワールとシャルドネに焦点を置いていますが、主要品種はメルローとリースリングだそうです。
しかしながら、今回のテイスティングで感じた事は(場所によるかとは思うのですが)ピノノワールとシャルドネにも非常に適したテロワールであると思いました。ブルゴーニュにも近いですが、シュペートブルクンダーにも似ていると思います。
基本的にピノノワールは非常にエレガントでした。
個別のレポートにも書きましたが、ヴォルネイ程肉厚ではないにせよ、似た様な女性らしさがあると思います。
ピノノワールらしさは十分すぎる程出ていると感じました。ただ果実味の凝縮感が若干乏しい様な気もするので、まだまだ伸びる様な気もしますね。要注目のアペレーションだと思います。
きっと日照条件が良すぎてはこうはならないと思うので、基本的にはこのエレガントな方向性で押し出して行けば数年後は注目の生産地になっているかも...
そしてシャルドネ。こいつもなかなか凄い。
まるで樽を使ったシャブリ。そうラヴノーやドーヴィサの高品質シャブリの様な味わいがあるんですよね。
非常にレベルが高い。もともと石灰岩を基岩にしていて、かつ粘土質、ブルゴーニュと似た気候であれば、果実味の出方が似るのも納得できますね。ただそこは結局生産者がしっかりと栽培している事が前提ですので、いかに手を入れた栽培をしているのか、よく分かります。
ボリューミーなカリフォルニアのシャルドネの様なタイプでは全然ありません。
カリフォルニアにはブルゴーニュに近いシャルドネも勿論ありますが、どちらかというとシャサーニュ、ピュリニー、またはムルソーに似たタイプのシャルドネが多いですから、アメリカ大陸ほど近くでも大分違いがあるのですね。

価格的にはこれらの最上級ワインでも5,000円を超えない所が非常に良いですね。
個人的にはトーズよりもノーマンハーディのシャルドネ、ピノノワールがとてもおすすめです。
機会があればぜひ飲んでいただきたいワインですね!

新世界探訪4: スペインの卓抜したテンプラリーニョ、アリオンを味わう。

おはようございます。
今日はスペインです。
スペインを新世界と言ってしまっていいものか悩んだのですが、歴史的に長いにも関わらず、近年まで大きな評価を得ていませんでしたので、こちらに含めました。
スペインワインファンの皆様におかれては「ああん?」といった感じかも知れませんが、ご容赦下さい。

さて、ひとしきりエクスキューズしましたので行ってみましょう。
今日はボデガス アリオンです。

このアリオンは1992年にベガシシリアのアルバレス家がDOリベラ エル ドゥエロに立ち上げた新進ドメーヌで、インターナショナルな作りを意識しています。品種こそテンプラリーニョですが、醸造方法はモダンボルドースタイル。ステンレス発酵後、フレンチオーク新樽で14ヶ月間熟成させ、さらに2年間瓶熟成の後出荷されます。
リベラ エル ドゥエロはドゥエロ川の両側に位置したアペレーションで海抜700-800mの石灰質土壌、大陸性気候+大西洋気候。雨は春と秋に僅かに降るのみで、夏は乾燥しており、寒暖の差は非常に激しいと言われています。

ではいってみましょう。

生産者: ボデガス ヴィニェードス
銘柄: アリオン 1997
品種: テンプラリーニョ100%

約9000円、WA90pt
黒に近い非常に濃いガーネット、粘性は高い。
凄まじい果実味を放つ新世界的なテンプラリーニョ。
さながらガムやキャンディの様な味わいに熟成香が付加されている。乾いた土や生肉、濡れた樹皮を纏ったアプリコットやブルーベリー、ブラックチェリーの濃厚で甘やかな果実味。大元が非常に果実爆弾的なワインだった事がよくわかる。そして薔薇やシダ、ドライハーブ、甘草などの野生的な風味やコーヒー、トーストのロースト香、ユーカリなど。
酸味、タンニンともに強いが、非常に旨味が強く現れており、素晴らしい味わいになっている。
特に酸味が際立っているように感じた。


テンプラリーニョで熟成したワインを飲むのは始めてでしたが、キッチリと熟成能力ありますね。大元が果実味爆弾のワインだからか、キャンディの様な甘みを残しつつ、ボルドー的な熟成香が出ている様に感じました。
意外と熟成を経る事によってボリューム感のありすぎる果実味と折り合いを付けて均整が取れている印象。
ひょっとしてこれだけの果実味があると、フランスのグランヴァンにあるような果実味と熟成香の歪みみたいなのはないんじゃないだろうか...とも。(タンニンが溶け切らないうちに熟成香が果実味に優っちゃってるタイミング)
ちょっと経験値の浅い品種なので何とも言えないんですが、非常に面白いと思います。

スペインは面白いですね。
あまり色々な地域を飲んで感覚を混乱させたくないのですが、たまに飲むと凄く勉強になりますね!


新世界探訪3: チリの偉大なボルドーブレンド、セーニャを味わう。

こんばんわ。
今日はカリフォルニア、オーストラリアに続き、チリのワインを1本紹介したいと思います。セーニャです。

セーニャはロバートモンダヴィとチリの名門エラスリスのジョイントベンチャーから生み出されたチリのプレミアムワインです。エラスリスはチャドウィック、ドン マキシミアーノというフラッグシップが、国際的にも評価されています。
カベルネソーヴィニヨンの聖地アコンカグア・ヴァレーの畑で収穫された葡萄(平均樹齢は15年程度)を使用しています。収穫された葡萄は丁寧に選果され(選果台は2回通します)、ステンレスタンクでアルコール発酵、フレンチオークの新樽100%でマロラクティック発酵を行い、22ヶ月の熟成を行います。
土壌は砂利、岩、ローム層。水捌けの良い土壌で、標高は290メートル~500メートル。
土壌構成は何処と無くマクラーレンヴェイルに似ていますね。

ではいってみましょう。


生産者: モンダヴィ & エラスレス
銘柄: セーニャ 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン、メルロー、カルネメール

9500円、WA96pt
とてもチリらしい過密な果実味を感じられるワインだが、どこかカリフォルニアのグランヴァンの様な樽のエレガンスも併せて感じられる。
色調は濃いめのガーネット、粘性は高い。
チョコレートやバニラの甘露な樽香。そしてブラックベリー、プラムの強烈な日照を感じる爆発的な果実味が中心になっている。
そして薔薇や西洋杉、リコリス、ミント、パストラミハム、タバコなど風味が感じられる。
ボルドーやナパの様に群を抜いた複雑さがある言い難いが、シンプルながらチリの爆発的な果実味とカリフォルニアの丁寧な樽使いや凝縮感を両立させた魅力的な一本。
タンニンはきめ細やかだが流石に強烈。酸味は柔らかく、全体的な印象としては豊満なボディとリッチさを感じさせる。口の中で木材とドライフルーツの芳香が広がる。


極めて新世界的な作りだな、と思います。先日のヌーンワイナリーと極めて近い作りですが、カベルネ主体のため、こちらの方がタンニンが際立っています。
ボルドーが果実味とともに西洋杉とコーヒーやバニラの風味が強く現れるのに対して、こちらは非常に甘露で凝縮した果実味が突出した印象を受けます。勿論樽のニュアンスもありますが、ボルドーは全ての要素が一塊なのに対して、果実味を補助する一要素である印象。
ただそれもそのはずというか、アコンカグアヴァレーは日照時間が長く、晴天も300日(!)程度続きます。また夜間は海風で冷涼な風が流れるので寒暖の差が激しいのですね。
ボルドーも日照時間は良く、ジロンドを流れる冷涼な風がありますが、何分平地ですし、日照時間もアコンカグアヴァレーほどではありませんので、この過熟感と凝縮感はチリならではだな、と思います。
勿論、エレガントに作り上げたボルドーやナパヴァレーのカベルネソーヴィニヨンは素晴らしいと思いますが、テロワールによるカラーの違いは、やはり面白いですね。

カリテラ セーニャ2008 No.82785

カリテラ セーニャ2008 No.82785
価格:9,450円(税込、送料別)

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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