【ローヌ:5】コルナス最高の生産者が作るセカンドワイン、ルネッサンスを利く

こんにちは。
ローヌ北部といえばなんといってもエルミタージュとコートロティですが、今日はやや日の当たらない赤の産地のコルナスです。そのコルナスの最高の生産者とも言えるオーギュストクラープのセカンドワイン、ルネッサンスです。


オーギュストクラープは元々ブルゴーニュとローヌのネゴシアンをしていましたが、1968年から元詰販売、1995年以降自社栽培を開始しています。コルナスとしてはトップクラスの生産者。
畑の平均樹齢は60年で、丘の斜面にある格別な立地条件の区画を所有している。
ルネッサンスは平均樹齢20年のシラー100%使用しコンクリートタンクで発酵24ヶ月間1000リットルの古い大樽で熟成させた後卵白で一度澱引き。清張、濾過は行わず瓶詰めします。


生産者: オーギュスト クラープ
銘柄: コルナス ルネッサンス 2007
品種:シラー100%

6000円、WA89-91pt
外観は赤みの強いガーネット、粘性は高い。いかにもローヌのシラーらしい風味。
非常にスパイシーな黒胡椒、漢方の強い香りが感じられる。瑞々しいクランベリー、ブルーベリーの酸味の強い果実味、薔薇やラベンダー、土の風味、ハーブやパストラミハム、トーストの風味。
酸味、旨味がこちらも豊かだが、若いからか、やや荒々しい。密度もしっかりとしているし、口の中に広がるスパイシーさもいい。若干タニックか。


どちらかといえばコートロティっぽいですね。北部ローヌの王道的な作りだと思います。
結構複雑ですね、黒胡椒と漢方の香りが全体の主体となりますが、その中にちゃんとした瑞々しいベリー類や花の香りがあって、持てる要素は多いかも。野性的というよりエレガントな一本ですね。ルネ ロスタンのコートロティみたいな味わい。
それと共に充実した酸味とタンニンがやや荒々しく感じますが、特段バランスが悪いわけではないので熟成によって大分良くなって来るのかなあ、と思います。
新樽っぽさはほとんどありませんね、ちょっと枯れた風味があるくらいで、基本的にはシラー本来の味わいを再現していると感じました。
よく出来たシラーです。価格としては妥当なところでしょうか。

大体パターン分けがなされてきたような気がします。
豊かなカシスや樽の香りを感じさせるエレガントなボルドー的シラー、凝縮感と酸味、甘みを感じさせる新世界的なシラー、そしてスパイシーで瑞々しい果実味のローヌ王道系のシラー。
なかなかどれも個性的で面白いですね。

スポンサーサイト

【カリフォルニア:6】カリフォルニア前哨戦、安価な高品質ピノノワールを利く

こんばんわ。
本日はカリフォルニアのピノノワールです。
このブログでは比較的取り上げる事の多いカリピノですが、デイリークラスまではフォローできていませんでした。今回は1本2000円級のを入れていますが、これがまた凄く品質が高い。
製造方法はわかりませんが、せっかくなのでレポートしたいと思います。

オーボンクリマはサンタバーバラに拠点を置くブルゴーニュ品種の名手です。それもそのはず、ジム グレネデンはアンリジャイエに師事した経歴があり、エレガントでブルゴーニュに寄った味わいのピノノワール、シャルドネを作ります。
フラッグシップはイザベルとスペシャルキュヴェのラーム ド グラップです。通常この生産者のワインはアンリジャイエスタイル...除梗100%で仕込みます。

Jローアーといえば、何といっても安くて美味いワインを作る事で有名ですね、特にペインターブリッジは非常に高品質なボルドー品種を安価で世に送り出しています。今回は冷涼な気候を持つモントレーカウンティから産出されるピノノワールです。
基本的には今回のイザベルのオマケ的な感じでレポート載せようかのーと思っていたのですが、想像以上に美味しくて驚きました。

ではいってみましょう。

生産者: J ローアー
銘柄: ファルコンズパーチ ピノノワール 2010

なかなか美味しいピノノワール!
カリフォルニアのモントレーカウンティで生産されるピノノワール。いわゆるカリピノなんですけど、とても果実味が充実していていい感じ。
外観は濃いガーネットで粘性は高い。ドライプルーンやブルーベリーなどの瑞々しい果実味、燻製肉やナツメグ、タイムやクローヴなどの風味と薔薇の香り、砂糖を入れたロイヤルミルクティーなどの濃厚なニュアンスが感じられる。ロースト香もある。
カリピノらしさがハッキリと現れつつ全房発酵の様な瑞々しさも感じられる。
タンニン、酸共に柔らかく豊かな果実味も感じられる。旨味もなかなか豊かだ。2000円としてはとても上出来な味わいだと思う。
抜栓3日経過しても味わいが落ちる事はない。むしろフルーツクリームの様な甘露な風味と鉛筆の様な硬い味わいが感じられる。適度な複雑味、ぶらっくへ


生産者: オー ボン クリマ
銘柄: ピノノワール イザベル 2009

7000円、WA93pt(2008)
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。メチャクチャいい香り。
もの凄いブルゴーニュ的。
アメリカンチェリーやクランベリーなどの赤い果実の瑞々しい溌剌とした果実味を感じられる。果実のコンポートの様な甘みも。オレンジや黒糖、やや茎っぽい風味やミルクティー、スミレ、わずかに胡椒やなめし革、松の木、ビスケット。
ベリーの闊達とした酸味が感じられる。そこにミルクティーの甘みやまろやかさが絡み合う。
豊かな酸味、まろやかさのバランスが極めて良い。全体的に瑞々しくブルゴーニュ的な雰囲気がありながら新世界的な甘みもある極めてレベルの高い味わい。参った。美味すぎる。


まずはイザベルから。
個人的にはラーム ド グラップ(イザベルの葡萄を全房発酵したもの)よりも全然好きですね。余計な硬さとか青っぽさが殆ど無い。やはり慣れない全房より慣れた除梗ですね。
タイプとしてはカレラと同じでブルゴーニュの良さとカリフォルニアの良さを併せ持ったピノノワールだと思います。特に凝縮した瑞々しい赤い果実やオレンジのなんてヴォーヌロマネ的だし、コンポートや黒糖の様な甘い香りは極めてカリフォルニア的であると思う。新樽100%にも関わらず、樽の香りが目立ち過ぎていないのがいいですね。というか果実味とちゃんと一体となっている。カフェ イザベルになっていない。いわゆるピゾーニの様なドライアプリコットみたいなピノノワールでも、オーベールの様な黒糖シロップの様なピノではなく、よりブルゴーニュに影響を受けた自然なワインだと思います。凄いですね、これは。値段的にもお得だとおもいます。

さて、次はJローアー。これまたお得なピノノワールで、よりカリピノ的な風味を感じさせるワインになっています。黒系の熟した果実に紅茶の風味、マロラクティック発酵によって精製される乳酸の風味が豊かに感じられます。比較的シンプルな作りではあるのですが、丁寧に作られており、とても好感がもてるピノノワールだと思います。ちょっと全房発酵的なニュアンスも感じられるのがいいですね。
これで2000円はなかなかお得だと思います。

大変品質の良いピノノワールを安く飲めるのはニューワールドならではですね。
ただ他のカルトワインは高すぎますが...

【スペイン:2】ホルフェ オルドネスの衝撃、価格帯を大きく飛び越えた2本

こんばんは。
最近登場回数の多いスペインです。
ここ最近ボチボチ飲み始めているんですが、相当な安さにも関わらず、凄まじく品質の高いものが多くビックリしております。

今回はボデガスブレカとボデガスボルベル。共に古木から生み出される卓抜したグルナッシュとモナストレルです。

ボデガスブレカはDOカラタユの標高950m-1000m の丘にあるワイナリー。保有する畑には樹齢88年のグルナッシュが植わっており
非常に降雨量が少なく冷涼な気候が特徴で土壌は粘板岩と砂利と粘土質で構成されている。グルナッシュ100%で醸造されたワインはフランチフードルで熟成。瓶詰めされる。

ボデガスボルベルはD.O.アリカンテの標高600-750mに位置するワイナリー。保有する畑には樹齢41年のモナストレルが植わっており、こちらも降雨量は少ないです。気候は寒暖の差が激しく、真夏の最高気温は46度近くに上がるものの、夜は急激に冷え込みます。土壌は石灰岩。有機栽培の認証も受けています。
発酵は100%ステンレスタンク、木樽にてMLFを行い、20か月間フレンチオーク樽で熟成の後、瓶詰めされます。

共にホルフェ オルドネスが絡む卓抜したワイナリー、いってみましょう。


生産者:ボデガス ブレカ
銘柄:ブレカ 2010
品種:グルナッシュ100%

外観は透明度の低い黒に近いガーネット、粘性は高め。
高いアルコール度数に裏付けられたアタッキーなグルナッシュ。
・・・ではあるのだけど、その完成度は恐ろしいほど高く、価格帯の中では卓抜した強烈な果実味と香りを放つ。
コンディションによっては新世界最高クラスのグルナッシュと比肩する。
飲んだ瞬間にオーストラリアのたっぷりと日を浴びたグルナッシュを想起させた。
ドライプルーンやブラックベリーのジャム、デーツなどの濃厚で甘露な果実味、シラーによく見られる黒胡椒、
トーストの様な樽香、スミレの香り。黒砂糖の様な甘みも。そしてインクや燻製肉、煙草、溶剤、クローヴなど。
力強さが前に現れているのは間違いないが、それだけに留まらないしっかりとした骨格と風味がある。
グルナッシュとしては酸味がやや強め。タンニンも力強い。
口の中で高密度で濃厚なドライフルーツの風味が広がる。熟成も期待できそうだ。
極めて高い品質を誇るグルナッシュ。同ワイナリーのガルナッチャ デ フエゴもすばらしかったがそれ以上だ。


生産者: ボデカス ボルベル
銘柄: タリマヒル オールドヴァイン 2010
品種: モナストレル100%。

外観は濃いガーネット、粘性は高い。
凝縮した果実味、最上クラスのグルナッシュの味わいを感じさせる。
香ばしい焦がした黒砂糖や煮詰めたブラックベリー、ドライプラムなどの濃密な果実味、ミルクコーヒー、溶剤、ローリエ、西洋杉、パストラミハム、やや土っぽい風味も感じられる。
非常にアタックは力強く重く濃厚。タニックで酸味は強い。口の中で豊かな果実味と香ばしいロースト香が味わえる。


いや、強烈ですね。
アルコール度数や濃さももちろんなのですが、その美味さが本当に半端ない。これが3000円でお釣りが来る?嘘だろ。と言った感じでございます、ハイ。
ここで対比されるのはフランスのグルナッシュやムルヴェードルでは無く、どちらかといえばオーストラリアのグルナッシュやムルヴェードルですね。
伝統的なワインの産地でありながらニューワールドの味わいに近いと思われます。
濃厚で甘露でリッチで、例えるならばヌーンワイナリーやトルブレックのレ ザミの様な味わい。
古木に由縁したプラムやブラックベリー、黒砂糖の様な果実味が非常に豊かな風味。素晴らしい。
後から知ったのですが、この2本、ホルフェ オルドネスというコンサルタントのワインだそうで、なるほど、良く味わいは似ているな、と。しかも途轍もないクオリティという部分も。
それこそ少なくとも8000円以上で売り出されていても全く不自然のないワインだと思います。
ただ、このスタイルは若干飲み疲れるタイプなので、そう多くは飲めませんが、この価格帯で濃厚系のグルナッシュ、モナストレルという事であれば、右に出るものは無いでしょう。

オーストラリアやカリフォルニアが産地として定着し、品質からカルト化しているワイナリーが多い中、伝統的な産地でこれだけのワインが出てくるのは、とても嬉しい事ですね。
ニューワールドになりたての伝統的産地と言った感じでしょうか。

ホルフェ オルドネスのワインはとても気に入ったので、これからも色々飲んでみようと思います。

【ボデガス・ブレカ】ブレカ[2010]

【ボデガス・ブレカ】ブレカ[2010]
価格:2,400円(税込、送料別)


【ブルゴーニュ:26】エマニュエルルジェ、村名NSG 2007-2010までをバーチカルで。

こんにちは。
今日はルジェの村名ニュイ サン ジョルジュを2007年から2010年までを垂直でレポートします。
ルジェの年ごとのスタイルとは何か。共通するものとは何か。ルジェはヴィンテージに勝てるのか。
それらを追って行きたいと思います。

エマニュエル ルジェはヴォーヌロマネに拠点を置くスター生産者で最もアンリジャイエに近い生産者と言えるでしょう。ルーミエやフーリエの様に争奪戦が起こる訳ではないものの、ヴォーヌロマネ最上の生産者である事は間違いないでしょう。
ヴァンダンジュヴェールトによる収量制限、除梗は100%、コンクリートタンクでのマセラシオンには自然酵母の使用し、約1週間の低温浸漬。新樽比率は1級以上は100%で村名は50%、 無濾過、無清澄で瓶詰めされる。※栽培は完全なビオや有機農法では無いようです。
クラシックな造りですが、彼の手から作り出されるワインはエシェゾーは勿論サヴィニー レ ボーヌまで息をのむ程に素晴らしい。
フラッグシップは一級レ ボーモン、特級エシェゾー。そしてアンリジャイエから引き継いだ一級 クロ パラントゥ。

さていってみましょう。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ 2007

10000円。
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
ロースト香が強すぎる。線香や五香粉などの強い樽の香りが感じられる。控えめながら紫スモモ、ダークチェリーの果実味が感じられる。全体的に樽が効きすぎて全貌は分かりにくいが、根本のボディが他のヴィンテージと比べると弱めに感じる。
タンニンと酸味は充実しているが、この中ではやや弱めの体躯で旨味の出方も不十分。口の中に樽と果実の香りが広がる。作りは流石にしっかりとしている。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ 2008

10000円、WA89-90pt
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。やや熟成感を感じる香り。
瑞々しいダークチェリーやブルーベリーの果実味。やや生肉や燻製肉、鉛筆の針、ムスクなどの野生的な熟成香も感じられる。タイム、ドライハーブ、濡れた木材、土などの風味なども。
酸味と旨味が凄く均等が取れている。梅しばの様なジワッとくる味わい。
酸味とタンニンは豊かで口当たり自体は非常に突出したものがある。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ 2009

14000円、WA89-91pt
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
2010年と比べるとやや丸みを帯びている。よりダークチェリーやプルーンなどの果実味がしっかりと感じられる。全体的に非常に柔らかくミルクティーの甘露な風味も感じ取れる。(MLF起因?)豊満で柔らかい印象を受ける。
樽の五香粉、オリエンタルスパイス。薔薇、スミレ、シナモンの風味、ハーブ、なめし革、溶剤など。
酸味、タンニンは豊かで、旨味と甘み、酸味のバランスはよい。
ジワリとくる旨味。余韻は非常に長い。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ 2010

15000円
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
非常に華やかで五香粉やオリエンタルスパイス、薔薇の様な香り。抽出が強めに感じる。併せてブラックベリーやプラムの甘い黒系果実の風味が感じられる。ベリーの酸味成分が強い。オレンジの様な柑橘の香りが感じられる。薔薇、スミレ、木材、ドライハーブ、なめし革、燻製肉、ミルクティー、焼いたゴムなど。
酸味、旨味が非常に強い。染み入る様な太い味わいがある。豊かなベリー、樽のバランスがいい。


各々の年によって大枠は同じですが、大分個性が異なりますね。ヴィンテージの差がかなり反映していると感じました。
その中で共通している事もあります。口に含んだ時に広がる圧倒的な旨味。どのヴィンテージでも基本的に強烈な旨味を放っています。そして酸味、タンニンとのバランスがとても良い。
特に2008年の渾然一体となった旨味と酸味は流石ですね。こと口当たりに関してはとても凝縮しているし、密度も申し分の無い絶妙なバランスの味わいだったと思います。
ただし、その一方で経年に対して香りから感じ取れる熟成感がかなり強く、体躯として2009年、2010年と比べてかなり劣っていると感じました。そういう意味合いでは完璧な口当たりと熟成した香りがややアンバランスだと思います。
別格だったのは2009年と2010年。これは完全にレベルが異なります。
まず香りの豊満さ。
方向性としては極めて近く非常に甘露です。その中で2009年はマロラクティック発酵によるミルクティーの風味や丸みが、2010年は強い樽のロースト香と澄んだ硬い風味が特徴的でした。樽香に関しては単純に経年の違いもあると思いますが、総じて果実味の豊かさが際立っています。旨味の広がり方や酸味のバランス、余韻の長さも申し分の無い突出した味わい。
熟成によって更に調和の取れた味わいになるのでは無いかと思います。熟成ポテンシャルもとても高いです。村名とは思えないですね。
この中で異端なのは2007年。
基本的に2008年で既に熟成香が出ていたのですから、更に熟成香が主体となる事が想像されましたが、実際は強烈な樽香が主張しておりました。それこそ熟成香や果実味を覆い隠す程の樽香ですね。
一見極めてヴァンドガルドに見えますが、その実全体の果実味やボディは2008年と同程度でしたので、このまま樽香が純減していったとしても、最後まで樽のニュアンスは残って行くのかな、と思います。ちょっとバランスが悪いですね。旨味や酸味の出方も他のヴィンテージと比べると穏やかです。ここも2008年が経年熟成するとこんな感じになるのかなあ、と思いました。ただ一般的な生産者のそれと比較すると十分に卓抜した村名だと思います。
結論、個性や品質に差はあれど、やはり村名のクラスは優に超えていると思います。
さすがエマニュエル ルジェ。
エシェゾーはすべての面で上回っている事は確認出来ていますが、村名ですらこのクオリティというのは本当に恐ろしい事です。
値段も一級クラスですけどね。

個人的には2010年がオススメです。ブルゴーニュらしさがありつつ豊かな果実味があり、そして熟成ポテンシャルも高いので。




【ブルゴーニュ: 25】たまにはACブルでゆったりと。

こんにちは。
本日はグレードが下がって、ACブルゴーニュです。
ブルゴーニュルージュ2種類、ブルゴーニュブラン1種類、クレマン ド ブルゴーニュ1種類。ブルゴーニュ入門編一挙4種類となります。
ではいってみましょう。


ロベールシリュグは1960年創業の小規模ドメーヌ。某コミックで偉大なワインとしてグランエシェゾーが紹介されていましたが、まあ、今ではちっとも手に入りません。元からレアですが...
平均樹齢は45年。栽培はリュットレゾネで行われ、収穫はすべて手作業。収穫後の果実は100%除梗を行った上で、30℃から32℃の温度に維持したまま、ステンレスタンクによる発酵が行われる。一級は新樽比率50%で18~20ヶ月熟成される。熟成中の澱引きは2回程度。無濾過、無清張で瓶詰めされる。フラッグシップは前述の通り、グランエシェゾー。

ドミニクローランは元々お菓子職人で、本職を投げ捨てて1988年からワインの世界に入り始めました。
ドメーヌでは新樽比率を抑えたエレガントなワイン造りを行っています。栽培はビオディナミを用い、栽培した葡萄は除梗せず、アルコール発酵に回します。SO2は瓶詰め時にわずかに用いる程度、補糖なし等。より自然な造りを心がけているようです。
ちなみに新樽に拘らなくなった理由として、理想とする樽を自身で作り出す事に成功しているから、という話もあります。

ポールペルノはピュリニーモンラッシェの生産者で、一級ピュセル、一級フォラティエール、そして特級ビアンヴニュバタールモンラッシェを保有しています。収量を抑え凝縮した葡萄を樽発酵、新樽で14ヶ月程度熟成して出荷します。値段的にもまずまず良心的な生産者だと思います。

ルーデュモンはブルゴーニュのクルティエ、仲田晃司氏が設立したネゴシアン。2000年に設立されジュヴレシャンベルタンに拠点を置き、高品質なワインを生産し続けています。今回のクレマン ド ブルゴーニュは樹齢20年のコート ド ボーヌとオート コート ド ボーヌのシャルドネ100%を使用しています。瓶内二次発酵を行うシャンパーニュ方式で生産され、9ヶ月熟成を行う。


さて、今回はACブルゴーニュ。
特にテロワールだなんだと拘る必要はないのでゆるーく行きます。


生産者: ロベール シュルグ
銘柄: ブルゴーニュ ピノノワール 2010

約2500円。
外観は濃いルビー、粘性はやや高め。
ややドライな印象を受けるダークチェリーやブルーベリー、アセロラの酸味の強い黒系果実味。
なかなか凝縮感は高いと思う。水っぽさとかそういった要素はあまりない。
タイム、クローヴなどのドライハーブや、スミレ、なめし革、香木など
口の中で梅しばの様な心地よい旨味と酸味が広がる。
ややタンニンは強めだが、十分に及第点のACブルゴーニュ。
いいブルゴーニュだけど果実味はちょっと低いな…冷涼というか。しかたないか


生産者: ドメーヌ ローラン
銘柄: ブルゴーニュ ピノノワール 2010

約2500円。
外観はやや濁った濃いめのルビー、粘性は中庸。
なかなか濃密な瑞々しさ。
全房発酵らしくグローヴやタイムなどのスパイスの風味と熟したラズベリーやチェリーの濃密な果実味。薔薇や茎の風味、僅かに木の香り、なめし革など。極めて基本に忠実で完成度の高い全房発酵のピノノワール。
柔らかな酸味とタンニンが感じられる。


生産者:ポール ペルノ
銘柄: ブルゴーニュ シャルドネ 2011

約2300円
外観はやや濃いめのストローイエロー、粘性は高い。石を舐める様なミネラル感、フレッシュハーブ、白い花の香り。とてもピュリニー的なスタイル。徐々にハチミツや花の蜜などの甘露さや洋梨、よく熟した林檎などの果実味が感じられる。MLFに由縁するバターの香りやバニラなどのニュアンス。この瑞々しくて清涼感のある香りがすばらしい。しかもこのクラスにありがちな香りだけで密度が足りないという感じが無いのがいい。ボディもしっかりとしているし、豊かなシャルドネの果実味がしっかりと感じられる。酸は穏やかで厳しい感じは無い。完全に村名クラス。熟成ポテンシャルは微妙だけど、早飲みする分には全然いけてると思う。これぞブルゴーニュシャルドネといった感じ。美味い。この開き始めた時の甘露さ、華やかさはルフレーヴやペルノの特級クラスによく似ている。
特級バタールと特級ビアンヴニュはサーヴ直後はもっと硬いが、開くとACブルを遥かに凌駕する。


生産者: ルーデュモン
銘柄: クレマン ド ブルゴーニュ NV

約2900円。
外観はストローイエローで、粘性は中庸。泡は力強く立ち上る。
シャンパーニュのブラン ド ブランほど明確な輪郭は無いが、非常に出来のいいシャルドネのクレマン。
結構ミネラリーなんだけど、フレッシュハーブや核種系の蜜の香り。そして赤りんごやレモンのフレッシュな果実味、白い花、ハチミツ、ラムネなど。
ミネラルと酸味、それと的強めに立ち上がる泡によるものか、基本的に非常にフレッシュでシャープな印象を受ける。ノンヴィンテージのシャンパーニュを飲んでいる印象。ただやはりシャンパーニュのブラン ド ブランには遠く及ばないか。新樽比率は多分低く、またドサージュはあまりしていないかも。口の中でリンゴの様な風味が広がるので、恐らくマロラクティック発酵もしていないと思う。


うーん、やっぱりいい生産者はACブルを飲んでも美味いですね。
シリュグ、ドメーヌローラン共に2010年ヴィンテージ。値段も安いし、とてもお得です。
結構生産手法の違いがしっかりと出てますねー。ドメーヌローランはいかにも全房っぽいスパイスや茎の様なありますし、100%除梗のロベールシリュグは澄んだ果実味と華やかさが感じられます。各々のスタイルに即した味わいだと思います。
ポールペルノのACブルも良かったですね。こっちはむしろピュリニーモンラッシェ的な味わいで、ちょっと村名とは思えないミネラル感と果実味があります。これももう村名クラスですね。
ルーデュモンのクレマンは、流石にシャンパーニュのブラン ド ブランとまでは行きませんが、とてもよく出来た若いシャンパーニュといった感じ。
結構絶賛されていたので、それなりのクラスのブラン ド ブランを期待していたのですが、流石にちょっと違いましたね。

ACブルは様々な畑の葡萄で作られていますが概ね生産者の方向性が大きく反映された入門編だと思います。しかしその生産者の個性を知るのにはやや足りていない感じがしますね。村名から全く変わる生産者もたくさんいますし、そもそもACブルはネゴスだったりする場合もあるので。
どちらかというと生産者入門編というよりブルゴーニュ入門編ですかね。
ブルゴーニュの良さは十分に体験できる様な気がします。





【ブルゴーニュ: 24】トラペとマルキダンジェルヴィーユの代表的一級畑を利く

こんにちわ。
今日はブルゴーニュ、トラペ ペール エ フィスの最新ヴィンテージのジュヴレシャンベルタン1級とマルキ ダンジェルヴィーユのヴォルネイ1級となります。

ジャン ルイ トラペは非常に有名なジュヴレシャンベルタンの生産者です。
一時評価を落としましたが、また徐々に現在は高い評価を戻しつつあり、96年からビオディナミを始めています。
春に厳しい摘芽を実施、収量の制限を行い凝縮した葡萄を収穫しています。
収穫した葡萄は30%除梗され、低温浸漬の後、ピジャージュを行いながら2.3週間アルコール発酵を行います。
重力で樽貯蔵庫に移され30−70%の新樽比率で15ヶ月程度の熟成を行う。区画は特級シャンベルタンから村名格まで。今回のアレアは2010年の収量不足に伴い、畑ごとに生産する事が難しかったため1級をひとつにまとめて醸造しリリースしている。

マルキ ダンジェルヴィーユはヴォルネイの代表的な生産者。1804年設立の老舗ドメーヌで元詰を推進した立役者でもあります。現在はフランソワ デヴィヴィエが栽培醸造を担当しビオディナミへの転換を行っている。
栽培された葡萄は100%除梗され、低温漬浸を行いながら2週間から3週間発酵を行う。新樽比率20%で熟成ののち瓶詰め、出荷される。
トップキュヴェはタイユ ピエとモノポールのクロ デ デュック。

さて、行ってみましょう。


生産者: トラペ ペール エ フィス
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ アレア 2010

約13000円。
色調は赤みの強いルビー、粘性は高い。
綺麗なミネラル感。とても非常に澄んだ味わい。2010年のトラペはとても良い。
瑞々しい甘露な花の蜜やシロップ。オレンジやダークチェリー、クランベリーの溌剌とした果実味。強い凝縮感。
そして華やかなスミレの花の香り。
またトマトやフレッシュハーブ、舐めし革、ローズヒップティーなどのニュアンスも。
タンニンは柔らかく、酸味はとてもシルキー。梅しばの様な綺麗な旨味と、強固なミネラル。ジュヴレシャンベルタンとしてはとても澄んだ繊細な印象を受ける。豊満なタイプではなく、とてもシャープで清潔感のある作りをしている。優美でなで肩の男性のイメージ。かなり良い。


生産者: マルキ ダンジェルヴィーユ
銘柄:ヴォルネイ プルミエクリュ フルミエ 2010

約8000円、WA93-95pt(2009)
外観は済んだ赤みの強いルビー、粘性は中庸。
やや冷ややかな香りを放つ一本芯の通った香り。ややドライな印象を受ける。綺麗な清涼感のある味わい。
甘やかさより繊細な果実味を感じさせる。澄んだブルーベリーやアメリカンチェリーの果実味。華やかなスミレや薔薇。ミルクや紅茶、グローヴ、茎、やや土っぽい香りでキノコや土のニュアンスも。なめし革、松、ドライハーブ。わずかに甘やかなバニラやミルクのような風味。
酸味とタンニンは溌剌としており、非常に強い旨味を感じさせる。華やかな花のニュアンスと酸味の強いチェリーの味わいを感じる。余韻も長い。


トラペはここのところ毎年いい感じ。
基本的に村名を飲んでも一級を飲んでも、シャペル、特級シャンベルタンを飲んでも外れが少ないのがいいですね。
基本的に果実味がとても豊かで、それでいて清涼感を感じさせる瑞々しい味わいです。しっかりと抽出はしているんだけどもとても澄んだ味わいです。濃厚ではないですね。具体的にどんなスタイルかはパッと思い浮かびませんが..甘露でキャッチーな香りだった思います。
マルキダンジェルヴィーユもヴォルネイらしく瑞々しい味わいですが、果実味は特に突出していない様に感じました。繊細で清涼感があり、ドライな印象。瑞々しい黒い果実と土や樹木、若葉の香りが強く感じられる風味。酸味が主体で旨味はとても綺麗に出ていますね。美味いヴォルネイですね。
ヴォルネイは女性的と言われますが、同じ女性的な側面があるシャンボールミュジニーやヴォーヌロマネと大分違いますね。シャンボールとヴォーヌロマネはもっと洗練されている印象を受けますが、ヴォルネイはちょっと垢抜けない感じがしますけど。こう、ニュイ サン ジョルジュの女性版といったところでしょうかね。
コート ド ボーヌで赤を生産する村は多いですが、その中で最も有名なのはなんといっても特級コルトン、ポマール、そしてヴォルネイ。
その中では個人的にはヴォルネイが好きですね。綺麗な酸味と旨味、ややドライで繊細な風味は結構クセになります。
ちなみにこの生産者のタイユピエを以前飲んだ時は2006年のヴィンテージにして、かなり熟成感が出ていたので、割と早めに熟成するワインなのかもしれません。

そんな感じです。




.

【ブルゴーニュ: 23】癒し系ブルゴーニュ、ルイシュニュのサヴィニー1級を利く



こんにちは。
今日はブルゴーニュの(個人的に)注目ドメーヌ、ルイシュニュのフラッグシップ2本です。
このドメーヌのすごい所はなんと言っても、その品質と価格のバランスですね。
いわゆる高抽出、新樽の風味ががっつりついたピノノワールとは真逆の、ひたすら澄み切った滋味溢れる透明感のあるピノノワールを作っています。
雑誌で高得点を取れる様なワインではありませんが、日本人の好みにはとてもフィットした良いワインだと思います。

ルイシュニュの歴史は意外と古く1917年にサヴィニーに設立されました。このドメーヌも他の生産者同様2000年までは生産した殆どをネゴシアンに販売していましたが、当代のキャロリーヌから自社元詰を始めています。
栽培面積は9ha、
栽培は厳格なリュット・レゾネによって行われ。2006年から3haのみビオロジックでの栽培も始めています。収穫された葡萄は100%除梗。マセレーション後、新樽比率20%で熟成、ノンフィルターで瓶詰めされます。

今回はサヴィニー レ ボーヌ 1級のラヴィエールとオージャロンの2本です。


生産者: ルイ シュニュ
銘柄: サヴィニー レ ボーヌ プルミエクリュ レ ラヴィエール 2007

約3000円
外観は明るいルビー、粘性は中庸。非常に良く出来た薄旨系の超高レベルなピノノワール。
瑞々しくキュートなストロベリーやアメリカンチェリーリキュールなどの赤系果実の果実味。茎や若い葉、松の樹皮の様なニュアンス。赤い花の蜜やベリー系の甘露さ。なめし革、シナモン、ゴム、グローヴ、ハーブなどのニュアンスが感じられる。
タンニンは穏やかで、酸味と梅しばの様な染み入る様な心地よい旨味が感じられる。ビロードの様な舌触り。かなりレベルの高い高品質なピノノワール。

生産者: ルイ シュニュ
銘柄: サヴィニー レ ボーヌ プルミエクリュ オージャロン 2006

約3000円
外観はやや暗めのルビー、粘性は中庸。熟成起因の部分もあるが、瑞々しいラヴィエールと比較して、より肉厚で濃密な印象を受ける。
ダークチェリーやブラックベリーの豊かな果実味、紅茶やバニラ、濡れた木材、ドライハーブの風味。やや茎っぽさや薔薇、タイム、クローヴなどの枯葉や土の香りが主体となっている。シロップの様なわずかに甘い香りもあり、ベリーティーに牛乳を垂らした様な風味だ。
酸味、タンニンともにやや際立っており、やや質感がキツイ印象を受ける。ただ口の中で弾けるジャムのようなベリーの風味とミルク、紅茶の風味はさすがだな、と思う。


ざっと特徴を見ていくと、オージャロンが肉厚で、ラヴィリエールはとても澄んだ味わいになっています。
基本的に2006年、2007年の間でのヴィンテージ優劣はさほどありませんので、実際には1年間の熟成期間とそのテロワールの違いに全てが集約されると思います。

これを見る限りだと丘に向かって右手側にラヴィリエール、左手側上部にオージャロンがあります。
ラヴィエールの平均樹齢は60年。非常に石の多い土壌で開口部に開けたテロワール。オー ジャロンはボーヌ側に位置する平均樹齢30年の一級畑で砂質土壌。標高としては若干オージャロンの方が高いですが、地味に斜面は東を向いています。対してラヴィリエールは標高こそ低いものの、開口部の風の影響と南向きの畑。目の前に丘がありますが、南方向なので、多分あまり影響は出ないでしょうね。水捌けはラヴィリエールの方が良いでしょう。
従ってジャロンは日照条件の影響を受けてしっかりしたボディのワインが、ラヴィリエールは風の影響と最高とは言えない日照条件の為、やや繊細なワインが出来ているのでは無いかと思います。しかし繊細だからひ弱なのかと言われれば全くもって違くて、高樹齢による(ブルゴーニュとしては珍しい古木だと思います)凝縮感がしっかり感じられます。

個人的に好きなのはより繊細さや瑞々しさを感じるラヴィエールの方が好きですね。オージャロンも大変素晴らしいのですが、ルイシュニュに求めたいスタイルとはわずかに乖離している味わいだったので。
ただラヴィエールは長熟はしないと思います。熟成香は無く香りは極めて若いですが、タンニンや酸といったボディは既に古酒みたいな柔らかさがある為、ポテンシャルはやや低めといった所でしょうか。

そうはいってもラヴィエールのギュッと引き締まった酸味とか旨味、透明感のある香りは本当にいい。飲んでいると自然に顔が綻んでしまう様な嫌味さやキツさを感じない素直なワインですね。
突出した何かがある訳では無いのですが、欠点もなく、それがとても良い特徴になっていると思います。
こういうワインがどんどん増えて来るといいですね。

あんまり見かけないんだよなあ...こういうの。パトリックジャヴィリエのサヴィニー グランリアールも確かこんな感じだったと思うが。


【ボルドー:3】スーパーセカンドが作る突出した白

こんにちは。
今日はボルドーの白です。
ボルドーの白は高いし、あまりタマも無いので、このブログで取り扱う事は非常に稀ではございますが、毎度の事ながらその品質の高さには驚かされます。
特にアントゥル ドゥ メール系のソーヴィニヨンブランと、メドック系のソーヴィニヨンブラン&セミヨン、ソーテルヌ系のセミヨンはどれも方向性は異なりながら、とても面白いワインが出来ていると思います。

今回のブラン ド ランシュバージュはメドック格付け第5級シャトーであるランシュバージュが作る白ワイン。
メドック北部にある4haの畑で作られる平均樹齢10年のソーヴィニョン ブラン、セミヨン、ミュスカデルを使用しています。収量は55hl/ha。アペラシオンとしてはポイヤックではなく、ACボルドーとなります。
スキンコンタクトを15時間程度。
新樽100%で発酵をしながら12ヶ月熟成を行う。清澄処理と濾過処理の後、瓶詰めされる。

さてどうでしょうか。


生産者: シャトー ランシュ バージュ
銘柄: ブラン ド ランシュ バージュ 2006

約7000円、WA85pt
外観は濃いストローイエロー、粘性は高い。
ミネラル感とロースト香が非常に強い。
ローストを効かせた新樽を使ったシャルドネような風味。とてもニューワールド、カリフォルニアのシャルドネ的。
樽を感じさせるシャンピニオンやナッツ、バター。
そしてソーヴィニヨンブランらしいライチ、カリンのキリッとした果実味。白い花、白胡椒、ヨーグルト、白檀など複雑な風味が現れている。
酸味はかなり強く、わずかに苦味がある。
余韻はソーヴィニヨンブランっぽい。香りのせいか、若干の丸みを感じさせる。


ラ クラルテ オーブリオンにしても、ドメーヌ ド シュヴァリエもそうなんですが、本気でブルゴーニュを意識しているのか分かりませんが、ボルドー メドックの白ワインはソーヴィニヨンブランらしさをあまり感じないですね。もちろんその酸や口当たりのシャープさは品種特性なんだと思いますが、香りはもう本当にカリフォルニアのシャルドネなんですよね。
とても豊満な香りでいわゆる青草やムスクの香りはあまり感じさせません。
アントゥルドゥメールはロワール的なんですがね。ややボディが太めに感じるのは恐らくセミヨンに起因するものなのかな。

この感じを見ると本当によく出来てますね。このワインに関しては品質の割には安いと思います。
ただ偉大なブルゴーニュやキスラーと比べるとちょっとばかし厳しいかも...



【アルザス:1】トリンパック上位キュヴェの魅力。

こんにちは。
本日はアルザスの超大手ワインメーカー、トリンパックの上級キュヴェをレポートします。
と言ってもグランノーブルや虎の子のクロ サンテューヌなどの白ラベルは無いんですがね...ただネゴスものではなく自社畑で作る金ラベル、リースリング キュヴェ フレデリック エミールです。

トリンパックはアルザスに1626年に設立された老舗ドメーヌ、現在の名声を確立したのは9代目フレデリックエミール時代。(現在は12代目)
45haの自社畑の1/3は特級畑、すべて有機栽培を実践しております。
今回のキュヴェ フレデリックエミールは特級ガイスベルグとオステルベルグの区画で作られたリースリングです。
フラッグシップは白ラベルのクロ サンテューヌ、ヴァンダンジュ タルティヴ、セレクション グランノーブル。
上位キュヴェとして金ラベルが、そしてネゴスラベルとして黄ラベルがあります。


生産者: トリンパック
銘柄: リースリング キュヴェ フレデリック エミル 2008

7000円、WA92pt
外観は濃いストローイエロー、粘性は高い。
ペトロール香とミネラル感が過剰な程突出している。重い。
洋梨やマンゴーの核種系フルーツの豊満な香り。そしてハチミツ、白胡椒、わずかにキノコやアスパラガス、フレッシュハーブ、蜜蝋の香り。花の豊かな果実味。複雑な香りが感じられる。
酸味が柔らかで非常に豊かな旨味がある。凝縮感がある。
とても美味しいし、余韻も長い。

ペトロール香がリースリングの特徴とはいえ、ミネラル感とともに突出し過ぎている。強烈。
そもそも今飲む事を拒否されている感覚になる。それだけヴァンドガルドなワイン。イメージとしては奥に濃厚な核種系フルーツの果実味がしっかりとあり、それをすっぽりとミネラルとペトロールの風味が蓋をしている感じ。
徐々に解けてくると、豊満な甘みと複雑なハーブ、キノコの香りが強く芳香してくる。
改めて思うがリースリングは本当に特異な品種だと思う。こんなにもブラインドで当てやすい品種は無いと思う。
ドイツのラインガウも偉大なリースリングを算出するけれども辛口主体のアルザスの方が個人的には好きだな。
ヴァインバックのシュロスベルクも素晴らしかったけどこちらも劣らず凄まじいリースリングだった。
こうなるとフラッグシップ、クロ サンテューヌも気になってくるというもの。


【ローヌ:4】南部北部の鮮烈なるローヌ最高峰の饗宴



こんにちは。
本日はローヌ南部、北部のトップ生産者のワイン4本です。
南部シャトーヌフデュパプはヴィユーテレグラフ、ボーカステルのオマージュ エ ジャックペラン、北部コートロティはルネロスタン、北部エルミタージュはシャーヴのものを。

ヴューテレグラフは1792年にクロードシャップが創設したワイナリーでヌフで最も恵まれたテロワールを保有している。合計で180エーカー(うち赤は111エーカー)という広い面積を保有している。ちなみにテレグラフは名前は近くにあった電信塔にちなんで付けられた。生産量は今回のスタンダードキュヴェで17000ケース。平均樹齢55年という古木から作られた葡萄はやや早めに収穫され、グルナッシュ古木のみ全房、グルナッシュ若木、シラー、ムルヴェードルは完全に除梗される。ステンレスタンクで12-15日間発酵がなされる。その後セメントタンクで12ヶ月、オーク旧樽で1年間の熟成を経てリリースされる。新樽は使用しない。
フラッグシップはテレグラム。

シャトー ド ボーカステルはローヌ南部で長熟するワインを生産している生産者。全て有機的な方法で栽培された13種類の葡萄の木を使用し、偉大なシャトー ヌフ デュ パプが作られている。
その中でもオマージュ ア ジャックペランはシャトー ド ボーカステル最上級のキュヴェで生産本数は約400-425ケースしか作られていない。これは生産者の全生産量のわずか1.5%でしかない。平均樹齢65年-90年強の古木を使用。ムルヴェードルとシラーは全て除梗され、発酵はセメントタンクで3週間、その後古いオーク大樽で8ヶ月から18ヶ月熟成し、24ヶ月過ぎから瓶詰めされる。

ルネロスタンはローヌのコートロティの名手。父から伝統的な農法を学びながらも常に伝統的農法と現代技術を検討して最良を選択しながら、その最上のキュヴェを生産している。
生産本数はスタンダードなロティで16500本、樹齢35年程度の木から作られるシラーは除梗され(ヴィンテージによって異なるが)ピジャージュを自動的に行うステンレス製回転式発酵槽で発酵を行い新樽30%で24ヶ月熟成される。大型のドミミュイとオーク樽を併用している。
フラッグシップはコートブロンド、ラ ランドンヌ。これらはロティ最上の畑であり、高い樹齢から生み出される。

シャーヴのエルミタージュルージュは9つのリューディから成り(その中にはシャプティエのレルミット、ドゥラスのベッサールも含まれています)基本的に単一畑で醸造することは無いようです。シャーヴの芸術的な所はそれらの個性のブレンド技術に起因するものだと言われています。これらはまさにローヌ北部のトップワインと言って差し支え無いだけに値段も高く、それでも引く手数多なので入手しにくいのが現状です。生産本数は30000本程度、平均樹齢は60年程度。収穫された葡萄は10%新樽で1年間熟成させたのちに、大樽に移し替えさらに18~24ヶ月の熟成をかさねてから瓶詰めし、最低12ヶ月は瓶熟してから出荷されている。
ちなみに最良ヴィンテージのベッサールは100%新樽でひと樽のみ熟成されキュヴェ カトランという名前でリリースされている。


生産者: ドメーヌ デュ ヴュー テレグラフ
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ 2009
品種: グルナッシュ65%、ムールヴェードル15%、シラー15%、その他5%

約7000円、WA92pt
外観は明るいルビー、粘性は中庸。エレガントなタッチでありながら野性的な風味を伴うシャトーヌフ デュ パプ。
黒胡椒や山椒などのスパイス香を中心にアメリカンチェリーやストロベリーの溌剌とした果実味。アプリコットの様な甘露さ。ラベンダーやドライハーブ、パストラミハム、シナモンなど風味が感じられる。
口に含むと滑らかなタンニンと柔らかな酸、アフターにたっぷりとしたアプリコットの果実味と甘み、スパイスの様な辛苦みが残る。極めてシラーのスパイシーさを強く感じさせるワインだ。


生産者: シャトー ボーカステル
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ オマージュ エ ジャック ペラン 2000

品種: ムールヴェードル65%、グルナッシュ20%、クノワーズ10%、シラー10%
約40000円、WA97pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
実経年数を考えるとかなり熟成を経た印象で、既にソースやシイタケの様な風味が現れている。
ただ熟成しきっている訳では無く、黒胡椒などのスパイス、煮詰めたイチジク、ブラックベリーなどの豊満な果実味が感じられる。非常に糖度が高く豊満な印象を受ける。
また野性的な生肉、濡れた木材、腐葉土、ドライフラワーなどのアーシーな風味も感じられる。シナモン、リコリス、燻製、ワッフルなど。
口に含むと滑らかなタンニンと柔らかな酸、アフターに木材、煮詰めたブラックベリーの豊満な果実味、そして馬小屋の様な嫌な風味が残る。質感はとても良いが若干馬小屋臭が気になる。
やはりムルヴェードルのこの香りは個性があるというか、好みを選ぶよな、
と思う。


生産者: ルネ ロスタン
銘柄: コート ロティ 2005
品種: シラー80%、ムールヴェードル10%、グルナッシュ10%

11000円、WA90-92pt
外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
より瑞々しく華やかでスパイシーな印象。蜜の様に澄んだ甘露さが感じ取れる。エルミタージュと比べるとややエレガント。黒胡椒のスパイシーな風味と赤系のアメリカンチェリーやクランベリーの様な溌剌とした果実味がある。茎や薔薇の風味、パストラミハムや血液、ラベンダー、漢方、ワッフル、グローヴ、バニラなど。
口に含むとキリッとした綺麗な酸と心地よいタンニン。ギュッと詰まった木材の風味と瑞々しいベリーの甘い果実味が旨味に変わり余韻を綺麗に残していく。


生産者: ジャン ルイ シャーヴ
銘柄: エルミタージュ 2006
品種: シラー100%

約30000円、WA96pt
外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
とても濃密で甘露。アロマティックでしなやかな芳香が漂う。既に只者では無い感じ。樽の使い方と黒系果実の風味はどこかポムロールにも通じるものがある。
ミルクティーやワッフル、煮詰めたブラックベリーやカシスリキュールのコンポート。パストラミハムや黒胡椒やシナモンなどのスパイシーな香り。ユーカリ、西洋杉、僅かに薔薇やスーボワなど。
とにかく香り同様口に含んだ時の滑らかさは比類が無くて大変密度の濃い木材と煮詰めたブラックベリーの風味が感じ取れる。素晴らしい旨味と凝縮感がある。でもこんな感じだったかなー?


さてまずはシャトーヌフデュパプから。十分に偉大なワインである事を前提においた上でボーカステルのオマージュ エ ジャックペランは好みに合うヌフではありませんでした。
これはボーカステルのワインによく現れる自然酵母がもたらすブレタノマイオス臭、テイスティングコメントで言う馬小屋臭がかなり気にかかります。
この要素が複雑味をもたらしているのは間違いの無い事実ではあるものの、ここは結構個人差があるところなのかな、と思います。
ただそれ以外の部分に関しては非常に優れたワインで、熟成感はあるものの、まだまだ若々しい、というか非常に凝縮感と甘みを感じさせるものとなっています。豊満で糖度が高いワインだと思います。また10%のシラーが良く効いていてスパイシーなニュアンスが感じられます。ニューワールド的なニュアンスとはベクトルが異なりますが、同じくボディの強さと複数品種による複雑さを両立した素晴らしいキュヴェだと思います。まあ、人によりますけどね...結構キツイですよ、この馬小屋臭。
対してヴィユーテレグラフのヌフはまたタイプが異なります。
またよくある最新型シャトーヌフと異なっていて、果実味に寄っているタイプではありません。十分に甘露ですが、より古典的なスパイシーなニュアンスが強く出ていると思います。華やかで闊達とした印象を受けます。
ジャックペランと比較するとより酸味と華やかさが突出している印象ですね。ジャックペランはもっと濃厚で重いと思います。
タイプは両者でかなり異なっていますね。こんなに幅があっていいのか...シャトーヌフは。

さて次はコート ロティ。
比較的このブログでも稀に登場するルネロスタンです。
この生産者、たまにワインごとに感じる印象がかなり違うんですが、これは一体何なんでしょうね。
気になったので過去のヴィンテージを並べてみました。

■ランドンヌ、コートブロンド 2009
共に果実味が突出。ボルドーの様な樽香。スパイシーさもあるが、そこまで目立たない。

■キュヴェ クラシック 2007
非常にスパイシー。鉄釘、プルーン、カシスの野生的で力強い果実味。

■ランドンヌ、コートブロンド 2006
スパイシーさや野性味が強い、樽香が強く感じられる。ブルゴーニュのオリエンタルなインセンスの樽香。

2009年だけは果実味が突出していますが、他のヴィンテージは押し並べて似た印象です。スパイシーさが全面に出たエレガントさ。
ちなみに今回の2005年も同様の印象です。

なるほど、ヴィンテージチャートを眺めてみると納得。単純にヴィンテージの出来不出来に起因するもので、2009年が非常に素晴らしいヴィンテージになったため、果実味が全面に出たのだと思います。
今回の2005はとてもスパイシーですが、瑞々しい果実味があってコートロティらしいエレガントさがしっかりと出ていました。
2009年はどちらかというとエルミタージュ的な様な気がしますね。

さて最後はジャン ルイ シャーヴのエルミタージュ。このブログでは2回目ですかね。
今回の2006年のシャーヴはとてもエレガントかつ濃厚でした。誤解を恐れずに言えばさながらポムロールの濃厚さや樽使いにとても似ている。2009年のジャミーさ、果実感とはちょっと異なりますが、まあ2009年は完全に硬かっただけだと思います。
その点2006は綺麗に開き始めていて極めて高い果実味とともにスパイシーを両立しています。
個人的には2006の方が好きですね。エルミタージュらしいパワフルさもあるし。
ボルドーのスタイルに魅力を感じる人にはすんなりと入れる味わいだと思いますし、なによりボルドーのトップクラスと比べて安いので個人的にはこちらの方がオススメです...手にはいればですが...

さて、ローヌ、これにて終わりですが、生産者の個性、土壌によって大分違いますね。
個々の個性を掴む所までは至りませんでしたがなかなか面白い比較になったと思います。




【ルネ・ロスタン】コート・ロティ [1995]

【ルネ・ロスタン】コート・ロティ [1995]
価格:11,000円(税込、送料別)


【シャンパーニュ:2】まったく、ブラン ド ブランは最高だぜ!なシャンパーニュ2本

こんにちは。
さて、今日はこのブログでは珍しいシャンパーニュ、ブラン ド ブラン縛りです。生産者はRMのロベールモンキュイ、NMからルイナール、シャルル エドシックの3本。

ロベール モンキュイは1890年にアレックスモンキュイがメニル シュール オジェに創設したワイナリー。所謂レコルタン マニピュラン。
クリアさを保つ為、醸造はステンレスタンクで行われる。使用される葡萄はすべて、グランクリュであるメニル シュール オジェ100%。強烈なミネラルと鋭角的な酸を見せるこのシャルドネを最大限に生かすエクストラ ブリュット(ノンドゼ)。

ルイナールは、1729年にベネディクト派修道僧であるドン ルイナールが創設した老舗メゾン。今回のルイナール ブラン ド ブラン NVは伝統的なシャンパーニュの製法で作られており、繊細なコート ド ブラン、パワフルなモンターニュ ド ランスのグランクリュのシャルドネを100%使用。地下のクレイエルで一定の温度を保ちながら、最低3年間、ゆっくりと熟成させてから出荷されます。

シャルル エドシックは、1851年にシャルル カミーユ エドシックが設立したメゾンです。ブラン ド ミレネールはコート ド ブランのグランクリュ、プルミエクリュのシャルドネ100%で造られたブラン・ド・ブラン。 オーク樽は全く使用しない。今回は奇跡的な良年であった1995ヴィンテージを15年以上クレイエルで熟成した後デコルジュマンを行ったブラン ド ブラン。

さて、行ってみましょう。


生産者: ロベール モンキュイ
銘柄: ル メニル シュール オジェ グランクリュ ブラン ド ブラン エクストラ ブリュット NV

約7000円。
外観はストローイエロー、粘性は高い。泡の立ち方は穏やか。
エクストラ ブリュットだけに物凄くシャープな印象を受けるが、香りはブラン ド ブランの豊満さがそのまま感じられる。
しっかりとした硬いミネラル感。
酸味を強く感じさせるパイナップル、摩り下ろした赤りんごのフレッシュな果実味。そしてブリオッシュ、
焼き芋のふくよかな香り。清涼感のある白い花やフレッシュハーブ。
鋭い酸味が感じられ、凄まじくドライ。故に口当たりに柔らかさや甘さは感じられないが、その分旨味は突出して感じられる。余韻も長い。


生産者:ルイナール
銘柄: ルイナール ブラン ド ブラン NV

約10000円、WA89pt
外観は濃いストローイエロー、粘性は高い。
蒸かした薩摩芋の様な甘露な果実味が感じられる。とても豊満でありながらシャルドネのシャープさもちゃんとある。
杏仁豆腐やクリスピーなナッツ、バター、白檀など。
洋梨、熟した赤りんごの様な豊満な風味が感じられる。
口当たりは泡が柔らかく溶けていき、穏やかな白い花や杏仁豆腐の風味が感じられる。素晴らしいシャンパーニュ。


生産者: シャルル エドシック
銘柄: ブラン デ ミレネール 1995

約24000円、WA90pt
外観は明るいストローイエロー、粘性は中庸。キチンとしたミネラル感、泡は生き生きと現れている。
クリスピーな印象を受けるシャンパーニュで蒸かした薩摩芋や熟した赤りんご、アプリコットの分厚い果実味。
ハチミツ、エシレバター、杏仁豆腐、ヨーグルトなど。
滑らかな酸味は心地よく、滑らか。
果実味も豊かでしっかりと熟成を経て甘やかな雰囲気を醸し出している。
豊満なブランドブラン。


やっぱりブラン ド ブランは最高ですね、同じくブラン ド ノワールも好きなのですが、多分混ぜた奴があまり好きでは無いだけかもしれませんね。美味しいものもあるのですが、全体を見渡すとシャンパーニュの単一品種の方が圧倒的に好きなのがわかります。
さて、ロベールモンキュイ。
これがとても掘り出し物で6000円なのにメニルシュールオジェ単一、そしてノンドサージュ。しかも美味い。
香りにシャルドネのふくよかさを感じるものの、全体的に厳し目の酸と強固なミネラル、それを上手く活かしたノンドサージュ。際立った旨味、そして心地よい余韻。テロワールの特徴を活かしたとても優れたシャンパーニュだと思います。かなり口当たりがシャープなので好き嫌いは凄くあると思いますが、好きな人はすごく好きになれるシャンパーニュだと思います。
ルイナールがこれまた安定した作りで、ブラン ド ブランらしい甘露な風味とバターやナッツなどの樽を思わせるふくよかな香りを感じる事ができます。さながらシャンパーニュのピュリニーモンラッシェがごとき味わい。
とてもバランスが良いし果実味が豊かでロベールモンキュイのドライなブラン ド ブランとはまた違った王道ブラン ド ブランといった趣でとてもいい感じだと思いました。
最後、シャルル エドシックのブラン ド ミレネール。
これが誠に優れたブラン ド ブランで突出している。
全体的な印象はブラン ド ブランそのものなんだけど、特筆すべきはミネラル感とオーク樽なしで現れるバターと杏仁豆腐の芳香。樽を思わせるバターや杏仁豆腐の風味が出ているが、これは豊かな酸が熟成を経てマロラクティック発酵が進んだ事によって現れているのではないかな、と思います。なにせオーク樽ではなくステンレスタンク醸造なので。
そのためミネラル感も際立っています。熟成によって酸味は乳酸に転化していますから、より強くミネラル感を感じられるのではないかと思われます。果実味はとても豊か。ミネラル、マロラクティック発酵による柔らかさと豊満さ、良ヴィンテージに裏打ちされた豊かな果実味がとてもバランスよく現れていると感じました。
今まで飲んだブラン ド ブランの中でもかなり突出している様に思えました。すでに20年近くの熟成を経ているとはちょっと考えられない位若いし、今後も楽しみなシャンパーニュです。


たまにシャンパーニュを飲むと、その芳香の華やかさと酸のシャープさに驚かされます。
ミネラル含めて、やはりシャンパーニュはシャンパーニュで他には換えがたいものがあるな、と思う次第です。
何分どれを買っても高いですが、それだけの価値は十分あるのかな、と思います。
時期的に楽しめるシャンパーニュではないですが、根源の旨さというか複雑さは流石だなー。




【ブルゴーニュ:22】ドミニクローラン、謎のマジシャンベルタンのキュヴェAとBを利き比べる。

こんにちは。
本日は熟成したドミニクローランの特級マジシャンベルタンをレポートします。
..と言ってもこのブログは結構マニアックなブログなのでちょっと特殊な比較をします。
ドミニクローランのマジシャンベルタンは90年代後半まで2つのキュヴェに別れていました。
その名も「キュヴェA」と「キュヴェB」。違いは購入元の生産者が異なっている部分ですが、販売される市場も異なる様です。その違いは一体何なのでしょうか?今回はその部分を追って行こうと思います。


ドミニクローランは元々お菓子職人で、本職を投げ捨てて1988年からワインの世界に入り始めました。
当初から非常に高品質のワインを作っていることで評価は高かったのですが、新樽に拘りすぎたが故にテロワールを尊重していない、ギイアッカの影響下にあった等と、まぁ賛否両論があります。しかしながら樽へのこだわりは相当なもので、自身で理想とする樽を作る為に板材の選定から生産まで行ない、しかもそれを他のドメーヌや外国に販売している。ネゴシアンなのでワイン自体は樽ごと他の生産者のものを買い付けるのですが、その購入条件は「古木から作られた葡萄を手積みした」生産者のもののみと徹底しています。更に自身の樽に詰め替える事で、このドミニクローラン節を作り出しています。

さて、AとB。いってみましょう。


生産者: ドミニク ローラン
銘柄: マジ シャンベルタン グランクリュ キュヴェ A 1998


31290円、WA94-97pt(1995)
外観はやや濃いルビーで粘性は強い。非常に澄んだ凝縮した旨味があり、しっかりとした熟成香がある。ソースの様なスパイシーなニュアンス。梅しばやドライイチジクの様な果実味、生肉やなめし革の野性的な香り、藁っぽさ、トースト、ドライフラワー、オリエンタルスパイス、コリアンダーなどの風味が感じられる。
タンニン、酸味は穏やかでありながら、凝縮感があり、キチンと整理された香りと味わい。甘さこそ無いが旨味は突出している。

生産者: ドミニク ローラン
銘柄: マジ シャンベルタン グランクリュ キュヴェ B 1998


34650円、WA94-97pt(1995)
外観はキュヴェAと比較して更に濃いルビーで粘性も非常に高い。
全体的に野性的な風味と樽のニュアンスが強めで荒々しい味わい。
もともとの醸造工程で抽出の強いバルクを購入しているのだろうか、全体的に硬いニュアンスが感じられる。
複雑さを構成する若干の馬小屋臭、そして熟成肉やスパイスの野性的な香り。スモモ、イチジクなどの強い酸味を感じさせる果実味、そしてなめし革、藁。トリュフ、草などの大地の香りを感じさせる。熟成香はしっかりと感じさせるものの、徐々に甘露な果実と樽の香りが浮き上がってくる。
キュヴェAと比べると、かなり酸味もタンニンも突出しており、現段階では舌に残るタッチは良いとは言い切れない。ただ凝縮感や旨味に関してはAと比較すると高いポテンシャルを感じさせる。

さて、同一ヴィンテージの同一畑ではありますが、15年の熟成してなお、この二者のスタイルは全く異質なものであるということがわかります。これが若いヴィンテージだとしたら、より際立っていたでしょう。
ドミニクローランのネゴシアンとしてのスタイルはバルクワインを購入している為、かなり個性の異なる生産者から買い付けている可能性が高いのではないかと思います。
ちなみにキュヴェAは主に国内消費向け、キュヴェBは輸出向けという形で切り分けられているとのこと。なるほど、このスタイルの違いは市場の好みも反映しているのではないかと。
よりキュヴェAの方が自然で、キュヴェBはとても濃厚で野性味があり力強いです。

共通点としては共にとても豊かな熟成感を感じさせる味わいで、かつ濃密な味わいを感じさせます。
ブルゴーニュの熟成スタイルというより、むしろボルドーやカリピノの熟成スタイルに近いのかな、と。熟成を経て出汁になるという感じではなさそうですね。

両者の違いに関しては本文でも書いていますが、キュヴェAは濃厚でありながら、どこか澄んだ熟成感を感じさせます。凝縮感というのですかね。密度が高いと思います。
またキュヴェBはより複雑かつ強固、野性味を感じさせる味わい。抽出が強いからか、こっちの方が若々しい体躯だし樽もより強く効いていると思います。90年代に流行ったパーカー向けのスタイルですかね。
マジシャンベルタンのテロワールの再現という意味だと、基本的に他のクリュを飲んでいないので何とも言えませんが、冷涼かつ堅固というテロワールの特徴には今ひとつあっていないの様な気がします。恐らく時期的に新樽200%の時代だと思われますし、抽出も強めなので、テロワールの再現はあまり気にしていなかったのかな?と。
ただこれに関しては現在のドメーヌローランで忠実に再現出来ているので、単純に彼の好みだと思うのですが。
基本的にはとても美味しいし、熟成する事で樽のニュアンスは消えて行きますので、あまり気にすることではないと思います。

ただもう少し熟成を重ねるともっと良くなるかもしれませんね。
その時にキュヴェAとBが如何程の違いを表すのかとても気になります。



【ブルゴーニュ:21】フランソワ フェヴレ時代のジュヴレシャンベルタン3種を利く

こんばんは。
さて、気を取り直して次に行ってみたいと思います。
ドメーヌフェヴレの熟成したジュヴレシャンベルタン3種です。

1979年生まれの若き当主エルワンが指揮を取る新生フェヴレ。
先代フランソワの時代では芽掻き、ヴァンダンジュ ヴェールト、収穫の際の選果で収量制限を行い、さらに選果台で選果を行う事で凝縮感のある健全な果実を選り分けています。また醸造に関しては長めのマセラシオンによる抽出、新樽比率の向上、ノンフィルターで樽から直接瓶詰めしていました。
しかし当代のエルワンからは若干のスタイルを変更しています。
2007年からは個別のチームによる分担制を行い、完全除梗、フラッグシップには新しい木製槽を使用し、樽はフランソワフレール社他3社に切り替えた。(※前当主の頃に使っていた樽はローストが強く、嫌な苦味が出る事が多かった)、またタンニンを減らすために、過度の抽出や樽の使用を避け、より純粋な果実味を押し出す事に成功している。
今回は先代、フランソワフェヴレが手腕を振るうジュヴレシャンベルタン3種類です。


生産者: ジョセフ フェヴレ
銘柄: ジュヴレシャンベルタン プルミエクリュ コンブ オー モワンヌ 2002

8300円、WA85pt(1993)
外観は赤みを帯びたルビー、粘性は中庸。
やや熟成を帯びた風味は感じさせるものの、力強く若々しい香りが感じられる。
濡れた木材、ダークチェリーやラズベリーの澄んだ果実味、薔薇、タバコ、乾いた土、なめし革、ベニヤ板、グローヴ、焦げたゴムなど。こちらも徐々に甘い果実が現れてくる。
口に含むと梅しばや黒いベリーの様な果実味が感じられる。タンニンも酸も豊かだが刺々しさはあまり感じられない。
とても口当たりは良い。旨味がかなりいい。


生産者: ドメーヌ フェヴレ
銘柄: ジュヴレシャンベルタン プルミエクリュ レ カズティエ 2002

10000円、WA84-86pt(1993)
外観は赤みを帯びたルビー、粘性は中庸。コンブ オー モワンヌに対して、より野生的な香り。こちらも熟成を感じさせる味わい。
枯葉や濡れた木材、生肉、なめし革。そしてダークチェリーやブルーベリーの様なやや果皮を感じられる風味。
最初は野生的な風味が主体となるが、徐々に糖蜜の様な甘さが現れてくる。スミレやタイム、グローヴなどのハーブ、腐葉土、ナツメグ、焼いたゴムなどの要素も。
やや酸が際立って感じるが、タンニンは穏やかである。これも旨味がかなり上がってくる。
口の中で腐葉土や黒系ベリーの果皮を風味が強く感じられる野生的な一本。


生産者: ドメーヌ フェヴレ
銘柄: ラトリシエール シャンベルタン グランクリュ 2002

19000円、WA88pt(1993)
外観は赤みを帯びたルビー、粘性は中庸。
より甘みを帯びており、凝縮感が高い。
腐葉土やミルクティー、シナモンや花の蜜の香りとともに、ダークチェリー、ブルーベリーの果皮を感じる華やかで瑞々しい果実味。タバコ、徐々になめし革や生肉の風味、徐々に野生的な姿を見せてくる。濡れた木材や、グローヴ、タイムなど。果実味が非常に強い。
最も洗練された甘露さ、バランスの良さ、そして若々しい体躯から十分な熟成に耐えうる強さを感じる一本。
酸味、タンニンはやや強めだが、黒系ベリーの果皮と木材、グローヴの風味がしっかりと現れている。



ラトリシエールは最初の飲み頃に差し掛かった頃でしょうか、他の1級群は熟成香による複雑味を帯びてきています。ちなみに若い時分に目立ったフランソワ時代の樽のエグみはどの畑のものでもすべからく消えています。その点、どのワインも比較的飲みやすくなっているのではないかと思います。

今回の特徴をざっとまとめると、
・コンブ オー モワンヌ
澄んだ豊かな果実味がある。
・カズティエ
野性的で豊かな果実味がある。
・ラトリシエール
凝縮度と密度が高い。果実味豊かで、滑らかなタッチ。

完成度は圧倒的にラトリシエールでしたね。ただコンブオーモワンヌやカズティエと比べるとラトリシエールはモレ渓谷の背斜面からの風の影響がある為、どことなくカズティエより冷涼になってもおかしくないのですが、そこは特級と一級で作り分けをしているのかもしれません。
特急相応の複雑さ、凝縮度を感じる事が出来たと思います。ただジュヴレっぽい堅牢さはあまりなく、どちらかというとモレ サン ドニのグランクリュみたいですね。まあ同じ並びなんですけど,。
対してカズティエは非常に野性的です。合わせて堅牢で、テロワールの特徴はしっかり出ているかな、と思いました。
コンブオーモワンヌはさらにカズティエに隣接する並びの立地ですが、カズティエと異なる所は標高の高い部分に面積が集中している所ですね。丁度カズティエを左側に向かって袈裟斬りした様な形になっていて、それの上部がコンブオーモワンヌ、下部がシャンポー。風の影響こそ受けないものの、標高の高さからヴェレゾンまでのハングタイムが長く複雑で強固な体躯を持ったワインが出来る。と思ったらフタを開けてみると果実味が豊かでバランス感の良い一級畑でした。そして特筆すべき特徴があまりないという。

個人的にはまあまあだなあ...と言った感じですね。十分に美味いとは思いますが。ただ全体的に旨味はすごく綺麗に出ていたし際立っていたので、その部分はかなりいいところだったのかな、と思います。2002年にしては若々しいですしね。
ただ個人的にはやはり当代エルワンのフェヴレの方が好きですねー。



【ブルゴーニュ:20】アルマンルソー2010年水平テイスティング:Q

こんばんわ。
大変お待たせ致しました。
アルマンルソーテイスティング比較でございます。

前回下記の通りカテゴリ分けを致しましたが、実情はもっと複雑でした。

■冷涼、ドライ、堅牢
シャルム シャンベルタン
マジ シャンベルタン
リュショット シャンベルタン

■リッチ、甘露、堅牢
クロ ド ラ ロッシュ
クロ サン ジャック
シャンベルタン

これだけではとても収まらない際立った個性を感じるワインだったと思います。

ではまずは畑ごとの縦比較を。



■特級クロ ド ラ ロッシュ

・2004年(2013年試飲)
とても綺麗に熟成している。全房発酵の様な瑞々しさがある。また野生的な旨味が突出している。
凝縮感:中庸な凝縮感。
果実味: 立体感のある瑞々しいダークチェリー、ラズベリー、グレープフルーツの清涼感のあるジャミーな果実味が感じられる。徐々に果実の蜜のなども。
華やかさ: スミレのドライフラワー。ローズヒップ、ドライハーブなど。
樽香 : 森の下草、トリュフなど。土の香りが強い。
堅牢さ : 清涼感があり澄んだ風味。堅牢では無い。
規模感、時間変化 : 時間変化は少ないが、際立って複雑な風味を感じさせる。
タンニン: 穏やか。
酸 : 綺麗な酸味、旨味とのバランスが良い。
旨味:生肉や梅しばの様な野生的な香りとジワリとくる旨味。

・2010年(2013年試飲)
現状最も高レベルでバランスが取れている。マジシャンベルタンの上位互換的な味わい。
凝縮感:しっかりとした凝縮感がある。
果実味: ブラックベリー、プラムのシロップの様な甘露な果実味。
華やかさ: ドライハーブ。花の風味はやや控えめ。むしろ土やトリュフの風味が前に出ている。スパイシー。
樽香 : シナモン、ミルクティー、糖蜜の様な風味。
堅牢さ : 豊満でしなやか。堅牢では無い。
規模感、時間変化 : 大きな変化は見られないが安定感のある複雑な風味。
タンニン: 穏やか。
酸 : 中庸、旨味とのバランスが良い。
旨味: 中庸、酸とのバランスが良い。

【共通点(スタイル、テロワール)】
凝縮感、規模感、華やかさは比較的中庸だが、押し並べて非常に果実味と旨味突出して豊かで甘露。やや土やスパイスの風味を感じさせる。バランスを考慮するとルソー随一の安定感のあるキュヴェだと思う。唯一堅牢な点が見受けられない事を考えると裏返してジュヴレシャンベルタンの堅牢さを実感する事が出来る。

【経年変化】
6年程度で若い段階での飲み頃になっている。紅茶の様な風味は森の下草や強い土の香りに、黒系の濃厚なベリー類は瑞々しさを伴う黒系ベリーや柑橘の風味を生み出している。全房発酵の様な風味を感じさせる。

【その他所感】
ジュヴレシャンベルタンと明確な違いがある特級。濃厚でリッチ。土の香りと豊かな果実味を感じる事が出来るグランクリュ。




■特級シャルム シャンベルタン

・2004(2013年試飲)
比較をした4本の中ではやや熟成を帯びていたが十分に若々しい。
凝縮感:中庸な凝縮感がある。
果実味: 清涼感のあるオレンジ、ダークチェリー、煮詰めたイチジクの香り。徐々に甘露さが現れる。
華やかさ: スミレ、パストラミハムの様なスパイシーさと野性味が感じられる。若干茎っぽさも
樽香 : 腐葉土、樹皮、紅茶。キャラメルの様な風味が果実味と合致している。
堅牢さ : 堅牢さはあまりなく、穏やか。
規模感、時間変化 : 中庸。時間変化はドライ~甘露。ベーシックな変化。
タンニン: 柔らかい。
酸 : 2004のマジほど柔らかくはない。中庸。
旨味: 熟成感も併せ持った強烈な旨味を感じさせる。

・2009年(2012年試飲)
他のキュヴェと比べると比較的落ち着いた風味があり、構成要素などで若干の見劣りはする。
しかしマジシャンベルタンと比較するとバランスが良く感じられる。
凝縮感:中庸な凝縮感がある。
果実味:比較的凝縮感のあるチェリーやカシスの香り。十分な甘露さがある。
華やかさ: 薔薇、なめし革、草の様なニュアンス。華やかさが前に出ている。
樽香 : 煙草、焼き栗、五香粉などの香り。スパイスなどの風味も。
堅牢さ:十分な骨格がある。
規模感、時間変化 : 決して規模感は大きくないが、バランスが良い。
タンニン: 柔らかい。
酸 : 中庸、しなやかな酸。
旨味:しっかりとしたエキス感がある。

・2010年(2013年試飲)
旨味と酸味の出方が絶妙。規模感は大きくなく、こじんまりとしているものの非常に良い纏まりを見せている。
凝縮感:中庸な凝縮感がある。
果実味: ブラックベリー、ダークチェリーの果実味。オレンジの清涼感、シロップの風味も。
華やかさ: スミレや茎の風味も感じられる。
樽香 : コーヒーや五香粉、ミルクティーなどの強めの樽香が感じられる。
堅牢さ : 骨格は柔らかい。
規模感、時間変化 : 規模感は大きくはない。バランスが良く最初から甘露な風味が現れている。
タンニン: 柔らかい。
酸 : やや酸味は際立っている。
旨味: 十分にあるが2010リュショットほどではない。

【共通点(スタイル、テロワール)】
規模感はやや特級の中では劣るが、凝縮感は押し並べて中庸。しかしジュヴレシャンベルタンらしい堅牢さはしっかりと感じられる事が出来る。果実味は比較的豊かで華やかさも十分に持っている。若い段階では樽香が若干際立っている。タンニンは柔らかく酸は強め。

【経年変化】
6年で熟成香がやや出てきている。若い段階での飲み頃は若干過ぎている様に感じられる。焼いた樽のニュアンスはは紅茶やキャラメルの香りに、清涼感を感じさせるベリー類の香りは煮詰めたイチジクやオレンジの風味に。全房発酵の様な風味を感じさせる。

【その他所感】
極めてジュヴレシャンベルタン的な特級で堅牢、そして濃厚でリッチ。テロワールによる差異はあれど、グレード的にはクロ ド ラ ロッシュと同等か?規模感は大きく無いがバランスの良さとジュヴレの特徴を感じる事が出来るグランクリュ。




■特級マジ シャンベルタン

マジの冷涼な気候は良ヴィンテージ(例えば2009など)だととても良いバランスになるみたい。
・2004年(2013年試飲)
同年のシャルムよりドライで最も冷涼さを感じる。凝縮した甘露さをキッチリと感じる事が出来る。
凝縮感:中庸。甘露さを伴う。
果実味: ドライだが徐々にスミレキャンディの様な甘露な風味。瑞々しいベリーやイチジクなどの熟成香も。
華やかさ: 突出して華やか。スミレや薔薇のニュアンス。
樽香 : 目立たず、僅かに感じる程度。
堅牢さ : 冷涼だが密度や硬さは伴わない。
規模感、時間変化 : 中庸で濡れた木や森のアロマを感じる。
タンニン: 柔らか。
酸 : 落ち着いている。
旨味: 中庸。生肉の旨味。

・2009年(2012年試飲)
リュショットと方向性は近い。果実味が高く、華やかさとのバランスが取れている。
ドライでありながら、甘露さもしっかりとあり、旨味も含めバランスの良い作りだと思われる。
凝縮感:噛む様な凝縮感がある。
果実味: ダークチェリー、クランベリーの凝縮した果実味。果皮が主体。
華やかさ: 突出している。薔薇、スミレなどの花のアロマが強い。
樽香 : 強めに感じる。ナッツ、シナモン、バニラ、五香粉など。
堅牢さ : 硬さは感じない。バランスの良さを感じた。
規模感、時間変化 : 華やかで穏やか。他のグランクリュ
タンニン: しなやかで穏やか。
酸 : 穏やか。
旨味:噛む様な旨味がある。

・2010年(2013年試飲)
一瞬クロ ド ラ ロッシュの様な甘露で穏やかな表情を見せるが、すぐにテロワール原初の冷涼さを見せる。
旨味などの密度は高いが、香りがのびてこない。青さを感じる。他のヴィンテージに輪をかけてバランスが悪い。
凝縮感;やや高めだが、ルソーの中では低い部類。
果実味: ダークチェリーやアメリカンチェリーの瑞々しい果実味。
華やかさ: 華やかさというよりもハーブや草の香りが強い。スミレの香りも僅かに感じられる。
樽香 : ミルクティー
堅牢さ : マジの一般的な堅牢さはあるが、全体的に香りがのびてこない。
規模感、時間変化 : 中庸
タンニン: 穏やか。
酸 : やや際立った印象。
旨味: しっかりと旨味が感じられる。

【共通点(スタイル、テロワール)】
押し並べてとても華やかで冷涼、ドライ、堅牢である。ただ規模感と密度はやや他の特級に劣る。方向性としてはリュショットシャンベルタンの下位互換的な味わい。しっかりした旨味があひ特に熟成を経た際の香りが素晴らしい。果実味はドライ。やや早めに熟成が進み、ルソーの中では体躯が劣る。タンニンは柔らかく酸は強め。一瞬だけ甘い芳香を感じる事ができる。

【経年変化】
熟成香が6年でかなり現れる。果実味は中凡だが、ひたすら目立つのは突出した華やかさ。イチジクやベリー系の瑞々しい果実味とともに強烈なスミレの香りが目立ちはじめる。そもそも旨味が突出したワインだから、熟成を経るととても素晴らしいものとなる。

【その他所感】
若い段階ではかなり堅牢で取り付くシマが無い冷涼さ、ドライさを見せるが、熟成によって華やかさが際立ってくる。熟成によって真価を発揮するワインで他のワインの様に若い頃から楽しめるという事はない。華やかさが際立っているという点では極めてリュショットに近い。




■特級リュショット シャンベルタン クロ ド リュショット

・2009年(2012年試飲)
冷涼であり、優雅さや華やかさ、しなやかさを強く押し出したグランクリュ。
シャンベルタン、クロ サン ジャックと真反対の性質を持っている。
凝縮感:極めて高い。
果実味: 果皮の厚いダークチェリー、レッドカラント。花の香りに隠され酸味が際立つ。
華やかさ: 際立って華やか。香水の様な香りやスパイス、大地香の奔流。
樽香 : あまり感じられない。
堅牢さ : 堅牢である。
規模感、時間変化 : 華やかさからスパイスの香りに。なめし革、パストラミハム、クリームチーズの風味
タンニン: 比較的中庸
酸 : 際立って酸味が強い。
旨味: 凝縮した旨味があり余韻は長い。
華やか、ドライ、複雑。

・2010年(2013年試飲)
2009年と同様、冷涼かつ優雅さ、瑞々しさが際立っている。ただ若干こちらの方が軟化した印象を受けるか。
スパイスよりハーブや木材などの香りが強い。
凝縮感:極めて高い。
果実味: ブラックベリー、スモモの太い果実味がある。徐々に花の蜜の様な甘露さが現れる。
華やかさ: とても際立っている。ローズヒップティーやスミレの香り。
樽香 : モカなど。マロラクティック発酵に由縁するミルクティーの風味はあるが、際立っていない。
堅牢さ : 2009年よりは柔らかいが堅牢。
規模感、時間変化 : 徐々に甘露さが冷涼な体躯にしなやかさを与えていく。
タンニン: 村名より僅かに強い程度。
酸 : 中庸。目の細かい奇麗な酸味
旨味: 凝縮した旨味がある。

【共通点(スタイル、テロワール)】
突出した華やかさ、堅牢さ、旨味がある事からマジシャンベルタンの上位互換といえる。全ての規模感がマジを超えるから若い頃から卓抜した華やかさ、旨味を楽しむことができる。その分堅牢さは極めて高く、甘さを見せるものの基本的にはかなりドライなタッチを感じさせる。タンニンは穏やかだが酸は際立っているように感じられる。

【経年変化】
未検証。

【その他所感】
極めてヴァン ド ガルドなワインだと思う。堅牢かつドライ。但し若い時分では華やかさとドライさ、そこから遷移する甘露さを旨味と共に楽しむ事はできる。ただし全貌を見せるには程遠い規模感だと思われる。アルマンルソーのワインの中では最もエレガントで華やかなワインだと思う。



■ジュヴレ シャンベルタン 1級クロ サン ジャック

・2004年(2013年試飲)
マジ(2004年)ほど柔らかさはなく、タンニン、酸ともに厳しめ。
2004年のマジ、シャルム、クロ ド ラ ロッシュと比較すると流石の出来ではあるものの、燦然たる2009年と比較すると精彩を欠く作りだと思う。
凝縮度:極めて高い。
果実味: ダークチェリー、ブルーベリーの果皮の強い果実味、オレンジの清涼感。
華やかさ: 果皮のニュアンスが強く華やか。薔薇やなめし革など。
樽香 : 僅かにワッフルの風味
堅牢さ : 硬い。
規模感、時間変化 : 比較的ドライな状態が続く。
タンニン: タニック。
酸 : 強め。
旨味: エネルギーに満ちあふれている。

・2009年(2012年試飲)
2010年と比べると硬い印象を受ける。華やかさと野性味が際立つ。時間が経過しても殆ど印象は変わらない。シャンベルタンの弟分といった感じ。
凝縮度:極めて高い凝縮感がある。
果実味: 果皮成分が強いスモモ、黒系ベリーのジャム。最初はドライ。
華やかさ: 薔薇などの華やかさが際立つ。
樽香 : 五香粉、シナモン、ミルクティーのニュアンスがあるが果実味ほど際立っていない。
堅牢さ : 硬い。
規模感、時間変化 : 複雑な骨格をもつ。果実味→華やかさ
タンニン: タニック。
酸 : 極めて強い
旨味: 極めて強い。燻製肉の旨味。野生的。

・2010年(2013年試飲)
2009年と比べるとより近づきやすい。甘露さが全面に現れている。特筆すべき凝縮度と旨味。
凝縮度:極めて凝縮感がある。
果実味: ジャムの様な分厚い果実味が最初から現れる。オレンジの清涼感も。
華やかさ: 中庸。際立ってはいない。
樽香 : 五香粉、ミルクティーの風味があるが果実味ほど際立っていない。
堅牢さ : タニックだが比較的柔らかい。
規模感、時間変化 : 複雑な骨格をもつ。
果実味→華やかさ
タンニン: タニック
酸 : 極めて強い
旨味: 極めて強い。燻製肉の旨味。

【共通点(スタイル、テロワール)】
強烈な凝縮感、高密度。ジャミーなベリー系の甘露な風味、清涼感のある柑橘の香り、強い樽香。硬くソリッドな体躯から膨大な果実味が開いて行く。タニックで酸味も豊か。時間により香りが大きく変化する事から小降りなシャンベルタンといった印象を受ける。ただしクロ サン ジャックはより野生的。旨味も極めて突出している。
若い頃は若干の近づきにくさはあるものの、ポテンシャルは極めて高いワイン。

【経年変化】
経年によって果実の風味に対して大きく華やかさ、凝縮度、旨味が際立っていく、対して樽香は落ち着いた印象を受ける。
タンニンと酸は溌剌としており、6年では落ち着かない様子。まだ濡れた木やイチジクの風味を億尾にも感じさせない。他の2004年ヴィンテージと比べると圧倒的に若々しく、まだまだ飲み頃に至るまでは時間がかかりそう。
印象としては最新ヴィンテージと大きくは変わらない。

【その他所感】
最初は強固で硬いが、シャンベルタン程堅固ではなく比較的甘露で濃厚、分かりやすい味わいを感じられる。極めて複雑で規模感が大きく、凝縮感がある。適度にヴァン ド ガルドで若い時分でも比較的美味しく飲める一級畑。
成る程、とても偉大なワインだと思う。2004年でもわずかな熟成しか感じられない。



■特級シャンベルタン

・2009年(2012年試飲)
2010年のシャンベルタンと比較すると極めて硬く、甘露さが現れるまで時間が掛かった。しかし一度甘露さが現れると非常に濃厚。
凝縮度: 極めて凝縮しているが閉じている。
果実味: 最初は黒系ベリーのタンニンと旨味が際立つ。かなり時間を置いて強烈な甘露さが現れる。
華やかさ: 最初はとても華やか。
樽香 : 強い。八角、チョコレートなど。
堅牢さ : 極めて硬い。
規模感、時間変化 : 極めて大きい。
旨味、酸味→華やかさ→甘露さ、樽香、スパイス。
タンニン: 極めてタニック
酸 : 極めて強い
旨味: 極めて強い。燻製肉の旨味。

・2010年(2013年試飲)
2010年クロサンジャックと比べてより果皮成分が強く硬い印象を受ける。
2009年シャンベルタンより近づきやすい印象。
凝縮度: 極めて凝縮しているが閉じている。
果実味: 黒系ベリー、最初は酸味と旨味を伴うが、徐々に濃厚な糖蜜の甘露さが現れる。
華やかさ: 際立ってはいない。
樽香 : 強い。バニラや五香粉の様な風味。果実味と合っている。
堅牢さ : 硬い。最初は冷涼さを感じる。
規模感、時間変化 : 極めて大きい。
旨味、酸味→甘露さ→清涼感。
タンニン: 極めてタニック
酸 : 極めて強い。
旨味: 極めて強い。丸みを帯びた旨味。

【共通点(スタイル、テロワール)】
素晴らしいの一言に尽きる。2009年、2010年とも一切スキが無く堅牢で力強いジュヴレシャンベルタンの王者的な風格を感じる。
共にとても硬いワイン。まだ一切開いておらず、高密度、高凝縮度、極めて重厚な香りを放つ。しかしながら外に開いていく風味は今現在は無く、大変な時間を置いて徐々に甘露で豊満な香りを放っていく。樽香は極めて強く、強烈なタンニンと酸味を伴いながら旨味を解き放っていく。香りの遷移はとてもドラスティックでダイナミック。大量の規模感とシーンを見る事の出来る味わいだ。

【経年変化】
未検証。

【その他所感】
偉大なワインである。ただし2009年と2010年とだと若干出来が異なる様で2010年の方が僅かに若い頃から飲みやすい。2009年は非常に閉じこもっており非常に堅固なものとなっている。
但し2009年の密度、芳香を鑑みるに決してレベルが低い訳ではなく、高すぎて閉じこもっていると考えるのが妥当。2010年と比較すると2009年の方がより長期に渡って熟成を経て行くものだと思われる。押し並べて果実味は非常に豊かではあるが、その姿は一部しか見る事は出来ない。



■ヴィンテージの変化
前提条件として各ヴィンテージは下記の通りとなっています。(ファインズさんのヴィンテージチャートを参照しています)

2010年:5/5(秀逸な年)
2009年:5/5(秀逸な年)
2004年:2/5(やや難しい年)

これを見ると2004年だけが難しい年とされていますね。
なので、2010年および2009年に関しては6年熟成を経たとしても2004年ほど熟成感は感じられないかもしれません。
その為、各項目の経年変化で記載している熟成度合は、より時間が経過した際に現れるという風に考えるのが妥当かな、と思います。
特にクロ サン ジャックに関しては2004年でさえ十分に若々しさを保っていますから、熟成香が出始めるのに10年くらいは必要なのかな、と思います。



■テロワールと味わいの相関性
上記のワイン毎の共通点を見ていくと、改めて下記の様に大別出来るかと思います。

・冷涼、ドライ、堅牢
マジ シャンベルタン
リュショット シャンベルタン

・リッチ、甘露、堅牢
クロ ド ラ ロッシュ
クロ サン ジャック
シャンベルタン

・中庸
シャルム シャンベルタン

ここで立地を絡めて見ていくと、なんとなく味わいとテロワールの特徴が合致している様に思えてきます。

例えばマジシャンベルタンとリュショットシャンベルタンはラヴォー渓谷とモレ渓谷の背斜面からの冷涼な風の影響を受けて硬質で骨格の強いワインになっていると思います。冷涼な気候が生むエレガンスですね。

シャンベルタンはグリザール小渓谷からの冷涼な風の影響も受けているので、こちらも堅固で骨格の強いワインになりますが、ただ恐らくは幾分か日照条件が良くこちらの方が堅固でありつつ果実味を感じられるワインになっています。冷涼さと日照、水捌けの良さが生み出す凝縮感は確かに感じられました。

シャルムシャンベルタンはシャンベルタンの下部にある特級畑で、やや緩やかな斜面ですが東向きに大きく開けた立地で日照条件はシャンベルタン同様に良く、また冷涼な風の影響も受けます。堅固でありつつ、果実味も両立する点は同じですが、シャンベルタンと比べて恐らくは水捌けの部分で若干劣る為か、果実の凝縮感や密度に緩い感じが出ているかと思われます。

クロ サン ジャックは立地としてはラヴォー サン ジャックやカズティエとほぼ同条件ですが、斜面の急勾配は効率的な日照を実現し、ラヴォー渓谷から吹き付ける風を石垣が防ぎ、その熱を保持します。
その為他の畑と比較して堅固さ、冷涼さよりはるかに果実味や凝縮度、旨味が突出している様な気がしました。

最後にコミューン違いの特級畑クロ ド ラ ロッシュ。
この中で最も近づきやすくキャッチーなワインでしたが、こちらも水捌けの良さを呼び込む石の多い石灰岩土壌、急勾配と、豊かな果実味が出来る条件は揃っています。

これらを見るに立地、土壌、日照条件が非常に良く現れたワインが作られていると思いました。
ただ、これらは直接的に土壌や立地が味わいに影響を及ぼしているというより、むしろ意識的に作り分けをしている様に感じますね。もちろん葡萄そのものの影響もあるのだと思いますが。
予想ですけどね。



■醸造について
基本的に醸造に関してはキュヴェ毎に大きな違いは無くどちらかといえば畑仕事や樹齢などが大きく影響しているように見受けられます。
醸造でいうならば過度な抽出は行わない点と、各々若干異なる新樽比率ですね。
新樽比率はシャンベルタン、シャンベルタン クロ ド ベーズは100%、クロ サン ジャックは70%、他は35%となっているようです。
これは露骨にワインに現れていて、シャンベルタンとクロ サン ジャックはローストした香りがしっかりと感じられます。他のワインでも樽の香りは感じられますが、この2本のキュヴェほどではありません。ただクロ サン ジャックも6年ほどすると大分樽香も落ち着く様ですね。


■総評
ひたすら長くなり大変申し訳ありません。
アルマンルソーのワインはテロワールをよく再現していますね。
特にリュショット、マジの微細な違いやそれぞれの特徴を私の様な素人でも、はっきりと感じ取れるくらいにしっかりと表されていると感じました。
故に幾つかのワインは一見ドライにも感じられるものもありましたが、時間を置くとその姿をハッキリと捉える事が出来ると思います。
熟成すれば、ひょっとしたらもっと素晴らしいかもしれませんね。
いつか機会があれば、20年以上熟成したワインも比較して見たいと思いました。

長い文章になりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

【ブルゴーニュ:19】アルマンルソー2010年水平テイスティング:破


こんにちは。
さて、本日は昨日の続きとなります。
前回は下位キュヴェでしたが、今回は上位キュヴェ。
残念ながらクロ ド ベーズはありませんが、リュショットシャンベルタン、ジュヴレシャンベルタン一級クロ サン ジャック、特級シャンベルタンの3本です。十分に豪華ですね!

では引き続き行ってみましょう。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: リュショット シャンベルタン グランクリュ クロ ド ラ リュショット 2010

約25000円、WA90-93pt(2009)
外観は澄んだ中庸なルビー、粘性は高い。
この中では特に瑞々しく冷ややかな印象を受ける。村名やクロドラロッシュにも瑞々しさがあるが、よりこちらは硬質で、酸が際立っている。ブラックベリーとスモモの太い果実味がある。冷たい印象でありながらミルクティーやローズヒップの様なベリー系の旨味が早くも現れる。時間が経つと急激に花の蜜の様な瑞々しい甘露さが現れる。スミレや薔薇の華やかな香り、タイム、グローヴ、松の木。花や自然の香りが突出している。
物凄いエレガントな香りを放っている。野生的な感じは全くしない、折り目正しい印象。お香、シナモン、モカなど。
徐々に盛り上がってくる印象の特急。村名同様綺麗な旨味が酸味に乗ってくる。この丸み。タンニンこそやや村名と比べると強いが、凄まじく綺麗でスベスベした感じ。ベリーと茎の風味が口の中に広がる。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ クロ サン ジャック 2010

約29000円、WA91-94pt(2009)
外観は澄んだ中庸なルビー、粘性は高い。
村名と比べるとより目の詰まった凝縮感のある果実味が感じられる。ややミネラルも。
方向性としては分厚い黒系果実、ブラックベリーやプラムのジャムの様な甘露な風味が感じられる。オレンジ、薔薇やスミレの様な清涼感のある風味が漂ってくる。
スミレやミルクティーやローズヒップ、ドライハーブ、野生的な熟成肉の様な旨味、僅かに茎、五香粉、タイム、グローヴなど。シャンベルタン程樽は感じない。清涼感を感じさせつつ、非常に自然を感じさせる豊かな香り。
口に含むと綺麗な旨味を感じるが、やはり酸味とタンニンは突出している。酸味と同時にうまみがくる。若干果皮のニュアンスが強いか。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: シャンベルタン グランクリュ 2010

約40000円、WA94-96pt(2009)
外観は澄んだ中庸なルビー、粘性は高い。
クロサンジャックと比べてより果皮成分が強く硬い印象を受ける。
濃厚なブラックベリーやダークチェリーの風味。こちらは樽が強いのか、よりシナモンやバニラや糖蜜の香りが強く現れている。新樽比率の高さか。徐々にその大きな規模感が現れてくる。徐々にこちらもオレンジの風味を感じ取る事が出来る。
徐々に謎めいた雰囲気が現れる。強烈なスミレと薔薇の風味、そしてミネラル感。ドライハーブ、ローズヒップ、燻製肉、樽の五香粉、グローヴ、モカなど。非常に複雑で、時間によって大きく姿を変える。
口に含むと丸みを帯びた旨味はあるが、やや酸とタンニンが際立っている。村名と比べるとまだバランスは取れていないが、凝縮したベリー系の旨味が口の中で炸裂する。お見事!
今年のシャンベルタンは近づき易かったと思う。


リュショットもシャルム同様ドライで華やかな印象で硬質。徐々に花の蜜の様な澄んだ甘露さが現れるが、この特級畑の特徴はむしろその質感と強烈な旨味。濃密というより繊細かつ目が細かいタッチ。そしてブラックベリーやスモモの風味に起因する卓抜した旨味が特徴的。ある意味シャンベルタン、クロ サン ジャックの対局に位置する特級で、マジシャンベルタンやシャルムシャンベルタンの上位互換的な要素が強い。(但しシャルムは一定時間置くと前者に近づいて行く)
これは熟成後の方向性を決定する重要なファクターなのかなと思います。

そして一級クロ サン ジャック。目下アルマンルソー保有の畑の中でトップ3に入るであろう一級畑。これはマジ、シャルム、リュショットの3つとは決定的に方向性が異なる。
ブラックベリーやプラムの分厚いジャムの様な果実味、強烈な凝縮感、オレンジの清涼感。ミルクティーの様な滑らかさ、複雑さがある。
今までの特級と比べてタンニンは突出している。果皮のニュアンスが強い為、比較的抽出はしっかりと行っているんじゃないかな、と思います。
濃密さや甘露さを強く感じられるワイン。村名の果実味の厚さを太くした印象。堅牢さはあるものの他のキュヴェと比べて他の要素が突出している為、さほど目立たないと思います。シャンベルタンの弟分といった感じがします。

最後は特級シャンベルタン。
ジュヴレシャンベルタンで最も偉大な畑。アルマンルソー最高のワインです。
方向性は概ねクロ サン ジャックと近く濃密なスタイル。抽出が強いのか、はたまたは果実の力なのか、それとも両方なのかは分かりませんが、より硬く、力強く途轍もない密度と質量のワイン。
クロ サン ジャックと比較して抽出はより強く、ブラックベリーやダークチェリーの濃密な果実味と、より熟成を視野にいれた香ばしい樽香の存在、より鮮明になった花の香りとミネラル感。
クロ サン ジャックを大きくした規模感を同じ容積に詰め込んだ様な凝縮された質量を感じる。
故に簡単には開いていかない、2009年に比べると比較的近づきやすさを感じるものの、やはり第一印象としては一側面しか見せてくれない。そして他のワインと比べて時間軸があり、可否成分に由縁する堅牢で冷たい印象を受ける華やかな面から、急激に甘露な黒系果実の風味が現れ、五香粉やグローヴ、モカなどの風味に切り替わっていく。ドラスティックな変化を感じることが出来ます。故に香りの大きさだけではなく、その大きな変化が規模感といったところでしょうか。

さて、今回の3本を振り分けて見るとこんな感じです。

■中間
村名

■冷涼、ドライ、堅牢
シャルム シャンベルタン
マジ シャンベルタン

■リッチ、甘露、堅牢
クロ ド ラ ロッシュ
クロ サン ジャック
シャンベルタン

次回は各ヴィンテージ、テロワールごとに比較していきます。





【ブルゴーニュ:18】アルマンルソー2010年水平テイスティング:序



こんにちは。
本日はアルマンルソー2010年の一括レビューです。
村名ジュヴレシャンベルタン、特級クロ ド ラ ロッシュ、特級シャルムシャンベルタン、特級マジシャンベルタン、特級リュショットシャンベルタン、一級 クロ サン ジャック、そして特級シャンベルタン。
すごいですね...!メチャクチャ豪華ですね...!こう並べて眺めてみると本当に圧巻です。しかも好きな生産者だけになんかもう...!

偉大な生産者を多く抱えるジュヴレシャンベルタンですが、その代名詞とも言える5人の生産者が居ます。デュガ ピィ、クロード デュガ、フーリエ、ドニ モルテ、そしてアルマンルソー。
いずれもブルゴーニュを代表する生産者で個性豊かな極めて高品質なワインを生み出します。
とりわけ評価が高くファンが多いのが、アルマンルソー。彼の作るシャンベルタン、シャンベルタン クロ ド ベーズ、1級クロ サン ジャックはまさに別格。ブルゴーニュでも群を抜いた偉大なワインとされています。ルーミエ程では無いにせよ、旗艦銘柄は瞬殺です。
葡萄の平均樹齢45年以上。ただでさえ収量の少ない古木。かつ収量を25hl/haにまで絞った葡萄はリュットレゾネに則って栽培、熟したタイミングでやや早めに収穫されます。除梗は90%程度行われ低温浸漬を経て、アルコール発酵が行われます。ピジャージュは1日2回程度。キュヴェゾンは20日間。その後シャンベルタン、クロ ド ベーズ、クロ サン ジャックが100%新樽、その他の特級は80%新樽で20ヶ月程度の熟成を経たのち軽く濾過、卵白での清澄を行ったのち瓶詰めされます。

今回は銘柄数も多いので、下位クラスのテイスティングコメント、上位クラスのテイスティングコメント、比較コメントの3回に分けてレポートしたいと思います。
今回は村名と下位を固める特級畑3種をレポートします。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン 2010

約10000円、WA87-89pt(2009)
外観は澄んだ中庸なルビー、粘性は高い。
瑞々しいブラックベリーやダークチェリーなどの黒系果実の甘露な香りが感じられる。
ミルクティーの風味。落ち着いた薔薇やスミレの華やかさ、シナモン、グローヴ、タイム。ワッフルなどの風味も。
流石に他のキュヴェと比べるとシンプルだが、アルマンルソーを感じさせる最低限の要素は備えている。
酸味がもう凄く心地よく、旨味と一緒に綺麗に舌の上を駆け抜けていく。強烈な果実と糖蜜の甘露さ。タンニンも心地よく、非常に一塊となった丸みを感じさせる。よく出来た村名。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: シャルム シャンベルタン グランクリュ 2010

約18000円、WA91-93pt(2009)
外観は澄んだ中庸なルビー、粘性は高い。
印象としては村名より密度が高く、強烈な旨味が落ち着いたリュショットと言った感じ。ブラックベリー、ダークチェリーの果実味。ミルクティーなどの風味が感じられる。やや強めの樽を感じる。コーヒーや五香粉、僅かにオレンジの清涼感や濃厚なシロップの甘みを感じる。薔薇や茎の風味も。やや野生的で燻製肉の風味も感じられる。シャンピニオン。紅茶など。
やや酸味が際立っているが、そこに乗ってくる旨味と甘みがとてもいい。タンニンは滑らかなタッチ。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: マジ シャンベルタン グランクリュ 2010

約19000円、WA91-94pt(2009)
外観は澄んだ中庸なルビー、粘性は高い。
クロドラロッシュと近いタイプと思いきや、やや果実味が落ちたリュショットと言った感じ。この中ではパッとしない味わい。ダークチェリーやアメリカンチェリーの瑞々しい果実味が感じられる。ミルクティー、若葉、井草、スミレの香り、やや青さが感じられる。なめし革、白マッシュルーム、シナモンなど。
液体密度は高いが甘みが薄い、伸びてこない。香りに不足を感じる。
酸味と旨味の綺麗な質感は他のワイン通り感じるもの、酸味が際立つ感じ。バランスの若干の悪さを感じる。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: クロ ド ラ ロッシュ グランクリュ 2010

約20000円、WA91-94pt(2009)
外観は澄んだ中庸なルビー、粘性は高い。
現状で最もバランスが良い。村名の瑞々しさにブラックベリー、プラムの甘い果実味が乗っていく。徐々にシロップやシナモンの風味が現れてくる。感覚としてはマジの上位互換的な味わい。とても甘露でスパイシー。ドライハーブやミルクティーや茎の様な香りが主体となる。スミレの華やかさはリュショット以上のキュベと比べるとやや控えめ。ややトリュフ、土っぽい。ローリエ、グローヴ、糖蜜を付けたパンケーキ。
こちらも非常に旨味と酸味が綺麗に一体化している。やや口当たりとしてはドライだが、タンニンも穏やかでベリー系の旨味の綺麗に味わいが広がって行く。


いや、もう、本当素晴らしい。
とりあえず下位部分だけ見ても大変素晴らしい。
上位と比較するとどうしても劣る部分はあるにせよ、それでもこれだけグッと来るものがあるのはアルマンルソーならではだと思います。

ちょっと驚きなのは村名がかなりいいという事です。
構造は他のワインと比べるとシンプルながらアルマンルソーらしい甘露で瑞々しい印象を受けますね。
密度や甘みの伸びは他のキュヴェと比較するとちょっと厳しいですが、価格を考慮すると十分すぎる品質だと思いますね。
対して特級クラスはローレンジとはいえ、流石にジュヴレシャンベルタン的な堅牢な姿を強く感じ取る事が出来ます。

シャルムシャンベルタンは最初はかなり冷ややかな印象を受けました。
リュショットに近いが、強烈な旨味を放つリュショットに対して、わずかに旨味の出方で劣る。エレガントなスタイル。やや樽は強めに感じる。
しかし後半から凄まじい甘みの伸びを見せはじめ、シロップやブラックベリーの自然な甘露さが現れてくる。
全体的に見ると密度は低めに見えるが、村名とは比べものにならない。
しっかりとしたポテンシャルが感じられる、いい特級畑だと思った。

そしてマジシャンベルタン。こいつがちょっと曲者で、最初こそベリーやシナモンの風味がしっかりと現れているのだけど、最終的に発露する甘露さはこの中では最も低く、やや青い風味が過剰に感じられる。
密度はシャルム以上でまずまず及第点だと思うのだけど、伸び代は少なく、酸味が際立ちバランスがやや悪く感じる。最初の瞬間最大風速は申し分ないのだけど、ちょっと継続性の無い特級畑かなと思われます。

そして最後はクロ ド ラ ロッシュ。
恐らく4本の中で最も現状でバランスが良くレベルの高いワイン。
瑞々しい黒系果実にシロップやシナモンの甘露な風味が乗ってくる。
華やかさはやや抑え気味ですがスパイシーて甘露な特徴を持ちます。
ただ甘露な香りに反して口当たりはドライで冷涼な雰囲気を感じられました。
さて全体的に今回のを分類するとこんな感じでしょうか。

■中間
村名

■冷涼、ドライ、堅牢
シャルム シャンベルタン
マジ シャンベルタン

■リッチ、甘露、堅牢
クロ ド ラ ロッシュ

次回はこれに対して上位キュべも振って行こうかなと思います。




【ブルゴーニュ:17】絢爛なる神々の宴、ルフレーヴ特級3種類を利く



こんばんわ。
本日はブルゴーニュのシャルドネ。ルフレーヴのビアンヴニュ バタール モンラッシェ、バタール モンラッシェ、シュヴァリエ モンラッシェの特級3種類です。

ルフレーヴは言わずと知れた、世界で最も偉大なシャルドネの生産者。
フラッグシップの特級モンラッシェ、特級シュヴァリエモンラッシェ、特級バタールモンラッシェはさながらシャルドネの王たる風格と威厳を漂わせる。厳密なビオディナミ、収穫用具の醸造設備の徹底したクリーン化を推進している。1997年より全面的に採用されたビオディナミにより栽培された葡萄を、手摘みで収穫しプレス後2週間のアルコール発酵を行う。その後バドナージュをしながら12ヶ月の樽熟成を行う。新樽比率は特級でも25%と抑え気味。樽はフランソワフレール社のものを採用。
樽内熟成後、ステンレスタンクでさらに6ヶ月熟成を行い瓶詰めしています。


生産者: ドメーヌ ルフレーヴ
銘柄: バタール モンラッシェ グランクリュ 2005

69000円、WA94pt
外観は澄んだストローイエロー、粘性は中庸。
ボディの厚みがまだまだ若々しいがとても濃厚で甘露な風味が溢れ出ている。核種系の蜜やバタークリーム、バニラの風味と洋梨やライチなどの太い果実味が感じられる。ちょっと日本酒の様な風味も。 後半急激に伸びていく。
ちょっと酸味を伴う洋梨やライチ、シロップの若々しい果実味が綺麗に伸びていく。フレッシュハーブ、杏仁豆腐、ヘーゼルナッツの風味が現れる。
酸味は柔らかく滑らか。舌の上で転がる様な丸みを帯びている。口の中で出汁の旨味やオイル、カリンの様なアフターが長く続く。
こちらも抜栓以降時間を経て開く。開いたあとのフルーティーで澄んだ甘露さは突出している。


生産者: ドメーヌ ルフレーヴ
銘柄: ビアンヴニュ バタール モンラッシェ グランクリュ 2000

54600円、WA92-93pt
外観は澄んだストローイエロー、粘性は中庸。
最初は還元的な香りが出ていた。
オイリーでミネラル感が非常に強い。蜜の香りが強いミネラルに覆い隠されている気がする。キノコやヘーゼルナッツ、バターの様な香りが強い。未だとても硬い状態ではあるが、その奥底に潜む膨大な要素が感じられる。そしてカリンや洋梨など核種系の果実味、白胡椒や白い花、ドライハーブ、青草など。ミネラル感と果実味、ハーブのバランスがとても良い。
こちらはバタールと比べると若干酸味がある様に感じられるが、十分すぎるほど丸い。香りはまだ閉じているが口に含むと綺麗な酸味と共に旨味とほのかなシロップの様な甘さが口の中に広がる。
クリスピーで余韻は長い。後半爆発的に伸びていく。凄まじい甘露さ、複雑さ。キラキラとする様な鋭い甘み。黄金飴の様。素晴らしい。余韻も美しい。


生産者: ドメーヌ ルフレーヴ
銘柄: シュヴァリエ モンラッシェ グランクリュ 1989

115500円、WA95pt
外観は澄んだストローイエロー、粘性は中庸。
驚くべき官能的な古酒。
出汁の様な凝縮した旨味と酸味を伴いながら、モカ、シナモンや濃厚な花の蜜、バニラ、バタークリームの様なクリスピーでローステッドな風味がある。シャンピニオンや柔らかなミネラルが感じられる。
そしてしっかりとした洋梨やカリンの様な果実味、ドライハーブ、塩で炒ったノワゼットなど。
どんどん香りが開いていき複雑な要素が次々と現れる。
酸はとても丸みがあり蕩ける様に柔らか。出汁の様な濃厚な旨味と酸味、そして洋梨やバターの余韻が広がっていく。素晴らしい。
ボディはしっかりとしているのに柔らかい。


さて、ドメーヌ ルフレーヴの特級畑3本です。そもそもバタールやビアンヴニュもなかなか飲む機会が無いワインですが、今回はさらにシュヴァリエがあります。
ヴィンテージは異なりますが、丁寧に追って行こうと思います。
まずこの3本はとても澄んだ果実味が特徴的です。2005年のバタール以外は比較的酸も落ち着いているのですが、特段バターやナッツの風味は抑え気味で、突出した果実味が感じられます。均整の取れた素晴らしいバランスのワインでした。

さて所感と致しましては2005年のバタールはやはりまだかなりの硬さを残しています。30分程度で開き始めますが、まだ無理をしている様な開き方で、シュヴァリエの様な全てが溶け込んだ様な甘露さはありません。
酸味を感じる太い果実味とともにバタークリームやバニラの芳香が現れてきます。ミネラルは液面を覆う様にしっかりと漲っており、かなり解れてくるまで時間を要しました。熟成のニュアンスは殆ど現れておらず、非常に若々しい味わいを保っていると思いました。

次にビアンヴニュ バタール モンラッシェですが、こちらは開くまでかなりの時間を要しました。
当初はかなりミネラル感とオイリーな香りが主体で蜜の香りがどうにも隠れてしまっている、いわゆる途轍もなく硬いシャルドネという印象。徐々にキノコやバター、ナッツの香りは現れるものの、酸味がとても強く、清涼感のあるハーブの香りがあいまって依然として冷涼な雰囲気を醸し出しています。ところが50分程度じっくりと待つとその本質がむき出しになります。
黄金飴の様な煌びやかでピュアな甘みとクリスピーな風味、旨味が急激に立ち上がってきます。
その抑揚は3本の中で最も劇的でドラスティック。酸味、旨味、甘露さの波状攻撃が極めて美しい。シュヴァリエが渾然一体と一体となった姿であれば、ビアンヴニュは波状攻撃。とてもバタールに対してテロワールで劣っているとは思えない鋭角的な味わいでした。

そして最後、シュヴァリエモンラッシェ。目下ルフレーヴのワインの中で庶民が味わえる最高峰のグレードでしょう。モンラッシェはそもそも市場に出回りませんからね。シュヴァリエでも大変貴重な機会だと思います。高いし。これがもう本当に素晴らしかったです。強烈なミネラルと酸味はその分相当な旨味に転化しているし、甘露なバニラやバタークリームの様な濃厚な風味もある。果実味も旨味が乗って塩を振った様な果実の風味が感じられる。当然その分、酸やミネラルは大分穏やかになっている様に感じる。すべての要素が渾然一体となって溶け込んでいる。蕩ける様な味わいのシャルドネだけど、ボディはちゃんと感じられる。まだ熟成が出来そう。3本の中では最も調和が取れていると思います。すべてが溶け込んだ丸みを感じさせる一本です。

さて、3本を比較していくと、まず大きな違いとしてヴィンテージが挙げられると思います。
2005年、2000年、1989年ということでまずヴィンテージを考慮する必要があるので、まずそこを見ていくと、品質自体には大きな差異は無い様です。なので、ここで見るのは経年による変化とテロワールの特性で良いのではないかと思っています。
まず経年変化でいうと、やはり経年8年はミネラルと強めに酸味が主体となり、とても閉じている雰囲気がありました。無論時間が経過すれば一定の果実味を感じさせてくれますし、清涼感もあるので十分完成度は高いと思われますが、まだ本質ではありません。
13年になると幾分は解れてきますが、やはり主体は強いミネラル感と酸味ですね。ただ一部ミネラル感(オイル、石)と酸味が旨味に転化しており、香ばしいクリスピーな風味(塩バターやナッツなど)が、明確となった強烈な甘みと共に立ち上がってきます。解けるのに時間はかかりますが、その分ミネラルと酸味から来る旨味と、残存する酸味、そしていい感じに解けた黄金飴の様な甘露さのバランスがとてもいい。
そして24年は経過すると、かなり液面は落ち着き、ミネラルも酸も果実味に併合されており、剣の立った部分はかなり薄れ、旨味と甘みに樽の風味が溶け込んだ液体になっています。
ルフレーヴの非常に優れた所は完全に熟成を経なくても、局面局面でキチンと美味いという事ですね。
最も硬いバタールですら、時間さえ置けば十二分に美味しく頂けますからね。当然ながらブルゴーニュのシャルドネによくある、香りは立派なんだけどボディはスカスカなんて事は当然全く無く(世界最高峰のシャルドネですから当たり前ですね)、グラス内の変化を受け止めるだけの度量があります。
なので少なくとも10年以上は熟成させるのは当然望ましいですが、まあ、若くして開けても程々は美味いしポテンシャルは感じる事が出来ると思います。

次にテロワールです。

※ラックさんの地図です。(http://www.luc-corp.co.jp/map/tabid/58/Default.aspx)
バタールはモンラッシェの丘の下部に位置し豊満でボディが厚い特徴を持ちます。またビアンヴニュはバタールと特徴は似ていますが、やや早めに開きます。シュヴァリエは他のグランクリュと比較して石灰の含有量が多く、高い標高から産出される為、やや硬く冷ややかなタッチを感じさせる風味が強く出ます。

その点、極めてテロワールに則した作りですね。シュヴァリエは旨味に満ちていましたし、バタールは強烈なボディの厚みを持っています(豊満というよりはシャープではありますが)、ビアンヴニュは順当な熟成を経ているかな、と思いました。
以上、極めて長い所感になりましたが、どのグランクリュも「さすが!」と唸ってしまう様なものばかりでした。この最高峰の生産者の技巧に少し理解が深まった様な気がします。


バタール・モンラッシェ[2005]ルフレーヴ

バタール・モンラッシェ[2005]ルフレーヴ
価格:39,800円(税込、送料込)


【ブルゴーニュ:16】オリヴィエ バーンスタイン2008年特級畑水平テイスティング

こんにちは。
今日はブルゴーニュの新鋭、オリヴィエ バーンスタインの特級3種の水平です。

オリヴィエバーンスタインは2002年に設立したネゴシアン。近年取り分け高い評価を得ている生産者です。
オリヴィエは基本的にネゴシアンとして信頼出来る栽培家から葡萄を購入して自身で醸造を行っています。
収穫時の選別、醸造所での選別を経た葡萄は除梗50%を行った後、5日の低温浸漬を行います。30~31℃を維持しながら8日間のアルコール発酵。その後2,3日発酵後浸漬を行います。ピジャージュ、ルモンタージュは行いません。
シャサンの新樽(バリック)へと移し、16ヶ月の熟成を行う。
清張は葡萄の出来が良い場合は行いません。

さて、価格はかなりのものですが、品質はどうでしょうか?

生産者: オリヴィエ バーンスタイン
銘柄: クロ ド ラ ロッシュ グランクリュ 2008

24000円、WA93pt(2007)
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
五香粉やクローヴなど最初こそ頑なだったが、徐々にその甘露な風味が現れてくる。糖度の高いブラックベリーやチェリーリキュール、煮詰めたシロップ、なめし皮など。スミレ、タバコっぽさ、樹皮、ユーカリ、やや茎っぽさ。シナモン、ハチミツなど。
口の中に含むとやや際立った酸味としっかりとしたタンニンは感じられるものの質感はかなり良い、滑らかでベリー系の旨味がジワッと広がる。
最も早く開き始め、その甘露な姿を垣間見せる。


生産者: オリヴィエ バーンスタイン
銘柄: クロ ヴージョ グランクリュ 2008
24000円、WA-pt

外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
より樽が効いていてより華やかな作り。オレンジやダークチェリー、ブルーベリーの清涼感のある香り、他のキュヴェと比べると落ち着いているが五香粉、コーヒー、オリエンタルなインセンスのニュアンスもある。
徐々に香ばしいトーストの香りと共にベリー系の糖度の高い甘みが現れる。こちらも徐々にシロップの様な甘露さが現れる。全体的に見てとても華やか。スミレや薔薇のアロマオイル、茎や若い葉、リコリス、なめし皮、紅茶、唐辛子など。
酸味とタンニンはロッシュと同等かそれ以下。だが溢れる旨味はそれ以上。キュッと引き締まった酸味があるベリーの果実味が旨味を伴って滑らかに流れていく。
クロドラロッシュの次に開くが、若干時間はかかる。ただその間も華やかな香りは放ち続ける。変化を楽しめるクロヴージョ。


生産者: オリヴィエ バーンスタイン
銘柄: マジ シャンベルタン グランクリュ 2008

26000円、WA92pt(2007)
方向性はクロ ド ラ ロッシュと同様だがより硬く引き締まった香り。五香粉やクローヴ、コーヒーの香り。ブラックベリーやダークチェリー、やや野性味を感じる燻製肉。スミレの華やかさ。
コント リジェベレールやクロード デュガなどのスタイルに極めて近い。徐々に糖蜜の様な香りが現れるが、まだ樽香りが主体。この中では最もボディが強固。
その分内包する旨味はロッシュを軽く超越した。
酸味はロッシュと比べるとかなり際立っているし、タンニンも強い。ただベリーをそのまま噛む様な分厚い果実の旨味がリアルに感じられる。ギュッとした凝縮感の感じられる味わい。


どれも卓抜したグランクリュでしたが個人的な感覚としてはマジシャンベルタン>クロ ド ラ ロッシュ>クロ ヴージョと言った感じ。ただ、基本的にはその部分は好みで人によりけりなのかな、と思いました。
全体的に言うとかなり樽の香りが強めに効いていますが、併せて清涼感があり、綺麗な作りになっています。
どこか突出したバランスの悪さはあまり感じませんね。ただ若いというのもありちょっと硬い印象は受けます。特にマジシャンベルタン。
まず香りの開き始めは最もクロ ド ラ ロッシュが早く、次にクロ ヴージョ...といってもこの2本の間にはかなりスタイルの違いがあります。クロ ヴージョはヴォーヌ ロマネ的なオレンジやベリー、トースト、花の香りなどの清涼感を伴う華やかな風味だし、比較的旨味と酸味に寄っているし、クロ ド ラ ロッシュは甘露な黒系の果実味と豊かなローストした樽の香りが感じられます。
クロ ヴージョも徐々に甘露さは現れますが、ロッシュほど力強くは無いですね、クロ ヴージョはエレガントで変化に富んでいます。
マジシャンベルタンはこの中だと別格と言っていいでしょう。
現段階ではもっとも樽香が強く、堅牢で引き締まっている。内包する密度や旨味も随一です。その部分でいうと圧倒的ですね。ただ開き始めるタイミングはその分非常に遅く、ものの30分やそこらでは全くそのポテンシャルを発揮しません。とてつもないヴァンドガルド。そういう意味でいうと現段階で飲むのはオススメできませんね。
微かに甘露さを感じる部分はあるものの、その点でいうならば、まだロッシュの方が現段階では強いと思います。
そもそもリュショットほどではないにせよマジシャンベルタンは冷涼な気候の影響を受ける為堅牢なスタイルになりますが、例に漏れず、非常に硬い味わいになっていたと思います。

なかなかしっかりした作りのネゴスワインだと思いました。テロワールもちゃんと感じられましたし、こういう生産者が新鋭なのはとても心強いですね!



【ブルゴーニュ:15】フィリップパカレ2011年特級水平テイスティング

こんにちは。
本日はブルゴーニュ自然派の代表格、フィリップパカレです。

自然派の生産者は数多いますが、ブルゴーニュといえばなんといってもフィリップ パカレだと思います。
マルセル ラピエールの甥で、若い頃はプリューレ ロックの醸造長を務めていた彼ですが2001年から自身のドメーヌを立ち上げて、高品質なワインを送り出しています。
生産は全てビオディナミによって行われます。農薬や除草剤、化学肥料は使用せず、除梗まで完熟した健全な果実のみを使用します。
発酵は自然酵母を使用して行われ、醸造中でのルモンタージュ、温度管理は行われません。アルコール発酵及びマロラクティック発酵は木樽(新樽比率は低めです)にて行われ、澱引きをせず熟成を行います。SO2(二酸化硫黄)は添加しません。保有している特級畑はシャンベルタン クロ ド ベーズ、リュショットシャンベルタン、エシェゾー、コルトン シャルルマーニュです。


生産者: フィリップ パカレ
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2011

約20000円、WA92-94pt
外観は濃いルビー、粘性は高め。
綺麗なミネラル感もある。
鼻腔をくすぐる強い花と梅しばの香り。若干奥の方にキャンディ香が見え隠れするものの、基本的には濃密で強い薔薇とスミレの香りとラズベリージャムやストロベリーの様な果実味が液面を覆う。タイムや樹皮、リコリス、茎の様な風味が感じられる。
酸味は柔らかく、タンニンも比較的穏やか。丸みを感じる味わい。
分厚い果実味と紫スモモなどのフルーツ系の旨味に覆われている。
あくまで澄んだ伸びやかな味わいを感じられるものの果実が醸し出すボディの厚さはルーミエにも近い。
全房発酵の中でもかなり完成された味わいだと思う。


生産者: フィリップ パカレ
銘柄: リュショット シャンベルタン グランクリュ 2011
約25000円、WA94pt(2009)

外観は濃いルビー、粘性は中庸。
エシェゾーと比べると骨格と外観共に冷ややかで硬質な風味を感じる。
比較的強いミネラル感と、分厚い薔薇やスミレや樹皮、酸味の強いラズベリーやダークチェリーの様な風味が主体となる。
エシェゾーにも見られたキャンディ香は変わらず感じるが、外側を覆う要素が強すぎてより目立たなくなっている。
エシェゾーほどでは無いにせよ、リコリスやタイム、茎のスパイシーな風味を感じ取る事が出来る。
熟成した生ハムの様な香りも。
タンニンは穏やかながら、酸味はやや際立ち、香りの硬質な印象を際立たせている。
こちらも際立った旨味が特徴的で厚みのあるスモモの様な果実味が感じられる。素晴らしい。


全体的に非常にビオっぽいというか全房発酵の要素が感じられますね。
あと厚い果実味の奥にキャンディ香など、これは多分極端に若いからかもしれませんが。若干青い風味や薔薇などの華やかでスパイシーさを感じられるのは全房発酵起因ですね。
そして何よりすごいと思ったのはエシェゾーにもリュショットにも感じられた瑞々しく分厚い果実味。濃いというか果実そのものの風味を強く感じられます。果実味の厚さはさながらルーミエの様。
このえも言われぬ風味がフィリップパカレっぽさなのかもしれませんね。
所謂ビオディナミでありながら酒質の緩さや弱さを一切感じないという。完成されたワインだと思います。
さて、リュショット、エシェゾーそれぞれの違いを書いていきます。
イメージでいうとエシェゾーはとても華やかでジャムの様に厚い赤系の果実味、そして旨味が際立っています。丸みがあり、滑らかなタッチ。
今まで飲んだエシェゾーとは全く異なるのですが、リュショットと対比した時に非常に伸びやかで、極めて華やか。それでいてとてもキャッチーな味わいを感じさせる所は「ああ、エシェゾーだな」と感じさせるものになっています。
対してリュショットはミネラル感とやや酸味が際立っており、それに硬質な黒系果実の厚い風味が感じられます。
タッチや香りが極めて硬く堅牢。
こちらも今まで飲んだリュショットと比べてイメージは異なりますが、彼のエシェゾーと比べると、とてもジュヴレシャンベルタンのグランクリュっぽい味わいだと思います。
カチッとしてるんですよね、ちょっと飲みにくい部分(と言っても、現状でも十分に美味いですけど)はあるのだけども熟成のポテンシャルはとても高い。
いわゆるヴァンドガルドなワインだと思います。
これらを見るに大まかに村が与えるイメージと合致していますね。
エシェゾーはヴォーヌロマネっぽいし、リュショットはすごくジュヴレシャンベルタンっぽい。テロワールを尊重した素晴らしいワインでした。
なおプリューレロックとの共通点はあるといえばありますが、どちらかというとプリューレロックはDRCっぽさがある様な気がしますね。
フィリップパカレはもっと清濁併せ呑んだ雑っぽさがある様な気がします。
悪い意味ではなくて、より果実とその梗、酵母を尊重している様な気がします。

人によってはこのパカレっぽさ、ビオっぽさがダメという人も結構いるみたいですが、個人的にはとても好きなタイプですね。
プリューレロックもDRCも好きですが、パカレのこのスタイルも個人的に凄くハマりますね。
うーん、割と全房発酵のワイン、好きなのかも。デュジャックとか...




【ブルゴーニュ:14】ドメーヌローラン、ドミニクローラン同一生産者別ブランドの圧倒的差異を利く

こんにちわ。
本日はドミニクローラン、ドメーヌローランのエシェゾーです。
そもそもネゴス部分から先に評価されたドミニクローランですが、近年ドメーヌ部門を彼の息子と共に設立しています。通常ネゴスとドメーヌ、方向性としては同一の方向に行くのがベーシックな流れだと思いますが...これは...

ドミニクローランは元々お菓子職人で、本職を投げ捨てて1988年からワインの世界に入り始めました。
当初から非常に高品質のワインを作っていることで評価は高かったのですが、新樽に拘りすぎたが故にテロワールを尊重していない、ギイアッカの影響下にあった等と、まぁ賛否両論があります。しかしながら樽へのこだわりは相当なもので、自身で理想とする樽を作る為に板材の選定から生産まで行ない、しかもそれを他のドメーヌや外国に販売している。ネゴシアンなのでワイン自体は樽ごと他の生産者のものを買い付けるのですが、その購入条件は「古木から作られた葡萄を手積みした」生産者のもののみと徹底しています。更に自身の樽に詰め替える事で、このドミニクローラン節を作り出しています。
次に彼とその息子のジャンが指揮するドメーヌ ローラン ペール エ フィス。
この特級畑はエジュラン・ジャイエから譲り受けたものでエシェゾーは小区画アンオルヴォーの単一小区画(0.26ha)のワインとなります。2006年が初ヴィンテージ。
ドメーヌでは新樽比率を抑えたエレガントなワイン造りを行っています。栽培はビオディナミを用い、栽培した葡萄は除梗せず、アルコール発酵に回します。SO2は瓶詰め時にわずかに用いる程度、補糖なし等。より自然な造りを心がけているようです。
ちなみに新樽に拘らなくなった理由として、理想とする樽を自身で作り出す事に成功しているから、という話もあります。

さて、どうでしょうか。


生産者:ドミニク ローラン
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2010

12000円、WA92-93pt(2008)
外観は圧倒的にドミニクが濃いルビー色をしている。粘性も高い。
非常にローステッドな香り。ともすればボルドーの様な炒ったカカオやコーヒー、バニラの様な濃厚な樽香。抽出も強い。
ブラックベリーやプラムの様な果実味が感じられる。シロップの様な甘露さも。
黒糖の様な凄まじい甘露さ。ナパバレーの過熟ピノを想起させる。薔薇の華やかさ、トリュフなどの土っぽさ、燻製肉、グローヴなど。いやしかし凄いローステッドだな...
酸もタンニンも際立っている。
パワフルなボディで口に含むと華やかな薔薇とブラックベリーの果皮のニュアンスが感じ取れる。アフターはとても長い。


生産者: ドメーヌローラン
銘柄: エシェゾー アン オルヴォー グランクリュ 2010

12000円
ドミニクと比べるとかなり淡いルビーだが、粘性は高い。
いかにも全房発行といった感じの香り。複雑でありながら瑞々しい。
瑞々しさが際立っており、甘露なアメリカンチェリーやクランベリー、ラズベリーの赤い果実の溌剌とした果実味が感じられる。徐々にキャンディの様な、ベリー類のほのかな甘さが現れてくる。
まるでデュジャックのグランクリュの様な瑞々しいジャムの様な風味が感じられる。薔薇や茎、若葉、タイムのやや青っぽいニュアンス。なめし革やクルミなど。
樽のニュアンスはあまり感じられない。
酸は溌剌としており、タンニンは落ち着いている。梅しばなどの甘酸っぱい果実の風味。非常に澄んだ心地よい味わい。


同一生産者が手を加え、ほぼ同じ畑を使っているのにも関わらず、全然違いますねー。ドミニクの濃厚さ、リッチさ。ドメーヌの繊細さ、エレガントさ。どっちも素晴らしく、どっちもとても美味い。
前提としてドミニクは樽ごと買っており、ドメーヌは栽培から醸造まで一貫して行っているという事を考えると、ドメーヌが本来やりたいスタイルなんだろうな、というのが良く分かります。
樽ごと購入し、後に自社樽に詰め替えて熟成しているドミニクローランのワインは濃厚です。感覚としては古木に起因するプラムやブラックベリーの甘露さ、そして新樽に由縁するコーヒーやバニラの濃厚な樽香が感じられます。(といっても最近は少なくなったそうですが...本当に?)
そもそものバルクワインを更に樽熟成させるという時点で既に新樽比率は高いか...(ソノマではなく)ナパヴァレーの超濃厚なピノノワールを想起させる作りですね。畑ごとにこのスタイルで飲み比べてみないと分かりませんが、はたしてこれはエシェゾーといえるのか...という感じはしますね。
対するドメーヌローランは真反対。
さながらデュジャックやDRCに代表される全房発酵のニュアンスが良く出た瑞々しいスタイルです。
黒系果実の風味と樽を強く感じられたネゴスに比べて、こちらは赤系果実の瑞々しい果実味と豊かな旨味、そしてタイムやクローヴやハーブ、スパイスなどの全房発酵に由縁する複雑さが強く感じられます。またしっかりとしたミネラル感もあります。
伸びやかな酸や華やかさの感じられる味わいはこれぞエシェゾーだなあと。
ドミニクローランの特濃スタイルに反発するかの様なテロワールを尊重した作りですね。
ドメーヌのビオや全房発酵といった製法を見る限りだと確かにこの味わいになってしかるべきだし、ネゴスの古木のバルクワインを購入して自社樽で熟成させるというスタイルによって濃厚な風味が出るのは納得ですね。

ちなみに私としてはどちらも好きです。値段も同じくらいなので好みによって決めればよろしいのかな、と思います。


【ブルゴーニュ:13】フレデリック エスモナン。3つの特級畑の差異を利く




こんばんは。
今日からはブルゴーニュです。
久々といえば久々ですね、ただ本当に何度飲んでも気付かされる事の多いアペラシオンです。本当に深い。
本日はジュヴレシャンベルタンの生産者、フレデリック エスモナンです。

フレデリックエスモナンは1988年に設立されたドメーヌで、現在はアンドレ エスモナンが栽培、醸造の指揮を取っています。ワイン作り自体は70年よりそれ以前から行われていましたが、例によってそれらのワインは全てルイジャドやルロワ、ジョセフドルーアンに桶売りされていました。
特級はシャンベルタン、クロドベーズ、リュショット、マジに区画を持ちます。
収穫した葡萄は100%除梗の後、4日間の低温浸漬、最高32度の温度で2週間のアルコール発酵を行なう。新樽比率は100%で14ヶ月の熟成を行います。

この生産者、特級にも関わらず一万円札一枚でボトルが手に入ってしまう、コストパフォーマンスが非常に良い。ただ品質が伴わなければ一万円札すら大きい出費ですよね。
さて、どうでしょうか。


生産者:フレデリック エスモナン
銘柄: マジ シャンベルタン グランクリュ 2011

10500円、WA91-93pt(2002)
外観はやや赤みか強いルビー、粘性は高い。
クリュボージョレの様なガメイを感じさせるキャンディ香。スリムでシャープな印象。若い時分のヴォギュエのミュジニーを想起させます。
梅やアメリカンチェリーやラズベリーの溌剌としたキュートな果実味、華やかなスミレのアロマが主体となる。クローヴ、タイム、紅茶、なめし革のニュアンスが主体となる。やや燻製や穀物っぽさも。
全体的に花のアロマとキャンディ香が強く感じられます。
タンニンは柔らかく、酸味は際立っており澄んだ印象を受ける。梅やラズベリーのアフターが口の中に広がる。
ジュヴレシャンベルタンのスタイルとはやや乖離した作り。


生産者:フレデリック エスモナン
銘柄: リュショット シャンベルタン グランクリュ 2011

10500円、WA93-95pt(2002)
外観は赤みが強いルビー、粘性は高い。方向性はクロ ド ベースに近く甘露な味わいに満ちている。
焦がした黒砂糖、ワッフル、シナモン、ドライデーツなどの極めて甘露な風味と、アメリカンチェリーの濃厚な果実味が感じられる。
そして薔薇やスミレの花の香りと、燻製肉、ミルクティー、漢方。ナツメグ、コリアンダーなどのスパイス。
こちらは酸味は柔らかいが、タンニンはやや強め。口の中で黒砂糖とダークチェリーのアフターが広がる。焼き栗の様な甘さを纏う濃厚なピノノワールだ。


生産者:フレデリック エスモナン
銘柄: シャンベルタン クロ ド ベーズ グランクリュ 2011

14700円、WA90-92pt
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
凄く華やかで強烈な果実味が感じられる。色調的にも抽出はかなり強いと思われる。
リュショットの密度を更に高めた様な濃密さ、極めて凝縮した果実味が感じられる。
焦がした黒砂糖やワッフル、シナモン、ドライデーツの濃厚な甘露さ、アメリカンチェリーの凝縮度の高い果実味。そして花の香りもリュショットに対して強く、スミレ、薔薇の華やかなニュアンスが感じられる。
若干ハーブ系の青っぽい風味とトリュフ、グローヴなどの大地香、黒檀などニュアンスが感じられる。
非常に濃厚でパワフルなクロ ド ベーズ。
酸味は柔らかいがタンニンはやや強め。甘露さに満ちたローステッドなキャラメリゼした味わい。
リュショットと比べるとやや旨味が際立っている。


ここでいうとマジシャンベルタンだけ全くの別物ですね。かなり冷涼というか冷たい感触を受けます。
先にも書きましたが、香りはガメイ...というかメチャクチャ若いヴォギュエのワインの香りがします。いわゆるキャンディ香ですね。果実味がやや未熟かなと思います。タンニンは柔らかく酸が際立っており、後述するリュショットやシャンベルタン クロ ド ベーズと比較すると受ける印象が全く違いますね。もっと繊細で細身なワインだと思います。これから熟成していくとどうなるかはわかりませんが...。
ボディはこの中でもっとも細いですが、凝縮感はあるかなと思います。ただジュヴレシャンベルタン的ではなくて、ヴォルネイ的なボディだと思います。赤い果実と清涼感のある風味が特徴的でした。

それに対して、リュショットはまさにジュヴレシャンベルタンの王道的な味わい。しかもかなりレベルの高い作り。未熟感があるマジシャンベルタンに対して、リュショットは黒砂糖の様な甘露な果実味に満ちていて、樽もしっかりと効いています。かなり濃密なタイプですね、抽出も強く外観からして異なっています。香りの要素も黒系果実やMLFに起因する風味が前に出ておりました。
また酸味とタンニンの関係に関しても、マジは酸味が際立っていましたが、リュショットはややタンニンの比重が多いです。逆に酸は穏やか。
甘やかですが、堅牢な雰囲気を放つ、いかにもなジュヴレシャンベルタンだと思いました。

そして最後、クロ ド ベーズ。
この最上級の特級畑の要素や受ける印象はリュショットの上位互換と言った感じ。マジがあまりにも違いすぎるから、というのもあるのですが...
ではリュショットと比較して異なる部分は何かというと、果実の凝縮感、旨味、そして果実の熟度ですかね。構成する要素はほぼ近しいと思います。
堅牢さに関してはリュショットより低く感じます。濃密でありながら滑らかで、中心に引き締まった旨味が詰まっている。
タンニンの酸味に対する比重はリュショットと大きく変わらないと思います。ではリュショットは堅牢でクロ ド ベーズは堅牢さをあまり感じないのは何故なのか。
これは構成する他の要素との関連性にあるのかな、と思います。
クロドベーズの突出した要素として、果実の凝縮感、旨味、果実の熟度がありました。
果実の凝縮感、旨味は内に向かう核を、果実の熟度、甘露さが外向きの広がりを。それらが独立して際立っているので、規模感がちょっと違う様な気がするんですね。
具体的な表現だと甘い香りの広がり方と、口に含んだ時にごく僅かな部分で感じる旨味が大きいから、タンニンが穏やかに感じられると。

うーん、今ひとつマトモに言えてるかは疑問ですが、そんな感じです。
一般的なクロドベーズの印象もそうですよね、シャンベルタンほど堅牢では無いという。

良い悪いは別として極めて極端にテロワールを表現したなあ、と思います。
特にマジシャンベルタンが際立って異質でした。
っていうかコレ本当に同じ生産者?みたいな感じです、はい。
どれも...マジシャンベルタンですら10000円を超える価値があるワインだとは思いました。良く出来てるしコストパフォーマンスがとてもいい。
素晴らしいですね!




【ニュージーランド】NZカルトの可能性、エスカープメントとドライリヴァーの偉大な赤白

こんばんわ。
本日はニュージーランドのカルトワインを幾つか。
ドライリヴァーのシャルドネ、ピノノワール、エスカープメントのピノノワール クペの3本です。

ドライリヴァーはマーティンボローに拠点を置く生産者で、ニール マッカラムとドーン マッカラムがドメーヌを指揮しています。ピノノワールがゆうめいですが、保有している11haのうちわずか25%のみ。樹齢30年のポマールクローンを使用し、エクスデンテイという光を反射するビニールシートを樹の下に設置し、満遍なく日照を与える。発酵は培養酵母とMLF用の酵母を同時に投入、プレス後ラッキングを行い1-2週間で濾過をし、そのままバリック樽で熟成。栽培から醸造まで伝統的とは程遠いですが、作られるワインは豊かな新世界的なピノノワールが産出される。

エスカープメントは高名なマーティンボローヴィンヤードのチーフワインメーカー、ラリーマッケンナが指揮するワイナリー。設立は1999年。
今回のクペは自社所有畑。土壌は沖積層の砂利。発酵は開放桶を使用し 、1日2回のピジャージュを行いながら19日間マセラシオンを行う。熟成はフレンチオークの新樽(バリック、新樽比率50%)にて12カ月の熟成。無濾過で瓶詰する。


生産者: ドライリヴァー
銘柄: シャルドネ 2009

9000円、WA92pt
とても良いシャルドネ。
外観は明るいストローイエローで、粘性は高い。
極めて新世界的なワインだが瑞々しいシャブリグランクリュの様なミネラルと味わいが感じられる。
石を舐める様なミネラル感。バターや西洋山査子の豊満な香りを主体として洋梨やライチ、トロピカルフルーツの風味。白い花やフレッシュハーブ、シャンピニオン、ヨーグルトなど。徐々に甘い蜜の様な風味が感じられる。
やや酸味が強いが、とても目の細かく、ビロードの様な口当たり。
口の中でバターとフレッシュかつ太い洋梨の果実味を感じられる。新世界的な果実味とシャブリグランクリュのミネラルや酸味を併せ持つ素晴らしいシャルドネ。


生産者: ドライリヴァー
銘柄: ピノノワール 2009

13000円、WA91pt
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
とても濃いのだけど、瑞々しくナチュラルなアメリカンチェリーやアプリコットの酸味と甘みを併せ持った果実味。とても凝縮感がある。極限までエレガントにしたソノマヴァレーのピノノワールに近い。今の所樽もっぽさは感じられない。華やかなスミレや茎っぽさ、タバコの様なスモーキーさ。
ローズヒップティー、ハチミツ、タイム、ファンデーションなど。
別に甘みが強い訳ではないけど、核種系のシロップの味わいも感じられる。
とりわけ旨味に満ちたリッチで凝縮した果実味を強く感じる。
酸味は際立っており、タンニンもピノノワールとしては強いと思う。口に含むと茎や赤系ベリーの噛む様な果実味が広がる。綺麗な旨味が感じられる。


生産者: エスカープメント
銘柄: ピノ ノワール クペ 2011

11000円、WA90pt
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。華やかな味わい。
こちらもとても瑞々しい果実味で全房発酵っぽいオレンジやクランベリー、ラズベリーの様な酸味を伴う赤系果実の風味。やや茎や若葉の様な風味が感じられる。徐々に核種系の蜜やワッフルのロースト香の風味も現れてくる。 ややスパイシーでドライハーブやタイム、生肉、濡れた樹皮、ユーカリ、リコリスなど。
カリフォルニアの全房発酵っぽい雰囲気。
こちらは酸味やタンニンはとても穏やかで滑らか。口の中でローズヒップティーの余韻が広がる。


いや、やはりシャルドネもピノノワールもレベルが高いですね...
まずドライリヴァーのシャルドネですが、これがとてもいい。ひょっとしたらピノノワールよりいいかもしれないです。
新世界的な味わいでありながら、どこかシャブリグランクリュにも似た冷ややかなミネラル感や瑞々しさ、酸味が感じられます。
新世界とシャブリのスタイル自体真反対で本来は両立しないものだと認識していますが、なんというかこれが凄くいい具合にマッチしている。
香りの要素自体はトロピカルフルーツやバター、ナッツなどのリッチな風味。ただ新世界のワインの様なぽってりした膨らみを感じさせるアタックでは無く、ともすればシャープにも映るような酸味とミネラル感、密度のまとまりを感じさせます。重くなく、けれど凝縮感がある。この点はすごくブルゴーニュ的ですよね。果実味の要素がライチや洋梨になっていたら、結構シャブリグランクリュっぽくなるんじゃないかな、と思います。

次、ドライリヴァーのピノノワール。
こちらもかなり新世界的な味わい。
ソノマというか、ピゾーニヴィンヤードの生産者やタンタラの様な凝縮感がありながら甘さに片重しない旨味と甘酸っぱさを感じさせるピノノワールだと思いました。
ただ少なくとも冷涼地のピノノワールという訳ではありません。果実味は充実していますし、甘露さもしっかりと感じるので。こう、自然な果実味が特徴的でした。

最後エスカープメント。
個人的にはドライリヴァーの方が好きですが、こちらもよく出来ています。
風味としてややスパイシーさや青っぽい風味があり、おそらく全房発酵かそこそこ梗を残しているのでは無いかと思います。
ただデュジャックやDRCの様なタイプではなく、あくまで新世界的な、カリフォルニアのピノノワールの風味に主軸が置かれています。
ジャミーな赤系果実やオレンジの風味、茎などの風味、そして香りの瑞々しさ。そして追ってくる糖蜜の様な甘露さ。
キャッチーでありながらピノノワールの良さの部分はとても良く表現出来ているのでは無いかなと。

そもそもニュージーランドのピノノワール、シャルドネで外した事はないのですが、このカルトワイナリーの2本を飲む限り、ニュージーランドのピノノワールは今、カリフォルニアに比肩するくらいにはなっているんじゃないかなと思います。


【ボルドー:2】たまにはボルドー、シャトーラスコンブとバァンオーブリオンをグレードヴィンテージで。

こんにちわ。
とりわけ有名で高品質なワインが産出される土地ですが、このブログで殆ど取り上げられない地域。
それはボルドーです。
なぜならもちろん高いから。
めったに飲めない価格帯に突入した2009年度以降めっきり口にする機会は減ってしまいました。
たまに口にする程度で、自然と足が離れてしまったのは事実。しかしながら、いざ飲んでみればその品質は不変。
今回のラスコンブ、バァンオーブリオンもとても素晴らしかったです。

シャトーラスコンブはメドック格付け第二級のシャトー。アペラシオンはマルゴー。
生産面積は50haで、平均樹齢は25年。
収量は48hl/ha。
収穫は厳しい選別の後すべて手摘みで行われる温度調整をしながら発酵槽で8~10日間のアルコール発酵を行う。マセラシオンは10~20日間程度。オーク新樽は30~60%でマロラクティック発酵をおこないながら16~18ヵ月熟成を経た後、清澄処理され瓶詰めされる。
ロバートパーカーJr著の「ボルドー第三版」では「4級へ格下げされるべき」とあるが、2005年からの品質向上を鑑みるに徐々に2級たり得る風格を持ち始めていると感じる。2005,2009,2010の評価と他の年の差が大きく単純にヴィンテージに振り回されすぎなのかもしれないが。

シャトー オーブリオンは5大シャトー唯一メドック以外から選定された第一級シャトー。拠点はグラーヴ地区ペサックレオニャン。現在はクラランス ディロンが指揮を執っている。一時期評価が低迷した時期があったが、1978年からネガティブセレクションをより厳格に行なうようになって以降、品質が回復し、今や第一級に恥じない品質を保持している。今回はセカンドラベルのバァン オー ブリオン。現在はクラランス オーブリオンという名称になっています。
栽培面積は43ha、平均樹齢36年、平均収量は35ha/ha。
クリスチャンムエックス同様、房ごと切り取るグリーンハーヴェストを行ない収穫はすべて手作業で行なわれる。
温度調整をシステム的に行ないながらステンレスタンクでアルコール発酵を30℃で実施、新樽熟成期間は最大30ヶ月と瓶詰め時期が最も遅い。清澄は卵白を使用し、濾過はされない。


生産者、銘柄: シャトー ラスコンブ 2009
品種: カベルネソーヴィニヨン50%、メルロー40%、カベルネフラン5%、プティヴェルド5%

、WA94-96pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。非常にレベルの高いボルドー。クレーム ド カシスやシロップ漬けのブラックベリーの豊満な果実味、そして茹でた小豆やミルクティーが中心となって土っぽさ、西洋杉やコーヒーの樽香、バニラ、薔薇、燻製肉、トリュフ、グローヴなど。徐々にドライハーブやミントの香りも。
全体的に果実味は非常に強いが、新世界的な風味は無く、あくまで完成度の非常に高いボルドーの味わい。酸味、タンニンは生き生きとしているが、果実味が強くさほど気になるレベルでは無い。
年によっては一級に比肩しそうなボルドー。

生産者、銘柄: シャトー バァン オー ブリオン 2005

WA89pt
外観はやや橙を帯びたガーネット、粘性はやや高め。
シロップとワッフルの甘露なアロマとトーストのローストした香り。そしてカシス、ブラックベリーの引き締まった果実味。
最新ヴィンテージと比べるとハーブとスパイス、ピーマンのニュアンスはかなり薄れている。そしてミルク、西洋杉、タバコなどの樽香。燻製肉、シナモン、グローヴの風味も感じられる。
やや密度は薄めでミディアムボディ。
酸は比較的際立って感じられるものの、タンニンは穏やか。
ソフトなタッチながら確かな味わいが感じられる。


シャトーラスコンブは本当にムラが酷い。素直にヴィンテージをボトルに写し取るという意味では予測が付きやすくて良いんですがね...。
ちなみに2009年はというと物凄く良かったです。いわゆるボルドーの王道における、ほぼ最高の作りじゃないかと。ミッチリと身が詰まっていて果実味が凝縮している。濃厚。メルロー比率が高いからボディも豊満で小豆の様なアロマも。青臭さは感じられず「ああ、熟しているなあ」という印象を受ける。
添え物程度だが清涼感のあるミントやドライハーブの香りもとても良い。
よく出来た王道ボルドーだと思う。
ただ2009年の4級シャトータルボもこれくらい熟していたし、作り込まれていたので、やっぱり2009年のメドック格付シャトーとしては平準的な品質だったのかも...。
2級としては群を抜いて価格は安いし(8000円くらい)、価格もタルボと同じくらいなんで、まあ十分お得かな、とも思います。とりわけ2009年はいいと思います。

次、バァンオーブリオン。
これがオーブリオンの名前から受ける印象とは結構異なってるんですよね。
従来のオーブリオンのスタイルとしてスモーキーでハーブやスパイスの香りが強く出ているのですが、こちらはややスタンダードなボルドーじゃないかなと。
濃厚さや重さは無くて、ミディアムボディな所は、オーブリオンらしいのですが、味わいとしては果実味に拠っているなと感じました。個人的にはその方がいいんですけれども、なんかちょっと釈然としませんね。
ただ驚きなのが、8年を経てもまだ熟成香すら出ていない事でしょうか。これは大元のヴィンテージに起因しているんだと思います。
抜栓後、香りが開くまでにそれなりの時間を要しましたが、若い時点で飲む上では今最も良い飲み頃だったんじゃないかなと思います。
ただ熟成香が全くないので、その点、好きな人にはもう少し時間を置かないとダメかもしれません。
ちなみにハーフボトルでこれですからフルボトルはまだまだ硬い状態じゃないかなと思います。

いや、たまにボルドー飲むといいですね!最初にワインにハマったきっかけもボルドーだったので、昔を思い出してしまいますね。しかもそれがバァンオーブリオンの2001年だったりするのですよ...懐かしいですねー。
当時はまだ安かったのになあ。


【スペイン:1】新鋭のスター生産者、フェレールボベとラウルペレスの超絶スパニッシュを味わう

こんにちは。
本日はスペインの新進気鋭の生産者フェレールボベとラウル ペレス、そして老舗のジャンレオンをレポートします。

フェレール ボベはセルジ フェレール サラとラウル・ボベがプリオラートに設立したワイナリー。ファーストヴィンテージは2005年。標高400~700mの粘板岩地質、100年を超える樹齢の古木を保有している。
まずスタンダードラインと言える白ラベルは急斜面および段々畑の古木から手摘された葡萄を2回の選果を行い、グラビティーフローにより醸造。木製バットとステンレス槽で発酵を行います。マロラクティック発酵を行いなが、フレンチオーク樽で15か月熟成。無清張、無濾過で瓶詰め。瓶熟は11か月行う。
フラッグシップのセレクションエスペシャル、通称黒ラベルはフェレールボベ所有の最高の畑に植えられた樹齢百年を超すカリニェナをピンセットで丁寧に収穫した葡萄を使用しています。
選果は2回、木製バットのみで発酵を行い、マロラクティック発酵後フレンチオーク新樽で18ヶ月熟成。
無清張、無濾過で瓶詰め、さらに11ヶ月熟成を行う。

ラウル ペレスはガリシア州に拠点を置くメンシアの生産者。ポートフォリオはウルトレイア サン ジャック(3000円程度)からトップキュヴェのウルトレイア デ バルトゥイエ(13000円くらい)まで。
今回のウルトレイア デ バルティエは標高530mにある1.1haのピエルソの単一畑に1908年に植樹された最高のメンシアから作られるワイン。開放型の木製発酵槽での発酵、熟成には古樽が使用されます。(新樽はあまり使用されないみたいですね。)

ジャン・レオンはカタルーニャのペネデスに1964年に設立されたスペインで初めて国際品種を植樹したワイナリー。
今回のグランレゼルヴァは8haのラ・スカラヴィンヤードに植わっている平均樹齢37年のカベルネを使用。
フレンチオークの新樽にて25ヶ月、また最低36ヶ月の瓶内熟成を経て出荷されます。

さて、スペインの老舗と新世代、行ってみましょう。


生産者: ジャン レオン
銘柄: グランレゼルヴァ カベルネソーヴィニヨン 1996
品種:カベルネソーヴィニヨン85%、カベルネフラン15%

約6000円、WA89pt(2005)
外観はやや橙を帯びたガーネット、粘性はやや高め。
スパニッシュ カベルネソーヴィニヨンとは思えない程エレガントで旨味に満ちた風味。
シャンピニオンや枯葉、グローヴ、木材などの熟成香と、ブルーベリー、イチジクの果実味。コリアンダー、濡れた土っぽさ、蜜の様な甘み、カカオなど。
タンニンも酸も穏やかで凝縮した旨味のエキス感を感じる。
カベルネソーヴィニヨンとしては珍しい滋味を感じる味わい。


ある程度熟成を経たのが主原因だとは思うのですが、このカベルネはスペイン産とは思えない程、相当穏やかでエレガント。滋味深いというか、旨味に満ちている。ボルドーなら「やっと解けてきた」頃合いだと思うのですが、このグランレゼルヴァの小慣れ感はなんだろう。複雑な要素が溶け込んで、しっかりと古酒としての体裁が整っている。このヴィンテージでこの値段、という事で若干心配していたが大変素晴らしいワインだった。ひょっとして蔵出しは最近だったのかも。1996ヴィンテージと言っても出荷可能なのは最速で2001年ですからね...

では次はラウル ペレスです。

生産者: ラウル ペレス
銘柄: ウルトレイア デ パルトゥイエ 2010
品種: メンシア 100%

13000円、WA94pt(2009)
熟成した北海道のピノノワールの様な香り。それでいて黒胡椒の様なスパイシーなニュアンスが感じられる。シラーにも近いがどちらでもないといった感じ。
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
黒胡椒やホールペッパーなどのスパイシーな香りが主体的。そして熟れたブルーベリーやイチジクの様な果実味。わずかに花の蜜の様な甘露な風味が感じられる。タバコや茎、枯葉、リコリス。そして野生的なパストラミハム、生肉などの風味。
かなり冷涼な雰囲気を感じさせるエレガントな味わいで、タンニンより酸の方が充実している。
口に含むとブルーベリーやイチジクの風味を強く感じられる。
個性的な味わいのワイン。


生産者: ラウル ペレス & サルネス
銘柄: ヴィノ デ メサ スケッチ NV(2010)
銘柄: アルバリーニョ 100%

8000円、WA96pt
外観は濃いストローイエロー、粘性は高い。非常に香り高くフレッシュで清涼感のある味わいが感じられる。
これはとても美味いアルバリーニョ。ちょっとした石のようなミネラル感。完熟した赤リンゴ、スモモの甘く凝縮した溌剌とした果実味、ドライハーブ、バター、ハチミツなどの風味。
奥に甘い果実の蜜の甘みがある。
爽やかで酸味が綺麗で、ボディもしっかりしている。ソーヴィニヨンブラン的な風味を持ったヴィオニエの様にも感じる。


まず、ラウル ペレスから。赤のメンシアがとてもいい。
なぜこんなにスペインでエレガントたり得るのかと思案してしまう程にはらしく無い作りの繊細なワイン。
方向性としてはシラーのスパイシーさと北海道などの寒冷地のピノノワール(全房発酵)を併せ持った味わいで非常に特徴的な芳香を放っています。
ウルトレイア サン ジャックはここでは挙げていませんが、クリュボージョレ(ボディの力強さ的にはムーランナヴァン的かも)の様な味わいだったと記憶しています。なのでやはりタイプとしてはフランスのブルゴーニュ的な方向性だと感じました。
個人的にはこの価格帯なら素直にブルゴーニュを飲みますが、メンシアという品種の可能性は十分に感じられました。リアスバイシャスにほど近い比較的冷涼なガリシア州、標高も高めだからこそ成し得た繊細さなのかな、と思います。
そして、リアスバイシャスのアルバリーニョ。これがかなり素晴らしくて、さながらローヌの白ワインを飲んでいる様な感じ。ギガルのヴィオニエか、はたまたはディディエダグノーのブラン フュメ ド プイィか。
極めて分厚いボディを持ちながらも、ソーヴィニヨンブランやヴィオニエの様なアロマティックな側面を持っているという。
そして何より製法が結構独特で750Lのフードルで樽熟成を経た後、3ヶ月間海底で瓶熟成を行うという。 その製法がどれだけこのワインに影響を及ぼしているかはわかりませんが...
それよりこの凝縮感、ボディの厚みですね、これはきっと200年の超古木のアルバリーニョに起因するのだと思います。樽の風味も心地よく相当レベルの高い白ワインだと思いました。

最後はフェレールボベです。

生産者: フェレール ボベ
銘柄: フェレール ボベ 2008
品種: カリニャン65%、グルナッシュ34%、カベルネソーヴィニヨン1%

8000円、WA94pt
外観は黒に近いガーネット、粘性は高い。
非常に柔らかく豊満な味わいのカリニャン。ローヌの凄く良く出来たグルナッシュの風味が感じられる。
黒砂糖、ミルクティーの清涼感のある甘露な味わい。ブラックベリーやドライプルーンの豊満な果実味。土やスミレ、ちょっと茎っぽい味わいや燻製肉、キノコ、紅茶、香ばしい糖蜜の甘い香りが主体的。
タンニンも酸味も生き生きとして生命力に満ち溢れている。液体密度が高く口の中で心地よいプルーンの風味を感じさせる。基本、豊満でリッチだが何処かエレガンスを感じさせるワイン。


生産者: フェレール ボベ
銘柄: フェレール ボベ セレクシオ エスペシアル 2008
品種: カリニャン95%、グルナッシュ5%

12000円、WA97pt
外観は黒に近いガーネット、粘性は高い。白ラベル同様濃厚で甘露だが、凝縮感が非常に強く高密度。より葡萄の生命力を感じさせる作りになっている。
ギュッと引き締まったドライプルーンやブラックベリーのドライフルーツの様な果実味がある。
徐々に甘やかな糖蜜や黒砂糖の風味も現れてくる。トリュフ、乾いた土、タイム、グローヴのような、ちょっとした大地香。赤い花、燻製肉、ミルクティーなど。
非常に香りは濃厚で甘やかなのに、口当たりは流れる様にエレガントで綺麗。
口の中でプルーンとタイムのアフターが広がっていく。より凝縮感のある果実味に満ちた素晴らしいワイン。


これが本当に美味い!
それこそモダンなシャトーヌフデュパプの様というか、蕩ける様な果実味がたまらないですね!白ラベルからして既に相当なもので、ぽってりとした甘みがありつつ、要素は複雑でエレガント。ドメーヌ デュ ペゴーなどのスタイルに通じるものがあると思いました。
黒ラベルは白ラベルの延長線にありながら、強烈な凝縮感と葡萄原初の瑞々しい果実味、かつ質感は絹の様に滑らか。重々しさは無くて、それこそボルドーのグランヴァンの様なタッチを感じさせます。そして複雑という。
スタイルとしては最もローヌに近いと思います。価格的にも最上のローヌと比較すると良心的な価格なので買えるのであれば買っておきたいですね...買えればですが。

全体的に前回クリオなどのテンプラリーニョを飲んだ時もそうなんですが、とにかくスペインのここ最近のスタイルの多様化、懐の深さには驚かされます。
現状玉石混淆である事は間違いないのですが、少なくとも土壌によって足を引っ張られることが無いということが分かった今、生産者の成長にとても期待できる素晴らしい産地だと思います。



※他は在庫ありませんでした...
プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR