【ブルゴーニュ:20】アルマンルソー2010年水平テイスティング:Q

こんばんわ。
大変お待たせ致しました。
アルマンルソーテイスティング比較でございます。

前回下記の通りカテゴリ分けを致しましたが、実情はもっと複雑でした。

■冷涼、ドライ、堅牢
シャルム シャンベルタン
マジ シャンベルタン
リュショット シャンベルタン

■リッチ、甘露、堅牢
クロ ド ラ ロッシュ
クロ サン ジャック
シャンベルタン

これだけではとても収まらない際立った個性を感じるワインだったと思います。

ではまずは畑ごとの縦比較を。



■特級クロ ド ラ ロッシュ

・2004年(2013年試飲)
とても綺麗に熟成している。全房発酵の様な瑞々しさがある。また野生的な旨味が突出している。
凝縮感:中庸な凝縮感。
果実味: 立体感のある瑞々しいダークチェリー、ラズベリー、グレープフルーツの清涼感のあるジャミーな果実味が感じられる。徐々に果実の蜜のなども。
華やかさ: スミレのドライフラワー。ローズヒップ、ドライハーブなど。
樽香 : 森の下草、トリュフなど。土の香りが強い。
堅牢さ : 清涼感があり澄んだ風味。堅牢では無い。
規模感、時間変化 : 時間変化は少ないが、際立って複雑な風味を感じさせる。
タンニン: 穏やか。
酸 : 綺麗な酸味、旨味とのバランスが良い。
旨味:生肉や梅しばの様な野生的な香りとジワリとくる旨味。

・2010年(2013年試飲)
現状最も高レベルでバランスが取れている。マジシャンベルタンの上位互換的な味わい。
凝縮感:しっかりとした凝縮感がある。
果実味: ブラックベリー、プラムのシロップの様な甘露な果実味。
華やかさ: ドライハーブ。花の風味はやや控えめ。むしろ土やトリュフの風味が前に出ている。スパイシー。
樽香 : シナモン、ミルクティー、糖蜜の様な風味。
堅牢さ : 豊満でしなやか。堅牢では無い。
規模感、時間変化 : 大きな変化は見られないが安定感のある複雑な風味。
タンニン: 穏やか。
酸 : 中庸、旨味とのバランスが良い。
旨味: 中庸、酸とのバランスが良い。

【共通点(スタイル、テロワール)】
凝縮感、規模感、華やかさは比較的中庸だが、押し並べて非常に果実味と旨味突出して豊かで甘露。やや土やスパイスの風味を感じさせる。バランスを考慮するとルソー随一の安定感のあるキュヴェだと思う。唯一堅牢な点が見受けられない事を考えると裏返してジュヴレシャンベルタンの堅牢さを実感する事が出来る。

【経年変化】
6年程度で若い段階での飲み頃になっている。紅茶の様な風味は森の下草や強い土の香りに、黒系の濃厚なベリー類は瑞々しさを伴う黒系ベリーや柑橘の風味を生み出している。全房発酵の様な風味を感じさせる。

【その他所感】
ジュヴレシャンベルタンと明確な違いがある特級。濃厚でリッチ。土の香りと豊かな果実味を感じる事が出来るグランクリュ。




■特級シャルム シャンベルタン

・2004(2013年試飲)
比較をした4本の中ではやや熟成を帯びていたが十分に若々しい。
凝縮感:中庸な凝縮感がある。
果実味: 清涼感のあるオレンジ、ダークチェリー、煮詰めたイチジクの香り。徐々に甘露さが現れる。
華やかさ: スミレ、パストラミハムの様なスパイシーさと野性味が感じられる。若干茎っぽさも
樽香 : 腐葉土、樹皮、紅茶。キャラメルの様な風味が果実味と合致している。
堅牢さ : 堅牢さはあまりなく、穏やか。
規模感、時間変化 : 中庸。時間変化はドライ~甘露。ベーシックな変化。
タンニン: 柔らかい。
酸 : 2004のマジほど柔らかくはない。中庸。
旨味: 熟成感も併せ持った強烈な旨味を感じさせる。

・2009年(2012年試飲)
他のキュヴェと比べると比較的落ち着いた風味があり、構成要素などで若干の見劣りはする。
しかしマジシャンベルタンと比較するとバランスが良く感じられる。
凝縮感:中庸な凝縮感がある。
果実味:比較的凝縮感のあるチェリーやカシスの香り。十分な甘露さがある。
華やかさ: 薔薇、なめし革、草の様なニュアンス。華やかさが前に出ている。
樽香 : 煙草、焼き栗、五香粉などの香り。スパイスなどの風味も。
堅牢さ:十分な骨格がある。
規模感、時間変化 : 決して規模感は大きくないが、バランスが良い。
タンニン: 柔らかい。
酸 : 中庸、しなやかな酸。
旨味:しっかりとしたエキス感がある。

・2010年(2013年試飲)
旨味と酸味の出方が絶妙。規模感は大きくなく、こじんまりとしているものの非常に良い纏まりを見せている。
凝縮感:中庸な凝縮感がある。
果実味: ブラックベリー、ダークチェリーの果実味。オレンジの清涼感、シロップの風味も。
華やかさ: スミレや茎の風味も感じられる。
樽香 : コーヒーや五香粉、ミルクティーなどの強めの樽香が感じられる。
堅牢さ : 骨格は柔らかい。
規模感、時間変化 : 規模感は大きくはない。バランスが良く最初から甘露な風味が現れている。
タンニン: 柔らかい。
酸 : やや酸味は際立っている。
旨味: 十分にあるが2010リュショットほどではない。

【共通点(スタイル、テロワール)】
規模感はやや特級の中では劣るが、凝縮感は押し並べて中庸。しかしジュヴレシャンベルタンらしい堅牢さはしっかりと感じられる事が出来る。果実味は比較的豊かで華やかさも十分に持っている。若い段階では樽香が若干際立っている。タンニンは柔らかく酸は強め。

【経年変化】
6年で熟成香がやや出てきている。若い段階での飲み頃は若干過ぎている様に感じられる。焼いた樽のニュアンスはは紅茶やキャラメルの香りに、清涼感を感じさせるベリー類の香りは煮詰めたイチジクやオレンジの風味に。全房発酵の様な風味を感じさせる。

【その他所感】
極めてジュヴレシャンベルタン的な特級で堅牢、そして濃厚でリッチ。テロワールによる差異はあれど、グレード的にはクロ ド ラ ロッシュと同等か?規模感は大きく無いがバランスの良さとジュヴレの特徴を感じる事が出来るグランクリュ。




■特級マジ シャンベルタン

マジの冷涼な気候は良ヴィンテージ(例えば2009など)だととても良いバランスになるみたい。
・2004年(2013年試飲)
同年のシャルムよりドライで最も冷涼さを感じる。凝縮した甘露さをキッチリと感じる事が出来る。
凝縮感:中庸。甘露さを伴う。
果実味: ドライだが徐々にスミレキャンディの様な甘露な風味。瑞々しいベリーやイチジクなどの熟成香も。
華やかさ: 突出して華やか。スミレや薔薇のニュアンス。
樽香 : 目立たず、僅かに感じる程度。
堅牢さ : 冷涼だが密度や硬さは伴わない。
規模感、時間変化 : 中庸で濡れた木や森のアロマを感じる。
タンニン: 柔らか。
酸 : 落ち着いている。
旨味: 中庸。生肉の旨味。

・2009年(2012年試飲)
リュショットと方向性は近い。果実味が高く、華やかさとのバランスが取れている。
ドライでありながら、甘露さもしっかりとあり、旨味も含めバランスの良い作りだと思われる。
凝縮感:噛む様な凝縮感がある。
果実味: ダークチェリー、クランベリーの凝縮した果実味。果皮が主体。
華やかさ: 突出している。薔薇、スミレなどの花のアロマが強い。
樽香 : 強めに感じる。ナッツ、シナモン、バニラ、五香粉など。
堅牢さ : 硬さは感じない。バランスの良さを感じた。
規模感、時間変化 : 華やかで穏やか。他のグランクリュ
タンニン: しなやかで穏やか。
酸 : 穏やか。
旨味:噛む様な旨味がある。

・2010年(2013年試飲)
一瞬クロ ド ラ ロッシュの様な甘露で穏やかな表情を見せるが、すぐにテロワール原初の冷涼さを見せる。
旨味などの密度は高いが、香りがのびてこない。青さを感じる。他のヴィンテージに輪をかけてバランスが悪い。
凝縮感;やや高めだが、ルソーの中では低い部類。
果実味: ダークチェリーやアメリカンチェリーの瑞々しい果実味。
華やかさ: 華やかさというよりもハーブや草の香りが強い。スミレの香りも僅かに感じられる。
樽香 : ミルクティー
堅牢さ : マジの一般的な堅牢さはあるが、全体的に香りがのびてこない。
規模感、時間変化 : 中庸
タンニン: 穏やか。
酸 : やや際立った印象。
旨味: しっかりと旨味が感じられる。

【共通点(スタイル、テロワール)】
押し並べてとても華やかで冷涼、ドライ、堅牢である。ただ規模感と密度はやや他の特級に劣る。方向性としてはリュショットシャンベルタンの下位互換的な味わい。しっかりした旨味があひ特に熟成を経た際の香りが素晴らしい。果実味はドライ。やや早めに熟成が進み、ルソーの中では体躯が劣る。タンニンは柔らかく酸は強め。一瞬だけ甘い芳香を感じる事ができる。

【経年変化】
熟成香が6年でかなり現れる。果実味は中凡だが、ひたすら目立つのは突出した華やかさ。イチジクやベリー系の瑞々しい果実味とともに強烈なスミレの香りが目立ちはじめる。そもそも旨味が突出したワインだから、熟成を経るととても素晴らしいものとなる。

【その他所感】
若い段階ではかなり堅牢で取り付くシマが無い冷涼さ、ドライさを見せるが、熟成によって華やかさが際立ってくる。熟成によって真価を発揮するワインで他のワインの様に若い頃から楽しめるという事はない。華やかさが際立っているという点では極めてリュショットに近い。




■特級リュショット シャンベルタン クロ ド リュショット

・2009年(2012年試飲)
冷涼であり、優雅さや華やかさ、しなやかさを強く押し出したグランクリュ。
シャンベルタン、クロ サン ジャックと真反対の性質を持っている。
凝縮感:極めて高い。
果実味: 果皮の厚いダークチェリー、レッドカラント。花の香りに隠され酸味が際立つ。
華やかさ: 際立って華やか。香水の様な香りやスパイス、大地香の奔流。
樽香 : あまり感じられない。
堅牢さ : 堅牢である。
規模感、時間変化 : 華やかさからスパイスの香りに。なめし革、パストラミハム、クリームチーズの風味
タンニン: 比較的中庸
酸 : 際立って酸味が強い。
旨味: 凝縮した旨味があり余韻は長い。
華やか、ドライ、複雑。

・2010年(2013年試飲)
2009年と同様、冷涼かつ優雅さ、瑞々しさが際立っている。ただ若干こちらの方が軟化した印象を受けるか。
スパイスよりハーブや木材などの香りが強い。
凝縮感:極めて高い。
果実味: ブラックベリー、スモモの太い果実味がある。徐々に花の蜜の様な甘露さが現れる。
華やかさ: とても際立っている。ローズヒップティーやスミレの香り。
樽香 : モカなど。マロラクティック発酵に由縁するミルクティーの風味はあるが、際立っていない。
堅牢さ : 2009年よりは柔らかいが堅牢。
規模感、時間変化 : 徐々に甘露さが冷涼な体躯にしなやかさを与えていく。
タンニン: 村名より僅かに強い程度。
酸 : 中庸。目の細かい奇麗な酸味
旨味: 凝縮した旨味がある。

【共通点(スタイル、テロワール)】
突出した華やかさ、堅牢さ、旨味がある事からマジシャンベルタンの上位互換といえる。全ての規模感がマジを超えるから若い頃から卓抜した華やかさ、旨味を楽しむことができる。その分堅牢さは極めて高く、甘さを見せるものの基本的にはかなりドライなタッチを感じさせる。タンニンは穏やかだが酸は際立っているように感じられる。

【経年変化】
未検証。

【その他所感】
極めてヴァン ド ガルドなワインだと思う。堅牢かつドライ。但し若い時分では華やかさとドライさ、そこから遷移する甘露さを旨味と共に楽しむ事はできる。ただし全貌を見せるには程遠い規模感だと思われる。アルマンルソーのワインの中では最もエレガントで華やかなワインだと思う。



■ジュヴレ シャンベルタン 1級クロ サン ジャック

・2004年(2013年試飲)
マジ(2004年)ほど柔らかさはなく、タンニン、酸ともに厳しめ。
2004年のマジ、シャルム、クロ ド ラ ロッシュと比較すると流石の出来ではあるものの、燦然たる2009年と比較すると精彩を欠く作りだと思う。
凝縮度:極めて高い。
果実味: ダークチェリー、ブルーベリーの果皮の強い果実味、オレンジの清涼感。
華やかさ: 果皮のニュアンスが強く華やか。薔薇やなめし革など。
樽香 : 僅かにワッフルの風味
堅牢さ : 硬い。
規模感、時間変化 : 比較的ドライな状態が続く。
タンニン: タニック。
酸 : 強め。
旨味: エネルギーに満ちあふれている。

・2009年(2012年試飲)
2010年と比べると硬い印象を受ける。華やかさと野性味が際立つ。時間が経過しても殆ど印象は変わらない。シャンベルタンの弟分といった感じ。
凝縮度:極めて高い凝縮感がある。
果実味: 果皮成分が強いスモモ、黒系ベリーのジャム。最初はドライ。
華やかさ: 薔薇などの華やかさが際立つ。
樽香 : 五香粉、シナモン、ミルクティーのニュアンスがあるが果実味ほど際立っていない。
堅牢さ : 硬い。
規模感、時間変化 : 複雑な骨格をもつ。果実味→華やかさ
タンニン: タニック。
酸 : 極めて強い
旨味: 極めて強い。燻製肉の旨味。野生的。

・2010年(2013年試飲)
2009年と比べるとより近づきやすい。甘露さが全面に現れている。特筆すべき凝縮度と旨味。
凝縮度:極めて凝縮感がある。
果実味: ジャムの様な分厚い果実味が最初から現れる。オレンジの清涼感も。
華やかさ: 中庸。際立ってはいない。
樽香 : 五香粉、ミルクティーの風味があるが果実味ほど際立っていない。
堅牢さ : タニックだが比較的柔らかい。
規模感、時間変化 : 複雑な骨格をもつ。
果実味→華やかさ
タンニン: タニック
酸 : 極めて強い
旨味: 極めて強い。燻製肉の旨味。

【共通点(スタイル、テロワール)】
強烈な凝縮感、高密度。ジャミーなベリー系の甘露な風味、清涼感のある柑橘の香り、強い樽香。硬くソリッドな体躯から膨大な果実味が開いて行く。タニックで酸味も豊か。時間により香りが大きく変化する事から小降りなシャンベルタンといった印象を受ける。ただしクロ サン ジャックはより野生的。旨味も極めて突出している。
若い頃は若干の近づきにくさはあるものの、ポテンシャルは極めて高いワイン。

【経年変化】
経年によって果実の風味に対して大きく華やかさ、凝縮度、旨味が際立っていく、対して樽香は落ち着いた印象を受ける。
タンニンと酸は溌剌としており、6年では落ち着かない様子。まだ濡れた木やイチジクの風味を億尾にも感じさせない。他の2004年ヴィンテージと比べると圧倒的に若々しく、まだまだ飲み頃に至るまでは時間がかかりそう。
印象としては最新ヴィンテージと大きくは変わらない。

【その他所感】
最初は強固で硬いが、シャンベルタン程堅固ではなく比較的甘露で濃厚、分かりやすい味わいを感じられる。極めて複雑で規模感が大きく、凝縮感がある。適度にヴァン ド ガルドで若い時分でも比較的美味しく飲める一級畑。
成る程、とても偉大なワインだと思う。2004年でもわずかな熟成しか感じられない。



■特級シャンベルタン

・2009年(2012年試飲)
2010年のシャンベルタンと比較すると極めて硬く、甘露さが現れるまで時間が掛かった。しかし一度甘露さが現れると非常に濃厚。
凝縮度: 極めて凝縮しているが閉じている。
果実味: 最初は黒系ベリーのタンニンと旨味が際立つ。かなり時間を置いて強烈な甘露さが現れる。
華やかさ: 最初はとても華やか。
樽香 : 強い。八角、チョコレートなど。
堅牢さ : 極めて硬い。
規模感、時間変化 : 極めて大きい。
旨味、酸味→華やかさ→甘露さ、樽香、スパイス。
タンニン: 極めてタニック
酸 : 極めて強い
旨味: 極めて強い。燻製肉の旨味。

・2010年(2013年試飲)
2010年クロサンジャックと比べてより果皮成分が強く硬い印象を受ける。
2009年シャンベルタンより近づきやすい印象。
凝縮度: 極めて凝縮しているが閉じている。
果実味: 黒系ベリー、最初は酸味と旨味を伴うが、徐々に濃厚な糖蜜の甘露さが現れる。
華やかさ: 際立ってはいない。
樽香 : 強い。バニラや五香粉の様な風味。果実味と合っている。
堅牢さ : 硬い。最初は冷涼さを感じる。
規模感、時間変化 : 極めて大きい。
旨味、酸味→甘露さ→清涼感。
タンニン: 極めてタニック
酸 : 極めて強い。
旨味: 極めて強い。丸みを帯びた旨味。

【共通点(スタイル、テロワール)】
素晴らしいの一言に尽きる。2009年、2010年とも一切スキが無く堅牢で力強いジュヴレシャンベルタンの王者的な風格を感じる。
共にとても硬いワイン。まだ一切開いておらず、高密度、高凝縮度、極めて重厚な香りを放つ。しかしながら外に開いていく風味は今現在は無く、大変な時間を置いて徐々に甘露で豊満な香りを放っていく。樽香は極めて強く、強烈なタンニンと酸味を伴いながら旨味を解き放っていく。香りの遷移はとてもドラスティックでダイナミック。大量の規模感とシーンを見る事の出来る味わいだ。

【経年変化】
未検証。

【その他所感】
偉大なワインである。ただし2009年と2010年とだと若干出来が異なる様で2010年の方が僅かに若い頃から飲みやすい。2009年は非常に閉じこもっており非常に堅固なものとなっている。
但し2009年の密度、芳香を鑑みるに決してレベルが低い訳ではなく、高すぎて閉じこもっていると考えるのが妥当。2010年と比較すると2009年の方がより長期に渡って熟成を経て行くものだと思われる。押し並べて果実味は非常に豊かではあるが、その姿は一部しか見る事は出来ない。



■ヴィンテージの変化
前提条件として各ヴィンテージは下記の通りとなっています。(ファインズさんのヴィンテージチャートを参照しています)

2010年:5/5(秀逸な年)
2009年:5/5(秀逸な年)
2004年:2/5(やや難しい年)

これを見ると2004年だけが難しい年とされていますね。
なので、2010年および2009年に関しては6年熟成を経たとしても2004年ほど熟成感は感じられないかもしれません。
その為、各項目の経年変化で記載している熟成度合は、より時間が経過した際に現れるという風に考えるのが妥当かな、と思います。
特にクロ サン ジャックに関しては2004年でさえ十分に若々しさを保っていますから、熟成香が出始めるのに10年くらいは必要なのかな、と思います。



■テロワールと味わいの相関性
上記のワイン毎の共通点を見ていくと、改めて下記の様に大別出来るかと思います。

・冷涼、ドライ、堅牢
マジ シャンベルタン
リュショット シャンベルタン

・リッチ、甘露、堅牢
クロ ド ラ ロッシュ
クロ サン ジャック
シャンベルタン

・中庸
シャルム シャンベルタン

ここで立地を絡めて見ていくと、なんとなく味わいとテロワールの特徴が合致している様に思えてきます。

例えばマジシャンベルタンとリュショットシャンベルタンはラヴォー渓谷とモレ渓谷の背斜面からの冷涼な風の影響を受けて硬質で骨格の強いワインになっていると思います。冷涼な気候が生むエレガンスですね。

シャンベルタンはグリザール小渓谷からの冷涼な風の影響も受けているので、こちらも堅固で骨格の強いワインになりますが、ただ恐らくは幾分か日照条件が良くこちらの方が堅固でありつつ果実味を感じられるワインになっています。冷涼さと日照、水捌けの良さが生み出す凝縮感は確かに感じられました。

シャルムシャンベルタンはシャンベルタンの下部にある特級畑で、やや緩やかな斜面ですが東向きに大きく開けた立地で日照条件はシャンベルタン同様に良く、また冷涼な風の影響も受けます。堅固でありつつ、果実味も両立する点は同じですが、シャンベルタンと比べて恐らくは水捌けの部分で若干劣る為か、果実の凝縮感や密度に緩い感じが出ているかと思われます。

クロ サン ジャックは立地としてはラヴォー サン ジャックやカズティエとほぼ同条件ですが、斜面の急勾配は効率的な日照を実現し、ラヴォー渓谷から吹き付ける風を石垣が防ぎ、その熱を保持します。
その為他の畑と比較して堅固さ、冷涼さよりはるかに果実味や凝縮度、旨味が突出している様な気がしました。

最後にコミューン違いの特級畑クロ ド ラ ロッシュ。
この中で最も近づきやすくキャッチーなワインでしたが、こちらも水捌けの良さを呼び込む石の多い石灰岩土壌、急勾配と、豊かな果実味が出来る条件は揃っています。

これらを見るに立地、土壌、日照条件が非常に良く現れたワインが作られていると思いました。
ただ、これらは直接的に土壌や立地が味わいに影響を及ぼしているというより、むしろ意識的に作り分けをしている様に感じますね。もちろん葡萄そのものの影響もあるのだと思いますが。
予想ですけどね。



■醸造について
基本的に醸造に関してはキュヴェ毎に大きな違いは無くどちらかといえば畑仕事や樹齢などが大きく影響しているように見受けられます。
醸造でいうならば過度な抽出は行わない点と、各々若干異なる新樽比率ですね。
新樽比率はシャンベルタン、シャンベルタン クロ ド ベーズは100%、クロ サン ジャックは70%、他は35%となっているようです。
これは露骨にワインに現れていて、シャンベルタンとクロ サン ジャックはローストした香りがしっかりと感じられます。他のワインでも樽の香りは感じられますが、この2本のキュヴェほどではありません。ただクロ サン ジャックも6年ほどすると大分樽香も落ち着く様ですね。


■総評
ひたすら長くなり大変申し訳ありません。
アルマンルソーのワインはテロワールをよく再現していますね。
特にリュショット、マジの微細な違いやそれぞれの特徴を私の様な素人でも、はっきりと感じ取れるくらいにしっかりと表されていると感じました。
故に幾つかのワインは一見ドライにも感じられるものもありましたが、時間を置くとその姿をハッキリと捉える事が出来ると思います。
熟成すれば、ひょっとしたらもっと素晴らしいかもしれませんね。
いつか機会があれば、20年以上熟成したワインも比較して見たいと思いました。

長い文章になりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。
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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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