【ブルゴーニュ:22】ドミニクローラン、謎のマジシャンベルタンのキュヴェAとBを利き比べる。

こんにちは。
本日は熟成したドミニクローランの特級マジシャンベルタンをレポートします。
..と言ってもこのブログは結構マニアックなブログなのでちょっと特殊な比較をします。
ドミニクローランのマジシャンベルタンは90年代後半まで2つのキュヴェに別れていました。
その名も「キュヴェA」と「キュヴェB」。違いは購入元の生産者が異なっている部分ですが、販売される市場も異なる様です。その違いは一体何なのでしょうか?今回はその部分を追って行こうと思います。


ドミニクローランは元々お菓子職人で、本職を投げ捨てて1988年からワインの世界に入り始めました。
当初から非常に高品質のワインを作っていることで評価は高かったのですが、新樽に拘りすぎたが故にテロワールを尊重していない、ギイアッカの影響下にあった等と、まぁ賛否両論があります。しかしながら樽へのこだわりは相当なもので、自身で理想とする樽を作る為に板材の選定から生産まで行ない、しかもそれを他のドメーヌや外国に販売している。ネゴシアンなのでワイン自体は樽ごと他の生産者のものを買い付けるのですが、その購入条件は「古木から作られた葡萄を手積みした」生産者のもののみと徹底しています。更に自身の樽に詰め替える事で、このドミニクローラン節を作り出しています。

さて、AとB。いってみましょう。


生産者: ドミニク ローラン
銘柄: マジ シャンベルタン グランクリュ キュヴェ A 1998


31290円、WA94-97pt(1995)
外観はやや濃いルビーで粘性は強い。非常に澄んだ凝縮した旨味があり、しっかりとした熟成香がある。ソースの様なスパイシーなニュアンス。梅しばやドライイチジクの様な果実味、生肉やなめし革の野性的な香り、藁っぽさ、トースト、ドライフラワー、オリエンタルスパイス、コリアンダーなどの風味が感じられる。
タンニン、酸味は穏やかでありながら、凝縮感があり、キチンと整理された香りと味わい。甘さこそ無いが旨味は突出している。

生産者: ドミニク ローラン
銘柄: マジ シャンベルタン グランクリュ キュヴェ B 1998


34650円、WA94-97pt(1995)
外観はキュヴェAと比較して更に濃いルビーで粘性も非常に高い。
全体的に野性的な風味と樽のニュアンスが強めで荒々しい味わい。
もともとの醸造工程で抽出の強いバルクを購入しているのだろうか、全体的に硬いニュアンスが感じられる。
複雑さを構成する若干の馬小屋臭、そして熟成肉やスパイスの野性的な香り。スモモ、イチジクなどの強い酸味を感じさせる果実味、そしてなめし革、藁。トリュフ、草などの大地の香りを感じさせる。熟成香はしっかりと感じさせるものの、徐々に甘露な果実と樽の香りが浮き上がってくる。
キュヴェAと比べると、かなり酸味もタンニンも突出しており、現段階では舌に残るタッチは良いとは言い切れない。ただ凝縮感や旨味に関してはAと比較すると高いポテンシャルを感じさせる。

さて、同一ヴィンテージの同一畑ではありますが、15年の熟成してなお、この二者のスタイルは全く異質なものであるということがわかります。これが若いヴィンテージだとしたら、より際立っていたでしょう。
ドミニクローランのネゴシアンとしてのスタイルはバルクワインを購入している為、かなり個性の異なる生産者から買い付けている可能性が高いのではないかと思います。
ちなみにキュヴェAは主に国内消費向け、キュヴェBは輸出向けという形で切り分けられているとのこと。なるほど、このスタイルの違いは市場の好みも反映しているのではないかと。
よりキュヴェAの方が自然で、キュヴェBはとても濃厚で野性味があり力強いです。

共通点としては共にとても豊かな熟成感を感じさせる味わいで、かつ濃密な味わいを感じさせます。
ブルゴーニュの熟成スタイルというより、むしろボルドーやカリピノの熟成スタイルに近いのかな、と。熟成を経て出汁になるという感じではなさそうですね。

両者の違いに関しては本文でも書いていますが、キュヴェAは濃厚でありながら、どこか澄んだ熟成感を感じさせます。凝縮感というのですかね。密度が高いと思います。
またキュヴェBはより複雑かつ強固、野性味を感じさせる味わい。抽出が強いからか、こっちの方が若々しい体躯だし樽もより強く効いていると思います。90年代に流行ったパーカー向けのスタイルですかね。
マジシャンベルタンのテロワールの再現という意味だと、基本的に他のクリュを飲んでいないので何とも言えませんが、冷涼かつ堅固というテロワールの特徴には今ひとつあっていないの様な気がします。恐らく時期的に新樽200%の時代だと思われますし、抽出も強めなので、テロワールの再現はあまり気にしていなかったのかな?と。
ただこれに関しては現在のドメーヌローランで忠実に再現出来ているので、単純に彼の好みだと思うのですが。
基本的にはとても美味しいし、熟成する事で樽のニュアンスは消えて行きますので、あまり気にすることではないと思います。

ただもう少し熟成を重ねるともっと良くなるかもしれませんね。
その時にキュヴェAとBが如何程の違いを表すのかとても気になります。



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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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