【ローヌ:4】南部北部の鮮烈なるローヌ最高峰の饗宴



こんにちは。
本日はローヌ南部、北部のトップ生産者のワイン4本です。
南部シャトーヌフデュパプはヴィユーテレグラフ、ボーカステルのオマージュ エ ジャックペラン、北部コートロティはルネロスタン、北部エルミタージュはシャーヴのものを。

ヴューテレグラフは1792年にクロードシャップが創設したワイナリーでヌフで最も恵まれたテロワールを保有している。合計で180エーカー(うち赤は111エーカー)という広い面積を保有している。ちなみにテレグラフは名前は近くにあった電信塔にちなんで付けられた。生産量は今回のスタンダードキュヴェで17000ケース。平均樹齢55年という古木から作られた葡萄はやや早めに収穫され、グルナッシュ古木のみ全房、グルナッシュ若木、シラー、ムルヴェードルは完全に除梗される。ステンレスタンクで12-15日間発酵がなされる。その後セメントタンクで12ヶ月、オーク旧樽で1年間の熟成を経てリリースされる。新樽は使用しない。
フラッグシップはテレグラム。

シャトー ド ボーカステルはローヌ南部で長熟するワインを生産している生産者。全て有機的な方法で栽培された13種類の葡萄の木を使用し、偉大なシャトー ヌフ デュ パプが作られている。
その中でもオマージュ ア ジャックペランはシャトー ド ボーカステル最上級のキュヴェで生産本数は約400-425ケースしか作られていない。これは生産者の全生産量のわずか1.5%でしかない。平均樹齢65年-90年強の古木を使用。ムルヴェードルとシラーは全て除梗され、発酵はセメントタンクで3週間、その後古いオーク大樽で8ヶ月から18ヶ月熟成し、24ヶ月過ぎから瓶詰めされる。

ルネロスタンはローヌのコートロティの名手。父から伝統的な農法を学びながらも常に伝統的農法と現代技術を検討して最良を選択しながら、その最上のキュヴェを生産している。
生産本数はスタンダードなロティで16500本、樹齢35年程度の木から作られるシラーは除梗され(ヴィンテージによって異なるが)ピジャージュを自動的に行うステンレス製回転式発酵槽で発酵を行い新樽30%で24ヶ月熟成される。大型のドミミュイとオーク樽を併用している。
フラッグシップはコートブロンド、ラ ランドンヌ。これらはロティ最上の畑であり、高い樹齢から生み出される。

シャーヴのエルミタージュルージュは9つのリューディから成り(その中にはシャプティエのレルミット、ドゥラスのベッサールも含まれています)基本的に単一畑で醸造することは無いようです。シャーヴの芸術的な所はそれらの個性のブレンド技術に起因するものだと言われています。これらはまさにローヌ北部のトップワインと言って差し支え無いだけに値段も高く、それでも引く手数多なので入手しにくいのが現状です。生産本数は30000本程度、平均樹齢は60年程度。収穫された葡萄は10%新樽で1年間熟成させたのちに、大樽に移し替えさらに18~24ヶ月の熟成をかさねてから瓶詰めし、最低12ヶ月は瓶熟してから出荷されている。
ちなみに最良ヴィンテージのベッサールは100%新樽でひと樽のみ熟成されキュヴェ カトランという名前でリリースされている。


生産者: ドメーヌ デュ ヴュー テレグラフ
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ 2009
品種: グルナッシュ65%、ムールヴェードル15%、シラー15%、その他5%

約7000円、WA92pt
外観は明るいルビー、粘性は中庸。エレガントなタッチでありながら野性的な風味を伴うシャトーヌフ デュ パプ。
黒胡椒や山椒などのスパイス香を中心にアメリカンチェリーやストロベリーの溌剌とした果実味。アプリコットの様な甘露さ。ラベンダーやドライハーブ、パストラミハム、シナモンなど風味が感じられる。
口に含むと滑らかなタンニンと柔らかな酸、アフターにたっぷりとしたアプリコットの果実味と甘み、スパイスの様な辛苦みが残る。極めてシラーのスパイシーさを強く感じさせるワインだ。


生産者: シャトー ボーカステル
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ オマージュ エ ジャック ペラン 2000

品種: ムールヴェードル65%、グルナッシュ20%、クノワーズ10%、シラー10%
約40000円、WA97pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
実経年数を考えるとかなり熟成を経た印象で、既にソースやシイタケの様な風味が現れている。
ただ熟成しきっている訳では無く、黒胡椒などのスパイス、煮詰めたイチジク、ブラックベリーなどの豊満な果実味が感じられる。非常に糖度が高く豊満な印象を受ける。
また野性的な生肉、濡れた木材、腐葉土、ドライフラワーなどのアーシーな風味も感じられる。シナモン、リコリス、燻製、ワッフルなど。
口に含むと滑らかなタンニンと柔らかな酸、アフターに木材、煮詰めたブラックベリーの豊満な果実味、そして馬小屋の様な嫌な風味が残る。質感はとても良いが若干馬小屋臭が気になる。
やはりムルヴェードルのこの香りは個性があるというか、好みを選ぶよな、
と思う。


生産者: ルネ ロスタン
銘柄: コート ロティ 2005
品種: シラー80%、ムールヴェードル10%、グルナッシュ10%

11000円、WA90-92pt
外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
より瑞々しく華やかでスパイシーな印象。蜜の様に澄んだ甘露さが感じ取れる。エルミタージュと比べるとややエレガント。黒胡椒のスパイシーな風味と赤系のアメリカンチェリーやクランベリーの様な溌剌とした果実味がある。茎や薔薇の風味、パストラミハムや血液、ラベンダー、漢方、ワッフル、グローヴ、バニラなど。
口に含むとキリッとした綺麗な酸と心地よいタンニン。ギュッと詰まった木材の風味と瑞々しいベリーの甘い果実味が旨味に変わり余韻を綺麗に残していく。


生産者: ジャン ルイ シャーヴ
銘柄: エルミタージュ 2006
品種: シラー100%

約30000円、WA96pt
外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
とても濃密で甘露。アロマティックでしなやかな芳香が漂う。既に只者では無い感じ。樽の使い方と黒系果実の風味はどこかポムロールにも通じるものがある。
ミルクティーやワッフル、煮詰めたブラックベリーやカシスリキュールのコンポート。パストラミハムや黒胡椒やシナモンなどのスパイシーな香り。ユーカリ、西洋杉、僅かに薔薇やスーボワなど。
とにかく香り同様口に含んだ時の滑らかさは比類が無くて大変密度の濃い木材と煮詰めたブラックベリーの風味が感じ取れる。素晴らしい旨味と凝縮感がある。でもこんな感じだったかなー?


さてまずはシャトーヌフデュパプから。十分に偉大なワインである事を前提においた上でボーカステルのオマージュ エ ジャックペランは好みに合うヌフではありませんでした。
これはボーカステルのワインによく現れる自然酵母がもたらすブレタノマイオス臭、テイスティングコメントで言う馬小屋臭がかなり気にかかります。
この要素が複雑味をもたらしているのは間違いの無い事実ではあるものの、ここは結構個人差があるところなのかな、と思います。
ただそれ以外の部分に関しては非常に優れたワインで、熟成感はあるものの、まだまだ若々しい、というか非常に凝縮感と甘みを感じさせるものとなっています。豊満で糖度が高いワインだと思います。また10%のシラーが良く効いていてスパイシーなニュアンスが感じられます。ニューワールド的なニュアンスとはベクトルが異なりますが、同じくボディの強さと複数品種による複雑さを両立した素晴らしいキュヴェだと思います。まあ、人によりますけどね...結構キツイですよ、この馬小屋臭。
対してヴィユーテレグラフのヌフはまたタイプが異なります。
またよくある最新型シャトーヌフと異なっていて、果実味に寄っているタイプではありません。十分に甘露ですが、より古典的なスパイシーなニュアンスが強く出ていると思います。華やかで闊達とした印象を受けます。
ジャックペランと比較するとより酸味と華やかさが突出している印象ですね。ジャックペランはもっと濃厚で重いと思います。
タイプは両者でかなり異なっていますね。こんなに幅があっていいのか...シャトーヌフは。

さて次はコート ロティ。
比較的このブログでも稀に登場するルネロスタンです。
この生産者、たまにワインごとに感じる印象がかなり違うんですが、これは一体何なんでしょうね。
気になったので過去のヴィンテージを並べてみました。

■ランドンヌ、コートブロンド 2009
共に果実味が突出。ボルドーの様な樽香。スパイシーさもあるが、そこまで目立たない。

■キュヴェ クラシック 2007
非常にスパイシー。鉄釘、プルーン、カシスの野生的で力強い果実味。

■ランドンヌ、コートブロンド 2006
スパイシーさや野性味が強い、樽香が強く感じられる。ブルゴーニュのオリエンタルなインセンスの樽香。

2009年だけは果実味が突出していますが、他のヴィンテージは押し並べて似た印象です。スパイシーさが全面に出たエレガントさ。
ちなみに今回の2005年も同様の印象です。

なるほど、ヴィンテージチャートを眺めてみると納得。単純にヴィンテージの出来不出来に起因するもので、2009年が非常に素晴らしいヴィンテージになったため、果実味が全面に出たのだと思います。
今回の2005はとてもスパイシーですが、瑞々しい果実味があってコートロティらしいエレガントさがしっかりと出ていました。
2009年はどちらかというとエルミタージュ的な様な気がしますね。

さて最後はジャン ルイ シャーヴのエルミタージュ。このブログでは2回目ですかね。
今回の2006年のシャーヴはとてもエレガントかつ濃厚でした。誤解を恐れずに言えばさながらポムロールの濃厚さや樽使いにとても似ている。2009年のジャミーさ、果実感とはちょっと異なりますが、まあ2009年は完全に硬かっただけだと思います。
その点2006は綺麗に開き始めていて極めて高い果実味とともにスパイシーを両立しています。
個人的には2006の方が好きですね。エルミタージュらしいパワフルさもあるし。
ボルドーのスタイルに魅力を感じる人にはすんなりと入れる味わいだと思いますし、なによりボルドーのトップクラスと比べて安いので個人的にはこちらの方がオススメです...手にはいればですが...

さて、ローヌ、これにて終わりですが、生産者の個性、土壌によって大分違いますね。
個々の個性を掴む所までは至りませんでしたがなかなか面白い比較になったと思います。




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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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