
こんにちは。
今日はブルゴーニュの(個人的に)注目ドメーヌ、ルイシュニュのフラッグシップ2本です。
このドメーヌのすごい所はなんと言っても、その品質と価格のバランスですね。
いわゆる高抽出、新樽の風味ががっつりついたピノノワールとは真逆の、ひたすら澄み切った滋味溢れる透明感のあるピノノワールを作っています。
雑誌で高得点を取れる様なワインではありませんが、日本人の好みにはとてもフィットした良いワインだと思います。
ルイシュニュの歴史は意外と古く1917年にサヴィニーに設立されました。このドメーヌも他の生産者同様2000年までは生産した殆どをネゴシアンに販売していましたが、当代のキャロリーヌから自社元詰を始めています。
栽培面積は9ha、
栽培は厳格なリュット・レゾネによって行われ。2006年から3haのみビオロジックでの栽培も始めています。収穫された葡萄は100%除梗。マセレーション後、新樽比率20%で熟成、ノンフィルターで瓶詰めされます。
今回はサヴィニー レ ボーヌ 1級のラヴィエールとオージャロンの2本です。
生産者: ルイ シュニュ
銘柄: サヴィニー レ ボーヌ プルミエクリュ レ ラヴィエール 2007

約3000円
外観は明るいルビー、粘性は中庸。非常に良く出来た薄旨系の超高レベルなピノノワール。
瑞々しくキュートなストロベリーやアメリカンチェリーリキュールなどの赤系果実の果実味。茎や若い葉、松の樹皮の様なニュアンス。赤い花の蜜やベリー系の甘露さ。なめし革、シナモン、ゴム、グローヴ、ハーブなどのニュアンスが感じられる。
タンニンは穏やかで、酸味と梅しばの様な染み入る様な心地よい旨味が感じられる。ビロードの様な舌触り。かなりレベルの高い高品質なピノノワール。
生産者: ルイ シュニュ
銘柄: サヴィニー レ ボーヌ プルミエクリュ オージャロン 2006

約3000円
外観はやや暗めのルビー、粘性は中庸。熟成起因の部分もあるが、瑞々しいラヴィエールと比較して、より肉厚で濃密な印象を受ける。
ダークチェリーやブラックベリーの豊かな果実味、紅茶やバニラ、濡れた木材、ドライハーブの風味。やや茎っぽさや薔薇、タイム、クローヴなどの枯葉や土の香りが主体となっている。シロップの様なわずかに甘い香りもあり、ベリーティーに牛乳を垂らした様な風味だ。
酸味、タンニンともにやや際立っており、やや質感がキツイ印象を受ける。ただ口の中で弾けるジャムのようなベリーの風味とミルク、紅茶の風味はさすがだな、と思う。
ざっと特徴を見ていくと、オージャロンが肉厚で、ラヴィリエールはとても澄んだ味わいになっています。
基本的に2006年、2007年の間でのヴィンテージ優劣はさほどありませんので、実際には1年間の熟成期間とそのテロワールの違いに全てが集約されると思います。

これを見る限りだと丘に向かって右手側にラヴィリエール、左手側上部にオージャロンがあります。
ラヴィエールの平均樹齢は60年。非常に石の多い土壌で開口部に開けたテロワール。オー ジャロンはボーヌ側に位置する平均樹齢30年の一級畑で砂質土壌。標高としては若干オージャロンの方が高いですが、地味に斜面は東を向いています。対してラヴィリエールは標高こそ低いものの、開口部の風の影響と南向きの畑。目の前に丘がありますが、南方向なので、多分あまり影響は出ないでしょうね。水捌けはラヴィリエールの方が良いでしょう。
従ってジャロンは日照条件の影響を受けてしっかりしたボディのワインが、ラヴィリエールは風の影響と最高とは言えない日照条件の為、やや繊細なワインが出来ているのでは無いかと思います。しかし繊細だからひ弱なのかと言われれば全くもって違くて、高樹齢による(ブルゴーニュとしては珍しい古木だと思います)凝縮感がしっかり感じられます。
個人的に好きなのはより繊細さや瑞々しさを感じるラヴィエールの方が好きですね。オージャロンも大変素晴らしいのですが、ルイシュニュに求めたいスタイルとはわずかに乖離している味わいだったので。
ただラヴィエールは長熟はしないと思います。熟成香は無く香りは極めて若いですが、タンニンや酸といったボディは既に古酒みたいな柔らかさがある為、ポテンシャルはやや低めといった所でしょうか。
そうはいってもラヴィエールのギュッと引き締まった酸味とか旨味、透明感のある香りは本当にいい。飲んでいると自然に顔が綻んでしまう様な嫌味さやキツさを感じない素直なワインですね。
突出した何かがある訳では無いのですが、欠点もなく、それがとても良い特徴になっていると思います。
こういうワインがどんどん増えて来るといいですね。
あんまり見かけないんだよなあ...こういうの。パトリックジャヴィリエのサヴィニー グランリアールも確かこんな感じだったと思うが。
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