【シンクさん:1】コラボ記念!二つのレビューから第一楽章を探る

こんにちは、ひとりぼっちのテイスティング勉強会のサラリーマンHです。
いい加減この適当な名前はやめようかなー、と思っています。割とどうでもいいですが!

さて、今回2人のワインブロガーさんにお願いして記事を寄稿してもらいました。今回はシンクさんです。

シンクさんは「オタクDeワイン-シンクのテイスティングノート」というブログを主催されていて、独自の(そして特異な)視点からワインの味わいに切り込んでいます。主に新世界やボルドーにお詳しいので、そちらが好きな方は必見です。
それでは、お願いします。

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ハローハロ~
シンクです!よろしくデス!!

ボルドー、イタリア、カリフォルニアなどで記事を~との事で推参いたしました。
早速何か書こう!とおもったものですが、なかなかどうしようかという具合で結構悩んだのですが、
やっぱりスタートは私はこのワインで始めたいなぁと。


そう、オーパス・ワンですね。
モンダヴィとフィリップ的な意味も込めて!

とはいえ、実は私のほうのブログでも、こちらでもすでにオーパスに関する記事は書かれています。
なので、初回から超変則的なんですが2つの記事の内容からオーパスに再度迫ってみるという事をしてみたいと。

さて、まず私の方の記事はこんな具合に書いています・・・
【シンク記事@2013年3月7日】
私は過去何回かグラスティスティングしており、ヴィンテージは04・06・08・09を飲んでます。
どのヴィンテージでもまとまりが良く味わいの変化が早い印象があります。
呑んだ範囲のヴィンテージだと色はどれも濃い紫。
果実の香りの質が良く少し近づけるとミントっぽさが出ています、口当たりの円やかさはかなりシルキー。
カシスはもちろんのことイチゴっ気が感じられるのは、タッグのフィリップ側の影響を感じさせます。
樽からくるバニラの香りは程よく効いており、抜栓したてはイチゴキャンディーめいた雰囲気です。
このワインはとてもアメリカワインのイメージを作っている部分があり、その最たる部分が抜栓直後からの味の変化の早さ。
だんだんと果実のバランスが良くなっていき、後味にココアとミントの甘やかな味付けが出てきます。
流れるような動きで、余韻もたっぷり。
凄く調律された作り、完璧な美味しさの表現をしてくれます。
このインテリジェンスさこそ、まさにカリフォルニア!ナパワインの底力なのです!
まさに高嶺の花なんですが、故に面白みというか癖を感じないワインではあります。
バランス型すぎ、またフランスとアメリカの両方の良いところを見せてくれるのが中途半端とも。
そういった点が評論家には響かないワインなのかもしれません。

・・・・・・と、まぁ私はこんな感じでした。
次に、こちらのブログでの記事で

【サラリーマンH記事@2012年6月19日】
色調は黒に近いガーネット、粘性は高い。
ボルドーとはかけ離れたアメリカンなボディ。ザ ナパヴァレー的な造り。
ドライプルーンやカシスのジャム、干しぶどうを想起させる強烈な甘やかさ。インクっぽさが残るが、ジャムやキャンデイの様な甘露さ。
ミント、スミレ、ラベンダー、やや鉄釘。強くローストした西洋杉、チョコレートフォンデュ。分厚い豊満なボディ。悪い言い方で言うとスイーツの様に非常にしつこい味わいとも言えるか。果実の集中力が凄まじい。この目の詰まり方はさすが。
凡百のナパと比べて大きく異なるところはボディの濃密度と鼻を抜ける際のミントか。甘いだけではなく複雑な要素も楽しませてくれる。
酸は穏やかだが、タンニンは非常に強い。ただし、その卓抜した甘露さでもって絶妙のバランスを演出している。
2008年も素晴らしかったです。
この濃密感、甘さはボルドーでは出ないし(ボルドーは要素の調和が素晴らしいですね)、新世界全体のフラッグシップ、開拓者とも言える造りは非常に驚くべき部分です。
何度飲んでもキッチリと感動できる造りは素晴らしいと思います。

・・・・・・1年以上の差ですが、こうした具合。
うん、実力差を感じます!!(震え
なお、両者とも基本的には若めの2000年台、特にオーパスが売られメイキングチームが変わってから後のシリーズでのコメントになっています。

さて、こうして見た時に少なすぎる検証幅で見てみると
「共通項」
が結構ハッキリしているのがわかりやすいワインなんですね。
では抽出していくと

色:濃い事は言わずもがな。紫の要素が相当高い。
香り:カシスとキャンディー的な印象が両者でバッティング。カベルネと樽自体の強さを如実に感じさせますね。ただ、どちらも香りに関して「強すぎる」とは感じていません。
味の印象:基本的に明瞭に甘さを感じている節がみられます。タンニンや酸は割りと両者で違った部分がみられるかな~。バランスがいい、というのも同意な模様。そして、アフターにおける「カカオ・チョコレートフォンデュ」「ミントの抜け」というのが最大の特徴ではないかと。ここ、要チェックなのです

色、香りに感じてはそこまで明確にオーパスの個性と言い切れない印象ですが、味わいの特筆点における「チョコのような甘さ」と「それを複雑にするミントアフター」は大事なポイント。
要素から考えると

・飲むタイミングも状況もある程度違う二人がここを抑えている=ヴィンテージがキーではない
・オークヴィルの土壌によるモノ。畑の特性という見解。
・醸造方法によるモノ。各種仕込み方から来る味という見解。

こちらのブログ的には、畑特性に迫るべきかしら?

・立地に関してはブロック分けが明確。その上でトカロンや山脈麓などの「山の下の方」ですね。
・背の低い垣根づくり
・若木と古木は混在しておりコンピュータ管理
・土壌はハッキリとはしていないが、恐らくボルドーに近いモノを選択している。

果実の強さはこの辺りの「日射の良さ」が最たる原因かな?

続いて醸造方法で見ていくと
・グラビティーフロー採用
・手摘みだが、選果は「機械」か「人の手」かが大きく情報源によって異なる
・フレンチオーク新樽100%で概ね18ヶ月の樽熟成と3年程度の瓶内熟成により出荷
・スキンコンタクトは長め(これも割りと抽象的)

キャンディー要素はフレンチオークでの熟成が1年半程度にしてある部分でしょう。
飲みやすさは何となくグラビティーフロー効果かなぁ?

と、言った具合でひとまず。
見れば見るほど「お金がかかっているなぁ」という印象です。
ブロック分け、グラビティーフローが出来る設備、フレンチオークを大量に並べられる場所……それをナパでやっている、というのがスゴイなぁ。
故に高くなるものの、その一部を他国や無名ワインがやると安く美味しいのが飲めるのかな?とも思えます。

第一回から変則的かつ長い記事になりました。
次回登場の際は上のモデルのようなティスティング記事になるかなーって。

値段がまたまたあがっているオーパス・ワン、1万円台ぐらいで05~が手に入れば安いみたいな世界観は「アレ」ですけど、お試しない方はぜひチャレンジしてみてくださいませ。
なんとなーく、ティスティング記事の雰囲気がわかるかも~



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【ブルゴーニュ:31】ドメーヌ フーリエ、2011年ポートフォリオを利く


こんにちは。
先日からボチボチレビューをあげていますが、本日は2011年のフーリエ一挙6本レポートします。
対象はACブルゴーニュ赤白、村名ジュヴレシャンベルタン、一級シェルボード、一級コンブ オー モワンヌ、一級クロ サン ジャック。
特級グリオットシャンベルタン、一級グリュアンシェや一級シャンポーはありませんが、おおまかな方向性は見て取ることが出来たのではないかなと思います。

フーリエはブルゴーニュでジュヴレシャンベルタンに拠点を置く生産者で、非常に手に入りにくいドメーヌのひとつです。価格は高騰しているとはいえ品質を考慮するとまだ良心的な生産者とも言えます。
フラッグシップのクロ サン ジャック、そして特級グリオットシャンベルタンは毎年争奪戦。
栽培はリュットレゾネ。なるべく自然に近い状態で栽培を行っている。葡萄に負担をかける摘房はせず、摘芽で収量制限をおこなっている。樹齢はいずれも高く、樹齢100年のクロサンジャック、樹齢85年のコンブオーモワンヌ、樹齢74年のグリオットシャンベルタンを保有しています。
厳重に選果された葡萄は100%除梗し、半分が破砕される。低温浸漬は自然な温度によって行われ、その後アルコール発酵。空圧式のプレス機て圧搾の後、この手の生産者では珍しい最大20%という低い新樽比率で18ヶ月熟成。そして無濾過、無清張で瓶詰めされます。
抽出は...本人曰くし過ぎていないとのことですが、やや強めにも感じます。

さて、ではいってみましょう!



生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ブルゴーニュ ブラン 2011

約5000円。
外観は僅かに濁りのある淡いストローイエロー、粘性は低い。
去年同様とても良くできたブルゴーニュブラン。スタイルとしてはシャサーニュモンラッシェのシャルドネを想起させる。
しっかりとしたミネラル感とフレッシュなライチや洋梨の果実味、バターや白い花、フレッシュハーブ、リコリス、シナモンなど。
酸は穏やかでフレッシュ。ただニューワールド的なボリューミーな感じでもないし、過剰にシャープなわけでもない。マロラクティック発酵を経た順当なブルゴーニュシャルドネだと感じた。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ブルゴーニュ ルージュ 2011

5000円。
外観は濃いめのルビー、粘性は中庸。
香りからして既にブルゴーニュルージュの域を超えている。複雑で官能的な香り。
ワッフルやシナモン、リコリスなどのスパイスや軽い樽香。そして強烈なチェリーリキュールやブラックベリーの豊かな果実味が渾然一体となって立ち上がる。果皮由来の薔薇やスミレ、タバコやマッシュルーム、なめし革。
ややタンニンと酸味が強く、旨味の出方もクラス以上のものを感じされる。熟成にも耐えうるキュヴェだろう。やはり一級以上の濃密度と比較するとやや劣るものの、十分にフーリエの素晴らしさは体感できるワインだと思う。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン 2011

約10000円、WA92pt(2009)
外観は濃いルビーで、粘性は中庸。
果実味主体、酸味を伴うダークチェリー、ラズベリーの豊かな果実味。スミレや茎、グローヴ、タイムの青い風味。鉄や燻製肉、コーヒー、焦げたゴムなどのほのかな樽の香り。華やかだがやや青い風味を伴う。
ブルゴーニュルージュとはやはり異なっていて、酸味、タンニンともにバランスが取れている。ボリューム感も地域名に比べるとしっかりとある。口の中でスミレやロースト香、ベリーの香りが広がる。ややドライ。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ シェルボード 2011

約13000円、WA92pt(2009)
外観は澄んだ濃いルビー、粘性は高い。村名と比較すると、よりクリアで硬質な作りだが、一級群の中ではも最も柔らかい。
果皮ごと漬け込んだダークチェリーリキュール、なめし革や鉄の硬い風味。瑞々しい花の蜜や砂糖の入ったミルクティー、バニラの様な香り。口に含むとスミレやタイムやグローヴの青い風味が感じられる。香水の様な香り。藁の様なロースト香がほのかに感じられる。
滑らかだが、際立った酸味。柔らかいタンニン。蜜のほのかな甘みと旨味と酸味が規模は小さいながらもしっかりとまとまっている。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ コンブ オー モワンヌ 2011

約16000円、WA93pt(2009)
外観は澄んだ濃いルビー、粘性は高い。ジュヴレシャンベルタンらしい強いミネラル感とロースト香がある。シェルボードと比べてより果皮の濃いダークチェリー、ブルーベリーの風味が強く出ている。シェルボードより硬質でなめし革や鉄の香りが強く出ている。紅茶やトリュフ、わずかにミルクコーヒーのロースト香が感じられる。(ロースト香は強め)花の蜜の香りも感じられるがシェルボードに対してやや控えめ。
シェルボードと比較するとより酸味と旨味が強く感じられる。タンニンは同程度。酸味が旨味となって口の中に広がる。ミルクやタイム、ダークチェリーの風味が強く感じられる。より凝縮した旨味が感じられる。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ クロ サン ジャック 2011

約24000円、WA96pt(2009)
外観は澄んだ濃いルビー、粘性は高い。
明らかに香りの集中力、凝縮度が高い。(抽出も強く感じる)
コンブ オー モワンヌ、シェルボードを超えるミネラル感、果皮の強い香り。
漬け込んだダークチェリーのリキュール、ブラックベリー。最も強烈なミネラル感、鉄分やなめし革、トマトの風味が感じられる。最も閉じこもっている時間が長かったが、一時間程度で開き始めた。ミルクティーや糖蜜の広がりのある香り(二つの1級よりは開いていない)や強烈なスミレや薔薇の香り、タイム、土っぽさ、樹皮やグローヴ、炭焼きの様な(ややキャッチーでない)ロースト香。
コンブオーモワンヌをも超える厚みのある酸味と旨味が感じられる。タンニンもやや強めか。
よりハーブやタイムなどの青い香りやダークチェリーの風味、ミネラル感が感じられる。
いつまでも口の中にとどまる様な余韻の長さと奥行きの深さが感じられる。



さて、それぞれ比較していこうと思いますが、まぁ白はいいですね。前回やりましたので。今回は赤に焦点を絞って書いていこうと思います。
まずはACブル。
他のACブルゴーニュと比較してタンニン、酸味は強いが、かなり早い段階で開いてくる。
構成要素は村名ほど複雑ではないが、香りの豊かさは村名と同等程度。こじんまりとしているが良くまとまっている。
村名ジュヴレシャンベルタン。
ACブルより遥かに硬く、酸味を伴うドライな風味。村名だけにジュヴレシャンベルタンらしさがしっかりと表現されている。タンニンは比較的柔らかいが、酸はやや厳しめ。
より華やかで骨格のしっかりしたワイン。一級シェルボードやACブルほどではないものの、比較的早めに開いてくれる。そして開いた時のボリューム感はACブルを遥かに凌駕する。
一級シェルボード。
ひょっとしたら村名より開きやすいかもしれない。村名ジュヴレシャンベルタンを超えるクリアさと硬質さを持つが、すぐに膨大な甘露さとボリューム感が現れてくる。
タンニンは柔らかいが、酸はさらに村名より際立っている。村名より引き締まった体躯でありながら、比較的早い段階で開き甘露な姿を見せてくれる近付きやすい一級畑。
一級コンブ オー モワンヌ。
村名で感じられた硬質さは、強固なミネラルを伴い、より引き締まった濃縮感のある液体となっている。
故にシェルボードとは比較にならない程酸と旨味が全面に出ており(タンニンは同程度)、開くのには相当な時間(グラスで40分程度)を要した。ただ開いた状態で花の蜜程度なのだから、本来はもっと時間のかかるものなのか。
鉄やなめし革、果皮の冷たく華やかな成分が前に出ており、かなりジュヴレシャンベルタン的な造りだと感じた。
一級クロ サン ジャック。
方向性としてはコンブ オー モワンヌの流れを汲むスタイル。ただ際立って硬いコンブ オー モワンヌをも超えるミネラル、酸味、タンニンの含有量。その分液体から感じられる凝縮度、集中力は抜群に素晴らしい。
開く姿はほぼ全く見せず、サーヴ時からの時間変化はほぼ無し。延々と冷たい華やかさや鉄分、なめし革のニュアンスが立ち上がる。一瞬だけミルクティーや糖蜜も感じられたが、すぐに閉じてしまう。
コンブオーモワンヌと比較すると構成する要素はより複雑で、口に含んだ時の酸味と旨味が生み出す余韻と奥行きは最上級クラス。

まとめると以下の通り。

■香りが開き始めるまでの時間
(早い)地域名<シェルボード<村名<<<コンブ オー モワンヌ<<<<クロ サン ジャック(遅い)

■硬質さ・ミネラル
(柔らかい)地域名<<<村名<<シェルボード<<<<コンブ オー モワンヌ<<クロ サン ジャック(硬い)

■酸
(穏やか)地域名<<<村名<シェルボード<<コンブ オー モワンヌ<<クロ サン ジャック(シャープ)

■タンニン
(穏やか)地域名<<<村名=シェルボード=コンブ オー モワンヌ<<<<クロ サン ジャック(厳しい)

■旨味
(穏やか)地域名<村名<<<シェルボード<コンブ オー モワンヌ<<<クロ サン ジャック(豊か)

■甘露さ
(ドライ)クロ サン ジャック<<<<コンブ オーモワンヌ<<地域名<<<村名<<シェルボード(甘露)

■香りの複雑さ
(シンプル)地域名<<<<村名<シェルボード<<コンブ オー モワンヌ<<クロ サン ジャック(複雑さ)

とりあえず群を抜いてクロ サン ジャックが硬く強固である事はよくわかります。
1級内では微細な違いがあってコンブ オー モワンヌはクロ サン ジャックと同等の方向性を持っていて、シェルボードはちょっと違うタイプですね。取りつく島も無く硬い2つの1級畑と村名と比較して、かなりキャッチーに仕上げられている感じがしますね。
コート サン ジャックに位置するコンブ オー モワンヌとクロ サン ジャック、マジシャンベルタン下部にあるシェルボード。

クロ サン ジャックは立地としてはラヴォー サン ジャックやカズティエとほぼ同条件なんですが、土壌が上部・中部・下部で異なり、複雑な構成となっています。また斜面の急勾配は効率的な日照を実現し、ラヴォー渓谷から吹き付ける風を石垣が防ぎ、その熱を保持します。コンブオーモワンヌはラヴォー丘陵、カズティエの隣に位置する畑でクロ サン ジャック、ラヴォー サン ジャック、カズティエに比べて真東に向いています。背斜面からの風も受けにくい場所。白色泥炭土、鉄分の多い土壌で構成されています。シェルボードはシャペルシャンベルタンに隣接する一級畑でこちらも風の影響は受けにくい立地で、標高は低めに位置している。

土壌を考慮に入れると、シェルボードが柔らかく開きやすいというのは納得だとして、クロ サン ジャックとコンブ オー モワンヌが問題ですね。
クロ サン ジャックは葡萄が熟しやすい好条件がそろっており、コンブ オー モワンヌも風の影響を受けにくい所にあるので、果実味豊かな味わいが全面に感じられるのではないかと思うのですが、今まで飲んだクロ サン ジャックを考慮するとそうはならないようです。重厚でソリッドで複雑なワインがおおむね多い様な気がします。コンブ オー モワンヌもそうですね。
これらの畑は確かに果実味は豊かなのですが、どこかしら冷たさや硬質さを感じさせるワインが多い様な気がします。今回(2011年)のフーリエを飲んで果実味よりも硬質さをコンブ オー モワンヌとクロ サン ジャックから感じ取れたのは...やはりヴィンテージなのかなぁ、という気がしています。
というのも去年のフーリエはシェルボードはむしろ青さがあって、対してコンブ オー モワンヌとクロ サン ジャックはかなり甘露さが前に出ていたからで、それを考えると、ここまでコンブ オー モワンヌとクロ サン ジャックが硬いのは今ひとつ想像つきにくいな、と。
2010VTは2012年10月に飲んだので、今年はやや早め(8月)に飲んでいる事を考えると、そこも影響しているのかな?まぁ、あまり細かく考えてもキリが無いっちゃ無いのですが。

例年と比べると、フーリエのジュヴレシャンベルタンとしてはやや酸が目立った年なのかな、とは思います。
ミネラルも非常に良く出ていて甘露さ自体は2010年に劣るものの、冷涼で硬質なボディを持つジュヴレシャンベルタンらしいワインが出来ているのではないでしょうか。
個人的には割と好きな感じです。





【アルザス・ロワール:2】ロワール最高峰、クロルジャールとドメーヌユエ、ニコラジョリーの卓抜したキュヴェを利く。

こんにちは。
本日はロワールです。
ロワールはブルゴーニュやボルドーほど有名な産地ではありませんし、こだわる消費者もいません。その為今ひとつ地味な印象があります。ただその実、今回のクロ ルジャールやニコラジョリー、ユエ、そしてディディエダグノーを飲んだ人は必ずその素晴らしい品質に驚きを覚えるはずです。ここまで懐の広い産地だったのかと。
ロワールはペイ ナンテ、アンジュ エ ソーミュール、トゥーレーヌ、セントルニヴェルネの4地域に大別されます。
ペイナンテは白主体でミュスカデ、アンジュ エ ソーミュールとトゥーレーヌは白(と貴腐)はシュナンブラン、赤はカベルネフラン。そしてセントルニヴェルネは白はソーヴィニヨンブラン、赤はピノノワールとガメイ...といった具合に地域によってかなり大きな違いがあります。当然懐も広くなるという。
面白い産地です。優秀な生産者も沢山います。
今回はその中でも粒ぞろいの生産者です。

ドメーヌ ユエは1928年にガストン氏が設立したヴーヴレイの伝説的なドメーヌ。
所有畑はル オー リュー、ル クロ デュ ブール、ル モン、ドメーヌ・ド・ヴォダニ。土壌は緑色の粘土や二酸化ケイ素を含む石灰岩土壌。
現在はノエル パンゲが指揮を行っており、以降ビオディナミを1991年から試験的に栽培を始めています。
収穫時は成熟した葡萄のみ丁寧に選定し収穫を行い、3日間かけて収穫を行います(熟度を見ながら)。
収穫した葡萄は発酵には小樽、または大樽、ステンレスタンクを使用し自然酵母のみで発酵を行います。

ニコラジョリーはロワール サヴィニエールに拠点を置くビオディナミの第一人者で、その農法は世界中の自然派ワイナリーに広く伝播しています。
保有している畑はサヴィニエール クロ ド ラ クレ ド セラン(7ha)、サヴィニエール ロッシュ オー モワンヌ(3ha)、サヴィニエール(3ha)。
1984年からすべての畑でビオディナミで栽培が行われており、いわゆる今のプリミティヴなビオディナミ...牛や羊などを飼い、ハーブを育て、そこからプレパラシオンを作る。そして家畜による除草、耕作を行っている。
発酵時も自然酵母による発酵で温度コントロールしません。デブルバージュ、コラージュはせず、古樽で数ヶ月間熟成後、瓶詰め前にフィルター処理を行い出荷されます。

クロ ルジャールは1664年に設立された世界最高峰のカベルネフランを作り出すソーミュールシャンピニーの生産者。現在はシャルリー フコー、ナディ フコーが指揮を取っています。
樹齢は40年~45年。栽培はビオディナミで行われており、収量は春の芽掻きや冬場の摘芽により最大限にまで抑えられています。(なんと30hl/ha。低収量主流のローヌに劣らない低収量!)、そして収穫は手摘みのみ。
選果された葡萄は100%除梗、選果台で更に選果を行います。発酵は主にステンレスタンク、もしくはセメント槽で行われ、自然酵母で発酵。30日程度の長いマセラシオンの後、新樽とシャトーラトゥール使用の1年樽で36ヶ月の熟成が行われます。
今回のポワイユーは南向き斜面の上部に位置し、風通しが良く温暖な気候となっています。
何故か知る人ぞ知るワイナリーになっていますが、事実最高のカベルネフランを作り出している事に関しては疑いようの無い事実。実際シュヴァルブランも訪問しているほど。是非一回飲んでみてください。

さて、いってみましょう。


生産者: ドメーヌ ユエ
銘柄: ヴーヴレ ル モン ドゥミセック 2008
品種: シュナン ブラン100%

3000円、WA85pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は高め。
ニンニクや魚介出汁の風味、白い花やドライハーブ、クリーム、ヘーゼルナッツ、シャンピニオンなどを想起させる香り。またシベットや西洋山査子など風味も感じられる。スパイシー。
香りとしてはやや還元的で、若干閉じこもっている印象がある。
当然ながら残糖分はあり、アプリコットやパイナップルなどの豊かな酸味を伴う果実味を強く感じる事が出来る。甘みを伴った綺麗な酸味、旨味が広がる。余韻も長い。


生産者: ニコラ ジョリー
銘柄: ロッシュ オー モワンヌ クロ ド ラ ベルジュリー 2002
品種:シュナンブラン100%

外観は黄金に近いイエロー、粘性は高い。重々しい辛口。
しっかりとしたミネラル感、甘口ワインの様な香りやボディを感じさせるが驚きの辛口。
ハチミツや、酸味や厚みを伴うアプリコット、レモンの様な香り。セメダイン、ドライハーブ、出汁、ナッツやキノコ。青リンゴの様なシャープさもある。
適度な熟成感があり、酸味と旨味に満ちた味わい。力強い凝縮感のある口当たりでボディも柑橘系の酸味と旨味がかなり強く出ている。


生産者: クロ ルジャール
銘柄: ソーミュール シャンピニー レ ポワイユー 2005
品種:カベルネフラン100%

7000円、WA91-92pt
外観は濃いガーネットで粘性は中庸。ボルドー右岸のカベルネフラン主体のグランヴァンに近い。
西洋杉、豊かな土の香り。そしてカシスやブラックベリーの瑞々しい果実味。煮た小豆、燻製肉、甘草、わずかにピーマンっぽさが感じられる。
シシトウの様な風味はあまり感じられない。
ボルドーの様にタニックではなく、ボディも重々しくない。綺麗なタンニンと酸が感じられる。より瑞々しいブラックベリーやカカオの味わいが広がる。とても調和が取れている。澄み切っているのにも関わらず、ときめく様な旨味がある。そしてとてつもなく繊細。ボルドー右岸を感じさせるが、その実ボディ含め全く異なるワインである事がよくわかる。


さて、まずは白のシュナンブランから。
ヴ―ヴレイとサヴィニエールはそもそも地域が異なりますし(ヴ―ヴレイはトゥーレ―ヌ地方、サヴィニエールはアンジュ エ ソーミュール地方)ヴィンテージも生産者も残糖も異なりますので単純比較はできませんね。
なのでひとつひとつ行こうと思います。
まずヴ―ヴレですが、かなり複雑な味わいのワインで、樽の影響を感じられる風味が特徴的でした。
熟成したローヌ白とコントラフォンのムルソーを樽香を足したような風味です。野性的で出汁の様な風味とヘーゼルナッツやシャンピニオン、クリームの様な濃厚な樽香が感じられます。やや還元的ではあるのですが、酸味もしっかりとあり、ポテンシャルはかなり高いのではないかと思われます。糖度もしっかりと残してますしね。

次はニコラジョリー。
以前このブログでも紹介したクロ ド ラ クレ ド セランはメチャメチャ硬くてミネラリーでしたが、ロッシュ オー モワンヌは幾分か柔らかい印象を受けました。熟成しているからでしょうか。
しかしともかく驚くのが、その果実の力ですかね。なんでしょう、このネットリ感。貴腐ぶどうでも使ったんじゃないかと驚くくらいの濃厚さ。
それもそのはず、なんとアルコール度数14%。ロワールだぜ。新世界じゃあるめえし。
ちょっと驚くくらいの濃厚さがあるワインです。
さて、前述しましたが、香りは完全に貴腐ワイン、もしくはレイトハーヴェストに起因する完全に熟した葡萄のそれです。香りを嗅いだだけでは絶対にこれが辛口だと思わない。そして飲んでみても「え・・辛口・・だよねこれ?」と思ってしまう。
純粋な果実酒の極まった香り。樽とかそういうのは一切なくて、限りなくピュアで重厚なワインだと思う。
おそらく若いヴィンテージではミネラルの硬さとなっていたであろう旨味と酸味が口の中で力強く広がっていく。
クレ ド セランも恐らくは熟成をするとこんな感じになるのでしょうか。なるほど偉大なワインですね。

最後はクロ ルジャール。これがもう本当に美味い。
方向性は違えどスーパートスカーナのパレオ、右岸のシュヴァルブランに匹敵する美味さ。
無論、その芳醇な香りは上記のカベルネフラン100%のワインのスタイル(特にシュヴァルブラン)を踏襲しているのですが、構成するボディが全く違う。
シュヴァルブラン程樽が効いている訳でも、パレオ程濃厚な訳ではなく、とにかく目が細かく繊細なタッチのワイン。
一見瑞々しく軽ささえ感じるのですが、その実内包する要素が不可測なく敷き詰められており、すばらしい調和が取れている。そもそもボルドーほど葡萄が成熟しないロワールだからこそ成し得た技。誤解を恐れず言うとボンヌマールとレ ザムルーズの関係性に近いと思う。
このワインが7000円前後で買えるのはほとほと信じられませんね。今後見つけたら必ず買っておこう・・・

いや、素晴らしいワインでした。
ロワールは通好みの部分が多分にあり地域も広いのでわかりにくいですが、ブルゴーニュとボルドーだけ見ているのは勿体ないと思うくらい素晴らしいワインがあります。是非探してみてください。



【アルザス・ロワール:1】トリンパック最上位リースリングとボットゲイルのゾンネングランツを利く。

こんにちは。
本日明日はアルザス、ロワールを特集していきます。
本日はアルザスです、生産者はボット ゲイルとトリンパック。

ジョスメイヤーは1854年にオイルズメイヤーによって設立された大手ドメーヌです。現在は4代目のジャンメイヤーが指揮を取っています。所有畑はACアルザスの他、2つのグランクリュ、ヘングストとブランドを所有しています。フラッグシップはセレクション グランノーブル(貴腐ワイン)
生産は2001年よりすべて有機農法とビオディナミによって行われており、併せて収量制限がなされ凝縮度の高い葡萄を栽培しています。
発酵は自然酵母によって行われ、ステンレスタンクで低音発酵を行わず、自然な状態でマロラクティック発酵を進めます。

ボットゲイルは1953年にエドゥアール ボットが設立したドメーヌ。
今回のゾンネングランツを含む5つのグランクリュ保有しています。1995年よりコントラフォンで修行を積んだ現当主のジャン クリストフが引き継ぎ、2002年からはビオディナミを導入しています。
50hl/ha(グランクリュは30hl/ha)に収量を抑え、収穫した葡萄は小箱を使用し葡萄を傷つけない様に搬送、プレス機で搾汁、フードルまたはステンレスタンクで醸造します。マロラクティック発酵も行わない。ステンレスタンク、フードル、一部オークの大樽で熟成を行う。

トリンバックは1626年にジャン トリンバックが興したドメーヌ。
現在は12代目となるピエールとジャンが指揮を取っています。トリンパックのフラッグシップといえば、何と言ってもキュヴェ フレデリック エミールとクロ サン テューヌ。
共にACアルザス グランクリュではありませんが、フレデリック エミールは粘土石灰質の特級ギースベルグと特級オステルベルグの混醸、そしてクロ サン テューヌは特級ロザケール最良の区画(1.67ha)の単一所有畑を使用しています。特にクロ サン テューヌは世界最高のリースリングとも言われています。
平均樹齢は50年。標高260~330mに位置する南東向き斜面の小石の多い石灰岩土壌から産出され、平均収量は50hl/ha。空気圧によりソフトに圧搾、ステンレスタンク内で2~3週間発酵(MLFはしない)した後早期に瓶詰めをして5年間、瓶内熟成を行った後出荷します。

さて、最上のアルザス、いってみましょう。


生産者: ジョスメイヤー
銘柄: ピノ グリ 2009
外観はごく僅かに赤を含んだストローイエロー、粘性はやや高め。
しっかりしたミネラル感と、フレッシュな熟した赤りんごやレモンの果実味が感じられる。ハチミツや白胡椒、バターなどの風味が感じられる。徐々に青っぽい風味も。
やや残糖分が高く、日本酒の様な余韻を残す。ボディや粘度は香りの軽やかさに対してやや重め。酸は際立ってはおらず、やや穏やかにも感じられる。
体躯はローヌのルーサンヌやマルサンヌに近いが、香りはアルバリーニョといったところだろうか。
バランスは良いが、中凡なアルザスワインだと思う。


生産者: ボット ゲイル
銘柄: アルザス グランクリュ ゾンネングランツ ピノグリ セレクション グランノーブル 2005
品種: ピノ グリ 100%

15000円、WA90pt。
外観は麦わら色の濃いイエロー(オレンジ?)粘性は非常に高い。
やや熟成感を感じられる香り。
灯油の様なミネラル。
濃厚なアプリコットや桃のコンポート、ハチミツ、白胡椒、紅茶の風味。
口の中で紅茶やハチミツの甘みがが口の中に広がる。余韻はとても長く、非常にエレガント。酸味は柔らかいが、むしろ人によっては甘みからくるエグさが気になるかも。


生産者: トリンパック
銘柄: クロ サン テューヌ 2006
品種: リースリング100%

20000円、WA93pt。
外観は淡いストローイエロー、粘性は低い。
フレデリックエミールを遥かに超える強烈な石の様なミネラル、ガソリンや石油に近い強烈なペトロール香に覆われている。レモンピールのシャープな果実の香り、バターや白い花、キノコ、白胡椒、ムスクなど。凄まじく潔白で他を寄せ付けない清潔感がある香り。
口に含むと、石油や、アプリコット、レモンなどの強い酸を思わせる果実味、そしてちょっとしたカカオの様な風味が広がる。旨味もある。残糖感はなくシャープで卓抜したミネラルを持つリースリング。余韻はとてつもなく長い。


さてアルザスです。
素晴らしいワインを飲むことが出来ました。トリンパックのクロ サン テューヌ。前回はフレデリック エミールを頂きましたが、今回は最高のリースリングと言うべきこの単一畑を飲めたのは最高の体験でした。
まずはピノ グリ2本。ボット ゲイルの貴腐ワインとジョスメイヤーの辛口ですね。
ジョスメイヤーはやや日本酒っぽいニュアンスがあるルーサンヌ、マルサンヌと言った感じで、やや洗練されていない感じがありました。
太いボディと酸味の際立った体躯は悪くは無いのですが、やや残糖が多く感じられるのと日本酒の様な味わいが、ちょっと合っていない様な気がしますね。これは単純に私の好みの話なので、人によりけりだと思います。
バランスが取れていて、ボディもしっかりしているので、決して悪いワインではありません。
ボット ゲイルはピノ グリの甘口。
ゾンネングランツが泥石灰土壌というのもあり、かなりミネラル感が感じられます。ここのミネラルの出し方は結構コントラフォンに似ているかな、と思います。風味は露骨に甘口で桃やアプリコット、ハチミツの風味が濃厚に感じられるのと、熟成に起因する紅茶の香り。なかなか素晴らしいピノグリでレベルの高さを感じますが、やや甘さに伴うエグみ、というか後味に残るちょっとした苦味が気になりました。
酸味も柔らかくエレガントなのですが、あと一押しといったところでしょうか。
最後にクロ サン テューヌ。
これが掛け値なしに本当に素晴らしい。フレデリック エミールと比較してより全面に強烈に現れたペトロール香と塊の様なミネラル、そしてレモンのシャープな酸味(シャンパーニュで言うとエクストラブリュット並)、白い花とスパイスが生み出す、他を寄せ付けない高貴さ、気高さが感じられます。とても内向的なワインで、まだ全貌は表していませんが、酸味、ミネラルを考慮すると、あと10年もしたら大きく花開いていくのではないかと思われます。冷たく、硬いタッチのワインです。品種も地域も異なりますが、この強烈なミネラル感と他を寄せ付けない高貴さはディディエダグノーのシレックスにも似ている。
そもそも石灰岩土壌でノンマロラクティックという時点でこの硬さが、トリンパックの表現する完成されたリースリングの姿なのかな、と思います。
この強烈なミネラルがいずれ生み出すであろう旨味と膨らむ果実味が最終的にどういう形で結実するのか、とても興味深い。
2008年でも果実味が現れていた素晴らしいフレデリック エミールを考慮すると、最上級のクロ サン テューヌが最終的に表現する味わいは、さぞかし素晴らしいものなのだろうな、と思います。圧倒的でした。




【シャンパーニュ:4】桜色の核兵器、ボランジェ グランダネ ロゼ、ビルカール サルモン ロゼを利く

こんにちは。
ちょっと夏休みで更新が滞っておりました。
さて、本日は前回に引き続きシャンパーニュ。ビルカール サルモンとボランジェのロゼです。

ビルカール サルモンは1818年にニコラ フランソワ ビルカールとエリザベス サルモンによって設立されたメゾン。ワインの葡萄は10haの自社畑(ピノノワールのみ)、30haの35の自社以外の畑、140haの契約農家の畑から産出されています。(ピノノワール、シャルドネはモンターニュ ド ランス地区とコート ド ブラン地区、ピノムニエはヴァレ ド ラ マルヌ地区から作られています。)
自社畑から作られるピノ ノワールはマレイユ シュール アイ村と特級のアンボネイ村産で収量は40~45ha/L。
醸造はバリック樽で行い、作られたワインは白亜質の天然セラーで12度の温度で寝かせられています。ロゼは2007年をベースにリザーヴワイン30%使用しドサージュは8g。瓶詰め後は25カ月の熟成を経て出荷されます。

ボランジェは1829年にジャック ボランジェによって設立されたメゾン。1884年からは英国ロイヤルワラントを取得しています。
フラッグシップはグランダネ、R.D、そしてヴィエイユヴィーニュフランセーズ。
葡萄は160haの自社畑から供給。
グランダネは特級畑のアイ、ブジー、グラマン、オジェ、ルーヴォワ、一級畑のマレイユ シュール アイ、キュイの葡萄を使用しており、ロゼに関しては、これにコトーシャンプノワ「コート オー ザンファン」(アイ村のピノノワール100%)を10%程度加えて造られています。収穫された葡萄はオーク樽で一次発酵(MLFも行う)後、コルク栓をしてカーヴで最低でも5年間熟成させます。ドザージュは7~9g/L。



生産者: ビルカール サルモン
銘柄: ビルカール サルモン ブリュット ロゼ NV
品種: シャルドネ50%、ピノノワール40%、ピノムニエ10%

約13000円、WA90pt
外観は淡い桜色で、粘性は低い。泡は穏やかに立ち上る。
びっくりするくらい華やかな香り。
熟した赤りんご。木苺やフランボワーズの華やかな果実味、甘い花の蜜。
フレッシュハーブ、グローヴ、フルーツケーキ、ナッツ、白胡椒など、複雑で肉付きの良い香りが感じられる。
ボランジェのロゼと比べると、シャープさは落ち着いており、より豊満な風味が感じられる。酸も穏やかである。


生産者: ボランジェ
銘柄: グラン ダネ ロゼ 2004
品種: ピノノワール62%、シャルドネ38%(グランクリュ73%、プルミエクリュ27%)

21000円、WA94pt(2002)
外観は非常に淡いロゼカラー。粘性は中庸。とても妖艶な香り。
キチイゴやラズベリーなどの溌剌とした赤系果実の風味、スミレ、フレッシュハーブ、若草、赤い花の蜜の様な甘露さがある。ブリオッシュ、ナッツの風味。シナモン、モカなど。
口に含むとベリー系の香りとレモンなどの柑橘系のシャープな果実味が感じられる。余韻は長くエレガントな風味が感じられる。
ボディは引き締まっていて、酸味はシャープ。


はい、今回はロゼです。
結構シャンパーニュは苦手分野で、概ね舐めてはいますが、細かいレコルタンマニピュランまではフォローしきれていないのが現状でございます。
しかもロゼ。ロゼの魅力はピノノワールに起因する瑞々しい木苺の風味やブラン ド ブランには無い豊かな肉付きだと思っていますが、何分経験値がそこまで高く無いので、そこを考慮頂いた上で読んでいただけますと幸いです。

まずはボランジェ。
ビルカールサルモンと比べると幾分か酸味が強くシャープに感じられるが、肉付きはしっかりとありながらも複雑な要素に富んでいます。
例えば樽。ブリオッシュやハーブ、ナッツの香りがより全面に現れていて、共にフレンチオークでの発酵ではあるのですが、ボランジェの方がより強く出ています。これはコトーシャンプノワや瓶熟成に起因するものなのかなあ、と。ただマロラクティック発酵済みなのにもかかわらず結構シャープさがあったりと、ちょっと情報と一致していない部分もあるのですが、ここは見切れていない部分が影響してるのではないかと思います。
次にビルカールサルモン。
泡にこそ勢いがありますが、全体的に丸みがを感じます。恐らくこれは30%ものリザーブワインが影響しているのではと思います。こちらも複雑ですが、よりキャッチーで華やかな印象。
ふくよかな印象です。ただこっちはノンマロラクティック...こちらもなんか情報と味わいがあまり一致していないような...葡萄の質でしょうかねー。
この2本に関して印象や方向性としては近く感じられるのですが、ボランジェはより複雑性に富んでおりリッチです。ただそれに匹敵するくらいビルカールサルモンのロゼのバランスはとても良い。調和が取れている。
個人的にはビルカールサルモンですね。よりピノノワールらしさがあって、個人的にはかなり好みです。
なかなか破壊力のあるロゼでした。
素晴らしい。


【シャンパーニュ:3】耽溺のシャンパーニュ、セロスのリューディとパイパーエドシックのキュヴェ レアを利く。

こんにちは。
本日はシャンパーニュ、パイパーエドシックのキュヴェ レア、リシャールシュルラン、セロスのリューディです。


リシャールシュルランはオーブ地区に拠点を置くレコルタン マニピュラン。
日本国内ではインポーターの尽力もあり非常に評価が高く、売り切れている所に良く出くわします。
平均樹齢25年、栽培は極力自然に沿った葡萄作りを行っている。
プレスは伝統的な木製の垂直型プレス機を使用し、ステンレスタンクで発酵。マロラクティック発酵を行う。
瓶詰め後の動瓶は手作業で行われる。カルトドールより若干若い樹を使って造られる。

1785年にフロレンス ルイ エドシックが創業したパイパーエドシック。現在はレジス カミュが指揮を取っています。
...実はそれ以外、あまり情報はありません。殆どがパイパーエドシックがいかに「セレブでクールなシャンパーニュ」かを切々と説いている文章ばかりです。いらねーんだよそんなん。
まあ、そういったテクニカルデータはもはや不要と、そんな感じなんでしょうね。映画やファッションブランドとのコラボレーションを行ったプロダクトもありますが、フラッグシップはやはりレアヴィンテージ。ドサージュはだいたい12g/Lくらいだそうです。

ジャック セロスは現在シャンパーニュで最も注目されているレコルタン マニピュラン。
ビオディナミから一線を引き、自然派でありながらロジカルにビオの必要不必要を判断している。
アイとアンボネイに0.7haのピノ ノワールを保有し、リューディを少量生産している。
一次発酵には2種類のサイズ、5つの樽メーカーを使用し、平準化をしている。発酵には天然酵母を使用し澱引き、濾過せずに翌年5月頃まで新樽比率10で樽熟成。マロラクティック発酵は行わない。この時点でリザーブかボトリングかを判断する。ボトリング後、3年間のカーヴで瓶熟成。デゴルジュマンは瓶口を凍らせずに手作業で行う。
今回のアイ コート ファロンはリューディシリーズの初リリースのもの。2003年の単一年で国内割り当てはわずか48本。樽発酵後1年の熟成が行われ、さらに6年の瓶熟成を経てリリースされたエクストラブリュット。ちなみにこの年のリリースはこのコート ファロンとメニル シュール オジェ レ キャレルのみ。コート ファロンは2003年を主体に2004年、2005年がブレンド。ドサージュは2g/L。ソレラシステム使用。エクストラ ブリュット。

さて、いってみましょう。

生産者:リシャール シュルラン
銘柄: カルト ノワール ブリュット NV
品種:ピノ・ノワール70%、シャルドネ30%

外観は淡いストローイエロー、粘性は低い。泡は柔らかく立ち上っている。
あまり香りは立ち上ってこない。
シャンピニオンや塩ナッツ、出汁、ミネラルの様な香りが感じられる。揚げ煎餅や動物的な香り。フレッシュハーブなど。果実由来の香りはあまり上がってこない。
青リンゴやレモン、ハーブなどの甘酸っぱい風味が口に広がるを酸味は鋭くシャープな印象を受ける。レモンみたい。


生産者:パイパー エドシック
銘柄: ミレジメ キュヴェ レア 2002
品種: シャルドネ70%、ピノノワール30%

約25000円、WA91pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
ほっくりした焼き栗や塩を降ったナッツ、エシレバターの塩スイーツの様な旨味に満ちた風味が感じられる。
そしてドライハーブ、杏仁豆腐、そしてライチや熟したリンゴの様な果実味なども感じられます。非常にローステッドでありながら豊かな酸味と旨味がある。さながらラモネのビアンヴニュの様なエレガントで心地よい風味が口に広がる。
ブラン ド ブランらしいクリスピーさ。
旨味酸味共に非常に卓抜していて複雑である。若干酸味が勝っているか。
心地よい熟成シャンパーニュ。全くもって素晴らしい。


生産者: ジャック セロス
銘柄: エクストラ ブリュット グランクリュ アイ ラ コート ファロン NV
品種: ピノノワール100%

63000円、WA92pt
デコルジュマンは2011年2月11日。外観はうっすらと赤みを帯びた濃いイエロー、粘性は中庸。
ドライシェリー、ドライハーブ、白胡椒などの複雑な風味が主体。そしてハチミツや凝縮感のあるアプリコットやカリンの果実味、花の蜜のような瑞々しい甘露さ、シャンピニオンやオイル、石の様なミネラルが一塊となって感じられる。構成する要素が非常に複雑で、リザーブワインをしっかりと使った、熟成感と若々しさを感じさせる作りだ。
酸味は強く、繊細な旨味と共に一気に広がっていく。突き抜ける様な強烈な柑橘系やアプリコットの旨味とシャープな酸味が魅力的だ。


まずはパイパーエドシックのキュヴェ レアから。70%がシャルドネと言う事でシャルドネのMLFっぽい味わいがしっかり出ています。また幾分か熟成を経て丸みを帯びており、いわゆる熟成したコート ド ボーヌの熟成グランクリュの様な味わいが感じられます。結構汎用性が高く王道的な味わいですが、清涼感のある酸味とあいまって非常にバランスの取れた古酒となっていました。現在が飲み頃といった感じでしょうか。
次にリシャールシュルラン。
これは事前の高い評価に対して、個人的にはあまり美味しいと感じる事が出来ませんでした。
というのも香りがあまり立っておらず、シャープな側面がやたらと強調されている。シェリーなどの複雑な要素は感じられるのだけど、香りの立ち方、味わいがやや不足気味でした。
状態の問題もあるかもしれませんので、再検証の余地はあるかもしれません。
そして最後はジャックセロス。
小区画(リューディ)の名の通り、土地のテロワールをしっかりと表現したシャンパーニュ。できれば水平で飲んでみたかったですが、何分球数も少ないですんで、コートファロンを飲めただけで良しとすべきでしょう。
アイのテロワールはあまりよくわからないですが(シャルドネは好きで調べるのですがね...)、アイは肉厚なピノノワールを算出する村らしく、ブラン ド ブランに比べて、より引き締まったボディを感じました。
全体的に泡や酸味こそ若々しいですが、熟成感を非常に強く感じる作り。
とても複雑でドライシェリーやハーブや白胡椒と共にシャープなアプリコットやカリンのニュアンスが感じ取れました。ミネラルもしっかりとある。
感覚としてはクリュッグのノンヴィンテージに近いですが、よりボディが引き締まっていてエッジの効いた味わいだったと思います。熟成感がありつつピンと張り詰めた緊張感があります。ダレた印象は全くないですね。複雑さと香り高さ、そしてシャープネスが魅力的なシャンパーニュだったと思います。

個人的にはブラン ド ブランが好きなのでキュヴェ レアですが、偉大なワインという意味ではセロスじゃないかな、とおもいます。素晴らしい。



【ブルゴーニュ:30】クロ サン ジャック 2010、個性と品質を改めて感じる水平3本。

こんにちは。
ここ最近暑くて参りますね、まあ夏だから当たり前なんですけれども、そうはいっても、やはりしんどいですね。
なんといってもワインをあまり飲みたくなくなりますからね、筆が止まるわけです。

はい、そんな事情は置いておきまして、今回はクロ サン ジャック水平です。生産者はアルマンルソー(こないだやりましたね)、ブリュノ クレール、ドミニク ローラン。いずれもタイプが異なる生産者ですが、どうでしょうか?

さて、いってみましょう。

ドミニクローランは元々お菓子職人で、本職を投げ捨てて1988年からワインの世界に入り始めました。
当初から非常に高品質のワインを作っていることで評価は高かったのですが、新樽に拘りすぎたが故にテロワールを尊重していない、ギイアッカの影響下にあった等と、まぁ賛否両論があります。しかしながら樽へのこだわりは相当なもので、自身で理想とする樽を作る為に板材の選定から生産まで行ない、しかもそれを他のドメーヌや外国に販売している。ネゴシアンなのでワイン自体は樽ごと他の生産者のものを買い付けるのですが、その購入条件は「古木から作られた葡萄を手積みした」生産者のもののみと徹底しています。更に自身の樽に詰め替える事で、このドミニクローラン節を作り出しています。
ただ現在のドミニクローランは当初とは全く異なったイメージを放っている事は飲んだ人は必ず理解すると思います。樽が過剰すぎる、というのは過去の話。現在は樽の要素は残しながらも主体は甘露でありながら果実味に溢れたとても優れたワインを作っています。

1979年に設立されたブリュノ クレールはマルサネに拠点を置く生産者。出生はクレール ダユだが、相続によって多くの畑を失い、後にブリュノクレールとしてそれを買い戻している。現在は合計23haを保有する大ドメーヌとなっている。
栽培はリュット レゾネによって行われている。樹齢は40-60年の古木を使用。収穫は手摘みで、除梗は多くて10%とほぼ全房発酵がなされている。低温浸漬を行い、自然酵母による発酵が行われる。
発酵後、新樽比率20~50%で16~22ヶ月の樽熟成が行われる。清澄は行われません。

そしてジュヴレシャンベルタンでとりわけ評価が高くファンが多いのがアルマンルソー。彼の作るシャンベルタン、シャンベルタン クロ ド ベーズ、1級クロ サン ジャックはまさに別格。ブルゴーニュでも群を抜いた偉大なワインとされています。ルーミエ程では無いにせよ、旗艦銘柄は瞬殺です。
葡萄の平均樹齢45年以上。ただでさえ収量の少ない古木。かつ収量を25hl/haにまで絞った葡萄はリュットレゾネに則って栽培、熟したタイミングでやや早めに収穫されます。除梗は90%程度行われ低温浸漬を経て、アルコール発酵が行われます。ピジャージュは1日2回程度。キュヴェゾンは20日間。その後クロ サン ジャックは100%新樽で20ヶ月程度の熟成を経たのち軽く濾過、卵白での清澄を行ったのち瓶詰めされます。


さて、いってみましょう。

生産者: ドミニク ローラン
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ クロ サン ジャック 2010

約12000円、WA93-94pt
外観は濃いルビー、粘性は高い。
甘露でボリューム感のあるしっかりとした果実味が感じられる。とてもドミニク ローランらしいが、エシェゾーほど樽が効いている訳でもなく甘露な訳ではない。至極真っ当なレベルに収まるブルゴーニュ。香ばしいワッフル、シロップ、コーヒーなどのローステッドな風味に、自然な甘露さを感じられるブラックベリー、ダークチェリーの果実味。華やかなスミレや薔薇の香り。やや抽出は強めだろうか。そしてオリエンタルスパイス、クローヴ、なめし革などの風味が感じられる。凝縮感はしっかりとある。
タンニンは他のクロ サン ジャックと比較してわずかに強いが、酸味は柔らかく滑らか。
余韻は長いし、染み出る様なじわっとした旨味がとてもいい。
スタイルとしてはエマニュエルルジェに近しい様にも感じられる。


生産者: ブリュノ クレール
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ クロ サン ジャック 2010

19000円、WA93-95pt
外観は浮遊物の多い濃いルビー、粘性は高い。
干したダークチェリーやブラックベリーの凝縮感のある甘露な果実味が主体となり、紅茶、濡れた土、紫蘇、スミレなどのナチュラルな香り。そしてワッフルなどの樽起因のローステッドな香りや舐めし革の香りが感じられる。
とても甘露でありながら、ジューシーな梅しばの様な広がって行く綺麗で強烈な旨味がある。酸味とタンニン、旨味のバランスがとても良い。素晴らしい。
ギュッと引き締まった凝縮感がある。
ドミニクローランほどあからさまな甘露さではなく、均等に酸味と旨味を纏った卓抜したクロ サン ジャック。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ クロ サン ジャック 2010

約29000円、WA91-94pt(2009)
外観は澄んだ中庸なルビー、粘性は高い。
村名と比べるとより目の詰まった凝縮感のある果実味が感じられる。ややミネラルも。
方向性としては分厚い黒系果実、ブラックベリーやプラムのジャムの様な甘露な風味が感じられる。オレンジ、薔薇やスミレの様な清涼感のある風味が漂ってくる。
スミレやミルクティーやローズヒップ、ドライハーブ、野生的な熟成肉の様な旨味、僅かに茎、五香粉、タイム、グローヴなど。シャンベルタン程樽は感じない。清涼感を感じさせつつ、非常に自然を感じさせる豊かな香り。
口に含むと綺麗な旨味を感じるが、やはり酸味とタンニンは突出している。酸味と同時にうまみがくる。若干果皮のニュアンスが強いか。


個人的にはブリュノ クレール>ドミニクローラン>アルマンルソーと言った感じ。
こう書くと本当に頭がおかしいんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかと。ただ実際の所ブリュノ クレールもドミニクローランも非常によく出来ているし、対してアルマンルソーは「こんなんだっけ...?」という印象。
それだけ単一でアルマンルソーを利いた時と印象が違っていて結構衝撃を受けました。当てにならんなあ、感じ方って...。
さてこの中で流石に全く異なるタッチを感じたのはドミニクローラン。
果実の熟度が明らかに高く、かつ樽もしっかりと利いています。モンジャールミュニュレの様な樽使いで、確かに樽のニュアンスは強いのですが、ロースト香が効きすぎているメオの上級キュヴェと比べると、かなりキャッチーだと思います。しっかりと熟した果実(これは古木も起因していると思います)が樽のニュアンスを受け止めている。
基本的には果皮の厚いスミレや薔薇のニュアンスとシロップを想起させるブラックベリーなどの甘露な果実味、ワッフルの樽香がバランス良くしっかりと感じられます。
この中では比較的濃厚で極めて甘露ですが、同じドミニクローランの超濃厚なエシェゾー2010と比べると、極めて自然に近い仕上がりです。
次はブリュノクレール。
ブリュノクレールとアルマンルソー、共通点が多く、共にリュットレゾネで低音浸漬を実施、樽熟成は20ヶ月程度行っていますが、幾つか異なる部分があります。

1:除梗比率
ブリュノクレールはほぼ全房発酵(10%程度除梗)、アルマンルソーはほぼ100%除梗です(90%くらい)

2:新樽比率
ブリュノクレールは50%、アルマンルソーは100%新樽。

3:収穫時期
ブリュノクレールは比較的遅摘みで、ルソーは早摘みです。

ここら辺はいい感じで真逆で、その違いが結構素直に感じられます。
まず一番良く現れているのが除梗比率の部分。よりブリュノクレールの方が土っぽさや茎っぽさ、紅茶のニュアンスがしっかりと出ています。
対してアルマンルソーはよりオレンジなどの清涼感のある澄んだ味わいが感じられます。梗の有無によって複雑さやスパイシーさが現れるか、澄んだ味わいになるか、かなり違いが現れていますね。
次に収穫時期。当然ですが収穫時期が遅くなれば遅くなるほど熟度の高い葡萄が採れます。ただルソーは熟しきった葡萄より適切な時期に葡萄を収穫する事をポリシーとし、ブリュノクレールはやや遅めにしっかりと熟した葡萄を収穫をするらしいです。
その為かブリュノクレールのワインには干した凝縮した黒系果実の様な果実味が感じられ、ルソーのワインには瑞々しい(が決して薄くない)果実味が感じられます。
今回結構ここの影響が大きいと感じました。
というのも2010年は2009年と比べてヴィンテージとしては「よりブルゴーニュらしい」作柄。些かルソーが弱く感じるのは、2009年と比べて2010年より収穫時の熟度があまり上がってなかったからなのかな、と思いました。
ヴィンテージをもろに受けている感じですね。
最後、新樽比率。
両方とも高めの新樽比率ですが、どちらも露骨に樽のニュアンスは現れてはいない様です。
ルソーのクロ サン ジャックは五香粉の様な香りが、ブリュノクレールのクロ サン ジャックはワッフルの様な香りが前に出過ぎない程度に適度に主張しています。樽とのバランスはとても良いですね。
さて、全体を見渡すとよりルソーは澄んだ果実味と調和を、ブリュノクレールはスパイシーさ、複雑さ、熟した果実味が前に出る様に作られています。
そしてブリュノクレールで最も素晴らしいと感じた点は、何よりも口に含んだ時の酸味、旨味、タンニンのバランスが極めて良いということ。
ドミニクローランはややタンニンが勝っているし、ルソーは酸味と収斂性が目立っています。
ともに時間を置けば落ち着いてくるものと思われますが、現状でいえばブリュノクレールが最も香り、口当たり、余韻共に優れていると思いました。

当然ですが、このクラスともなれば外れはほぼありません。ただ結構生産者のカラーがはっきり出たな、といった印象。
クロ サン ジャックとしての共通点としては、黒系果実の筋肉質な体躯が感じられました。ただ生産者ごとの違いの前では微細な共通点だと思います。
※あくまでその生産者の他のワインと比較した時に現れる違いの共通点です。

以上、ルソーの優位性を微妙に疑ってしまう結果となりました。
いや、でもどうなんだろう。この中でルソーがエレガントっちゃエレガントですよね...難しい...。



【日本:1】日本を牽引する優良生産者のシャルドネ、メルロー、ピノを利く。

こんばんわ。
本日は日本ワインです。
どちらも小規模な家族経営の生産者。山梨のキザンワインと長野のドメーヌソガです。

例によって製法などの詳細な情報はホームページに掲載されていますので、そちらをご覧ください。

さて、この3本は個人的にとても好きなワイナリーが作っています。
キザンワインは毎年甲州を、ソガは機会があれば(というのもなかなか手に入らないので...)買っています。
キザンワインの甲州は極めて優秀なテーブルワインを作っていて、フレッシュかつ樽が程よく効いた、適度なボディがあるワインを作っています。
また小布施ワイナリーは言わずもがな、プルミエの超高品質のカベルネソーヴィニヨン、メルロー、カベルネフランは日本でも有数のレベルの高さだと思います。そして常に話題の尽きない、日本有数のピノノワールの生産者、ドメーヌタカヒコ。パストゥグランは滑り込みで某百貨店で購入する事が出来ました。
みずみずしく、良い意味で飾り気のない綺麗なツヴァイゲルトレーベ、ピノノワールを作っています。

今回はキザンワインのセレクション シャルドネと、ドメーヌソガのメルロードゥジェムを頂きます。キザンワインとしては異色のシャルドネ、ソガはセカンド的な立ち位置のメルロー。
そしてタカヒコはパストゥグラン。
いかがでしょうか。


生産者: キザンワイン
銘柄: キザン セレクション シャルドネ 2011

約2000円
外観はストローイエロー。粘性は中庸。
非常に落ち着いた果実味の濃厚でもシャープでも無い薄口シャルドネ。
ライチの果実味と共に、バター、ナッツ、白い花の風味が感じられる。さながら薄いイタリア系新世界的な味わい。口に含むと希釈されたニューワールドのシャルドネの様なバターやライチのアフターが感じられる。酸も豊かではないと思う。


生産者: ドメーヌ ソガ
銘柄: メルロー ドゥジェム ル ヴァン ナチュール 2010

約4000円
驚くほどピノノワール的なメルロー。彼らのクレレ ピノノワールよりらしい作りをしている。
外観はやや淡いガーネット。メルローの様に黒くない。抽出はやや軽めに行われていると思われる。
基本的に大変瑞々しく甘露で、ダークチェリーやブラックベリーの果実味や焦がした黒砂糖の様な風味。
ここまではピノ的だけども、少しずつ西洋杉、ピーマンやシシトウなどの青い風味も現れてくる。ポムロールやメドックと比べると断然酸とタンニンは柔らかいが、香りがピノ的なので、やや体感強めに感じてしまう。旨味の現れ方はちゃんとメルローしている。ボディは大変柔らかいのであまり熟成は望めない。新樽比率はやや高めだと思う。香りはカリピノだけど酸味、タンニンは柔らかいボルドーといったところ。酸味の方がやや際立っているかな。バランスは良い。ビオっぽさもあまり感じない。


生産者:ドメーヌ タカヒコ
銘柄:ヨイチ ノボリ パストゥグラン 2011

約4000円。
とても華やかでいい香り。
外観はやや赤みの強いルビーでやや濁りがある。
梗を残した様なスパイシーな風味と、キュートなイチゴやクランベリー、スモモの様な赤系果実の果実味。
そして鉛筆の芯や土の香り、スミレ、そして生肉、クローヴ、燻製などの風味が調和を持って感じられる。
酸は穏やか、タンニンはピノノワールよりややしっかりと存在している。
酸、タンニンのバランスが良い。瑞々しい熟した赤系果実の風味が感じられる。
ガメイというよりメンシアや全房発酵のピノノワールに味わいは近いと思う。


まずはキザンワイン。
今回のシャルドネは個人的には「うーん」と言った感じ。
というのもあまりにも甲州が良く出来すぎているし、シャルドネは他のタイプを飲み慣れてからか、やや密度が足りない様に感じられました。その割にはしっかりと樽とマロラクティック発酵のニュアンスが感じ取れるので、より物足りなさを感じてしまうという。果実味がちょっと足りないんですかね。なんとなく惜しいな、と感じてしまう所です。
単純に作柄なのかは判断つきませんが、基本的には素晴らしいテーブルワインを作ってくれるのでとても楽しみにしている生産者ではあります。
あとはもう少し手に入りやすければ...と思う次第。
次にドメーヌソガのメルロー。
ピノノワールを想起させる様なミディアムボディかつ黒系チェリーの果実味を強く感じさせるワイン。ただ徐々にメルローらしい西洋杉、ピーマン、シシトウの様な風味が現れてくる。
いわゆるポムロールの重厚で豪華なメルローとは対極に位置するワインですね。プルミエはよりボルドースタイルですが、こちらは良い意味で綺麗に纏まったワインだと思います。
最後、ドメーヌタカヒコ。
前回同一ヴィンテージをやりましたが、曽我貴彦さんの言う通りちょっと開けるのを待ってみたら、あら、とてもいい感じ。もともと良いんだけど、ブルゴーニュのピノっぽさが増している。前回飲んでみた時もそうなのですが、100%ピノのキュムラより、ツヴァイ70%のパスグラの方がブルゴーニュらしい。
キュムラはちょっとボディが柔らかすぎるのですが、ツヴァイで適度にしっかりした体躯と赤系チェリーの風味、全房発酵のスパイシーさを持ったパスグラは自然派のシャンボールミュジニーといった佇まい。もしくはドイツのシュペートブルクンダーか。かなりいい感じです。癒し系ですね。
今年の状況は貴彦氏のTwitterアカウント(@DomaineTakahiko)で見る事が出来ます。来年も楽しみですね。

国産ワインの世界的な評価はともかくとして日本人の舌に合う良いワイン沢山あるのは、とても喜ばしい事ですね。
しかし今年の勝沼はとても猛暑に見舞われたみたいですが、どうなんでしょうね。特にカベルネソーヴィニヨンやメルローがどんな感じになってるかとても楽しみです。

【ブルゴーニュ:28】コート シャロネーズに拠点を置く生産者、ブルゴーニュ色々。

こんにちは。
今日もブルゴーニュですが、拠点をコートシャロネーズに置く生産者を書いています。

L.トラミエはコート シャロネーズのメルキュレに拠点を置く老舗ネゴシアン。
A.P.ド ヴィレーヌはDRC共同経営者であるオベール ド ヴィレーヌの所有するドメーヌで、現在は甥のピエール ド ブノワを指揮を取っています。コートシャロネーズに限定し高品質かつ低価格なアリゴテとピノノワールを作っていますが、生産はすべてビオロジック。新樽は使用せず、白は古典的な大樽で、赤は一部バリック樽の醸造を行っています。

生産者: L.トラミエ
銘柄: ポマール プルミエクリュ 2009


生産者: L.トラミエ(オスピス ド ボーヌ)
銘柄: ボーヌ プルミエクリュ キュヴェ ルソー デラント 2009


ヴィノスやまざきさんにて。
ポマールとボーヌ1級ですが、あまり良い印象がなかったので。外観は中庸なルビー。
ブラックベリーやダークチェリーの果実味が感じられます。樽もバランス良く効いていますが、如何せん全体的に小振りな印象が拭えません。
香りの立ち方、密度、酸やタンニン、すべてが小さくまとめられています。
6000円から9000円という価格帯を考えるとかなり厳しい印象です。
この感じで2000円ならまずまずお得ですが...ポマールやボーヌの一級畑に求めるレベルはちょっと到達していないかなあ、と。
まあボトルで飲んだら少しは印象が変わるかな...?試しに買ってみたいのですが、如何せん数千円払うにはリスクが高すぎる...


生産者: A.P. ド ヴィレーヌ
銘柄: メルキュレ レ モント 2011

約3000円。
外観は淡いルビー、粘性は低い。
香りはとてもガメイ的でフレッシュなストロベリーやラズベリーの果実味、そして黒胡椒やグローヴ、パストラミハムなどの風味を感じられる。
口当たりは酸味が豊かでタンニンは穏やか。スパイシーでちょっとシラーの様な風味が感じられる。DRCとは異なるが面白いワインではある。


ちなみにDRCに似ているという売り文句って凄く無責任ですよね。こんなん買ってる奴なんぞハナから飲む機会ねえだろという。
そして実際似てるかというと微妙。
DRCのワインは瑞々しい熟した赤い果実味と梗のスパイシーな風味、オレンジなどの調和の取れた風味が感じられますが、こちらはキャンディ香と梗のスパイシーさが前に出ており、さながらシラーとガメイの合いの子の様な佇まいを感じさせます。
品質自体は高いし、低価格帯でとても頑張って美味しいワインを作っているとは思うんですが、DRCとはバランスの取り方や押し出している要素がかなり異なると思います。
確かに「DRCの生産者が作る」っては間違いじゃないんですが、これを「DRCの様なー」といって押し出すのは生産者や消費者に対して失礼ではないのだろうか...と思ってしまいます。もし意図的に方向性を変えていたなら尚更で...
いやっ、まあ私もロマネ コンティ飲んだことないんですけどね...ハハハ。
ハハハハーハハ!

【ブルゴーニュ:27】アペラシオンを超越したACブル。フーリエ赤白とシャルロパンのフラン ド ピエを利く


※2011年フーリエ。今年はACブル赤白、村名ジュヴレシャンベルタンVV共にちゃんと手に入りました。

さて、本日はACブルゴーニュです。
ただ普通のACブルではありません。
2011年フーリエ。350本しか存在しない、シャルロパンのヴィーニュフランセーズを使用したACブルゴーニュです。

フーリエはブルゴーニュでジュヴレシャンベルタンに拠点を置く生産者で、非常に手に入りにくいドメーヌのひとつです。価格は高騰しているとはいえ品質を考慮するとまだ良心的な生産者とも言えます。フラッグシップの一級樹齢100年を超えるクロ サン ジャック、そして特級グリオットシャンベルタンは毎年争奪戦。
リュットレゾネでなるべく自然に近い状態で栽培を行い、葡萄に負担をかける摘房はせず、摘芽で収量制限をおこなっている。その後厳重に選果された葡萄は100%除梗され、アルコール発酵。この手の生産者では珍しい20%という低い新樽比率で18ヶ月熟成。そして無濾過、無清張で瓶詰めされます。
抽出は...本人曰くし過ぎていないとのことですが、やや強めにも感じます。

シャルロパンはブルゴーニュでも、アンリジャイエの弟子という枕詞と共に非常に注目されている生産者です。といってもアンリジャイエのワインを飲んだことがないので、今ひとつイメージが湧かないのですが。
全体的にパワー感がある印象。樹齢の高い樹を中心に、栽培はリュットレゾネで行われています。収穫をした葡萄は100%除梗され、約1週間の低温浸漬を経てアルコール発酵がなされます。新樽比率は殆どが30%で、特級で50%。
今回のフラン ド ピエはマルサネ付近の0.25haに植わったヴィーニュフランセーズから作られたACブルゴーニュ。


生産者: フーリエ
銘柄: ブルゴーニュ ブラン 2011

外観は僅かに濁りのある淡いストローイエロー、粘性は低い。
去年同様とても良くできたブルゴーニュブラン。スタイルとしてはシャサーニュモンラッシェのシャルドネを想起させる。
しっかりとしたミネラル感とフレッシュなライチや洋梨の果実味、バターや白い花、フレッシュハーブ、リコリス、シナモンなど。
酸は穏やかでフレッシュ。ただニューワールド的なボリューミーな感じでもないし、過剰にシャープなわけでもない。マロラクティック発酵を経た順当なブルゴーニュシャルドネだと感じた。


生産者: フーリエ
銘柄: ブルゴーニュ ルージュ 2011

5000円。
外観は濃いめのルビー、粘性は中庸。
香りからして既にブルゴーニュルージュの域を超えている。複雑で官能的な香り。
ワッフルやシナモン、リコリスなどのスパイスや軽い樽香。そして強烈なチェリーリキュールやブラックベリーの豊かな果実味が渾然一体となって立ち上がる。果皮由来の薔薇やスミレ、タバコやマッシュルーム、なめし革。
ややタンニンと酸味が強く、旨味の出方もクラス以上のものを感じされる。熟成にも耐えうるキュヴェだろう。やはり一級以上の濃密度と比較するとやや劣るものの、十分にフーリエの素晴らしさは体感できるワインだと思う。


生産者: フィリップ シャルロパン パリゾ
銘柄: フラン ド ピエ ピノノワール 2010

約12000円、WA87-89pt(2009)
透明感のある濃いルビーで粘性は高い。
とてもACブルゴーニュとは思えない極めてリッチで豪華な作りのワイン。
シナモン、ワッフルなどの豊かなロースト香。濃厚なブラックベリー、プラムの様な黒系ベリーの熟した果実味。そしてシナモン、黒砂糖などの強い甘露さが現れてくる。
そしてトリュフや樹皮などの大地の香りと、燻製肉などの野生的な香りが感じられる。
タンニンは滑らか、力強い酸味の方が目立っている。旨味と酸味のバランスが極めて良い。口の中で旨味と甘露さ酸を伴ったロースト香とダークチェリーの風味が広がっていく。余韻は長い。


さて、まずはフーリエ赤からです。
相変わらずACブルからして既に凄まじく良く出来ている印象。充実した酸もタンニンがあって、軽く5年は熟成する村名クラス。ただ他の生産者同様2009年、2010年と比べると酸が目立つ作り。抽出もしっかりとなされている印象でした。
まだやや硬くACブルでも美味しく飲むのにあと1年は必要の様な気がする。村名クラスから抽出と酸味、果実味のバランスが取れてきそう。
複雑だし、ギュッと引き締まった緊張感のある果実味はいいですね。
白の方もとても良く出来ています。しかしながら2010年と比べると、やや落ち込んだ出来の様な気がします。スタイルは変更なくシャサーニュモンラッシェの様なタイプの味わいで、フレッシュで清涼感のある豊かな果実味と、穏やかなミネラル、バターの風味を感じられます。ただ2010年に比べるとやや果実味が不足していて冷たい印象を受けます。こちらは早めに飲んだ方が良さそうですね。こちらも緊張感のあるワインになっています。
最後はシャルロパンのフラン ド ピエ ピノノワール。これを果たしてACブルとして扱って良いものなのか微妙ですが、AOC上はそうなっているので。ちなみに今年の生産本数は350本ですが、あまり購入する人がいないからか、たまにネット上で在庫を見かけます。
フィロキセラの影響を受けていない純粋なピノノワールを使用しているとの事ですが、別に19世紀のフィロキセラ禍を逃れた古木という訳ではなく、接木をしていない純粋なピノ。それだけの話。ちなみにテロワールはマルサネ。
それじゃあフィロキセラ前の19世紀のマルサネが全てプレミアムなワインだったかというと全然そんなことはないはずで、単純に今となっては扱いが難しく珍しいので値段が高いというだけですね。

そう考えると結構微妙...
ですがヴィーニュフランセーズとかそういうのを無しにして、とりあえずこれがもう本当にメチャクチャ美味い。
マルサネとは思えない凝縮感、そしてリッチさ。手の掛け方はもうプルミエクリュとかグランクリュとかそのレベルなんでしょうね。
むしろジュヴレシャンベルタンに近い。豊かな黒系果実、ロースト香。そして黒砂糖を想起させる風味。むしろソノマのピノノワールといった方がいいかも知れません。かなりレベルの高いワインだと思います。それこそACブルでは決して無いと。
品質的に見ると値段も妥当だと思われるので、見つけたら是非購入しても良いのではないかと思います。
フーリエは...運が良かったら是非買って見てください!



【西友】激安高品質プライベートブランド。それもそのはず...【奥さんのためなら】

こんにちわ。
徐々にレポートが緩くなっているのは夏の仕様です、サラリマンHでございます。
さて、いよいよワインが厳しい季節になって参りました。というか既にしんどくてあんまり飲んでないのですが、ブログは続いていきます。ストックがあるので。
この時期だけはタイトルも変えてビールブログにしようかしら...(本気)

さて、本日は我らが西友の神プライベートブランドのワイン3種類です。
ハハハ、こないだのルソーとは大違いですね。
でもこんなもんです、当たり前ですね、なんつってもこちとら安月給のサラリーマンですからね。

さて、西友のワインですが、実はラベルを見ると小さくボトラーズメーカーが書いてあります。
当然ですが、これらのワインは西友...じゃなくてウォルマートが自身で畑を耕してぶどう栽培している訳ではありません。ウォルマートがフィリッパ カールMWに選定を委託し、生産者から直接ワインを買ってる訳ですね。
なので、各エリアに購入先がおるわけですけれども、一部の購入先が結構すごい。たとえば今回のラングドックであればジャン ポール マスとか。
あのトワベー エ オウモンとかシャトー ポール マスとか作ってる安旨の帝王、そうなったら高品質で当たり前ですね。
その他にも無名有名問わず様々なメーカーが生産を担当していますが、とにかくフィリッパカールの審美眼が凄い。どれもとても良いですし、安い。
確かBB&Rが3人のMWを擁していましたが、素人目に見ても購買のセンスは抜群です。
1人のMWは一国の戦力に匹敵する!とか言いたくなりますが、それはさておきウォルマートの資金力で強化された西友のワインのポートフォリオはなかなか驚異的なものがあります。
バローロとかプイィフュメが3000円でお釣りがくるなんて信じられん...

今回はジャン ポール マスのカベルネソーヴィニヨン、シラーズ。そしてオスカーブリリアントのプイィフュメです。

生産者:ASDAセレクション(ジャン クロード マス)
銘柄: カベルネ ソーヴィニヨン 2011

外観は濃いルビーで粘性は高い。やや過熟したドライプルーンやブラックベリーの黒系果実の豊満で甘露な果実味、トースト、清涼感のある強いハーブやミントの香りが主軸となり、西洋杉、黒胡椒、甘草のニュアンス。
基本的に良いヴィンテージのボルドーの様なスタイル。新世界ほどボディは強くないが、過熟的な雰囲気を漂わせる甘露な味わい。
酸は柔らかいが、タンニンは流石に強め。ただ美味しく飲める様に果実の甘さを出す様に工夫されている様な気がする。


生産者:ASDAセレクション(ジャン クロード マス)
銘柄: シラーズ 2011

外観は濃いガーネットで粘性は高い。
キャンディの様なアメリカンチェリーやブルーベリーの奇麗に熟した黒系の果実味、黒胡椒やハーブ、百合や煙草、なめし革、漢方、い草、僅かにコーヒーやトーストの様なニュアンスが混じる。
やや新世界寄りのシラーズだが、どことなくスパイシーなローヌっぽさも感じ取れる。
果実味のしっかりしたクローズエルミタージュにも感じられるが基本的な骨子は新世界準拠だと思う。タンニンも強いが何方かと言えばやはり酸が際立つ。非常にスパイシーで完成度の高いシラーズ。


生産者: ASDAセレクション(オスカー ブリリアント)
銘柄: プイィ フュメ 2011

非常に美味しいプイィフュメ。価格から考えると抜群と言ってもいい。
外観は中庸なストローイエローで粘性は低め。
燻した様なスモーキーなニュアンスと共にやや強めの石灰のようなミネラル感。
ライムや青リンゴの様なフレッシュな果実味、フレッシュハーブ、白い花。
西洋サンザシや白胡椒のニュアンスが感じ取れる。
ディディエダグノーなどの最高の生産者と比較すると、丸みのある感覚を覚える。
これはミネラルがやや低めである事に起因するのではないか。
故に現段階で飲む事に非常に適している。
酸味は強く、シャープな作りでありながら舌に落ちた時の硬質な感じはない。
安定した良いソーヴィニヨンブランだと思う。


いやー、なかなか素晴らしいですね。
これは家飲みには本当にピッタリだと思います。
単純にグランヴァン然としているわけではなく、ある程度の高級感を残しながら、早飲みに最大の力が発揮できるような作り。熟成に耐えられるかはかなり微妙なラインですが、まあそういう用途にはほぼ使われないので、これで良いかと思います。
赤に関しては全体的に酸とタンニンは豊かでしっかりとしたボディがあります。たた果実味は非常に飲みやすく抑えられていますから、現時点で飲むのに適したワインと言えると思います。
白に関しては、やや酸は強めかなと思いますが、過剰にエッジの効いたミネラル感はなく、どちらかといえば酸味と果実味で爽やかな印象を表現している様な気がしますね。樽っぽさもなく、マロラクティック発酵もしていないのではないかと思います。
どれも良く品種の特徴を押さえていますし、飲みやすいワインだと思います。
それでありながら安い赤ワインにありがちな乳酸の香りが非常に強いタイプではないですし、白もシャープでギスギスした酸は感じません。
安っぽくなく、かつすぐ飲める様な良いワインを選んでいるなあ、と思います。
例えばワインを飲みたいんだけど、酒屋が閉まっている時間でも西友は開いてますんで、全然代用できますね。
コンビニセレクトのワインよりは断然品種の特性は感じられますし美味しいと思いますよ。

【オーストラリア:1】オセアニア最強のシラーズ、グランジ 1990。


こんにちは。
本日はオーストラリアのフラッグシップ。ペンフォールドのグランジ1990年をレポートします。

ペンフォールドは1844年に南オーストラリア州に設立されたワイナリー。現在は年間1400万ケースを生産する超巨大ワイナリー。大量生産のその一方でグランジというオーストラリアを代表するプレミアムワインも産出しています。設立当初こそ酒精強化ワイン造っていましたが(今でもグランド ファーザーという名前で売っています、日本未発売。グアムでは売ってましたね。)
1950年に当時の醸造長がボルドーを訪れてから、現在のスタイルに方向転換しています。
代表的な畑はカリムナヴィンヤード、グランジが産出されるクヌンガヒルヴィンヤードなど。
今回のグランジは様々な畑で作られるシラー、カベルネソーヴィニヨンをポジティブセレクションしたもの。個々の状況を見ながらブレンド、100%新樽のアメリカンオーク樽を18ヶ月間熟成。今回はグランジ ハーミテージから現在のグランジのみの名称に変わった初ヴィンテージ、1990年のグランジです。さてどうでしょうか。


生産者: ペンフォールド
銘柄: グランジ 1990
品種: シラーズ95%、カベルネソーヴィニヨン5%

96000円、WA95pt
外観は澄んだガーネットで粘性は高い。
サーヴ直後は熟成した新世界のワインらしい湿った粘度の風味が支配的だったが、程なく開いた。ダークチェリーやアプリコットの豊かな酸味と凝縮した果実味が感じられる。ミントや湿った土、焼いた黒砂糖、漢方、パストラミハムの野性的な風味、インクっぽさ、焼いたビターチョコ、アーモンド、キノコっぽさが感じられる。
徐々に果実味とハーブと旨味の液体になってくる。とてつもなく綺麗で滑らかな酸味と旨味。鉄やアプリコットなどの酸味の豊かな風味が広がる。
エレガントで力押しのワインではない。タンニンも穏やかになっており、今非常に美味いワイン。思わずニヤケてしまう。余韻もとても長い。


これは美味いですね...
実は何度かグランジを飲んだ事はあるのですが、せいぜい舐める程度で今回の様にちゃんと向き合って飲むのは始めてなのでした。
さて、グランジ、実は個人的にはあまり良い印象ではありませんでした。というの以前頂いた83年、93年がいかにも新世界の古酒にありがちな濡れた粘度の香りが全面にあって、美味しいとは言い難い出来だったからです。
しかし、その時は単純に抜栓直後にテイスティングした程度で全貌を見せていなかっただけだと、今回しっかりと味わってみて分かりました。
90年、素晴らしいです。
粘度の様な風味は程なく消えて、その果実味が現れてきます。
当然若いヴィンテージの様な果実味のクリアさ、鮮明さはありませんが、より複雑で豊かな旨味を伴った味わいに転化している。主体はダークチェリーやアプリコットのいわゆる新世界シラーズの甘露な果実味、そしてミントや焼いた黒砂糖、漢方の風味が複雑に立ち上がります。香りはとても甘露ですが、口に含んだ時のボリューム感と広がる酸味がとても滑らかで、果実味とあいまってとてもエレガントなテクスチャを構成しています。
オーストラリアの古酒はグランジくらいしか飲んだ事がないのですが、若い時分の方向性からベングレッツァーやトルブレックも同様の熟成を経て行くのではないかと考えられます。
あとモダンなシャトー ヌフとかもそうですかね。
流石はグランジ。果実味だけでないエレガントさ、複雑さも包含しているのは一日の長があるなと。
オーストラリア最高峰のシラーズである事はほぼ間違いないでしょうね。なにぶん高いのでなかなか飲む機会には恵まれませんが...
しかしグランジ ハーミテージってフランス語読みでエルミタージュなんだけど、なにがしかの関係があるのかしら?シラーの作り方を参考にしたからとか...?


さて、次はおまけのオーストラリアのソーヴィニヨンブラン。こちらもボルドーブレンドですが、値段はかなりお安いです。

生産者:レッドゲイト
銘柄: ソーヴィニヨンブラン、セミヨン 2011

2000円台。
ボルドーブレンドのオーストラリアワイン。外観はストローイエローで粘性も中庸である。
ミネラルはしっかりと感じられる。
抜栓直後はピーマンの様な香りが顕著だが徐々にソーヴィニヨンブランらしい爽やかな風味が現れてくる。主体はハーブや青草、青りんごやカリンの様な果実味、樽がしっかり効いており白檀、ムスクなどの風味も感じられる。
一般的なボルドーやロワールのソーヴィニヨンブランと異なりやや温暖な雰囲気も感じられ、蜜の様な甘みが感じられる。抜栓直後に感じられるシャルドネっぽさはセミヨンに由来するものだと思うが、徐々にソーヴィニヨンブラン寄りになっていく。
酸味は穏やかで切り立つ様なソーヴィニヨンブランのニュアンスもあるが基本的にはボリューム感を感じる造りではないかと思う。

結構セミヨンが強くてボリューム感を感じられる作り。そしてソーヴィニヨンブランのピーマン香りが凄く出ている。
個人的にはあまり好きなタイプではないかも。ソーヴィニヨンブランだったらロワールの様な清涼感のあるタイプの方が好み。セミヨンを入れるのであれば、もっと樽を効かせてほしかった。
とはいえ、果実味は豊かでそれなりに飲めてしまうところがずるいよなあ。
値段的には妥当な所だとは思います。

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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