【ブルゴーニュ:36】メゾン ルロワ、果実の生命力を感じる村名、一級畑2種。

おはようございます、HKOです。
本日はメゾン ルロワの村名と一級畑です。ご存知の通りルロワはブルゴーニュ最高の生産者。

マダムルロワが手がけるのは次の3つのライン、ドメーヌ部門のドメーヌ ルロワ、個人所有のドメーヌのドーヴネイ、そしてネゴシアン部門のメゾン ルロワ。目下最も手に入りやすく価格も安いのがメゾン ルロワですが、それでも並のドメーヌとは比べものにならないほど高品質かつ高額です。
メゾン ルロワはラルー ビーズ ルロワ率いる説明不要のブルゴーニュ最高のネゴシアン。栽培は厳格なビオディナミを行っている生産者のものから買い付けを行ない、新樽率100%で熟成、無清澄、無濾過で瓶づめが為されます。

ではいってみましょう。


生産者: メゾン ルロワ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ 2007

外観は透明感のある淡く橙がかったルビー、粘性は中庸。
丁度熟成感が出始めてきたと思しき、複雑かつ深みのある香りが感じられる。
フルーツケーキの香ばしさや甘露さ、イチゴやラズベリーの瑞々しい果実味、茎やクローヴ、スミレや土の様な野生の風味が全面に現れている。シナモンやハーブなどのスパイシーさ、生肉、トリュフ、白胡椒など。
いかにも自然派といったスパイシーで瑞々しいワインである。ただマダムのコメント通り熟成を視野にいれているからか、タンニンは収斂性が高く、酸は幾分か鋭い印象を受ける。現段階ではさほど魅力的ではない。より熟成して味わいの角が取れれば良くなるかもしれない。
瑞々しいが酸味とタンニンに裏付けられたボディはかなり強く感じられた。


生産者: メゾン ルロワ
銘柄: モレ サン ドニ プルミエクリュ クロ デ ゾルム 2007

外観はややオレンジを帯びた濁ったルビー。液体はさらさらしている。
ネゴシアンもので、かつトップクラスの一級畑という訳ではないが、驚くべき芳香を有している。
スタイルとしては以前飲んだニュイ サン ジョルジュ同様、梗のコリアンダーの様なスパイシーな要素や、瑞々しく果皮を感じさせるダークチェリーやブルーベリーの果実味。時折ジャムのような甘露さも感じさせる。柑橘系の要素とごくわずかにアンモニアの様な香りが感じられる。(ただブショネではなさそう)。そして生肉やなめし革の動物的な要素、ドライフラワーや土や紅茶、濡れた下草、リコリスの大地の香りが感じられる。
樽の香りはあまり感じられず、あくまで主体は果実味。スタイルはいわずもがなDRCと近いと思う。こちらも村名同様、酸味、タンニンが充実している。
村名のように、刺々しい部分は無いが、とにかく厚い酸とタンニンの層。口の中で熟成した黒いベリーの風味が溢れる。
徐々に熟成のニュアンスが出ているが、飲み頃はまだ先だろう。ただ十分に偉大なワインだ。


いやールロワはやはり独特だなあ、と思います。正直実際に除梗してるかしてないかわからないんだけども、いかにも近年のデュジャックやDRCの様な瑞々しいジャムの様な果実味とスパイシーさ、野性的な土や草の風味が感じられます。全房発酵の要素が液体に奥行きを与えている。複雑でエレガント、そしてメチャクチャ香り高いですね。
まずニュイ サン ジョルジュ。
フルーツケーキ、イチゴやラズベリーの瑞々しい果実味、茎やクローヴ、スミレや土の様な野生の風味が全面に現れており、スパイシーで瑞々しい印象。タンニンは収斂性が高く、酸は幾分か鋭い印象を受ける。
次、クロ デ ゾルム。
クロ デ ゾルムはクロ ド ラ ロッシュの下部に位置する一級畑で等高線上はシャルムやシャペル、グリオットと同様の高さにあります。基本スタイルとしては以前飲んだニュイ サン ジョルジュと近い。梗のコリアンダーの様なスパイシーな要素や、瑞々しく果皮を感じさせるダークチェリーやブルーベリーの果実味。時折ジャムのような甘露さも感じさせる。酸味、タンニンが充実している。
村名との明らかな差異はクロ デ ゾルムの方が圧倒的に瑞々しく、香りの鮮明度が高い。村名と比べて、より酸味、タンニンが引き締まり、香りも各々の要素が個別に明確に主張している。特にベリー系の風味とスパイス、土の香りが強いのに対して、他の要素がかなり抑え込まれていて、鮮明度や透明感が際立っている。ややクロ デ ゾルムのほうが肉付きも良いですね。

テロワールで言うと、共に明確な個性がある村ではないので、いかほどの差異が見て取れたかは不明ですが(かたや村名、かたや一級畑ですしね...)クロ デ ゾルムは黒系果実の要素があることから、やはりお隣ジュヴレシャンベルタン的に近いと思います。ただドライで硬いジュヴレシャンベルタンに比べて断然肉付きが良く、柔らかいですね。
ニュイ サン ジョルジュは赤系果実と黒系果実を両方とも感じますね。こちらもヴォーヌロマネ的な部分も感じられますが、より土っぽい感じがありますね。
マダムのワインはテロワールを忠実に再現するので、これが本来の姿なんでしょうね。なるほど。

素晴らしい。
でもせっかくだからドメーヌルロワやドーヴネイの一級、特級クラスも飲んでみたいよなあー。



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【ブルゴーニュ: 35】悠久の豊穣、特級モンラッシェ1984, 1994を利く。


こんにちは。
先日に引き続き、ピュリニー、シャサーニュの特級畑特集です。
今回は虎の子モンラッシェ。生産者はジョセフドルーアンとエティエンヌソゼでこざいます。
なかなか飲む機会のない特級モンラッシェ...こう、ミュジニー、シャンベルタン、リシュブールを飲むようなワクワク感がありますなあ。


エティエンヌソゼは約150年前から続く老舗ドメーヌ。品質はピュリニー、シャサーニュで5指に入る生産者で、約70年ほど前よりドメーヌ元詰めを始めています。2代目当主のジェラールは大学で醸造学を学び、ヴォルネイのプスドールに師事。その後ワインを生産し始めました。
相続によって大部分の土地を失った事もあり、大部分を買い葡萄を使用するネゴススタイルだが、基本的には購入先を変更する事はなく、ドメーヌと品質は変わらない。
アルコール発酵は木樽を使用し、やや高めの温度で行われる。バドナージュは1日1回。樽熟成は1級15ヶ月、特級18ヶ月。新樽比率は村名20%、1級30%、特級50%以下で熟成された後、瓶詰めされる。
フラッグシップは特級モンラッシェ、シュヴァリエモンラッシェ、バタールモンラッシェの特級畑です。

マルキ ド ラギッシュは、特級モンラッシェの約4分の1(2.6ha)にあたる区画(ピュリニー側)を保有している最大所有者。この偉大なるモンラッシェの栽培、醸造から販売は全てジョセフ ドルーアンが行っています。樹齢は最高52年、ビオディナミですが、詳しい栽培方法などは不明。アルコール発酵後フレンチオーク新樽20%で15-18ヶ月熟成を行い、瓶詰め、出荷を行っています。

さて、世界最高の白ワイン、如何でしょうか。


生産者: ジョセフ ドルーアン
銘柄: モンラッシェ グランクリュ 1983

約76000円。WA94-96pt(1989)
外観は濃いゴールド、粘性は高い。
ソゼにも劣らない、圧倒されるくらいに素晴らしいモンラッシェ。こちらは飲み頃に間違いなく差し掛かっている。馥郁たる香りとはまさにこの事。
熟成により果実味、樽の芳香が完璧に調和している。
カラメルやバニラビーンズ、クレームブリュレの香ばしい甘露さ、モカの香りが主体的。
30年近くの熟成を経て、未だに岩を砕いた様なしっかりとしたミネラル感が残っている。
そして複雑味をもたらすシャンピニオン、ヘーゼルナッツ。清涼感のあるドライハーブ、白檀などの要素も感じられる。こちらもソゼ同様驚くべき奥行きと緻密なテクスチャーがある。
全体的にとろける様な甘露さ、豊満な香りとは裏腹に、ミネラルとともに酸味も力強く旨味も強烈に現れている。
その分、質感はややゴツゴツしているが、クレームブリュレとアプリコットを想起させる余韻は美しく伸びていく。
まだまだ全然熟成しそうなモンラッシェ。


生産者: エティエンヌ ソゼ
銘柄: モンラッシェ グランクリュ 1994

約104000円、WA94pr
外観は濃いイエロー。
完全で偉大なるシャルドネ。
現段階では樽、ミネラル、果実の要素は完全には一体化していない。ただ非常に高レベルで溶け込みはじめている。故にまだまだ伸び代が残されている、ということとなる。恐ろしいことだ!残存しているミネラルもソゼらしくエレガントで鋭いし、若い頃に閉じこもっていただろう果実味も非常に優美に現れている。
まず目立つのがクレームブリュレ的な豊満な甘露さと、バニラ、カラメル、ドライハーブや焼いたホタテのニュアンス。そして徐々にヘーゼルナッツのオイリーさ、そして硬いミネラルが現れてくる。大地を感じさせる濡れた木材、トリュフ。徐々にハチミツやシロップのようなニュアンスも混じる。
ボトルも終盤に近づくと野生的で生々しいムスクの香りも漂う。ありとあらゆる要素を包含している様な気がする。複雑で深い奥行きを感じさせる。
20年近くの熟成を経ているのにも関わらず、ボディの不足感はない。
酸...というか旨味の層が厚く、滑らか。全くギザギザ感がない。旨味が綺麗に広がり、シャンピニオンやクレームブリュレの甘露さに変化して、至福の余韻を残す。




凄まじく豪華ですね。熟成した特級モンラッシェ2種類です。
共に熟成によって蕩ける様な官能的な姿を見せているのにも関わらず、まだまだ伸び代があるのが凄まじいですね。
共に主軸となるのはクリームブリュレを想起させる甘露さ。マルキ ド ラギッシュはバニラビーンズとカラメルに近いかもしれません。
卓抜した果実味と豊かな樽香の官能的な調和。これは最高クラスの熟成シャルドネが共通して放つ香りですが、バタールより遥かに豊満で分厚く、複雑で奥行きがある。ブルゴーニュにあって特異な特級畑だと思います。

さて、今回同一のテロワールを持つ2本で大きく異なるのは、何と言ってもヴィンテージ。エティエンヌ ソゼとラギッシュのそれは10年近く差異があります。こりゃあ、かなり大きな違いが出るだろうと思っていたのですが、ちょっと想像と違いました。
というのも、ソゼより熟成期間が長いマルキ ド ラギッシュの方が、香りと味わいのバランスがこなれていない印象。
ソゼのモンラッシェはまだまだ熟成の伸び代を残しながらも、香りは円熟しアタックにも滑らかさがありました。マルキ ド ラギッシュはその点、香りはとても円熟しており、ほぼ最高の状態と言っても過言ではないと思います。しかしアタックや舌触りの点で、かなり強い酸とミネラルを残している状態で、口に含んだ瞬間に荒々しい側面が現れてくる。さらに熟成を経れば酸もも落ち着いてくるでしょうが、果たして酸が落ち着いた時に、香りが今の状態を維持しているか(もしくは更に複雑に豊満になっているか)は結構微妙かもですね。
正直香りだけでいうと、この素晴らしい状態から更に良くなる想像がつかないです。
ソゼの方は香り、口当たり共にバランス良く熟成しているように感じられます。香りは基本的には豊満ですが、ミネラルも硬さもどこか残っている状態。口当たりは柔らかくしなやかですが、ボディはしっかりと残っていると。なので、これから熟成を経た際にどちらもより角がとれて綺麗な姿になる可能性があるように思えます。
ソゼは若いバタール、シュヴァリエを飲んだ感じ相当強いミネラル感があるのですが、マルキ ド ラギッシュは多分それを超える硬さ、ヴァンドガルドだったのではないかと思います。

正直言ってみたものの、83年ヴィンテージにして強烈な香りを放っているラギッシュ、やや硬さを残しながらバランス良くまとまっているソゼ、どちらも偉大と言う他ないですね。
そもそものテロワールの強さに加えて生産者の気合の入れ様が透けて見える途轍もないワインだったと思います。

さすがモンラッシェ。替えのきかないグランクリュですな...圧倒されました。


【ブルゴーニュ: 34】荘厳なるシュヴァリエ、雄大なバタールの真髄を知る。

どうもこんにちは。
ちょっと本業が立て込んでており、またもや更新が滞っておりました。
まあ、しょうがないですね、この時期は。ううむ。

さて、今回から2回はブルゴーニュのダイヤモンド、ピュリニー&シャサーニュモンラッシェの特級畑、バタールモンラッシェ、シュヴァリエモンラッシェ、特級モンラッシェを追っていきたいと思います。

なお、今回はミシェル コラン ドレジェとエティエンヌ ソゼのシュヴァリエ モンラッシェ。そしてドメーヌ ラモネのバタール モンラッシェ、共に若いヴィンテージです。


ドメーヌ ラモネはブルゴーニュ白においてルフレーヴ、コシュデュリ、コントラフォンに匹敵するスター生産者。ただし例の如く球数がべらぼうに少ないです。
平均樹齢はブドリオットで55年、ビアンヴニュで50年程度の古木。18年以下の葡萄に関しては除外しています。収量制限はヴァンダンジュヴェールは実施せず、春先の摘芽で代用。アルコール発酵はタンクと木樽を併用してやや低めの温度で行います。ピジャージュは1日3回程度機械で行われます。新樽比率は一般的に30%程度(モンラッシェは100%)。18ヶ月の熟成の後、軽い清澄と濾過を行い瓶詰めされる。フラッグシップは特級ル モンラッシェ、シュヴァリエ、バタール、ビアンヴニュ。特にシュヴァリエらわずか1haのにも満たない占有面積から産出されるワインで、ほぼ入手不可。

ミシェル コラン ドレジェはミシェル コランとベルナデット ドレジェに設立されたドメーヌ。
フラッグシップはドレジェ家からもたらされた、わずか0.16haの特級シュヴァリエ・モンラッシェ。現在は息子のフィリップとブリュノが引き継いでいます。
リュットレゾネによって栽培、収穫された葡萄は圧搾後、温度管理をしながら、ステンレスタンクでアルコール発酵を行う。その後小樽に移し、残りの発酵を完了しマロラクティック発酵。新樽比率は村名20%、シュヴァリエで50%程度で12ヶ月熟成を行う。
フラッグシップはシュヴァリエモンラッシェ、ピュリニーモンラッシェ1級ドゥモワゼル、シャサーニュモンラッシェ アン ルミリィ。その他はフィリップとブリューノの相続済みでミシェル コラン ドレジェ名義では生産していません。

エティエンヌソゼは約150年前から続く老舗ドメーヌ。品質はピュリニー・シャサーニュで5指に入る生産者で、約70年ほど前よりドメーヌ元詰めを始めています。2代目当主のジェラールは大学で醸造学を学び、ヴォルネイのプスドールに師事。その後ワインを生産し始めました。
相続によって大部分の土地を失った事もあり、大部分を買い葡萄を使用するネゴススタイルだが、基本的には購入先を変更する事はなく、ドメーヌと品質は変わらない。
アルコール発酵は木樽を使用し、やや高めの温度で行われる。バドナージュは1日1回。樽熟成は1級15ヶ月、特級18ヶ月。新樽比率は村名20%、1級30%、特級50%以下で熟成された後、瓶詰めされる。
フラッグシップは特級モンラッシェ、シュヴァリエモンラッシェ、バタールモンラッシェの特級畑です。


生産者: ドメーヌ ラモネ
銘柄: バタール モンラッシェ グランクリュ 2010

約29000円。
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
2010のシュヴァリエ モンラッシェ程ではないが、やはり火打石の様な強固なミネラルが主体となった味わい。硬い。
ドライハーブやシャンピニオン、エシレバターや鉄分の様な風味が主体的。レモンやカリンなどのシャープな酸を持つ果実の香りが感じられる。徐々にシロップの様な甘さもほのかに感じられるが、やはりシャープさやミネラル、酸味が主体として感じられる。
しかし口に含むといつものラモネ節。酸味、甘露さ、旨味の調和や広がり方がやはり素晴らしい。アタックはリンゴや洋梨の果実味、酸味。そして瞬間的に甘いモカやバニラが旨味を伴って酸味と共に広がって行く。
まだ酸は若々しいが、既にバランスが取れている印象。質感はもう少し円熟した方が良くなるはず。完全に長期熟成型のワイン。若くして飲むのは本当に勿体無いワイン。


生産者: ミシェル コラン ドレジェ
銘柄: シュヴァリエ モンラッシェ グランクリュ 2011

約25000円、WA92pt(2007)
こちらはテロワールで言うと、よりミネラルが突出するシュヴァリエ。
ただし、ミネラルは非常に柔らかい。
その他の生産者のシュヴァリエ、そしてラモネのバタールと比べても、突出して果実味に寄っている。
ミネラルの出方はシュヴァリエというより、むしろシャブリ グランクリュのそれに近いか。ただ果実味がとても豊かだから、むしろ一級ピュセルやシャサーニュ寄りの個性を感じる。
外観は淡いストローイエロー。
石油の様なミネラルは確かに存在しているが、豊満な果実味が突出。白砂糖やシロップの様な甘露さがあり、洋梨やマンゴーなどの豊かな果実味が感じられる。バタースコッチ、フレッシュハーブ、溶剤、白い花など。
ポッテリしている訳ではなく、澄んだ綺麗な甘露さが液面を漲っている。感覚としてはルフレーヴに近いかも。
酸味はソゼよりやや柔らかく、しなやかで広がって行く甘みや旨味がある。かなり早飲みで楽しめる稀有なシュヴァリエモンラッシェ。ただし長熟するポテンシャルは確かに持っている。


生産者: エティエンヌ ソゼ
銘柄: シュヴァリエ モンラッシェ グランクリュ 2011

約32000円、WA96pt(2009)
デカンタ済み。
恐ろしいポテンシャルを持った、最大級のシュヴァリエモンラッシェ。
取り付く島もない。ビシッと張り詰めた石を砕いた様なミネラル感、ローストしたスモーキーな香り。ひたすらに硬質な風味が感じられる。そして白胡椒などのスパイシーさ、石鹸の様なフレッシュハーブを思わせる清涼感がある。その佇まいはクリスタルや水晶を想起させる。そして無塩バターやヘーゼルナッツ。シャープなカリン、ライチなどの果実味がある。
全面に出ているのはミネラルとバターの香りで、完全に果実味は閉じている。酸味と旨味は力強く、口の中でミネラルと共に広がり、余韻として暫く口の中にとどまっている。
恐ろしく鉱物的なシュヴァリエ。
繊細なガラス細工ではなく、剥き出しのクリスタル。美しい細工を施すには数十年の時を刻む必要がある。


大変面白い事にテロワールから想像されるイメージより生産者ごとの差異の方が大きく現れていましたね。

この中だとラモネのみバタールです。本来はシュヴァリエの方がミネラル感が突出して現れますが、ミシェル コラン ドレジェのシュヴァリエと比べると断然ラモネのバタールの方がミネラル感に溢れており強固な作りになっていたと思います。その分かなり閉じこもった硬い状態で、すばらしいラモネ節を奏で始めるのはまだまだ先になりそう。ただ現状でもその片鱗はミネラルや酸に隠れていながらも微かに感じられます。この口当たりから余韻に至るまでのクリスピーで旨味、酸味の綺麗な構築美はラモネならではだと思います。
対してミシェル コラン ドレジェのシュヴァリエはよりミネラル感はしなやかで柔らかく、果実味の方が突出していました。ピュリニー的ではなく、どちらかといえば、シャサーニュ的な特徴を持ったシュヴァリエ モンラッシェだと思います。澄んだピュアな果実味に、シャブリ グランクリュ的なミネラル。長熟するポテンシャルをしっかりと持ちながら、早飲みできるキャッチーさがある、よく出来たシュヴァリエ モンラッシェだと思います。
最後はエティエンヌ ソゼのシュヴァリエ モンラッシェ。
これはもう凄くシュヴァリエ モンラッシェ的。張り詰めた緊張感のあるミネラル、バターやナッツの香りが主体となる硬質なシュヴァリエ。
高密度で目の細かいタッチで、取り付く島のない厳しさを感じさせる。ラモネのバタール同様完全に閉じこもったワイン。ただし酸味と旨味は力強く余韻も恐ろしく長い。恐ろしいポテンシャルを持ったシュヴァリエ。
今回飲んだ3本の中で畑問わず強いミネラル感を感じさせたのはラモネとソゼでした。ラモネのシュヴァリエにせよ、ソゼのバタールにせよ、若かりし頃は強烈なミネラル感が前に出るのですが、今回も生産者の個性を踏襲している感じですね。

なお特に説明する必要はないと思いますが、シュヴァリエはモンラッシェの丘のピュリニーモンラッシェ側、モンラッシェの上部にある急斜面の畑で、バタールはモンラッシェの丘でピュリニー、シャサーニュをまたぐモンラッシェ下部の緩斜面の畑。
シュヴァリエのほうが気候が冷涼ですが、水はけが良く、石灰質土壌が強いので、ミネラル感が前に出た風味が現れます。バタールは温暖で日照条件が良く、肉付きの良い風味となります。
ミシェル コラン ドレジェのシュヴァリエはこの3本の中では比較的柔らかく感じる作りですが、きっとドゥモワゼルやアンルミリィはもっと豊満なのではないか思われます。
是非ここはコラン ドレジェのキュヴェの中で比較してみたいですね。



【ブルゴーニュ: 33】ドメーヌ フェヴレの孤高のモノポール クロ デ コルトン フェヴレと2つの畑を利く。

こんにちは。
更新頻度が落ちてきております、すみません。本日はフェヴレの1級、特級のモノポールです。
何回かフェヴレはやってるんですけれども、基本的に何を飲んでもとても美味しいです。評論家や価格は高くないのですが...

1979年生まれの若き当主エルワンが指揮を取る新生フェヴレ。
栽培は生育時に芽掻き、ヴァンダンジュ ヴェールト、収穫時の選果で収量制限を行います。さらに選果台で選果を行う事で凝縮感のある健全な果実を選り分けています。
醸造に関しては、先代フランソワの時代には長めのマセラシオンによる強い抽出、高い新樽比率での熟成を行っていましたが、当代のエルワンからは若干のスタイルを変更しています。
2007年からは個別のチームによる分担制を行い、完全除梗、フラッグシップには新しい木製槽を使用し、樽はフランソワフレール社他3社に切り替え。(※前当主の頃に使っていた樽はローストが強く、嫌な苦味が出る事が多かった)タンニンを減らすために、過度の抽出や樽の使用を避け、無濾過で樽から直接瓶詰めする事により、純粋な果実味を押し出す事に成功しています。
大きな変革と若き息吹によって品質を劇的に向上しているのがみて取れます。
今回は全てドメーヌ フェヴレが占有しているモノポール。その2011ヴィンテージ。
ボーヌ1級クロ デ レキュ、ジュヴレ シャンベルタン1級クロ デ イサール、特級コルトン クロ デ コルトン フェヴレの3本。
クロ ド コルトン フェヴレは、ブレッサンドやクロ デュ ロワ、レ ルナルドと並び立つ特級コルトン最上の区画です。

ではいってみましょう。


生産者: ドメーヌ フェヴレ
銘柄: ボーヌ プルミエクリュ クロ デ レキュ 2011

約5000円、WA85pt(2005)
残念ながら今回の3種類の中では、最も密度、凝縮感、香り、質感が劣るワインだった。
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。グローヴやタイム、茎などの青い風味が主体的で、良く言えば瑞々しいチェリーやブルーベリーなどの果実味が感じられる。またフォレストフロアや燻製肉、梅しばの様な旨味成分に由縁した味わいが感じられる。
要素の出方や優しい旨味は決して悪くは無いのだけど、何よりプルミエクリュとしては、かなり品質的に厳しいものがある。
香りや味わいが中抜けしているし、密度は低く、水っぽい。
高域の酸、低域のタンニンはしっかりと存在するのだけど、それに付随するだけの旨味が感じられない。


生産者: ドメーヌ フェヴレ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ クロ デ イサール 2011

約8000円、WA88pt(1990)
かなり悪い意味でヤバイ ボーヌ1級と比較すると申し分の無い密度、旨味が感じられる。安心した...
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
強めの抽出に起因する華やかなスミレや薔薇、そして鉄の様な香り。やや硬質さが感じられる。
密度の高いブルーベリー、ダークチェリーの黒系果実の果実味。グレープフルーツなどの柑橘系の風味も。徐々に五香粉、焦げたカカオ、カラメルなどの強い甘露さが現れてくる。茎、タイムなどのハーブのニュアンス。
酸、タンニンはややコルトンより強めだが、トゲトゲしさは全くなく綺麗な旨味がジワリと広がっていく。プルミエクリュとしては妥当なレベル。やはり1級であればこうでなければ!


生産者: ドメーヌ フェヴレ
銘柄: コルトン クロ デ コルトン フェヴレ グランクリュ 2011

約17000円、WA90pt(2006)
大変素晴らしい。特級に相応しい非常に優れた味わいと深み、ボリューム感を有している。
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
こちらも抽出が強く薔薇やスミレ、黒系果実のダークチェリー、ブルーベリーの果実味を感じられるが、カラメルや五香粉、珈琲などの樽香、甘露さがより際立っており、印象としてはボリューム感や豊満さを強く感じる。そして茎、クローヴやなめし革、お香などの味わいが感じられる。
凄まじく綺麗な旨味があって、酸味、タンニンは羽の様にしなやか、旨味とタンニン、酸のバランスは絶妙。じわっと染みる様な旨味がある。全体の印象としては甘露で華やかそして柔らか。


コルトン圧倒的!素晴らしい!

クロ デ レキュは正直かなり厳しいワインでした。たしかにフェヴレのワインであることは間違いはないんだけど、低域から広域までの香り、酸、タンニンのバランスが悪く、すっぽりと抜け落ちている部分があり、ちぐはぐ。当然質感も、密度が低いから良くはないと。青い風味や土っぽさが主体的で果実味はさほど強くは感じられません。
単純に熟度が低いのかな、と思います。
対してクロ デ イサールはすごく安心できるプルミエクリュ。一級畑の名に恥じることのない、素晴らしいジュヴレシャンベルタン。レキュに足りなかった密度、旨味、果実味に満ち溢れている。ジュヴレ ジャンベルタン的な硬質さ、鉄の様な冷たさ(ドライ)と黒系果実の凝縮感が共存している。樽の香ばしい風味も液面に溶けている。
若いが調和の取れた、バランスの良い一級ワインだと思う。ただ突出もしていない。

ちなみにイサールとレキュの位置はこんな感じ。


微妙ですねー・・・レキュもイサールもかなり高い位置にある一級畑なので、繊細な葡萄ができそうです。作り方によっては難しそうな感じですね・・・しかも2011ですし。
イサールの出来は比較的良かったですが(多分リュショットに隣接しているので土壌と気候のバランスは取れているのかもしれません。)レキュはなんかもうシンドイですね。

という事で コルトン フェヴレは圧倒的でした。そもそもグランクリュだしプルミエクリュとは比べものにならねえだろう...という話ではあるのですが。
特にコルトン フェヴレはブレッサンドやクロ デュ ロワ、レ ルナルドと並び立つ特級コルトン最上の区画ですからね。まあ、飲んでみないとわからないわけですが、今回は序列通りだったようです。
この中で最もボリューム感がありながら、抽出は強めだが、酸やタンニンは羽の様に軽やか。黒系の果実味と花の香り、樽のカラメルや五香粉が見事に調和しています。特級に相応しい非常に優れた味わいと深み、甘露さを有している。
素晴らしいコルトンでした。

そんな訳で、モノポールでも結構差がありましたね。この中だとイサールが価格対比で妥当な所だと思いますが、イサールを飲むくらいならコルトンで感動したいですよねえ。



【カリフォルニア:10】熟成したニューワールドのピノノワール。

こんにちは。
カリフォルニア特集最終日はカレラのミルズヴィンヤードの古酒を頂きます。

カレラはカリフォルニアでもブルゴーニュに近いスタイルを持つ生産者で、当主のジョシュ ジェンゼンはドメーヌ ド ラ ロマネコンティに師事し、収穫を、デュジャックで醸造を学んだ経験があります。そのスタイルはロマネコンティと近いスタイルとの事ですが、全然違うかな、とは思います。いいワインではあるのですが。
ちなみにオーボンクリマのジム グレネデンとは仲が良いとの事。ブルゴーニュスタイル同士通じるものがあるんでしょうか。
今回のマウントハーランのミルズ ヴィンヤードは、6つある自社畑のなかで南側に位置するヴィンヤード。
標高700mで樹齢は30年程度のピノノワールが植樹されています。収穫はすべて手積みで行なわれ、天然酵母で発酵。ピジャージュは1日2回。キュヴェゾンは14日。フレンチオークの新樽30%でMLFを行ないながら16ヶ月熟成。無濾過無清澄で瓶詰めされます。
さて、行ってみましょう。


生産者: カレラ ワイナリー
銘柄: ミルズ ヴィンヤード ピノノワール 1993

20年の時を経て、果実味がしっかりと残っている、驚嘆すべき新世界のピノノワールだ。
外観は煉瓦色を帯びたルビー。
熟成香はしっかりと現れているが、今だ果実味主体である。酸味と旨味を強く感じさせる梅しばやドライイチジク、紫スモモなどの凝縮感のある果実味が強く感じられる。そして鉛筆の芯やフォレストフロア、燻製肉、グローヴのニュアンスがしっかりと感じ取れる。
梅しばの様な凝縮した酸味と旨味、鉛筆の芯、濡れた木材の様な複雑なニュアンスを感じることが出来る。タンニンも未だイキイキとしているが、トゲトゲしさはあまり感じられない。
とても優美な熟成ピノノワール。


さて、ついこないだ比較的新しいヴィンテージ(2007)を頂きましたが、順当に熟成を経ている様ですね。
2007年の特徴を見ると、熟した黒系果実と燻製や鉄っぽさ、ミネラルを感じられる味わい。これらの要素は熟成を経てミネラル・酸味が果実味が結びつき梅しば、ドライイチジクなどの旨味を包含した果実味に、シナモンなどのロースト香はフォレストフロアの濡れた風味に。
順当な変化だなあとは思うのですが、この変化まで10年そこらではなくて、20年程度かけてるというのが凄いですね。ピノノワールとしてはかなり長熟かと。
ただ他の90年代中盤のカレラを飲んだ時にもっと年をとっていた様な気もするので、ヴィンテージもしくはヴィンヤード差もあるのかもしれませんね。
ああ、でも平準的といえば平準的ですね、カリフォルニアのヴィンテージは...。
93カレラ、とても綺麗に熟成していて美味しゅうございました。参考に07ヴィンテージのレポートを貼っておきます。

生産者: カレラ ワイナリー
銘柄: ミルズ ヴィンヤード ピノノワール 2007

約8000円、WA95pt
初日はやや硬質でドライ。冷淡な印象だったが、二日目にはやっと笑顔を見せてくれた。
外観は濃いルビー、粘性は高い。
幾分かのミネラル感とデーツやドライプルーンの様な甘露で濃厚な果実味、シナモンやシロップ、燻製肉などのニュアンスが主体となり、グローヴなどのハーブ、茎、乾いた土、スミレのアロマオイルなど風味が強く出ている。初日は幾分かドライで硬質な印象があったが二日目には綺麗に打ち解けてきて。やや鉄分っぽさも。
凝縮度がとても高くリッチなピノノワール。後味にやや苦味を感じるが気になるほどではない。
3日目。更に甘く、シロップやシナモンの香りが強くなった。

[1993] Calera Jensen[1993] カレラ・ジェンセン

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価格:40,950円(税込、送料別)


ワインCalera Mills 2007

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価格:5,775円(税込、送料別)

【カリフォルニア:9】最後の審判を思わせる荘厳さ、ハーランエステート水平4種


こんばんわ。
ようやく記事が上がりました、ハーランエステート(ボンド、チェッカーボード含む)一挙5種テイスティング!

時間はかかりましたが、なかなか緻密なレポートになっているかと思いますので、是非ご覧ください。
まず生産者の詳細は下記の通り。

ハーランエステートこそカリフォルニア最高峰のカルトワイナリーと言って差し支え無いでしょう。
もともとハーランエステート1種類のみのワイナリーでしたが、95年にはセカンドワインの「ザ メイデン」を、99年にはハーランの別プロジェクトであるボンドエステートから単一畑の「メルバリー」「クエラ」「セントエデン」「ヴェシーナ」「プリュリバス」そしてマルチヴィンヤードの「メイトリアーク」がリリース。それらのいずれも驚く程評価が高くワインアドヴォケイトでは5回(94,97,01,02,07)、ボンドを含めると7回(01セントエデン、07ヴェシーナ)の100点を取得しています。
もともと不動産業界に活躍していたウィリアム ハーランが1980年代半ばにオークヴィルの西に位置する標高100~180mの丘陵(裾野にはモンダヴィのト カロンがあります)を購入。ロバート レヴィを栽培責任者・醸造長に、ミシェル ロランをコンサルタントに迎え、カリフォルニア最高峰のワイナリーはスタートしました。その後高い評価を受けていきますが、99年には別プロジェクトのボンドエステートを立ち上げています。マルチブレンドのハーランに対して、ナパのテロワールを緻密に再現したシングルヴィンヤードのボンド。基本的には製法は畑に合わせて行われています。
ブドウの栽培は徹底した収量の抑制が成され、収穫はタンニンと糖度が上がりきった遅い時期に手作業で(小さいトレイに入れながら)行われています。 収穫した後、除梗(完全除梗)と手作業による3回の厳しい選果を実施。ステンレスタンクとオーク製のバリック樽を併用し、基本的に高い温度で1ヵ月以上発酵を行います。そしてフレンチオーク新樽(ミディアム ロースト)100%にて25ヶ月程度熟成。マロラクティック発酵は熟成過程で実施。清澄、濾過せずに瓶詰めする。

ハーランエステートのプロプライエタリーレッドのセパージュの比率は不明。品種はカベルネ ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ フラン、プティ ヴェルド。ヒルサイドに密集して植樹されており、土壌はフランシスカン頁岩(粉砕された岩石)。1/3が堆積土壌、2/3が火山性土壌。
全体生産量の30%はハーランエステートとして、20%はセカンドラベルのザ メイデンとしてリリースされる(残りはバルクとして売却されます)。
ボンドのヴェッシーナはオークヴィルの西の麓に位置する東に面した畑(4.5ha)。土壌は火山性の砂岩土壌のスロープ。1999年が初ヴィンテージ。
セントエデンはオークヴィル クロスロードの真北にある東側ヒルサイドの北面向きの畑(4.5ha)。ヴァカ山脈に由来する石の多い火山性土壌。2001年が初ヴィンテージとなります。

そしてチェッカーボードも今回取り上げています。ハーランエステートの醸造家マーサ マクラーレン(そしてロブ レヴィの奥様でもある)、コンサルタントにミシェル ロランを迎えた新進ワイナリー。今回のレアアイテムのロゼはダイヤモンド マウンテンの自社畑でもっとも標高が高いナッシュ クリーク ヴィンヤードの葡萄を使用。軽いマセラシオンを行い、搾汁したジュースを発行する。その後、新樽で2ヶ月熟成して仕上げる。

まずは前哨戦のチェッカーボードから。ボンド、ハーランへ。さて、いってみましょう。



生産者: チェッカーボード
銘柄: エステート ロゼ 2011
品種:カベルネソーヴィニヨン98%、メルロー2%


約6500円。
外観は淡いロゼ、粘性は中庸。
いままで飲んだ事の内容な風味の濃厚なロゼ。
ミネラル感はあまりない。
グローヴやラズベリーや野いちごのジャムの様な豊かな果実味が感じられる。ドライハーブ、ヨーグルト、バターなどの風味と、甘草、アーモンド、トリュフ、白い花の香り。
酸味は穏やかでエレガント。グローヴやタイム、野いちごの様な甘みが口に広がる。余韻は長い。エレガントで綺麗な風味。


チェッカーボード。
カベルネのロゼといった所で、かなり味わいの想像がつかなかったのですが、いわゆるフランスのカベルネフランやピノノワールから作られるロゼとは、なんかもう全く違いますね。
ロゼというには酸味は穏やかで、どちらかというと濃密な甘露さに寄っている。色こそ淡く、それこそタンニンがほぼ無いんだけど、いかにも新世界のカベルネソーヴィニヨンといった感じの濃密さかあります。熟成はなかなかしないだろうけど、タンニンが無いおかげで、よりカリフォルニアのカベルネソーヴィニヨンの熟度かよくわかるかもしれません。かなり品質の高いロゼですね。



生産者:ハーラン エステート(ボンド)
銘柄: セントエデン 2009(97+)
品種:カベルネソーヴィニヨン 100%


約36000円、WA93-95pt(2008)
この中で最も柔らかく甘露で、最も果実味がストレートに現れている。
濃厚なドライプルーンやブラックベリー。キャラメリゼしたアーモンド、バニラや西洋杉、薔薇やタバコ。わずかに毛皮やトリュフ(土の様な風味)や炭焼きの風味が現れている。ヴェッシーナと比較すると甘露で柔らかい印象を受ける。ロースト香と甘さが際立っている。ブリオッシュとグローヴのアフター。
非常に濃いのだけど、タンニン、酸味は凄まじく滑らか(驚く程!)で綺麗に口の中で濃厚なカシスとブラックベリーの余韻が広がりながら残していく。


生産者:ハーラン エステート(ボンド)
銘柄: ヴェッシーナ 2009(93-96)
品種: カベルネソーヴィニヨン 100%


約36000円、WA95-97pt(2008)
セントエデン同様甘やかだが、より硬質て溶剤の様な華やかなニュアンスがある。
やや果皮の厚めのカシスやブラックベリー(しっかりと糖蜜の様な甘露さはあるが)、西洋杉、乾いた土やリコリスなどのスパイス、タバコ。薔薇やドライハーブ。燻製肉の様な風味が全面に感じられる。様々な要素が現れている。ローストは控えめ。
セントエデンに対して、よりスモーキーで酸味とタンニンが際立っている。西洋杉やブラックベリーの風味が最初にキュッと収斂して徐々に広がり溶けていく余韻。質感はやや劣るが、より複雑な味わいを見せる。


さてお次はボンドエステート。
今回はヴェッシーナとセントエデンです。まず個々で飲んだ感覚としてはそれぞれ下記の様な印象な受けました。
セントエデンは本家ハーランも含め最もタンニンや酸が柔らかく滑らか。熟した黒系果実とキャラメリゼしたアーモンドなどの甘露さが顕著。樽のロースト香や果実味がストレートに現れている。ヴェッシーナと比較すると甘露で柔らかい印象を受ける。
対してヴェッシーナはセントエデン同様熟した黒系果実の甘露さを有しているけど、果皮が厚いのか、抽出か強いのか、より硬質で華美、そしてスモーキー。樽は西洋杉や乾いた土、タバコの要素を与えている。酸味とタンニンは収斂し、引き締まった複雑さを味わいを見せています。
と、それぞれモノセパージュ、同一ヴィンテージで比較していますが、かなり違いが出ていますね。まず畑向きがヴェッシーナが東側、セントエデンが北側ということですが、向きから言うと、多分ヴェッシーナの方が熟しやすいと思うのですが、甘露さはセントエデンの方がより際立っていました。ヒルサイドというのもあるんでしょうが。ただそれぞれ場所によって気候が違うので、当然ですが、斜面の位置だけでは論じることはできないですね。
今年リリースのセントエデンは甘露で滑らかなエレガントさがあるワイン。さながらシャトームートン。そしてヴェッシーナは甘露でありながらより複雑さと硬質さを見せるワインとなっていました。さながらシャトーラフィットの様。
個人的には今年はセントエデンの方がオススメです。



生産者: ハーラン エステート
銘柄: ザ メイデン 2009(95)
品種: カベルネソーヴィニヨン、カベルネフラン、メルロー、プティヴェルト


約26000円、WA90-92pt(2008)
ややボンドエステートのワインと比較して硬いニュアンスを感じる。閉じこもっている。個性に触れたボンドに対して均整の取れた複雑なワイン。
ミネラル感がしっかりと感じられる。ジャミーなドライプルーンやカシスの強い果実味。アーモンドのロースト香、燻製肉の炭焼き、甘草、溶剤やハーブの香り。グローヴ、インク、シロップをかけたトーストなど。新世界らしい油分も感じられる。
甘露さはあまりおおっぴらに見せず複雑な芳香と一緒になって感じられる。
タンニン、酸味はセントエデンと比べると際立っているが、ヴェッシーナに対して、やや滑らか。グローヴやカシスの風味が強く感じられる。収斂性は高く、熟成ポテンシャルは感じられる。


生産者: ハーランエステート
銘柄: プロプライエタリー レッド 2009(98+)
品種: カベルネソーヴィニヨン、カベルネフラン、メルロー、プティヴェルト


約105000円、WA95-98pt(2008)
メイデンと方向性は同じだが、閉じていながらも強烈な凝縮感が感じられる。ただ開いた時の感じは半端ない。濃厚でありながら引き締まったクレームドカシスやブラックベリー、蕩ける様な味わい。華やかな溶剤や西洋杉、甘草。キャラメル、フルーツケーキなどの強烈な甘露さ。薔薇やクローヴ、リコリスのハーブやスパイスか絡み合い。燻製肉、バニラ、タバコなど。土の香りは強くは感じられないが、その他の要素はほぼ包含されている。甘露な余韻を残していく。硬質さはラトゥールにそっくり。
タンニン、酸味は恐ろしく力強いが、同じくらい滑らかで、全く重さを感じさせない。重量のある鉄球が口で転がる感じ。ジャミーなカシスとブラックベリーの余韻を残しながら味わいが広がっていく。


さて、ハーランエステートのセカンドとファーストです。
概要としては先述しましたが、ハーランエステートの全生産量の30%がプロプライエタリーレッドに、20%がセカンドワインのザ メイデンになります。
全体を漂う雰囲気は緻密にして荘厳、そして構築美に満ち溢れている。
さながら最高のヴィンテージに作られたシャトーラトゥールの様な雰囲気を醸し出している。そして裏を返すと途轍も無く堅固。ですので、ボンドエステートのムートン を思わせるセントエデン、ラフィットを思わせるヴェッシーナと比較すると大分雰囲気が異なります。
まずメイデンから。個性的なボンドのワインに対して、彫刻品の様な丹精で均整の取れたワイン。ジャムの様な黒系果実の風味と共にミネラルや素焼きのアーモンド、燻製肉、インク、新世界らしい油分も。
甘露さはあまり全面に出ておらず、複雑な芳香と一体となって立ち上がる。
冷淡だが、綺麗で純粋な美麗さを持ったワインだと思います。
次はハーランエステート、プロプライエタリーレッド。
ボンド、ハーランすべてのポートフォリオを包括させる様な要素の複雑さ、そして果実味が閉じたメイデンに対して既に強烈な黒系の果実味、強烈な凝縮感、華やかさ、土の風味が感じられる。メイデンやボンドに含まれた要素が増幅されて、すべて含まれている。まさに上位互換。タンニン、酸味は恐ろしく力強い。
これらを見るに、やはり熟度の高い葡萄をハーランエステート用に回しているんだなあ、と。葡萄の糖度が高いから、開かずとも十分に甘露さを感じられるのかもしれない。その様は最高のヴィンテージのラトゥールにやはり重なる部分はあるな、と思いました。

総括。
ボンドは自由と個性。ハーランは秩序と調和が重視されている。
ボンドは違うヴィンヤードでそれぞれかなり方向性が違うしそれを受け止めているけども、ハーランエステートは1本を最高の出来にする為に人の力が大きく介在された味わいだと思いました。それはセパージュであったり醸造だったりするのですが、樹齢が若いという圧倒的なウィークポイントがある中で色々な工夫を経て、最高の葡萄を作る、というのは生産者の努力に他ならない。人の力を体現した素晴らしいワインだったと思います。

また来年も飲みたいけど、難しいだろうなあ。






【カリフォルニア:8】老舗の作る王道ニューワールドの品質を利く

こんにちは、本日もカリフォルニアワインです。
ベリンジャーのホワイトジンファンデル、そしてロバート モンダヴィのシャルドネと、フラッグシップのカベルネ ソーヴィニヨン リザーブです。
共にカリフォルニアを代表する老舗ワイナリーですが、改めて見返してみたいと思います。

ベリンジャーは1876年創業のアメリカの老舗ワイナリー。様々なワインを作っていますが、なんといっても最高峰は、ワインアトヴォケイトでも高く評価されているプライベートリザーブ カベルネソーヴィニヨンとシャルドネ。
低価格帯も沢山リリースしており、どこでも手にはいる魅力があります。
今回は低価格帯のホワイトジンファンデル。

ロバートモンダヴィは説明不要ですかね。オークヴィルに拠点を置くカリフォルニアワインの父。件のロバートモンダヴィ翁は残念な事で2008年に亡くなられてしまいましたが、アメリカのワイナリーにして欧州に匹敵する品質を追求したことや、母国で造る優れたカベルネ、シャルドネに留まらず、ムートンロートシルトとのオーパスワン、フレスコバルディとのルーチェ、エラスリスとのセーニャなど伝統的な産地と新世界を縦横無尽に繋げた功績が高く評価されています。
フレンチオーク新樽で8ヶ月の熟成を経て出荷されます。こちらも他のデータはありませんが、ロバートモンダヴィとしてリリースする最上級のシャルドネです。


生産者:ベリンジャー
銘柄:ホワイト ジンファンデル ロゼ 2010
品種:ホワイトジンファンデル100%

淡い桜色のロゼ、粘性は中庸。
外観からしてロマンチックな色調だが、香りも相応に女子力がすごく高い。
フランボワーズや木イチゴの様なベリー類の瑞々しい果実味と僅かに感じられる灯油香。スミレやチーズなど。ベリーを使ったフレーヴァード ティーにも良く似ている。
果実由来のほのかな甘みと酸味が心地よく感じられる。
渋みも過剰な酸味も無く、ドライでもない、ワインのネガティブな部分を排除して完全に万人向けに仕上げた低アルコールワイン。これはこれで非常によく出来ていると思う。


生産者: ロバート モンダヴィ
銘柄: ナパヴァレー シャルドネ 2010

約4000円。
フレンチオーク新樽で6ヶ月熟成。シュールリー。
外観は淡いストローイエロー、粘性は比較的高め。
いわゆる新世界の、カリフォルニアのシャルドネといった風体だが、過剰に重い味わいでは無い。
意外とミネラル感が豊かで、豊満な洋梨やマンゴーの果実味と濃厚なバター、ヘーゼルナッツの香り、キノコやドライハーブの風味が感じられる。
酸味はややざらつきはあるものの基本的には綺麗なスタイルで、豊かな果実味とあいまって柔らかい体躯を形成している。口内では青リンゴやアプリコットの様な味わいが広がる。豊満なだけではなく、緊張感もキッチリと存在している。
新世界の王道的なシャルドネであり、完成度は非常に高い。酸味、香り、質感はまずまず申し分ないが、若干酒質が緩く感じるので、密度はもう少しあってもいいかもしれない。


生産者: ロバート モンダヴィ
銘柄: リザーブ カベルネソーヴィニヨン オークヴィル 2009
品種:カベルネソーヴィニヨン90%、カベルネフラン7%、プティヴェルト3%

16000円、WA89pt(2008)
フレンチオークの新樽100%で18ヶ月熟成。 ト カロン ヴィンヤード 93%、オークヴィル AVA 7%の混醸。
流石にすごい上質なカベルネソーヴィニヨンの香りがする。果実味と樽の香りの均整が取れており、タンニンも酸もしっかりとあるが、滑らかでエレガントだ。いいぞいいぞ。
西洋杉やミントの清涼感のある風味、クレーム ド カシスやブラックベリーの濃厚な果実味、薔薇や葉巻、濡れた土、甘草やインクなどの茎の様な風味、燻製肉の風味。
ボルドーに対してより葉巻や西洋杉、カシスの風味が前に出ている。
やや果実味豊かでありつつスモーキーな風味が感じられる。酸味、タンニンはしっかりとあり収斂性は高いが、口に含むとすんなりと舌を滑り落ちていく。口の中で豊かなカシスとミントの風味が広がっていく。
新世界的でありながらしっかりとエレガントさもあり、突出したクオリティがある。


ベリンジャーのホワイトジンファンデル ロゼ。ここの所世界で低アルコールワインが人気という事で飲んでみたのですが、これは確かに美味しいですね。
低アルコールワインの潮流っていうのは、別段味わいがどうだとかではなくて、ライトにシーンを選ばないで美味しく飲める、いいアルコール飲料という側面が当たってると考えているのですが、成る程、パーティーや気軽な飲み会とかで良く使えそうなワインだと思います。
味わいはドゥミセックで、色から早期させるように赤いベリー系の香りがあります。ワイン原初の旨さを感じさせてくれる味わいのワインだなあ、と思いました。ゴクゴク飲める系のロゼです。
次はロバートモンダヴィのナパヴァレーのシャルドネと、リザーブ カベルネソーヴィニヨン。
シャルドネはあくまで新世界的な味わいではあるのですが、樽が過剰に利きすぎた重い味わいでは無く、意外とミネラル感が豊か。トロピカルフルーツや濃厚なバターの風味がある。基本的には綺麗なスタイル。若干酒質の緩さはあるのだけども十分完成度の高い味わいだと思う。
リザーブ カベルネソーヴィニヨンもかなり良い。とても上品なカベルネで、スタイルはオーパスワンに通じるものがある。ボルドーに対して、スモーキで果実味が豊かで、葉巻や西洋杉、甘露なクレーム ド カシスの風味が前に出ている。
特筆すべきは酸とタンニン。力強く分厚いが決してザラつきを感じさせない。滑らか。さながらボルドーのグランヴァンの様な質感。素晴らしい。
赤も白も流石といった感じ。強い果実味に合わせる様にマロラクティック発酵と樽のニュアンスがかなり強く現れていますね。贅沢に作られているな、という印象です。この2本はやや値段が高めですが、それだけのクオリティを持ったワインだと思います。

先進的なニューワールドはボルドーと異なり老舗は軽視されがちですが、老舗は老舗の安定した品質の高さがある様な気がします。カルトワインには出せない、大量に安く安定的に高品質なワインを作る事が出来る。それはノウハウですし、カルトにはない強みだと思います。
カルトは品質を上げるために、常識的な農業では考えられないくらいの手間と時間をかけている訳ですが、結局すべて小売価格に跳ね返ってきてる訳ですからね...カルトを持ち上げるのも大変結構ですが、こうした高品質なワインを安定供給する生産者の努力ももっと評価されていいんじゃないかと思いますぜ。




【カリフォルニア:7】シン クア ノン、貫く官能と耽溺の洪水。ファイヴシューター シラー、グルナッシュ。



こんにちは。
本日はシン クア ノンの2010ファイヴシューターを利き比べます。

シン クア ノンはマンフレッド クランクルが運営するサンタバーバラの生産者。ポートフォリオはコロコロ変わるので、イマイチ掴み難いんですが、僕の知ってる限りだとグルナッシュ、シラー、シャルドネ、ルーサンヌ、ヴィオニエ、それらの混醸。(ワインアドヴォケイトもバレルテイスティング時のものは名称を明確に書いていませんでしたね。「まだ名前がない白ワイン」...とかそんな。)南仏の匂いのするカリフォルニアカルトの生産者ですね。
初リリース以降キュヴェ別にラベルは毎年異なるデザインが用いられ、同じラベルは二度と使用されません。
今回は2009年からリリースされているファイヴシューターです。品種はそれぞれシラー主体とグルナッシュ主体。
シラーは全体の76%がイレブン コンフェッション エステート、サード ツイン エステート、キュムラス エステートから残りはホワイト ホーク、ビエン ナシード ヴィンヤードから収穫されたぶどうを使用しています。フレンチオーク樽(新樽59%)にて22ヶ月熟成する。
グルナッシュは96%がイレブン コンフェッション エステート、キュムラス エステート、残りはビエン ナシード ヴィンヤードからです。600L樽11%、300L樽21%、228L樽55%(新樽率12%)、コンクリートタンク13%を併用し20ヶ月熟成を行っています。

いやしかし、今回のは度肝を抜かれました。得にシラーがやばい。


生産者: シン クア ノン
銘柄:ファイヴシューター グルナッシュ 2010(95+)
品種: グルナッシュ75%、シラー16% ムルヴェードル2.5%、ルーサンヌ4.5%、ヴィオニエ2%

約33000円、WA97pt(2009, The Line)
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
このグルナッシュも(ファイヴシューター)シラー同様に黒胡椒の様なスパイシーさが主体となっているが、芯のある酸や華やかさの代わりに、より丸みや甘露さが重視されている。とても滑らかなワイン。
挽きたてのブラックペッパー、薔薇とスミレの華やかさ、焼いたホタテの様な風味が感じられる。高密度に引き締まったシラーを飲んだ後だとやや締まりが無い様に感じられる。
より豊満なプルーンやブラックベリーなどの果実味。糖蜜の様な甘露さ。そしてドライハーブやグローヴ、濡れた土や樹皮の香り、燻製肉の風味も感じられる。ほのかに柑橘系のニュアンスも。
酸とタンニンは柔らかく、しなやか。
感覚的にはかなり弱く感じられるが、ちょっとびっくりする程の旨味が広がり方をしていく。シラーにもよく似ているが、より柔らかく豊満な果実味が感じられるワイン。


生産者: シン クア ノン
銘柄: ファイヴシューター シラー 2010(100)
品種: シラー85%、グルナッシュ5%、プティ・シラー3%、ルーサンヌ5%、ヴィオニエ2%

約33000円、WA96-98pt(2009, The rhrill of)
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
なんかもう、これが最高のシラーと言い切ってしまっていいような気がする。新世界的ではなくシャーヴやギガルと同列に語られるべき、ローヌの伝統的なシラーを極めた味わい。素晴らしい。
シラーらしい薔薇やスミレなどの強烈な華やかさ。その華やかさに骨格を与える芯のあるミネラルと酸。そしてブラックペッパーなどのスパイシーさが見事に同居している。そしてダークチェリーやプラムの瑞々しい果実味は、ある一点を超えた時に急激に黒砂糖の風味を伴う。そしてパストラミハムや燻製肉の野性的な風味やミルクティー、漢方、シナモン、グローヴ、焼いた藁などの大地系の香りも。
味わいの構成は全く違うのだけど、ブルゴーニュのグランヴァンの様な香りの妖艶さがある。グルナッシュと比べるとシャープで旨味を伴う強い酸があり、タンニンも豊かである。
内容を考えると価格は至極妥当なものだと感じられる。強烈だ。


グルナッシュ、シラー共に予想以上の凄まじい出来でしたね。
全体的に受ける印象としては、オーストラリアのシラーズやモダンなシャトー ヌフ デュ パプの様なスタイルでは無くて、よりローヌ北部の伝統的なコートロティやエルミタージュに近い味わいだと思いました。果実味が充実しつつ、強烈なスパイシー(といっても青っぽさではなく、ローヌ特有の黒胡椒の様なニュアンス)さがあります。
そんな中でこのワインのグルナッシュとシラーの違いとしては、品種の特性の違いをそのまま反映していると思います。
まずファイヴシューター グルナッシュの特徴としては、エッジの効いたシラーに対してより滑らかさや丸み、甘露さが全面に出ています。シラーに比べるとグルナッシュは酸やタンニンがシルキーなので、それがそのまま印象に反映している感じでしょうか。旨味はしっかりとあります。それと豊満な黒系果実の甘露な果実味や焼帆立の様なロースト香もあり、複雑かつ甘露さに満ちていると思います。
次、シラー。グルナッシュと比べると、より酸とタンニンが前に出ており(特に酸)凝縮感と芯の通った印象を強く感じられます。
シラーらしい薔薇やスミレなどの強烈な華やかさと、それに骨格を与える芯のあるミネラルと酸、黒砂糖の甘露さ、黒系果実の瑞々しさ、そして黒胡椒のスパイシーさ。これらが渾然一体となって高密度に凝縮されている。
ただそんな膨大な熱量を含んでいながらも、綺麗な質感がある(特に口当たり)。グルナッシュはそもそもタンニン、酸共に柔らかく感じましたが、シラーは強固な酸とタンニンがありつつも、とてもツヤツヤしている。
グルナッシュが羽綿だとしたらシラーは目の細かいシルクの質感。

いや、グルナッシュもシラーも本当に素晴らしい。半端ないです。
ファイヴシューター シラーの項にも書きましたが、ギガルのコートロティやシャーヴのエルミタージュに並ぶ(というか今回の2本に関しては、個人的に優っていると思う)奇跡的なワインだと思います。
共に品種特性を最大限に活かしていて、かつ官能的な味わいを表現しているのは驚くべきことですねえ。
来年も飲めるといいんですが、なかなか球数が...

いやいや、素晴らしい体験でした。
ちなみにビエンナシードってたしかタンタラも葡萄作ってるヴィンヤードだったような...どうだったかな?



【ブルゴーニュ:32】J.M. フーリエ、2011年ポートフォリオを利く

こんにちは。
本日は前回に続きフーリエ特集です。
前回は本家本元ドメーヌものでしたが、今回は2011年ヴィンテージよりリリース(つまり今年からリリース)されたネゴシアンを中心にテイスティングしました。ほら、ちゃんとボトルの右下に「ジャン マリー フーリエ」と書いてあるでしょう?うわーわかりずれー。

フーリエはブルゴーニュでジュヴレシャンベルタンに拠点を置く生産者で、非常に手に入りにくいドメーヌのひとつです。価格は高騰しているとはいえ品質を考慮するとまだ良心的な生産者とも言えます。
栽培はリュットレゾネ。なるべく自然に近い状態で栽培を行っている。葡萄に負担をかける摘房はせず、摘芽で収量制限をおこなっている。樹齢はいずれも高く、樹齢100年のクロサンジャック、樹齢85年のコンブオーモワンヌ、樹齢74年のグリオットシャンベルタンを保有しています。厳重に選果された葡萄は100%除梗し、半分が破砕される。低温浸漬は自然な温度によって行われ、その後アルコール発酵。空圧式のプレス機て圧搾の後、この手の生産者では珍しい最大20%という低い新樽比率で18ヶ月熟成。そして無濾過、無清張で瓶詰めされます。
...というのはドメーヌの話。今回はネゴシアンボトル。醸造は同じかも知れませんが、葡萄は買い葡萄を使用しています。

さて、ネゴシアンボトルでもフーリエはフーリエたりうるのか。
ネゴシアンもののエシェゾー、グロ ヴージョ、シャンボールミュジニー1級ゼシャンジュに、ドメーヌフーリエのシャンボールミュジニー1級グリュアンシェを織り交ぜて比較していきたいと思います。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ レ グリュアンシェ 2011

約14000円。
外観は比較的濃いルビー、粘性は高い。
ゼシャンジュ同様やや青さがあるものの、ネゴスと比べるとより瑞々しく澄んだ風味が感じられる。赤いラズベリーやブルーベリーの瑞々しい果実味、花の蜜の様な甘露さ、強烈なスミレの香り、石を砕いたミネラル、オレンジピールやドライハーブ、なめし革、茎やグローヴの風味。軽く樹皮の香りが感じられる。
ネゴスっぽいスパイシーさはやや抑え気味か。
タンニン、酸味はネゴスに比べると柔らかめ。硬いが綺麗な質感で、口の中で赤いベリーの香りが広がる。旨味はさほど強くは感じられない。


生産者: ジャン マリー フーリエ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ オー ゼシャンジュ 2011

約16000円。
外観は比較的濃いルビー、粘性は高い。
こちらも甘露だが、凝縮しており硬い造りのワイン。ミネラル感が感じられる。
ドライハーブ、井草やタイム、やや青いスパイシーさが、全面に出ている。時に甘露さが現れるが、炒ったクルミの様な甘さが感じられる。
やや未熟なダークチェリーやオリーブの様な果実味がある。
こちらも強烈なスミレっぽさかあり、ローズマリーと生肉、樹皮、コリアンダーなど、全体的に青い風味が強く感じられる作りだった。
タンニンと酸味がやや強く感じられる。収斂性はやや高め。口の中で花の香りが膨らんでいく。質感はグランクリュには劣る。


生産者: ジャン マリー フーリエ
銘柄: クロ ヴージョ グランクリュ 2011

約28000円。
外観は比較的濃いルビー、粘性は高い。
こちらも甘やかだが、エシェゾー以上に引き締まっており硬質。強烈な甘やかさは無い。
基本的には果皮の香りが強く瑞々しいダークチェリーやブルーベリー(シロップに漬けた様な)のニュアンスが感じられる。明確で強いスミレのニュアンスが感じられる。
グローヴや井草のスパイシーな風味、土っぽさ、茎。
鉄っぽさは抑え気味で、なめし革っぽい味わいが感じられる。
エシェゾーに比べると樽っぽさはあまり感じられない。やや硬い作り。(ドメーヌほどではないにせよ)
口に含んだ時の印象はエシェゾーとよく似ており、綺麗な旨味があるが、ややタンニンと甘みがクロ ヴージョの方が優っている。ソフトな作りだ。


生産者: ジャン マリー フーリエ
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2011

約30000円。
外観は比較的濃いルビー、粘性は高い。
スパイシーで甘露さが豊かなエシェゾーだ。
井草のスパイシーさ、薔薇やスミレの華やかな香り。果皮の強いダークチェリーと熟したフランボワーズの凝縮感が感じられる。徐々に八角、黒檀とキャラメル、フルーツケーキの香り。やや樽が強めに感じられる。ドライハーブ、鉄釘、グローヴ、コリアンダーなどの風味。
今年のフーリエにしては開きやすく、甘露さは強い。ミネラル感があり筋が通った味わいは確かにある。
酸と旨味は充実しており、タンニンは柔らかい。口の中で豊かなベリーの果皮の風味が広がる。
旨味はなかなか突出していると思う。


うーん、面白いですね。
まずシャンボールミュジニーでドメーヌとネゴシアン比較をしてみるとしっかりとした違いがありました。
ネゴシアンの1級ゼシャンジュは、しっかりとしたミネラル感とスパイシーさと森の中にいる様な草(スーボワ)やスミレなどの複雑な香りが主体となっています。
これはこれで、とてもシャンボールミュジニー的な造りのワインでしたが、ややドライな印象を受ける味わいでした。
ドメーヌの1級グリュアンシェは、ネゴシアン同様強いミネラル感がありますがその他の構成が若干異なります。
ネゴスに強く感じられたスパイシーさや土や草などの青さは若干後ろに隠れ、よりスミレなどの華やかな要素やラズベリーやブルーベリーの風味や蜜の様な甘露さを感じる事が出来ました。
あくまで方向性が同じあたり醸造はあまりネゴスとドメーヌで変えていないのかもしれませんが、葡萄の熟度にかなり違いがあるのかなあ、と思いました。ドメーヌの方がしっかりと果実味が感じられました。

次はクロ ヴージョとエシェゾー。
ネゴシアンものとはいえ、フーリエの作るグリオットシャンベルタン以外の特級畑。期待しない方が嘘だって感じです。
しかし当然ながらか、意識的にか分かりませんか、大きな造り分けがなされています。極論を言うとドメーヌのジュヴレシャンベルタンとは全く異なります。ただ出来はネゴスとは思えないほど良いです。
ドメーヌ フーリエの既存のイメージが適用されない未所有の畑だからこそ可能となった、買い葡萄によるテロワールの表現だったと思います。
で、ドメーヌはジュヴレシャンベルタンとシャンボールミュジニー、モレサンドニしか出してない訳ですけれども、クロ ヴージョ、エシェゾーは全く違う。
前回レポートした通り、2011年のフーリエは、凝縮感と硬質さがしっかりとありながらも、どこか冷ややかなニュアンスを感じさせるものでした。これはジュヴレシャンベルタンの一般的なイメージと概ね合致するものですが、ネゴシアンとして出してきたエシェゾーとクロ ヴージョは全くの別物。
まずエシェゾーは2011年とは思えないほど果実味が豊かで伸びやか、かつ芯の強さが感じられました。ネゴスに共通して見られたスパイシーがありながら、より華やかさと熟したフランボワーズの凝縮感とフルーツケーキの甘露さがハッキリと感じ取る事が出来ました。樽が強めに感じられる。硬質さは無く、よりヴォーヌロマネらしい妖艶な作りと言える。
またクロ ヴージョは、エシェゾーと比較してより硬質さや華やかさが際立っているものの、シロップ漬けのダークチェリーやブルーベリーの甘露な味わいも内包している。ドメーヌのジュヴレシャンベルタンの様な鉄っぽさより野性的でなめし革っぽい風味が感じられる。

と、以上の様にネゴスとして出されたワインはドメーヌとは一味違った味わいだと思いました。
ただ同じシャンボールミュジニー1級のゼシャンジュとグリュアンシェの味わいが比較的近いという事を考えると、「ドメーヌとネゴシアンだから違う」というより「テロワールに合わせた表現の違い」という風に考える方が妥当っぽいです。
そもそもドメーヌの主力がジュヴレシャンベルタンである事を考えると、ドメーヌとネゴシアンでリリースしているアペラシオンが異なるから単純比較は難しいと思います。
ネゴスでジュヴレシャンベルタンを出していたら比較も出来るとは思うのですが。
値段は高いですが、非常に良く出来たワインだとは思います。




【はじめちゃんさん:1】Sake Connection日本酒テイスティング

こんにちは、ひとりぼっちのテイスティング勉強会のHKO(はこ)です。
さて、今回ははじめちゃんさんです。

はじめちゃんさんは色々ワインや日本酒、料理に明るい人で、特にヴィンテージシャンパーニュはかなりお詳しいです。なので、その観点で切り込んでいって頂こうと思ったのですが、出てきたのはとてもキャッチーで素敵な記事。まさかレースクイーンは出てくるとは・・・なんか渋いブログが急にキャッチーでリア充寄りになっちゃったぞ・・・素敵。

それでははじめちゃんさんの小気味良い記事をお楽しみください!
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ども、はじめッス!
ネオカワサキのサラリマンHさんに誘われて、こちらで日記を書くことになりましたので、よろしくっす。
僕はワインとたまに日本酒やウイスキー、カクテルを飲みます。
お酒大好きっす。
ワインはブルピノや、オーストリアの白、そして熟成シャンパーニュが好きかな。
この中だとオーストリアの白は酸が美しくておいしいのに、あまり知られていないのが残念っす。

すこしまえに友達にさそわれて「Sake Connection」のイベントにおよばれしてきました。
http://www.sake-connection.com/
新しい日本酒を追求してて、すごいっす。
麻布十番の「アフェット」さんでのイベントでした。
http://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13111281/
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ランボルギーニのレースクイーンさんが超かわいかったっす。
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腰ほそおぉぉぉぉ!!
サラリマンHさんも「デイリーランキングで上位をとるためには、レースクイーンが最高だぜ!」と大喜び。
可愛い子はすごいっすよね、ビンビンきて。

もう一人のレースクイーンさんは影のある美人。
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友達が「暗い台所で一人泣くのが似合いそう」と酷いことを言ってましたが、僕もちょっとそう思ってしまったっす。
僕が隣にいたら一緒に楽しく過ごせるようにお話ししてあげたいっす。

きゅくきゅく、と話を戻してお酒の話。
レースクイーンさんがいたのは、この一杯目の泡った日本酒が、富士スピードウェイのレースでのシャンパンファイトに初めて使われた日本酒だからっす。
6
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シャンパンファイト羨ましいっすよね、僕もじょわわああああって高いところで泡飲みたいっす。
「PODIUM」=演壇となづけられたこの泡は山口酒造さんがつくってるっす。
http://niwanouguisu.com/
やさしい味わいで乳酸っぽさが強くて、カルピスみたいにきゅーーー!しゅわん!

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一緒に食べたヨーグルトムースの縞海老・佐藤錦のマリネとめっちゃ合ってたっす。
夏の暑いときにがーーっ!と汗掻いて、これきゅーーー!と飲むとたまんないのでやるつもりっす。


次、イスキア島のPIETRATORCIA。
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一緒に食べた鱧のタルタルが美味しすぎて忘れちゃったっす!
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3杯目、尾崎酒造さんのShinju。
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真珠って感じのきゅー!きらん!といった感じで美味しかったっす。
ヴィシソワージュを右手に、真珠を左手にで、ぐいぐい飲み続けたいっす。
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4,5杯目は写真取り忘れちゃったっす・・・
影のあるレースクイーンさんをどうやって幸せにするか友達と激論交わしてて。
お酒飲んで顔赤くなってて可愛い!

6杯目、FONTANABIANCAのバルバレスコ04、これはねー、ちょっと厳しかったんすよ。
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なんかぎゅー、ぐぐぐーと苦い感じが強くて、君はなんなのかなーって考え込んじゃって。
でもでも、ソムリエさんに聞いてみたらあれ、なんか変ですね、ってことになって別のボトルのを注いで貰ったらそれは美味しかったんすよ。
GAJAみたいなエレガンスはないんすけど、ボディがぎゅっとしてちょっとドレスみたいな服を着た田舎娘ちゃん!
アメリカンチェリー&ヴァヴァヴァルサミコのフォアグラとグっと合ったッス。
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最後は山口酒造の梅酒はやばかったっす。
ほよほよほよぉ~、っと顔がとろける深っかい甘さで腰が砕けそうに。

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グラニテちゃんにとぽとぽとぽ~っとこの子をかけて、食べるとふにゃ~ほよ~~~に。
梅酒なのにピノっぽい色で、味わいは良い深いポートっぽく、衝撃の一本だったっす。


僕はHさんみたいにHさんじゃないので、あんまり香りや味わいの説明が上手くないんすけど、その分ばーっ!と広がるイメージを伝えていければと思うっす。
また次回、よろしくっす!
プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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