【ボルドー:5】1981年レオヴィルラスカーズ

こんにちは。
今日はボルドー。レオヴィルラスカーズの古酒と、クロマヌーというボルドーのガレージワインです。

クロ マヌーはサンテステフ村北側にあるサン クリストリ メドックという村で作られています(AOCはメドック)。もともとは生産本数数百本のガレージワイナリーでしたが、近年の生産量は増加している。現当主はステファン ディエフ。
年間生産量は18000本。
植わっている葡萄の平均樹齢は40年。
収量は50hl/haに絞り、収穫は全て手作業で行う。収穫後の葡萄は3回の選別を経て木製の小型タンクで発酵。新樽100%でマロラクティック発酵を行いながら17ヶ月熟成を経て出荷される。

レオヴィルラスカーズはサンジュリアンのメドック第二級シャトーですが、その実力は時に一級を凌ぐ、いわゆるスーパーセカンド。ジャン ユベール ドロンが指揮を取っています。その強烈なこだわりは年によっては50%程度の収穫量をデクラッセしセカンド、サードラベルに回します。
生産量は約21万ボトル。
畑はラトゥールに隣接する主要な畑が40ha、総面積は97ha。平均樹齢は30年で、平均収量はローヌやブルゴーニュの生産者と比べるとやや多い50hl/ha(ただ年によって20hl/ha代になることも)。
木製タンク、コンクリートタンク、ステンレスタンクの槽で20日間程度マセレーションとアルコール発酵を行い、新樽50~100%で12~24ヶ月程度の熟成を行った後、無濾過で瓶詰めを行います。

ではいってみましょう!


生産者:ステファン ディエフ
銘柄: クロ マヌー 2009
品種:カベルネソーヴィニヨン56%、メルロー38%、カベルネフラン4%、プティヴェルト2%

7000円、WA89-91pt
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
シナモン、ブラックベリーやダークチェリーの濃厚な果実味。黒糖やカラメルの様な濃い甘露さを感じさせる。薔薇や西洋杉やミント、ハーブの香りが強く感じられる。
かなり樽が強く、対して果実味は比較的落ち着いているといえる。
こちらもタンニンは柔らかく、酸味も穏やかではある。口の中でダークチェリーと西洋杉のアロマが広がる。


生産者、銘柄: シャトー レオヴィル ラスカーズ 1981
品種:カベルネソーヴィニョン65%、メルロー19%、カベルネフラン13% 、プティヴェルド3%

34000円、WA89pt
外観はやや橙を帯びたガーネットで色調は明るめ。
80年代だけにかなり熟成香が感じられる。湿った西洋杉、フォレストフロア、干し椎茸などの土の香りに、ジビエの生肉の様な野性的なニュアンス。ユーカリ、甘草のスパイスのニュアンス。わずかにブラックベリーなどの果実味も残っている。
香り同様、アタックはかなり柔らかくなっており、酸とタンニンは柔らか。収斂性もなく、じっくりと引いた出汁の様なエレガントさがある。
片一方でかなり液体密度は下がっていて、濃厚さやエネルギーはかなり落ち着いている様に感じられる。


まずクロ マヌーから。
正直、メインはレオヴィルラスカーズだったので、オマケ程度にしか考えていなかったんだけど、これが想像以上に美味しくてびっくりした。
果実味はとても豊かだし、間違いなくカベルネ主体なんだけど、どこかニューワールドピノの様な樽の香りが感じられるのが面白い。樽の焦がし方だろうか。カシスの風味は抑え気味で、もっと瑞々しいダークチェリーの様な酸味を帯びた香りも感じられる。いわゆる古典的なボルドースタイルでは無い。
ただ若い時分には厳しい側面が多分に感じられるボルドーにおいて、かなり近づきやすい、染み込むような味わいだと思う。
重くなく、体にしっくりとくるボルドースタイル。素晴らしい。
次、レオヴィルラスカーズ1981。
1981年はあまり良い年ではないのだけど、順当に熟成していると思う。
流石に果実味はかなり落ち込んでいるし、液体密度も低い。あと数年で朽ちるワインといった印象を受けた。熟成香がありながら、果実味も同居していた93年と比べると、12年間で果実味はほぼ落ち込み、その分複雑さが際立っている印象を受けます。
濡れた樹皮やフォレストフロア、干し椎茸、ジビエの様なブーケ、出汁の様な綺麗なエキス感。限りなくレオヴィルラスカーズの核が露わになっている。時折見せる水飴の様な甘露な香りも魅力的だ。
マッシブさや果実味はないものの、優美で流麗な味わいが感じられ、とても魅力的な古酒だった。

久しぶりにボルドーを飲んだが、やはり新ヴィンテージならではの凝縮した果実味、古酒ならではのしいたけ系の旨味、それぞれ魅力的な部分があるなあと改めて認識した。
ただ新ヴィンテージはタンニンや酸味が際立っており、なかなか「今飲んで美味しいワイン」に出会えることが少ない。
そういう事を考えるとこういうワインがあるのはやはり貴重だなーと。



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【シャンパーニュ:5】テロワールを重視するレコルタンマニピュラン。エリックロデスとアグラパールの2本を利く

こんにちは。
本日はシャンパーニュ、レコルタンマニピュランの2生産者のシャンパーニュを追って行きます。
エリックロデスのアンボネイ グランクリュ、そしてアグラパール エ フィスの7クリュとなります。

エリック ロデスはアンボネイに拠点を置くレコルタン マニピュラン。
現当主のエリック ロデズはブルゴーニュの醸造学校、ボジョレーとローヌのドメーヌを経て、クリュッグの醸造長を担当。畑とテロワールを重視したスタイルで、テロワールにあわせた改植、リュットレゾネを実践し、クリュッグ譲りの樽使いやアッサンブラージュで仕込みます。
今回のアンボネイ グランクリュはブジ-に隣接した南向きの斜面、表土の薄い南東向きの斜面を内包している。古樽を中心にステンレス、新樽で発酵を行った後、48~60ヶ月瓶熟を経て出荷されます。

アグラパール エ フィスは1894年にアヴィズに設立されたレコルタン マニピュラン。現当主はパスカル アグラパール。
若手生産者、新進気鋭のRMが重視するテロワールの表現。アグラパールも例に漏れず、畑仕事を最重視し、醸造には極力手を加えない。アヴィズ、オワリィ、オジェ、クラマン。コート・デ・ブランの特級4ヶ村を含む10haを所有し、その武道の平均樹齢は約40年。馬を用いた耕作やこまめな摘房を行う事で、潜在糖度の高い武道が出来上がります。
収穫した葡萄は天然酵母による発酵を行い、25%木製樽で発酵、醸造を行う。リザーブワインの保管も木製樽を使用。澱との長い接触により複雑な酸化のニュアンスが生まれます。
今回の7クリュは特級のアヴィズ、オジェ、オワリィ、クラマン、そしてアヴネィ
ヴァル ドール、ベルジェール レ ヴェルテュ、マルデュイユの葡萄を混醸したシャンパーニュ。
収穫年のワイン、そして収穫前年のリザーブワインの2ヴィンテージのアッサンブラージュが行われ、36ヶ月の瓶熟成の後出荷されます。年間。25%が樽で醸造されます。

ではいってみましょう。


生産者: アグラパール エ フィス
銘柄: レ セット クリュ ブラン ド ブラン ブリュット NV
品種: シャルドネ100%

約7000円、WA90pt
外観は澄んだライムイエローで泡は力強く立ち上る。粘性は高め。
香ばしいマロングラッセやハチミツ、モカ。メロン。白い花やドライハーブなどの複雑な風味が感じられる。レモンや赤リンゴなどの酸味を感じさせる果実味がある。
爽やかな酸味があり、リンゴの様な果実味が口の中に広がる。豊かなボディがあり、ボリューム感も大きい。強硬なストラクチャーを持っている。


生産者: エリック ロデス
銘柄: グランクリュ アンボネイ ミレジム ブリュット 2002
品種: ピノノワール50%、シャルドネ50%

約10000円、WA89pt
外観は濃いめのイエローで泡は力強く立ち上っている。やや熟成感があり、濃厚なパイナップルや蜜のたっぷりと詰まった赤リンゴの様な果実味が感じられる。結構グランメゾンの様な味わい。ブリオッシュ、バター、核種系果実の蜜、木材、フレッシュハーブなど。
滑らかで豊かな酸味があり、フルーティーな余韻を残して行く。素晴らしい。


ううむ、やはりレコルタンマニピュランは熱いですね...どいつもこいつもネゴシアンマニピュランでは考えられないくらい良く出来ている。素晴らしい。

まず、アグラパールから。
もう抜栓した時から凄かったよね、このシャンパーニュ。ブラン ド ブランらしい香ばしいロースト香と、マロラクティック発酵を経たシャルドネのオイリーな風味が3年間の瓶内熟成によって、しっかりと溶け込んでいる。それに加えてリザーブワインによる複雑なストラクチャー。
ただマロで酸味を完全に失っている訳ではなく、基本骨子はシャープにも思える。
寒冷地で前にでがちな酸味を、マロラクティック発酵と樽熟成でとてもいいバランスに仕上げている。
味わいのクオリティとしてはコント ド シャンパーニュに匹敵すると思う。でも更にこの上...か同列かに別のキュヴェがあるってんだからすごいよね。

次、エリック ロデス。
50%ピノノワールが入るだけで、液体にこれだけ厚みが出るとは思わなんだ。
シャルドネだけでは決して現れない旨味が強く感じられる。濃厚なパイナップルや蜜のたっぷりと詰まった赤リンゴの様な果実味が感じられる。そしてブリオッシュ、バターの風味。かなりリッチな風味のシャンパーニュ。
豊満な果実味を持つアンボネイらしい味わいだな、と思った。分厚い風味。

まだまだ考察出来るほどレコルタンマニュピランを飲みこんでいないので、何とも言えないですが、テロワールを重視するスタイルは、ブルゴーニュ好きにはとてもしっくりときます。
対してグランメゾンはリザーブワイン、品種、テロワールを縦横無尽に混醸して最良の一手を模索するボルドースタイル。
どちらも同じ品種を使っていますし、味わいの差異もあくまでシャンパーニュの枠内で収まるものですが、こういった生産者ごとの製法や哲学を考慮しながら、違いを楽しむ事が出来るのはとても面白いですね。



【日本酒:1】テロワール別13種から品種、醸造、磨きを眺める。



こんにちは。
ここ3週間ほど、結構な時間を割いて日本酒に集中していました。
勿論このブログのメインはワインなんですけれども、同じ醸造酒であることと、海外市場で盛り上がっている事を鑑みて、ちょっと片手間に勉強していきたいなあ、と思っております。

さて、今回は北は秋田、西は山口県まで、一挙13種類、行ってみたいと思います。


生産者: 阿桜酒造(秋田)
銘柄: 阿櫻 特別純米 活性にごり酒
品種:秋田県産酒小町
精米歩合:60%
アルコール度数:16%

残糖分がやや多めに感じられる。
熟した洋梨の果実味、ややアルコーリック。
泡の刺激もあり、やや酸味も強く感じられる。


生産者: 亀の井酒造(山形)
銘柄: くどき上手 純米吟醸
品種: 山形県庄内産美山錦
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

ややアルコーリックな風味。
青リンゴの果実味。
酸味はやや強めで甘みも強い。


生産者:楯の川酒造(山形)
銘柄:主流 楯野川 純米大吟醸
品種:山田錦
精米歩合:50%
アルコール度数:15%

外観は僅かに黄色を帯びた透明色。粘性は中庸。
全体的に丸みがある香りで吟醸香が前に出ている。洋梨やマンゴーの甘露さ、ラディッシュや餅、金木犀、ショートブレッドや生クリームの風味が感じられる。
酸味はとても柔らかで滑らか。平面的に綺麗に広がっていく味わい。


生産者: 新藤酒造(山形)
銘柄: 雅山流 翠月 純米大吟醸
品種:山形県産出羽燦々
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

やや黄色を帯びた透明色、
鳳凰美田と比べると、よりなめらかな舌触りで、糠の様な風味は完全に消えている。
より純度の高い香り。よりはっきりとしたメロンと洋梨の風味が感じられる。丸みがある。過剰に甘ったるくなく、酸味も穏やかに感じられる。香りは強いわけではないけど、よく纏まってる日本酒だなあ。


生産者: 酒田酒造(山形)
銘柄: 上喜元 雄町 生酛 純吟 中取り
品種: 岡山県産赤磐雄町
精米歩合: 50%
アルコール度数:16%

濃厚で重みのある香りで粘性も高い。
洋梨のコンポートやショートブレッドの様な甘みが感じられる。クローヴ、杏仁豆腐の香り。
アタックは醸し人九平次と比べると幾分かエッジーな酸が見られる。豊かな甘みを感じさせる洋梨の含み香がある。


生産者: 宮泉銘醸(福島)
銘柄: 寫樂 純米吟醸
品種:福島県会津産 五百万石
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

メロンや洋梨などの豊かな熱帯の果実の風味が感じられる。とても滑らかなタッチでソフトな口当たり。ボディは強め。ややドライ。


生産者:萩野酒造(宮城)
銘柄:萩の鶴 純米大吟醸 試験醸造酒
品種:五百万石
精米歩合:50%
アルコール度数:14%

外観は白濁色、微発泡しているが、外観にまでは現れていない。
旨味と甘みが強い。水飴の様な甘露さ、葛の様な旨味が感じられる。マンゴーやアプリコットの果実味、ショートブレッド。
アタックの酸味は柔らかく、セックの様な僅かな甘み、微発泡のピリッとした舌触りを感じさせる。


生産者:小林酒造(栃木)
銘柄: 鳳凰美田 純米吟醸 Wine cell
品種:兵庫県産山田錦
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

やや黄色を帯びた透明色、
香りは強くは立っておらず、やや糠の様な風味が感じられる。洋梨や胡瓜の青っぽさがある。
酸味は強めで、ややトゲトゲした甘みが感じられる。


生産者: 萬乗醸造(愛知)
銘柄: 醸し人九平次 雄町 純米大吟醸 2012
銘柄:岡山県産雄町
精米歩合: 50%
アルコール度数:16%

クリーミーだが、ややアルコールっぽさを強く感じる。熟しきった洋梨やメロンの香り。バター。餅米などの原料香。
アタックは驚くくらいシルキーで滑らか。
きめ細やかさが際立っている。熟した洋梨の含み香が感じられる。ボリューム感のある純米大吟醸。温度は低めの方が良いだろうか。


生産者:北川本家(京都)
銘柄:京の夜桜 純米吟醸
品種:山田錦
精米歩合:55%
アルコール度数:15%

外観は僅かに黄色を帯びた透明色。粘性は中庸。
よりシャープさが際立った冷たい印象を受ける。桜餅や水飴の風味や炊きたての米、金木犀、バターなどの風味が感じられる。
アタックはやや酸味と旨味が際立っている。純米大吟醸程の清涼感はないか旨味は前に出ていると思う。


生産者: 旭酒造(山口)
銘柄: 獺祭 純米大吟醸 50
品種: 山田錦
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

外観は透明色、粘性は高い。
最も重量感があるふくよかな甘露さが感じられる。
トップノートは熟したリンゴや洋梨。瓜や月桂樹の葉、ショートブレット、桜餅、マシュマロ、葛など。
厚いアルコールのアタックがあり、やや酸味を感じるリンゴの含み香が感じられる。
やや太い作りの日本酒なので、冷やした方がより味わいに纏まりが出そう。


生産者: 旭酒造(山口)
銘柄: 獺祭 純米大吟醸 磨き3割9分
品種: 山田錦
精米歩合:39%
アルコール度数:16%

外観はやや黄色がかった透明色、粘性は高い。
冷ややか、かつ華やかさを増した甘露さが感じられる。
トップノートは熟した洋梨やメロンの吟醸香。餅米や金木犀、ローレル、バターや桜餅、水飴のニュアンス。
アタックは50よりシャープでアルコールによるインパクトは少し落ち着いている。
メロンと水飴の含み香が感じられる。十分冷ややかなので常温でも十分楽しめる。


生産者: 旭酒造(山口)
銘柄: 獺祭 純米大吟醸 磨き2割3分
品種: 山田錦
精米歩合:23%
アルコール度数:16%

外観はやや黄色がかった透明色、粘性は非常に高い。
華やかで透明感のあるシロップ的な甘露さが感じられる。
トップノートは熟したメロン、白桃の吟醸香。金木犀、瓜、ローレル、新茶。バター、僅かに餅米のニュアンスは感じられるものの、ほぼ原料香は無い。ほぼ吟醸香とバターのニュアンスで構成されている華やかな作りだ。
洗練されていて雑味が無い。
アタックも絹の様に滑らかできめ細やか。豊かなメロンの含み香が感じられる。こちらも常温の方が香りが十分に楽しめる。


生産者: 平和酒造(和歌山)
銘柄: Shibata's 紀土 純米吟醸
品種: 山田錦
精米歩合: 50%
アルコール度数:16.7%

澄んだ華やかな香り
含み香に米糠や穀物の香りが感じられるが、トップノーズはかなり華やかで、和梨や温州蜜柑の様な香りが感じられる。桜餅や水飴、金木犀の香りが感じられる。
アタックはピリッとした酸があり和梨や蜜、ローレルの様な含み香りがある。


以下分かったこと。

1: 必ずしも酒蔵のある場所で酒米が作られている訳ではない。
例えば雄町であれば岡山県産、山田錦であれば兵庫県産のものが他県の酒蔵でも使われている。という事を考えると、立ち位置的には酒蔵=ネゴシアン マニピュランの図式が最も良くフィットする。確かにあまり酒蔵が自身で酒米を作っているという話は聞いたことがない。


2:では日本酒におけるテロワールとは何なのか。
醸造工程で使用する水、もしくは酵母。
ただし酵母は協会酵母を使っている例が多く見受けられる為、実質は水かと思われる。
この水が日本酒の風味にどれだけ大きな影響を及ぼしているのかはわからない。
むしろテロワールより酒米の品種、磨き、酵母が味わいを決めている印象を受ける。


3:磨きによる違い。
磨きは米のタンパク質や脂肪胚分を除去する作業。
それを念頭においた上で今回の13種類は全て純米吟醸、もしくは純米大吟醸を比較している。(1本だけ特別醸造があったかもしれない)

・精米歩合50%以上
膨らみのある原料由来の甘い香り。
桜餅や餅米、水飴などの香りが主体。丸みのある余韻。ややアルコール香が感じられる。

・精米歩合50%以下
雑味の無い透明感のある甘露な香り。
フルーツ(洋梨やメロン)などの吟醸香が主体。シャープな余韻。芳香性は高く酵母の影響が強く出ている。

精米歩合が低くなればなるほど、旨味、雑味(というか原料香)が削ぎ落とされ、残糖と酵母(フルーツなどのニュアンス)の芳香が強くなっていく。またデンプンが削ぎ落とされて行くので口当たりもシャープで澄んだタッチになる。
つまり磨きを極めれば極めるほど、ワインで言う複雑さやボディを引き換えに、純粋て無駄のない味わいをを追求していると言えるだろうか。(除梗を行うか、行わないかに近い?)

個人的な感覚だと、純米吟醸の方が香りに多様性があり、複雑で、ボディもしっかりしていたと感じるのだけど、口当たりは今ひとつだった。
純米大吟醸は完全除梗したピノノワールの様に繊細で伸びやかな芳香があり、原料本来の香りより酵母のフルーティな香りが突出していた。シンプルだが口内に抜ける香りから口当たりまで一貫して澄んだ印象を受ける。


4:品種による違い。
今回は山田錦、雄町、五百万石、出羽燦々、美山錦の5つの品目。
同一生産者のものでテイスティングした訳では無いので正確な味わいを分析する事は出来ないが、山田錦に対して雄町は原料香が強く現れている(ような気がする)※同一の磨きで比較。出羽燦々は華やかな印象を受ける。
単純に結論付ける事は出来ない。
あと100種類はサンプルが欲しいところ。


5:個人的な好み
雅山流 翠月 純米大吟醸
獺祭
醸し人九平次
3番でアレコレ言っていたのも関わらず、よく磨いた純粋な味わいの日本酒が好きみたい。やはり精米歩合の高い日本酒の米糠の様な風味とこってりとした舌触りが微妙なのかも。


そんな感じです。
もともと日本酒は好きでしたが、初めてしっかりと向き合いました。
まだまだ要素を捉え切れてないのと、醸造工程と発現する風味を紐付けられてないので、微妙なテイスティングコメントとなりましたが...これから行く行く勉強していこうと思います。適度に。



【フランスその他:1】フランスの新世界ラングドックルーションのグルナッシュと、冷涼なミディピレネーのモーザック。

こんばんわ、HKOです。

今日も今日とてデイリーワインでございます。地域はラングドックルーションからラ パッション グルナッシュ、リムーからトワベー エ オウモン。シュドウェストからイザティス ブランです。
協同組合多いですね。
有名な協同組合といえば、やはりシャブリにあるシャブリジェンヌ、バルバレスコにあるプロデュットゥーリ デル バルバレスコですかね。両方ともドメーヌものに全く引けを取らない素晴らしいワインを作っています。
協同組合といえば、なんとなく農協的なイメージがありますが、ワインのそれは画一的なではなく、より個性に溢れたスタイルになっています。

イザティスはヴィネ ルラック協同組合が地元消費者の為に作るワイン。赤もあります。
ラ パッション グルナッシュはルーションのトータベロワーズ協同組合がモーリーという地区から作られたグルナッシュを購入して醸造しています。丁度スペイ
ンとの国境近くにある地域だそうです。

ジャン クロード マスはラングドックに拠点を置く、新鋭生産者。
現在は安旨の帝王として様々な雑誌に特集されていますので、かなり定着した感があります。150haの自社畑、550haの契約畑を保有している大生産者でシャトーポールマス、クロード ヴァルなどの様々なポートフォリオを持っています。

さあ、行ってみましょう。


生産者: ヴィネ ルラック協同組合
銘柄:イザティス ブラン ヴァン ド ペイ コート デュ タルヌ 2010
品種:モーザック100%

外観はやや濃いめのイエローで、粘性はやや高め。
結構香り高く、清涼感がありながら力強さも感じられる香り。
赤リンゴやライムなどの溌剌とした果実味、フレッシュハーブや白い花の蜜の様な香りが徐々に現れる。
清涼感がありながら、アルコール度数12%としてはボディはなかなか強め。
口の中でシャープな酸と溌剌とした果実味が感じられる。


生産者: トータベロワーズ協同組合
銘柄: ラ パッション グルナッシュ 2011
品種: グルナッシュ100%

毎年納得の出来のラ パッション グルナッシュ。今年のヴィンテージも期待通りの果実味爆弾。ただスペインやニューワールドの様なローステッドな風味より、品のあるスパイスの香りが主軸となっている。
ドライプルーンやブラックベリーの様な濃厚な果実味が主体となり、クローヴやスミレ、溶剤、鉄釘、西洋杉、インクなど。
口当たりは香り同様豊満でボリューミーな果実味があり暑い気候を感じさせてくれる。
酸味は控えめ、タンニンは強いが果実味の豊かさ、甘さが強く前に現れており気にならない。滑らかでジャミーな味わいのワイン。

生産者: ジャン クロード マス
銘柄: トワベー エ オウモン 2011
品種: メルロー80%、シラー15%、カベルネソーヴィニヨン5%

外観は濃いガーネットで粘性は非常に高い。
果実味豊かなメルローの香りが主体的。新世界のグルナッシュと比較するとボリューム感や密度で見劣りする。
ただ一瞬ボルドーを想起させるような風味も感じられ、高級感はそこそこあると思う。
西洋杉やおがくず、やや果皮の厚めのブラックベリーやカシス、スモーキーなタバコやミント、甘草や漢方の様な香りも感じられる。
タニックで収斂性が強く、かつ酸味は強いが、口に含んだ時の果実味はとても豊かでボリューム感がある。ベリーの果実や花の香りが口内に広がる。


まずはイザティス。
コート デュ タルヌというAOCも、モーザックという品種も初体験。
ミディピレネー地域圏というと、マディランがある地域圏ですね。冷涼で多湿の気候でグロマンサン、プティマンサン、タナという品種が良くできるテロワール。日本とよく似ているとも言われます。
さて、件のモーザックですが、感覚的にはソーヴィニヨンブランっぽい。ただより酸味は強く、シャープ、かつ割としっかりしたボディがある。
不思議な感じ。意外とクリーム系の料理に合いそうな気がしますね。美味しいんですが、これといって特筆すべき所が無いワイン。特に意識せず飲むワインといった感じでしょうか。悪い所はないけども、感動もないなー。いや、美味しいんですが。
この地域だとブリュモンが美味しいので、その影に隠れてしまうワインですなあ。

次にラ パッション グルナッシュ。
いやー、ホントメチャクチャ美味いっすね。今年に限った事じゃないんですが、いつ飲んでもこの凝縮感と果実味。半端ない。
そんな感じで書くとポッテリとした濃厚なスペインのガルナッチャやオーストラリアのグルナッシュを想起させますが、その実、ジャミーな黒系果実を基本に起きつつローヌ寄りのスパイス、スミレの風味がしっかりとあり、フランスらしい品の良さを感じます。
ちゃんとバランスが取れていながら、これだけの凝縮感、恐れ入ります。
毎年本当にどうもありがとう。そんな気分になるワインですな。
地域は安旨の宝庫、ラングドック ルーション。フランスなのにニューワールドみたいなワインが出来る稀有な土地です。それはスペインに近いというのもあるんですが、とはいえこのフランスの懐の深さ。ほんとすげえな、と思います。

最後のジャン クロード マスは流石ですね。西友に卸しているメルローと確かに似たキャッチーさがあるのですが、より樽のニュアンスがしっかり出ていて高級感が感じられます。
ワインとしてのバランスはとても整っていますが、果実味としてはラ パッションの方が突出しています。ジャン クロード マスはワインが既に分かっている人が、より美味しいと感じられるワインかもしれません。


ラ・パッション・グルナッシュ 2011

ラ・パッション・グルナッシュ 2011
価格:1,239円(税込、送料別)

【カリフォルニア:11】コストパフォーマンス抜群のカリフォルニアの赤と泡

こんにちは。
本日はカリフォルニアのお得な赤と泡をレポートします。最近グランヴァンが無いのは単純に時間が無いのと気分が乗らないのと機会が無いだけです。はい。ただその代わり日本酒はここのところ、かなり飲み込んでいるので後日レポートしますね。

話をカリフォルニアに戻しますが、いくら一部のカルトワインが高騰しているとはいえ、お買い得なワイン、まだまだ眠っていますね。今回の2本も群を抜いたカベルネとスパークリングだったと思います。
まあ、眠っているというには、あまりにも有名な生産者なのですが。こういう大きな生産者が安くて高品質なワインを大量に作ってくれると、大変ワイン市場の活性化につながると思うのですよ。

今回はJ.ローアーのカベルネとフランシスコッポラの泡です。

Jローアーといえば、何といっても安くて美味いワインを作る事で有名ですね、特にペインターブリッジは非常に高品質なボルドー品種を安価で世に送り出しています。今回はセブンオークスヴィンヤードから取れる葡萄を使用した単一畑のものです。葡萄の木は自根の(そもそもの木がフィロキセラに強いアメリカ産のクローンかもしれませんので、ヴィーニュフランセーズではないかもしれません)葡萄樹が植わっております。樽熟期間はアメリカンオークで12~14ヶ月。

次はフランシス コッポラ。フランシス コッポラといえば映画監督ですが、ワインメーカーとしても有名です。彼の運営するルビコン エステートでは高品質なボルドーブレンドを作り出しています。
今回はフランシス コッポラの息女であるソフィアの結婚を記念して作られたスパークリング。冷涼なモントレーカウンティで作られた白葡萄のみで醸されています。

さて、では行ってみましょう。


生産者:J.ローアー
銘柄:セブンオーク カベルネソーヴィニヨン 2011
品種: カベルネ ソーヴィニヨン80%、プティシラー9%、プティヴェルト5%、メルロー2.5%、シラー2.5%、カベルネフラン1%
品種:

1200円。
価格帯としては突出して素晴らしいカベルネソーヴィニヨン。ニューワールドというより2010年の過熟したボルドーの様な印象を受ける。タンニンなどの重さに寄らず、しっかりとした酸味があり、エレガントなタッチだ。
外観は中庸なガーネットで、粘性は高い。
まず鼻腔を刺激するのが、豊かな西洋杉とハーブの香り、そして溶剤やスミレ。煮詰めたダークチェリーやカシスなどの酸味を伴う果実味だ。非常にボルドー的なであると思う。ややスモーキーで土の香りなども。燻製肉、シナモン、クローヴなど。
アタックはタンニンより酸味が際立っている。この酸味はまるでシラーのようだ。口に含むと瑞々しいブラックベリーの風味と煮詰めたような甘さがある。タンニンはとても柔らかいので熟成こそしないだろうが、今飲むワインとしてはとてもクオリティが高いと思う。


生産者: フランシス コッポラ
銘柄: ソフィア ブラン ド ブラン 2011
品種: ピノ ブラン 70%、ソーヴィニヨン ブラン20%、マスカット10%

約3500円、
外観は透明に近いストローイエロー、粘性は低い。例えるならばスパークリングサンセールと言った感じ。フォキシーフレーヴァーが無いから、むしろスパークリングヴィオニエかな?
ミネラル感豊かでフレッシュハーブやレモン、青リンゴの様な爽やかな果実味。ただ青っぽい訳では無く、ちゃんと熟した様な核種系の蜜の香り、焦がしバター、茹でたホワイトアスパラガスのニュアンスが感じられる。
爽やかな柑橘系の果実や青リンゴを想起させる酸味があり、清涼感が感じられる。きめ細やかで綺麗に広がる酸が魅力的だ。


さて、先ずはJ.ローアー。
ここはピノノワールも素晴らしく美味しかったのですが、カベルネも相当いいです。
スタイルで言うなら2010年のボルドーのカベルネといった感じ。新世界程過熟している訳ではなく、ボルドーほどエレガントではない。そしてカベルネ、メルロ、フラン、プチベルだけでは絶対に出ない、プティシラーに所以する瑞々しい酸味。豊かな西洋杉とハーブの香り、そ煮詰めたダークチェリーやカシスなどの酸味を伴う果実味だ。
一般的なカベルネ主体のワインの様に低い重心に構えたタニックな味わいではなく、より酸味によって広域に伸びるワイン。
現状十分にバランスが取れており、タンニンも丸いので熟成こそしないと思いますが、今飲んで最高に美味いカベルネです。デイリーはこうであるべき、という良い見本だと思いまする。

次はフランシス コッポラ。
さながらスパークリング サンセール。清涼感のある青リンゴや柑橘、フレッシュハーブの爽やかなニュアンスと酸味。そしてゆっくりと現れる核種系の蜜やアスパラの香り。
ロワールの風を感じさせるスパークリング。
ピノ ブラン主体でありながら、ソーヴィニヨンブランのニュアンスがとても綺麗に出てますね。柑橘とハーブのアロマティックな風味とともに青くシャープな酸が前に出やすいソーヴィニヨンブランの土台をピノブランで補助している。かなりいいバランスですね。
マスカットも瑞々しさに一役買っています。

今回赤と泡、全く関連性が無いので比較とかはありません。
ただ単品で見ても、これだけのクオリティをこの値段で、ちゃんと探しさえすれば見つけることが出来るのですから、凄い事ですよねえ。

特にJ.ローアーはとてもお買い得です!


【イタリア:2】イタリアの素敵な泡モノを利く。

こんにちは。
本日はイタリアの泡もの2種類です。
1本はジャックセロスとの協業で有名なドゥブル、そしてお安いながらも高品質なフランチャコルタ。

ドゥブルはフェウディ ディ サン グレゴリオとアンセルム セロスとのコラボレーションプロジェクト。ワインの醸造からリリース時期までレコルタン マニュピランの旗手アンセルム セロスが管理を行っている。品種は土着品種のファランギーナを使用し、伝統的なシャンパーニュ製法で瓶内で18ヶ月間の熟成を経たのち出荷される。

ヴェッツォーリは、ジュゼッペ ヴェッツォーリ率いるワイナリーでフランチャコルタのエルブスコに畑を所有おりベラヴィスタに隣接。そこには樹齢は30年~40年のシャルドネが植わっています。
製法は伝統的なシャンパーニュ製法で、アルコール発酵後オーク大樽で12ヶ月、30ヶ月の瓶熟の後ドサージュ、出荷されます。ミラノのフォーシーズンズホテル メインダイニングのハウスワインにも選ばれています。

さて行ってみましょう。


生産者: フォーディ ディ サン グレゴリオ
銘柄:ドゥブル メトード クラシコ スプマンテ ブリュット NV
品種:ファランギーナ

大体どこのワインショップでも「ジャックセロスが作る!」という文字が踊っている。
味わいは似ているとは思わないが、それはファランギーナというイタリア土着品種を使用している部分が大きく、本家セロスのシャンパーニュとは異なる印象を与えるのは当然だろう。
しかし確かに共通点はある、例えば過剰な程感じられる熟成感、これから現れる複雑さは良く似ていると思う。
品種の個性としては熟成したリースリング種やマルサンヌ種など中間の風味を強く感じる。
石灰の様なしっかりとしたミネラル感があり、熟成による白カビチーズ香、無塩バター、ドライハーブ、出汁の風味が強く感じられる。また洋梨やりんごのような果実味があり(若干甘露ではある。)シャンピニオンなどの香りも。
複雑である事は間違いないが、どちらかというとスティルワインの特徴を多く持っており、シャンパーニュと比較すべき代物かというと結構微妙。酸味や泡は穏やかで飲み口は柔らかい。
ジャックセロスとは比べるべくもなく厚みは薄いが、十分に楽しめるスプマンテだと思う。価格としては非常に複雑な構成を持っている。


生産者:ヴェッツォーリ
銘柄: フランチャコルタ ブリュット サテン NV
品種:シャルドネ100%

これは素晴らしいブラン ド ブラン。コント ド シャンパーニュやドゥラモットなどの片鱗が感じられる香ばしくクリスピーな香りのフランチャコルタだ。3000円とは思えない。
外観は淡いイエローで粘性は低く、泡は穏やかに立ち上る。若々しいがしっかりとした樽の風味とシャルドネらしさを感じるフランチャコルタ。
香ばしいナッツやバター、ブリオッシュ。そしてフレッシュハーブ、白い花、ハチミツの甘露な風味も現れる。ライチやリンゴなどの果実味も感じられる。
ミネラル感もしっかりとあると思う。
酸味より旨味豊かでギスギスした点は無い。ハーヴィーでリンゴの様な果実味とブリオッシュの余韻が残る。うーん、値段対比でお得だなあ。


まずはドゥブルから。
こうジャックセロスのシャルドネ、ピノノワールを想像して飲むと、ちょっと痛い目に合います。全然味わいが違うから。
セロスのシャンパーニュはシャルドネやピノノワールのリザーブワインがたっぷり、かなり熟成香が強く、びっくりするくらいの旨味と厚みを感じさせるんだけど、そこは確かに似ていると感じる(厚みは流石にセロスとは比べものにならないが)。
ただ味わいの構成要素がそもそも違うので、受ける印象はかなり違う。石灰の様なしっかりとしたミネラル感があり、かつ熟成による白カビチーズ香、無塩バター、ドライハーブ、出汁の風味が強く感じられる。それがメインの芳香。
まるで熟成したリースリングやマルサンヌ(エルミタージュブランなど)の風味がかなり感じられると。品種の違いによってかなり味わいが違うけど、熟成した複雑味とか果実の厚みを強く押し出している点は「確かにジャックセロスだなあ」と言った感じ。
結構独特の味わいだから、好みがかなりあると思います。まあこれも個性ですね。

次はヴェッツォーリのフランチャコルタ サテン。ブラン ド ブランですね。
これも大体3000円くらいで買ったのですが、かなりいいですね。素晴らしいブラン ド ブランの特徴がちゃんと出ている。香ばしいナッツやバター、ブリオッシュのリッチな樽のニュアンスと、フレッシュハーブ、白い花、ハチミツの甘露な風味。ミネラル感も充実している。かなりレベルの高く、シャンパーニュで飲んだら7000円くらいはしそうな味わい。
特に不足している要素もないし、意外とちゃんと熟成するんじゃないかと。しっかりした味わいですね。まだ若いのでエッジーな酸はありますが、あまり気になりません。
丁寧に作られたフランチャコルタだなあ、といった印象。泡はもっときめ細やかでも良かったかもしれませんが、この価格の前では、そんな事いうのもねー。

両方とも3000円としてはとてもお得なスプマンテだったとと思います。
片方はリザーブワインをしっかりと使った(もしくは比較的時間の経過したヴィンテージの)スプマンテとして良かったし、もう片方はシャンパーニュ ブラン ド ブランと比較して引けを取らないフランチャコルタだったと思います。
なかなかここらへんは見どころですなー。
シンクさんがさらってない所を中心に私もチェックしていきたいと思います。


【ブルゴーニュ:41】プイィ フュイッセの真価を検証する。最上の生産者の4本。

こんにちは。
本日はプイィ フュイッセ。ヴィレ クレッセやサンヴェランと共にマコン地区としては著名な村でレストランでグラスで供されたりする事もあるので、口にした事のある人は結構いるのではないかな、と思います。ただその品質を改めて集中検討する事はあまり無いのではないか、とも思います。

今回はそのプイィフュイッセの中でも代表的な生産者を。シャトー ド フュイッセとドメーヌ ヴァレットです。

シャトー ド フュイッセはプイィ フュイッセというアペラシオンを世界に広めた老舗ドメーヌ。運営はヴァンサン家。
現当主は4代目のジャン ジャックだが、生産は全て息子のアントワーヌが指揮を取っている。
保有畑は35ha(プイィ フュイッセ23ha、サン ヴェラン7.5ha、マコン ヴィラージュ1.7ha、マコン フュイッセ0.9ha、ジュリエナ 2.8ha)。うちプイィ フュイッセには単一区画「ル クロ」「レ コンベット」「レ ブリュレ」を保有。
それぞれ単一畑毎に仕込まれるが、最良の区画を混醸した「テット ド クリュ」、平均樹齢50年以上(最古で82年)の古木のみを混醸した「ヴィエイユ ヴィーニュ」が存在する。
栽培はリュット レゾネ。
収穫された葡萄は圧搾に回され、18時間のデブルバージュ後アルコール発酵。単一区画ものとヴィエイユ ヴィーニュは100%木製樽にてアルコール発酵が行われる。熟成はレ ブリュレとVVは新樽100%、ル クロの新樽率は70%、レ コンベットには新樽を用いず、3~5年使用済みの古樽で実施。マロラクティック発酵は状況により実施。

ドメーヌ ヴァレットはジェラール、フィリップ親子が営むプイィフュイッセのドメーヌ。協同組合に貸していた畑を引き上げて自社本詰めに変えた。保有している畑への手入れは行き届いており、収穫は通常より10日ほど遅くに行われる。収量はかなり低めに抑えられ、かつ未熟な房は選定によって取り除かれる。これにより強い凝縮感を持ったワインを生み出す事が出来る。自然酵母を使用し、タンクもしくは木製樽によってアルコール発酵を行う。発酵後はシュールリーで新樽30%で熟成。
フラッグシップは単一畑のクロ レジエ、そしてクロ ド ムッシュー ノリー。

さて、最高のプイィフュイッセ、試してみましょうか!


生産者: シャトー ド フュイッセ
銘柄: プイィ フュイッセ ル クロ 2009

約6000円、WA90pt(2008)
オレンジがかった濃いイエロー、粘性は高く浮遊物は多い。おそらく濾過も清澄もしていない。
ヴィンテージ的にはかなり若いが、熟成したシャンパーニュの様な濃厚な熟成香と旨味を内包した風味が感じられる。
塩ナッツやエシレバター、赤リンゴなど、強い旨味と塩分を感じさせる香りが主体となっている。そしてドライハーブやシャンピニオンのニュアンス。僅かにミネラルが感じられる。
ボディの丸みや旨味の層は最も厚い。しかしながら酸味は柔らかく感じる。
赤リンゴや塩ナッツを口いっぱいに含んだ様な豊満さを感じさせる。旨味の広がりや余韻は長い。


生産者: シャトー ド フュイッセ
銘柄: プイィ フュイッセ レ ブリュレ 2009

約6000円、WA92pt(2008)
オレンジがかった濃いイエロー、粘性は高く透明度が高い。いかにも新樽比率が高そうな香り。パワフル。
かなりナッティーかつオイリー。白マッシュルームやアーモンドの風味から熟成ブルゴーニュに見られるクレームブリュレやバニラの香ばしい香りが感じられる様になる。ドライハーブや白胡椒、洋梨のニュアンスなども感じられる。5000円代とは思えない、かなりリッチな香りだ。よく樽と果実味が馴染んている。
口に含むとリンゴやドライハーブ、茸っぽいニュアンスが口内に広がっていく。余韻は長く複雑な木材の味わいが感じられる。やや酸味は強い。ムルソーにも通じる素晴らしいシャルドネだ。


生産者: シャトー ド フュイッセ
銘柄: プイィ フュイッセ ヴィエイユヴィーニュ 2009

約6300円、WA92pt(2008)
オレンジがかった濃いイエロー、粘性は高く透明度が高い。他の2本と比べると石灰などのミネラル感が突出しており硬質な印象を受ける。合わせて果実味が強い。樽が強いブリュレや熟成感が強いクロと比較すると断然清涼感があり純度の高い味わい。ピュリニーモンラッシェにも通じる特徴を持っている。
ミネラルと共に現れるナッツやオイルのニュアンス。そして純度の高いシロップや花の蜜などの甘露さ。そして出汁や青リンゴ、フレッシュハーブ、エシレバターの風味が感じられる。
最も果実味が豊かだが、酸味はより穏やか。綺麗なリンゴや柑橘系の果実味とフレッシュハーブ、ナッツの余韻が長く広がっていく。


生産者: ドメーヌ ヴァレット
銘柄: プイィ フュイッセ クロ レジエ レゼルヴ パティキュリエール 1996

約12000円、WA89-91pt
外観は濃いストローイエロー。粘性は高い。ムルソーを想起させる非常に完成度が高いプイィフュイッセ。
シャンピニオンやナッツ、エシレバターなどのナッツやオイルのニュアンス、出汁っぽさ、白胡椒、ドライハーブ。コンポートしたパイナップルの要素。
酸味は比較的豊かで、旨味もある。口の中にオイルとバターの豊満な果実味が感じられる。生産年代は全く違うが、ブリュレとヴィエイユヴィーニュの間を行くような作り。
しっかりとした樽と豊かな果実味を両立した良質なシャルドネ。


殆どの人はこう思うんじゃないかなと。「ムルソー、シャサーニュ、ピュリニーとは一体何だったのか」と。
極論、ミネラルや余韻の長さ、果実味の豊かさという部分ではブルゴーニュトップクラスの白には劣るのは間違いないのですが、ブルゴーニュを飲み慣れていないと同等のクラスと見誤るくらいレベルが高く、リッチな作りをしていると思う。シャトー ド フュイッセもヴァレットも本当にレベルが高いし魅力的な作りをしていると思う。
まずシャトー ド フュイッセから。
これがまた凄くて、この3本、別の生産者が作ってるじゃないかと思う位に特徴が異なっている。
ル クロは熟成したヴィンテージシャンパーニュ(というかリザーブワイン)っぽいし、ブリュレは20年くらい熟成したムルソー、ヴィエイユヴィーニュは熟成したピュリニーモンラッシェっぽさが凄く感じられる。
共通しているのは、結構どのワインも年代に比べて熟成感がかなり感じられる部分ですかね。2009年にもかかわらずクロはとても旨味が出ているし、ブリュレもVVも果実味と樽の馴染み方が既に20年熟成並み。
醸造行程に熟成を促進させる行程は無いし、なかなかその部分が不思議なんですよね。

では一本一本行きます。ル クロから。
前述しましたが、熟成シャンパーニュのリザーブワインの様な味わいがあります。
全体的に塩味が強く、また赤リンゴに由縁するしっかりとした酸味と旨味、そしてハーブの風味が感じられます。他のド フュイッセのワインと比べると、明らかに果実味寄りで樽はさほど目立ちませんね。
またこのワインのみ外観に結構浮遊物があって濁っています。恐らく全く濾過や清澄がなされていないのだと思いますか、その分口当たりに厚みが最も感じられました。

さて次はブリュレです。
名前の通り、かなり樽のニュアンスが強く現れているワインで、香りをひと嗅ぎして「ああ、これはリッチなワインだな」と思いました。まあ新樽100%ですから当然ですね。
そんな感じのワインです。
とてもナッティーかつオイリー、白マッシュルームやバニラの香ばしい香りが感じられる様になる。熟成した最上のムルソーといった感じですね。果実味はそれらより劣りますが、限りなく近く仕上げられていると思います。清澄はしっかりされていて雑味や厚みより洗練した味わいになっています。

最後。混醸のヴィエイユヴィーニュ。
新樽の感じはブリュレとよく似ていますが、より果実味が突出していますね。そしてブリュレほど果実味と新樽が馴染んでいない。ちょっと今までのワインと比べると若々しい感じですね。そしてミネラル感が最も突出しており、硬質な印象がある。ピュリニーに近い特徴があると思います。ワインとしてポテンシャルが高いと思いました。
純度の高いシロップや花の蜜などの甘露さは、いかにも若い上質なシャルドネと言った感じです。フレッシュハーブ、エシレバターの風味が感じられます。
最も果実味が豊かだが、酸味は最も穏やか。
こう見るととても特徴がありますね。製法の特徴や作り方の哲学がワインにしっかりと現れていますので、かなり勉強になりますね。
味わいもとても10000円以下とは思えないので結構オススメです。

最後は熟成ヴァレット。
この中だと樽の利き方や馴染み感は最もブリュレに近い作りですが、果実味としてはヴィエイユヴィーニュですかね。
すごく良く出来ています。まだ樽と果実味は馴染みきっていないですが、それもまたムルソーっぽいんですよね。ド フュイッセの様な過剰な熟成感は無く、妥当に年をとった素晴らしいシャルドネだと思います。
きっと出来たてのポテンシャルは相当高かったんだろうな、と。

プイィ フュイッセを飲んでいて思うのですが、コート ド ボーヌの村名に並んでもいいレベルだと思うのですよ。
実際のところマコネの中では著名ではあるものの、シャサーニュ、ピュリニー、ムルソー、コルトンに比べたら、知名度が無いに等しいんじゃないかと。
ただそのおかけでこれだけの値段で、このクオリティのシャルドネを飲めるのは喜ばしい事なのかもしれませんねえ。
有名にならんようにー。



【ブルゴーニュ:40】袖モノの優劣もはっきりと。ブルゴーニュ ルージュ テイスティング

こんにちは。
今日は合間合間で飲んでいたACブルゴーニュまとめです。本当はブシャールのコトー ド モワンヌ 2011の赤白もやろうかと思ってたのですが、すっかりコメントを取るのを忘れていました。

そんな訳でウージェーヌ ルブルトンとドニモルテのブル赤だけですはい。

ではいってみましょう。

ドメーヌ ドニ モルテは93年から類を見ないほどの豪華さと重量感のあるジュヴレシャンベルタンで評判を上げた。
しかしながら故ドニモルテ本人はフィネスとエレガンスを追及したかった様で、現在ドメーヌの指揮を執る息子のアルノーモルテはそうした父親の意思を受け継ぎ、エレガントな方向性を追及しています。
そのため一時期の豪華さ、重量感はやや落ち着いているみたいですね。
栽培は有機農法、1万本/haの密植、グリーンハーヴェストによる収量制限を行う。
樹齢はACジュヴレシャンベルタン 20~50年、一級シャンポー 80年の古木を使用。
酸が落ちない様に早めの収穫を行い、補糖でアルコール度数の強化を行う。
除梗100%、ACジュヴレシャンベルタン新樽率50%、プルミエクリュ以上は恐らく100%?(ソースはないです。)
フラッグシップは特級シャンベルタン、特級クロ ヴージョ。

ウジェーヌ ルブルトンはブルゴーニュの大手ネゴシアンとのことですが、あまりよく知りませんし、あまり情報もありませんでした。


生産者:ウージェーヌ ルブルトン
銘柄:ブルゴーニュ オート コート ド ボーヌ 2010

1300円。
外観はやや濃いめのルビー、粘性は中庸。
これといって特筆すべき部分が無いピノノワール。...ではあるものの酸味がやや目立っているが堅実な作りと言える。
ブラックベリーやダークチェリーなどの黒系の果実味。若干の炭焼きの様な香りやなめし革の風味が主体。
意外とコリアンダーや茎、クローヴなどのスパイシーな風味が出ている事から除梗比率は100%ではなさそう。
溶剤やわずかにスミレの香りが感じられる。
やや酸味が過剰で青い感じがする。タンニンはその点穏やか。口の中でなめし革ややや未熟な黒系果実の風味が広がる。野性的でスパイシーなスタイルのブルゴーニュだ。
価格対比でいうと優れたコストパフォーマンスだと思う。

生産者:ドニ モルテ
銘柄: ブルゴーニュ ピノノワール キュヴェ ド ノーブル スーシュ 2011

5000円。
外観は濃いルビーで粘性は高い。
極めてレベルの高いブルゴーニュルージュ。やや冷たいニュアンスがありながらも、甘露さも果皮の華やかさもしっかりと包含している。とてもACブルゴーニュとは思えない質感としっかりした果実の味わいが感じられます。
ブラックベリーやプラムの厚めの果皮を含んだ果実味、鉄やなめし革などの野生的な風味、コーヒーやワッフル、黒砂糖の様な樽の効いたニュアンス、薔薇や濡れた葉、グローヴなどの要素も感じられる。
タンニンや酸はまだ際立っているものの、質感は非常に良く、果皮の心地よい旨味が口内で広がって行く。
ACブルにして贅沢に樽を効かせていて、かつ果実が樽に負けていない。ドニモルテらしい作りをしている。


どっちが素晴らしいかって言ったら、間違いなくドニモルテなんだけど、何分高いんですよね...レジオナルで5000円台ってちょっと前なら村名買えていたやんけ...という。
まあ、どの生産者も(特にスター生産者のは)2011年は高かったので、特別ドニモルテだけ、という訳ではないのですが。
スタイルとしてはいかにもジュヴレシャンベルタンしている感じ。
ウージェーヌルブルトンは望んで手に入れたものではなく、全く期待していなかったんだけど、意外と堅実ないい出来だったと思う。1000円台のブルゴーニュとしては割と良く出来ていると思います。2010年の恩恵かもしれませんが。
2010年はどのレジオナルもそれなりに果実味豊かでいいのに、2011年の袖ものは結構厳しいなあ...うーん。

【ボルドー:4】繊細さと複雑さが際立った2007年モンローズ。アジュールの料理と共に。



こんにちは。
ひさっびさのボルドーです。
基本的にはボルドーは(高いので)あまり飲まないのですが、先日レストランに食事に行った際にいまひとつ求める価格帯で好みのワインが無く...まずまずお手頃なのを探していったら、たまたまボルドーだったという。
そんな理由です。いや、好きなんですけどね、ボルドー。高いんですよ、飲みたいのは。

シャトーラグランジュはメドック第三級格付けのシャトー。80年代前半までは所有者の手腕が至らず品質は低かったが、サントリーの買収以降並々ならぬ投資を経て劇的に品質を伸ばしている。 
白はレ ザルム ド ラグランジュ1銘柄のみ1997年に作られはじめている。
畑は4haで平均樹齢は15年。
厳しい選別と熟したブドウの収穫を徹底しており、収穫した葡萄はマストの圧搾、澱引きが行われる。その後オーク新樽は50%で発酵を行いながら、澱を残したまま12ヶ月熟成され、出荷される。

シャトーカントメルルはメドック第五級格付けシャトー。16世紀後半から存在する老舗シャトーだが、品質を伸ばしたのは1980年になってからである。新しい所有者はセラーの新設や醸造設備の一新し品質の向上に努めた。
畑の平均樹齢は25年で収量は55hl/ha。
発酵は最良ロットは木とコンクリートの槽で、残りはステンレス槽で行う。
発酵温度は品種ごとに変えている。最低22℃で30日間の醸しを行なう。
熟成は新樽40%で12ヶ月熟成を行なう。
軽い清澄のみで濾過はしない。
生産量の60%はセカンドワインのレ ザレ ド カントメルルに回される。

シャトー モンローズはメドック第二級格付けのシャトー。現在はジャン リュイ シャルモリュ氏の下良質なカベルネソーヴィニヨンが生み出されている。
所有する67haの粘土と泥炭土の表土、砂利質で構成された畑は、なだらかに川に傾斜しており、葡萄が熟度が上がる事に一役を買っている。
平均樹齢は40年、収量はわずか32hl/ha。収穫は手摘みで行われる。
醸造はオーク槽(カベルネソーヴィニヨン)とステンレスタンク(メルロー)を30度で発酵を行なう。醸しは20日程度。澱引きは6回。
新樽を25~30%使用で24ケ月熟成の後、濾過はせず瓶詰めされる。

さて、ボルドー、いってみましょう!


生産者:シャトー ラグランジュ
銘柄: レ ザルム ド ラグランジュ 2011
品種: ソーヴィニヨンブラン60%、セミヨン30%、ミュスカデル10%

3000円、WA87-89pt
外観は明るいストローイエロー。粘性は中庸。こないだ飲んだランシュ バージュ ブランに引き続き大当たり。とても清涼感のある綺麗な印象。
砕いた石の様なミネラル感。
いかにもボルドーブランらしいスモーキーな白檀やバターの香り。白い花、フレッシュハーブ、バニラの香りが感じられる。
そしてカリンの果実味や花の蜜などが感じられる。
非常に綺麗な酸味で、ソーヴィニヨンブランの荒々しい酸は感じない。口の中で繊細な酸味と瑞々しい果実味が広がっていく。
よく熟したソーヴィニヨンブラン。オーブリオンブランの様な効きすぎた樽の風味もなく、とてもバランスの良いボルドーブランだと思う。


生産者: シャトー カントメルル
銘柄:レ ザレ ド カントメルル 2008

2500円。
カントメルルのセカンドワイン。
外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
やはり価格的なものもあるのか、一般的なボルドールージュと比較すると液体密度が低いのが気になる。
ブラックベリーやプラムの果実味や西洋杉、そしめ腐葉土やトースト、蜜の様な甘みもあり、基本的なボルドー路線から外れてはいない。酸味が際立っており、よりエレガントであるように感じる。タンニンは穏やか。木材と果実の香りが際立つ。
薄いピノノワールの様なボディのボルドー。
ボルドーファンには受け入れ難いかもしれないが、ワインとしては決して悪くないとは思う。


生産者、銘柄: シャトー モンローズ 2007
品種: カベルネソーヴィニヨン54%、メルロー37%、カベルネフラン8%、プティヴェルト1%

約15000円、WA91pt。
外観は中庸なガーネット、粘性は中庸。
熟度は高くないが、ボルドーとしてとても均整の取れた味わいだと思う。スカスカなカントメルルのセカンドに対して、こちらはちゃんと目が詰まっている。そして何より複雑だ。
西洋杉や濡れた土、トリュフ、リコリス、ミントなどのスパイスやハーブ、木材の香りと共に、穏やかなカシスやブラックベリーの果実味が立ち上がる。薔薇のような華やかさ、スーボワ、そしてビターカカオの様な香り。
果実味は突出していない。ヴィンテージの影響かもしれないが、かなり繊細なボルドーと言える。
タンニンや酸味はとても柔らかい。口の中で土や西洋杉、カシスの華やかな風味が余韻を残す。まだまだ若い印象ではある。
均整の取れたエレガントで繊細なボルドーだ。


久々のボルドー、本当に素晴らしかった。
感動。これですよこれ。
まずレ ザルム ド ラグランジュ ブラン。
これで3000円はかなり安いと思う。ブラン ド ランシュ バージュの価格を考えると、こちらがいかにお得かというのが良く分かる。
もちろんブラン ド ランシュ バージュの方が果実味が際立っていて、非常に出来がいいんだけども、ちょっと新世界寄りっぽいんですよね。こちらはもっと繊細。ボリューム感はないんだけど、染み入るような蜜の甘さとか白い花や白檀の華やかさが感じられる。
これで3000円はちょっと破格だよね。
次赤。まずはザレ ド カントメルル。今回の飲んだ訳じゃないんだけど、ボルドーついでに入れといた。
いわゆるボルドールージュなのだけれども、何分密度が薄い。いかにも選定漏れの未熟な葡萄を使ってる感じ。ただ樽も贅沢に使っている訳ではなさそうだから、相対的に果実味は目立つ。その結果こじんまりとした印象を受けてしまう。正直3000円クラスのボルドーワインに注文を付けるつもりは全くないのだけど、結構切ない出来だと思う。
2008は決して悪い年ではないんだけれどもね。
ただ良い点を挙げればボルドーに必要な要素、カシスなどの黒系果実や西洋杉の風味は感じられるので、この価格ではボルドーを感じられるのはまずまずありだとは思う。

そう考えると、より悪いヴィンテージなはずの2007年モンローズがいかに素晴らしいかよく分かる。
2007年ヴィンテージのモンローズはグレートヴィンテージ2005、2009の間では最も悪い年で、果実味の凝縮度や熟度は他の年にかなり劣っている印象です。しかしながらそこで規模感が小さくなるわけではなく、他の要素(樽やスパイスの風味)が果実味を補っている。規模感を維持したまま複雑で繊細な要素が前に出た出来になったと思います。長熟はしないと思います。
ただ全く果実味がない訳では無く、平準的な格付けボルドー並みかそれ以上の果実味はあるかと思いますので、そこは十分に楽しめるのではないかと思います。悪い年なりの上手い作り方をしたなあ、という印象です。さすがモンローズ。

久々のボルドー、堪能致しました。
1級、スーパーセカンドクラスではありませんでしたが、なかなか楽しめました。
まあ、ここら辺が等身大のワインだと思います。

なお今回ボルドーと共に楽しんだ料理はこちら。横浜インターコンチネンタルの「Azur」、コースメニューはオトンヌ、秋の料理です。

◾︎Avant amuse


◾︎Les entree: オマール海老のマリネ、グリルの香りと緑胡椒のヴィネグレット


◾︎Les entree: 鴨フォアグラのポワレ、牛蒡のピュレとトリュフソース


◾︎Poisson: 旬の魚介の包み焼き、甲殻類の軽いクリームソース、ハーブサラダ添え


◾︎Viande: 霜降り牛ロースのグリル、フランス茸のソテー、ソースポワヴルヴェール


◾︎dessert: グランマルニエのパルフェ ダージリンのババロア添え


前菜のオマール海老にはレ ザルム ド ラグランジュ ブランを、メインの霜降り牛にはモンローズを合わせました。
奇跡的なマリアージュ。ラグランジュブランの樽香とソーヴィニヨンブランに由縁する酸味が見事にオマール海老のグリルと合致していた。霜降り牛ローズにも2007年ボルドーの突出し過ぎない果実味と西洋杉のニュアンスが脂の強い霜降りロースと里芋と茸のグリル、茸ソースの大地香と抱き合っていった。
その他はワインと合わせず単体で頂いた。
フォアグラと牛蒡と茸の土っぽい濃厚ソースはそれだけで完成されていたと思うし、土の強い香りが甘口ワインの華やかさの邪魔をするため合わせるべきではないと思った。
またポワソンに関しても、従来通りムルソー、もしくはニューワールドのシャルドネを合わせるべきだと思ったが、特に気分的に飲む気はしなかったので、そこは避けた。

とても素晴らしいディナーだった。
特にオマール海老と霜降り牛ロースとワインのマリアージュは素晴らしかった。



【ブルゴーニュ:39】華やかで硬質なジュヴレシャンベルタンの最北端。クロードデュガ、ユベールリニエのグランヴァンを利く。


こんにちは。
久々にブルゴーニュのグランヴァンです。いやっほう。
ユベール リニエのシャンボールミュジニーとシャルム シャンベルタン。クロードデュガのラヴォー サン ジャックを頂きましたが、やはり凄まじいですね。特にクロードデュガ。
ブルゴーニュ最高の生産者の一人なだけあります。高額でなかなか飲めませんが、値段の価値はあるよなあ、と。

では行きましょう。

ユベールリニエはモレ サン ドニの代表的な生産者。ユベールが高齢の為、息子のロマン リニエが畑を引き続いだが、34歳にして他界。現在は引退したユベールとロマンの弟ローランがドメーヌを運営しています。代表的な畑はクロ ド ラ ロッシュとシャルム シャンベルタンの2枚看板。
樹齢は30年から40年ほどの古木が中心。栽培は有機農法。収量を抑えて収穫されたぶどうは100%除梗。低温浸漬を、1週間弱。アルコール発酵は2~3週間程度。ピジャージュ回数も比較的多めに行い、しっかりと色素、構成要素の抽出をおこなう。
新樽の割合は1級、特級で50%で熟成する。無濾過、無清澄で瓶詰めを行う。

説明不要な生産者ですが、クロードデュガはジュヴレシャンベルタンで最も偉大な生産者の一人で、良く言われるのが「全盛期のDRCを超える生産者」。私はヴィレーヌとアンリフレデリックロックのDRCしか飲んだ事無いので何とも言えませんが...
徹底した自然農法で、耕作も馬を使用する。平均樹齢40年以上(最高樹齢80年)の葡萄の木が使用され、かつ葡萄は徹底した除芽、選果が行われる。それにより凝縮感の高い葡萄が作られます。
収穫した葡萄は100%除梗され、4週間程度マセラシオンを行なう。その後、高い新樽比率で仕上げていきます。比率としては特級、一級は全て100%で18ヶ月の熟成を行なう。
ノンコラージュ、ノンフィルターで瓶詰め。フラッグシップはシャペル、シャルム、グリヨットの3つのグランクリュ。生産量は非常に少なく、グリオットは2樽、シャルムで4樽程度。

さあ、どうでしょうか。

生産者: ユベール リニエ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ レ シャビオ 2010

20000円。
しっかりと色づいた赤みの強いルビー、粘性は高い。
シャルム同様凝縮感があり甘露だが、より瑞々しい印象を受ける。熟したブルーベリーやイチゴジャム、そして花の蜜、フレッシュハーブ、エシレバターなどの白ワインに近い要素も幾つか感じられる。そして華やかなスミレや紅茶。スワリングするとミルクティー、シナモンやブリオッシュなどの風味も。
動物的な香りはあまり感じられない。
シャルムと比べるとタンニンはとても柔らかで、その分酸味が際立って感じる。引き締まった旨味があり凝縮感がしっかりと感じられる。紅茶やブルーベリーの風味が口内で余韻を残していく。


生産者: ユベール リニエ
銘柄:シャルム シャンベルタン グランクリュ 2010

24000円、WA90-93pt。
シャンボールと比べると既に色からして濃いルビーで粘性も高い。
外観の印象通り、シャンボールより極めて抽出は強く、豊かな果実味があり、華やか、そして堅牢である。すごい存在感のあるワインだ。
ミルクティーや紅茶、よく熟したブラックベリーや酸味を伴うプラムの果実味。黒糖の様な甘露さ。そして強烈なスミレや、ちょっとした土の香り。クリスピーなバニラ、やや柑橘系の香りも纏う。なめし革、クローヴなど。
全体的にシャンボールに比べると強めの酸味やタンニンが感じられる。堅牢。ただやや酸味の方が立っているか?
酸味を思わせるプラムや豊満さを感じさせるミルクの香りが強く現れている。ボディは強固で余韻は長い。


生産者: クロード デュガ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ ラヴォー サン ジャック 2011

27000円、WA93pt
外観はより濃いルビー、粘性は高い。
2010年のスタイルと比べると幾分か酸が立っているが、基本的な骨子は変わらず、強烈な甘露さ、濃縮した果実味が主体となっている。
五香粉、焦がしたキャラメルリキュールや炭焼き。良く熟した(もしくはコンポートの)スモモやダークチェリー、ブラックベリー。濃厚なスミレやミルクティーの風味、なめし革、樹皮、シナモン、クローヴや溶剤など。
凝縮度や旨味は非常に際立っているが、その分酸味もタンニンもべらぼうに強い。
口の中でミルクや、酸味を伴うスモモ、スミレの果実味が豊かに余韻を残して行く。
まさにパワフルなジュヴレシャンベルタンといった感じ。強烈。とても濃厚で華やかなワイン。相変わらずすげえな...



ユベールのシャルム、本当に素晴らしい出来でした。
強い抽出に由縁する強烈なスミレの華やかさや、よく熟したブラックベリーのジャミーで黒糖の様な果実味、そしてクリスピーなバニラや紅茶などの香ばしい樽香、なめした革の様な動物的な香りも感じられる。酸味もタンニンもとても豊か。堅牢かつ豊満。ジュヴレシャンベルタンらしい作り。
クロード デュガほど樽を効かせておらず、瑞々しい。
シャビオはシャルムと比べると華やかさや果実味の豊かさ、堅牢さは劣る。しかし十分すぎるほど果実味は凝縮しているし、鬱蒼とした森を思わせる様な木々や枯葉、ブリオッシュの様な風味が感じられる。全体的にとても純粋で瑞々しい印象を受けるシャンボール。動物っぽさも控えめ。純粋。
酸味は同程度ながらタンニンは穏やかで、シャルムに対して抽出はかなり弱めだと思われる。重厚なシャルムと比べると明らかに軽やか。
醸造工程においても明確にテロワールの表現の仕方を変えている。極端に言うと白にも近いニュアンスを感じられる。
2010年で過熟気味にならず、エレガントなスタイルを保っているあたり、グロフィエにも近いかも。いやでも、もっと振れ幅は広いかも。
次、クロードデュガ。今回は一級ラヴォー サン ジャック。
作りのスタイルの問題だけども、今年も強烈に硬い...が既に半端ないポテンシャルが液面から漂っている。ユベールリニエと比較すると動物的なニュアンスと熟した黒系果実味は共通して感じられるのだけど、樽の使い方、抽出と液体の強さが全く異なる。
よくローストした樽の風味が、よく熟した果実味とマロラクティック発酵に由縁する風味と溶け合ってキャラメルやカスタードの要素を感じられる。そこに強い抽出によって生まれた華やかさが乗ってくる。劇的な表現だ。
これが熟成を経る事によって、より複雑なニュアンスが現れるのは想像に難くないが、実際にどのような形になるかは、全くもって想像がつかない。
それだけ複雑で膨大な情報量を持ったワインだと思う。
これが1級だと?まったく冗談じゃないよ!

高いけどクロード デュガは極まってきた感じがすごいあるよなあ。
シャペルとグリオットもいずれは飲んでみたいもんですね!


【はじめちゃん:2】泡&甘ワインで女子力の高いコースを食べよう

こんばんは、HKOです。
今回ははじめちゃんのシャンパーニュとお料理の記事です。
つうか、はじめちゃん料理上手すぎだろ...記事に載ってるフォアグラ(俺の時はオレンジだったけども)がメチャクチャ美味かった。

ではどうぞー。
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ども、はじめッス!

みなさんはフルコースを食べるときにどんなワインを飲みますか?
やっぱりグラスの泡からの赤白ですか?
あんまりお酒が強くない人はボトルで白、メインの肉だけグラスの赤ッスか?
通な人は全てヴィンテージシャンパーニュで食べる、なんてのも聞いたことがあるッス。

僕はもっとワインと料理はFREE!でも良いと思うんすよ。
先日友達が遊びに来たんすけど、彼女の好みに合わせてヴィンテージシャンパーニュとアイスワインでコースを作ってみました。
今日の記事では、その時のことを記そうと思うッス。

まず泡甘2本の紹介っす。


シャンパンはヴィンテージシャンパーニュは、デボルド・アミオ、ブリュット ミレジム プルミエ・クリュ キュヴェ・メロディ 1990。
ブラン・ド・ノワールっす。
グレープフルーツ、白い花、りんご、カリン、ナッツ、熟成香を中心とした華やかな香り。
味わいは甘さがやや強めで、ほわーんってなって長い長ーいフィニッシュ。
泡は軽く残っていて、でもグラスで25分ほど置いておくとなくなったっす。


アイスワインはシュロス・シェーンボーン醸造所、エアバッハ マルコブルン リースリング アウスレーゼ 1990。
ラインガウの2山5城の生産者の1人っす。お城行ってみたいっす。
食事会2日前に抜栓して準備。
ペトロール香はそこまで強くなく、トロピカルフルーツ、アプリコット、ダイダイ、蜂蜜のふにゅにゅ~って蕩ける複雑な香り。
適度な甘みと果実味、それを薄く包むような酸味。もちろん熟成による複雑味。
お・い・し・い~!


料理はこんなメニューで作って&買ってみました。
括弧内が合わせたワインッス。
前菜:テリーヌ3種(シャンパン)
メイン肉:フォアグラのソテーとりんごのコンポート、カルヴァドスソース(アイス)
メイン魚:ロブスターのボイル ホタテのクリームソース、ホタテのバターソテー(シャンパン)
パン:ゴントランシェリエのクイニーアマン(シャンパン)
http://gontran-cherrier.jp/
デザート1:ピエールエルメのミスグラグラ・サティーヌ(アイス)
http://www.pierreherme.co.jp/item/glagla/
デザート2:プレジールの作りたてモンブラン(シャンパン)
http://tabelog.com/tokyo/A1317/A131706/13045491/
デザート3:白桃とドライフルーツ(両方)
焼菓子:シニフィアン・シニフィェのフィナンシェ
http://www.signifiantsignifie.com/
紅茶:マリアージュフレール VIOLETTA



フォアグラは初めて使ったっすけど、意外とお手軽にいけるっす。
カルヴァドスソースは白ワインビネガー・オリーブオイル・林檎酢を1/3づつ混ぜて、最後にカルヴァドスで香り付け。
これがお手軽な割には素敵な美味しさに!
アイスワインとの相性は最高で、ほおおおおおおおおおおおってなったっす。


ロブスターはお店で真っ二つに切って貰って、軽くボイル。
並列でクリームソースと、ホタテのバターソテーを料理して、お皿も温めて。
ロブスターの身の味の強さがクリームソースで包まれて、そこにシャンパン合わせると黄金色が見えたッス。
もちろん香ばしくソテーしたホタテも、素敵な相性で。

パンとデザートと焼き菓子は厳選に厳選を重ねたラインナップっす。
エルメもプレジールも美味しいし、もちろんワインとのマリアージュも金婚式挙げちゃいたくなる勢いっす。


スーツとドレスのガッチリフォーマルもいいけど、、たまには赤白じゃないワインで組み立てるコースもいかがっすか?

【シンクさん:2】大手フランチャコルタの近代史とそのお味―今こそ飲むべし超弩級泡!―

こんにちは。
今回の記事はシンクさんより寄稿いただいています。今回はフランチャコルタだそうです。
あんまり飲んだことのないスプマンテ。あんまり自分ではやらないと思うんで助かります(笑
(管理人:HKO)
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ボナセーラ!
お久しぶりの登場です、私です、シンクです!!

さて。
前回、オーパス・ワンでの更新をさせていただきましたが、実は凄く迷っていた事がありました。それは
「お祝い回って、やっぱ泡の方がいいかな!?」
という。
え、どーでもいいです?そっか・・・・・・

さてさて。
そうした訳で、本日は「フランチャコルタからイタリアワインの近代史を感じてみよう」というのがお題です。

フランチャコルタ、というイタリアのDOCGと言いますかスタイルがあります。
単刀直入に言ってしまうと
「イタリアでシャンパーニュめいた作り方をした泡」
という事。
ただ、成り立ちやその歴史感はフランスと全く異なり……そして実に「イタリアの近代ワイン感」を考えるのにイイのです。
今回はちょっと歴史の授業めいたところかスタートし、とても短いながら印象的な「フランチャコルタの歴史感とイタリアワインの歴史感」を照らし合わせるという事をしようかと。
長いですよ~覚悟してね~

―フランチャコルタと近代イタリアワイン―

まず、フランチャコルタのスタートは1950年代頃に若いエノロゴ達が

「なぁ、うちさぁ……シャンパーニュっぽいの作ろと思うんだけど、やってかない?」
「あぁ^~イイっすねぇ^~」

と言うノリで始めたのがスタートとされています。
ついでに、この50年頃のアクションはそんなに重要視されていません。

スタート年号が若すぎ!
と、フランス人なら卒倒します。ドン・ペリ僧侶がうっかりシャンパンを作っちゃったのが1668年です。
パクるにしても遅すぎるスタート。
そしてちょうどこの頃、イタリアワインの「本格的な商業&輸出の高品質化スタート」なのです。

今回のティスティングノートにもなる、カ・デル・ボスコとベラヴィスタも相当遅いスタート。
カ・デル・ボスコの――フランチャコルタの父とすら呼ばれる――マウリツィオ氏の畑の始まりは1967年、彼がワインに目覚めるのが1971年。
またはヴィットリオ・モレッティ氏がベラヴィスタを創設したのは1976年。
70年台後半ぐらいからフランチャコルタは本格始動する訳ですが、ここでお気づきの方は多いはず。
かのサッシカイアの農園設立が1968年、デキャンター誌で(根回ししまくって)一躍スーパーワインになったのが1978年。
そう、まさに「カベルネやシャルドネなどの国際品種のブーム」が到来している訳です。

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今回取り上げるカ・デル・ボスコとベラヴィスタも当然ノリノリで

「あ?クラレット風のがめっちゃブームってるの?」
「んじゃ、俺らはシャンパーニュの代わりになっちゃお^^」
「あ、いいっすねぇ~^^」

と考えたに違いありません。
もともと土地を広くもっていたカ・デル・ボスコと、工業建設業者としてめちゃくちゃお金持ちだったベラヴィスタのトップ達はガツガツとフランチャコルタを作ります。
そしてガツガツと醸造家を集め、計算されたシャンパーニュレシピを元にし、1990年には自分たちの「フランチャコルタ組合」まで作るほどに一気に成長します。
これはもともとの彼らの資金も大きく関係していますが、最大の要因は
「フランス風のワインをイタリアで作る」
という、スーパータスカンをはじめとする国際品種ブームの勢いに完璧にノれた事でしょう。
その中で、聞きつけた連中がフランスでいうRM(レコルタン・マニピュラン)のように小規模でポツポツとわいているというのが流れ。
その為、日本輸入の種類も豊富ではありません。が、そもそも「現地でもやってるワイナリーがあんまりない」という。
なので、技術レベルで言ってしまうとフランチャコルタは大手の最安値~中規模クラスのが安くて買い。
これがフランスの「RMも案外いける」とは若干概念が違う部分ですね。

また、フランチャコルタ系のワイナリーを語る上で欠かせないのが、近代的な設備投資と財力です。
ベッラヴィスタ、カ・デル・ボスコは共にフランチャコルタという泡ワインを作りつつ、なかなかにお高く評価も高い赤ワインを作っています。
それも、それぞれトスカーナやロンバルディアなどの一等地を所有しているのも特筆すべき点です。
それらがそれぞれに近代建築(ペトラ・ワイナリーなど)を行っているのもまさにモダン。
しかも、両者とも「国際品種で」赤ワインもやっているのです。お金がなければ出来ません。

林茂氏著の「基本イタリアワイン」という辞書よりブ厚い本の中で、カ・デル・ボスコが紹介されているページがありますが見出しが
「近代設備を誇る」
であり内容も
「1983年段階でアメリカ人醸造家などを呼び、コンピューター使用」
「ワイン倉庫の上にヘリポートを作るきまんまん」
「まるで映画のスタジオに来た気分になる」
と言った内容。
こうした記述を読むと、アメリカライクだと思う方も多いかもしれませんね。
この辺りのビジネスライクな作り手と、昔からの貴族の作り手が混在しているのがイタリアの面白さだったりします。
どちらかというと当たり外れのない、という点では近代化が進んでいるワイナリーの方が「ハズレ」は引きづらいのもイタリアワインの特徴(博打という意味では小規模生産者を攻めたいですね)
すっごく単刀直入に、

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こうしたフランチャコルタの生い立ちを見ていくと、とても近代的かつ成功の歴史です。
ただ、これも90年台頃の話。
2000年台から見られ始める「イタリア現地品種をもっと大事に祭り」の波にはあまり乗れていません。
ベッラヴィスタがガンベロ・ロッソを2008年に好評価だったなどの見る部分はありますが、現に
「フランチャコルタの歴史感」
が知られていない以上――ここで私が書いているのはイタリア通にとっては常識レベルの話であろう事――から見ても「尊重はされきっていない」「知名度があがりきっていない」「ブーム自体は去っている」訳です。
(より実例をだすと、2013年8月の日本のワイン2大誌であろうワイナートとワイン王国はカンパーニャとシチリアの特集…つまり現地品種やDOCGの特集でした)

それ故か、比較的安く品質の高いモノが未だに飲むことが出来ます。
今こそ、真の狙い目はこの
「近代系の国際品種ワイナリーではないか」
というのが私の
……てなところで、実際のお味の方にいきますね。

―本日のティスティング☆―

なっがい前置きでしたが、ここでようやくティスティングノートです。
まずは
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カ・デル・ボスコの最安値キュベプレステージ。

・・・ですが、実は自分のブログでたっぷり賞賛して書いてるので是非おいでませ~
個人的に最高評価の泡ワインです。

続いては
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ベラヴィスタの最安値、通常キュベです。

色はゴールド系で香りはスッと通るバター。
味わいは甘味と酸味のバランスだと甘味が強めで泡の強度もなかなか細やか。
バター、クリーム、アフターのレモン、若干のココナッツ要素・・・
この辺りの配分にこっそりとチョコを1ピース置いてくれるような質感。
比較的飲みやすく甘みも強めなものの、雑味なくしなやかなバランスと品の高い香りで「安い泡ワイン」とは一線をがしているんですね。

この最安値価格帯を見てみると感じるのは「甘みの良さ」と「この時点から既に感じられるシャンパーニュ風味」という事。
同価格帯やより低価格帯で「甘くて美味しい泡」は結構あるんですが、このシャンパーニュニュアンスというの表現ができているものは無いと経験からの推測をしております。
NVのシャンパーニュと価格としては近しいものの、NVのシャンパーニュより遥かに「シャンパーニュっぽい」と私は思います。
日本人的、またはワイン慣れしていない人にはむしろ高額品よりもこちらを薦めていきたいお味ナノデス!
両方共価格にして4000円でお釣りがきます。

次は中級価格ラインで

カ・デル・ボスコ・ドサージュ0
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カ・デル・ボスコ側の比較的新しいシリーズ。
補糖0のシャンパーニュスタイル。
色はギリギリ透けない程度のイエロー。香りはクリアにバターとパンの印象。
ここまでは割りと下位キュベと代わりはないのです。
ただ、口にしてみるとドサージュ0の意味がハッキリわかります。
ドライ。
甘味は果実系の味わいがほんの少量感じられるだけになっており、乳化を感じさせる部分のみで勝負をかけています。
苦味や泡の細かさの伝わりがハッキリと如実に出るようになっており「のどごしで呑める」シャンパーニュとなっていました。
これは結構異質な味ながら、元々の質感が良くないと「出来ない味」でもあるのです。

次々いきますよ~今度は上のドサージュ0と同価格ぐらいのベッラヴィスタ・グランキュベ
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こちらはヴィンテージ入り。ラベルがわっかりづらい!
色は黄金がかっており泡のたち方もより強い。
香りにバターの質感が豊富に感じられ、清涼感ある白系の香りが目立ちます。
味わいはチョコレートの質感は非常に強くなっており「まさにシャンパーニュ」を感じられる仕上がり。
しかしながら泡のキメの良さとバランスのいい甘さは健在。
より爽やかになったアフターの果実感とハーブ感によってサラッと飲ませてくれる。
最後にチョコ要素が来ることの多いシャンパーニュと比べると、このサラッ感が産地の違いからくるものかしら?
よりパーティー的な印象があり。

という訳で、中域2つですね。
この辺りのヴィンテージ入りになってくると7000円台でシャンパーニュお値段に近くなります・・・が、ミレジムが入っている点では相当安い。
そしてこの辺りに来るとシャンパーニュと言って遜色がなくなります。
ドサージュ0は若干変わり種なのでさておき、ベッラヴィスタのグランキュベなどはとても質感のレベルでも高い次元。
ただ、寝かせた時の質感まではちょっと図りかねます。
比較的軽さもあるスタイルで、今飲んで美味しいという点はありますからね^^;

そして、フラッグシップ・・・これは私、カ・デル・ボスコ側は未経験なので

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ベッラヴィスタのヴィットリオ・モレッティで〆。
なお、これは04の「スカラ座のリニューアル記念?で出されたスペシャルボトル版」です。

色は完全にゴールド。泡の強さもみるからにしっかりしています。
香りは注がれた瞬間から感じられる心地良いナッツ、バター、品のいい洋梨。
味わいも更に繊細かつバランスの良い仕立になっていて。
ナッツとバターの絡み、レモン感の後にグレープフルーツの質感、少しのソープニュアンスを追ってホワイトチョコレートが網状にかけられるよう。
アフターまで心地よくそれらのデザートのような要素がでています。
泡も見た目よりはキツすぎず細やかなタッチ。
シャンパーニュと比べて熟成感はまだないものの、泡としては格上のモノすら感じる素晴らしい逸品です。

これに関してはもう箱とか装飾まで見るべきなのですが、あくまで今回は「大手シャンパーニュを見る」という単元なので省きます・・・うう・・・
ここまでくると1万円中盤に入ってきて、いよいよシャンパーニュ買えちゃいますね?って感じではあります。
なので中域価格帯のようにコスパ良好!とは若干推奨しがたくなってくるのですが、同時にここまでくるとシャンパーニュと本格的にタメを張っている事がわかります。
また、写真をよーく見るとお分かりいただけるんですが今回のベッラヴィスタの最安値とは比較試飲でした。
その範囲だと、確実に香りとシャンパーニュへの近接は、上位キュベのほうが段違い。
私は良く「シャンパーニュの主要要素はチョコニュアンスで、この重たさでシャンパーニュはドイツ法のように価格を定めている」なんて考えちゃったりするんですけれど、それで言うとそこまで重たくありません。
ただ、要素要素の泡感だったりはこのぐらいのヴィンテージで戦わせ合うならば遥かにバランスがとれています。
傾向としてはシャンパーニュの中でも軽め・・・う~ん、ベル・エポックよりは濃いかな?ぐらいのスタイルなのかしら。
また、このクラスのラインでも甘味の飲みやすさというのは特徴的というか、通に言わせると「甘い部分」かもしれませんね。

……以上!
総評としてシャンパーニュを目指した結果、より「家庭的なシャンパーニュ」として完成されている感がどのフランチャコルタにもあります。
他のフランチャコルタも幾つかティスティングしてみたりもしましたが、構造美といいますか値段と釣り合っていないと思わせるようなワインはほとんどありませんでした。
今回の大手2つのハズレなさ、というのは特に鉄板。
なんとなーく「イタリア泡ってイマイチだよな」と錯覚している方は、是非低価格帯のフランチャコルタからお試しください。
そこには
「技術×立地+財力=最強」
というシャンパーニュと全く同じ次元の存在を感じられるかと思います。

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とりあえず試す、ならハーフもいいと思います。


この辺りになると、「シャンパーニュを超える」という意気込みを感じられるのではないかな~

【ローヌ:9】ラヤスとアンリボノー、自然派2生産者を利き比べる、



こんにちわ、昨日に引き続きローヌ特集です。
前回はシャトーラヤスの垂直、水平に焦点を当てましたが、今回は同一ヴィンテージの別生産者にて追っていこうと思います。
生産者はラヤス、そしてアンリ ボノー翁です。

シャトーラヤスは偉大なるジャック レイノーの息子である、現当主エマニュエル レイノー率いるシャトーヌフデュパプ最高の生産者のうちの一人です。いわゆる最新のニューワールド的なシャトーヌフではなく、古典的で、かつ(アンリ ボノーの様な)独創的なワインを作っています。ポートフォリオはシャトーラヤス、そしてセカンドのピニャン、シャトー ド フォンサレットのコート デュ ローヌが瓶詰めされます。
平均樹齢はいずれも50年。わずか15hl/haという徹底した収量制限を行い、丁寧に栽培を行っています。おそらく除梗はしておらず、全房発酵を行っていると思われる。
近代的な醸造(ステンレスタンクや温度管理、オーク新樽使用など)を嫌い、自然のまま醸造を行っています。
シャトーラヤス、ピニャン共にセメントタンクにて発酵を行い、10年来の旧樽を使用して22ヶ月の熟成を行っています。

アンリ ボノーはラヤスやボーカステルに並ぶシャトーヌフ デュ パプ最高の生産者。
最新の濃厚なシャトーヌフではなく、より古典的なスタイルで、その栽培、醸造の哲学はジャック レイノーに近い。
ただこちらの方がより適当で雑多であるのだけど、出来るワインはローヌ有数の恐るべきものとなる。シャトーヌフで十分凄まじい味わいではあるが、ボノーのフラッグシップであるレゼルヴ ド セレスタンはそれを遥かに上回る。
樹齢は60年程度。基本はラヤス同様極端な遅摘みを行う。醸造は古典的で、熟成は小樽か大きめのドミ ミュイ、フードルで48ヶ月熟成が行われ、無濾過で瓶詰めされる。
最高のワインは良年にのみ、わずか12000本程度のみ詰められるレゼルヴ ド セレスタン。もしくはマリーブーリエ。

さて、いってみましょう!


生産者: シャトー ラヤス
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ ピニャン 2008
品種:グルナッシュ100%

約13000円、WA89pt。
外観はピノノワールを想起させる淡いルビーで、香りも同じく冷涼地域のピノと近い芳香を放つ。
アンリボノー同様、極めて自然派的な香りだが、より洗練されていて、雑味がなく、透明感のあるヌフになっている。素晴らしい。
溌剌としたオレンジの皮、野性的なアメリカンチェリー、ブルーベリーの瑞々しい果実味。全房に由縁するスパイシーさがあり、リコリス、クローヴなどのドライハーブの香りが強く感じられる。ジャスミン、紅茶などのニュアンスも感じられる。
タンニンより断然酸味の方が豊かで、複雑なスパイスやオレンジ、ベリーの風味が口の中に広がる。古典的なヌフや最新鋭のヌフ、どちらとも当てはまらない個性的なヌフ。
滑らかなテクスチャ、美しい酸味、複雑な要素の調和がやはり素晴らしい。


生産者: シャトー ラヤス
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ シャトー ラヤス 2008
品種:グルナッシュ100%

約28000円、WA93pt。
外観はピノノワールを想起させる淡いルビーで、香りも同じく近い芳香を放つ。ピニャンと全体的な構成は近いが、より密度が凝縮し、構成が緻密になっているのがわかる。
例えば果実味であれば、瑞々しいアメリカンチェリー、ブルーベリーの風味に鉄分や果皮の濃い香りが付加されているし、それに合わせるように、タイムや若草、ジャスミンなどのドライハーブや、リコリス、クローヴ、コリアンダーなどのスパイス香が力強く立ち上ってくる。オレンジピールの風味は変わらず存在している。より生々しく燻製肉が感じられる。
こちもタンニンより酸味の方が豊か。ピニャンより液面に強い凝縮感が感じられる。長熟する様な酸味と旨味のバランス。官能的な味わい。


生産者: アンリ ボノー
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ レゼルヴ ド セレスティン 2008
品種:グルナッシュ90%、その他10%

約28000円、WA90-93pt
外観は中庸なガーネット、粘性は高い。
とても野性的でパワフルなワイン。
自然派独特の強烈な芳香を放つ。華やかで非常に凝縮している印象。ジュヴレシャンベルタンの様な硬質な印象も受ける。
瑞々しいブルーベリーやラズベリーの果実味、湿った土などの豊かな大地香。シラーらしい獣臭、タイムなどの複数のハーブの香り。熟成肉などの旨味の凝縮した肉の香り。クローヴ、コリアンダー、リコリスなどのスパイスの風味。
口に含むと強い青い香りと土の香り、果実の香りが口の中に広がり、柔らかい酸味とタンニンが感じられる。香りはこんなにも野性的なのに余韻はエレガントに広がっていく。
個性的かつ複雑でパワフルなワインだ。


アンリ ボノーとラヤス。
基本的な哲学というか、方向性は似ていると思います。自然に、なるたけ人の手を介さずにぶどう本来の力を出し切るという方向性。
だからいかにもヌフらしい過剰に熟した果実味は出ないし重みのあるグルナッシュにはならないんだけど、極めて自然な、ともすればブルゴーニュの自然派生産者の様な風味。梗に由縁するスパイシーさや瑞々しい果実味(青果売場の様な)が強く感じられる。
これがベース。ただその中でこの2人の生産者はまた違った個性をもっている。
まずラヤスは前回書いた通り柑橘系の風味や瑞々しいベリー類の果実味、(2008年は異なるが)凝縮した旨味と酸味の厚みがあります。良いヴィンテージ、例えば2007年のピニャンなどには目の詰まった滑らかな凝縮度とテクスチャーがあります。
対してアンリ ボノーは実感としては、やや荒いと言わざるを得ない。
しかしながら獣香や土、ハーブ、熟成肉のとても複雑な香りが力強く芳香する。十分にパワフルに感じるが2008年、他のヴィンテージはより強烈なんでしょうね。若干抽出が強く果皮の香りは強めに感じられました。
例えですが、シャンボールミュジニーとジュヴレシャンベルタンくらいの違いはあるのではないかと。
酸味とタンニンは比較的柔らかいが、ラヤスほどではない。ラヤスと比べると堅牢。
余韻は土やハーブを残して広がっていく。
全体的な方向性は近いのですが、アンリボノーの方が堅牢で野性的ですね。複雑。
ボディや方向性に差異はあれど、シャトーボーカステルの最上のシャトーヌフ デュ パプにも通じる複雑さがあります。
それに比べるとラヤスは断然瑞々しいと思います。

樹齢はほぼ同じですが、分かっている範囲で大きく異なっているのが樽熟成期間ですかね。ラヤスの22ヶ月に対して、アンリボノー
は約2倍以上の48ヶ月にも及ぶ旧樽熟成を行っています。
この複雑味は長い旧樽での樽熟成期間によるのでしょうね。あと特徴的な獣香はよく蔵の中の自然酵母に由縁するという話も聞いているので、ひょっとしたらそれかもしれないですね。はい。

2008年で今回は比較しましたが、2009年、2010年がリリースされた折には是非再検討してみたいですね。



【ローヌ:8】自然派シャトーヌフの重鎮、ラヤスのコートデュローヌからシャトーラヤスまで利き比べる。



こんにちは。
またもや引き続き、ローヌ特集です。
今回はラヤスが栽培、醸造、販売まで全てを手がけるシャトー ド フォンサレットのコート デュ ローヌ3ヴィンテージ、そしてラヤスのシャトーヌフ デュ パプ2種類(ピニャン、シャトー ラヤス)をレポートします。

シャトーラヤスは偉大なるジャック レイノーの息子、エマニュエル レイノー率いるシャトーヌフデュパプ最高の生産者。いわゆる最新のニューワールド的なシャトーヌフではなく、古典的で、かつ(アンリ ボノーの様な)独創的なワインを作っています。ポートフォリオはシャトーラヤス、そしてセカンドのピニャン、シャトー ド フォンサレットのコート デュ ローヌが瓶詰めされます。
平均樹齢はいずれも50年。わずか15hl/haという徹底した収量制限を行い、丁寧に栽培を行っています。おそらく除梗はしず、全房発酵を行っていると思われる。
近代的な醸造(ステンレスタンクや温度管理、オーク新樽使用など)を嫌い、自然のまま醸造を行っています。
シャトーラヤス、ピニャン共にセメントタンクにて発酵を行い、10年来の旧樽を使用して22ヶ月の熟成を行っています。

さて、ラヤスの赤の2008年水平、フォンサレットの垂直、いってみましょう。


生産者: シャトー ド フォンサレット
銘柄: コート デュ ローヌ ルージュ 2003
品種:グルナッシュ50%、サンソー35%、シラー15%

約9700円、
外観は濁ったルビー、粘性は高い。
梅しば、熟成肉などの凝縮した旨味が主体となっている。やや軽めのミネラルがある。
紅茶、タイムなどのやや枯れた木材。そして熟したブルーベリーや紫すももの果実味が感じられる。また土やトリュフ、ワッフルなども感じられる。時間が経つとすごく良くなるタイプ。
コートデュローヌにしては、突出したの縮度、瑞々しい酸味と旨みが一塊となっている。タンニンは柔らかい。


生産者: シャトー ド フォンサレット
銘柄: コート デュ ローヌ ルージュ 2004
品種:グルナッシュ50%、サンソー35%、シラー15%

約8900円。
外観は濁ったルビー、粘性は高い。
03同様熟成香に満ちているが、より酸味と旨みの層が厚く、より凝縮度が高く奥行きがある印象を受ける。対して甘露さは2003年の方が強く感じる。
濃厚な紫スモモや梅しば、熟成肉の様な旨みの塊感がある。
そしてドライハーブやローズヒップティー、漢方。クローヴ、タイム。炭焼きなどの風味。
酸味に関しては2003より滑らかで綺麗なタンニンがある。気持ちいい旨味。余韻の広がり方がとても綺麗。


生産者: シャトー ド フォンサレット
銘柄: コート デュ ローヌ ルージュ 2008
品種:グルナッシュ50%、サンソー35%、シラー15%

約8700円、WA89pt
外観は澄んだルビー、粘性は高い。
全房発酵らしいスパイシーで、瑞々しく綺麗な味わいが感じられる。
清涼感のあるオレンジ、そしてレッドカラント、ラズベリーの瑞々しい果実味、スパイシー。クローヴ、コリアンダー、甘草、土の香り。若々しいハーブ、葉の様な風味。生肉、樹皮の香り。ラズベリーのティー。
もっともシャープな酸味がある代わりにタンニンはもっとも柔らかく、じわっと広がっていく様な綺麗な旨味がある。青さとベリーの瑞々しさを気持ち良く感じられる。


2003年、2004年、両方とも結構熟成を経ており熟成肉や紫スモモ、梅しばの様な風味が感じられます。かなり綺麗に熟成していますね、2003年も2004年も酸がキツすぎたりタンニンが強すぎたりする事はありませんでした。良質なピノノワールの様な熟成タイプ。ギュッと引き締まった旨味が綺麗に広がっていく感じ。
ヴィンテージの質としてはこの2ヴィンテージはほぼ同等ですが、感覚としては2004年の方が、よりドライで強い骨格と凝縮感、複雑さがあり、生育に時間がかかったのではないかと推察します。対して2003年は骨格や凝縮感は劣るものの、しっかりと熟した果実の甘露さがあり、日照条件がかなり良かったのではないかな、と思います。
恐らく2004年の方がより長期熟成型のはずです。
次に2008年。このフォンサレットはもっともラヤスらしい作りになっています。
特徴的なオレンジピールや赤系の果実味、全房らしいフレッシュな味わいに満ちている。
過去のヴィンテージの様に凝縮した旨味や密度は生まれていないもののフレッシュで瑞々しく、スパイシーな味わいがもっとも強く感じられます。若いというのもあり、2003年、2004年とはちょっと違いすぎて、あまり比べる対象にはならないですね。
それと2008年はローヌでは珍しい10年に一度くらいのバッドヴィンテージでした。そう考えると、ローヌらしからぬ、この瑞々しさは納得です。ラヤスのスタイルには合っているヴィンテージかもしれません。
ACコート デュ ローヌとしては出色の出来だと思います。値段もその分高いですけどね。

はい、では次は本家ラヤスのピニャンとシャトーラヤスです。


生産者: シャトー ラヤス
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ ピニャン 2008
品種:グルナッシュ100%

約13000円、WA89pt。
外観はピノノワールを想起させる淡いルビーで、香りも同じく冷涼地域のピノと近い芳香を放つ。
アンリボノー同様、極めて自然派的な香りだが、より洗練されていて、雑味がなく、透明感のあるヌフになっている。素晴らしい。
溌剌としたオレンジの皮、野性的なアメリカンチェリー、ブルーベリーの瑞々しい果実味。全房に由縁するスパイシーさがあり、リコリス、クローヴなどのドライハーブの香りが強く感じられる。ジャスミン、紅茶などのニュアンスも感じられる。
タンニンより断然酸味の方が豊かで、複雑なスパイスやオレンジ、ベリーの風味が口の中に広がる。古典的なヌフや最新鋭のヌフ、どちらとも当てはまらない個性的なヌフ。
滑らかなテクスチャ、美しい酸味、複雑な要素の調和がやはり素晴らしい。


生産者: シャトー ラヤス
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ シャトー ラヤス 2008
品種:グルナッシュ100%

約28000円、WA93pt。
外観はピノノワールを想起させる淡いルビーで、香りも同じく近い芳香を放つ。ピニャンと全体的な構成は近いが、より密度が凝縮し、構成が緻密になっているのがわかる。
例えば果実味であれば、瑞々しいアメリカンチェリー、ブルーベリーの風味に鉄分や果皮の濃い香りが付加されているし、それに合わせるように、タイムや若草、ジャスミンなどのドライハーブや、リコリス、クローヴ、コリアンダーなどのスパイス香が力強く立ち上ってくる。オレンジピールの風味は変わらず存在している。より生々しく燻製肉が感じられる。
こちもタンニンより酸味の方が豊か。ピニャンより液面に強い凝縮感が感じられる。長熟する様な酸味と旨味のバランス。官能的な味わい。


コート デュ ローヌはグルナッシュ、サンソー、シラーのアッセンブラージュでしたが、ラヤスのシャトーヌフ デュ パプは100%グルナッシュです。
セカンドとファーストの違いは、テイスティングコメントの中でほとんど全て書いてしまっているのですが、改めて。
セカンドとファーストの違いは、その液体密度と複雑さに集約されると思います。しかもかなり明確に差が現れています。
まずアタックとしてはタンニンは同程度ですが、酸および旨味に関しては、より厚い層が感じられます。熟度はシャトーラヤスの方が高いはずですが、2008年というヴィンテージから凝縮度の高い方向性に触れているのかな、と思います。
香りに関しては、より鉄分や熟成肉の様な風味、そしてドライハーブやスパイスの香りが強く感じられ、かつ均整の取れた芳香が感じられます。
共通する点としてはフォンサレットにも感じられた強い旨味成分。これが本当に唸るように凄くて、ブルゴーニュの古酒と比べても突出している。グルナッシュという品種でここまでエレガントかつ強い旨味を放つワインはボノーとラヤスくらいなんじゃないかと。
ここでキーとなるのは恐らく樽熟成期間の長さにも由縁するのではないかと。
見たところ新樽は使用されておらず旧樽を使っていて、かつ22ヶ月の熟成期間を経ている。見たところ、現在ラヤスの最新ヴィンテージは2008なので、瓶熟成期間もたっぷりと取っている。おそらくこれでしょう。
本当に半端ないシャトーヌフだと思います。
例えばオーストラリアやカリフォルニア並みの果実味爆弾グルナッシュや黒胡椒風味の伝統的なグルナッシュは結構ありますが、このタイプは珍しい。
アンリボノーと共にエレガント系ローヌの最高峰を見たような気がしますね。

素晴らしいワインでした...!






【ローヌ:7】荒ぶるパーカーポイント、ギガルとシャーヴのエルミタージュを利き比べる。


※値段は違うがまたもやパーカーポイント横並び。

こんにちは、HKOです。
さてさて、本日も前回に引き続きローヌ、エルミタージュを比較します。
片方は前回も既にレポートさせてもらったギガルのエルミタージュ エクスヴォト、もう片方はシャーヴのエルミタージュ ルージュ。共にローヌ最高の生産者が作るエルミタージュ。豪華すぎる比較、どうでしょうか。

エティエンヌ ギガルはローヌ地方において最も偉大なコートロティやエルミタージュを自社畑から生み出しながら、ネゴシアンとしてリーズナブルで高品質なワインも供給する優良生産者。
ギガルの代表的な赤ワインとして、やはり有名なのは単一ブランドを持つコートロティの4つのキュヴェとエルミタージュの混醸キュヴェ。今回は小区画 ベッサール30%、グレフュー30%、ミュレ20%、レルミット20%で構成された「エルミタージュ エックス ヴォト(樹齢70-100年)」。
収量は十分に抑制され、収穫は概ね遅摘みによって凝縮度を上げた状態で収穫される。
除梗は基本的に行われないが、実験的に部分的な除梗を行っている。
自動ピジャージュシステム付きのステンレスタンクを用い、ルモンタージュしながら4週間のマセラシオンを行う。新樽100%で40ヶ月以上(ダンピュイは36ヶ月)にも及ぶ長期熟成を施した上でリリースされる。

ジャン ルイ シャーヴをエルミタージュ最高の生産者と呼ぶ事に異論が出ることは無いでしょう。シャーヴのエルミタージュルージュは9つのリューディから成り(その中にはシャプティエのレルミット、ドゥラスのベッサールも含まれています)基本的に単一畑で醸造することは無いようです。シャーヴの芸術的な所はそれらの個性のブレンド技術に起因するものだと言われています。これらはまさにローヌ北部のトップワインと言って差し支え無いだけに値段も高く、それでも引く手数多なので入手しにくいのが現状です。生産本数は30000本程度、平均樹齢は60年程度。収穫された葡萄は10%新樽で1年間熟成させたのちに、大樽に移し替えさらに18~24ヶ月の熟成をかさねてから瓶詰めし、最低12ヶ月は瓶熟してから出荷されている。
ちなみに最良ヴィンテージのベッサールは100%新樽でひと樽のみ熟成されキュヴェ カトランという名前でリリースされている。


共に畑のアッサンブラージュの妙も問われるエルミタージュ。さあ、いってみましょう。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: エルミタージュ エクスヴォト ルージュ 2009
品種: シラー100%

約42000円、WA100pt
外観は濃いガーネット。
よりロティに比べると果実味が豊かで甘露。
シャーヴに比べるとよりまろやかで豊満な味わいのブラックベリー、チェリーリキュールのジャムだとか溶剤の香りが強く前に出ている。ミルクティーやキャラメルの豊満な風味。徐々に酸味を伴うプラムの様な味わいに引き締まってくる、シベットやコーヒーの様な風味も、リコリス、薔薇や茎、枯葉や土、などの風味。
変化がドラスティックでアーシー→スイート→アーシーを繰り返す。
果実味に触れた時には素晴らしく官能的で柔らかい味わい。
口の中で凝縮された酸味と旨みが広がっていく。梅しばやチェリーなどの酸味を伴う果実が余韻を残して行く。


生産者: ジャン ルイ シャーヴ
銘柄: エルミタージュ ルージュ 2010

約24000円。WA100pt。
外観は濃いガーネット。
いや、いやいや、ちょっと笑っちゃう位すごい。今まで飲んだシャーヴのエルミタージュ ルージュの中でも最高。とんでもない化け物ワイン。埒外の凝縮感、旨味の奔流、漲るぶ厚い酸。それでありながら甘露で蕩ける様な滑らかさ。
最初はブラックベリーのジャムや煮詰めたプラムの濃厚な風味が主体的に感じられるが、徐々に酸味を帯びた瑞々しいアプリコット、アセロラなどの旨味と凝縮感に満ちた香りが押し寄せてくる。そして黒胡椒や紅茶、ローズヒップが調和。リコリス、スミレ、タイム。西洋杉の風味など。ほのかにパストラミハムの野性味も感じられる。
口に含むと液体が心地よい酸味と旨味と共に広がっていく。スパイスやアプリコットの果実味が永遠に続くような余韻を残して行く。タンニンも強く存在するが、滑らかで酸味と旨味の層が厚く全く気にならない。
熟成ポテンシャルが十二分にありながら、今現在飲んでも伝わる凄まじさ。参った。


さて、恐れ多い比較ではあるのですが、しっかりとやってきましょう。
まずは受ける印象。これは全く異なります。
抜栓直後の印象は微妙に重なりますが、すぐに大きな違いが現れます。
ある種ニューワールドを思わせる爆発するような果実味がある外向きのエクスヴォト。対して凝縮した高密度の果実味がある内向きのエルミタージュ。向いている方向が全くの逆向き。
ギガルのエルミタージュはリッチで豊満。ブラックベリー、チェリーリキュールのジャム、ミルクティーやキャラメルの豊満な風味が感じられます。ふくよかに広がっていくような果実味があります。
シャーヴのエルミタージュは、瑞々しいアプリコット、アセロラなどの酸味を帯びた凝縮感のある果実味。そして黒胡椒や紅茶、ローズヒップが調和している。厚みがありながらも綺麗に伸びていく味わい。
質量はきっと変わらないのだろうけど、外に伸びていくのか、内に凝縮されていくのかの違い。どちらも素晴らしい。

この違いを生み出すのは一因として、間違いなくアッサンブラージュが挙げられるでしょう。今回の2本の詳細は下記の通り。
ギガルのエルミタージュ エクスヴォトはベッサール、レルミット、グレフュー、ミュレ。
シャーヴのエルミタージュはベッサール、レルミット、メアル、ボーム、ロクール、ペラで構成されています。
まずは共通する2つの畑から。
レルミットは濃密さやタンニンの力強さ、ベッサールは凝縮感、ミネラル、複雑さをワインに与えます。これらはエルミタージュ最上の畑とされ、最上のキュヴェには必ずといって良いほど混醸されています。
例に漏れずエクスヴォトには上記2つの畑が含まれており、加えてグレフューとミュレが混醸されています。グレフューの特徴としてはフルーティーでストレートな風味が特徴です。(ミュレは不明)
またエルミタージュルージュはベッサール、レルミットに加え、メアル、ボーム、ロクール、ペラが混醸されています。ペラはワイルドベリーの様な香気や複雑さを、メアルはスモーキーでローストされた様な風味を、ロクールは優美な繊細さを、ボームは甘露な風味を与えています。
これらの畑の特徴からエクスヴォトが果実味重視でパワフルになり、シャーヴのエルミタージュが複雑、繊細かつ凝縮感のある味わいになるのは、なんとなく納得出来ますね。

他には新樽100%のギガルに対して、シャーヴの新樽比率は10%となっています。コーヒーやキャラメルの香りを漂わせるエクスヴォトに対して、樽の香りは控えめで果実の瑞々しさが際立ったシャーヴのエルミタージュ。こちらも素直に味わいに反映されていますね。

以上、比較となります。
とりあえず、ギガルも本当に凄いんですが、何より今年のシャーヴのエルミタージュは半端ないですね。
2009年もなかなかいいんですが、香りの鋭さとか凝縮感とかが2010年の方が優れている様な気がするんですよねー。
ヴィンテージ的にはどうなんでしょうか。

シャーヴは毎年いいものを作ってくれますね!来年も是非飲みたいですなあ。



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【ローヌ:6】荒ぶるパーカーポイント、ギガル最高のコートロティ3兄弟とエルミタージュ。


※面白い事に値段もパーカーポイントも横並び。

こんにちは、HKOです。
今日は何回かに渡ってローヌを扱います。
まずはいきなりギガルの最上級キュヴェの水平です。

エティエンヌ ギガルはローヌ地方において最も偉大なコートロティやエルミタージュを自社畑から生み出しながら、ネゴシアンとしてリーズナブルで高品質なワインも供給する優良生産者。
ギガルの代表的な赤ワインとして、やはり有名なのは単一ブランドを持つコートロティの4つのキュヴェとエルミタージュの混醸キュヴェ。
粘土と酸化鉄で形成されたコートブロンドに1ha保有する「ムーリーヌ(樹齢80-85年)」、砂とスレートで形成されたコートブリュンヌに2ha保有する「ランドンヌ(樹齢30年)」、同じくブリュンヌに保有する1ha「トゥルク(樹齢35年)」、そしてそれらの弟分でありブロンドとブリュンヌに保有する6つのリューディからなる「シャトーダンピュイ(樹齢45-95年)」。
これらのコートロティ群と、エルミタージュの小区画 ベッサール30%、グレフュー30%、ミュレ20%、レルミット20%で構成された「エルミタージュ エックス ヴォト(樹齢70-100年)」。
収量は十分に抑制され、収穫は概ね遅摘みによって凝縮度を上げた状態で収穫される。
除梗は基本的に行われないが、実験的に部分的な除梗を行っている。
自動ピジャージュシステム付きのステンレスタンクを用い、ルモンタージュしながら4週間のマセラシオンを行う。アリエとヌヴェール産の新樽100%で40ヶ月以上(ダンピュイは36ヶ月)にも及ぶ長期熟成を施した上でリリースされる。

貴重なギガル最上級の水平テイスティングです。しっかりと特徴を捉えて行こうと思います。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: エルミタージュ エクスヴォト ルージュ 2009
品種: シラー100%

約42000円、WA100pt
外観は濃いガーネット。
よりロティに比べると果実味が豊かで甘露。
シャーヴに比べるとよりまろやかで豊満な味わいのブラックベリー、チェリーリキュールのジャムだとか溶剤の香りが強く前に出ている。ミルクティーやキャラメルの豊満な風味。徐々に酸味を伴うプラムの様な味わいに引き締まってくる、シベットやコーヒーの様な風味も、リコリス、薔薇や茎、枯葉や土、などの風味。
変化がドラスティックでアーシー→スイート→アーシーを繰り返す。
果実味に触れた時には素晴らしく官能的で柔らかい味わい。
口の中で凝縮された酸味と旨みが広がっていく。梅しばやチェリーなどの酸味を伴う果実が余韻を残して行く。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: コート ロティ ラ ランドンヌ 2009
品種: シラー100%

約42000円、WA100pt
外観は濃いガーネット。粘性は高い。
最初からドライフルーツ(ドライプルーン、ブラックベリーのシロップ漬け)が如き濃厚な甘露さが全開だが、徐々にスパイシーでウッディな香りに変化していく。
そして西洋杉やタバコ、乾いた土、枯葉のスモーキーなニュアンス。
強いコーヒーや線香の樽香。燻製肉などの野性味。リコリスなど。
とてもスモーキーでパワフルなコートロティで、酸味とタンニンの質感は滑らかだが、しっかりと目の詰まった密度の高さがある。
口に含むと土や甘草、そしてブラックベリーの黒い果実の余韻が広がっていく。
当然まだ硬いが、熟成ポテンシャルは非常に高い。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: コート ロティ ラ ムーリーヌ 2009
品種: シラー89%、ヴィオニエ11%

約42000円、WA100pt。
外観は濃いガーネット。粘性は高い。
ランドンヌに比べると、酸とミネラルを強く感じさせる芳香があり、かなり張り詰めた印象を受ける。
チェリーリキュールや瑞々しいプラム。凝縮感のある黒系の果実味、酸を感じさせる無糖ヨーグルト。他のコートロティと比べると瑞々しくより薔薇や若い葉の様な風味が感じられる。コートロティの中では最も瑞々しい印象を受ける。摘みたてのベリーを頬張る様な瑞々しさがある。
そして西洋杉、トリュフ、リコリスなどの木材やスパイスの要素。ムスク、燻製肉などの野性的な要素。徐々にドライハーブや線香の香りも。
徐々に果実味がランドンヌを上回り、強烈に凝縮した甘みが現れてくる。エッジの効いた酸味とベリーの蜜や旨味が調和。
口の中でヨーグルティな風味とベリーの豊かな味わいが広がる。余韻も長い。
この3本の中で最も瑞々しく酸の漲ったエレガントなコートロティ。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: コート ロティ ラ トゥルク 2009
品種: シラー93%、ヴィオニエ7%

約42000円、WA100pt
外観は濃いガーネット。粘性は高い。
抜栓直後のランドンヌ並みの濃厚な甘さと共に強い果皮成分に由縁する薔薇のような華やかさが感じられる。
濃厚なブラックベリーのコンポート、チェリーリキュールなどの酸味を伴う濃厚な果実味。八角、コーヒーやカラメル、シロップ。
そして華やかな薔薇のリキュール、紅茶、ドライハーブ、燻製肉の芳香が全面に現れている。そしてわずかに黒胡椒の風味も感じられる。甘露さと華やかさが高いレベルで均衡を取っている。素晴らしい。
酸味は滑らかだが、目の詰まった旨みがある。極めて豊満な甘露さと共に、非常に心地よい薔薇と紅茶、チェリーの華やかな余韻を残す。この3本の中では華やかさ、甘露さが突出した最もリッチなコートロティだと思う。


いや、どれも素晴らしかったです。
では比較して行きます。まず各々の開き方からです。
コートロティから行きましょう。
まず強烈な開き方をしたのはシラー100%のラ ランドンヌです。ドライフルーツやシロップ漬けの黒い果実の風味が力強く立ち上がってきます。この時点では圧倒的にランドンヌが重厚で甘露です。
同タイミングのムーリーヌはより酸味と旨味が張り詰めており、瑞々しいプラムやチェリーリキュールなどが感じられました。シャープな印象ですね。またトゥルクも酸味を伴う凝縮感のある黒系果実が感じられましたが、より果皮成分が強く抽出されており、華やかでありながらインキーでした。
徐々に香りに変化が現れます。
甘露で豊満、キャッチーだったランドンヌが急激に落ち着き、タバコや枯葉、コーヒーや線香などのスモーキーでウッディな香りを放ちはじめます。より複雑さを増してくる。
対してムーリーヌはここにきてまだまだ甘露さを増していきますが、そこに薔薇の様な華やかな風味や酸味を感じさせるヨーグルト、そしてムスクの様な野生的な香りが混じってきます。この時点では豊かな果実味と華やかさか極めてバランス良く調和しています。
口述するトゥルクと比較するとより繊細でシャープです。
トゥルクは徐々にインクのような風味が溶けはじめ、強烈な甘露さが前に出てきます。
ブラックベリーのコンポート、チェリーリキュール、八角、カラメル。シロップに漬けた薔薇やスミレの華やかな香りとの調和。蕩ける様な甘みが柔らかいタンニンと共に広がっていく。
1時間30分を超えると、ランドンヌはかなり当初の印象から変化した。燻製肉、クローヴ、炭焼きなど大地と旨味に満ちた味わいに変化した。
ムーリーヌに関してはドライハーブや線香の香りが漂い始めるも、変わらぬ瑞々しさとシャープな甘露さが最後までしっかりと感じられた。
トゥルクも基本的に大きく味わいが変化...崩れる事は無く力強い甘露さ、華やかさに黒胡椒の風味が付加されていきます。

口当たりは前述した通り、ムーリーヌの酸味がやや際立っていましたが、押し並べてタンニン、酸味はとても充実しています。
ただ果実味がとても強い為、質感は滑らかに感じます。
引っ掛かるようなタンニンも酸味も無く、舌先を転がるようなスムーズな質感だったと思います。

以上の時間変化を考慮して各ワインを特徴付けるとすれば、ランドンヌは「複雑性に富んたわウッディでスモーキーなコートロティ」、ムーリーヌは「瑞々しく酸味が力強いエレガントなコートロティ」、トゥルクは「華やかで甘露さが際立ったリッチなコートロティ」と言えるのではないかと。
ただ全体的に濃厚で甘露である事は変わらないので、微細な違いを感じ取るのであれば選びわけは必要ですが基本的にはどれを飲んでもギガルのコートロティの美味さは堪能出来ると思います。

さて、ここまではコートロティ。
次はエルミタージュを絡めて行きます。
ほぼセパージュや製法は殆ど同じですが、味わいはかなり異なります。
まずエレガントで微細な要素を幾つも含んだコートロティに比べると、よりシンプルでジャミーな果実味が特徴的です。
極めて甘露で、砂糖で煮詰めた黒系果実の果実味(ランドンヌに近いかも)、そして樽もやや強くミルクティーやキャラメルの様な風味があります。徐々に(ムーリーヌに近い)酸味を伴うプラムの様な味わいに変化していく。
液体の質感は滑らかで凝縮感があります。
より果実味に寄ったパワフルワインです。

何がこの違いを生み出しているのでしょうか。醸造に関してはあまり大きな違いはありませんが、テロワール、セパージュ、樹齢は各キュヴェ毎にハッキリと異なっています。
まずは樹齢。
エルミタージュ エックス ヴォト(樹齢70-100年>ムーリーヌ(樹齢80-85年)>トゥルク(樹齢35年)>ランドンヌ(樹齢30年)となっています。
なるほど、エルミタージュはいかにも古木らしい果実味の力強さ、複雑な風味があります。これは納得です。
問題はムーリーヌとトゥルク。
個人的な感覚としては果実味の充実さで言うならばトゥルクの方がリッチであると感じました。対してムーリーヌはやや酸に恵まれている。樹齢に関してはムーリーヌの方が高いのですから、より熟度の高い葡萄が取れるはず。そこで、土壌に目を向けてみるとムーリーヌは石灰質土壌、トゥルクは粘土質土壌とのこと。
石灰土壌は水はけが良いため、これまたムーリーヌに対して条件が良くなっています。酸化鉄混じりの粘土質は繊細なシラーが産出しますが、パワフルなワインが作れるよ...というのは聞いたことがありません。
答えがなかなか出てこなさそうなので別途探すしか無いですね...ちなみに一般的にはムーリーヌはボリューム、トゥルクは酸とのこと。確かにテクニカルデータを見る限りはそうなんだけども。
ちなランドンヌは超硬いです。これだけスタイルは違いますね、ガッチリしています。
これはもう少し熟成したものを飲んでみたいですねえ。

以上。
個人的な好みとしては、やはりエクス ヴォト。もともとエルミタージュのスタイルが好きですし、ビックワインですしね。
次はビッグワインのトゥルクか凝縮感のムーリーヌ。ランドンヌが好みから遠かった。
ただ、正直どれもメチャクチャ凄かったと思います!ギガル最高!

まあ、欲を言えばブリュヌ エ ブロンドとシャトーダンピュイなどの下位コートロティとも比べて見たかったけれども!





【ブルゴーニュ:37】ヴォルネイ サントノ、熟成の途中経過を探る。

毎度お世話になります、HKOです。
またご無沙汰しております。
最近更新頻度が低くなっておりますが、何卒ご容赦ください。(ネタもあまりないですし、何より更新に費やすことの出来る時間がない...!)

さて、本日はコント ラフォンのサントノ2006,2008とアルヌーアントのサントノ2008です。

コントラフォンはムルソーに拠点を置くドメーヌで、ブルゴーニュ、世界の生産者の中で常にルフレーヴ、コシュデュリと共にトップドメーヌとして語られる、シャルドネのスペシャリストです。
栽培醸造に関しては全ての畑でビオディナミを実践し、収量を25-40hl/haにまで落とし栽培を行う。収穫後2回の選定を行った上で圧搾、その後ステンレスタンクでデブルバージュ。新樽と旧樽へ移し低めの温度でアルコール発酵。
マロラクティック発酵を行いながら最大40%の新樽比率で21ヶ月の熟成を経て、無濾過、無清張で瓶詰めを行っています。赤は除梗後、ステンレスタンクで6日間程度の低温浸漬。20日程度でアルコール発酵後圧搾。ピジャージュは最後の10日間のみ1日2回ピジャージュを行う。新樽比率は30%程度で18ヶ月から20ヶ月の熟成を経て瓶詰めされます。
コントラフォンの旗艦銘柄は特級モンラッシェ、ムルソー ペリエール、ジュヌヴリエール、シャルム。赤はサントノ デュ ミリュー。どの銘柄も人気が高く、上位銘柄は 価格も併せなかなか入手しづらいのが現状です。

アルヌー アントは91年にドメーヌを立ち上げた、ムルソーの新鋭スター生産者。
創設当初は成熟の頂点を待って熟度の高い葡萄を収穫していたが、現在はミネラルと酸を生かす為に早摘みをおこなっています。収穫した葡萄は破砕され水圧式プレス機でプレス、澱引き後大樽で発酵をを行う。熟成は新樽比率20%程度。
白葡萄は破砕後圧搾し、清澄度の高い果汁と細かい澱で11ヶ月熟成、さらに澱引き後6ヶ月の熟成をした後に無濾過、無清澄で瓶詰めされる。
フラッグシップはムルソー グッドドール、ヴォルネイ サントノ デュ ミリュー。

今回はサントノ デュ ミリュー縛り。
サントノ デュ ミリューは行政区分上ムルソーに位置する畑ですが、AOCにおいてはヴォルネイです。
ヴォルネイとしてはややイレギュラーな畑ではあるものの、サントノはヴォルネイで最優良の畑であり、サントノ デュ ミリューはその中でも最良の区画とされています。
その2区画のテイスティングを超優良生産者で行います。


さて行ってみましょう。


生産者: コント ラフォン
銘柄: ヴォルネイ プルミエクリュ サントノ デュ ミリュー 2006

外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
去年同一ヴィンテージを飲んだ時より、しっかりとした熟成香を感じる。
熟成した新世界のピノノワールに感じられる粘土の様な風味。そして熟成肉や枯葉などのブーケが主体的である。
クローヴや枯葉、スミレの野性的な大地の風味。そしてブラックカラントやラズベリーの無糖ジャム、梅しばの果実味を感じられる。
非常に液体に凝縮感があり、分厚いタンニンと酸味、旨味が層となって感じられる。
いずれかの要素が突出することなく、各要素の調和が取れている。アタックは強い。
口の中で茎やブラックカラントの酸味が広がり、余韻を残していく。


生産者: コント ラフォン
銘柄: ヴォルネイ プルミエクリュ サントノ デュ ミリュー 2008

外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
ややドライな2006年と比べると、ニューワールドのピノノワールを想起させる様な豊かな果実味を感じられる。
干したブラックベリーやブルーベリーの果実味、燻製肉や枯葉、梅しばなどの熟成感のある香り。
華やかなスミレ、クローヴなどの風味が感じられる。こちらも梅しばの様な旨味が強く前に現れている。
アタックの力強さは2006年と近似しているが2006年の方がこなれていると思う。
非常に分厚いタンニン、酸、旨みが層を成して一塊となって広がっていく。より果皮成分が厚く現れており、酸味がやや際立って感じる。余韻は長い。


生産者: アルヌー アント
銘柄: ヴォルネイ プルミエクリュ サントノ デュ ミリュー 2008

外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
ラフォンとまた方向性が異なる味わいで、比較的強めのミネラルが感じられる。強烈なスミレの香りが主体的。
炒ったナッツの殻やプラム(スモモ)や梅しばの酸味と旨みが詰まった果実味、熟成したハモンイベリコベジョータ、クローヴなど。
ラフォンほどの分厚い旨味はないものの、こちらも比較的綺麗に旨みが出ている。より密度が薄い...というか瑞々しい。
やや酸味が前に立っている。スミレと果皮の酸味が強い。


いやー閉じてますねー。
ややご機嫌がよろしくなかったようで、アルヌー アント、ラフォンともにちょっと篭った印象の味わいでした。
まずアルヌー アントから。
2006年ほどの果実味はないものの、強烈なミネラル感と花の香りは健在。熟成した生ハムの様な凝縮した旨味を感じさせる熟成香も併せて感じられました。
ただラフォンと方向性こそ似ていますが、全体的に液体密度は低く感じますね。悪くはないのですが。
ちょっと旨みの厚さが足りないような。
そして本丸のラフォンのヴォルネイ。2006年、2008年共に梅しばや燻製肉の様な旨味、そして枯葉のブーケが全面に出た、しっかりとした熟成感を感じさせる味わいでした。ちなみに去年飲んだ2006は爆発的な果実味があったのだけど、今回の2006年はかなり円熟した印象を受けましたね。
この部分はかなり想像と違っていました。一年でここまで変わるとは...いや、閉じただけかもしれないけど。
2008年は、より果皮成分が際立っており、かなり閉じてしまっている印象(あまり香りが立っていなかった。)
ただ無糖ジャムのような黒系果実の瑞々しさ、凝縮感は健在で、口内ではねっとりした濃厚な風味がしっかりと感じられます。いつもはここに黒砂糖の様な甘露さが乗るんですけどね...やはり今回はどうにもご機嫌が悪いようですな。

もともとブルゴーニュを好きになるきっかけのワインだっただけに、ちょっと?といった感じでした。
前回同一ヴィンテージで素晴らしい体験をしたのですが、ちょっと閉じてしまっているようですね。
また検証したいと思います。



プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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