【スペイン:3】アガピト リコ、濃厚なシラー、ムールヴェドル、カベルネソーヴィニヨンを利く

こんにちは、HKOです。
ここのところはすっかりデイリーワインしか飲んでいません。
なかなか公私共忙しく、外に飲みに行けない状況なので...ううーん。
早々にブログネタが尽きるかも...
今回はスペインワイン、ボデガス アガピト リコの2種類をテイスティングします。

ボデガス アガピト リコは1980年代に設立されフミーリャのワイナリー。醸造家はホアキン ガルヴェス。年間降水量200mm以下のスペインで最も乾燥したフミーリャに合計約280ヘクタールにも及ぶ白亜質粘土質の土壌の畑を保有している。このボデガで作られるワインはカルチェロ、アルティコ、ヴェドレ、シエルヴァの4種類。それぞれセパージュが異なります。
収穫された葡萄は厳しい選別を実施。
カルチェロはシラー、モナストレル、カベルネソーヴィニヨンは別々に醸造され定温管理された状態で25-28日間マセラシオンと発酵を行います。フレンチオーク100%でそれぞれ3ヶ月間熟成されます。
アルティコも基本的には同様ですが、33%をMLFを行い、フレンチオークで6カ月熟成させます。


生産者: ボデガス アガピト リコ
銘柄:カルチェロ ティント フミーリャ 2011
品種: モナストレル40%、シラー40%、カベルネソーヴィニヨン20%

約2600円、WA89pt
外観は黒に近い濃いガーネット、粘性は高い。強烈に濃厚なスペインワイン。
黒糖やドライプルーン、フルーツケーキの濃厚で甘露な果実味。ミントの様なハーブ、ワッフルやモカの樽香。甘草、クルミ、インク、薔薇のドライフラワーなどの風味が感じられる。
収斂性は高く、豊かなタンニン、シラー由来の酸があり、豊満な味わいが感じられる。
全体的にどっしりとしたムールヴェドル、シラー、カベルネソーヴィニヨン。キャッチーさとしてはボルベルやブレカに比べると劣っている様に感じる。果実味に鮮明さがやや欠けるか。


生産者: ボデガス アガピト リコ
銘柄: アルティコ シラー フミーリャ 2011
品種: シラー100%

約2600円、WA91pt
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
どちらかといえばオーストラリアの、例えばヌーンワイナリーのシラーズなどは近いが、そこまで甘露ではないし複雑味はない。またフランスのスパイシーで凝縮感のあるシラーとも特徴は異なる。
果実味はとてもリッチかつ果皮の成分が強く抽出されている。ドライフルーツ的なプラムやブラックベリーの濃厚で甘露な果実味と共に砂糖で煮た小豆。ミント、百合、スミレなどの溶剤に近いニュアンスが感じ取れる。
燻製肉、黒砂糖の様な甘露さ、鉄観音、コリアンダーやナツメグなどのスパイスも。
タニックで酸味も充実している。やや酸味が際立っていると思う。口内で干した黒系果実の風味が広がる。自然な果実味。収斂性はカルチェロよりは低め。
香りの濃厚さとは裏腹に厚い酸を持つシラー。出来はいいが、ブレカのワインと比べると一歩物足りなさを感じるワイン。


価格を考えるとなかなか良い感じだと思います。ただ周りを見回した時にあまりにも優れたスペインのシラー、グルナッシュ、ムールヴェドルがあるもんだから、特段びっくりはしない印象。確かに濃厚で美味しいですけどね、この手の奴は結構あります。
全体で言うとドライフルーツの様な甘露な果実味が主体となり、品種特性やマロラクティック、樽の香りが乗ってくるような形です。
味わいとしてはかなり凝縮していますし、リッチでパワフル。スタンダードなスペインワインの味わいだと思います。
その上で、カルチェロはより果実味が前に、シラーは果実味とともに果皮成分とマロラクティック発酵のニュアンスが強く感じられます。シラーらしい酸味もしっかりと感じられます。(ただ過熟しているからか、ローヌのシラーほどではないです)
複雑さはシラーの方が上ですかね。
ただ、ブレカやボルベルなどを作るホルフェ オルドネスのワインに比べると熟度より果皮成分が多く、リッチさにおいては劣ってると思いますし、雑味もあると思います。
そこは好みの問題かしら、とは思いますが、個人的にはホルフェ オルドネスのワインを推します。両方ともパーカー好みのワインだとは思いますが。

とはいえ、凡百のデイリーワインから見ると良くできたワインを作っていると思いますので、見かけたら飲んでみるのも良いのではないかと思います。


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【ワイン以外】ヴァル ド ランスのシードル2種を利く

こんにちは、HKOです。
今日はワインではなくシードルです。
ご存知の通りシードルはフランス ブルターニュ地方、ノルマンディー地方の伝統的なリンゴ酒で、よくガレットと一緒に供されます。
私もパリに行った時にガレットと一緒に楽しみましたが、なかなか複雑なコクがあって美味しいと感じました。

今回は一般的に酒屋で手に入りやすいシードルであるセリエ アソシエ社のスタンダードとビオを飲み比べてみました。
両方ともブルターニュ産のりんご100%、単一年で仕込みをしています。製造方法はワインとほぼ変わらず、収穫、圧搾、搾汁、澱引き、発酵、瓶詰めの工程を経ています。


生産者: セリエ アソシエ
銘柄: シードル ヴァル ド ランス クリュ ブルトンアルコール度数:5%

外観はベーシックなクリュ ブルトンの方が色が濃い。外観は濁ったメイプル色。
濃厚なリンゴ、シナモン、西洋杉。西洋杉は樽の香りかな?濡れた木の風味。
やや軽めの泡が感じられる。ビオより泡が柔らかい。熟したリンゴの余韻が残る。

生産者: セリエ アソシエ
銘柄:シードル ヴァル ド ランス オーガニック
アルコール度数:4%

オーガニックの方が幾分か淡い色調で外観は濁った琥珀色。
より瑞々しいリンゴ、シナモン、シロップ
クセは強いが、甘みは強いと思う。スパイシー。瑞々しい味わい。
やや軽めのきめ細かい泡が感じられる。


よりスタンダードの方が樽の風味が感じられます。対してビオの方は樽は穏やかでありながら、スパイシーできめ細かい味わいが感じられます。
発酵に起因する要素だと思いますが、シナモンの風味がなかなかいいですね。
ワインの様に洗練された味わいとは決して言い難いのですけれども、より牧歌的で自然な味わいが感じられます。
伝統的な製法を守っているからでしょうね。アルコール度数が低くブリュットといえど甘みも感じられるので、誰しもが飲んで美味しいといえる味わいではないでしょうか。


【ボージョレ2013】2013年ヌーヴォーと2011年クリュボージョレを利く。

こんにちは、HKOです。
昨日はボージョレ解禁日でした。
毎年思うのですが、この時期になるとワイン人口が増えてとても楽しいです。
素直に自分の好きなものに周りが興味を持ってくれるのは嬉しいですよね。
なので、このブログは積極的にお祭りには乗っかって行こうとおもいます。
今回は2013年のマルセル ラピエールのヌーヴォー、そしてドメーヌ ド ラ グラン クールのクリュ ボージョレ、フルーリー、シャトー デ ジャックのムーラン ナヴァンです。

マルセル ラピエールはボージョレ地区モルゴンに拠点を置くボージョレ最上の生産者。そしてビオの先駆者の一人でもあります。
現在は息子のマチュ ラピエールが指揮をとっています。
決して他の地域のワインは作らずモルゴンのテロワールの個性を大切に丁寧に描き出している。
栽培はビオロジックによって行われ、手作業で収穫、自然酵母で発酵、密閉タンクに直接炭酸ガスは注入せず、20度前後で5~6日間、自然発生した二酸化炭素で色素と果皮成分を抽出していく。(セミ マセラシオンカルボニック)古樽に移し澱とともに熟成。SO2添加は原則行わない。ポートフォリオはACボージョレ、モルゴン、モルゴン サン スフル、ジュリエナ、コート ド ブルイィ、シエナ、シルーブル、フラッグシップはモルゴン キュヴェ マルセル ラピエール。
今回はそのボージョレ ヌーヴォーです。

ドメーヌ ド ラ グラン クールはボジョレー地区フルーリーの最古の生産者。当主ジャン ルイ デュトレーヴが指揮を取っています。
自然派生産者でエコセール認証を取得しています。
葡萄は手摘みで収穫し、圧搾。自然酵母を使用し発酵、熟成期間を経て出荷されます。テロワールと畑仕事を存分に表現したワインには定評があります。 フラッグシップのクロ ド ラ グラン クールは平均樹齢30年の古木を使用し熟成には30%をオーク樽、35%をステンレスタンク、残りの35%をオークの大樽を使用している。

シャトー デ ジャックはルイジャドがボージョレで運用しているムーラン ナヴァン最良の名門ドメーヌ。醸造責任者はギョーム ド カステルノー。ムーランナヴァンに27haの畑を保有し、5つの単独畑(クロ デ ロシュグレ、クロ デ グラン カルクラン、シャン ド クール、ラ ロッシュ、クロ デ トラン)を個別に醸造しています。またモルゴンとシエナにも畑を保有しています。
これらのガメイ畑をピノノワール同様、除梗を行い、自然酵母を使用、開放槽でピジャージュをしながら発酵させていきます。また発酵後は通常のムーランナヴァンで一部新樽を使用し8-9ヶ月、5つの単一畑では新樽100%で24ヶ月熟成にて出荷されます。

では、いってみましょう。


生産者: マルセル ラピエール
銘柄: ボージョレ ヌーヴォー 2013
品種: ガメイ100%

約3400円
外観は澄んだ淡いルビー、粘性は低い。
マセラシオン カルボニックに由縁するバナナ香は感じられない。摘んだばかりのフレッシュなイチゴやフランボワーズの果実味、キャンディ香、マロラクティック発酵に由縁するヨーグルトのニュアンス、ローリエ、ほのかに赤い花の蜜など。
基本骨子はシンプルで、骨格もライトボディであるものの、魅力的なフレッシュさとアセロラの様な旨味があり、短いが綺麗に消えていく余韻がある。タンニンは僅かに感じられる程度、柔らかい酸がある。
2012年の方が果実味は強いかもしれない


生産者: ドメーヌ ド ラ グランクール
銘柄: フルーリー クロ ド ラ グランクール 2011
品種: ガメイ100%

約2500円
外観は非常に濃いルビー、粘性は中程度。ボージョレ新酒とは完全に趣が異なるボディと骨格がしっかりしたガメイ。そして自然派らしい、ブレタノ臭に近い香りも感じさせる。
まず主体となるのが、その厠臭ではあるのだけど、幾分か時期を過ぎると寒冷地のピノノワールの様な風味が現れてくる。
ドライハーブや八角、クローヴなどのハーブ、スパイス香。そしてやや果皮を強めに感じるダークチェリーや黒すぐりの果実味、薔薇やスミレ。なめし革、獣香。スパイシーさや獣香が主体となっており、かなりクセは強い。
酸味、タンニンともに豊かでややギスギスしたところがある。ラムネの様な風味。果皮や酸味の強いベリーをかじった時の印象。
ただフルーティーなだけではなく、強固なタンニンと確かな骨格を持っている。


生産者: シャトー ド ジャック(メゾン ルイジャド)
銘柄: ムーラン ナヴァン 2010

3500円、WA88-89pt
外観はやや濃い色調のルビー、粘性は中庸。
ブルゴーニュ、コートドールのワインにも迫る偉大なムーランナヴァンだ。ルイジャドの上位ワインに似ている。
正直ガメイと言われなければ気がつかない程果実は凝縮しており
柔らかな紅茶やバニラ。梗のクローヴ、果皮によるスミレ、凝縮したイチゴやブラックチェリーの果実味が感じられる。燻製肉やシナモン、線香やシロップの甘露な風味が感じられる。黄金飴。全体的にルイジャド印が強く感じられる作り。
酸味は柔らかく、タンニンは感じられるが収斂性は高くないように感じられる。
砂糖に漬けた黒系果実の果実味の余韻が残る。


はい、今年のボージョレ ヌーヴォーとクリュ ボージョレを比較してみました。
全く違いますね。当然ボディ、香り、酸、タンニン、全てがクリュが深く力強い。
これにはマセラシオン カルボニックの有無と樽熟成期間、そしてテロワールの違い全てが関わってきています。良質なテロワールを持つフルーリーとACボージョレの新酒だと、やはり条件が違いますし、簡易的な抽出のマセラシオンカルボニックの適用有無もボディ、酸、タンニンの抽出に大きく影響を及ぼしています。まあリリース日ありきの新酒とだと手を加える期間(樽熟成期間)も変わります。
ただカルボニックを採用している時点で長期の樽熟成期間はマイナス要素にしかなりません(タンニン、酸の抽出があまりされないのでボディが生まれず、樽熟成に耐えられない)ので、造りとしては妥当だと思います。
果皮成分はワインの官能成分になりますので、その要素が抽出されない時点で、全くの別物であり、新酒はテロワールの再現に向きません。
故に一般的なボージョレヌーヴォーは「ワインではない」というワイン好きの間で流布されている思考は、至極真っ当というか、まあ理解できる所ではあります。
まあ、ただ、そういう特徴を持ったワインであり、フレッシュさが売りのワインなので、それをやれブルゴーニュやボルドーのグランヴァンと比較するのは野暮ってもんだと思います。正直結構そういう話を聞くので辟易しています。例えばボルドーとブルゴーニュは同列には語らないのに何故ブルゴーニュと新酒を並列で考えるのか。
さて今年のボジョレーはどうだったか。
2012年は不作の年でしたが、今回の2013年は幾分か果実味が落ちていると感じました。見方としては2012年は自然が行った剪定がありましたので、ちゃんと選果を行った生産者は成功していたと思います。2013年は幾分か恵まれた年ではありましたが、翻ってフレッシュな作りになっていました。ヴェレゾンの部分で弱かったのか、比較的強い抽出となるセミカルボニックでもタンニンと酸の抽出は穏やかだったと感じています。
これはこれでフレッシュで美味いですが、単純に出来としては2012かな、と思います。
対して2011年のクリュボージョレもまずまず良い年(ブルゴーニュでいえば一般的な)だったと思いますが、しっかりした体躯の味わいのワインとなっていたと思います。
今回のフルーリーはハーブの香りと黒系果実の風味が感じられました。カチッとまとまった造り。ただ自然派的な部分で、一部ブレタノ系の香りが感じられた(汚染ではないと思いますが...)のが、やや残念な所ではありますが、ガメイの本質を感じられる作りにはなっていたと思いますね。冷涼な作りではありますが、なかなか良く出来ていると思います。
追記ですが、ルイジャドのムーランナヴァンは流石に凄かった。グラン クールのフルーリーもなかなか良かったけれども群を抜いてブルゴーニュのピノノワールに追従する出来だ。ブラインドで利いたらジャドのジュヴレシャンベルタンと間違えるかもしれない。
マロラクティック発酵に起因するミルクやしっかりとした抽出に由縁するスミレなど、樽によるバニラの香りもある。複雑で力強いボディ。そして黒系果実の凝縮した果実味。
ガメイを思わせるキャンディ香はなく、よりコートドールのピノノワールに近い味わいである。唯一ガメイ的だと感じる部分は色調の割にタンニンの抽出が穏やかだという点くらい。(それでもボージョレという枠内で考えると強固ではある)
そもそも醸造方法からしてヌーヴォーとは異なりますし、グランクールのフルーリーとは近代的な醸造が、伝統的な醸造かで大分差異があるように感じられますね。
本来はここに含めていいワインなのかはわかりませんが、ボージョレの可能性の一端ですね。

以上比較してみましたが、やはりワインとしての質は完全にクリュだと思います。そして驚くべきはその値段でたとえば今回のラピエールのヌーヴォー、約3700円で購入しましたが、1000円足せば最上位のモルゴン キュヴェ ラピエールが手に入ります、ただの村名モルゴンなら2000円代で。
いかにヌーヴォーが高いか分かります。
まあお祭りの屋台で売っている高い素人の焼きそばにケチを付けないように、ヌーヴォーもまずは収穫の喜びを楽しもうではありませんか。そしてガメイの本当の姿が気になったら、クリュを飲めば幸せになれるかもしれません。

さて、今年のお祭りも終わったので、残ったラピエールのヌーヴォーを土日で消化していこうと思います。ありがとうございました。



【日本: 2】今年のキザン甲州。

こんにちは、HKOです。
今年もキザンワインの時期がやってまいりました。
毎年大変楽しみにしている甲州です。
たまたま今住んでいる所に販売店があるのですが、あまり手に入らない貴重なワインだと思います。
正直電車に乗って買い付けてもいい位、心地よいワインだと思います。
グランヴァンという訳ではなくて、デイリーワインとして非常に優れた完成度を持っていると思います。


生産者:機山洋酒工業
銘柄: キザンワイン 白 2012
品種:甲州100%

※画像はワイナリーのHPからお借りしています。自宅に帰ったら差し替えます。
約1000円。
やはりしみじみと美味い甲州だ。
外観はやや濃い目のストローイエロー、粘性は低い。
レモンやライチの様な果実味とドライハーブ、ハチミツ、白い花のようなニュアンス。ブルゴーニュやカリフォルニアの様にパワフルではないが、素朴な果実味が感じられる。キザンのシャルドネは樽香が感じられたが、この甲州は樽っぽさはなくシャープな雰囲気が強く感じられる。
口当たりも酸味が豊か。ただ果実味も香りもレモンやハーブの様な雰囲気があり、品種特性の酸味も心地よい。グロサンマンのような雰囲気も感じさせる。


毎日飲んでも飲み飽きない、日本食との神がかり的なマリアージュが楽しめます。川魚の刺身とかとは凄く合うでしょうね。シャープで柑橘系の雰囲気が漂う味わい。
ラベルは垢抜けないですが、個人的にとても気に入っている一本です。

詳しくは生産者のホームページをご覧ください。

楽天に在庫は無い様子..赤はありましたが、飲んだことない...。

【ブルゴーニュ:43】ムルソー、プイィフュイッセ最高の生産者を利く

こんばんわ、HKOです。
先日に引き続きブルゴーニュです。
本日はギュファン エナンとルーロのシャルドネです。

ギュファン エナンはプイィ フュイッセに拠点を置く、マコネ地域のトップドメーヌ。
現在はジャン マリー ギュファンがドメーヌの指揮を取っています。
畑はラ ロッシュ、レ クル、レ クレ、ル シャヴィーニュという区画を保有しています。
栽培はミッシェル ポットヴァン製の堆肥を使用、科学的な除草剤や堆肥は使用していない。醸造ではフリーラン ジュースとプルミエール タイユのみで造られています。
今回のトリ デ ゾー ド ヴィーニュはギュファン エナン最上の畑のクロ デ プティ クルーの収穫日を10日遅らせ完全に成熟している状態での葡萄を使用した最上のキュヴェになります。

ドメーヌ ルーロは1830年にムルソーに設立されたドメーヌ。現在はギィの息子であるジャン マルクが指揮を取っています。国内ではあまり有名ではありませんが、世界的にはコント ラフォン、コシュデュリに次ぐ評価を得ています。栽培は有機農法で、醸造における新樽比率は大体25%程度、旧樽も併用します。ムルソー一級畑を中心に畑名入り村名格ワインも生産しています。フラッグシップはムルソー ペリエール。価格は高め。



生産者: ギュファン エナン
銘柄: プイィフュイッセ トリ デ ゾー ド ヴィーニュ 2011
品種: シャルドネ100%

11000円、94pt(2002)
外観は明るいストローイエロー、粘性は高い。
素晴らしいシャルドネだ、本当にプイィフュイッセは恐ろしい。まるでシャサーニュモンラッシェだ。香りからして果実味が豊か。マロラクティック発酵はしていないと思う。
ヘーゼルナッツの香りが強く、比較的樽がしっかり効いている。そしてカリンや洋梨の熟した果実味、フレッシュハーブ、白い花のねっとりとした蜜の香りが渾然一体となって立ち上がってくる。
口当たりはよく熟したソーヴィニヨンブランを想起、フレッシュで酸が際立ちつつ赤リンゴや柑橘系の余韻を強く残していく。シャープでありながら核種系の蜜の甘さを十分に感じさせてくれる。
とても清涼感がありながら、しっかりした熟度がありとても心地よい。


生産者: ギィ ルーロ
銘柄: ムルソー プルミエクリュ クロ ド ブシェール 2011
品種: シャルドネ100%

約21000円、94pt(2009)
外観はほのかに色づいたストローイエロー、粘性は高い。
メチャクチャ硬い、石油やゴムの様な強烈なミネラルで果実味に蓋がされている。
入念にスワリングし状態を見ながらテイスティングを行った。それでも十分なミネラル感を有している。カリンやレモンのシャープな果実味、エシレバターや、フレッシュハーブ、白胡椒、ローストナッツ、シャンピニオン、リコリスなど。
基本的に樽とミネラルが前面に出ている、オイリーでミネラリー。まだまだ開く様子は全くなさそうだ。
かなり強い酸味を有しているが、口に含むとその莫大な果実味に驚かされる。瑞々しいライチや赤リンゴなどのフレッシュなフルーツが感じられる。そして埒外の厚みを持つ強靭なボディ。完全なヴァン ド ガルド。
まだまだ飲めそうもない味わいのシャルドネだ。


さて、ブルゴーニュのシャルドネです。
いやいや、赤に続いて全くもって素晴らしい。マコネー地区は幾らプイィフュイッセが素晴らしいシャルドネを生み出す土地であれ、どこかブルゴーニュのムルソー、ピュリニー、シャサーニュ、コルトンを超えるシャルドネを生み出せるとは思っていなかったのですが、全然そんなことなかったですね。シャトー ド フュイッセ、ドメーヌ ヴァレット同様ブルゴーニュの畑に匹敵する味わいです。まずはそんなギュファン エナンから。
い。
香りだけで言うと、まるでシャサーニュモンラッシェ。香りから感じ取れる果実味もさる事ながら贅沢に使用した樽に起因するヘーゼルナッツの風味、カリンや洋梨の熟した果実味。蜜の香りが一気に押し寄せてくる。
コート ド ボーヌのグランヴァン然とした香りとは裏腹に、熟したソーヴィニヨンブランの様なフレッシュで酸が際立ちつつ赤リンゴや柑橘系の余韻が感じられます。ステンレスタンク醸造によるシャープな酸はマコネーの特徴ではあるのですが、そもそも果実味の含有量が違うし、香りもボリューミーなので全くの別物感、別格感がある。
味わいや香りを個別に見ると上位キュヴェのスタンダードなのですが、全体で見ると特異な味わいだと思います。
シャトーフュイッセの熟成シャンパーニュの様なル クロ、ムルソーの様なレ ブリュレ、ピュリニーの様なヴィエイユヴィーニュ、ヴァレットのムルソーとピュリニーの間を行くようなクロ レジェ。
多種多様なシャルドネが作られる恵まれた土壌も存在することが良く分かります。あと決まったイメージが無いから自由に作れるってのもあるんでしょうけどね。突出したシャルドネでした。その分お値段は張りますが。
次、ルーロ。
散々プイィフュイッセと比較しましたが、持ちうるポテンシャルはルーロを代表する単一一級畑、クロ ド ブシェールが上でしょう。
まず出会い頭に群を抜いた石油の様なミネラル、ナッティーな樽香が強烈なインパクトを与えます。硬い、硬すぎる。ラフォンもコシュ デュリも若いヴィンテージを飲む時はべらぼうなミネラルに驚きますが、これは更にその上を行く。ひょっとしたらフラッグシップのペリエールよりもミネラリーかもしれない。ミネラルがありすぎて、酸が経ちすぎて辛い。まったくもって不親切なワイン。
ただ奥に見え隠れする果実味や樽香、ボディを形成する強固なを鑑みると、こりゃあ開いたら、熟成したら凄いぞ、と。
現段階ではとても美味しく飲めるようなワインではなく、今時珍しい位のヴァンドガルドですが、流石にルーロ。先を見ると伸び代がありすぎる。
きっとこの樽、酸、ミネラルが徐々に溶け込んで、形成された官能的な味わいと熟成による複雑さをバランス良く持てるワインになるんではないかな、と思います。
そういう意味ではこちらも相当なグランヴァンですね。ひょっとしたらラフォンも超えるのではないかと。
あくまで可能性で評価していますので、現段階で飲むべきものではありません。っていうか今飲んでも全然美味しくないです。
ただブルゴーニュワインの本懐として無くてはならないスタイルのワインだと思います。

以上、ブルゴーニュシャルドネのレポートでした。


【ブルゴーニュ:42】2011年、ドニモルテとロベールシリュグを利く


こんにちは、HKOです。
今回は久々に最近控えめになったブルゴーニュレポートです。
特に熱意が消えたわけではないのですが、極端に値段が上がっているので、手が出しにくくて...
本日はドニ モルテのラヴォーサンジャック、オー ボー ブリュン。そしてシリュグのプティ モンでございます。

ロベールシリュグは1960年創業の小規模ドメーヌ。某コミックで偉大なワインとしてグランエシェゾーが紹介されていましたが、まあ、今ではちっとも手に入りません。元からレアですが...
今回はプティモンです。
平均樹齢は45年。栽培はリュットレゾネで行われ、収穫はすべて手作業。収穫後の果実は100%除梗を行った上で、30℃から32℃の温度に維持したまま、ステンレスタンクによる発酵が行われる。プティモンは新樽比率50%で18~20ヶ月熟成される。熟成中の澱引きは2回程度。無濾過、無清張で瓶詰めされる。フラッグシップは前述の通り、グランエシェゾー。

ドメーヌ ドニ モルテは93年から類を見ないほどの豪華さと重量感のあるジュヴレシャンベルタンで評判を上げた。
しかしながら故ドニモルテ本人はフィネスとエレガンスを追及したかった様で、現在ドメーヌの指揮を執る息子のアルノーモルテはそうした父親の意思を受け継ぎ、エレガントな方向性を追及しています。そのため一時期の豪華さ、重量感はやや落ち着いているみたいですね。
栽培は有機農法、1万本/haの密植、グリーンハーヴェストによる収量制限を行う。樹齢はACジュヴレシャンベルタン 20~50年、一級ラヴォーサンジャックは80年の古木を使用。
酸が落ちない様に早めの収穫を行い、補糖でアルコール度数の強化を行う。
除梗100%、ACジュヴレシャンベルタン新樽率50%、プルミエクリュ以上は恐らく100%?フラッグシップは特級シャンベルタン、特級クロ ヴージョ。

さて、ではいってみましょう。


生産者: ロベール シリュグ
銘柄: ヴォーヌ ロマネ プルミエクリュ レ プティ モン 2011

11000円。
外観は明るいルビーで粘性は中庸。
2011としては果実味が非常に濃密で、程よい樽の香りを纏っている。かつしなやか。
素晴らしいヴォーヌロマネだ。
スミレの華やかなニュアンス、ラズベリーやアメリカンチェリーのコンポート、なめし革、松の樹皮やヒノキの樽香が中心となり、シナモン、クローヴ、徐々にワッフルやバニラの様な風味が感じられる。樽の焼き加減は強くないみたい。
タンニンは柔らかく、酸も厚みがあるが毛羽立った風味ではない。なめらかで瑞々しくしなやかな味わい。口の中で樹木やイチゴ、ベリーの香りが広がっていく。非常に綺麗なワイン。よくまとまっている。


生産者: ドニ モルテ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ オー ボー ブリュン 2011

20000円、WA91pt(2009)
外観はジュヴレと比べてやや薄めのルビーだが、濃いと思う。粘性は高い。
明らかにラヴォーサンジャックと比べると瑞々しい香り。抽出や樽を少し弱くしているのか。コーヒーの香りは控えめに、より果実味が強く前に出ている。それでも黒系果実を感じるのはスタイルゆえか。
強いスミレの香り、バニラを感じさせる樽香。ダークチェリー、プラムの瑞々しい果実味、ロースト香と結合したフルーツケーキの様な甘露さが中心となり、燻製肉、シナモンなど。
シャンボールらしくドニモルテの中ではかなり瑞々しい味わい。樽はしっかり効いているし、他のシャンボールと比べるとかなり体躯は強いが。
酸味、タンニンは非常に柔らかい。滑らか。
口の中で熟したベリーやロースト香が広がる。


生産者: ドニ モルテ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ ラヴォー サン ジャック 2011

20000円、WA92-94pt(2009)
外観は濃いルビーで粘性は高い。
2011年としてはこちらもしっかりした出来。抽出と樽が強く効いており香りはかなり力強い。
トーストやコーヒーの様な樽香。八角の甘露なスパイシーさ。ブラックベリーやプルーン濃密な黒系果実。シナモンや赤い花の蜜の香りを主体として、生肉やスミレ、バニラのニュアンスが追随してくる。クローヴの風味も感じられる。
タンニンも強めだが、どちらかといえば酸味が際立っている様に感じる。口の中で樽香と果実味が合わさって焼きたてのフルーツケーキの様な風味が口内に広がっていく。
2011年としてはしっかりとした骨格も果実味もあり、成功したワインと言えるのではないか。ただ2010年と比べると、やや弱い。


ううむー2011年のシリュグ、ドニ モルテ、両方ともかなりいけてますねー。美味しいです。2010年ほどの果実味はありませんが、十分に果実味を有していますね。
まずシリュグから。
2010年のプティモンは甘露でありながら黒系果実のニュアンスと樽香が強く、明らかな長熟スタイルでしたが、2011年ヴィンテージは幾分か瑞々しい印象を受けました。
赤系果実のコンポートやスミレのニュアンス、程よく効いた樽香。2010年ヴィンテージで前に出ていた樽と果皮のニュアンスが穏やかになり、よりコンポートの様な果実味と花の香りが前に出ています。それでいて樽もしっかりと存在感がある。
性質としては明らかなヴォーヌロマネのスタイルで、よりテロワールを尊重していると思います。2010年は香りで言えばジュヴレシャンベルタンにも思えましたので。
ただもう一方で酸が立っており2011年ならではの特徴も出ています。良し悪しは別として2010年ほどの熟成はしないと思います。どちらが偉大かといえば、2010年でしょうね。それでもここまでの果実味が出たのは、ひとえに肉厚なワインを作るプティモンのテロワールによるものだと思います。

次にドニモルテ。
まずジュヴレシャンベルタンから。
09年からの一級畑を見ていくと今回の2011年は2010年を僅かにグレードダウンさせたような味わいだと思います。
2011年の特徴としては果実味は十分にあり、それに09年、10年に比べると常識的な樽香(トースト、コーヒー)、果皮成分に由来する華やかさがあり、フルーツケーキの様なニュアンスを感じさせます。果実味の出方は2010に近い。比較的均整が取れている印象。2010年は2011年より強い果実味があり、しっかりした樽香と結合してチョコレートやモカの様なニュアンス、ダークチェリーやプルーンなどの黒系の果実の風味、2009年は膨大な果実味がありながら膨大な樽のニュアンスを付加させており、抽出も強いため2010、2011年と比べるとややキャッチーさに欠け長期の熟成が必要となるワインでした。
従って2011年のドニモルテのジュヴレシャンベルタンは十分に良い出来であり、飲みやすいワインに仕上がっていると思います。
ドニモルテ自体が強い抽出、樽香、果実味を持つのでそれなりに熟成も期待できます。もちろん群を抜いている2009年と比べたら短いでしょうが。
テロワールの差異もありますが、概ね方向性は間違っていないと思います。こ ひょっとしたらラヴォーサンジャックだからこそよく出来たのかもしれませんが。ちなみに2009年は1級シャンポー、2010年は1級混醸を参考にしています。
次にシャンボールミュジニー。球数が少なく(かといって引き合いが強い訳ではないのですが)なかなか飲めませんでした。何せジュヴレシャンベルタンの生産者が作るシャンボールなので、ちょっとレアです。
一級のオー ボー ブリュンはマイナーな一級畑でポテンシャルとしてもそこまで高くはありません、ただ当然、どの畑でもそうなんですが生産者によって化けます。
ジュヴレシャンベルタンの様な強い樽、抽出を行わず、それらを控えることで繊細なシャンボールのテロワールを表現している。外観からしてジュヴレシャンベルタンより薄い。そして果実味はより瑞々しく、樽の香りもコーヒーというよりバニラ。多分ローストが弱めだからでしょう。
ただあくまでドニモルテのワインの中において。シャンボールというテロワール目線で見ると、かなり色調濃い方ですし、併せて抽出も強めではあります。キャンディ香はなく、黒系のフレッシュフルーツ、スミレの香り。
あくまでジュヴレシャンベルタンの生産者が作ったシャンボールミュジニー。しっかりとした体躯があります。
グロフィエやヴォギュエが好きでドニモルテのシャンボールを飲んだら、やや力強すぎると感じるかもしれませんね。

以上。
ブルゴーニュはやっぱり深いなー、全然理解できた気にならない。
美味いかっつったら美味いですよ。2009年のドニモルテをリリース当時に飲むより全然いいと思います。シリュグも2010より2011の方が好きかもだ。



【カリフォルニア:15】カリフォルニアとワシントンの最高峰カベルネソーヴィニヨンを利く


こんにちは、HKOです。
カリフォルニアレポートの最後はカベルネソーヴィニヨン主体の2本です。
ひとつはシェーファーのヒルサイドセレクト、そしてカリフォルニアでは無いですがアメリカを代表するクィルシーダクリークのカベルネソーヴィニヨン。

どちらも大変素晴らしいワインでした。
ここまでの出来のものを目の前にしては、もうなんとも言えませんね。同一生産者であれば比較もできるでしょうが、いずれも強烈な美味さを感じる2本でした。最高。

1973年に設立されたシェーファーはナパヴァレースタッグスリーブ地区に拠点を置くカリフォルニアカルト。現在はダグ シェーファーが指揮を取っています。作付面積は赤で50ha、白はカーネロス地区で33ha。
今回のヒルサイドセレクトはスタッグスリープのヒルサイドエステート ヴィンヤード最良の5区画から取れた厳選した葡萄を使用している。サスティナブル農法によって栽培、醸造された葡萄はトロンセとアリエのフレンチオーク100%新樽で32ヶ月間の熟成されます。
フラッグシップはパーカーポイント100点を獲得したヒルサイドセレクト、カリフォルニアを代表するカルトワインです。

クィルシーダクリークはワシントンワインの第一人者アレックス ガリツィンが監修する、ワシントン最上の生産者。
別名ワシントンのハーランエステート。
1979年に本格的にリリースをスタートした。カリフォルニアやオレゴン州の北、シアトルの北方スノーボッシュにワイナリーがある。ワシントン州コロンビアヴァレー地区のシャンプー、レッドマウンテンA.V.Aのクリプスン、シエル デュ シュヴァル、タプティユのカベルネソーヴィニヨンを使用。フレンチオーク新樽100%の22ヶ月熟成にてリリースされる。

では、いってみましょう。


生産者:シェーファー
銘柄: ヒルサイド セレクト カベルネソーヴィニヨン 2008
品種: カベルネソーヴィニヨン 100%

約31500円、WA97-99pt
外観は濃いガーネットで粘性は非常に高い。
相変わらず濃厚で高密度の引き締まった味わい。シャトーラトゥールの様な堅牢さがあるが、直感的な甘露さはいかにもカリフォルニアと言った感じ。熟したカシスやブラックベリーの豊かな果実味、濡れた土や西洋杉、糖蜜やコーヒーの強いロースト香、キャラメル。リコリス、燻製肉の様な野生的なニュアンスも。僅かに梗の香り。
2010年や2009年の過熟したボルドーの様な風味。タンニンは無論強いが、比較的酸も綺麗に出ている印象。西洋杉とカシスの風味が綺麗に鼻に抜けて行く。素晴らしい。


生産者: クイルシーダ クリーク
銘柄: コロンビアバレー カベルネソーヴィニヨン 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン100%

約26250円、WA99-100pt(2009)
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
豊かなミント、糖蜜をかけたワッフル、キャラメル、西洋杉の香りが立ち上がる。
濃厚なカシス、ブラックベリーの果実味、薔薇やタバコ、なめし革や燻製肉。黒檀。リコリス、マホガニーなどのハーブや土の香りも感じられる。
強烈な果実味が押し寄せるシェーファーに対して、より繊細で様々な要素を感じさせる味わい。酸やタンニンはしっかりしているが、きめ細やかで口当たりにザラつきはない。カシス、リコリスの余韻が長く広がっていく。


いや、どちらも大変素晴らしかったです。
両方とも濃密で凝縮感のある味わいでした。
まずシェーファーですが、基本骨子はやはりカベルネ主体といった感じで、カシス、ブラックベリーの濃厚な果実味があり、そしてかなり強く樽が利いています。キャラメルやコーヒーの香りがとても香ばしく、それでいて西洋杉やアーシーなニュアンス。シャトーラトゥールが如き堅牢さを感じる素晴らしいカベルネでした。2007年と比べると、アーシーさや果実味が控えめかと思いますが、基本的には例年通りカリフォルニア最上クラスのカベルネソーヴィニヨンを作っていると思います。
次にクイルシーダ クリーク。
こちらも基本的には濃厚で果実味に溢れたカベルネソーヴィニヨンですが、やや樽の利き方が柔らかいからか、よりカシスやブラックベリーの瑞々しさであるとか甘露さが明確に現れています。そして樽と果実味が主体となっていたシェーファーと比較して、含有する多くの要素がとても調和が取れていて複雑な骨格を形成しています。スタイルの違いなので良し悪しではないですが、よりこちらのほうが要素を解きほぐすのに骨がいるワインでした。キャッチーな作りではあるのですが...ちなみにボルドー的な要素はあまりないですね。
シェーファーがカリフォルニアの王道的なカベルネソーヴィニヨンだとしたら、クイルシーダ クリークはアメリカンでありつつ、より鮮明で複雑、瑞々しい味わいだと感じます。
両方とも非常に素晴らしかったです。

コスト比較でいうと、そこまで際立ってお得というわけではないのですが、間違いなく偉大なワインだと思います。


【カリフォルニア:14】カリフォルニア最高峰のピノノワール3種を利く


こんにちは、HKOです。
本日はカリフォルニアのピノノワールです。
新進気鋭の生産者であるレディオコトー、そして貴重なイガイタカハ、キスラー ピノノワールの上位キュヴェであるキャサリンです。
カリピノといえばどっしりした体躯で凝縮した果実味のあるワインの印象が強いですが、現実は複雑さやミネラル感を保有しているワインが上位キュヴェには多く見られます。今回はさらに輪をかけてエレガントで繊細な3本です。ともすればブルゴーニュより繊細かもしれません。
シャルドネ同様カリフォルニアの多種多様なスタイルの一端として、非常に勉強になりました。


レディオ コトーは2002年にニューヨーク出身で、ジャックプリウールやコントアルマンで修行を積んだエリック サスマンによって設立されたワイナリー。
葡萄はルシアンリヴァー ヴァレー、ソノマコースト、アンダーソン ヴァレーから購入している。今回のネブリーナはソノマ コーストはホールバーグ ランチとオキシデンタルの丘陵地帯(キスラーのキャスリンと一緒ですね)から造られるピノ・ノワールの混醸。醸造は90%除梗の後、自然酵母によるアルコール発酵およびマロラクティック発酵をフレンチオークにて行い、新樽比率35%で熟成される。無濾過、無清澄で瓶詰めされる。

シャトー イガイ タカハは、CWFC主宰の杉本隆英氏がプロデュースしたワイン。醸造は2005年にクラッシュパッド社が行い、現在はブリュワークリプトン、ダイアトム、タコ、パルミナ、トランセンデンス、ワインファウンドリーによって行われています。ファーストヴィンテージは2005年。
カリフォルニアの銘畑を使用した小ロット生産。それぞれのワインには家族の名前に由来した名前がついている。
今回のピノノワール「園」は美代子さんの旧姓からの1文字。生産本数はわずか580本。
ブリュワークリフトンのグレッグ ブリュワーによる一本。

キスラーは1978年にルシアンリヴァーヴァレーに設立されたカリフォルニア最高峰のシャルドネを産出する生産者。収量を抑え、丁寧な栽培を行った樹齢の高いシャルドネやピノノワールは収穫後選果され、それぞれのキュヴェに回される。
キャスリーン、キャサリン共に新樽比率は100%で熟成され無濾過、無清澄で瓶詰めが行われる。マロラクティック発酵は完全に行われる。キャサリンはオキシデンタル ステーション ヴィンヤードのピノノワール100%。フラックシップはキュヴェ キャスリーン(Ch100%)、キュヴェ エリザベス(PN100%)。

では、いってみましょう。


生産者: レディオ コトー
銘柄: ラ ネブリナ ピノノワール 2011
品種: ピノノワール100%

約8000円、WA90-92pt(2009)
外観は濃いルビー、粘性は高い。
凝縮感があり、シャープで瑞々しいピノノワール。カリピノの濃厚さはあまりなく、抽出はやや強め。どちらかというとニュージーピノ寄りか。
果皮の厚いブルーベリー、ダークチェリーの強い果実味、梗の風味がやや強く感じられる。穀物や、なめし革の野生的な香り、松の樹皮、クローヴなどの森の香り。
酸味はやや強めでタンニンは柔らかい。
黒系ベリーの余韻が残り、広がっていく。イガイ タカハとスタイルは近く、雨上がりの森を想起させる味わい。


生産者: シャトー イガイ タカハ
銘柄: ピノノワール 園 2011

約8700円。
外観は濃いルビーで粘性は中庸。
何処か日本的な(例えばドメーヌタカヒコの様な)風味を感じさせる、とても面白いピノノワール。ただ密度や凝縮度は非常に高く、果実味も国産ピノノワールと比べると、しっかりしている。ここはカリフォルニアならではか。
クローヴやスパイス、ブルーベリーや紫スモモの様な果皮を強く感じさせる味わい、枯葉や黒オリーブ、スミレ。生肉やローズヒップ。徐々に赤系の果実味が感じられる様になってくる。焼いた藁の香りも。
酸味はやや際立っており旨味がとても豊か。
スミレ、茎、クランベリーの余韻が口の中に広がっていく。シャープで妖艶な凝縮感がある。


生産者: キスラー
銘柄: ピノ ノワール オクシデンタル ステーション ヴィンヤード キュヴェ キャサリン 2010

約37000円、WA95-98pt(2009)
外観は濃いルビーで粘性は高い。
カリフォルニアとしては珍しいシャンボールミュジニーの様な冷涼で繊細な風味を感じさせる味わい。カリピノ的ではなくブルゴーニュ的な印象を強く残す。凝縮感もあるし、果実味もしっかりと感じられる。
ミントや焦がしたワッフル、ラズベリーやクランベリーのジャム。紅茶。ドライハーブや生肉やなめし革、スミレの華やかな香りが強い。やや茎っぽさ、ヴァニラ。松の樹皮など。とても複雑で凝縮感がある風味。強めの抽出を行っているのだろうか。
酸味は豊かで、とても凝縮感のある旨味と香りがある。広がるような繊細かつ華やかな味わい。余韻は長い。


まず、全体の所感から。
今回の3本にはいわゆる濃厚な果実味に富んだカリピノ的なものはありません。
いずれも瑞々しく、自然な果実の甘さや華やかさが表現されたものばかりだと思います。
ニュージーランドのピノなんかと比べると、やや抽出が強めではあるのだが。

まずネブリーナ。
冷涼な気候で作られた葡萄をしっかり抽出して華やかさを演出している。ともすればドライ。無理に例えるならばジュヴレシャンベルタン。堅牢な体躯がありながら冷たい印象を受けるリュショットなどに近いと思う。
果皮の香りが強く出た黒系ベリーと梗に由縁するスパイシーな味わい。なめし革、松の樹皮など。全体的に構成する要素がギュッと引き締まっている。10%のみの梗の香りがしっかり出ているのは結構不思議な感じですね。
次はイガイ タカハのピノノワール。
日本人の方が作るピノノワールってなんでこんなに生産量が少ないのか...美味しくてもなかなか手に入らないのは切ない。
とてもエレガントで滑らかなピノノワールで、国内で作る最上のピノノワールにボディを付加させたような味わい。スパイスやハーブ、黒系果実の果皮の華やかさを併せ持っている。抽出も国産ピノと比べるとかなり強めではあるものの、カリピノと比較すると、かなりエレガントなタッチに感じます。その分酸味が際立っており、シャープな印象を受けます。
最後キスラーのピノノワール最高峰のキャサリン(最上位はエリザベス)。
非常に毎度高評価のピノではあるのですが、キスラーのピノノワールにはあまり良い印象はありません。今回のキャサリンも出来は素晴らしいものの、キャスリーン同様価格に見合うものがといえば、個人的には微妙だと思っています。一言で言うととてもシャンボールミュジニー的な印象を受ける、どっしりとしたボディではなく目が細かく高密度、それでいて繊細な作り。
ハーブやジャミーな赤系果実、紅茶、スミレなどの風味が感じられる。樽のローストは中庸で過剰なわけではなく、均整の取れたバランス感の良いピノノワールではあると思う。
ただインパクトで言うのであれば、ブルゴーニュやカリフォルニアのピノノワールと比べると、どこか小ぶりにまとまっており、シャンボール的とはいえミネラル感に劣るし、果実味では言わずもがなカリピノに劣っている。器用貧乏な作りだな、と思う。決定的な欠点は無いが、明確な個性も無いピノノワール。これだけ綺麗にまとめられるのも素晴らしいけれども、個人的にはもっと規模感の大きいピノノワールを期待したかった。
まぁ、ただ2010年のキスラーは今ひとつという話もあるので、今後も要検討ですね。
2011年のシャルドネはとても良かったので。



【カリフォルニア:13】カリフォルニア最高峰のシャルドネ3本を利く


こんにちは、HKOです。
今回はカリフォルニアの最高のシャルドネたちです。
それぞれスタイルの違うシャルドネで、カリフォルニアの多様性を感じさせてくれる3本です。
キスラーのキャスリーン、オーベールのリッチーヴィンヤード、モンテレーナのシャルドネの3本。いずれも素晴らしいシャルドネでした。...コストを考えなければね...


シャトーモンテリーナは1882年、ナパヴァレーに設立された老舗ワイナリーで1972年にジム バレットが買収してから目覚ましい功績を残しています。中でも有名なのが76年パリテイスティングでルーロのムルソーシャルム、ジョセフドルーアンのクロ ド ムーシュ、ラモネのバタールモンラッシェを抑えて白部門でトップに選ばれた伝説的なシャルドネを作ったことが有名です。
ナパヴァレーのシャルドネとしてはマロラクティック発酵は行わずステンレスタンクにて発酵。新樽は15%以下に押さえて熟成させるスタイル。そのスタイルはシャブリにも似通っていると言われています。(個人的には果実味的にシャサーニュかな、と思いますが)

キスラーは1978年にルシアンリヴァーヴァレーに設立されたカリフォルニア最高峰のシャルドネを産出する生産者。収量を抑え、丁寧な栽培を行った樹齢の高いシャルドネやピノノワールは収穫後選果され、それぞれのキュヴェに回される。
キャスリーン、キャサリン共に新樽比率は100%で熟成され無濾過、無清澄で瓶詰めが行われる。マロラクティック発酵は完全に行われる。フラックシップはキュヴェ キャスリーン(Ch100%)、キュヴェ エリザベス(PN100%)。
オーベールはピーターマイケル、コルギンなどの醸造コンサルタントを務めたマーク オーベール夫妻によって設立されたワイナリー。ソノマでシャルドネとピノノワールをメインに生産しています。 (ちなみにあの気難しいヘレンターリーのアシスタントも務めていたとのこと!)日本への輸入は2010年が初。今回のリッチーヴィンヤードは樹齢36年のシャルドネを使用しており、発酵は4ヶ月程度、フレンチオーク新樽で14ヶ月の熟成。おそらく新樽比率は100%でフルマロラクティック。

ではいってみましょう。

生産者: シャトー モンテリーナ
銘柄: シャルドネ 2010
品種:シャルドネ100%

約8000円、WA89pt(2009)
外観はやや濃い目のストローイエローで、粘性は高め。
マロラクティック発酵を行っていないと思えないリッチな果実味。キスラーをもう少しシャープにした様な味わい。
豊かなミネラル感、フレッシュハーブや白い花の蜜、ライチや洋梨の様な果実味が感じられる。そしてヘーゼルナッツや白檀のニュアンスが感じられる。
果実味が豊かで樽も程よく効いているので、マロラクティック発酵なしのシャープさを見事に受け止めている様に感じる。
酸味はシャープで口当たりにもしっかりとしたミネラル感がある。ライチやレモンなどの酸味を強く感じる味わいがある。
グレートヴィンテージのブルゴーニュにも似ている部分がある。


生産者: オーベール
銘柄: シャルドネ リッチーヴィンヤード 2011
品種:シャルドネ100%

約17000円、WA94-96pt(2009)
外観はやや濃い目の澄んだストローイエロー、粘性は高く、とろみがある。
埒外の果実味豊かさ、極めて豊満な熟したシャルドネ。カリフォルニアの日差しを感じさせる過熟感がある。それでいてミネラル感や酸味もしっかりと有している。
熟したパイナップルやカリン、パッションフルーツなどの果実味、そしてねっとりとした核種系の蜜、バタースコッチ、そして白い花の香りを主体として、ドライハーブ、ヨーグルト、ヘーゼルナッツなどの風味が強く感じられる。
酸味は繊細できめ細やか。バニラとモカ、黒砂糖の豊満な余韻が広がっていく。濃厚でありながら複雑。クリーミーかつ高密度。
突出したシャルドネだ。


生産者: キスラー
銘柄: キスラーヴィンヤード キュヴェ キャスリーン 2010
品種:シャルドネ100%

約30000円、WA94pt
外観は中庸なストローイエロー、粘性は高い。
ノワゼッティエールや単一畑のシャルドネはそこそこボリューミーかつしっかりとした酸をもった素晴らしいシャルドネだったが、ちょっと様子が違う。
よりブルゴーニュらしい作りのシャルドネ。醸し出す雰囲気はカリフォルニアなのだが、酸味の出方がそっくりだ。ミネラル感は強く感じない。
ドライハーブ、杏仁豆腐、ロイヤルミルクティーのエレガントな風味。そして白い花、カリン、マンゴーの柔らかい果実味。僅かに火打石の様なニュアンス。焦がしたバタースコッチ、リコリス、ヘーゼルナッツなど。
ややオーベールと比べるとやや酸が際立っており、果実味についても控えめである。
エレガントと表現すべきか。ただキスラーに望んでいるシャルドネの方向性とはちょっと逸れている。核種系の蜜や白い花、マンゴーの果実味が舌を抜ける。ふくよかな部分はありながら、バランスが良くしっかりと凝縮している。


今回のキスラーはシャルドネのフラッグシップ、キュヴェ キャスリーン。
ノワゼッティエール、ストーンフラットヴィンヤードと幾つかのシャルドネを飲んでいるが、今年のキスラーはちょっと果実味が控えめかな、と思う。
それを活かしてか、非常にブルゴーニュ的にまとめているのだけど、それにしたってミネラル感が不足している。バランスは良い、それは間違いないのだけど、いささか看板に対して拍子抜けしてしまう味わい。
カリフォルニアらしい果実味はしっかりとあり、まとめ方はブルゴーニュ的。果実味、ミネラルが少なくて、(カリフォルニアとしては)酸がやや強め。
徐々に甘露さも現れてくるものの、オーベールのリッチーヴィンヤードと比べると不足感が否めない。マックレアヴィンヤードも同一ヴィンテージだったが、確かに以前のレビューを見るといきなり全力ではなく、徐々に甘露さを増していて、ハーブの香りが主体となっていたようだ。
パーカーポイントも2009年と打って変わって2010年のキスラーには、やや辛めの点数を付けているが、つまりそういうことなんだろうと。ちなみに09のストーンフラットは2010キャスリーンより93-95pt高いポイント。
別に点数で見てるわけじゃないんだけども、このスタイルから見ると当然かなあ、30000円台と言い張るのはやや厳しいと思います。
次にオーベール。
これがまこと素晴らしい!本職はピノノワールですが、シャルドネでここまでのものが出来るとは!カリフォルニアらしいシャルドネのほぼ最高レベルといっても良いのではないか。濃厚でねっとりとした過熟した南国フルーツの味わい。でもしっかりと酸味も保有している。添えるように白い花やバタースコッチの風味。パワフルなボディによって誤解しそうだけども、意外と精緻な作りだと思う。
クリーミーなシャルドネだ。
キスラーの最高のヴィンテージはミネラル、酸、果実味が一体化している(最高のブルゴーニュの)お手本の様な味わいでしたが、こちらは完全に果実味突出型のワイン。ブルゴーニュで言えばムルソーだけど、それでもここまで果実味と樽がしっかり効いているわけではない。リッチなシャルドネの最高峰だ。
最後はシャトー モンテリーナ。
パリテイスティングの主役ともなったワインですが、とんと話を聞きません、何故でしょうか。わかりませんが、品質は流石の一言。
ノンマロラクティックによる酸のシャープネス、それでいて果実の熟度は高く樽も程よく効いているので、切れ味の鋭いシャブリや寒冷地のシャルドネの様なスタイルにはなっていない。十分に熟した味わいが感じられるバランス重視の味わい。クリーミーな風味はありませんが、ボディがしっかりしたワインだと思います。たしかにこれなら70年代の微妙なブルゴーニュには余裕で評価は上回るでしょう。

これらを見る限り、カリフォルニアのシャルドネを見ても、かなり生産者に違いがあることがわかります。
実は私としては、違いを生み出している第一要因はテロワールではなく、その醸造スタイルがかなり大きいと思っています。
もし、テロワールが上回るならナパにあるモンテレーナがより過熟し、ソノマのオーベールはよりミネラリーになるはずなので。
ブルゴーニュでも醸造スタイルによる違いが違いを生み出す最も大きな要因ですが、カリフォルニアも例外ではないと。
今回のテイスティングを通してより強く実感した次第でございます。



【イタリア:3】ネッビオーロ最終決戦!ブルーノジャコーザとエリオ グラッソのバローロ単一畑を利く



こんにちは、HKOです。
家庭の事情でしばらく更新が滞っておりました。すみません。
今回はピエモンテのバローロとバルバレスコの古典派とモダンを飲み比べてみました。
そういえば、このブログの第一回もモダンスタイルと古典派スタイルの比較でしたね。
バローロ カンヌビ ボスキスとバローロ チカラ。そちらの方も是非ご覧下さい。
さて、今回は古典派からはブルーノジャコーザとプロデュトゥーリ デル バルバレスコ。モダン派からはエリオ グラッソです。
ともにピエモンテでは最高峰の生産者です。

プロデュットーリ デル バルバレスコはピエモンテに拠点を構える世界最高峰のクオリティのネッビオーロを生み出す協同組合(所属組合員は56人)。バルバレスコの中でも最高の区画を所有し、特にレゼルヴァ...アジリ、オヴェロ、モンテフィコ、モッカガッタ、モンテステファノ、リオ ソルド、ラバヤ、ポラといった9つの単一畑バルバレスコは世界的にも高い評価を受けています。
栽培は契約農家(組合員)によるもので、栽培、醸造方法は不明ですが、伝統的な方式で行われていると推測されます。(味わいの方向性的にそんな感じです。)

エリオ グラッソはモダンなスタイルを旨とする伝統的古典派バローロと対になるバローロ ボーイズのひとり。3種類生産されるバローロの中でもルンコトはその最高峰。1995年から良年しか生産されないキュヴェ。2001年、2004年にも生産されており、特に2004年はリゼルヴァも存在する。
ヴァンダンジュ ヴェールトによる厳格な収量制限、ヴァンダンジュタルティヴに手摘みにて収穫し、凝縮感のある葡萄を収穫する。
フレンチバリックの新樽100%で45日間のマセラシオンと、36ヶ月の熟成し、8~10ヶ月間瓶熟の後出荷される。

ブルーノ ジャコーザはピエモンテ ランゲ地区に拠点を構える、古典派バローロ、古典派バルバレスコ最上の生産者のひとり。現在の当主は4代目のブルーノ。1961年がブルーノ ジャコーザとしての初ヴィンテージとなります。
現在は初契約農家から購入した葡萄を使用するカーサ ヴィニコラ ブルーノ ジャコーザ、そして自社畑から産出された葡萄を使用するファレット ディ ブルーノ ジャコーザの二つのラインが存在します
バルバレスコ アジリ、バローロ ロッケ デル ファレット、そのレゼルヴァは自社畑から、バルバレスコ サント ステファノは契約畑から作られているフラッグシップで、両者の醸造法、熟成はまったく同じです。
サントステファノはステンレスタンクで約20日間のマセラシオンを行った後、オーク樽で20ヶ月熟成、瓶内で熟成12ヶ月以上を経て瓶詰め。バローロ ファレットはステンレスタンクで21日間のマセラシオン、オーク樽で30ヶ月熟成、瓶熟成8ヶ月以上でリリースされる。
基本的には伝統的醸造法を踏襲し、バリックは一切使用しない。

では、いってみましょう。


生産者:プロディトゥーリ デル バルバレスコ
銘柄: バルバレスコ レゼルヴァ ヴィネッティ イン アジリ 2008
品種:ネッビオーロ100%

7000円、WA96pt
外観は赤みの強い澄んだガーネットで、粘性は高い。
非常に古典的なバルバレスコ。いわゆるバリック的な風味は感じられないが、突出した果実味と密度が液面に漲っている。
ネッビオーロらしいイースト香があり、木苺やブラックカラント、プラムの黒系果実の果実味。そして薔薇や鉄観音。なめし革、鉄釘の動物的な香り。そして甘草や溶剤、コリアンダー。
樽の風味はあまり強くは感じられない。
どっしりとしたタンニンとエッジーな酸があり、やや荒々しい印象を受ける。
口に含むと黒系ベリーとミルクティーの風味がに広がり余韻を残す。長熟さ、ボディ、香り高さ、どれを取っても最上級のバルバレスコであることは間違いない。


生産者: エリオ グラッソ
銘柄: バローロ ルンコト レゼルバ 2006
銘柄: ネッビオーロ100%

約14000円、WA96pt
ブルーノ ジャコーザのバローロとは大分趣が異なる味わいだと感じた。
外観はやや濃いめのガーネットで粘性は高い。ボルドーに通じる様な樽使いをしているが、明らかにネッビオーロ。スタイルとしてはガヤに近い。除光液の様。カシスやダークチェリーの果皮を感じさせる濃厚な果実味、キャラメルやバニラの甘露さ、鉄観音や樹皮、ポルチーニ茸などの土っぽいニュアンス、生肉。ドライハーブやスパイス(除梗に由縁する風味)が感じられる。
口当たりはタンニンより酸味に寄っておりエレガント。これに関してはブルゴーニュよ方にタッチは似通っている。乳酸やダークチェリーの綺麗な酸味が広がっていく。これはいいなあ。


生産者: ブルーノ ジャコーザ
銘柄: バルバレスコ アルベルサンティ サント ステファノ 2009
品種: ネッビオーロ100%

約17000円、WA95pt(2007)
外観は明るめのガーネット、粘性は比較的高め。
最初は干したような赤系果実のドライフルーツのニュアンスが前面に出ていたが、バローロと比べると徐々に瑞々しい熟したイチゴやフランボワーズの様な果実味も表してくる。バローロほどではないにせよイースト香もある。鉄観音やジンジャーブレッド、ナツメグ、オリーブなどの塩みも。燻製肉、薔薇のドライフラワーなど。香りから見て取れる果実味はとても豊かでみずみずしく、凝縮している。明るく瑞々しい果実味が広がる。
タンニンも酸味もとても力強い。一本筋の入った強さで乳酸の風味と明るいフランボワーズなどの果実が口に広がる。味わいの密度はとても高く、余韻も長い。より果実味に寄っているスタイル。味わいの透明度が高く最高だ。


生産者: ブルーノ ジャコーザ
銘柄: バローロ レ ロッケ デル ファレット 2009
品種: ネッビオーロ100%

約22000円、WA98pt(2007)
外観は明るめのガーネット、粘性は比較的高め。
ブリオッシュやイースト香、そしてラズベリー、チェリーなどの赤系果実のドライフルーツ(砂糖漬け)のニュアンスか非常に強い。ミントやドライハーブ、鉄観音、薔薇の香り。果実味、イースト、ハーブの香りが一塊となって立ち上がってくる。そしてナツメグ、ハチミツ、塩オリーブ、燻製肉のニュアンスも。
華やかではあるが、バルバレスコより重い印象。タンニンはバルバレスコより幾分か強く、酸味も豊か。強烈な凝縮感と、より明確な乳酸、ドライベリーっぽい味わいが広がる。余韻は長い。


王道のバルバレスコの作りですね。
赤黒系ベリーのジャミーな味わいに鉄観音の乾いた葉の香りや薔薇、イーストの香りが混ざるというスタイルです。
しっかりとした凝縮感がある味わい、かつ酸とタンニンのパワフルさも感じられます。
ブルーノ ジャコーザのサント ステファノと比べると透明感や洗練さは大きく劣りますが、果実味の豊かさ、鮮明さ、それを受け止めるボディとのバランスはとても良いワインだと思います。果実味が比較的豊かなのは、アジリの素晴らしい土壌で生まれたものだからかもしれません。
次に古典派バルバレスコ最高の生産者のバルバレスコのフラッグシップ。バルバレスコ アルベルサンティ サント ステファノ。
これがもう、本当に素晴らしい。バルバレスコの評価を根底から覆す様な味わい。
熟したイチゴやフランボワーズの瑞々しい果実味、鉄観音の様な干した葉、ジンジャーブレッド、スパイスや野生的な生肉。グラスの中で凝縮したり開いたり、まるで呼吸をしながら彩りを変えている様。そしてネッビオーロのイースト香が軽く備わっている。
バローロの様にこのイースト香や黒系果実味が強く前に出過ぎていないのがいい。瑞々しさとその他の要素のバランスが極めて良い。
その味わいたるやジョルジュ ルーミエの1級レ クラを飲んだ時の印象に非常に近い。むしろレ クラより複雑である。口に含んだ時のマロラクティック発酵による乳酸の爽やかな甘みをほのかに感じる。
次にテロワール違いのバローロ レ ロッケ デル ファレット。こちらはバローロのフラッグシップ。
ブルーノジャコーザのポートフォリオの中では最上級となるが、個人的にはバルバレスコの方が好みだ。
バルバレスコは瑞々しく熟した果実の風味が感じられるが、こちらはややブリオッシュやイーストっぽい香りが強く出ている印象。
全面にはそういった要素が出ていながら、果実味はよりドライで凝縮した濃厚な甘みがある。バルバレスコの瑞々しさとは全く逆の果実味。わずかに酸味を感じさせるベリーの香りも伴う。ミントやハーブの香りが前に出ているのもバルバレスコと異なる所だろう。
口当たりに関してもバローロの方がタンニンも酸も力強く重量感のある味わいだと思う。
乳酸を伴うアフターはバルバレスコと同様である。なるほど、見る人が見たら、こちらの方が上位かもしれない。
瑞々しさはないけどもドライフルーツの様な超凝縮した残糖、強烈なタンニン、豊かな酸。しっかりした樽香。これらからは数十年熟成するポテンシャルが感じられる。複雑味もあるし、途轍もないワインであることが伝わってきます。
最後、今までは古典派のバルバレスコを見てきましたが、こちらはモダン派のバローロボーイズのもの。エリオ グラッソのバローロ ルンコト。
樽使いは明らかに古典派と異なる部分でよりフレンチオークの甘露で香ばしいニュアンスが強く前に現れている。またやや強めに抽出を行っているのか、黒系果実の果実味や華やかさが強く現れている。そしてスパイシー。恐らく除梗は一部していないのでは、と思う。古典派と共通する部分はイーストの香り位か。ネッビオーロ固有の香りかもしれない。もしくはピエモンテの自然酵母か。
かなりワインの姿は違う。たしかにこちらの方が早飲みできるし、熟成も期待できる。
好みのスタイルだ。乳酸の出方もネッビオーロ固有かも。

やはりピエモンテは古典派とモダンの二極化されていると思う。古典派は古典派でスタイルは似通っているし、モダンはモダンで似ている。やはり醸造はかなりワインの味わい、香りに影響を与えている。バローロ、バルバレスコでも全く異なるワインだ。
たとえばガヤはモダンだし、アルドコンテルノは古典派だ。わかりやすいといえばわかりやすい。
市場に受け入れられやすい(というか販売しやすい)のはモダンだが、共に素晴らしく、どちらが優れている、ということを論じるのはナンセンスだろう。





【カリフォルニア: 12】ピーターマイケル赤白5種類を利く

こんにちわ、HKOです。
装いも新たにSurface Pro2からの更新です。まぁ、文面とかそういうのには全く反映されていないのですが。
だいたいいつも更新はiPhone5。自宅の時はMacbook Air11'かVAIOです。
全く関係ないですね。はい。

さて本日はピーターマイケルの赤白5種類をテイスティングレポートします。
あとはおまけで購入したオーボンクリマのノックスアレキサンダーを。
どちらも非常にいい感じのカリフォルニアでした。


・・・オーボンクリマはサンタバーバラに拠点を置くブルゴーニュ品種の名手です。それもそのはず、ジム グレネデンはアンリジャイエに師事した経歴があり、エレガントでブルゴーニュに寄った味わいのピノノワール、シャルドネを作ります。
フラッグシップはイザベルとスペシャルキュヴェのラーム ド グラップです。この生産者のワインはアンリジャイエスタイル...除梗100%で仕込みます。今回のノックスアレキサンダーはイザベルに次ぐオーボンクリマのフラッグシップ。しかしイザベルの様に複数ヴィンヤードの最上の葡萄を使用している訳ではなく、ビエン ナシッドの最上の区画の葡萄を使用するシングルヴィンヤードで作られている。

ピーターマイケルワイナリーは「サー」ピーターマイケルによって1982年に設立されたワイナリー。カベルネソーヴィニヨン、シャルドネ、ピノノワールと大きく方向性が異なる品種を作りながら、その全てで高い評価を受けている稀有な生産者です。ナパにおいて最も冷涼なカリストガ地区に拠点を構えており、混在する2つの気候による温度差によって品種の個性を引き出しています。現在の醸造責任者はニコラ モーレ。マルチなヴァラエタルで最高の評価を受けています。
まずは赤から。
ムーランルージュはピゾーニヴィンヤードで収穫されたピノノワール主体。天然酵母を用い、自然発酵。新樽比率50%で16ヶ月の樽熟成。無濾過・無清澄。
パヴォはピーターマイケルのボルドーブレンドにおける最上の赤。ナイツヴァレー ヒルサイドヴィンヤード(98年植樹)で生産されたカベルネソーヴィニヨン、カベルネフラン、プティヴェルト、メルローを使用しており、フレンチオークの新樽を100%使用し17ヶ月熟成する。無濾過、無清澄。セカンドワインのレスプリ ド パヴォは比較的カベルネフランの比率が高い以外、基本的にファーストと醸造も熟成期間は同じ。
ラブレ ミディ ソーヴィニヨン ブランはナイツヴァレーで収穫されたソーヴィニヨンブランを天然酵母にてフレンチオークで発酵を行う。マロラクティック発酵なし、シュールリーで8ヶ月熟成を行う。
ベルコート シャルドネはナイツヴァレー1990年植樹されたシャルドネ単一畑。天然酵母にてフレンチオークで発酵、100%新樽にてシュールリーで11ヶ月熟成。無濾過、無清澄で瓶詰め。


それではいってみましょう!


生産者: オー ボン クリマ
銘柄: ノックス アレキサンダー ピノノワール 2009

素晴らしいピノノワールだ。ヴォーヌロマネ1級マルコンソールが如きエレガントさや密度を感じさせる。いわゆる新世界的な黒砂糖や樽のロースト香はあまり感じさせず、低温浸漬やピジャージュに由縁する果皮の華やかなニュアンスが強く感じられる。
凝縮したダークチェリーやブルーベリーの黒系の果実味、オレンジやミルクティー、スミレやなめし革などの均整の取れた香り。まさにブルゴーニュ的な特徴が良く現れている。クローヴ、ドライハーブ、松の樹皮など土の香りより樹皮系の香りが前に出ている。
非常にエレガントな香りだが、ボディはしっかりしている。かなり凝縮した果実味があり、豊かな酸味と旨味に満ちている。ギザギザした舌触りはなく、厚みのある黒系果実や花のニュアンスが駆け抜けて行く。余韻も長い。
爆発する様な果実味は無いけれど、ブルゴーニュを忠実に再現した素晴らしいワインだと思う。
イザベルはより果実味は豊かだが、ブルゴーニュらしさはノックスアレキサンダーの方がらしい、と言える。


生産者: ピーター マイケル
銘柄: ラプレ ミディ ソーヴィニヨンブラン 2012
品種:ソーヴィニヨンブラン95%、セミヨン5%

約8825円
外観は透明に近い澄んだイエロー、粘性は中庸。よく熟した印象が感じられるソーヴィニヨンブラン。
ミネラル感もしっかりと感じられる。濃厚なシロップやバニラ。メロンやマンゴーの様な果実の様な風味、八角、フレッシュハーブや白い花、ムスク、杏仁豆腐などの風味。爽やかでありながら強烈な甘露さを放つ。ボルドーの最上の白ワインから受ける印象と近い。
酸味は豊かだが、シロップ、バニラ、白桃のコンポートを思わせる風味が口内に広がり、長い余韻を残して行く。


生産者: ピーター マイケル
銘柄: ベル コート シャルドネ 2000
品種:シャルドネ100%

約23000円
外観はやや濃い目のストローイエローで粘性は高い。ミネラルの塊というべきオイリーさを感じさせる、そしてナッツや白胡椒、モカ、エシレバターの様な香りに覆われて豊かな果実味が隠れている状態。樽が果実味にまだ溶け込んでいない。洋梨やライチの様な果実味、白胡椒、ドライハーブ、白檀の様な風味を感じされる。熟成したバタールモンラッシェのよう。
酸味は豊かだが、熟成を経ているからか、余韻が急激に跳ね上がって、少しずつ広がっていくスタイル。口内でライチや洋梨やシロップの余韻が広がっていく。


生産者: ピーター マイケル
銘柄: ル ムーラン ルージュ ピノノワール 2008
品種:ピノノワール100%

約25000円、WA90pt
外観はやや濃い目のルビー、粘性は高い。
非常にパワフルなカリピノの王道たる味わい。
強烈な黒砂糖の様な甘露さ、ブラックカラントやダークチェリーの旨味に満ちた黒系果実味、クローヴ、松の樹皮、シナモン。スーボワ、自然な大地の香り。あまり強くはないが、なめし革の風味もある。薔薇などの華やかなニュアンスも。
酸味は豊かで、タンニンも相応に感じられるが、果実味が豊かで凝縮しているので上手く旨味に転化できているような気がする。余韻はブラックカラント、ダークチェリー、梗の風味が広がる。


生産者: ピーター マイケル
銘柄: レスプリ デ パヴォ プロプライエタリーブレンド 2004
品種: カベルネソーヴィニヨン45%、カベルネフラン35%、メルロー17%、プティヴェルト3%

約21000円、WA90-92pt
赤みを帯びたガーネット、粘性は高い。
基本的な雰囲気はパヴォと変わらない。どちらかといえば熟成に、もしくはセパージュに由縁するハーヴィーなニュアンスの方が気になる。ただ口に含むと、ファーストラベルのパヴォよりボルドーのスタイルに近いことに気付かされる。
リコリスやドライハーブ、そしてカシスやブラックベリーの瑞々しい果実味(パヴォと比べると凝縮感は少ない)、バニラや西洋杉の樽香、煙草、燻製肉、ベニヤ板など。
口に含み鼻に抜けるカシス、バニラ、西洋杉の香りはまさしくボルドーのそれ。熟成によって酸味やタンニンは落ち着いておりまとまっている印象を受ける。余韻は長い。


生産者: ピーター マイケル
銘柄: レ パヴォ プロプライエタリーブレンド 2009
品種: カベルネソーヴィニヨン66%、カベルネフラン22%、メルロー10%、プティヴェルト2%

約30000円、WA96pt
やや紫を帯びたガーネットで粘性は高い。
果実味が豊かであることは間違いないが、ボルドーのスタイルとは異なるし、いわゆるカリカベとも異なると思う。
オーブリオンの様なスタイルの凝縮したスタイルのカベルネソーヴィニヨン。
スモーキーで煙草やリコリス、西洋杉の風味が前に現れており、後追いでピーマン香や瑞々しいカシスやプラムの酸味のある果実味、コーヒー豆、鉄釘、スミレの華やかさが感じられる。
カベルネにしては酸味が豊かで、タンニンも穏やか。スモーキーな風味とキュートな蜜、カシスの余韻が豊かに広がっていく。余韻は長い。スモーキーでハーヴィーなワイン。


さて、久々のカリフォルニアです。
まずオーボンクリマから。
オーボンクリマはフラッグシップのイザベル、そして特別なキュヴェであるラーム ド グラップを飲んでいますので、だいたいスタイルは掴んでいます。ラーム ド グラップはかなり梗の風味が出ておりハーヴィー、ポジティブセレクションのイザベルはブルゴーニュの様な繊細さを持ちながら、新世界的な果実の凝縮感や甘露さを持ったピノノワールでした。
今回のノックスアレキサンダーはビエンナシッドヴィンヤード単一畑。上記のイザベル2種類(ラーム ド グラップも全房なだけでイザベルと同じ葡萄を使っています)と比べると凝縮感は落ちますが、よりブルゴーニュらしさが強く出たカリピノ。そしてイザベルの時も思ったのですが、とてもヴォーヌロマネ的な味わいだと思います。特級ではなく、上位一級畑の様な感じ。スショとかマルコンソールとかそこらへんですな。比較的標高が低い所の。オレンジや黒系のベリー、ミルクティーの風味がとても品が良いですね。
次にピーターマイケル。
折角なんでムーランルージュを先に。こちらはオーボンクリマ的なスタイルではなく、オーベールやポールラトー、その他ピゾーニを作っている生産者と同様、樽を帯びた熟した果実味、黒砂糖の様なニュアンスが強く感じられます。2009年や2010年のブルゴーニュですら出ない極めて過熟した味わい。いわゆるカリピノ。ただ果実味一辺倒ではなく、大地香やスパイスのニュアンスも包含している。決してシンプルではない。タンニンや酸も豊かだし、熟成によってもかなり姿を変えそうだ。
次にレスプリ ド パヴォとレ パヴォ。
ムーランルージュの過熟した味わいに対して、このボルドーブレンドは果実味よりオーブリオンの様な神秘的な複雑さを前に押し出そうとしている様に見える。
カリフォルニアのカベルネソーヴィニヨン王道の濃厚で果実味爆弾の様な味わいは一切感じさせない。パヴォはその豊かな果実味を豊満さや濃厚さではなく、凝縮感に転化し、ハーブや燻った様なニュアンスと一塊となり立ち上がる。主張しすぎない内に潜むエネルギー感が強く感じられる。バニラなどの樽のタイプではなく、メドック左岸のワインとも異なる。いわゆるカベルネ主体としている地域のいずれにも簡単に当てはめる事の出来ないワインだな、と思った。
レスプリはパヴォのセカンド。カベルネフランが多めに含まれるセパージュ。ただこちらの方がボルドースタイルに近いものを感じられる。ハーヴィーでありながらカシスやブラックベリーなどの黒系果実とバニラ、西洋杉のニュアンスが強く感じられた。
凝縮感こそファーストラベルに劣るものの、ボルドーファンには最も親和性の高いボトルだと思う。

次は白。ソーヴィニヨンブランのラプレミディ。典型的なソーヴィニヨンブランとは大きくかけ離れた味わい。
一般的なソーヴィニヨンブランの柑橘系やハーブ、ムスクを感じさせる要素やドライさは一切感じさせない。ボディはシャルドネやヴィオニエに比肩するし、とても熟した果実味があり花の蜜などの濃厚な甘露さが感じられる。ミネラル感や樽もあり、食事と合わせるならば、間違いなくクリーム系になるのではないかと思う。
最後、ベルコート シャルドネ。
これは比較的リリースから時間が経っているので、熟成香が感じられた。
若いヴィンテージをのんでいないので何とも言えないが、ミネラルの塊というべきオイリーさ、ナッツや白胡椒、モカ、エシレバターが主体で豊かな果実味が隠れており、樽が果実味にまだ溶け込みきっていない。
まだまだ熟成の余地はある。
熟成すればバタールモンラッシェの様な味わいになるかも。ボディはかなり柔らかくなっていた。

かなりの量を一回のレポートに入れたので長くなりましたが、以上です。
ピーターマイケルは最高に美味いですね。
ボルドー品種だけあまり良い印象はないのですけれども、ピノノワールとソーヴィニヨンブラン、シャルドネは本当に素晴らしかった。新世界ならでは、といった作りですが、しっかりと要素も複雑ですし、素直に美味しいと思える味わいですね。万人受けしそう。






【オーストラリア:3】オーストラリアのカルトシラーズ2本を利く


こんにちは、HKOです。
毎度どうもありがとうございます。
FC2酒部門のランキングで15位以内をキープできる様になりました、これも皆様の応援あってでの事でございます、これからもよろしくお願いします。
色々とゲストさんを呼んだりと趣向を凝らしてはいますが、基本的にHKOの書く記事は今までのスタンスを崩さないような形で行きたいと思います。

では昨日に引き続きオーストラリア特集です。今回はピノノワールに引き続きシラーズをテーマに2つのグランヴァンを見て行きたいと思います。

ドイツより移民したヨハン クリスチャン ヘンチキが1868年に設立した老舗家族経営ワイナリーで、シラーズの最高峰グランジと双璧を成す、樹齢130年のシラーズを使用した「ヒル オブ グレイス」がフラッグシップとなります。発酵層は全て古典的なコンクリートタンクを使用し、熟成樽は新樽90%、古樽10%(フレンチオーク67%、アメリカンオーク33%。)
今回のマウント エーデルストーンはいわばヒル オブ グレイスのセカンドワイン的なワイン。ヒル オブ グレイス程ではないにせよ、樹齢90年のシラーズを使用し、21ヶ月熟成を経たのちに瓶詰めされます。
栽培や醸造方法に関しては、あまり言及されておらず、真実は闇の中なので個人的な感覚でレポートします。

クリス リングランドはバロッサバレーに拠点を置くオーストラリア シラーズ最高のカルトワイナリーで、ワインアドヴォケイトでは100点4回、97-99点6回が献上されています。以前はスリーリバースシラーズと呼ばれていました。あまりに流通が少なすぎて(80ケースほどらしい)有名ではありませんが、まず間違いなくオーストラリア最高の生産者の一人だと思います。1エーカー1トンの低収量。所有しているシラーズの樹齢は100年近くになります。収穫したぶどうはマロラクティック発酵を行いながらフレンチオーク新樽100%で42ヶ月の熟成が行われます。その他の生産や醸造方法に関する記述は見つかりませんでした。謎めいたカルトワイナリーですが、その実力は確実に本物です。今回の2004年のアルコール度数は戦慄の17.7度。

さて、ではいってみましょう。


生産者: ヘンシュケ
銘柄: マウント エーデルストーン シラーズ 2009
品種:シラーズ100%

約18000円、WA94pt(2007)
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
甘露さと酸味のバランスが良く、華やかな印象を受ける。
カシスリキュールやプラムの風味。より酸味が突出した印象。カラメル、ドライハーブや漢方、スミレや茎の風味。松の樹皮、黒胡椒などの風味が感じられる。
酸味が際立っており、綺麗な丸みのあるタンニンも豊かなミルクやプラムの余韻が広がる。凝縮した印象でありながら何処か果実の瑞々しさも感じさせる。茎など。


生産者: クリス リングランド
銘柄: シラーズ 2004
品種:シラーズ100%
約80000円、WA100pt
外観は黒に近い濃いガーネット、粘性はとても高い。とてつもなく濃厚で重量感のあるシラーズ。干したブラックベリーや煮詰めたカシスのジャム、レーズンの様な濃縮した甘露な果実味、ドライハーブ、バニラやミルクティー、パストラミハムやジビエなどの肉の香り、タバコや漢方。甘草、焼いたゴムなど。
タンニンも酸味も重く、粘性は高いが丸く重みがある。レーズンやミルクティーの濃厚な味わい、綺麗な余韻が残る。
極めて濃厚なアマローネにも近いシラーズ。


今回の中にはまろやかで果実味が爆発している典型的なオーストラリアのシラーズはありませんでした。
濃いには、それはもう途轍もなく濃いのですけれどもまろやかではないです。
ヘンシュケは凝縮感がありながら角が丸いワインだし、クリス リングランドは強烈な凝縮感とアルコール度数に裏打ちされた重厚なボディ。ちょっと感じが違いますね。
まずヘンシュケです。
マウント エーデルストーンはヒル オブ グレイスのセカンドワイン的なポジション。90年の古木から収穫されたぶどうを、乾燥させて含有水分量を減らす事で凝縮度を更に高めて醸造しています。
実際ヘンシュケは強烈な濃厚さと凝縮感を持っています。ただ干している割には瑞々しい印象は受けますけどね。カシスリキュールやプラムなどの黒系果実と風味、カラメル、ドライハーブや漢方など。酸味が際立っており、綺麗な丸みのあるタンニンも豊かなミルクやプラムの余韻が広ります。樽のロースト香りもしっかりとあります。
次にクリス リングランドですが、これが途方もなく重厚で濃厚なシラーズ。まず粘性からしてとろみがある。外観も黒に近いガーネットをしている。100年近くの古木から収穫されたぶどうを乾燥、凝縮させ、42ヶ月のフレンチオーク熟成。なるほど作りを見て納得、これは長期間熟成させないと荒々しくなりそうだ。極限まで糖度が上がっている状況で、アルコール発酵をしているので、この度数にも納得。そしてその干したニュアンスはドライブラックベリーや煮詰めたカシスのジャム、レーズンの様な濃縮した甘露な果実味にも現れている。バニラやミルクティーなど長期樽熟成による風味、パストラミハムなどの品種固有の芳香も残している。濃厚なアマローネにも近いシラーズだと思います。
なんというか、樹齢、糖度、樽熟成期間、新樽比率、アルコール度数、どれもすべてが規格外。古木の果実味を活かす為にはー、さらに糖度を上げるにはー、と考えていった結果、古木のオーバースペックに引きずられて、どれも規格外のスペックになったんじゃないかと。ただ上流のバランスを見てから下流を決めているのだろうから、しっかりと各々の要素は果実味に受け止められている。
凄まじい、圧倒されるシラーズですね、これは。

オーストラリア シラーズ。さすがに素晴らしいですね。現段階でも十分美味いんだけど、なにより熟成のポテンシャルが本当に凄い。何年持つんだ、と。
特にクリス リングランドのワインは今回2004年だったのだけど、最新ヴィンテージかと見間違うばかりの若々しさ。いつになったら飲み頃を迎えるのか想像がつかない....
球数が少ないので数十年後に検証できるかどうかわかりませんので、バックヴィンテージ探してみようかしら。


【オーストラリア:2】オーストラリアのカルトピノノワール2本を利く


こんばんは。
本日はオーストラリアのピノノワールです。オーストラリアのピノノワールと聞くと、どんな感じを想像するでしょうか?新世界的な濃口ピノノワールでしょうか?
実はブルゴーニュによく似たピノノワールは結構生まれています。例えばカーリーフラット、ビンディ、そしてマウントメアリーなど。本場ブルゴーニュのピノノワールより繊細で旨味に満ちた味わいのピノノワールが


マウントメアリーは1971年にジョン ミドルトンによって設立されたワイナリー。生産量は3,500ケースと極めて少なく、カルト的なワイナリーとして扱われている。
1960年代後半にボルドー、ブルゴーニュで栽培醸造を学び、ボルドー品種(クインテット)とブルゴーニュ品種(ピノノワール)ともに得意としている。
使用している葡萄の木は1971年に植樹された古木から産出されるもので、収穫後7日間の短いマセレーションの後、75%をフレンチバリック、25%を大樽使用し、熟成されます。フラッグシップはボルドーブレンドのクインテッド、そしてヤラバレー ピノノワール。

ビンディはビル・ディロン氏と息子のマイケルが1988年に設立したドメーヌ。ブルゴーニュ品種を得意としており、所有畑はオーストラリアで最も冷涼なマセドンレンジズのギズボーン山の北側斜面に位置している。標高500メートル。粉々に割れた石英と沈泥で構成された部分と砂質と粘土質の土壌がある。
特にブロックファイヴの区画はは風除けの木に守られた区画で、より成熟した葡萄が収穫される。
栽培面にも十分に配慮が行き届いており、光の浸透を高めるオープンキャノピーで、病害のリスクを下げながら葡萄を完熟させます。
また非常に厳しく剪定作業が行われており、収量は1.5t/エーカー。化学肥料や殺虫剤は不使用。収穫まで全て手作業で行われる。
収穫した葡萄はプレス後、野生酵母で発酵。
熟成発酵にブルゴーニュの新樽25%-40%で熟成される。
フラッグシップはブロック5 ピノノワール。


生産者: マウントメアリー
銘柄: ヤラ バレー ピノノワール 2009

15000円、WA93pt(2006)
外観は淡いルビー、粘性は中庸。
フランボワーズやアメリカンチェリーの瑞々しい赤い果実味が感じられる。そして花の蜜やシロップなどの甘露なニュアンス。若い葉、なめし革、シナモンなども感じられる。
新世界的な濃厚さよりブルゴーニュの様な繊細さ、複雑さを感じることが出来る。ルイ シュニュが造るサヴィニー レ ボーヌにも通じる味わい。最近のブルゴーニュの主流よりブルゴーニュらしいかもしれない。
酸味やタンニンは非常に穏やかで、滑らかなタッチ。スモモやベリーのじわっとした旨味が広がっていく。非常に丁寧に作られたピノノワール。
ただ2008年の同ワインは、かなり樽が効いていた印象があり、やや濃い印象を受けたのだけど、果たして。


生産者: ビンディ
銘柄: ブロック5 ピノノワール 2011

約15000円、WA94pt(2008)
外観は淡いルビー、粘性は中庸。
こちらは梗に由縁するスパイシーな風味が主体的。ハーブ、濡れた樹皮、茎の様な青い風味が感じられる。そしてブルーベリー、ラズベリーの様な赤黒系果実の瑞々しい果実味。スミレ、なめし革、クローヴなどのニュアンスも感じられる。瑞々しい果実味と共にスパイシーな風味が前に出ている。
酸味はマウントメアリーと比べるとやや強めだが、タンニンは柔らかい。ミルクを混ぜたベリーティーの様な風味が感じられる。デュジャックの造るワインに似ているかも。果実の凝縮感は中庸。


オーストラリアのピノノワールはやはり素晴らしいですね。特にメルボルン周辺のマセドンレンジズ、ヤラバレーのものは特に繊細さ、緻密さにおいて突出している。
土地がとても冷涼なだけに、まるでブルゴーニュのピノノワールの如き味わい。ひょっとしたら今の(エレガントと言いながら)濃い目主流のブルゴーニュよりよっぽどブルゴーニュらしいかも。
そんな訳で、メルボルン周辺にブルゴーニュファンが集まっており、必然的に低温マセレーションや全房発酵などの醸造方法もブルと似た感じになっています。
まずマウントメアリー。
このワインは2008年ヴィンテージも経験しており、濃い目の印象がありましたが2009年はかなりブルゴーニュに接近した味わいになっている印象です。染みて広がるような味わい。
赤系果実味と、豊かな花の蜜やシロップなどの甘露なニュアンス。若い葉、なめし革、シナモンなども感じられるベーシックなブルゴーニュの味わいです。
お次はビンディ。こちらもとてもブルゴーニュらしい作りのワイン。特徴としてはやはり全房発酵。スタイルとしてデュジャックに似ていて、全房発酵らしいスパイシーな風味が前に出ています。より黒系のニュアンスを感じるのでジュヴレシャンベルタン寄りっぽい。熟してはいるんだけど、より成熟まで時間を経て多くの要素を大地から吸収した味わい。複雑です。

いやー、レベル高いですね。
しかしカリフォルニア同様ニューワールドに区分けされる国ですが、これだけピノノワールに対する向き合い方が違うとは。
オーストラリアのシラーズをそこそこ飲んでいる人ならば、ここはやはり不思議に思うところだと思います。なにせオーストラリアのシラーズはカリフォルニアを超える位の濃厚果実味爆弾ですから。
オーストラリアのシラーズは随一の濃厚な果実味を持っていて、ピノノワールはさながらブルゴーニュが如き繊細さを感じさせる。
驚くべき多様性がオーストラリアには存在していると思います。

しかもシラーズの一大産地であるバロッサバレーとピノノワールのマセドンレンジズってそう遠くないんですよね。いやでも車で8時間だから東京から青森秋田くらい? でもニュイサンジョルジュからローヌ南部までは4時間...だからやっぱり遠いのかな?オーストラリア大陸は大きすぎて縮尺がわからん...
ただ多様性が現れるには十分な距離かな?

いずれにせよ同じ国からブルゴーニュ的なピノノワールと最上のシラーズが出来るって凄いですね。まるでフランスの様ですね。


マウント・メアリー ピノ・ノワール [2005]

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価格:13,650円(税込、送料別)

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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