【アルザス・ロワール:3 】最高の生産者のスタンダード プイィ フュメ、熟成したコトー デュ レイヨンを利く

こんにちは、HKOです。
本日はロワールのワインです。
アンジュ エ ソーミュール地区およびセントル ニヴェルネ地区 プイィフュメの2エリアのもので、中でも銘醸地域を今回は選んでおりますよ。
ボンヌゾー、カルツ ド ショームと並ぶロワール貴腐の名産地、コトー デュ レイヨン。
サヴィニエールにおいて畑名称がそのままAOCとなっている、いわば特級的な立ち位置のロッシュ オー モワンヌ。
そしてプイィフュメはディディエダグノー、そしてパスカルジョリヴェらのスター生産者のものを。

ドメーヌ トゥーシェは1787年よりアンジュ地区に拠点を置く老舗ドメーヌ。
コトー デュ レイヨンはロワールにおけるシュナンブランの貴腐甘口ワインの名醸地。
収穫は2回(開花から約90日の早摘み葡萄20%、糖度が上がった120日後に80%)にわけて収穫、タイミング別々に醸造します。これによって酸と糖度のバランスがとれたコトー デュ レイヨンが出来上がるとのこと。
メーカーでは10年程度瓶で寝かした上で出荷する。

ドメーヌ ド モワンヌは1967年にロワールサヴィニエールに設立されたドメーヌ。
保有しているサヴィニエール ロッシュ オー モワンヌはクーレ ド セランと共にサヴィニエールの特級クラスの畑とされています。30haのうち、8haを所有。土壌はシストと砂岩で構成されている。栽培はビオディナミ。葡萄はシュナンブランの古木から5回に分けて手摘みで収穫されています。ブロックごとに20度でステンレスタンクとバリック樽で発酵。約9カ月程度の熟成を経て瓶詰めされる。マロラクティック発酵は行わない。

「ソーヴィニヨン ブランの魔術師」パスカル ジョリヴェは1982年にロワールに設立されたドメーヌ。プイィ フュメとサンセールを中心にワインを作っています。
今回のプイィ フュメ アンディジェンは年間生産量6,000本。アンティジェンの土壌は氷河期から続く石灰質で、伝統的な自然を尊重したぶどう造りを行っています。
ステンレスタンクを使用、果皮に着いた酵母で自然に発酵、澱の上で12ヶ月間熟成させたのち、ボトリングされます。

ディディエダグノーは、1983年に様々なキャリアを経てプイィフュメにドメーヌを興します。93年から有機栽培を始め、いわゆるソーヴィニヨンブランの枠組みを大きく飛び越える卓抜したプイィフュメを一貫して作り続けています。作付面積は11haほどで、その最高の区画である「シレックス」ヴィーニュフランセーズを使用した「ピュール サン」がフラッグシップとしてリリースされています。有機農法、大人数での手摘み収穫や選果。収穫した葡萄はプレス後、ステンレスタンクで2日間寝かせた後、22度まで温度を上げながら10-12日間木樽でアルコール発酵。マロラクティック発酵はしない。新樽20%-30%程度で12ヶ月シュールリーで熟成し、更に4~8ヶ月間の間ステンレスタンクで熟成する。最長で20ヶ月程度の熟成期間を経て、瓶詰めされ出荷されます。
今回のアン カイユーは現在「ブラン フュメ ド プイィ」としてボトルされているものです。


生産者: パスカル ジョリヴェ
銘柄: プイィ フュメ アンティジェン 2011
品種: ソーヴィニヨンブラン100%

約6000円。
外観は明るいストローイエロー、粘性は高め。
プイィフュメらしいミネラル感。爽やかなソーヴィニヨンブランのムスクやフォキシーフレーヴァー、ハーブの風味がありながら、非常に果実味が強く、熟した赤リンゴや蜂蜜につけたレモンなどの果実味が感じ取れる。白い花などの華やかな風味も。非常にしっかりしたボディがあり、ともすれば新世界の様な果実味にも思える。
マロラクティック発酵はしていない。
シャープで分厚い酸味と共に豊かなマスカットやハーブの香りが広がる。余韻も長い。
特徴的なボリューミーなソーヴィニヨンブランだ。


生産者: ディディエ ダグノー
銘柄: ブラン フュメ ド プイィ アン カイユー 2000
品種: ソーヴィニヨンブラン100%

約10000円。
グリーンに近いイエロー、粘性は高い。
物凄いスモーキーでミネラル感が強い。若い頃より、より際立っている様に感じられる。ムスクやドライハーブ、石鹸などの清涼感。カリン、ライチなどの果実味、核種系の甘露さが感じられる。キノコなど。ピーマンなど。
酸味はいまだ鋭くシャープ、やや凝縮度は劣るがかなり味わいとしては若い。


生産者: ドメーヌ オー モワンヌ
銘柄: サヴィニエール ロッシュ オー モワンヌ 1999
品種: シュナンブラン100%

4000円
サヴィニエールのロッシュ オー モワンヌは以前ニコラジョリーのものを飲んだことがある。貴腐の様な甘美な香りであるにも拘らず、とても口当たりはドライな印象で驚かされたが、こちらも同様の印象を受ける。
しっかりとしたミネラルがある。アルザスやドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼなどのリースリングの様なペトロール香、カマンベールなどの熟成香やカリンや摩り下ろしたリンゴなどの甘やかな香りがある。(貴腐に通じる残糖的な香り)ドライハーブやキノコ、濡れた木、動物的な油、ミルクなどのニュアンスが感じられる。
酸は穏やか。口当たり自体には残糖分は無くドライだが、ミルクの香りと穏やかな酸と丸みの帯びたボディが調和が取れている。


生産者: ドメーヌ トゥーシェ
銘柄: コトー デュ レイヨン 1986
品種: シュナンブラン100%

約6000円、WA90pt
外観は濃い黄金色で、粘性は高い。
流石に長熟を期待するワインではないか。
やや水っぽい香りでなかなか立ってこない。
湿った土やシャンピニオン、カマンベールなどのアーシーな熟成香、出汁や蜜蝋、白胡椒など。徐々にアンズなどの果実味も漂ってくる。口に含むと、あらびっくり、とてもいい。
甘口らしい粘性と残糖、アンズのドライフルーツの風味にカマンベールやアーシーな香りが綺麗に絡んでくる。
酸味もボディを補助するようにしっかりと感じられる。


まずはプイィフュメの新しいヴィンテージと12年熟成したヴィンテージです。
今回、生産者の性質として、よく熟した果実を使ってプイィフュメを表現するパスカル ジョリヴェと、どこかブルゴーニュの偉大な生産者の作るシャルドネの堅固さにもにたダグノーのミネラリーなプイィフュメという違いがありますので、同列で語るのは非常に難しいと思います。
ですから、個別に見ていこうと思います。
パスカル ジョリヴェのアンディジェンはソーヴィニヨンブランとしてはしっかりとしたボディがあり、ロワールにはあまり見られない甘露な熟した果実の風味が感じられます。またミネラル感や爽やかなソーヴィニヨンブランのムスクやフォキシーフレーヴァー、ハーブの風味。そして豊かな厚い酸が感じられました。ボディ、果実味から見るとかなり熟成はしそうですが、過剰すぎるミネラル感は無いため、ダグノーに比べて熟成ポテンシャルはやや劣ると思います。あと2年程度で酸も落ち着いてきて味わいもピークになるのではないでしょうか。
次にディディエダグノーのブラン フュメ ド プイィ(アン カイユー)。こちらは12年程度の熟成を経ていますが、突出してスモーキーかつミネラル感が強固。またムスクやドライハーブ、石鹸などの清涼感などが前面に感じられます。彼の最新ヴィンテージに比べると、果実の風味がやや落ちている様に感じるので、これらの要素が際立っているのでは無いかと思います。核種系の甘露さも感じられるもののジョリヴェほど際立った甘露さではないと思います。キノコやピーマンなどの風味も感じられます。酸味は鋭くシャープ。
一部若いソーヴィニヨンブランらしい要素(ピーマンや酸のシャープさ)と熟成感を感じさせる果実味の落ち着きやキノコの要素が感じられ、丁度熟成の狭間なのだな、といった感じです。そもそもダグノーの若いワインは一般的なブラン フュメ ド プイィですら突出したミネラル感と果実の集中度を見せるので、たかだか10年前後ではヘタレないんでしょうな。なるほど。

次はシュナンブランの2種類。
コトー デュ レイヨンはボンヌゾー、カール ド ショーム同様ロワール最高の貴腐ワインの産地です。
ロッシュ オー モワンヌはコトー デュ レイヨンから見てロワール川対岸にあるサヴィニエールのクリュ。こちらは辛口のシュナンブランを作っています。
今回はドメーヌトゥーシェという生産者のコトー デュ レイヨン、ドメーヌ オー モワンヌのロッシュ オー モワンヌです。
まずドメーヌトゥーシェ。熟成したシュナンブランは初めてです。熟成貴腐ということで、どうしてもチラついてしまうあのプルミエグランクリュクラッセ。1940年、1990年代のをそれぞれ飲んだことがありますが、流石に1940年代のそれとくらべても、ややボディがヘタり気味の味わいでした。しかしながら残糖が残っているため、比較的楽しむ事が出来ました。
ボディは既に落ち込んでおり水っぽさを感じますが、香りは熟成に起因する複雑さがあり、土やシャンピニオン、白カビのようなアーシーな雰囲気があります。
湿った土やシャンピニオン、カマンベールなどのアーシーな熟成香、出汁っぽさも感じられます。シュナンブランらしいアンズなどの果実味もあります。酸味もあり、飲むに耐えうる貴腐になっていると思います。
ただ最上のタイミングは逃してしまっていますね。もう少し若いタイミングで飲めれば最高だったんだろうな、と思います。
最後、熟成サヴィニエール。ニコラジョリーのクロ ド ラ ベルジュリー同様貴腐の様な甘美な香りかつドライで膨らみのある味わいが感じられる。
ミネラル豊かでリースリングの様なペトロール香、白カビなどの熟成香やカリンや摩り下ろしたリンゴなどの甘やかな香りがある。濡れた木、ミルクなど穏やかな酸と丸みの帯びたボディが調和が取れている。
白カビの香りは熟成シュナンブラン共通の香りなのかな?ペトロールと併せてかなり複雑な味わいになっていたと思います。
ただスタイル的にはあまり万人向けとは言い難いですね。美味いと思えるにはそれなりの経験値が必要となるワインだと思います。

以上ロワールでした。
こう見るとアンジュ エ ソーミュールとセントルニヴェルネとだとかなり違いがあって、アンジュ エ ソーミュールのシュナンブランは(クロ ルジャールやニコラジョリーなどの有名どころ以外は)まだ地酒的なレベルですが、セントルニヴェルネは国際的に通用するワインが作られているな、と感じますね。
その中にたまーに凄くいい生産者がいて、とても興味深い地域だと思います。




スポンサーサイト
プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR