【ローヌ: 10】ブルゴーニュのネゴスが醸すシャトーヌフの新たな顔。

メリークリスマス!HKOです。
このブログはクリスマスは何も関係ありませんし、特に考慮していません。時期ネタもありません。いつも通り平日のうちの1日なので淡々と行きたいと思います。

本日はブルゴーニュの気鋭ネゴシアン、ルシアン ル モワンヌがローヌで「作る」シャトーヌフ2種類です。
新進気鋭のネゴシアン、リュシアン ル モワンヌ。1999年に立ち上げられたこの小規模なネゴシアンはリリース直後からワインスペクテーター、ワインアドヴォケイトなどで非常に高い評価を受けています。残念な事にやや価格は高めですが。ほぼ一級畑、特級畑のみをリリースしています。
常に最高の生産者から発酵後のワインを購入し、自社でMLFおよび樽熟成を行っています。MLFは遅い時期に行われ、ステファヌシャサン製の新樽100%で18~24ヶ月熟成される。澱引きは瓶詰め直前まで行わない。
今回のシャトーヌフはローヌで自身で栽培醸造を行っているもの。
グルナッシュはシャトーヌフのアペラシオン内に最良の区画から選りすぐった果実だけを使用、ジュピーユ産の樽の中でバトナージュを行い、澱とともに最低24ヶ月熟成する。

ギガルの袖物も含めてレビューします。
ではいってみましょう。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: クローズ エルミタージュ 2009

外観は赤みの強いガーネット、粘性はやや高め。そんなに熟度は高くない、シラーに由縁する黒胡椒のスパイシーな香り。ダークチェリー、プラムのやや酸味を感じさせる果実味、松の樹皮やリコリス。燻製肉の香り。香りはしっかりと立っている。
価格に見合ったベーシックな作りのシラーだが、酸やタンニンは控えめ。ボディも中庸といったところ。コート デュ ローヌですら美味いギガルのワインとしては、やや凡庸に感じられる。価格相応か。


生産者: ルシアン ル モワンヌ
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ マジス 2010
品種: グルナッシュ ブラン70%、クレレット10%、ルーサンヌ10%、マルサンヌ10%

外観は淡いストローイエロー、粘性は強い。
とてもブルゴーニュ グランヴァン的な樽の使い方をしている。超強烈な樽香とミネラル感。よくローストしたカシューナッツ、アーモンド、エシレバター。そして石灰を感じさせるミネラルがある。長期に渡って熟成をしそうなワイン。奥の方に重厚な果実味がありそうなんだが、なかなか見えてこない。
徐々に白い花や甘露な糖蜜、スパイシーなコリアンダーや白胡椒、カリンや桃の果実味、アスパラガスなど。しかし甘くて樽がたっぷりだ。
口当たりはグルナッシュブランらしい分厚い酸味と旨味がある。しかしながら樽のニュアンスが非常に強く、厚い果実味と共に余韻にも樽香が残る。


生産者: ルシアン ル モワンヌ
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ オムニア 2010
品種: グルナッシュノワール80%、シラー10%、ムールヴェドル他

外観は濃いガーネット、粘性は比較的高め。
かなり抽出が強く感じられる。確かにブルゴーニュ的なスタイルの味わい。樽っぽさはそこまで強くは感じない。
果皮の厚いダークチェリーやブラックベリーの果実味、強烈なスミレや薔薇、茎、イーストや熟成肉、燻製。強い樹皮の香り、炭焼き。黒胡椒的なスパイシーなニュアンス。リコリス、ファンデーション、マホガニーなど。ややスモーキーな味わいも。野性的で有りながらブルゴーニュ的な官能成分があり、品良く仕上がっている。
また徐々にシロップやキャラメルの様な強烈な甘露な果実味が現れてくる。
ボディは非常に力強くパワフル、分厚いダークチェリー...プルーンなどの味わいと、鉛筆の芯、鉄観音。旨味の厚み、タンニンがパワフルに感じられる。

ルシアン ル モワンヌのシャトーヌフ。ブルゴーニュのネゴシアンらしい、ヌフとしては異端の作りになっています。
ブランは彼のシャルドネに通じる様な強烈な樽香と熟した果実味、ミネラルが際立っています。ローストしたアーモンド、エシレバター。そして石灰を感じさせるミネラルがある。完全に樽によって果実味に蓋がされているが、奥にある白い花や甘露な糖蜜、白胡椒、カリンや桃の果実味などの果実味の大きさはしっかりと感じられます。
またルージュに関しても一般的なヌフの様に旧樽や梗のニュアンスが前に出るような牧歌的なタイプではないし、モダンな生産者の様に過剰な果実の熟度と新樽のニュアンスが前に出るようなタイプでもありません。
適切な熟度を保持しながら果皮による官能成分を多分に抽出しており、それもまたブルゴーニュ的です。(通常のヌフでもルモンタージュとピジャージュはやっているのですが、それに増して熟度が高いのでしょうね)
こちらはとても繊細なタイプになっています。過剰な樽のニュアンスは無く、果皮の厚いダークチェリーやブラックベリーの果実味、強烈なスミレや薔薇、茎、イーストや燻製にく、黒胡椒的なスパイシーなニュアンス。ややスモーキーな香りもあります。また徐々にシロップやキャラメルの様な強烈な甘露な果実味が現れてきます。
決して果実味不足がある訳ではなく、過剰な熟度によるアルコール度数と果実味の突出を意図的に抑えているだけで果実味と樽香もあります。ローヌのテロワールでは自然に上がる熟度を抑える事でグルナッシュのエレガンスと要素の複雑性を抽出する事に成功していると思います。

両方ともローヌのテロワール、グルナッシュの特性に真摯に向き合いながら、尊重しながら、ブルゴーニュ的な観点で作り込んでいるワインだと思いました。
スペインやニューワールドの一部では果実味が過剰に出過ぎない、アルコール度数が上がり過ぎないようにする工夫は行われていますが、そもそも果実が熟しにくいブルゴーニュや、過熟を旨としたローヌではなかなか熟度を抑える志向は生まれ得ないものです。
よく見極めてワインを作ったな、と思います。
自然に任せて熟度を上げて、彼のスタイルに合わせてあげれば、きっとすごいパーカーポイントが叩き出されたと思うのですが、そうしなかったのは何か意図があったのでしょうね。


ウオッシュチーズ2種類。エポワス、ニュイドール アフィネ ド ピノノワール。
エポワスは香りが強く、口内にもウオッシュ独特の濃い臭み(蒸れた様な匂い)が感じられる。塩気もかなり強い。
ニュイドールは香りこそエポワス同様の強い刺激臭が感じられるが、塩気はさほど強くなくミルク自体の滑らかな口当たり。
エポワスはめちゃくちゃウオッシュ王道だったが、ニュイドールはかなり食べやすかった。
といってもニュイドール(ニュイサンジョルジュの方)はなかなかクセがあったが、種類の違いで結構違うもんですね。




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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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