【シャンパーニュ:9】驚異のグランメゾンの本気、ボランジェVVF、クリュッグコレクション、サルモンのグランキュヴェを利く



こんにちは、HKOです。
今年も残す所1日となりましたね、今年の多くの方にご覧いただいて大変感謝しております。
最後は大手ネゴシアン マニピュランのフラッグシップ級のシャンパーニュ3種類です。
ビルカールサルモンのグランキュヴェ1996、クリュッグのコレクション1989、ボランジェのヴィエイユ ヴィーニュ フランセーズ 2004です。

ビルカール サルモンは1818年にニコラ フランソワ ビルカールとエリザベス サルモンによって設立されたメゾン。
ワインの葡萄は10haの自社畑(ピノノワールのみ)、30haの35の自社以外の畑、140haの契約農家の畑から産出されています。(ピノノワール、シャルドネはモンターニュ ド ランス地区とコート ド ブラン地区、ピノムニエはヴァレ ド ラ マルヌ地区から作られています。)
自社畑から作られるピノ ノワールはマレイユ シュール アイ村と特級のアンボネイ村産で収量は40~45ha/L程度。
醸造はバリック樽で行い、コールド スタビライゼーション方式を採用、作られたワインは白亜質の天然セラーで12度の温度で寝かせられています。
今回のグランキュヴェに使用されるブドウは単一年のグランクリュ100%で、その中でも最も出来の良いブドウを選定して使用されています。醸造用の樽はブルゴーニュのバリック樽を使用し、10年間瓶内熟成を経て出荷されます。

クリュッグはクリュギストという熱狂的なファンがいる事で有名です。僕はあまり知らないし見た事もないのですが、いるみたいです。
圧搾機で絞られたプルミエールタイユのみを20-30年使用した古い小樽でマセラシオン(新樽は使わない!)。マロラクティック発酵は行わない。そして、クリュッグの本懐であるブレンド作業に入ります。3つの葡萄品種を村、区画ごとに分けたベースワインに、収穫年の異なるリザーブワインをアッセンブラージュしていきます。熟練のブレンダーが舌だけを頼りに。瓶内二次発酵後グランキュヴェは6年間、ヴィンテージは10年寝かせての出荷。これらの要素が欠ける事無く行われる事で芸術的なクリュッグが作られる。フラッグシップはブラン ド ブランの「クロ デュ メニル」、ブラン ド ノワールの「クロ ダンポネ」の2種類ですが、まあ高すぎて中々手に入らない代物です。
今回のコレクションは、クリュッグの単一ヴィンテージの中でも特に優れたヴィンテージをクリュッグの良好な環境のセラーで熟成し、最高の状態となったキュヴェをリリースしたものです。

ボランジェは1829年にジャック ボランジェによって設立されたメゾン。1884年からは英国ロイヤルワラントを取得しています。フラッグシップはグランダネ、R.D、そしてヴィエイユヴィーニュフランセーズ。
葡萄は160haの自社畑から供給されています。
ヴィエイユヴィーニュ フランセーズはアイ(ショード テール、クロ サン ジャック)ブージィ(クロワ ルージュ)最上の4つの区画からから産出されるピノノワールを使用したブラン ド ノワール。すべて継ぎ木されていない自根のヴィエイユヴィーニュのブドウを使用しています。果汁はプルミエールタイユのみ。一次発酵はすべて5年以上使用された木樽にて行われ瓶詰後、最低でもカーヴで6年間熟成。手作業でデゴルジュマンを行い、7~9g/ℓのドザージュ。その後、3ヵ月間休ませた上で出荷されます。

さてそれぞれのNM最上クラスのシャンパーニュが出そろいました。
どうでしょうか。行ってみましょう。


生産者: ビルカール サルモン
銘柄: グラン キュヴェ 1996
品種: 40%シャルドネ、60% ピノ・ノワール

37000円、WA95pt
外観はクリスタルより濃いめのストローイエロー、粘性は高く、穏やかに泡が立ち上っている。
凝縮した旨味が感じられる。
ややアーシーで白トリュフや濡れた木(檜)、出汁、クローヴやドライハーブなどの熟成した香りを感じさせる。徐々にシロップや核種系果実の蜜の香りを伴う、赤リンゴやアプリコットの充実した果実味も現れてくる。ヘーゼルナッツやバター、ほのかにバニラやシナモンの風味もあり、徐々に生き生きとした甘露さが表出してくる。熟成したシャルドネの要素もしっかりと感じられる。
全体としてはとても豊満なボディで甘露、熟成香と果実味の強さが驚異的な調和を見せている。
まだまだ酸は柔らかだが、その分強烈な旨味が口内を満たしていく。柑橘やリンゴ、シャンピニオンの余韻が広がる。香りは豊満だが口当たりはフレッシュだ。今が飲み頃だと思う。


生産者: クリュッグ
銘柄: クリュッグ コレクション プリヴェ 1989
品種: ピノ ノワール 55%、ピノ ムニエ 15%、シャルドネ 35%

105000円、WA92pt
外観はやや淡い黄金色、粘性は高く、わずかに泡が立ち上っている。
強烈な複雑さをもったシャンパーニュ。むせかえるような白トリュフや濡れた木材、枯葉、出汁の熟成香。萎れた花やローストナッツ、シェリー香。そして石灰のような強烈なミネラル。タイム、シナモンなどのスパイシーやドライハーブのニュアンス。ドライアップル、ドライベリーなどの濃厚な果実味と旨味が渾然一体となって立ち上る。徐々に甘露さが現れクリスピーな風味も現れる。
とても熟成感があり複雑な構成を旨味と香りの強さでしっかりと支えている。
酸はかなり柔らかくなり旨味の塊として表出している。シャンピニオン、出汁、ドライアップル、木材の余韻が力強く広がっていく。
大きな規模感がある古酒になっている。


生産者: ボランジェ
銘柄: ヴィエイユ ヴィーニュ フランセーズ ブラン ド ノワール 2004
品種: ピノノワール100%

105000円、WA98pt(1996)
外観はやや濃いめのストローイエロー、粘性は高く、泡は柔らかく立ち上っている。
ブラン ド ノワールらしい堅固で折り目正しい旨味と酸味が感じられる。
石のような強烈なミネラル感に引き締められた、ピノノワールのシナモンや黒砂糖の様な甘露さ。バニラ。熟した赤リンゴの果実味。強くローストしたナッツやエシレバターの様なニュアンス、シャンピニオンなどの要素が渾然一体となって感じられる。そしてフレッシュハーブやハチミツ、リコリス。フレッシュだがシャープではなく非常に肉付きの良い堅牢な味わい。
口当たりは強烈の一言。
香りの印象と同様、雑味のない純粋な果実味と膨大な旨味が一気に押し寄せてくる。
ローストナッツ、バニラ、赤リンゴ、バター、白檀...様々な要素が旨味となって余韻を残して行く。酸はシャープだが、旨味の規模感で統合している。恐ろしいシャンパーニュだ。


いや、もう感無量ですね。
素晴らしいシャンパーニュでした。どれを飲んでもすごい。
この中で感動したのは、と聞かれたら全てですとしか答えられない。
グランキュヴェとコレクション プリヴェの熟成感とそのもののポテンシャルもすごかったし、ヴィエイユヴィーニュフランセーズのパワフルさも半端なかった。それぞれスタイルもヴィンテージも異なり比較できないため、一本一本行こうかと思います。

まずビルカール サルモンのグランキュヴェから。
アーシーな白トリュフや濡れた木材、出汁の様な熟成香と、シロップ、核種系果実の蜜の果実味、バニラやシナモン、ヘーゼルナッツなどの要素が混然一体となって表れている。ピノの旨みとシャルドネの繊細な果実味、樽香が調和し、極めて複雑でありながらキャッチーな味わいになっています。酸は柔らかだが、熟成によって生まれた強烈な旨味が口内を満たしていく。
このシャンパーニュの素晴らしいところは熟成が行き過ぎていないところですね。
しっかりと熟成香はあるのに、果実味も全然残っているという。ボディもしっかりとしているし、非常に果実味と熟成香のバランスが良いシャンパーニュだな、と思いました。

次にクリュッグ コレクション プリヴェ。
こちらはより熟成が進んでいるシャンパーニュです。
白トリュフや濡れた木材、枯葉、出汁の熟成香。
萎れた花やローストナッツ、シェリー香。そして石灰のような強烈なミネラル。ドライアップル、ドライベリーなどの濃厚な果実味と旨味が渾然一体となって立ち上る。
このコレクションの最も素晴らしい所は、その香りとボディの力強さです。
もちろん香りの主体は熟成香で、果実味はやや干したようなニュアンスを帯びていますが、これだけ熟成してもむせ返るような熟成香と干した果実味がグラスから力強く立ち上ってくる。
そして酸は旨みの塊に転化しており、しっかりと熟成香を受け止めている。無論ビルカールサルモンの様な果実味は残っていませんが、熟成によって溶け込んだ様々な要素が濃厚なスープの様になっている。
大きな規模感のシャンパーニュとなっています。

最後はボランジェのヴィエイユヴィーニュ フランセーズ。
大変強固なストラクチャーと分厚い旨味の層、凝縮感を持ったブラン ド ノワールです。
石のような強烈なミネラル感に引き締められたボディに、ピノノワール特有のシナモンや黒砂糖の様な甘露さ。熟した赤リンゴの果実味。強くローストしたナッツやエシレバターの様なニュアンスが力強く感じられる。非常に生き生きとした酸が感じられるが、シャープではなく厚みのある酸で、雑味のない純粋な果実味と膨大な旨味が高い凝縮度を持った塊として存在している。
複雑さもさることながら、最も特筆すべきはミネラルと果実味の凝縮度、液体の密度、酸の厚み。膨大な熱量を抱えた液体だ。
ブラン ド ブランの繊細さやきめ細やかさとは真逆を行くダイナミックで力強いシャンパーニュであると言える。

いやはや、驚きの3本でした。
どれもタイプが異なりながら、それぞれ特筆した味わいを持った偉大なシャンパーニュ。2013年最後に相応しい素晴らしいテイスティングになったと思います。

正直来年はクロ ド メニル、クロ ダンポネ、クロ サン ティレールを飲んでみたいなぁ・・・
まぁ、無理かな、うん。はい。




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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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