【シャンパーニュ: 23】ビルカール サルモン、スタンダードなブリュットレゼルヴとニコラ フランソワ ビルカールを比較する。

こんにちは、HKOです。
本日は昨日アンリジローと比較した、ビルカールサルモンのスタンダードNVとキュヴェ ニコラ フランソワ ビルカールをレポートします。

ビルカール サルモンは1818年にニコラ フランソワ ビルカールとエリザベス サルモンによって設立されたメゾン。
ワインの葡萄は10haの自社畑(ピノノワールのみ)、30haの35の自社以外の畑、140haの契約農家の畑から産出されています。(ピノノワール、シャルドネはモンターニュ ド ランス地区とコート ド ブラン地区、ピノムニエはヴァレ ド ラ マルヌ地区から作られています。)
自社畑から作られるピノ ノワールはマレイユ シュール アイ村と特級のアンボネイ村産で収量は40~45ha/L程度。ノンヴィンテージのリザーブワイン比率は40%。
キュヴェ ニコラ フランソワ ビルカールは良年のみ生産され、シャルドネはコート ド ブラン地区、ピノ ノワールはモンターニュ ド ランス地区の特級畑100%(を使用。
醸造はブルゴーニュのバリック樽で行い、コールド スタビライゼーション方式を採用、作られたワインは白亜質の天然セラーで12度の温度で寝かせられています。ヴィンテージは10年間、ノンヴィンテージは3年程度瓶内熟成を経て出荷されます。

では、いってみましょう。

生産者: ビルカール サルモン
銘柄: ビルカール サルモン ブリュット レゼルヴ NV
品種: ピノムニエ50%、シャルドネ30%、ピノノワール20%

8000円
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
スタンダードキュヴェにして非常にレベルが高い。
芳香性は高く、第一印象はピノ ムニエに起因するレモンやライムなどの柑橘系のフレッシュな果実味が感じられます。ほのかに蜜を想起させる甘露さ、そしてしっかりしたボディを感じさせます。
フレッシュな印象の中にミネラル感とナッツの風味が溶け込み、ハーブなどの要素も感じられます。
酸味は中程度てすが青いリンゴを想起させる若々しい旨味が感じられます。ピノ程の厚みは無くブランドブランの様な繊細さはなく、中庸なボディ。王道的なシャンパーニュではないかと思う。


生産者: ビルカール サルモン
銘柄: キュヴェ ニコラ フランソワ ビルカール ブリュット 2002
品種: ピノノワール65%、 シャルドネ35%

12000円、WA94pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸、豊かな泡立ち。
グランキュヴェ同様、極めて甘露で優美なシャンパーニュ。品の良い柔らかなミネラルがある。洋梨や赤リンゴの様な核種系の蜜の様な豊かな果実味。アーモンドやバニラ、白い花の要素など。甘露な印象から徐々にアプリコットなどの熟した果実の旨味が現れてくる。
口に含むと分厚い旨味とシャープな酸味が感じられる。柑橘系とハチミツの様な清涼感のある余韻を残す。ギュッと引き締まった凝縮感とシャープな酸、優美な香りを両立した優れたシャンパーニュ。


ビルカールサルモンはスタンダードキュヴェもいいんですよね。
スタンダードのブリュット レゼルヴ NVは50%のピノ ムニエがアッセンブラージュされています。他のキュヴェはほぼピノノワールとシャルドネで構成されていて、ムニエが入っているのはこのブリュットレゼルヴ、ドゥミセック(50%)、ブリュット ロゼ(10%)のみとなります。(ブラン ド ブラン、エリザベス、ニコラ フランソワ、グランキュヴェ、クロ サン ティレールには含まれていません)
その為、かなりピノムニエに起因する味わいが前面に出ている印象です。
ニコラ フランソワが甘美な果実味と蜜の様な風味が主体であるのに対して、柑橘系のフレッシュな果実味が主体になっています。
酸は力強いですが、シャルドネの様なシャープさはあまりなくて、もうすこし太い印象。
ミネラルや樽も感じられますが、ニコラ フランソワと比べると、かなり控えめ。
全体的に熟成感とミネラル、果実味を前に押し出した上位キュヴェに対して、若々しさとフレッシュさが前に出た形になっています。
ちなみにこのノンヴィンテージ、リザーブワインが40%程度、という話でしたが、その割にはリザーブワインの熟成した感じが無い様な気が。
ひょっとしたら、ここ2,3年のリザーブワインを中心にアッセンブラージュしてるのかもしれません。フレッシュな雰囲気を出すにはその方が適切だと思います。
クリュッグやアンリ ジローみたいにノンヴィンテージにして酸化熟成っぽさを出すものもありますが、そこは酒蔵の方向性ですよねえ。
少なくともビルカール サルモンはこれらの酒蔵とは別の哲学を持っていることが分かります。そして、それはニコラフランソワやグランキュヴェに至るまで一貫しています。

この方向性が好きな人にとっては最上のシャンパーニュと言えると思います。

ビルカール サルモン ブリュット レゼルヴ NV

ビルカール サルモン ブリュット レゼルヴ NV
価格:6,100円(税5%込、送料別)



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【シャンパーニュ:22】アンリ ジロー、ビルカール サルモン、NM最高峰のミレジムを利く

こんにちは、HKOでございます。
またまた引き続きシャンパーニュでございます。NMのアンリジローのスタンダードキュヴェであるエスプリ ド ジロー、フラッグシップのアルゴンヌ。ビルカールサルモンのキュヴェ ニコラ フランソワ ビルカールの3本です。

アンリ ジローはアイ村に拠点を置くネゴシアンマニピュラン。フランソワ エマールによって1625年設立されました。
以前から非常に高い評価を受けていたNMですが、ここのところ日本向けにも解禁されたようで、たまに見かけるようになりました。
フラッグシップはこのアルゴンヌとフュ ド シェーヌ。共に単一ヴィンテージとなります。アイ村で産出されたブドウは完熟するのを待って全て手摘みし、果汁の圧搾後は低温浸透法が行われ、清澄されて瓶詰めされる。瓶内発酵時に生じた澱は手作業でが取り除かれます。またフュ ド シェーヌのアルゴンヌ産木樽12ヶ月熟成+6年瓶内熟成に対して、アルゴンヌは土壌が異なる2種類のアルゴンヌ産木樽で一次発酵後12ヶ月熟成+8年瓶内熟成と、熟成期間と樽材が異なっています。

ビルカール サルモンは1818年にニコラ フランソワ ビルカールとエリザベス サルモンによって設立されたメゾン。
ワインの葡萄は10haの自社畑(ピノノワールのみ)、30haの35の自社以外の畑、140haの契約農家の畑から産出されています。(ピノノワール、シャルドネはモンターニュ ド ランス地区とコート ド ブラン地区、ピノムニエはヴァレ ド ラ マルヌ地区から作られています。)
自社畑から作られるピノ ノワールはマレイユ シュール アイ村と特級のアンボネイ村産で収量は40~45ha/L程度。今回のキュヴェ ニコラ フランソワ ビルカールは良年のみ生産され、シャルドネはコート ド ブラン地区、ピノ ノワールはモンターニュ ド ランス地区の特級畑100%(を使用。
醸造はブルゴーニュのバリック樽で行い、コールド スタビライゼーション方式を採用、作られたワインは白亜質の天然セラーで12度の温度で寝かせられています。10年間瓶内熟成を経て出荷されます。


生産者: ビルカール サルモン
銘柄: キュヴェ ニコラ フランソワ ビルカール ブリュット 2002
品種: ピノノワール65%、 シャルドネ35%

12000円、WA94pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸、豊かな泡立ち。
グランキュヴェ同様、極めて甘露で優美なシャンパーニュ。品の良い柔らかなミネラルがある。洋梨や赤リンゴの様な核種系の蜜の様な豊かな果実味。アーモンドやバニラ、白い花の要素など。甘露な印象から徐々にアプリコットなどの熟した果実の旨味が現れてくる。
口に含むと分厚い旨味とシャープな酸味が感じられる。柑橘系とハチミツの様な清涼感のある余韻を残す。ギュッと引き締まった凝縮感とシャープな酸、優美な香りを両立した優れたシャンパーニュ。


生産者: アンリ ジロー
銘柄: エスプリ ブリュット NV
品種: ピノノワール70%、シャルドネ30%

7000円、WA88pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は低い。
アンリ ジローのフラッグシップ級に見て取れる酸化熟成香と樽のニュアンスはやや控えめで、全体的にフレッシュな印象を受ける。
アンリ ジローのあの濃厚な風味を期待すると、少し期待外れにも感じるかも。フレッシュハーブや白胡椒、ライムやリンゴの果実味、ほのかなバターの要素が感じられる。上位キュヴェの素晴らしい造りを鑑みるとやや平凡なシャンパーニュとも感じられる。
酸味は穏やか、旨味も比較的感じられるがやや凡庸にも感じられる。


生産者: アンリ ジロー
銘柄: アルゴンヌ 2002
品種: ピノノワール70%、シャルドネ30%

35000円
外観は濃い黄金色、粘性は中庸、豊かな泡立ち。
この中では最も異質なシャンパーニュ。
木樽発酵の酸化促進による熟成感が感じられる。アプリコット、赤リンゴなどを想起させるピノノワールの濃厚な旨味。アーモンドや濡れた木材の様な強烈なトースティーな香り。この中だと突出して濃厚でパワフル、樽が強い印象を受ける。そしてドライハーブや白胡椒、シャンピニオンなど。
まだ甘露さはあまり感じられず、旨味が突出するドライな味わいになっている。酸味は穏やかできめ細かいをカラメル、木樽やナッツ、アプリコットのアフターが感じられる。


やっぱりビルカール サルモンとアンリジローの品質はメチャクチャ高いですね。
アンリジローとビルカール サルモンの方向性は全く違いますが、双方ともシャンパーニュ最高峰とも言える味わいだと思います。

共通点としてはピノノワールのセパージュ比率が高い事。
そして双方ともフレンチオーク樽を使って醸造を行っている点です。
アリエやアルゴンヌなどの樽材の違いはありそうですが、基本ステンレスタンクでの醸造がメジャーなシャンパーニュとしては珍しい比較的スタイルと言えます。

ただ最も大きい違いを生み出している点はやはり熟成の部分でしょうか。
長期の瓶熟成(10年間)を行うビルカール サルモンに対して、アンリジローは一定期間(12ヶ月程度)樽での熟成を行います。その後8年間の瓶熟成を行っています。

そのため、ニコラ フランソワ ビルカールに対して、アルゴンヌはより力強いトースティーでアーモンドやナッツを想起させる樽香や酸化熟成の強烈な旨味が感じられます。
ボディ自体も突出して厚く、粘度も高い印象です。重厚かつ強烈な樽香、酸化熟成香が感じられるシャンパーニュです。
対してニコラ フランソワ ビルカールは(アルゴンヌに比べると)ちょっとクリーンな印象を受けます。もちろん一般的なシャンパーニュに比べると樽がしっかりと感じられますが。
どちらかといえば蜜の様な豊かな果実味や、アプリコットの様な充実した旨味、凝縮感などの果実本来の味わいがとても豊かななのが、特徴的だと思います。ミネラルや白い花の要素など、あくまで一般的なシャンパーニュの延長線上にあるスタイルだと思います。
そのため同一ヴィンテージですがアンリ ジローほどの酸化熟成感は見られず、あくまで2002年のミレジムとして常識的な範囲での熟成感だと思います。いいですね、素晴らしいです。

シャンパーニュとしてのバランス感覚を維持しながら豊かな果実味を楽しめるニコラ フランソワ ビルカール。
樽と酸化熟成感を際立たせた強靭なボディを持つアルゴンヌ。

アンリ ジローはノンヴィンテージのものでも結構リザーブワインをしっかりと使う印象(但しエスプリは上記の通り除く)だし、ビルカールサルモンはどのキュヴェを飲んでも果実味が豊かなスタイル。
メゾンのスタイルはスタンダードキュヴェに至るまでほぼ一貫性が感じられますね。









【シャンパーニュ:21】アルフレッド グラシアン、堅実なNMの実力

こんにちは、HKOです。
まだまだ引き続きシャンパーニュです。
NM、アルフレッド グラシアン3種です。

アルフレッドグラシアンは1800年代からエペルネに本拠を構えるメゾンで、ブジー、アンボネイ、レ・メニル・シュール・オジェなどの自社畑1.73haと60を超える契約農家から葡萄を購入して醸造するネゴシアンスタイルをとっています。契約農家のものは試飲して品質チェックしています。ぶどうはシャブリの生産者が使用した228リットルの旧樽で樽内発酵、樽熟成を行う。バトナージュやマロラクティック醗酵は行わない。リザーブワインの比率は少なめ。瓶熟成は48ヶ月から72ヶ月。
フラッグシップのパラディはアヴィーズ、クラマンのシャルドネを65%使用しています。今回はブリュット、ブリュットナチュレ、パラディの2種です。


生産者: アルフレッド グラシアン
銘柄: ブリュット NV
品種: シャルドネ45%、ピノムニエ43%、ピノノワール12%

7500円、WA88pt
外観は淡いストローイエローで、粘性は低い。
シャープでミネラリーな印象を受けるシャンパーニュ。青リンゴや柑橘系の果実味、硬いミネラルが全体の印象を引き締めている。繊細な白い花やフレッシュハーブの風味、徐々に甘露な蜜やヘーゼルナッツ、リコリスなどの要素が表出。
酸味はシャープで旨味は充実している。レモンや青リンゴの豊かな酸を感じさせるアフター。ミネラリーでなかなか芯のあるシャンパーニュ。


生産者: アルフレッド グラシアン
銘柄: ブリュット ナチュレ NV
品種: シャルドネ41%、ピノノワール32%、ピノムニエ27%

8000円
外観は淡いストローイエローで粘性は低い。
ノンドサージュだが、ブリュットNVに比べると、ミネラルが控えめで、やや甘みのある香りが感じられる。
ピノムニエの含有率が少ないからだろうか。
赤リンゴやアンズの旨味と酸味が感じられる果実味、ドライハーブ、濡れた木やバター。わずかに酸化熟成感が感じられる。
酸味は穏やかだが、ピノノワール的な旨味は綺麗に突出している。ブリュットよりバランスは良好。濡れた木やアンズのアフターが感じられる。


生産者: アルフレッド グラシアン
銘柄: キュヴェ パラディ ブリュット 2006
品種: シャルドネ65%、ピノノワール35%

20000円、WA92pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
まだ若々しいがブリュットNVやナチュレNVと比べると高いポテンシャルが感じられる。
樽によるロースト香、硬いミネラル、ハーブがしっかりと表出している、ややシャープな印象を受ける。(たた実際の酸味はそこまで高くない)
石の様なミネラル感、熟したリンゴや洋梨の果実味、豊かなローストナッツやバターの風味が感じられる。バニラや出汁風の旨味も感じ取ることができる。
酸味は穏やかだが、旨味は充実。リンゴや樽のニュアンスの余韻が残る。流石に通常ヴィンテージと比べるとかなりよくできていると思う。


アルフレッド グラシアンはネゴシアンの中でも結構異彩を放っている生産者だと思います。例えば100%樽発酵樽熟成の部分であるとか、マロラクティック発酵を行わないとか、リザーブワイン比率が少ないとか、ひとつひとつの要素はたまに見かけるんだけど、これだけ変わった要素があるというのも珍しいです。
ただ味わいとしては醸造がしっかり出ていて、いずれもシャープでクリーンな中にナッツなどの樽の要素が感じられます。ただ、露骨にスモーキーだったりトースティーだったりする訳ではなく分別を弁えたレベル。多分旧樽だからでしょうね、露骨に樽がバシッと効いている訳ではありません。
ブリュットはムニエの比率が高いからかシャープさが前に出ていて、ミネラリーでクリーンですね。そこに樽が乗っている感じです。
対してナチュレはムニエの比率が下がりピノノワールの比率が高くなっています。
故なのか、ブリュットと比較するとかなり果実味、ボディ、旨味が感じられます。例えば赤リンゴやアンズの様な風味は、どことなく比率が増したピノノワールっぽい様な気がします。
シャープな印象を受けるブリュットに比べると、甘露でバランスに優れたシャンパーニュだと思います。
パラディはフラッグシップらしく、この中では突出した味わいが感じられます。
熟した果実味と、前述のキュヴェに対して突出した樽香、ミネラル感。
柔らかさや甘露さで言うならばナチュレNVの方がか強めに感じられるが、トップキュヴェはそれらがより引き締まり、ややシャーブな印象を受けます。より密度が高まった感じでしょうか。また旨味も充実しています。

個人的にはナチュレNVが好みで、完成度が高いと感じたのはパラディです。
なかなかいいとは思うんですが、全体的な作りがストライクな感じではないので、いいシャンパーニュだな、くらいの印象です。



【シャンパーニュ:20】優美さと豊満さを両立した蕩けるシャルドネ、リュイナール ブラン ド ブラン2種を利く

こんにちは、HKOです。
本日から3回はNMをレポートいたします。

しかし、ここのところのシャンパーニュの集中テイスティングをして改めて感じるのが、NMの品質の安定感と品質の高さです。

そもそも家族経営のRMは作付面積もNM程大きくなく、買い葡萄を使用するという代替手段を取らない、メゾンの方が保有しているリューディごとのリザーブワインの種類が多い(メゾンの歴史の長さとか作付面積の広さなどによる)など、特にNVに関してはNM程の広い選択肢を持てないのが現実です。同じ理由でミレジムに関しても同様で各村のアッセンブラージュの点でも選択肢は狭いと言えるでしょう。※キャッシュフローに関してはこの際置いておきます。
よってシャンパーニュにおいては、生産者のセンスさえあれば、概ね事業規模=品質というのが当てはまる。ホント、センスさえあれば。いくら素材を選びたい放題でもブレンドのセンスがなければ最終的には良いものは作れませんからねえ。
ただ勿論RMにはRMには良い所があって、作付面積が狭いからこそ栽培に目が行き届き、拠点のテロワールを熟知している。よって単一村のミレジムに関してはそれこそ対等の勝負、本当の力を発揮します。こちらもセンスがあれば、ですが。ピエールカロみたいに極小の作付面積でも高レベルのワインは作られますけどね。最終的な出来はやはり生産者だと思います。
この構図はなかなかおもしろいですよね。
今回はリュイナール。NMとしてはいわゆる超大手メゾンほどの規模感は無いですが、相当レベルの高い造りをしていると思います。

リュイナールは、1729年にベネディクト派修道僧であるドン ティエリー リュイナールが創設した老舗メゾン。伝統的なシャンパーニュの製法で作られており、繊細なコート ド ブラン、パワフルなモンターニュ ド ランスのグランクリュのシャルドネを100%使用。地下のクレイエルで一定の温度を保ちながら、最低3年間、フラッグシップのドン リュイナールになると8年間もの瓶内でゆっくりと熟成させてから出荷されます。

では、いってみましょう。

生産者: リュイナール
銘柄: リュイナール ブラン ド ブラン NV
品種: シャルドネ100%

9000円、WA91pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は低い。熟した果実の様な蕩ける様な甘露さ、そして華やかさを併せ持ったブラン ド ブラン。ミネラルは柔らかく、摩り下ろした赤リンゴ、洋梨の甘露な果実味、そしてフレッシュハーブやナッツ、白胡椒のニュアンス。繊細さと熟した豊満な果実味が両立している。ボリューミーな酸味と旨味があり蜜の様な甘露さと柑橘系のアフターを残す。
繊細でありながら豊満な味わいのシャルドネ。

生産者: リュイナール
銘柄: ドン リュイナール 2002
品種: シャルドネ100%

24000円、WA96pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は低い。
新世界の白ワインかと思うような豊かなロースト香、リッチな果実味が感じられるブラン ド ブラン。
ルイナールを超える強い甘露さがあり洋梨やマンゴー、それと均整を取るようなローストナッツ、ノワゼットの様なリッチな樽香が感じられる。石を砕いたようなミネラル感が全体を引き締めており、バター、フレッシュハーブ、バニラ、シナモンなどの要素も包含している。
旨味の規模感はノンヴィンテージより広がりがあり、やや酸味も強く、確かな骨格が感じられる。洋梨やミネラル、ナッツの余韻が残る。王道ブラン ド ブランに力強い樽香を加えたシャンパーニュ。


もともとリュイナールのブラン ド ブランはメチャクチャ好きなんですが、ドン リュイナール、半端なくいいです。
そもそもリュイナールの基本的なスタイルとしては、極めてリッチな果実味があり、かつフレッシュさや繊細さといった部分を両立したシャンパーニュだと思います。セロスやクリュッグなどの酸化ニュアンス系とは真逆。複雑さよりクリーンさが際立つ味わい。
ドン リュイナールはそのスタイルの果実味の規模感を増大させつつ、フレンチオークのトースティーな香りが付加されより複雑になった印象を受けます。詳しいデータはわかりませんが、二次発酵前の何処かのタイミングで樽で寝かせていることは間違いないかと。
単純な印象としてはシャンパーニュのムルソーペリエール。
旨味やミネラルの広がりもあり、ブラン ド ブランの一つの頂点的な味わいとも思えます。テタンジェのコント ド シャンパーニュが果実味重視に対して、樽の豊かなニュアンスが付加されることによって特異な存在感を放っている。
素晴らしいシャンパーニュです。
あと10年も熟成したら、それは凄いことになるんだろうなあ、という印象を受けます。


【シャンパーニュ:19】ピエール ペテルスの優秀なノンヴィンテージ、メニルシュールオジェを利く

こんにちは、HKOです。
引き続きシャンパーニュです。これで4回連続。まだまだ続きます。でもレコルタンマニピュランはとりあえずこれでおしまいかな。
次回からはネゴシアン マニピュランです。

さて、レコルタンのラストはピエールペテルスのエクストラブリュット グランクリュです。ノンヴィンテージ表記ですか、実情は単一ヴィンテージとの噂。どのヴィンテージかはわかりませんが...リザーブワインっぽさはなかったので、比較的最近の単一ヴィンテージじゃないかと思ってます。

ピエール ペテルスは1840年創業のレコルタンマニピュラン。ドメーヌ本詰めは1929年から始めています。1932年に現在のフラッグシップとなるメニルの小区画レ シェティヨンを取得。現在は17.5haの自社畑を保有しておりヴーヴクリコの元醸造長ジャックペテルスのサポートの元、ロドルフ ペテルスが指揮を取っています。
マスセレクションで選ばれた平均樹齢35年から65年の葡萄の木を使用。栽培はリュットリゾネを実践している。畑で選果を行った後、グラビティフローで自然にプレスされた果汁は10~12°Cで、18~20時間静置しデブルバージュ、10~11°Cで長期間ステンレスタンクでリューディーごとに発酵する。シュールリー状態で定期的にアエレーションを行い6ヶ月熟成。100%マロラクティック発酵の後、リザーブワインを加えて瓶内二次発酵。
使用されるリザーブワインは約30%(勿論NVのみ)、ソレラ方式で良年14ヴィンテージをブレンド。今回のグランクリュは瓶内熟成を32ヶ月行う。
ル メニル シュール オジェ60%、アヴィーズ、クラマン40%を使用。


生産者: ピエール ペテルス
銘柄: キュヴェ エクストラ ブリュット ブラン ド ブラン グランクリュ NV
品種: シャルドネ100%

7500円
外観は淡いストローイエローで粘性は低い。
こちらも極めて甘露で華やかなシャルドネの風味が感じられる。ただかなりミネラル分が強く感じられ、引き締まった印象を受ける。
石灰の様なミネラル、バニラ、ナッツと共に洋梨や熟したリンゴ、穏やかなバターの風味が感じられる。カマンベールやフレッシュハーブの要素も包含。
ミネラル感が強いブラン ド ブランで口当たりはメニル シュール オジェらしく極めてシャープ。香りの甘露さに対して張り詰めた様な酸味が感じられる。繊細だが、芯のあるボディで、ミネラルやリンゴ、柑橘系の余韻が感じられる。


いや、ここに書いてあることが全てではあるのですが。
飲んだ時に、「あれ、ノンヴィンテージなのに、あまり酸化熟成感ないなー、リザーブワインが若いか、それとも比率少ないのかな?」っていう感覚はあって、ちょっと不思議に思いました。リザーブワインを使ったシャンパーニュって酸が若々しいのに複雑な熟成のニュアンスがあるんですが、今回のワインは酸と香り、味わいのバランスがミレジムっぽかったんですよね。
よってかなりいい感じのシャンパーニュでした。
香りはふくよかなのに酸は繊細でシャープ。またそのミネラル感によってかなり引き締まった印象を受けます。マロラクティック発酵による柔らかさは香りのみに反映されている感じ。芯があるエッジーなシャンパーニュです。それでいて甘露な香りとのバランスがなかなかいい。完全ステンレスなのに何故か感じる樽っぽさはよくわかりませんが...
かなりよく出来たシャンパーニュだと思います。ギィシャルルマーニュに近いかも。


【シャンパーニュ:18】ド スーザ ペール エ フィス。ミネラルを極めたノンヴィンテージ3種を利く

こんにちは、HKOです。
しばらくはシャンパーニュばかりになります。スティルワインファンの皆様、大変申し訳ございません。
ブルゴーニュはちょっと体力的(=金額的)に厳しくなってきたので...ボチボチになるかも。
いやあ、2009、2010年っていう良ヴィンテージを今より安い値段で経験出来て良かった..本当に。ボルドーはもうハナから無理です、はい。
今回はド スーザでございます。


ド スーザはアヴィーズ村に拠点を置くレコルタン マニピュラン。
醸造責任者はエリック ド スーザとミシェル ド スーザ。100%石灰土壌の9.2haを保有し、作付け比率はシャルドネ60% ピノノワール30% ピノムニエ10%で平均樹齢は40年以上、古いものは50-70年の古木も。
栽培はビオディナミと有機栽培を併用している。
トラディションはアヴィズ、メニルシュールオジェ、オジェ、クラマンのぶどうを、レゼルヴグランクリュはアヴィズ、メニルシュールオジェ、クラマン、オジェ、シュイィのシャルドネ100%(30%はフレンチオークで熟成させたリザーブワイン)を使用している。
ロゼはグローヴのシャルドネ、アイのコトーシャンプノワ(フレンチオーク12ヶ月熟成のピノノワール)で構成。
フラッグシップはキュヴェ デ コーダリー。


生産者: ド スーザ ペール エ フィス
銘柄:トラディション ブリュット NV
品種: シャルドネ50%、ピノノワール40%、ピノムニエ10%

7400円
外観は淡いストローイエロー、粘性はやや中庸。若干の酸化熟成を感じられる香り。
濡れた木材やナッツ、ドライハーブ、石のようなミネラルが先行して感じられ、旨味と甘露さが伴うリンゴやアプリコットの果実がある。バターの風味はやや控えめで、どちらかというと果実味がしっかりと感じられる。シナモンなどの要素も。
膨らみのある旨味があり、酸味はきめ細やか、ただ受ける印象はシャープでリンゴやハーブの余韻が残る。
酸化熟成に起因する旨味を包含した、シャープで繊細なシャンパーニュ。


生産者: ド スーザ ペール エ フィス
銘柄:レゼルヴ グランクリュブラン ド ブラン NV
品種: シャルドネ100%

9000円、WA92pt
アヴィーズ、シュイィ、オジェ、メニル シュール オジェ、クラマンの混醸。
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
やや酸化熟成を帯びたトラディションに対して、こちらは非常にブラン ド ブランらしく瑞々しい極めて甘露でシロップの様な風味が感じられる。石灰の様なミネラルが全体を引き締めており、洋梨や熟したリンゴの豊かな果実味、白い花の風味が融和。フレッシュハーブ、ローストナッツ、控えめなバターの要素が感じられる。
トラディションに対して果実味が豊かであり、甘露かつシャープめの仕上がり。こちらもリザーブワインに起因するものか、豊かな旨味が感じることができる。リンゴやミネラル、ハーブのアフターがある。


生産者: ド スーザ ペール エ フィス
銘柄:ロゼ ブリュット NV
品種: シャルドネ92%、ピノノワール8%

9000円
外観は淡いピンク、粘性は低い。
非常に素晴らしいロゼで、豊かなミネラル感と共に木苺やクランベリーとの様な瑞々しい果実味、そして樹木やスミレ、クローヴの風味。バニラ、シナモンの風味。甘露さは強くないものの、その分極めて瑞々しく華やかな要素が強調されたロゼ。
口に含むと豊かな酸味が感じられ、木材とスパイス、黒胡椒、そして豊かな旨味が広がっていく。繊細系ピノ、ブラン ド ブランが好きな人にフィットしやすい味わい。


さすがド スーザ、下位のキュヴェでも十分過ぎる程良い。特にコーダリーに継ぐレゼルヴ ブラン ド ブランのミネラル感は素晴らしい。
今回、3種いずれもセパージュ、スタイルが異なっており、一概に簡単に比較を出来ないのですが、全体的としてはミネラルが漲ったスタイルのシャンパーニュを作っていると思います。リザーブワインの量も多めで、特にトラディションは酸化熟成香が強く感じられました。
逆にレゼルヴはそんなに酸化熟成香は感じられず、力強くシャープで、かつ甘露な香りが主体となっている様に感じました。旨味がしっかりとあり、ブラン ド ブランなんだけど、ピノノワールが入っている様なボディ。リザーブワインが影響しているかもしれませんね。こちらもミネラルがバシッと効いた感じの味わいでした。
そして個人的に最も気に入ったのが、このロゼ。
ロゼの芯の太さ、パワフルさはあまりなく、どちらかといえば、その華やかさだけ抽出した様な繊細な味わいのロゼ。
基本ブラン ド ブランの骨格、繊細さ、豊かな酸がありながら、香りに控えめなロゼの要素がある。瑞々しい木苺やクランベリーなどの赤い小果実、そしてスミレやオークのニュアンス。限りなくブラン ド ブランに近いロゼ。旨味はまだトラディションやレゼルヴの方が力強く、極めてキュートな味わいが感じられます。この中では一番気に入りました。

コント ド シャンパーニュやリュイナール、アグラパールあたりと比べると、もっと果実味主体というよりミネラル寄りだし、ギィ シャルルマーニュあたりと比べるとシャープさより厚いボディがある。アランロベールと比べると旨味は適切だと思います。
なかなか相対で似たものはないのですが、旨味がしっかりある、ミネラリーなシャルドネといった認識です。
どの要素も適度でバランスを取っているシャンパーニュといった感じ。
そういう意味でいうと、レベルは高いのですが、上記のワインと比べると印象には残りにくいかな...と。
逆にこの繊細で牧歌的なロゼがとても心に残りました。
フラッグシップにコーダリー ロゼがあるのですが、そちらがとても気になります。




ド・スーザ・ブリュット・ロゼ 750ml

ド・スーザ・ブリュット・ロゼ 750ml
価格:5,376円(税5%込、送料別)


【シャンパーニュ: 17】高品質レコルタン4種テイスティング

こんにちは、HKOです。
本日もシャンパーニュ、ルネジョフロワ、エリックロデズ、エグリウーリエ、ヴィルマールのRM4種類。

ルネ ジョフロワは1600年代よりキュミエールに拠点を置くRM。現在の当主はジャン バティスト ジョフロワ氏。
栽培は15年前よりオーガニック栽培を行っており、葉落としなどの処理を行い十分にメンテナンスを行っている。全ての区画の収穫を1週間おきに3回行い、熟したぶどうのみを収穫する。醸造は伝統的な圧搾で、規定2550Lに対し、わずか1700Lの上質なジュースしか使用しない。区画やプレス毎にオークの大樽にて発酵。シュールリーで熟成後ブレンドされる。その後瓶内二次発酵を経てリリースされます。

エリック ロデスはアンボネイに拠点を置くレコルタン マニピュラン。
現当主のエリック ロデズはブルゴーニュの醸造学校、ボジョレーとローヌのドメーヌを経て、クリュッグの醸造長を担当。畑とテロワールを重視したスタイルで、テロワールにあわせた改植、リュットレゾネを実践し、クリュッグ譲りの樽使いやアッサンブラージュで仕込みます。
今回のアンボネイ グランクリュはブジ-に隣接した南向きの斜面、表土の薄い南東向きの斜面を内包している。古樽を中心にステンレス、新樽で発酵を行った後、48~60ヶ月瓶熟を経て出荷されます。

エグリ ウーリエはアンボネイ村に拠点を置くRMのスター生産者。現在はフランシス エグリが指揮を取っている。農薬は使用せず、有機肥料を用いて手作業ですべての畑の手入れを行い、完熟した葡萄を収穫します。
醸造後はドミニクローラン指導の新樽発酵。46ヶ月(ヴィーニュ ヴリニィは36ヶ月)の新瓶内熟成、ドサージュは僅か3~4.5g/lです。
今回の2本はいずれも2012年デコルジュマン。ブリュット ドラディションはアンボネイ、ヴージィ、ヴェルズネイの特級畑の混醸。アンボネイ南向き緩斜面に植えられた平均樹齢40年の古樹のピノ・ノワールを使用。フラッグシップはブラン ド ノワール レ クレイエール、グランクリュ ミレジム、VP。今回はスタンダードなブリュット トラディション グランクリュ、ちょっと変わり種のムニエ100%のプルミエクリュ ヴィーニュ ド ヴリニィです。

ヴィルマールは1890年よりリリー ラ モンターニュに設立されたRM。現当主はローラン ヴィルマール。
保有している畑は11ha。樹齢50年、年間生産本数は約7000ケースです。栽培はビオロジックを実践し、厳密な収量制限を行い凝縮度の高いぶどうのみを収穫します。
醸造に関しては発酵、熟成共に木製樽を使用します。ノンヴィンテージは全て大樽で、ヴィンテージはバリック新樽で熟成、60-96ヶ月瓶内熟成を経てリリースされます。

では、いってみましょう。


生産者: ルネ ジョフロワ
銘柄: キュミエール プルミエクリュ エクスプレッション ブリュット NV
品種: ピノムニエ50%、ピノノワール40%、シャルドネ10%

5000円、WA89pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は高い。泡は穏やかに立ち上る。
豊かな甘露さとリッチさがあるシャンパーニュ。ドライアプリコット、洋梨の果実味。そしてリコリス、カシューナッツの風味。焦がしバター、白檀、大蒜などの風味。
酸味や旨味は柔らかく、熟成ポテンシャルはさほど高くないが、現在飲むシャンパーニュとしては十分楽しめるものとなっている。アプリコットや濡れた木材のアフターが感じられる。価格帯としては結構お得感のあるシャンパーニュだと思う。


生産者: エリック ロデス
銘柄: アンボネイ グランクリュ キュヴェ デ クレイエール NV
品種: ピノノワール50%、シャルドネ50%

5800円
外観はやや濃い目のイエロー、粘性は高い。泡は力強く立ち上る。
相変わらずエリックロデスのシャンパーニュは美味い。ノンヴィンテージにして素晴らしい味わいだと思う。
ミネラルがありつつピノノワールの強力な旨味が感じられる味わい。
熟したリンゴの様な果実味、綺麗な花の蜜の様な甘露さがある。石を砕いた様なミネラルがあり、フレッシュハーブ、イースト、白胡椒の要素も感じられる。
非常に力強い旨味があるが、酸味は柔らかい。リンゴやミネラルのアフターが感じられる。


生産者: エグリ ウーリエ
銘柄: ブリュット グランクリュ ミレジム 1999
品種: ピノノワール70%、シャルドネ30%

18000円、WA93pt
アンボネイ100%。外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸、豊かな泡立ち。
この中だと最も強い熟成感が感じられる。
出汁風の旨味があり、シャンピニオン、焼いた帆立の要素。アプリコットやカリンの旨味に満ちた果実味。ドライハーブ、白胡椒、ヘーゼルナッツ、白檀などの要素がある。熟成による旨味が中心に現れており、徐々にシロップの様な甘露さが主体となってくる。
ビルカール サルモン程では無いにせよ、こちらも極めて甘露、旨味が際立つが、酸味はきめ細やかで穏やかに感じられる。熟したリンゴやナッツの余韻が残る。


生産者: ヴィルマール
生産者: リリー ラ モンターニュ プルミエクリュ クール ド キュヴェ 2005
品種: ピノノワール80%、シャルドネ20%

18000円、WA95pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸、豊かな泡立ち。
徐々に甘露になっていくギィ シャルルマーニュのスタイルに対してより堅牢なミネラルやハーブ、白い花、旨味が突出。
多めのピノノワールに起因する熟したリンゴ、レモンの様な厚い旨味と酸味を伴う果実味。豊かなナッツや杏仁豆腐、白檀。バターの風味。フレッシュハーブ、シャンピニオンの要素が感じられる。
酸は極めて豊かで、リンゴやレモンの強烈な旨味を感じさせるアフターがある。口当たりも香りもシャープ、ただ突出した厚みも併せ持ったシャンパーニュ。


この4本、あまり共通点はありません。
ヴィンテージもセパージュもテロワールもてんでバラバラで比較になりません。でも大体のスタイルは見極める事が出来ました。

まず、ルネジョフロワ。
これが値段に対して結構良い出来で、なかなかリッチで心地よい甘露さが感じられるシャンパーニュで、シュールリーのトースティな風味も。ただシュールリーとしては酸味が柔らかで、かつバターリーな風味があるので、ひょっとしたらリザーブワインが多めなのかもしれません。
現段階としては酸味、旨味が柔らかく、豊満な果実味があるので、比較的今飲んでとても美味しいシャンパーニュになっていると思います。

次エリックロデズ。
流石に美味い。繊細な甘露さと凝縮した旨味、しっかりとしたミネラル感を感じさせる。ここはアンボネイに拠点を置いているからかピノノワール主体の事が多いのだけど、セパージュ半々なのにも関わらずピノノワールの要素がかなり出ている印象を受ける。
ギュッと引き締まった旨味が魅力的で値段を鑑みるとかなりお得感がある印象をうけますね。ここはミレジムも大変美味しいので個人的にはとても気に入っています。

次にエグリウーリエのミレジム。1999とかなり古いヴィンテージです。アンボネイのシャルドネとピノノワール100%。
最も熟成感が感じられ出汁やシャンピニオン、焼き帆立の様な際立った旨味が感じられます。引き締まった太い酸味を伴う果実味が特徴的で、徐々に心地よいシロップの様な甘露さが伴ってきます。比較的若いヴィンテージでも甘露さより旨味を強く感じられる生産者なので、たまに最上の熟成シャンパーニュに見られる、官能的な甘露さはありません。
順当な熟成と言えると思います。
熟成により酸味は穏やかになっています。
全体の印象としては凝縮感と旨味を主体とした作りのミレジムだったと思います。
こちらもピノノワールらしい部分が大きいですね。

最後、ヴィルマール。
穏やかな甘露さがありながら、最も際立つのが豊かな酸、ミネラル、白い花の様な華やかさ。
優雅で流麗な印象でありながら、ピノノワールらしい力強い酸味や旨味が感じられます。結構樽やMLFの要素が感じられますが、全体的にはかなりシャープに仕上がっていると思います。もともとの含有pHが違うのか。
堅牢で鋭い印象を受けるコルトン シャルルマーニュ的な味わいだと思いました。

やはりピノノワールを使ったシャンパーニュは酸と旨味の厚みが違いますね。
シャルドネ単一の華やかさ、繊細さ、甘露さは最高ですが、こうしたしっかりとしたボディはシャルドネ単一だと中々出ないものです。またピノノワール単体では繊細さや華やかさが足りないと感じる時もあります。やはりピノとシャルドネの混醸は偉大ですね...!






【シャンパーニュ: 16】ギィ シャルルマーニュ、メニルシュールオジェの本懐を利く

こんにちは、HKOです。
最近ワインを飲む機会が減っていってます。
まあ今までは飲み過ぎだったので、マイペースで地道に更新していきますね。
今回から3回はシャンパーニュになります。
初回はギィ シャルルマーニュのスタンダードキュヴェ、そしてフラッグシップのメニレジメの2本になります。

ギィ シャルルマーニュは1892年、メニル シュール オジェに創業したSR。現当主はフィリップ シャルルマーニュ。
自身が拠点を置くメニル シュール オジェ(とオジェ)最上の立地から良質なブラン ド ブランを生み出しています。
特にフラッグシップのメニレジメは、メニル シュール オジェ中腹の区画のみから収穫したトップキュヴェになります。
発酵には区画単位の最新鋭の温度管理ステンレスタンクを使用(メニレジメは木製樽)、マロラクティック発酵は行わず60ヶ月の瓶熟成の後にリリースされます。

では、いってみましょう。


生産者: ギィ シャルルマーニュ
銘柄: グランクリュ メニル シュール オジェ NV

品種: シャルドネ100%
6300円、WA89pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸で泡は穏やかに立ち上る。
豊かなミネラル感と白い花の風味があり、基本的にミレジムに近い印象だが、ミレジム程の果実味の集中力はなく、ほのかに甘露で柑橘系のシャープさ、ミネラルが感じられる味わい。よく熟した赤リンゴ、白い花やフレッシュハーブ、リコリス。そして僅かなナッツの味わい。MLFに起因する要素はあまり感じられない。
酸味と旨味は極めて豊かで、熟成によって丸みを帯びたミレジムと比較して極めてシャープな印象を受ける。赤リンゴを感じさせる酸味と旨味を伴うアフター。


生産者: ギィ シャルルマーニュ
銘柄: メレジメ ブラン ド ブラン2004
品種: シャルドネ100%

13000円、WA93pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸、豊かな泡立ちがある。
豊満な果実味がありながら、ブラン ド ブランらしい清涼感のある華やかな白い花、そして強いミネラルが感じられる。
果実味は豊かだが、舌触りはシャープで、香りと共に内側に凝縮していく様な印象を受ける。グラスの時間経過で極めて甘露に変容していく。
華やかな白い花のニュアンスにに対して、洋梨やマンゴーの甘露な果実味。バニラ、シナモンや焼き栗の要素、ナッツ、フレッシュハーブの要素も感じられる。こちらもMLFに起因する要素はあまり感じられないが、幾分か熟成により丸みを帯びている印象。
旨味は穏やか、酸味はややシャープ。リンゴやレモンのフレッシュな果実のアフターが残る。シャープな口当たりと極めて甘露な香りが感じられる。


全体的な印象としては香りは華やかで繊細、酸と旨味はかなりシャープ、といった感じです。
極めてブラン ド ブラン的な味わいで、マロラクティック発酵に起因するバターリーな風味はあまり感じられないと思います。これがシャープさのポイントですかね。
メニル シュール オジェの特徴であるシャープネス、エッジーさが醸造技術の面からも再現されていると感じました。
まずはスタンダードキュヴェのメニル シュール オジェのノンヴィンテージ。
豊かなミネラル感、白い花やシャープな果実味があり、あまりリザーブワインは使われていない印象です。樽はミネラルやシャープさを崩さない程度に控えめに効いており、スタンダードキュヴェでも、メニル シュール オジェの特徴がしっかりと再現されていると感じました。
次はメニレジメ。メニル シュール オジェの最良の区画から作られたシングルヴィンテージ。こちらもシャープネスを感じますが、極めて果実味の充実度は高く、特に香りにそのリッチな果実味が現れています。また樽はスタンダードキュヴェと比べるとかなり前に出ており、焼き栗の様な要素も感じられます。幾分かの熟成起因の要素もありますが、基本的にはまだまだ若々しい印象を受けるシャンパーニュだと思います。
この華やかでミネラルに満ちた繊細な味わいは、マロラクティック発酵が無いにせよ、極めてブラン ド ブラン的な味わいのシャンパーニュだと思います。果実味が充実しているのも良いですね。
基本的にはノンヴィンテージ、シングルヴィンテージともに自身のポリシーに基づいたエレガントなシャンパーニュになっていると思います。



【日本:4】話題の月山ワインを飲んでみた。

こんにちは、HKOです。
山形の嫁の実家に帰って、初孫を見せてきました。初孫でテンションが上がってるおじいちゃん、おばあちゃんを見るのは大変微笑ましいのですが、山形弁を刷り込むのはやめてほしい...!なんか喃語も山形弁っぽい響になってきているような...?
あと僕全然言ってることわかんないです。

さて、だいたい出張なり旅行なり里帰りをすると現地のワイナリーを試したくなります。
今回は山形なので妥当に考えれば高畠ワイナリーかタケダワイナリーか...ただそれもあまり芸が無いし、折角庄内にワイナリーがあるのだから、道の駅で見かけた月山ワインにしようと。

ここのところ急激に高い評価を受け始めたワイナリーですが、どんな感じなのか、飲んでみました。


生産者: 月山ワイン
銘柄: 甲州 シュール リー 2012

1500円
外観は僅かに茶色がかった透明色、粘性は低い。
吟醸香っぽいメロンの様な風味とシャープなカリン、ライチの様な柑橘系の風味が感じられる。液体密度は低めで甲州らしく、酸が立っている。旨味は充実している。
シロップのような要素もあるんだけど、グラスに注ぐとすぐに消えてしまう。
口に含むと柑橘系のアロマが広がるが、これもまた密度がやや低い感じもした。
ここのところ品質を伸ばしていると聞いていたが、もう少し凝縮度を高められると良いかも。ただちゃんと作っているぞ、という気概は感じられるので、これからに期待したい。


とても丁寧に作られていますが、ちょっと密度が足りないような気がしました。旨味と酸味はしっかりとあるのですが、香りの立ち方がいまひとつという印象。
ひょっとしたら道の駅での保存状態が悪かったのかなんなのか...
ただ至る所に光る部分があってクリーンな酸や旨味は良く出ているし、酵母由来の甘い香りもなかなか良いなと思いました。
願わくばこれらの良いアロマがグラスで長い時間保持してくれればいいんですが。

白もそうなんですが、赤も美味しいらしいのでまた試してみたいと思います。

【ブルゴーニュ:63】オリヴィエ ルフレーヴ 2010,2011テイスティング Part2

こんにちは、HKOです。
昨日に引き続き、オリヴィエ ルフレーヴのテイスティングレポートです。本日は村名シャサーニュ、ムルソーシャルム、シャンガン、ガレンヌ、そしてモンラッシェです。

オリヴィエ ルフレーヴ フレールは、故ヴァンサン ルフレーヴの甥であるオリヴィエ ルフレーヴによって1984年に設立されたネゴシアン部門。ポートフォリオは幅広く、コート ド ボーヌの白を中心に、ヴォルネイやポマールなどの赤をリリースしています。
買いぶどうは信頼できる栽培農家に収穫日、栽培方法を指定し、厳密に管理したぶどうを購入しています。複数農家から買い上げたぶどうは瓶詰め直前までブレンドされず、畑の特徴を考慮しながらブレンドされます。
※全てが買いぶどうでは無く、一部の畑(ムルソーポリュゾやクロサンマルクらは自社畑)
シャブリは20%手収穫、平均樹齢25年、平均収量は60hl/ha、ステンレスタンクで9カ月。
村名ヴォルネイは100%手収穫、平均樹齢40年、25%新樽で16カ月。
村名シャサーニュは100%手収穫、平均樹齢30年、平均収量は58hl/ha、25%新樽で16カ月。
シャルムは100%手収穫、平均樹齢30年、平均収量は52hl/ha。30%新樽で17カ月。
ガレンヌは100%手収穫、平均樹齢40年、平均収量は57hl/ha。25%新樽で18カ月。
シャンガンは100%手収穫、平均樹齢20年、平均収量は57hl/ha。25%新樽で16カ月。
モンラッシェは100%手収穫、平均樹齢40年、平均収量は47hl/ha。30%新樽で18カ月。
清澄の後瓶詰めされます。

ではいってみましょう。

生産者: オリヴィエ ルフレーヴ
銘柄: シャサーニュ モンラッシェ 2010

6000円、WA90pt(2007)
2010年の恩恵か。他の1級群と比較しても、良く熟した果実の甘露さが突出して現れている。ただ他のピュリニー1級群に対してアロマの落ち込みの速さが際立った。ポテンシャルの違いかもしれない。
豊かな果実味に起因する甘露なシロップや花の蜜、カリンや熟した洋梨のアロマ。バニラやバター、ローストナッツ、フレッシュハーブの要素。全体的にリッチなシャサーニュで豊かな果実味に加え、MLFと樽の要素がしっかりと前に出ている。
酸味は厚みがありパワフル。しっかりとした密度と旨味があり洋梨や柑橘系の余韻を残す。村名としてはかなりよくできている印象。


生産者: オリヴィエ ルフレーヴ
銘柄: ムルソー プルミエクリュ シャルム 2011

9000円、WA87pt(2006)
充実した果実味があるが、2010村名シャサーニュほどではない。よりミネラルと、バターやナッツなどこオイリーな要素が強いムルソー。
バターやオイル、ヘーゼルナッツ、シャンピニオンなどの醸造的な要素と、石を砕いた様なミネラルが中心となり、核種系果実の蜜を思わせるカリンや洋梨の豊かな果実味。徐々に焦がしたバターやシロップが現れる、フレッシュハーブやシナモンのアロマも。
酸味は厚みがありリッチ。ただし村名シャサーニュや他の1級群と比較すると密度は低く、柑橘系のアロマやミネラルの余韻が残る。2010年の村名の良さを考えると、やや厳しい味わいか。ムルソーシャルムとしては凡庸な品質と言わざるを得ない。


生産者: オリヴィエ ルフレーヴ
銘柄: ピュリニー モンラッシェ プルミエクリュ レ シャンガン 2011

9500円、WA90pt(2007)
本領発揮はピュリニーの1級以上だった。
シャンガンは、シャサーニュ以上の果実味がありながら、よりその体躯は引き締まっている。非常にチョーキーでありながら、凝縮した甘露なシロップ、花の蜜、そしてナッツなどの樽香が感じられる。
前述のワインと比較して、マロラクティック発酵のニュアンスより果実味が前に出ている印象を受ける。
液面は石を砕いた様な強靭なミネラルが漲っており、それと張り合うような濃厚な核種系の蜜と凝縮感のある洋梨やカリンの果実味が感じられる。そしてバターや塩ナッツの要素、白い花やフレッシュハーブの風味が感じられる。酸味は十分に感じられるが、シャープさは無くなっていて、厚みの方が際立って感じられる。柑橘系と甘露な果実味、ミネラルのアフター。よく凝縮しておりレベルの高いシャンガンだと思う。


生産者: オリヴィエ ルフレーヴ
銘柄: ピュリニー モンラッシェ プルミエクリュ ガレンヌ 2011

9500円
シャンガン同様引き締まった印象があるが、チョーキーなシャンガンに対して、ガレンヌは果実味が前に出ている。より甘露でシロップや蜜の要素が前に出ている。
こちらもバターなどの醸造的要素を果実味が凌駕し、甘露さや凝縮感が全面に表れている。
洋梨、黄桃などの核種系果実のコンポートが如き甘露さや凝縮感があり、それに対して白い花や石の様なミネラル感が調和している。バニラや控えめなバター、ナッツ、フレッシュなハーブなど。さまざまな要素が緻密に結合している。
シャンガン同様、酸味はシャープさより旨味や厚みが前に出ており、柑橘系や強烈なミネラル、バターのアフターが感じられる。リッチでありながら、全体的に引き締まった味わい。極めて完成度の高いワインだと思う。


生産者: オリヴィエ ルフレーヴ
銘柄: モンラッシェ グランクリュ 2011

48000円、WA93-95pt(2000)
張り詰めたミネラルがあり極めてチョーキー。そうした側面がありながら凝縮感のある強烈な果実味。リッチで豊満なタイプの果実味ではないが、その凝縮感とピュアさはむしろ冷たさや硬質さすら感じさせる。時間が経過しても全く落ち込む事はなく、その形は不動。
この6本の中では当然ながら最も力強い果実味がある。しかしながら、放射的な方向ではなく、内に留まる力強い方向。リッチさではなく凝縮感がある。
液面全体を覆うように張り詰めたミネラル感、洋梨や黄桃のコンポートの様なリッチで豊満な果実味、白い花、塩を降ったナッツ、焦がしたバター。フレッシュハーブ、バニラなどのアロマ。さながらブランデーの如く力強いり徐々に樽が豊満な果実味と調和。
時間経過で香りは全く揺らがない、強靭な体躯。
今までのワインとは粘度が異なり、液体に重量感がある。従って自ずと酸味に厚みが現れて、シャープさは柔らかく感じられる。
強烈な厚みがあり、柑橘系や白い花、ミネラルを感じさせられるアフター。分厚く重厚な味わいなシャルドネ。


まずファーストインプレッションから行くと下記の通り。

・村名シャサーニュモンラッシェ
2010年なりの豊かな果実味、リッチで豊満な印象。樽香は控えめ、MLFの要素は強く感じられる。ミネラルはシャサーニュとしては一般的なレベル。

・ムルソーシャルム
果実味に対して樽香、MLFが過剰に効いている印象。液体密度が低めで釣り合いが取れていない。ミネラルが不足している為、全体的に緩い印象のシャルム。

・ピュリニー1級 シャンガン
張り詰めたミネラル、充実した果実味、MLFの要素を感じるが、受ける印象はリッチな豊満さではなく、高い液体密度や凝縮度と、それに伴うミネラル感による緊張感。

・ピュリニー1級 ガレンヌ
シャンガンと比較すると凝縮した甘露な果実味がある。MLFの要素は同程度。ミネラルはやや控えめ。しかし全体的な印象としては、シャンガン同様緊張感を伴う高い液体密度と凝縮感を感じさせる。

・モンラッシェ
ミネラル、果実味、樽香、全ての水準で他の1級群を凌駕。
極まった液体密度は粘度にまで影響している。ミネラルは他のワインと比べても突出しているものの、高い果実味とMLFの影響で、過度に張り詰めた印象は受けない。極めて重厚なワイン。時間経過における変化は殆ど無く、その長熟さを示唆している。

大まかに上記の様な印象を受けました。
この中で唯一別扱いとしなくてはいけないのはヴィンテージが異なる村名シャサーニュですね。
村名シャサーニュの特徴である充実したリッチな果実味がありますが、作柄によるものなのか、意識的なものなのかは分かりません。ただ凝縮感があるかないかは別として果実味は後述のピュリニー1級とまずまず良い勝負をしているように感じました。もう少しミネラルが感じられれば新世界では代替できない良いワインになっていたかもしれませんが。

次に1級群と特級モンラッシェですね。
ここでムルソーシャルムが別扱いになりますかね、村が違うので。
実際作りとしても別扱いした方がいいのかな。ムルソーシャルムは正直厳しい感じだなあ、と思いました。
ムルソーシャルムはムルソー1級ではトップ3に入る偉大な畑で、その豊満さが特徴です。ミネラリーなペリエールと逆の性質を持つわいんですけども、このムルソーは樽やMLFはしっかりと感じ取れるんですけど、肝心の果実味とか液体密度がちょっと低い...
先述の要素に負けてしまっている様な印象を受けます。時間が経つとリッチな香りが感じられるんですが、液体密度が低いのは変わらず。後述のピュリニー1級が素晴らしかっただけに、ちょっと残念な感じでしたね。
2011年は確かムルソー、ヴォルネイに雹が降ってダメージを受けた年でしたので、場合によっては熟度の低い果実が含まれていたのかもしれません。ムルソーシャルムというブランドに対してちょっと不足感の残る出来でした。
次はピュリニー1級とモンラッシェです。
これがムルソーシャルムと比べて、どのキュヴェも密度に全くの不満なし。大変素晴らしいワインでした。
特にガレンヌとシャンガンの違い、そしてモンラッシェの偉大さを端的にそれぞれ示して大変ピュリニーのテロワールがわかりやすい形になっています。
シャンガンはモンラッシェに次いでガチッとしたミネラルに満ちていて、ミネラルの薄皮を剥ぐと目の詰まった果実味があります。シャサーニュの様に膨らんだリッチさではなく、より密度が高く凝縮しています。MLFと樽の要素は相対的に控えめに感じられます。
よってピュアでミネラリーなピュリニーのテロワールを緻密に再現していると思います。
そもそもシュヴァリエより高い標高にあるので冷涼な出来になるんですよね。
ガレンヌも同様に高い標高にあるプルミエクリュですが、ミネラルはシャンガンに比べると幾分か薄めですが、全体を引き締める十分な分は包含していると思います。その分果実味が剥き出しになっていて極めて甘露です。
同じくMLFや樽の要素は相対的に控えめに感じられます。ガレンヌとシャンガンはピュリニー全体を見たら同方向を向いていると思いますが、やはりこの2本にはかなりの違いがありますね。
モンラッシェはそもそも粘度がこれらのワインと比べて違います。最上のワインに現れる、ハチミツの様なあの粘度。この点に関しては間違いなくモンラッシェだなーと。
ミネラル、果実味、生育に関する部分は全く申し分なく、醸造に起因する樽やMLFもしっかり効いています。
故に全ての要素が力強く、それが高水準で均整が取れています。そして最も驚くのが、時間経過でヘタレない部分ですかね。1時間ぐらいグラスで放置していても硬さはほぐれないし、香りも変わりません。かなりの長熟も期待できるとは思います。重厚かつ端正なモンラッシェです。

さて、全体でオリヴィエルフレーヴを見てみると、幾つか見えてくるものがあります。
1:基本的に果実の熟度は高い。
2:ピュリニー、シャサーニュに関してはテロワールに即した作り。
3:逆に他のアペラシオンはやや凡庸(ムルソー含む)
4:赤もあまり得意ではないみたい。
5:ヴィンテージに結構左右される。

そんな感じだと思います。
勿論品質は日々向上するので以降のヴィンテージで同一かは分かりませんが、所感としては良いヴィンテージのピュリニー、シャサーニュに関しては一線級のレベルを保っていると思います。
そう考えると結構お買い得かもしれませんね。ムルソーも2009年、2010年だといい感じなのかなあ。飲んでみたいなあ。







【ブルゴーニュ:62】オリヴィエ ルフレーヴ 2010,2011テイスティング Part1

こんにちは、HKOです。本日から2回に渡ってオリヴィエ ルフレーヴ フレールのテイスティングレポートをお送りします。
オリヴィエ ルフレーヴは某Eで強烈にプッシュされてる生産者なんですが、個人的にドメーヌ ルフレーヴとはあんまり関係ないのに大きく出たんなあ...とあまりいい印象を持っていませんでした。所詮甥がやってるネゴスですからね。
勿論この手の関係者が作るワインって一定の水準は保たれている訳ですけども、大体は本家には遠く及ばないという事が多いです。クロードデュガのジブリオット然り、ジャイエジル然り、ローランルーミエ然り、です。
今回のオリヴィエもご多分に漏れず、まあそんな感じなんですけれども、それでも個人的に思っていた品質よりはかなり良くて結構見直した所はあります。

オリヴィエ ルフレーヴ フレールは、故ヴァンサン ルフレーヴの甥であるオリヴィエ ルフレーヴによって1984年に設立されたネゴシアン部門。ポートフォリオは幅広く、コート ド ボーヌの白を中心に、ヴォルネイやポマールなどの赤をリリースしています。
買いぶどうは信頼できる栽培農家に収穫日、栽培方法を指定し、厳密に管理したぶどうを購入しています。複数農家から買い上げたぶどうは瓶詰め直前までブレンドされず、畑の特徴を考慮しながらブレンドされます。
※全てが買いぶどうでは無く、一部の畑(ムルソーポリュゾやクロサンマルクら)は自社畑。
シャブリは20%手収穫、平均樹齢25年、平均収量は60hl/ha、ステンレスタンクで9カ月。
村名ヴォルネイは100%手収穫、平均樹齢40年、25%新樽で16カ月。
村名シャサーニュは100%手収穫、平均樹齢30年、平均収量は58hl/ha、25%新樽で16カ月。
シャルムは100%手収穫、平均樹齢30年、平均収量は52hl/ha。30%新樽で17カ月。
ガレンヌは100%手収穫、平均樹齢40年、平均収量は57hl/ha。25%新樽で18カ月。
シャンガンは100%手収穫、平均樹齢20年、平均収量は57hl/ha。25%新樽で16カ月。
モンラッシェは100%手収穫、平均樹齢40年、平均収量は47hl/ha。30%新樽で18カ月。
清澄の後瓶詰めされます。


今回は赤のヴォルネイ、白はシャブリです。
次回は虎の子のピュリニーモンラッシェ1級2種類、シャサーニュモンラッシェ村名、ムルソー1級、そして特級モンラッシェの5種類をレポートしていきます。

さていってみましょう。


生産者: オリヴィエ ルフレーヴ
銘柄: ヴォルネイ 2011

5000円
外観は赤みの強い淡いルビー、粘性は中庸。
ヴォルネイらしい特徴がよく表れている。一線級の生産者の様に充実した果実味がある訳ではないが、抽出による華やかさ、かつアーシーな印象を受ける。
ダークチェリーやブルーベリーの黒い小果実の果皮の要素、バニラや花の蜜の様なほのかな甘み、鉄釘やなめし革のニュアンスを中心として、土や濡れた木材、枯葉のアロマが感じられる。またクローヴなどのスパイシーさもある。
酸味はシャープで、ややギザギザした実感を感じる。タンニンは柔らかい。しっかりとした旨味がある。比較的大雑把にも見える作りだが、堅実で王道的なヴォルネイであると思う。片一方で平凡な作りとも言える。


生産者: オリヴィエ ルフレーヴ
銘柄: シャブリ レ ドゥー リヴ 2011

3700円、WA86pt(2006)
樽やマロラクティック発酵の要素はあまり感じられず、ピュアな果実味が際立っている。ミネラルの包含量としてはピュリニー1級クラス程ではないにせよ、しっかりとした石灰の様なミネラル感があり、樽やMLFの要素がオミットされている事によってミネラルは際立って感じられる。シャブリらしいシャブリであると思う。
ライムやカリンの清涼感のある果実味。花の蜜の様なほのかな甘露さ、白い花やフレッシュハーブなどの要素が感じられる。
構成はとてもシンプルだが、果実の熟度はそこそこ高い。酸味は柔らかく穏やかで、口に含むと柑橘系の心地よい甘さが感じられる。
フレッシュなアロマがありながら、酸味にシャープさは感じられない。柔らかいタッチのシャブリ。


うん、ここらへんはまあ普通の作りですね。
堅実と言えば堅実ですが、それ故に各アペラシオン平均値において突出する部分が無いワインだと思います。
ただ良い点を幾つか上げるとすれば、まず値段ですね。某Eさん直販だと微妙に毎年値上がり傾向なんですが、普通に買えばヴォルネイは3000円台、シャブリは2000円台で買えるので、決して損をした気分にはならないんですよね。安いから。流石に直販価格はシンドイですが。
そしてもう一点、アペラシオンがわかりやすく再現されていること。この後に控えるシャサーニュ、ピュリニー、ムルソーもそうなんですがシャブリとコートドボーヌの白は明らかに作り方を変えているし、コートドボーヌにおいては極端に醸造を大きく変えない事で、その特徴が自然に再現されています。
年によって微妙なブレは出そうですが。
さてまずヴォルネイ。
繊細でアーシーなヴォルネイの特徴を良く抑えていると思います。果実の凝縮度に若干の不満は残りますが、まあこんなもんだと思います。果実味に不足があるので、抽出部分はやや際立つ印象を受けます。新樽の影響はあまり感じられず、どちらかというと旧樽の影響の方が気になりますね。フレッシュかつアーシーさが出ています。2011年のボーヌ、特にムルソーは雹に見舞われましたので、出来としては妥当かもしれません。
2010年だと結構違いがでるかもしれませんね。
次にシャブリ。
これはもう、全くコートドボーヌと異なっています。テロワールというより醸造部分による影響が大きすぎる。新樽、マロラクティック発酵の要素が全く感じられない。シャブリとしてはスタンダードな作りですね。ウィリアムフェーブルとかそこらへんと同じスタイル。フランソワラヴノーやドーヴィサとは真逆の作りと言って良いでしょう。
ただ意外と果実味があって、シャブリらしいシャープさがトレードオフされている所が気になります。シャブリのシャープさを求めている人には若干物足りないかもしれません。
とはいえ、これもスタイルとして納得できれば決して悪い出来ではないと思います。
ピュアだけど冷涼感はないですね。自ずとミネラルも控えめに感じられるんですよね。
とはいえ新樽をたっぷり使った没個性のシャブリよりよっぽど良いと思いますが。
勿論ドーヴィサやラヴノーはワインとしての完成度が際立って高いので、それはそれ、ですが。

次回はいよいよ本丸のシャサーニュ、ピュリニー、ムルソーの3つのアペラシオンを追っていきます。


【アルザス・ロワール:5 】ディディエ ダグノー、熟成した希少ボトル。ビュイッソン ルナール 1999

こんにちは、HKOです。
本日はディディエダグノーの熟成ビュイッソン ルナールです。

ディディエ ダグノーは、1983年に様々なキャリアを経てプイィフュメにドメーヌを興します。93年から有機栽培を始め、いわゆるソーヴィニヨンブランの枠組みを大きく飛び越える卓抜したプイィフュメを一貫して作り続けています。作付面積は11haほどで、その最高の区画である「シレックス」ヴィーニュフランセーズを使用した「ピュール サン」がフラッグシップとしてリリースされています。有機農法、大人数での手摘み収穫や選果。収穫した葡萄はプレス後、ステンレスタンクで2日間寝かせた後、22度まで温度を上げながら10-12日間木樽でアルコール発酵。マロラクティック発酵はしない。新樽20%-30%程度で12ヶ月シュールリーで熟成し、更に4~8ヶ月間の間ステンレスタンクで熟成する。最長で20ヶ月程度の熟成期間を経て、瓶詰めされ出荷されます。

では、いってみましょう。


生産者: ディディエ ダグノー
銘柄: ブラン フュメ ド プイィビュイッソン ルナール 1999
品種: ソーヴィニヨンブラン100%

27000円、WA92-93pt(2009)
外観はストローイエロー、粘性は低く、僅かに微発泡している。
僅かにフォキシーフレーヴァー。ミネラルはかなり溶け込んでいるが、硬質なタッチは変わらない。石灰や石油の様なミネラル、熟したマスカットやカリンの甘露な果実味。マロラクティックに起因する要素は感じられない。そしてローストナッツやキノコ、アスパラガス。ムスクや白い花などの要素。
ソーヴィニヨンブランの瑞々しい要素とミネラルがしっかりと結合しておりボディに強烈な厚みを感じることが出来る。
酸はシャープなタッチを残しながら柔らかでマスカットやカリンの果実の余韻を残して行く。

シレックスとピュールサンの中間に位置するプイィフュメ。ダグノーのワインは若い時分その強烈なミネラルで飲み手を拒むが、熟成により本質を見せる。
今回の1999はその本質を見せるかと思ったがまだまだ若かった。
僅かに微発泡している。
若いワインならともかく15年近く熟成して発泡しているメカニズムがわからない。瓶内二次発酵の様に酵母がボトル内に潜んでいたのか。しかしそれなら澱があるはずだがボトル内に浮遊物は無かった。二酸化炭素が液体に溶け込んでいて、抜栓と同時に発生したのかも。熟成が遅いのは微発泡によって瓶内の酸素が減っている事にに起因しているのかも。
全体的にはムスクやフォキシーフレーバー、そしてミネラルが中心となっていて、熟成の要素はあまり感じられなかった。
酸とミネラルがダグノーのワインとしては穏やかだったので、その基準からすると、アロマには大きく反映していなくても、確かに熟成はしていたのかも。ただ最も良い状態になるまで、あと10年は必要かもしれない。
シレックス、ピュールサンと比べるとミネラルの含有量が異なる。シレックスが岩の様なミネラルだとしたらビュイッソン ルナールは石灰の様なミネラル。ピュールサンもビュイッソンルナールに近い。
全体的に最新ヴィンテージの方が品質自体は高い様に感じられる。
とはいえソーヴィニヨンブランにおいては突出した品質を持っているのも確か。
より古いヴィンテージで検証したいものだなあ。ドメーヌ興したての頃のヴィンテージまで遡らないとダメかもわからんね。




【シャンパーニュ: 15】ラ コート オー ザンファン、グランダネ ロゼの要素を探る

こんにちは、HKOです。
本日はボランジェ唯一のコトーシャンプノワ、コート オー ザンファンです。
コトーシャンプノワはシャンパーニュで作られるスティルワインの総称AOC。
有数のピノノワール、シャルドネの生産地であり基本的に単一品種で仕込まれる事が多い事から、アッセンブラージュやリザーブワインによって見えにくくなる産地のテロワールを色濃く感じ取れる素晴らしいキュヴェです。誤魔化しは効きませんが、エグリウーリエやマリー ノエル ルドリュなどの優良生産者が作るコトーシャンプノワはシャンパーニュのテロワールを極めてわかりやすい形で教えてくれます。

ボランジェは1829年にジャック ボランジェによって設立されたメゾン。1884年からは英国ロイヤルワラントを取得しています。フラッグシップはグランダネ、R.D、そしてヴィエイユヴィーニュフランセーズ。
葡萄は160haの自社畑から供給されています。
コート オー ザンファンはアイの中心部に位置する1haに満たない小区画から生産されるピノノワール100%のスティルワイン。当たり年にのみ生産され、グランダネ ロゼにもアッセンブラージュされる重要なキュヴェでもあります。低温浸漬の後、10-20日間オーク古樽(3-5年樽)でのアルコール発酵、その後24ヶ月熟成の熟成の後瓶詰されます。

ではいってみましょう!

生産者:ボランジェ
銘柄: コトーシャンプノワ ラ コート オー ザンファン 1997
品種: ピノノワール100%

12600円、91-94pt(2009)
外観は淡いルビー、粘性は中庸。
適度な熟成を経て、極めて繊細かつ旨味に満ちた優美なピノノワールとなっている。
トリュフや濡れた土、樹皮、クローヴやリコリス、そして獣香を感じさせる熟成したニュアンス。
しかしながら熟成香のみに覆われているわけではなく、極めて果実味とのバランスが良く瑞々しく華やかなブルーベリーやダークチェリーなどの黒系小果実の風味が混じり合う。スミレのドライフラワーや紅茶、ナツメグなどの要素も。
繊細で旨味に満ちた酸味があり、きめ細やかなタンニンがあり、ハーブやクローヴ、ブルーベリーのアフター。さながら熟成ヴォルネイを想起させる優れたピノノワールだ。


いいピノノワールですね、熟成も丁度良く、さながらヴォルネイ1級の如き繊細かつピュアで、アーシーな味わい。
果実味は熟成によってかなりの割合が旨味に転化しているものの、低温浸漬の恩恵か、黒系果実の果皮やドライフラワーを思わせる華やかさはまだまだ健在、そしてそこにトリュフや濡れた土や樹皮、獣香が絡み合う。
つまり甘い果実味とタンニンを失った代わりに旨味と繊細な酸、ボディに。トースティな要素はトリュフや濡れた樹皮に。熟成(もしくは酵母)による獣香によってこのワインは構成されている。
この繊細さやボディ、旨味の感じはよく熟成したフーリエのワインにも似ていますね。
ただこちらはフーリエほど削ぎ落とされたピュアさがあるわけではなく、より良い意味で雑味があります。それがヴォルネイっぽいんですよね。もう少し熟成するとまた少し変わるかもしれませんね。
しかしディジョン以北のシャンパーニュでブルゴーニュ並みのピノノワールが作れるってのは凄いですね。正確に言えばどのピノノワールも繊細であるのですが、決して引けを取らないワインを作っていると思います。

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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