【ブルゴーニュ: 65】ブルゴーニュ熟成の頂点、J.L トラペの特級シャンベルタン

こんにちは、HKOです。
先日素晴らしいブルゴーニュをご相伴させて頂きました。
今日の2本はその際に供されたワインなのですが、抜栓は小生が行わせて頂きました。
お恥ずかしい限りですが80年代のワインの抜栓は、まあほぼ100%失敗してます。
90年代以降のワインはあまり失敗したことがないのですが。
今回、シャンベルタンというクラス感もあり、かなり緊張しました。


キャップシールを剥がし、カビと汚れを拭く。


プルタップスの2段階ソムリエナイフを中心部に差し込み抜栓。
おっ、行けるかなーとコルク側面を見るとやーな亀裂が。


あっ



失敗しました。
期待を裏切らない処理...仕方ないので、コルクを貫通させて、残りを引っ張り上げる事になんとか成功。若干コルクかすが落ちたものの、なんとかいい状態で抜けたと思います。

これだから古酒は難しい...

それはさておき、今回のワインに行きます。


ジャン ルイ トラペは非常に有名なジュヴレシャンベルタンの生産者です。
一時評価を落としましたが、また徐々に現在は高い評価を戻しつつあり、96年からビオディナミを始めています。
春に厳しい摘芽を実施、収量の制限を行い凝縮した葡萄を収穫しています。
収穫した葡萄は30.%除梗され、低温浸漬の後、ピジャージュを行いながら2.3週間アルコール発酵を行います。
重力で樽貯蔵庫に移され30−70%の新樽比率で15ヶ月程度の熟成を行う。区画は特級シャンベルタンから村名格まで。

ユベールリニエはモレ サン ドニの代表的な生産者。ユベールが高齢の為、息子のロマン リニエが畑を引き続いだが、34歳にして他界。現在は引退したユベールとロマンの弟ローランがドメーヌを運営しています。代表的な畑はクロ ド ラ ロッシュとシャルム シャンベルタンの2枚看板。比較的広い地域の畑を保有している様ですが。
樹齢は30年から40年ほどの古木が中心。栽培は有機農法。収量を抑えて収穫されたぶどうは100%除梗。低温浸漬を、1週間弱。アルコール発酵は2~3週間程度。ピジャージュ回数も比較的多めに行い、しっかりと色素、構成要素の抽出をおこなう。
新樽の割合は1級、特級で50%で熟成する。無濾過、無清澄で瓶詰めを行う。

では行ってみましょう。


生産者: ユベール リニエ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ レ ポワゼ 2010

外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
若いワインだが、グロフィエのワインにも似たエキス感のあるブルゴーニュに感じられる。それでいて果実味は豊かで甘露さがある。果皮の要素、旨みが凝縮し調和している。熟したダークチェリー、ブラックベリーなどの果実味。果皮によるスミレの華やかな要素、マロラクティック発酵に起因するミルクティーなどの要素が前に出ている。またクローヴや土っぽさ、紅茶、なめし革、 ローズヒップティーなど。焼いた木材の様な香りを若干感じるが、極端に樽っぽさはあまり感じられない。
旨味と酸味は突出している。
ユベールリニエのワイン全体に言えるが、酸と旨みと調和が素晴らしい。タンニンは柔らかく、イチゴやクランベリーなどの赤系果実の果実味のアフターが広がって行く。
ボディはしなやかで凝縮感がある。


生産者: ジャン ルイ トラペ
銘柄: シャンベルタン グランクリュ 1982

外観は透明感のある橙色、粘性は低い。
樽、タンニン、酸、果実味が有機的に絡み合い、変化し、その上で余計な要素はすべて削ぎ落とされた、ほぼ完璧な熟成ブルゴーニュ。相応熟成感はあるものの、まだまたポテンシャルは残している状態。強烈なエキス感、旨みの凝縮度が極めて高い状態にある。
熟成によりエキス感に変化した梅しばやアセロラ、イチジクなどの濃密な果実味が。そして濡れた木やスーボワ、枯葉などの複雑な樽から変化した要素、出汁の香り。トリュフ。ドライハーブや動物的なムスクや毛皮。オレンジ。多様なの要素が結合し、一塊となって立ち上ってくる。
酸やタンニンは熟成によって極めて柔らかくなっており、緻密できめ細かい。球体のタッチ。口に含むとアセロラや梅、クローヴなどの優美かつ凝縮したエキス感が広がる。素晴らしい熟成ブルゴーニュ。


まずユベールリニエ。
2010年はその他にシャルムシャンベルタン、シャンボール ミュジニー1級シャビオを飲んだことがあります。
その時にシャルムとシャビオの色調が全く違う事に驚かされましたが、今回のポワゼは大体その中間、ややシャルム寄りの濃い色調となっています。
味わいは外観通りで、果皮の要素が感じられるのですが、その本質は全キュヴェに共通の巧みなエキス感の抽出の仕方だと思います。
シャビオならブルーベリーやイチゴジャム、シャルムならブラックベリーやプラム、
ポワゼならダークチェリーやブラックベリーの瑞々しく凝縮した果実味が感じられます。
その後にマロラクティック発酵によって発生した乳酸系の風味や樽に起因する紅茶の要素が現れます。
ユベールリニエとしては大体この様な骨子のワインになっているわけですが、キュヴェごとに細かく構成する要素が異なっています。
例えばシャルムは突出した黒系果実の完熟度があり、それでいて堅牢な果皮の強烈な華やかが感じられます。またシャンボールなら最低限の抽出だけで樽と乳酸系の風味、瑞々しいる赤系の果実味の結合が感じられます。(これが極端にシャンボールの生産者の作り方によく似ているんですよね)
今回のニュイはシャルムの熟度や抽出をやや落として樽と乳酸系の要素を前に出した味わいになっていると思います。
シャンボールはきっと異端なんですかね。
シャルムと同一線上にある味わいだと思いました。実際男性的なニュイ サン ジョルジュの印象を考えると妥当な表現で、やはり極端にテロワールを表現を上手い生産者だな、と思いました。
しかしポワゼって村名の畑なのですが、なぜかコルクには一級畑の焼印...適当だなー。


次にシャンベルタン。
これがぐうの音も出ない程の完璧な熟成ブルゴーニュでした。
上にも書きましたが、樽、タンニン、酸、果実味が有機的に絡み合い、経年変化し、その上で余計な要素はすべて削ぎ落とされた、岩清水たるワイン。
トラペのシャンベルタンは2009、そして2001(tasting at 2012)を飲んだことがあります。
最新ヴィンテージの傾向としては、抽出及び果実の熟度、は平均よりやや高めで、樽のロースト香がしっかりと感じられます。また強烈な密度も特徴的です。甘露な果実感を内包しながら樽と果皮によってガッチリ堅牢になっているシャンベルタンといった印象をうけました。

9年熟成はどうかというと、かなり熟成香が現れてきているのですが、樽と果実の残滓が今だ力強く残っており、甘露ではあるのですが、ややタニックかつ酸が目立ちます。
果実味、樽、酸、タンニンはバラバラのバランスで存在しており、バランスが取れているとはあまり思えません。

それらの前提を置いた上で今回のワインを見ると、タンニンと酸はほぼ抜け切っており、残ったエキス感、酸から転化した強烈な旨味成分、濡れたアーシーな要素が調和が取れた状態で存在しています。重さや硬さが存在しない。
よくシャンベルタンを示す言葉に「ビロードに包まれた鉄の拳」というのがありますが、ビロードも手甲も無い、純粋な掌がそこにあります。
限りなく純粋で静かな威厳をもったシャンベルタン。しかして王の勅命が如く広域にまで広がる余韻。
恐ろしいワインです。
決して80年代のトラペの評価は高くないですが、熟成によってここまでのポテンシャルを発揮するワインですから、評価を見直していいんでは...と少し思ってしまいますね。
ギイアッカのワインも再評価傾向にありますから。
「無責任な話だよなあ、徹底的に排斥したのはどこのどいつだよ...」とか思いつつ、評論家の意義も分かるし、未来の事なんて誰も見渡せないのだから、せめて大声で「これはダメだ」って言わない様にしよう、と自戒しました。
いや、素晴らしいシャンベルタンでした。





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【カリフォルニア:20】希少なコングスガードのカベルネとヴェリテのデジールを利く



こんにちは、HKOです。
今回はカリフォルニアのボルドー品種を使ったワイン2種です。
コングスガードのカベルネソーヴィニヨン、ヴェリテのデジールの2本です。

コングスガードはナパヴァレーに拠点を置くカルトワイナリー。
主にシャルドネ、シラー、ヴィオニエ、ルーサンヌ、カベルネ ソーヴィニヨンを産出していますが、このワイナリーは何と言ってもシャルドネ。ハドソンヴィンヤード、ハイドヴィンヤード(クローンはオールド ウェンテ クローン)から提供を受けており、グリーンハーヴェストによって収量は一般的なワイナリーの約半分。さらに厳格な選果が行われ、100%ブルゴーニュ産のフレンチオークで22ヶ月熟成、無濾過、無清張で瓶詰めされます。フラッグシップはシャルドネを使用したザ ジャッジ。
今回は年産わずか120ケースの幻のキュヴェ、カベルネソーヴィニヨン。アトラスピークにある自社畑コングスガード ヴィンヤード100%。

ヴェリテはソノマ カウンティ、アレキサンダー ヴァレーに畑を保有する生産者で、
ケンダル ジャクソンのジェス ジャクソンとが、ロワールやボルドーで経験を詰んだピエール セイヤンによって設立された生産者。ヴェリテはソノマ カウンティの特に優れた4つの区画を保有しており、ポムロール、ポイヤック、サンテミリオンなどの銘醸地のスタイルを元にした、ボルドーブレンドのワインを生産しています。
メルロー主体のミューズ、カベルネフラン主体のデジール、カベルネソーヴィニヨン主体のジョワがフラッグシップとなり、2007年にはその全てでパーカーポイント100点を達成しています。
海抜100フィートから2,400フィートまで、それぞれ異なる土壌でブドウを栽培し 醸造。
今回のデジールはチョークヒル58%、アレキサンダーヴァレー42%のブドウを使用。
醸造後、最も良いブレンドを決定した後、新樽比率100%のフレンチオークで15ヶ月から18ヶ月熟成された後に出荷されます。

では行ってみましょう。

生産者: コングスガード
銘柄: カベルネソーヴィニヨン 2011
品種: カベルネソーヴィニヨン100%

24000円、WA89-91pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
極めてスパイシーで、果実というより濃厚なソースの様な香り。黒胡椒やナツメグ、ローリエ、シシトウなどのスパイスに熟したブラックベリー、カシスの果実味融合。かつ葉巻の様なスモーキーさやシロップ、バニラの様な複雑な味わいが感じられる。燻製肉、西洋杉、炭焼き、わずかなスミレの風味も感じられるのだが、基本的にはスパイシーで濃厚なソースの様な香りが感じられる。
香りのスパイシーとは裏腹に、酸は柔らかくタンニンも穏やか。口に含んだ時の熟した甘露なカシスの果実味、鉛筆の針が感じられる。いわゆる過熟的なカベルネではなく、よりスパイシーな風味を帯びた独特のカベルネだ。


生産者: ヴェリテ
銘柄: ル デジレ 2009
品種: カベルネフラン70%、メルロー15%、カベルネソーヴィニヨン10%、マルベック5%

49000円、WA94+pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
濃厚な獣香、スパイシーさ、インクの様な濃さを感じるワイン。
生肉や毛皮などの動物性の香りと、プラムやカシスなどの甘露な黒系果実味、クローヴやナツメグなどのソースの様なスパイシーさ、西洋杉やインク、茎、タバコのスモーキーさ。濡れた土、トリュフなどのアーシーさが感じられる。炭焼きやローステッドな香りも。
酸味やタンニンは滑らかで口に含むと濃厚な果実味があり、鉛筆の芯やカシスの黒系の甘露な果実味が感じられる。丸みのあるボディが感じられる。


抜栓2日のものを飲んだからか、若干の酸化ニュアンスが感じられましたが、十分なポテンシャルを感じられる2本だったと思います。
ナパのカベルネソーヴィニヨン、そしてソノマのカベルネフラン(主体のボルドーブレンド)です。
まずコングスガードですが、これが強烈にスパイシーで、濃厚なソースの様な味わい。
ただ熟成を経た際に現れる枯れ感はなく、かといって酸化による平たい味わいではなく、より立体的かつ複合的な骨子を持ったスパイスの味わいが際立っています。
そこにスモーキーさや豊かな果実味が絡み合う形。ボディはかなりずっしりとしています。
ただナパの典型とは一線を引くカベルネソーヴィニヨンといった感じ。勿論ボルドーとも異なります。
特異なカベルネソーヴィニヨンだと思います。さながらリザーブワインをふんだんに使ったシャンパーニュを想起させるような作りです。若々しいけど、熟成に起因する複雑さがある。珍しいタイプですね。
次にヴェリテ。
カベルネフランの比率が高いワインですが、どこかローヌのシャトーヌフ デュ パブを想起させるヴェリテ。要因はその獣香、インクの様な濃さ、スパイシーさにあります。
生肉や毛皮などの動物性の香りと、プラムやカシスなどの甘露な黒系果実味、クローヴやナツメグなどのソースの様なスパイシーさが一塊となって立ち上がっていく。
確かにスパイシーさはあるものの、典型的なフランか、といわれればそんなことはなくて、極めて熟度の高いブレンド、といった感じです。
ただボルドーならではの品があるかというと...うーん、難しい。熟度や各要素はほぼ完璧なんですが。香りの性質上あまり綺麗なタイプのワインではないです。
ここは人好き好きかもしれないです。
ボーカステルのワインとか好きな人は好きかもしれないですね。品質自体は凄いと思います。

結構個性豊かな2本でした。
個人的にはどれもよかったとは思うんですが、驚きがある様なワインではあまりないですねー。
ただコングスガードの貴重なカベルネが飲めたのは良かったです。


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【オーストラリア・NZ: 6】オーストラリアのカルト ピノノワール3種を利く



こんにちは、HKOでございます。
引き続きオーストラリアのピノノワール、そして、珍しいネッビオーロです。
ピノノワールはコールドストリームヒル、メイヤー。ネッビオーロはアールのものです。


コールドストリームヒルズは1985年にジェームス ハリデイ夫妻によって設立されたヴィクトリア州ヤラヴァレーに拠点を置くワイナリー。ファーストヴィンテージは1985年のファーストヴィンテージ。
急勾配な丘で構成される冷涼なヤラヴァレーのぶどうを使用。棚作りとキャノピーマネージメントに注意を払い、低収量を実現している。剪定と収穫は手作業で行い、低温浸漬の後、開放式の醗酵樽で発酵。フレンチオークの小樽(新樽比率30%程度)で11ヶ月熟成。
今回のリザーブ ピノノワールは特定区画から収穫されたピノノワールのみを使用し、全生産量の内10%以下のポジティブセレクション。

メイヤーはヤラヴァレーに拠点を置く、ワイナリー。現当主はジェムブルック ヒルで醸造責任者を務めるドイツ移民のティモ メイヤー。2.6haの急傾斜の高い標高の区画を所有し、世界最高峰のピノノワールを作っています。
栽培は人の手の干渉は最低限に抑えています。収穫した葡萄は100%除梗しない。発酵、樽熟成後のろ過も清澄も行われない。
新樽比率は定かではありませんが、そんなに高い訳ではなさそうです。

Rはオーストラリアカルトワインの大御所クリス リングランドとニックストックによって運営されているプライベートワイナリー。日本への割当はわずか24本。詳細は不明。
...ですが、オイルの様な強烈な粘性と樽香はいかにもクリス リングランドっぽいな、と思います。


ではいってみましょう。


生産者: コールドストリームヒル
銘柄: リザーブ ピノノワール 2012

8300円。
外観は透明感のあるルビー、粘性は中庸。
明るい甘露な果実味のあるキュートなピノノワール。ブルゴーニュらしいバスフィリップとは全く異なる味わい。
凝縮感がありながら、とても焼きたてのトーストと共にキャンディ香があるピノノワール。瑞々しい蜜の様な甘露さが感じられる。
アメリカンチェリーやラズベリーの様な溌剌とした甘露な果実味、焼いたトースト、ミルクのアロマ。クローヴ、華やかなスミレや紅茶。燻製肉。比較的樽がしっかりと感じられるのが特徴か。極めてフルーティーかつ華やか。
他のワインと比べると酸味は柔らかく感じられる。タンニンもきめ細かい。華やかな赤系果実やトースト、スミレのアフターが残る。
華やか...見方によってはヴォギュエっぽいかも。


生産者: メイヤー
銘柄: ドクトル ピノノワール 2012

10000円。
外観は透明感のある明るいルビー、粘性は中庸。自然派っぽい味わいで、明るい甘露な果実味のあるキュートなピノノワール。
熟したイチゴやラズベリー、イチジクの溌剌とした赤系果実、オレンジピール、全房っぽいスパイスや茎の様な青さが感じられる。シナモンやクローヴ、枯葉。燻製肉や黒胡椒。ドライハーブやユーカリの要素が感じられる。自然派らしい(ただしプリューレロック、フィリップパカレとは違う)柔らかい印象を受ける。
香りのふくよかさとは裏腹に口に含むとかなり凝縮感がある。酸味は厚みがあり、タンニンはきめ細やか。ベリーの果皮や黒胡椒の要素が感じられる。


生産者: アール
銘柄: ソリータ ネッビオーロ 2006

13000円、WA94pt
外観は橙を帯びたブランデーの様なガーネット、粘性は高い。
しっかりとした樽のニュアンスが感じられる。炭焼きや燻製の様なロースト香、アーモンドや濃厚なオイリーさがある。色の薄さとは裏腹にプラムやカシスの果実味があり、スミレやタバコのアロマ、塩を振ったトマトの要素、ドライハーブなどの風味も。
野生的な燻製肉、ベーコン、漢方、クローヴ。
かなり凝縮感と粘性が高く、重厚で濃厚。重戦車の様な味わい。ブランデーの様でもある。
タンニン、酸が充実しており濃厚で、樽の要素や燻製の要素が広がる。筋肉質でパワフル。エネルギーに満ちたネッビオーロ。
個人的にモダンとも古典派とも言い難いタイプだと思う。


いやー、どれも個性は違いますが、どれも素晴らしいワインだったと思います。
まずコールド ストーン ヒルですが、冷涼かつ若々しいピノノワールのキャンディ香が感じられます。
バス フィリップとは全く違いますが、その一方でブルゴーニュでよく見られるスタイルのひとつだと思います。例えばヴォギュエの2010プルミエクリュや、フレデリック エスナモンのマジシャンベルタン2010など。
強い体躯ではなく、極めて繊細で細身な味わい。それでいてキュートな赤系果実や蜜やトーストやスミレの様なアロマ。酸味やタンニンは柔らかい。一見熟成ポテンシャルなさそうですが、この手のワインの本気は熟成後なので、この先が楽しみです。

次メイヤー。
また典型的なビオが来ましたね。ビオというか全房発酵のワイン。ドメーヌタカヒコとかネレッロマスカレーゼ、ラウルペレスのメンシアとかそこらへん。全房発酵のミディアムボディのワインです。そして出来としてはかなりいいです。人それぞれですがかなり好きな方向性ですね。
イチゴやラズベリーなどの瑞々しい果実味、オレンジピール、全房らしいスパイスや茎の要素が全面に感じられます。あと酵母由来の香りなど。複雑かつ瑞々しくフレッシュなアロマが感じられます。
それでいて凝縮感が高い。
あまりオーストラリアでこの手のワインを見たことがなかったので、結構驚きました。
でもいいですね。本当にオーストラリアのピノノワールは多様化してるなあ。
今回の3本、全部パターン違かったですし。

バスフィリップはコートドールの香りに強烈なエキス感を持つピノノワール。
コールドストーンヒルは繊細かつ低抽出、瑞々しく透明感のあるピノノワール。
メイヤーは低抽出だけど、複雑でスパイシーで瑞々しいピノノワール。

コールドストーンヒルとメイヤーは双方とも瑞々しい果実味を感じますが、受ける印象は正反対。とにかく不要な雑味を排除して、透明感のあるピュアなスタイルを追求しているコールドストーンヒルに対して、メイヤーは複雑味として梗や酵母の香りを取り込んで均整を取ろうとしている。
バスフィリップはどちらかというとコールドストーンヒルに近い思想だと思うのですが、より抽出が強く、おそらく樽の熟成期間も長いんでしょうが、これまた違う印象。
ただ一つ共通しているのは果実味は極端に高い訳ではなく、どちらかといえばエキス感のあるワインを作っていると思います。
カリフォルニアは言わずもがな、ブルゴーニュも高い果実味を持ったワインが主流になっています。スター生産者のグレートヴィンテージなんかは古木や収量制限などで、高い果実味を維持していますが、これらのワインはより古いブルゴーニュスタイルを踏襲している様に感じました。
ブルゴーニュの値段が青天井の今、ポストブルゴーニュはオーストラリア、ニュージーランドのピノノワールであることは間違いないと思います。

最後、珍しいオーストラリアのネッビオーロ。
どこをどう切り取っても完全にクリス リングランドのワインと言った感じ。勿論ネッビオーロらしい、色からは想像できないタンニンや酸があるのですが、樽の使い方からして大分バローロ、バルバレスコとは異なった印象を受けます。バリック新樽で仕込んだ甘露でロースト香を感じるモダンな作りというわけでもなく、古い大樽を使用した酵母香豊かな伝統的な作りでもなく、クリスリングランドのワインと言った感じ。
彼のシラーズほどの密度や粘度がある訳ではないのですが、十二分に重厚なワインです。
極めてオイリーでスモーキー。プラムやカシスの豊かな果実味、塩を降ったトマトの様な強烈な旨味。さながらブランデーの様にも感じられます。シラーズの影に隠れてとてつもないポテンシャルを感じるワインです。
熟成はどちらに向かっていくかはわかりません。そして決して今が美味いわけでもないので、未知数といえば未知数なんですがね...
ただこのワインが枯れる姿があまり想像がつかないです。
凄まじく長熟なワインじゃないかと思います。

こう俯瞰してみるとフランス並にバリエーション豊かですね。繊細なピノも濃厚なシラーズやカベルネも、ネッビオーロも出来てしまう。恐ろしいワイン産出国だと思います。




【オーストラリア・NZ: 5】オーストラリア最上のピノノワール生産者、バスフィリップを利く



こんにちは、HKOです。
今回はバス フィリップのガメイ、そしてピノノワールの2本です。


バス フィリップはオーストラリア ヴィクトリア州のギップスランドに1979年に設立されたワイナリー。創設者はフィリップ ジョーンズ。
アンリジャイエに影響を受け、当時畑に植わっていたカベルネは全てピノノワールに植え替える程の完璧主義者。そのエピソードだけに留まらず作付け面積4haのうち、収量は超低収量で10hl/ha。数百ケース程度の生産数量となります。
栽培時は灌漑せず、殺虫剤は使用しない。ぶどうは全て手摘みで収穫、その場で選果(最大30%程度)
自然酵母によって発酵を行い、SO2の添加は最低限。樽熟成後無濾過で出荷。除梗有無、新樽有無は不明ですが、高い比率の除梗、新樽のニュアンスは控えめでこちらは高い比率ではなさそうです。


生産者: バス フィリップ
銘柄: ガメイ 2009

約6700円、WA89pt(2010)。
外観はやや濁りのある濃いルビー、粘性は中庸。
いわゆるボージョレーの様なガメイではなく、クリュ ボージョレにも近いピノノワールの様なガメイ。
第一印象は極めて華やかで繊細、それでいてマロラクティック発酵を経たまろやかな香り。紅茶やミルクポーション、瑞々しいブルーベリーやアセロラの果実味が感じられる。またなめし革や鉄分の官能的なニュアンス。僅かに青さを感じさせる茎やハーブ、アーモンド、クローヴの要素。後半はハーブと果実味が主体となる。
かなり凝縮感が強く、タンニンは柔らかだが、強靭な酸が感じられる。薔薇や梅しばの様な強烈な旨味を感じさせるアフター。やや減衰が早い印象がある。


生産者: バス フィリップ
銘柄: クラウン プリンス ピノノワール 2009

約8400円、WA90pt。
外観はやや濁りのある濃いルビー、粘性は中庸。
香りは完全にブルゴーニュのそれ。
ガメイと比べてより集中力が高く、たいへん凝縮感が感じられる作り。第一印象はより果皮が感じられるブルーベリーやダークチェリーの高密度な果実味、僅かに漂うシロップの様な香りが主体として感じられるが、徐々になめし革や鉄分、そして僅かに紅茶やミルクポーションの要素、松の樹皮、クローヴ、ローズヒップティーなど。
ガメイに輪をかけて、かなり凝縮感が強く、酸の密度が高い。タンニンはきめ細やか。薔薇や梅しば、僅かにミルクポーションの様な強烈な旨味を感じさせるアフター。強烈な味わい。香りはブルゴーニュ、味わいはオーストラリアらしいピノノワール。密度はがガメイより遥かに高い。

この2本、相当すごいです。ガメイは最上のクリュボージョレの様だし、ピノノワールは最良のコート ドールのワインの様な香りを放ちます。
まずガメイですが、そもそもボージョレ地区やロワール以外にあまりガメイを栽培している地域がないので、あまりサンプルケースが無いのですが、ブルゴーニュのピノノワールにも近いクリュ ボージョレの様な凝縮感を感じました。
ただ、それに関してはどちらかというと、この生産者のスタイルの様な気がします。実際に香りで言うなら、彼のピノノワールに接近していたと思います
華やかで繊細、マロラクティックなしなやかさ、瑞々しいベリーなどの小果実。果皮の要素を強く感じるなめし革などのニュアンスが主体となっています。
そしてオーストラリアらしい梅しばの様な凝縮した旨味と酸味の均整が感じられます。
ただ彼のピノノワールと比べると、抜栓直後からフルパワーの状態でありながら、香りの減衰はやや早めに感じました。ピノノワールの方は初めこそ硬いですが、開いてから減衰までの時間はかなり長いです。
ピノノワールの方向性は概ねガメイと近いのですが、特筆すべきはその凝縮感や高い密度。単純に香りで言うのなら、平凡なヴィンテージのアルマンルソー村名~1級並。ただ果皮の強い要素を感じるダークチェリーやブルーベリーなどの香りが、ワインの骨格を形成する酸や旨味と結合して、高密度な一塊となった存在感を感じます。
なんなんでしょうね、このアンマッチ感。
果皮のニュアンスが強く出るのは、(マセレーション期間やピジャージュ頻度など)抽出が強いか、ぶどうが不作によって小粒で相対的に果皮の割合が多くなっている、というのがベーシックな考え方だと思うのですが、ちゃんと果実の熟した感じはするし、結実不良の果実にも似たアンバランス感があるんですよね。そもそも熟した状態で小粒な実をつけるのかもしれません。色も濃いですしね。
醸造は極めてブルゴーニュ的であり、果実味の出方はオーストラリア的だな、と思います。程よいマロラクティック発酵の要素も良いと思います。

総合的に見て、極めてレベルの高いピノノワールを作っていると思います。
個人的にはやはりブルゴーニュに準拠したスタイルだと思いますが、この果皮と果実味のバランスが果実そのものに準拠するものであれば、テロワールの影響も結構大きいのかな、とも思います。
ただ次に扱うコールドストーンヒルやメイヤーなどはまた違った特徴がありました。

オーストラリア面白いなあ。

【スペイン:4】スペイン激安濃厚メンシア、アルガンサのラガール デ ロブラ

こんにちは、HKOです。
今日はスペインのデイリーワインです。

ヴィノス デ アルガンサは15世紀から続くDOピエルソに拠点を置くビクトル ロブラ カレイラス率いるワイナリー。
樹齢40~50年、最長60年にも及ぶメンシアを100%使用。ステンレスタンクで発酵後、オーク樽で18ヶ月の熟成を行います。
ポートフォリオはメンシアを使用したフラビウム、セークロ、エンカント、ラガール デ ロブラなど。
低価格帯のワインを作っています。
今回はラガール デ ロブラを。

では、いってみましょう。

生産者: ヴィノス デ アルガンサ
銘柄: ラガール デ ロブラ プレミウム 2008
品種: メンシア100%
購入店舗: Authority カレッタ汐留

約1000円、WA91pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
第一印象はよく干したブラックベリーやプルーンの果実味、黒砂糖、トースト。そしてややスモーキーで、ミントなどの風味も感じられる。わずかに胡椒やクローヴなどのスパイス香も。基本的に香りはスペインのグルナッシュの様な...というか熟した果実と大樽に起因する香りが中心になるが、口に含んだ時の酸味は非常に豊かでメンシアらしいと感じられた。タンニンは色調の通りタニックであるが、酸の方が目立つ。

メンシアという事で、少しだけラウル ペレか作るピノノワールが如き味わいを期待していたのですが、流石に全然違いましたね。
より過熟的でやや繊細めのグルナッシュの様な味わいです。
恐らくスペインのテロワール自体が、自然に成熟させると過熟気味になる環境だと思いますが、ラウル ペレスなどはより日照をコントロールし、あの繊細なメンシアを生み出しているのでしょうね。
今回のラガール デ ロブラはそうでは無かった様です。唯一共通点があるとすればスパイシーで一見シラーにも感じられる要素が感じられる点でしょうか。それ以外は同じ品種とは思えないくらい違います。
ただ、単純なスペインのワインとして見るとよく出来ているとは思います。
たとえばドライプルーンや黒胡椒、トーストなど、熟した果実味と樽の香りがしっかりと感じられます。また成熟と共に失われゆく酸味がこの成熟度にして十分に残留しており、パワフルな体躯を形成しています。
1000円でこれは結構半端ない出来なんじゃないでしょうか。コストパフォーマンスは抜群だと思います。

...と同時にこの手のスペインワインは溢れるほどにあるので、ちょっと食傷気味でもあります。新潮流からしてみれば、やや古臭いワインですが、楽しむには十分。ただもう少し個性が欲しかったのは個人的な感想です。


【ボルドー: 12】ヴィンテージの性質を読む、クロワムートン2011とパヴィヨンルージュ2005を利く

こんにちは、HKOです。
本日はボルドーになります。
ジャニュイクスのクロワ ムートン2011、そしてパヴィヨンルージュ シャトーマルゴー2005となります。

シャトー クロワ ムートンはポムロールの西20kmにあるボルドー スペリュールにあたるシャトー。1997年よりJ.P.ジャニュイクスが所有しています。ジャニュイクス家は1920年代からサンテミリオンでワイン作りを行っている生産者です。
作付面積は約19ha、収量は27hl/ha。平均樹齢40年。土壌は川岸にある粘土質土壌。
収穫後、コンクリートタンクで発酵を行い、40%シガー型のオーク新樽100%で9ヶ月熟成。

シャトーマルゴーはマルゴー村に拠点を置く、メドック第一級に位置するシャトー。いわゆる5大シャトーのうちの一つ。一時期ジネステ社が所有した時期にその評価を落としたが、メンツェロプロス家に売却されてからは、エミールペイノーをコンサルタントとして迎え、急激な資本投資もあり、1980年以降その評価を回復させた。現在はポール ポンタリエの指揮の下、一級に相応しい卓抜した品質を堅持し続けている。今回はセカンド ラベルのパヴィヨン ルージュ。栽培面積は78haで平均樹齢35年程度の葡萄の収量を45hl/haに抑え収獲を行う。除梗後、温度管理された木製槽で3週間のマセレーションとアルコール発酵が行われ、オーク樽の新樽で18~24ヶ月熟成される。基本的に無濾過で瓶詰めされる。

久々のボルドーです。
ではいってみましょう。


生産者、銘柄: シャトー クロワ ムートン 2011
品種: メルロー85%、カベルネフラン14%、プティヴェルド1%

2500円、WA87-89pt
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
比較的ミディアムボディで瑞々しい印象を受けるボディだと思う。
プラムやブラックベリーの熟した果実味、クローヴやリコリスなどのスパイスの風味が主体として感じられ、マロラクティック発酵に起因するトースト、西洋杉の樹皮、燻製肉、スミレなど。
2009年や2010年の過熟気味なボルドーではなく、平凡なヴィンテージのボルドーらしいボルドーといった感じ。故に液体密度は低く、凝縮感はあまりないのだけれども、こぢんまりとしていながらも品がある。
酸、タンニンは豊かで。スパイスやダークチェリーやプラムの果皮の強い風味な風味が感じられる。


生産者:シャトー マルゴー
銘柄: パヴィヨン ルージュ デュ シャトー マルゴー 2005
品種: メルロ50%、カベルネソーヴィニヨン&プティヴェルド50%

約15000円、WA91pt
外観は赤みの強いガーネットで粘性は高い。
グレートヴィンテージの2005年だけありセカンドラベルにして果実味は極めて充実していて甘露な印象を受ける。
よく熟したねっとりとしたブラックベリーやカシスの果実味、ミルクティー、そしてリコリスや濡れた西洋杉、スミレのニュアンス。熟成肉や獣香、濡れた土の香りも感じられる。僅かにインクっぽさは残るが、熟成によりかなり馴染んだ印象を受ける。
とろける様な熟したベリー類にワッフルと熟成による濡れた土や生肉の風味。
ファースト程の強烈なエレガンスはないものの、基本的な骨子はいかにもシャトーマルゴーといった官能的な味わいだ。
酸とタンニンは充実。熟したカシスとハーブのアフター。セカンドとしてはかなり良い線に行っている味わいだと思う。
まだまだ熟成する。


まずはクロワムートンから。
2009年や2010年の過熟的なヴィンテージから一変、極めて繊細で細いワインとなっています。しかし品質としてはとても順当な味わいかと思われます。
ボルドーの良さはバッドヴィンテージの機微だと思いますし、それがテロワールの良さだと思います。なので、必ずしも果実が熟していれば良いという訳ではなく、ボルドーならではの巧みな技を見たいという身としては今回のクロワムートンの出来は歓迎できるものです。とはいえ果実味は十分に感じられますし、それと統制を取る様にスパイスやマロラクティック発酵の要素や燻製の風味が感じられます。決して濃いワインではないですが、綺麗に均整の取れたボルドーだと思います。

対してグレートヴィンテージのパヴィヨン ルージュはどうでしょうか。
そもそもクロワ ムートンとの手の掛け方もヴィンテージもかなり違います。
しかし同じ2009年や2010年と比べると2005年とやや熟成しているからか、新世界を想起させる先述のヴィンテージと比べると、より抑制の効いた味わいになっていると思います。果実味が主体で、ねっとりとした黒系果実が前に出ていますが、熟成によって僅かな獣香や燻製肉、濡れた木材などの要素が感じられます。まだまだ熟成ポテンシャルは残しており、若い、とも感じられますが大分こなれている印象を受けました。ファーストラベルの様な強烈なエレガンスは感じられないながらも、マルゴーらしい良い熟成を経ていると感じました。まあただ、70年代や80年代の良い出来のマルゴーも同じ様な熟成の仕方をしているので、やはりマルゴーはマルゴーなんでしょうね。
これからが楽しみなヴィンテージです。

以上です。



【オーストラリア・NZ: 4】オセアニアンデイリーのスパークリングとピノノワールを利く

こんにちは、HKOです。
今回はデイリーです。デイリーに関しては購入したお店を入れていますので、ぜひ気になった方は実店舗でも買ってみてください。
さて今回はオセアニア、オーストラリアとニュージーランドのワインになります。

タルターニは1969年に設立されたオーストラリアはビクトリア州最初のワイナリー。現オーナーはジョン ゴレ氏。クロ デュ ヴァルとは姉妹ワイナリーです。ワイナリーの面積は688ha(!)となっており、うち作付面積は132ha。初リリースは1977年です。
スパークリングは瓶内二次発酵を行うシャンパーニュと同様の製法を行っています。現行ヴィンテージ70%、ステンレスタンクおよびフレンチオークで熟成されたリザーブワイン30%をブレンドしています。

タフナはなんかよく情報がわかんないんですが、ホークスベイが産地でエノテカ輸入ちうのはわかりました。味わいもまあ、そんな感じです。


生産者: タルターニ
銘柄: Tシリーズ シャルドネ ピノノワール
品種: シャルドネ57%、ピノノワール43%
購入店舗: Authority カレッタ汐留店

1500円
外観は濃いめのストローイエロー、粘性は比較的高めで泡は力強く立ち上っている。
第一印象はフレッシュな赤リンゴや柑橘系の果実味、フレッシュハーブ、シロップの様な甘露さを感じる。いわゆる新世界的な過熟感は無く、オーストラリアのフレッシュなピノノワールのイメージをそのまま泡にしたような味わいだ。マロラクティック発酵や樽の要素はあまり感じられず、比較的クリーンな作り。若々しさと同時に熟成感によるしっかりとした旨味も同居している。
酸は溌剌としているが、どちらかというと赤リンゴなどの旨味や甘みが主体となって感じられる口当たり。
値段としては良く出来ているスパークリング。冷涼なオーストラリアの側面が垣間見れる。


生産者:タフナ
銘柄:ホークスベイ ピノノワール 2011
購入店舗: 西友

約1200円
色調は透明感のあるルビー、粘性は中庸。
初日は標準的な硬いACブルといった感じだったが2日目にはなかなかいい感じに落ち着いてきた。
イチゴやクランベリーの瑞々しい赤系小果実の甘い果実味と全房発酵っぽいクローヴや茎、粘土の香り。生肉や紅茶、僅かにトーストのニュアンスを感じるが、基本的に樽はかなり控えめで瑞々しい果実の風味を前に押し出している。決してカリフォルニアに見られるたっぷりとした果実味の甘露なピノノワールではなく、瑞々しく冷ややかなタッチを感じさせるニュージーランドらしいシャープなピノノワールだと思う。
酸やタンニンは意外ときめ細やか。厚みはないが、透明感のある清潔な味わい。
決して突出した何かがあるワインではないのだけど、染み込むような美味しさがあって飲み疲れしないし気を使わないですむワイン。


タルターニのスパークリング、なかなか良かったですね。シャンバーニュとフランチャコルタっぽい繊細さや多重的な要素はないのだけれども、そのままオーストラリアの冷涼なピノノワールを想起させる様なクリーンで凝縮感を感じさせる様な味わいだと思います。値段的にもお安いし、なかなかお得ですね。

次にタフナのピノノワールはなかなかエレガントなスタイル。赤系の小果実と全房発酵っぽい茎の香りが前面に出ています。そして紅茶やトースティーな風味が感じられる。
瑞々しく冷ややかなタッチを感じさせるニュージーランドらしいシャープなピノノワール。エノテカ輸入なのでシレーニっぽい感じがありますね。それなのにエノテカでは売っていないという...西友でしかみかけないですね。

両方ともいわゆる新世界的なたっぷりしたタイプではなく、繊細な味わい。ブルゴーニュ的な味わいが好きな人には意外とフィットするかもしれません。



【ジュラ・ラングドック: 1】低価格かつ高品質、生産者に頭が上がらないラングドック3本



こんにちは、HKOです。
本日はラングドックルーションの話題の生産者のワイン3本です。
ラングドック最高峰の生産者マス ジュリアン、そしてバデ クレマンの作るレ ジャメルのシャルドネとピノノワール。
残念ながらうち一本(ジャメルのピノノワール)はあまり状態としては芳しくなかったんですが、一応メモ程度に書いてあります。
少なくとも思っていたタイプのピノノワールではない事ははっきりしていたので。

マス ジュリアンは1985年に設立されたオリヴィエ ジュリアン氏率いるラングドック地方モンペリエに拠点を置くのドメーヌ。ラングドック最高の生産者のうちの一人とも言われています。
畑の保有面積は15ha。収量は極めて低く30hl/ha。栽培はビオディナミの手法を一部取り入れ、収穫は手摘みで行われます。
醸造はラングドックの伝統的な手法で醸造が行われます。フラッグシップはテラス ド ラルザック。

レ ジャメルはメルヴィン マスターとローラン ドロネーがラングドックでネゴシアンスタイルで作るヴァン ド ペイ ブランド。
ピノノワールの年間生産量は3000本、収量は50hl/ha。
平均樹齢10年のピノノワールの若木から機械収穫する。開口式のステンレスタンクにて10数日間マセラシオン、約8日間の発酵を実施。ステンレスタンク75%オーク新樽25%にて平均9ヶ月間熟成する。
シャルドネは年間生産量は3000本、収量は60hl/ha。平均樹齢20年のシャルドネから機械収穫。約3週間のステンレスタンクにてアルコール発酵、ステンレスタンク65%、オーク新樽35%にて、マロラクティック発酵を行いながら平均9ヶ月間行われる。

ではいってみましょう!


生産者: レ ジャメル
銘柄: シャルドネ 2011

1500円
外観はやや濃いめのイエローで、粘性は高め。
しっかりと熟したシャルドネ。製法こそ異なるもののシャトーアンデリーナに近い果実味の味わいが感じられる。少なくともコートドールのシャルドネではない。
第一印象はリコリスなどのハーブ、白い花、バターやヘーゼルナッツの要素、そしてメロン、洋梨やトロピカルフルーツの果実味がある。ほのかにバニラや核種系の蜜の様な甘露さが感じられる。
マロラクティック発酵や樽が強烈にきいている訳でも、果実味爆弾という訳でも、かといってシャープすぎるわけでもない、いい意味でフランスらしい抑制の効いたシャルドネ。とはいえスタイルは新世界に近い様子。
酸味は繊細で柔らかく、切り立った様な部分はなく、メロンや洋梨、バターの充実したアフターが広がる。


生産者: レ ジャメル
銘柄: ピノノワール 2011

1500円
状態が悪かったのか、抜栓直後からかなり酸化していた。
ドライフルーツの様な果実味が感じられ、ピノノワールというよりスペインのグルナッシュやシラーの様なタイプのワインだと感じた。ピノノワールの繊細さは感じられなかった。


生産者 マス ジュリアン
銘柄: コトー デュ ラングドック テラス ド ラルザック 2009
品種: カリニャン、ムールヴェードル中心。グルナッシュとシラーが少々。

3800円、WA95pt(2008)
外観は濃い目のガーネットで粘性は高い。
第一印象は濃厚で豊かな果実味と僅かなスパイシーさを感じる。
熟したブラックベリーやプルーンの果実味。黒胡椒やナツメグ、スミレの風味、ややトースト、西洋杉、チョコレートのニュアンス。
果実味が豊かでどっしりとした味わいを想定するが、実際は酸が豊かで広域に伸びていく様な味わいがある。
酸味は比較的豊かで、タンニンは程よい滑らかさがある。ブラックベリーやプルーンの果皮の風味が残る。


まずはあまり状態のあまりよろしくなかったジャメルのピノノワール。
基本的には過度に酸化したニュアンスがあり(合成樹脂コルクなのですが...)ちょっとしっかりとテイスティングはできていないのですが、いわゆる官能的なピノノワールではない事は確かなようです。
ニュージーランドやオーストラリア、ブルゴーニュの様な冷涼なタイプではないし、カリフォルニアやチリともまた違った果実味があって、まあ、極端な話、いかにも南仏からスペインあたりにありそうなグルナッシュっぽい味わいのワインだと感じました。
状態の良いものであっても、多分ここは変わらんのじゃないかな、と思います。
対して、シャルドネはとても良くできていると思います。
こちらもニューワールド的な感じではあるのですが、良い意味で抑制された品のあるシャルドネだと思います。
十分に果実味があり、それでいてハーブや白い花、そして樽やマロラクティック発酵とまろやかなニュアンスがはっきりと感じられます。しかしカリフォルニアのシャルドネの様に完全にマロラクティック発酵を経て酸やハーブ香を失っている訳ではなく、またシャープすぎる訳でもない、とても均整のとれたバランスの良いシャルドネではないかと。
タイプはカリフォルニアシャルドネに近いのですが、どこかこの均整の取れた体躯はコートドールのシャルドネに通じるものがあると思います。味としては全然違うんですけどね。お得なシャルドネだと思います。

次、マスジュリアン。
まず驚きなのが、ワインアドヴォケイトのポイント。ポイント至上主義ではないのですが、流石に3000円代で90点台中盤は殆ど無く、かなり気になっていましたを92点くらいまではありますが、95点は正気の沙汰ではありませんからね...
実際飲んでみた感想としては、確かに点数なりだな、と感じました。
スペインのモナストレル的な味わいなのですが、特筆すべきは生き生きとした酸とスパイシーさ。大抵のこの手のワインは非常に甘露でタニック、引き締まった酸はないのですが、酸がしっかりと存在することで、濃厚さの中にはっきりとした芯が感じられます。
樽のニュアンスもあり、リッチな造りのワインだと感じました。
基本的にはスペインやオーストラリアなどのGSMが好きな人にオススメのワインではあるのですが、それだけに留まらない味わいがあります。

以上、ラングドックの3本でした。
1本ダメだったのは残念でした...うーん。
ただどれも価格帯を考えると大変お得。この中でも比較的お高めのマス ジュリアンでもこの価格ですからね...手には入りにくい様ですが...


※嫁のアクアパッツァと共に。




【シャンパーニュ: 25】ジェロームプレヴォー、ユリスコラン、上質なモノセパージュシャンパーニュ2種。

こんにちは、HKOです。
今回もまたまたシャンパーニュです。
ジャックセロスで修行を積んだユリス コラン、ジェロームプレヴォーのモノセパージュ シャンパーニュです。スタイルは違えど、栽培における哲学は受け継がれている様です。

ユリス コランは約200年前からコンジィ村に拠点を置く老舗ヴィニュロン。ぶどう栽培を始めたのは1930年代からですが、基本はネゴシアンに販売をしており、その畑を完全に取り戻し本詰めを始めたのは2003年。アンセルムセロスの元で修行を積んだ現当主のオリヴィエコランになってからです。2004年から単一年でのNVシャンパーニュを作り続けています。
作付面積は8.7ha(一部は現在もネゴシアンに販売)。レ ピエリエールという白亜層かつ表土の薄い南側斜面の小区画に植わるシャルドネで造られます。
栽培はビオロジック。発酵は野生酵母だけを用い、小樽で発酵、熟成。無清澄無濾過でビン詰めします。ドザージュはほぼゼロ。

ジェローム プレヴォーはグー村に拠点を置く新進気鋭の生産者で、アヴィーズの醸造学校で学んだ後、ジャックセロスのスタッフとして働きながら自身のシャンパーニュを醸しています。初ヴィンテージは1998年。2001年にリリース。作付面積は2.2ha。
栽培はビオディナミによって行われ、熟し具合を見ながら手摘みを行う。除草剤は使用しない。台木を使わない植え付けを現在は検討している。
野生酵母を使用し、圧搾は気圧式プレス。デブルバージュと亜硫酸添加(5g/hl)を行い、小樽での樽発酵。新樽比率10%以下で基本は1-3年樽を使用し樽熟成を実施。その後無濾過無清澄で瓶詰めがなされ、デコルジュマン時には僅かにブドウ糖を添加しドサージュは行わない。今回のロゼはピノムニエ100%のロゼ。

ではいってみましょう。


生産者: ユリス コラン
銘柄: ブラン ド ブラン エクストラブリュット レ ピエリエール NV
品種: シャルドネ100%

約10000円
外観は中庸なストローイエロー、粘性は中庸。
第一印象は爽やかでフレッシュな印象。繊細で蜜の様な甘みがあり、リンゴ、フレッシュハーブ、白い花、しっかりとしたミネラルがある。
そして濡れた木製樽、バター、ローストナッツなどの樽の要素も感じられる。
口に含むとかなり熟成感が感じられるが、香りにはあまり出ていない様に思える。太い酸があり、ドライシェリーを想起させる濃厚な旨味とドライハーブ、グレープフルーツのアフターが残る。


生産者: ジェローム プレヴォー
銘柄 ラ クロズリー ファク シミル ロゼ ブリュット NV(2009)
品種: ピノ ムニエ100%

20000円、WA93pt
外観は濃い色調のピンクで、粘性は中庸。
第一印象はしっかりとしたミネラル感、ブリオッシュ、レッドカラントやラズベリーの瑞々しい果実味、そして茎、フレッシュハーブなどの要素が一塊となって感じられる。
ほのかに果実由縁の甘みが乗るがどちらかというと溌剌とした果実の綺麗な酸を想起させる。リンゴや白胡椒、リコリスのアロマが感じられる。非常に複雑な骨格を構成している。
酸味より膨らみのある旨味が大変よく出ており、凝縮したパワフル感のある体躯。ラズベリージャムやフレッシュハーブの清涼感のあるアフターが残る。ちょっと熟成起因の旨味の出方の様な気がする。瓶熟成が長いのか、リザーブワイン比率が高いのかわからないが、恐らく前者だろうか。


大変すばらしい2本でした。
共にジャックセロスで学び、共にノンヴィンテージでありながらミレジメである2本。
ロゼとブラン ド ブランという違いがありますが、共にミネラル感が極めて豊かであるという点と、フレッシュ感と共に、やや酸化熟成の要素を強めに感じられる点が共通しています。
勿論単一ヴィンテージなので、リザーブワイン起因ではなく、順当に木樽という密閉度の低い環境での発酵、熟成を経た結果だと思います。それに伴い大きな規模感を持った旨味が口の中に広がっていきます。

まずはユリスコランから。
基本フレッシュな果実味と豊かなミネラルが感じられます。赤リンゴの様な若々しい味わいが主体ですが、それと同時に濡れた木材の様な樽のニュアンス、バターの様なアロマが感じられます。樽の香りがしっかりついているのにも関わらず、トースティーではないのは、旧樽に起因するものだと思います。
ブランドブランらしい引き締まった味わいがあり、それと同時に強い熟成起因の旨味が感じられます。ブラン ド ブランであることは、味わいからして明白ではあるのですが、この口に含んだ際のリッチな旨味はピノノワールも想起させますね。

次にジェローム プレヴォー。
こちらはロゼでムニエという変わり種ですが、一見ピノノワール単一の様にも感じる力強い旨味と香りが特徴的だと思います。
ミネラル感とともにトースティなブリオッシュ、そして赤系の小果実のアロマが感じられます。凝縮感があり、過度に甘みがあるわけではなく、綺麗な酸を感じさせる味わいです。旨味は膨らみがありパワフルでパワフルだと思います。
ムニエだと後で調べて驚きました。
てっきりピノノワールかと思った...エグリウーリエのムニエ100%もなかなか良かったのですが、ムニエっぽさはありました。
ただこのロゼはムニエかは正直当てられなかった...さながらピノノワール。
もちろんピノノワールの祖先(かつシャルドネの祖先でもある)ですから黒葡萄として似たような部分はあるのかもしれません。

ここのところ色々なNMを集中して飲みましたが、ジェローム プレヴォー、ピエール ペテルス、ユリスコラン、ド スーザ、ギィ シャルルマーニュは大変素晴らしかったと思います。
もうちょっと色々検証してみたいと思います。



【ローヌ: 13】馥郁たるコンドリュー、ガングロフ2種テイスティング

こんにちは、HKOです。
引き続きローヌ、今回はガングロフのコンドリューとサンジョセフの2本です。

ガングロフは1985年にアルザスからコンドリュー移り住んだイヴ ガングロフによって設立された新興ドメーヌ。
所有面積は6.6haで生産本数は15,000ボトル。ボトリングしなかったワインはギガルに販売しています。
醸造はモダンな手法と伝統的な手法のいいとこどりで実施。除梗比率はヴィンテージによって変動。酵母は自然酵母を使用します。醸造は一部新樽で行い、熟成もオークの小樽で長期熟成を行う。
サンジョセフは生産本数1200本。栽培は有機栽培を実践。手摘みで収穫されます。平均樹齢は15年。
100%除梗し、ステンレスタンクで自然酵母を用い、SO2の使用は非常に少なく抑えて発酵を行いました。醸造期間は2週間。20%は新樽、残りは4~5年の300リットルのオークの樽で22ヶ月熟成。 無濾過、無清澄でボトリングされます。
コンドリューも同じく有機栽培を実践。手摘みで収穫されます。平均樹齢は20~25年。
1984年に植樹した06haのシェリー区画と、1989年に植樹した1haのボネット区画から形成されます。
30%は新樽、残りは1~2年の樽を用いて、セラーの自然な温度20~23℃で発酵、マロラクティック発酵は行う。樽で10ヶ月熟成。 ごく軽い清澄と濾過を行いボトリング。
フラッグシップはコンドリューやコート ロティ。ガングロフのコンドリューに関してロバートパーカーは5つ星を与えています。

では、いってみましょう。


生産者: ガングロフ
銘柄: サン ジョセフ 2011
品種: シラー100%

約10000円
外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
第一印象は極めて野性的な生肉や黒胡椒、ナツメグなどのスパイス香、炭焼きなどのロースト香、果皮に由縁するスミレの香りが全面にあり、マロラクティック発酵っぽいミルク、紅茶。熟したプラムやブラックベリーなどの果実味やドライハーブ。燻製肉、オリエンタルスパイスなどのアロマが感じられる。
野生的で筋肉質なワインで、充満したエネルギーを感じる。石のようなミネラルも感じられる。
綺麗なミドルボディ。シラーらしい心地よい酸があり、華やかなスミレと黒胡椒、プラムの果皮などの心地よい広がる様な旨味がある。


生産者: ガングロフ
銘柄: コンドリュー 2012
品種: ヴィオニエ100%

18000円、WA92pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は高い。
第一印象は非常に華やかで果実味に満ちた清涼感のあるコンドリュー。柔らかいミネラル感が感じられる。白い花や熟したトロピカルフルーツ、シトラスのアロマ。充実した核種系の蜜。
そしてバニラ、ヨーグルトのマロラクティック発酵に起因する要素が感じられる。そして杏仁豆腐、フレッシュハーブ、マルコポーロの様な要素も。
全体的に熟した印象がありながら、清涼感と綺麗な酸があり、トロピカルフルーツやシトラスの豊満で清涼感のある余韻、フルーツの蜜の様なミルキーな残糖感か残る。


まず、サンジョセフから。
ギガルの様な過熟感がなく、より品種の個性を強く感じられるサンジョセフだと思います。
シラーならではのスパイシーさ、そして野性味や筋肉質な体躯が前面にあり、赤ワインでは珍しく明確なミネラル感も存在しています。その裏に覆い隠される様に、MLFに起因する丸みのある凝縮した果実味が感じられます。
ローヌの古典的なスタイルの発展系と言えるでしょうか。
簡単にすぐ楽しめるようなタイプではないのですが...確かなポテンシャルを感じさせる一本です。筋肉質な体躯やミネラルは長期熟成を担保していますし、これが解れて果実味と結合した時ブルゴーニュの古酒の様な素晴らしい味わいになってくるのではないかな、と思います。

次にコンドリュー。
これが全くもって素晴らしい。ここのところで飲んだ白の中では突出したものがあると感じました。
極めてアロマティックで、鼻腔をくすぐる白い花や熟したトロピカルフルーツ、シトラスの清涼感とよく熟した果実のアロマが広がります。併せてマロラクティック発酵もしっかりと行われており、杏仁豆腐、バニラやヨーグルトの様な香りも現れてきます。
口に含んで鼻を抜けて行く香りはさながらマリアージュフレールのマルコポーロにも似ていると思いました。
ボディは重厚感があり、濃厚。それでいて清涼感があります。かつ充実した酸があり、ほのかに残糖感が乗ってくる。長期熟成を見込めますし、今飲んでも美味しいかと思われます。

素晴らしい生産者でした。
白が極めてよかったので、赤はどうだろう、と思いましたが、古典的なローヌでなかなか良かったと思います。





【ローヌ:12】2010年ローヌ赤の鮮烈なる味わい。



こんにちは、HKOです。
暖かくなってきましたね。というかもう桜咲いてちっちゃいましたけど、基本的に季節感の無いブログなんで、元々あんまり関係ないんですが。
本日は、春に似つかわしくないやや暑苦しい感じのローヌ4本。
クロ デ パプの熟成したシャトーヌフ ブラン、ギガルのサンジョセフ ヴィーニュ ド ロスピス、ルネ ロスタンのコートロティ ランドンヌ、ボーカステルのシャトーヌフ デュ パプ オマージュ ア ジャックペランです。

クロ デ パプは、17世紀からシャトーヌフ デュ パプに拠点を置く生産者で、代々名門のアヴリル家によって運営されてます。もともとクロ デ パプという名前で生産していましたが後にAOCシャトーヌフ デュ パプが制定され、併合されています。
現当主はブルゴーニュ、ムートロートシルト、オーストラリアのワイナリーで修行を積んだポール ヴァンサン アヴリル氏
保有している畑は特に教皇の畑(クロ デ パプ)を含む35ha。それらを24の区画に分け、土壌を選別しその区画に最も適正なブドウを植えています。もともと自然派志向でしたが、2011年にはビオディナミ認証を取得。十分な選果を行い、収穫します。
今回のシャトーヌフ デュ パプ ブランは毎年800~1,000ケースほどの生産量。
醸造はステンレススティールタンクで発酵させ、マロラクティック発酵を実施しない。
無濾過、無清澄。

シャトー ド ボーカステルは、ローヌ南部で長熟するワインを生産している生産者。全て有機的な方法で栽培された13種類の葡萄の木を使用し、偉大なシャトー ヌフ デュ パプが作られている。
その中でもオマージュ ア ジャックペランはシャトー ド ボーカステル最上級のキュヴェで生産本数は約400-425ケースしか作られていない。これは生産者の全生産量のわずか1.5%でしかない。平均樹齢65年-90年強の古木を使用。ムルヴェードルとシラーは全て除梗され、発酵はセメントタンクで3週間、その後古いオーク大樽で8ヶ月から18ヶ月熟成し、24ヶ月過ぎから瓶詰めされる。

ルネロスタンは、ローヌのコートロティの名手。父から伝統的な農法を学びながらも常に伝統的農法と現代技術を検討して最良を選択しながら、その最上のキュヴェを生産している。
生産本数はスタンダードなロティで16500本、樹齢35年程度の木から作られるシラーは除梗され(ヴィンテージによって異なるが)ピジャージュを自動的に行うステンレス製回転式発酵槽で発酵を行い新樽30%で24ヶ月熟成される。大型のドミミュイとオーク樽を併用している。
フラッグシップはコートブロンド、ラ ランドンヌ。これらはロティ最上の畑であり、樹齢60年という高い樹齢から生み出される。

エティエンヌ ギガルは、ローヌ地方において最も偉大なコートロティやエルミタージュを自社畑から生み出しながら、ネゴシアンとしてリーズナブルで高品質なワインも供給する優良生産者。
ギガルの代表的な赤ワインとして、やはり有名なのは単一ブランドを持つコートロティの4つのキュヴェとエルミタージュの混醸キュヴェ。
粘土と酸化鉄で形成されたコートブロンドに1ha保有する「ムーリーヌ(樹齢80-85年)」、砂とスレートで形成されたコートブリュンヌに2ha保有する「ランドンヌ(樹齢30年)」、同じくブリュンヌに保有する1ha「トゥルク(樹齢35年)」、そしてそれらの弟分でありブロンドとブリュンヌに保有する6つのリューディからなる「シャトーダンピュイ(樹齢45-95年)」。
これらのコートロティ群と、エルミタージュの小区画 ベッサール30%、グレフュー30%、ミュレ20%、レルミット20%で構成された「エルミタージュ エックス ヴォト(樹齢70-100年)」。
収量は十分に抑制され、収穫は概ね遅摘みによって凝縮度を上げた状態で収穫される。
除梗は基本的に行われないが、実験的に部分的な除梗を行っている。
自動ピジャージュシステム付きのステンレスタンクを用い、ルモンタージュしながら4週間のマセラシオンを行う。アリエとヌヴェール産の新樽100%で40ヶ月以上(ダンピュイは36ヶ月)にも及ぶ長期熟成を施した上でリリースされる。
今回のサンジョセフは旧ジャン ルイ グリッパ、ドメーヌ ド ヴァルーイの畑から収穫されたシラー100%。新樽100%で30ヶ月の熟成の後リリース。土壌構成としてはエルミタージュのベサールと同一。

ではいってみましょう。


生産者: クロ デュ パブ
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ ブラン 2005
品種: グルナッシュブラン、クレレット、ルーサンヌ、ピクプール、ブールブーラン

20000円、WA93pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は高い。
第一印象はやや熟成感を帯びたカマンベールやドライシェリー、カリンやアンズの様な濃い果実味が感じられる。やや塩っぽい要素か目立つ。ドライハーブや白胡椒、イースト、塩を振ったナッツなど。いわゆるローヌの古酒っぽい風味。果実味は残っているがフレッシュさは無い。
香りはクレ ド セランに近いが、やや冷ややかでペトロールやインキに近い後味が残る。
ボディも細みで冷涼なイメージ。酸は柔らかくボディは中庸といった感じ。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: サン ジョセフ ヴィーニュ ド ロスピス 2010
品種: シラー100%

12000円、WA94-97pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
第一印象は新世界かと思うような強烈なカシスとブラックベリーの熟した果実味、マロラクティック発酵に起因するバニラやキャラメルの風味、濃厚な黒砂糖、ほのかに感じられる黒胡椒やスミレの要素。とにかく甘露でまろやかな風味が主体となっている。漢方やインク、燻製肉などの要素も。基本的な形としてはまったりとして甘露な、果実味が充実したサンジョセフだと言える。
酸味は充実しているが、タンニンは柔らかく感じる。口に含むとブラックベリーの風味とキャラメル、スミレや黒胡椒のアロマが膨らむ。香りの甘露さとは裏腹にスパイシーでドライな味わいを感じられるサンジョセフ。


生産者: ルネ ロスタン
銘柄: コート ロティ ラ ランドンヌ 2010
品種:シラー100%

16000円、WA96pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
第一印象はルネロスタンらしい、黒胡椒と生肉、スパイスやクローブやリコリスなどのハーブが混じった強烈なアロマ。そしてスミレの華やかさ、乾いた土の風味が感じられる。最初にランドンヌを飲んだ時を思い出す。極めて官能的。熟したブラックカラント、ダークチェリーの果実味、ユーカリ、松の葉のアロマ。ドライハーブの要素など。
果実味より複雑なスパイスやハーブのアロマが突出している。極めて華やかで官能的な味わい。
酸は力強くタンニンの収斂性は極めて高い。
エッジーでギザギザした印象を受ける。
香り同様強い黒胡椒と生肉の香りが突出しており、かなり果皮の抽出が強く行われている事がわかる。ピーキーで暴れ馬の様なワイン。


生産者: シャトー ド ボーカステル
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ オマージュ エ ジャックペラン 2010
品種: ムールヴェードル60%、グルナッシュ20%、シラー20%、クノワーズ10%

43000円、WA100pt
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
第一印象はよく熟した干して凝縮させたレーズン、ブラックベリー、ダークチェリーの濃厚な果実味。ドライフルーツが入ったパウンドケーキ。西洋杉の樹皮。そして黒胡椒のアロマが強く感じられる。クローヴやリコリス、スミレのやや青っぽい風味、土のアロマ。燻製肉や毛皮の様な風味はあるが、独特の獣香はあまりなく、どちらかというと干した果実の風味が強く感じられる。ユーカリなど。干した果実の濃厚な果実味がある。ちょっとアマローネ的な感じ。
口に含むと藁や黒胡椒、干したブラックベリーのアロマが広がる。酸とタンニンは力強くパワフルに感じられる。ボディも力強い。
雑多な印象は変わらないが、かなり好印象になったオマージュ エ ジャックペランだ。


まずはクロ デ パプの白から。
これが丁度熟成途中の代物で、正直本領が発揮出来ていないのではないかと思います。
丁度果実味が旨みに変わり始め、酸が潤沢に残っている為、シェリーや塩辛さを想起させる印象が強い。またドライハーブや白胡椒、イースト、塩を振ったナッツなど樽の要素もしっかりと感じられます。発酵はステンレスタンクだけど、熟成は木樽を使ってるんでしょうか?
いわゆるローヌの古酒っぽい風味。先日の熟成クロ ド ラ クーレ ド セランと近い状態ではないかと。
ただボディに関してはシュナンブランとグルナッシュブランの違いか、このクロ デ パプの方が細い印象を受けます。
熟成ポテンシャルはあまりなさそうにも見えるのですが果たして。

次はギガルのサンジョセフ。
これがランドンヌ、トゥルク、ムーリーヌ、シャトーダンピュイ、エクスヴォト ルージュの流れを完全に組むサンジョセフ。
果実味が突出しているからエクスヴォトに一番近いかもしれませんが、まあドメーヌとしてのエティエンヌ ギガルを強く感じさせる、果実味爆弾のサンジョセフです。
よく熟したベリー類のコンポートや黒砂糖、キャラメルなどの要素。漢方やインクなどの要素もあるけれども、基本骨子は強烈な果実味と豊かなボディを持つワイン。口当たりはかなりスパイシーでこれは他のフラッグシップには無い味わいですね。エルミタージュ エクスヴォトの様なドラスティックな変化は無く、またコートロティの様な緻密さも無いのだけど、価格としては納得感があるし、十二分にドメーヌとしてのギガルの魅力を感じられるワインだと思います。

次はルネ ロスタンのランドンヌ。
これが本当に素晴らしい出来で、やや没個性にも見えた2009年(但しそれが悪いわけでは無く、果実味は十分にあった、ただダレがあったのも事実)に比べて、比類なき煌びやかさ、妖艶さ、そして極端にシャープでパワフルな体躯を見せつける様な味わいだと思います。スタイルとしては2005年とかに近いと思うんだけど凝縮感がより2010年の高いと感じました。ギガルの作りとは間反対で、未熟な部分をオミットし甘露さを前面に出すギガルに対して、ヴィンテージの機微や冷涼な部分も余すこと無く取り込んで複雑かつシャープでエネルギッシュなワインを作るルネロスタン。丁度間にシャーヴのスタイルがある感じ。熟成ポテンシャルも高いと思いますし、相当よく出来ていると思います。
いいお値段ですが間違いなくお値段なりの価値があるワインだと思います。

最後、オマージュ エ ジャックペラン。
客観的に見て果実味の充実した良いワインだと思いますが、個人的にはあまり好きなスタイルではありませんでした。
アマローネ的な干したベリー類の果実味、バルバレスコやバローロを想起させる大樽のニュアンス。燻製肉や毛皮の様な芳香。
熟成時の獣香は控えめで好感の持てるワインではあるのですが...
どことなく感じられるこのイモくささ、構成要素の猥雑さがどうにも肌に合わない。
洗練された味わいではなく、ちょっと古典的というか、そういった印象を受けます。
古典的といえばアンリボノーやシャトーラヤスもそうなのですが、ピノノワールの様な繊細さがそうした部分が持ち味として現れているので良いのですが。
素晴らしいワインですが、個人的には好きになれないスタイルなので自発的に飲むことは無いと思いますね。
ピノノワール好きはきっと同じ結論を出すんじゃないかと思います。

以上4本。
今回はルネロスタンが最高でしたね。
ギガルも良かったんですが、完全に上位キュヴェの下位互換だったので、新鮮な驚きはありませんでした。
ローヌの2010はなかなか良い年の様ですね。基本的に悪いワインはあまりなかったように感じました。




【アルザス・ロワール:6】ロワール最上の生産者、ダグノーのサンセールとニコラジョリーのクレ ド セランを利く

こんにちは、HKOです。
本日はロワール、ニコラジョリーとディディエダグノーです。
ビオディナミの伝承者とランファンテリブル、ロワール最上の生産者のフラッグシップ2本となります。

ニコラジョリーはロワール サヴィニエールに拠点を置くビオディナミの第一人者で、その農法は世界中の自然派ワイナリーに広く伝播しています。
保有している畑はサヴィニエール クロ ド ラ クレ ド セラン(7ha)、サヴィニエール ロッシュ オー モワンヌ(3ha)、サヴィニエール(3ha)。樹齢は平均40年、最も高い樹齢は80年にも及びます。
1984年からすべての畑でビオディナミで栽培が行われており、いわゆる今のプリミティヴなビオディナミ...牛や羊などを飼い、ハーブを育て、そこからプレパラシオンを作る。そして家畜による除草、耕作を行っている。
発酵時も自然酵母による発酵で温度コントロールしません。デブルバージュ、コラージュはせず、古樽で数ヶ月間熟成後、瓶詰め前にフィルター処理を行い出荷されます。

ディディエ ダグノーは、1983年に様々なキャリアを経てプイィフュメにドメーヌを興します。93年から有機栽培を始め、いわゆるソーヴィニヨンブランの枠組みを大きく飛び越える卓抜したプイィフュメを一貫して作り続けています。作付面積は11haほどで、その最高の区画である「シレックス」ヴィーニュフランセーズを使用した「ピュール サン」がフラッグシップとしてリリースされています。有機農法、大人数での手摘み収穫や選果。収穫した葡萄はプレス後、ステンレスタンクで2日間寝かせた後、22度まで温度を上げながら10-12日間木樽でアルコール発酵。マロラクティック発酵はしない。新樽20%-30%程度で12ヶ月シュールリーで熟成し、更に4~8ヶ月間の間ステンレスタンクで熟成する。最長で20ヶ月程度の熟成期間を経て、瓶詰めされ出荷されます。
今回のサンセールは価格帯で言うとシレックス以上アステロイド以下のフラッグシップ級ワインとなります。単純に希少性の為、というのもあるようですが。最近リリースされたばかりのアペラシオンが何故...実際シレックス以上に力の入ったサンセールなんでしょうね。

生産者: ニコラ ジョリー
銘柄: サヴィニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン 1997
品種: シュナンブラン100%

15000円、WA94pt(1995)
外観は濃い目のイエロー、粘性は高い。
第一印象は塩味を感じるドライシェリーの様な熟成香、濃厚なドライアプリコット、ナッツの様なアロマが全面に感じられる。徐々に焼きたてのトーストやバター、動物的なオイリーさやドライハーブの風味。
基本的には熟成による要素が強く、かなり旨みが前に出ている印象。
口に含むと干したぶどうや出汁のアフター。
酸味は柔らかく、旨みが突出している。
ボディはパワフルで厚みがある。


生産者: ディディエ ダグノー
銘柄: サンセール ル モンダネ 2010
品種: ソーヴィニヨンブラン100%

21000円、WA94-95pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
プイィフュメほどミネラリーさは感じないが、岩を砕いた様な確かなミネラル感は存在する。第一印象は強いミネラルと共に感じられるムスクやフォキシーフレーバー、熟したマスカット。シロップの様な甘露さ、それに伴うバニラや白い花のアロマが感じられる。白檀やバターなどの要素も。プイィフュメと比べるとムスクの様な風味が前に出ており、果実味が高く、冷たいタッチでありながら瑞々しい蜜の要素がある。
口に含むとムスクや強いミネラル、マスカットのアロマが広がる。酸味は控えめで繊細、
ボディは細やかで軽やか。厚みのあるタイプではないが、繊細さは突出している。
わずかにアフターはスモーキーさが残る。


まず、ニコラ ジョリーから。
流石に90年代後半ということでかなり熟成感は出ています。ドライシェリーやドライアプリコットのアロマがあり、果実の甘露さより塩っぽさ、出汁っぽさが主体となっています。ボディがそもそも分厚く、それに加えて旨みがかなり前に出ている。ボトリティスに起因する香りはありません。
現段階でも既にかなり熟成を帯びているけれども、まだ果実味はほどけていない感じ。
果たしてここから本当の果実味を見せるのか、今の状態で体躯が柔らかくなっていくだけなのかは不明ですが、まだまだ熟成するのではないかな、と思います。
いずれにせよ、現在はまだ飲み頃ではないです。

次にサンセール ル モンダネ。
サンセールの小区画構成は細かくは知らないのですが、サンセール最上の区画に当たる様です。まあ真偽を確かめる事は出来ませんが(※なにせ市場にある殆どのサンセールは名もなき小区画やそれらの混醸で生み出されたものですから、ブルゴーニュの様な小区画の味の比較で優劣を弾き出すはまず不可能だと思います)そういうことなのでしょう。
さすがはディディエダグノー、鮮麗かつ絶巧たる出来栄えだと思います。
シレックスと比較すると幾分かミネラルは控えめで、その分プィィフュメより充実した果実味とムスクの要素が突出して感じられます。なのにミネラルが少ないからか体躯はやや緻密かつ繊細に感じられるのが不思議ですね。充実した果実味がありながら、どこかピュアで透明感の感じられるワインです。
素晴らしいです。普通のサンセールも美味しいですが、明らかに出色した出来栄えでグランヴァンにふさわしい味わいに仕上がっていると感じました。

ニコラジョリーはあまり飲み頃に差し掛かっていませんでしたが、若々しい魅力のあるディディエダグノーは非常に素晴らしかったです。



【ブルゴーニュ:64】ブルゴーニュ2011終盤戦。プリューレロック、エマニュエルルジェを利く

こんにちは、HKOです。
大変久しぶりにブルゴーニュです。
今回はプリューレロックとエマニュエルルジェ。去年はあんなにブルゴーニュを記事にしていたのに、今年はこの体たらく。
まあ、意図的にブルゴーニュを外しているというのもあるのですが、根本はブルゴーニュなブログですので、やはり寂しいものはありますね。ではいってみましょう。


プリューレロックはDRCの共同経営者アンリ フレドリック ロックが運営する個人ドメーヌです。とても偉大な生産者で唯一無二のアンリ節を感じさせる個性的なワイン群にはファンが多いです。栽培はビオロジックで、除梗はせず房ごと木樽にて発酵、ピジャージュは人の手にて、アルコール強化の補糖は一切せず、コルヴェは新樽100%で20ヶ月熟成、スショは新樽50%と1年樽併用で18ヶ月の熟成となります。
ヴァン ド フランスはヴォーヌロマネの西側ボンクール ル ボワの0.5haの畑から取れたシャルドネを使用しています。通常はグラン オルディネールとなりますが、自然酵母の発酵時に糖分が残ってしまうことが多かった為、全房発酵によって酵母の発酵を促進。アルコール度数を12度まで上げています。
プリューレロックの1級レ スショはDRCによって所有されている畑で、DRCのエシェゾーの畑の一部(下部)と隣接しています。平均樹齢は約35年で土質は石灰岩土壌。

エマニュエル ルジェはヴォーヌロマネに拠点を置くスター生産者で最もアンリジャイエに近い生産者と言えるでしょう。ルーミエやフーリエの様に争奪戦が起こる訳ではないものの、ヴォーヌロマネ最上の生産者である事は間違いないでしょう。
ヴァンダンジュヴェールトによる収量制限、除梗は100%、コンクリートタンクでのマセラシオンには自然酵母の使用し、約1週間の低温浸漬。新樽比率は1級以上は100%で村名は50%、 無濾過、無清澄で瓶詰めされる。※栽培は完全なビオや有機農法では無いようです。
クラシックな造りですが、彼の手から作り出されるワインはエシェゾーは勿論サヴィニー レ ボーヌまで息をのむ程に素晴らしい。
フラッグシップは一級レ ボーモン、特級エシェゾー。そしてアンリジャイエから引き継いだ一級 クロ パラントゥ。

生産者: プリューレ ロック
銘柄: ヴァン ド フランス 2011
品種: シャルドネ100%

約5000円
外観は濁った黄金色で、粘性は高い
第一印象はいかにもビオ、全房っぽい香り。ただビオのシャルドネというより、ビオのピノノワールっぽい?不思議な味わい。
シードルなどの発酵したリンゴの果実味、茎、リコリスなどのスパイス香、白胡椒、豆の様な青臭さが感じられる。甘さは特に感じられない。
口に含むとトマトやシシトウ、鉛筆の芯などの冷たいアフターが感じられる。密度はやや低めで、薄めに感じられる。
かなりクセがあり、人を選ぶワインだと思う。


生産者: プリューレ ロック
銘柄: ヴォーヌロマネ プルミエクリュ レ スショ 2011

約24000円
外観は透明度の低い赤みの強いルビー、粘性は高い。
第一印象は瑞々しいベリーの果実味とともに、存外しっかりとした樽香が感じられます。ダークチェリーやブラックベリーの瑞々しい黒系の果実味、黒糖やシロップの様な甘露さ、はっきりとした全房に起因するスパイシーさ、茎、リコリスやクローヴなどの要素が前面に現れている。スミレの華やかさ、生肉、わずかな鉄分、ドライハーブ。そして濡れた木材やワッフルなどの要素。香りとしてはプリューレ ロックらしくなかなかいいと思う。
しかしながらタンニンや酸は、あまり良くない意味で柔らかく、悪く言えばエネルギー不足か。やや繊細な密度で、鉛筆の芯やベリーの果皮などのアフターが感じられる。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2011

約74000円、WA93-95pt(2009)
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
第一印象はよく樽の効いた印象を受ける。
トースティーでコーヒーを想起させる樽香、オリエンタルスパイス、よく熟したブラックベリーやブラックカラントの濃厚な果実味、スミレの華やかさ、シナモンなど、エレガンスと密度を両立した素晴らしい味わいだ。
なめし革やバニラ、紅茶の要素や、ワッフルの香りなど。
充実した酸と旨味があり、オリエンタルスパイスやスミレ、黒系ベリーの伸びやかなで華やかな余韻が感じられる。樽がまだ強いながらも極めて均整の取れた味わいがある。さすがエマニュエルルジェ。2010、2009ほどではないにせよ手堅い味わい。


プリューレ ロックの2011年はどうやらあまりよろしくない様子。ヴァン ド フランスはかなり実験的な要素が高いので別扱いだとして、レ スショにおいてもかなり液体密度が低く感じられました。
勿論液体密度や濃度至上主義ではないのですが、密度が薄いものに関して全てがダメ、という訳ではないのですが、問題は香りと味わいのアンマッチですね。
香りは樽と豊かな黒系果実を感じる事が出来るのに、味わいがそれについてこれていないという印象です。口に含んだ時に感じられる鉛筆の芯や、際立つ果皮のニュアンス、そして密度の薄さがバランスを崩している最もたる要因だと思います。
ポジティブセレクションをしていくクロ デ コルヴェはその点安心ですが、ちょっとクロ ド ベーズやクロ ゴワイヨットが心配になる出来ですね。
お値段と比較すると、お値段なりの感動は得られないワインだと思います。
ヴァン ド フランスは白ワインで全房発酵をしているシャルドネ。飲んだ時に「これなんかビオのピノっぽいなー」と思ったのですが、通常白ワインで全房発酵をすることはないので、まあ妥当な感想だったな、と思います。色や濁りは独特で、通常のシャルドネだと思って購入すると大変痛い目に会うことは間違いありません。
個性派のワインを求めている人にはいいかもしれませんが、いわゆるコートドールのシャルドネを期待している人には決してお勧め出来ないワインです。特に美味しいとは感じませんでした。
これならシャプタリザシオンでアルコール度数上げた方がいいのでは...とも思うのですが、生産者のポリシーなので致し方なしですね。
勿論ゴワイヨット、クロ デ コルヴェ、クロ ド ベーズの3大巨塔を飲まないと判断出来ませんが、今の段階では2011年のプリューレロックは良い出来であるとは言いにくいと思います。

対してエマニュエル ルジェは非常に手堅くエシェゾーを仕上げてきています。
樽はやや強めに効いていると思いますが、果実味や液体密度も充実しているし、果皮の華やかなニュアンスもとても調和が取れていると思います。オリエンタルスパイスなどの妖艶な要素もとてもいいですね。
2009,2010の様なエネルギーを感じる事は出来ませんが、とてもエマニュエル ルジェらしいワインを作っていると感じました。
出来でいうと2007に近いかもしれません。2009年の様に凝縮した果実味があるわけではなく、2010年の妖艶さがあるわけでもなく、また2008年の様に早めに熟成する作りでもないと思います。弱めで樽香が強かった2007年が一番近い感じかも。あまりバランスの良い年ではないのですがね。
4-5年はフレッシュな飲み頃が続いて6年目くらいにガクッと落ちる様な感じかも。
まあ適当ですが。そんな感じだと思います。
ただ若いうちはいいですね。ルジェのワインとして十分楽しめると思います。
価格はお高いですが、まあまずまず納得感のある作りだと思います。

さて、そろそろ2011年も終盤戦。
グロ、メオカミュゼ、ルジェ、ルーミエ、グロフィエ、ミニュエ、ヴォギュエ、フーリエ、ドニモルテ、デュガ ピィ、クロードデュガなど、大分スター生産者の2011年が出揃って来ましたね。
そろそろ毎年恒例、来月には万を辞してアイツが来ます。さてどうなんでしょうね。
楽しみです。




エマニュエル・ルジェエシェゾー[2011]

エマニュエル・ルジェエシェゾー[2011]
価格:84,240円(税込、送料別)



【コラム】消費税増税の今だからこそ生きる、本当に美味い3000円以下のお買い得ワイン10本(2013年度版)


グランヴァンの増税による値上がりで有り金全部溶かす人の顔


どうもこんにちは、HKOでございます。
毎年恒例の3000円以下で本当に美味いワイン特集でございます。
とはいえ、2012年度版をやったのは2012年5月ですから足掛け2年ですね...大変お待たせ致しまして、申し訳ない...!
例のごとく、2012年5月から2013年12月までで最も安旨なワインを個人的主観で決めております。

評価基準は以下の通り。


■評価基準
1: 手に入りやすさ
★ ほぼネットショップ、実店舗は稀
★★ 百貨店や専門店で購入可能
★★★ 上記に加えデパ地下、たまにスーパーでも購入可能
★★★★ スーパーで購入可能
★★★★★ 大手スーパーで満遍なく購入可能

2: 果実味
フルーティーさ、甘さにて判定。

3: 高級感
複雑さ、骨格の強固さで判定。
大まかに高級ワインと比較。

4: 飲みやすさ
渋み(タンニン)、酸にて判定。

5:おすすめ度
超個人的な好みで星をつけています。

表記内にヴィンテージは記載していません。
基本的に最新ヴィンテージを選ぶと間違いないと思います。今なら2010~でしょうか。
では行ってみましょう!


◼︎シャンパーニュ並みの泡
生産者: ヴェッツォーリ
銘柄: フランチャコルタ ブリュット センツァ アンナータ NV

産地: イタリア ロンバルディア地方
1: 手に入りやすさ ★★★☆☆(酒販店で)
2: 果実味 ★★★☆☆
3: 高級感 ★★★★★
4: 飲みやすさ ★★★★☆
5: おすすめ度 ★★★★★
素晴らしいブラン ド ブラン。香ばしくクリスピー。ナッツ、バター、ブリオッシュが香るスパークリング。ライチやリンゴなどの果実味。かなり高級感がある。俺ならヴーヴクリコのイエローラベルやモエ エ シャンドンより、間違いなくこっちを選ぶ。3000円代とは思えない。


◼︎爽やか系白
生産者: アラン ブリュモン
銘柄: ブリュモン ブラン

産地: フランス ガスコーニュ地方
価格帯:1000円前後
1: 手に入りやすさ ★★★★★(コンビニで売ってます)
2: 果実味 ★★★★☆
3: 高級感 ★★★☆☆
4: 飲みやすさ ★★★★☆
5: おすすめ度 ★★★★☆
これがコンビニで買えるのは大変助かります...!
青リンゴやライチの様なすっきりとした味わいと、充実した酸が感じられる豊かなボディを両立させるガスコーニュの素晴らしい白ワイン。白身魚のフライなどに良く合いそうです。


生産者: シャトーメルシャン
銘柄: 勝沼甲州 シュールリー

産地: 日本 山梨
価格帯:1600円前後
1: 手に入りやすさ ★★★☆☆(大手百貨店、デパ地下でほぼ購入可能、成城石井でも)
2: 果実味 ★★★★☆
3: 高級感 ★★★★★
4: 飲みやすさ ★★★★☆
5: おすすめ度 ★★★★★
国産でこの価格、この品質は大手ワイナリーならでは。ほのかに感じるマロラクティック発酵の要素と、充実した果実味は大手ならでは。爽やかでシャープな味わいが特徴の甲州。焼き魚や繊細な日本料理にピッタリ。


◼︎こってり豊満な白
生産者: オー ボン クリマ
銘柄: シャルドネ 2009

産地: アメリカ カリフォルニア州
価格帯: 3000円前後
1: 手に入りやすさ ★★★☆☆(大手百貨店、デパ地下でほぼ購入可能)
2: 果実味 ★★★★★
3: 高級感 ★★★★★
4: 飲みやすさ ★★★☆☆
5: おすすめ度 ★★★☆☆
どっしりとした味わいのワインです。
ナッツやバターの濃厚な要素とともに甘いライチや洋梨の風味が感じられる、高品質シャルドネ。クリームソースを使った白身魚の料理などに。


■エレガント系赤
生産者: モンテヴェルティネ
銘柄: ピアン デル チャンポロ

産地:イタリア トスカーナ地方
価格帯: 3000円前後
1: 手に入りやすさ ★★☆☆☆(大手百貨店、エノテカでほぼ購入可能)
2: 果実味 ★★★☆☆
3: 高級感 ★★★★★
4: 飲みやすさ ★★★★☆
5: おすすめ度 ★★★★☆
この価格帯にして凝縮した旨味と綺麗な酸味を感じられるなんて!イタリアのサンジョベーゼファンはもちろんブルゴーニュファンも必ず楽しめる一本。ダークチェリーやクランベリーのギュッと引き締まったタンニンとエキス感のある味わい。鴨などの味の濃い鳥肉など。


生産者:プランタジェネット
銘柄: オムラ ピノノワール

産地: オーストラリア
価格帯: 1800円前後
1: 手に入りやすさ ★★★★☆(たまにスーパーでも買える)
2: 果実味 ★★★★☆
3: 高級感 ★★★★☆
4: 飲みやすさ ★★★★☆
5: おすすめ度 ★★★☆☆
豊かな果実味が感じられるピノノワール。
ただカリフォルニアほどリッチではなく、ブルゴーニュほど繊細でない、丁度中間を取ったようなピノ。引き締まったブルーベリーやダークチェリーの要素があり、程よくロースト香も感じられる。コックオーヴァンなどに。


生産者: ルイ シュニュ
銘柄: サヴィニー レ ボーヌ VV

産地: フランス ブルゴーニュ地方
価格帯: 3000円前後
1: 手に入りやすさ ★★☆☆☆(一部専門店かネットが妥当)
2: 果実味 ★★★★☆
3: 高級感 ★★★★★+
4: 飲みやすさ ★★★★☆
5: おすすめ度 ★★★★★+
価格帯ギリギリですが、これはオススメしたかった。ブルゴーニュ最高峰の薄旨ワイン。
流行りの色が濃いピノでも新樽がガッツリ効いたピノでもなくて、ひたすらみずみずしいイチゴやクランベリーのエキス感が感じられるワイン。しなやかで優美。ブルゴーニュとはかくあるべし、と思わざるを得ないワインです。こういうワインがもっと増えるといいなあ。染み入る様な癒し系ピノノワール。淡白なササミを使った出汁の効いた料理に。


生産者:J ローアー
銘柄:ファイブ オーク カベルネソーヴィニヨン

産地: アメリカ
価格帯: 1600円前後
1: 手に入りやすさ ★★★☆☆(それなりに購入可能)
2: 果実味 ★★★★★
3: 高級感 ★★★★☆
4: 飲みやすさ ★★★☆☆
5: おすすめ度 ★★★★☆
良質なボルドーワインに近いタッチを持つカベルネソーヴィニヨン。新世界としては濃い果実味は控えめで全体的に品良くまとまっている。カシスやブラックベリーのアロマと豊かな樽香が楽しめるお買い得なカリフォルニアワインです。牛肉のロティなどに。


◼︎どっしり重厚系赤
生産者:ボデガス ブレカ
銘柄: ブレカ

産地: スペイン
価格帯: 2600円前後
1: 手に入りやすさ ★★★☆☆(それなりに購入可能)
2: 果実味 ★★★★★
3: 高級感 ★★★★★
4: 飲みやすさ ★★★☆☆
5: おすすめ度 ★★★★★
まさかこの品質が2000円台で飲めるとは!
全てが申し分ない超お買い得ワイン。例えるならば1万円台のオーストラリアの最上のグルナッシュにも匹敵する。
濃厚で甘露、そして香り高い。高級グルナッシュを2000円で体感できる、素晴らしいスペインワイン。極めて濃厚なスタイルです。
バーベキューなどに。


生産者:ゴーツ デュ ローム ワイン カンパニー
銘柄:ゴート ロティ

産地: 南アフリカ
価格帯: 1500円前後
1: 手に入りやすさ ★★★☆☆(それなりに購入可能)
2: 果実味 ★★★★★
3: 高級感 ★★★★★
4: 飲みやすさ ★★☆☆☆
5: おすすめ度 ★★★★★
ラベルはパロディでも味わいは本物のローヌ顔負けの品質。例えるならば南仏系のシラー。黒胡椒やでカシス、ブラックベリーの豊かな果実味があります。この価格帯ではほぼ無双状態のワインだと思う。ジビエにマッチ。


はい、以上でございます。
なかなか、このエントリーの要望は多かったのですが、吟味するのに時間がかかり、ここまで引っ張ってしまいました。申し訳ない...。
ちなみに消費税増税が...と書き出しましたが、30万で1万円だから普段高いワインを飲んでる人には関係ないですかね。メンゴメンゴ!えっ、私ですか?こっちは普段の生活費を切り詰めてんだコノヤロウ!

はい。
今回特にHKOがオススメするのは何と言ってもブレカと、ルイ シュニュのサヴィニーVV、そしてヴェッツォーリのサテンでしょう。
ブレカはオーストラリアの最上のグルナッシュを感じさせますし、ルイ シュニュはエキス系ブルゴーニュを最も体現している味わい、ヴェッツォーリのフランチャコルタ サテンはシャンパーニュのブラン ド ブランに比肩する味わいではないかと。
逆に白は日常的に接点の多い和食に合いそうなタイプを選出しています。

今回取り扱ったワインはその中でも特に(赤と泡は)グランヴァンを思わせる様な味わいのものを中心に扱いました。勿論単純に価格なりの味わいで美味しい、と思えるものも結構あったんですが、今回選定する上で一番悩ましかったのはそこです。
味わいがグランヴァンに近いから相対的にお買い得に感じるワインを選ぶべきか、絶対的にだれにでも好まれる味わいのワインを選ぶべきなのか。どれを選べば良いのかと。
結果として今回選んだのはほぼ前者が中心になっています。
というのも、自分で言うのも何なんですが、それなりのクラスのワインをそれなりの数飲み込んできて、見ていただいている方もいわゆるグランヴァンに慣れているのに、普通になんとなく美味しいものを選んだのではつまらないじゃないですか。
なので、ここは「ひとりぼっち達のテイスティング勉強会」なりの「安くてグランヴァンに匹敵するようなワイン」を選定しました。
ワインが好きな人が見ても、きっと美味しいと思えるようなものです。
例えば今回選んだブレカはヌーンワイナリーのエクリプスにも匹敵すると思いますし、ゴートロティは本家コートロティに比肩すると思います。勿論緻密に考えると差異はあるのですが、普通にすぐ開けて飲む分には、インパクトとしてはさほど変わらないんじゃないかと。

これを機に少しでもグランヴァンの素晴らしさの鱗片でも感じて頂けたらなら幸いです。引き込まれますよ!











【イタリア:7】ブルネッロ最高峰、ビオンティ サンティのモンタルチーノ アンナータ、リゼルヴァを利く



こんにちは、HKOです。
久々のスティルワインです。ビオンティ サンティのブルネッロ ディ モンタルチーノ2種のレポートです。
ブルネッロは幾つか飲みましたが、率直な話、そこまで「オオッ」となる様なキュヴェに出会った事は正直あまりありませんでした。基本的にはサンジョベーゼの亜種なのですが、どうにもカステッロ ディ アマなどの単一サンジョベーゼと比べると、そっちのほうが素晴らしくて、ブルネッロは?という感覚が拭えませんでした。
ですので、正直ちょっと敬遠していた部分もあるのですが、ビオンティサンティのブルネッロは正直半端なくすごいです。半端ないです。値段も半端ないんですが。

ビオンディ サンティはトスカーナに拠点を置く、ブルネッロ ディ モンタルチーノのオリジネイター。
クレメンティ氏がサンジョヴェーゼを品種改良したサンジョヴェーゼ グロッソを生み出し、ワイナリー元詰めでリリース。その後フランコによって更なる品種改良や技術改善を行いながら、幅広いプロモーションを行った。その結果当時76haしかなかった栽培面積は2100haにまで拡大し、現在の地位を確立しました。
ビオンティサンティが手がけるフラッグシップがブルネッロ ディ モンタルチーノ アンナータとブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ。
アンナータはビオンディ サンティのスタンダードなブルネッロ ディ モンタルチーノ。ビオンディ サンティが所有する最も古い畑であるイル グレッポに植わっている樹齢10年~25年を使用し、熟成は新旧織り交ぜたスロヴェニアンオークの大樽で3年半熟成されます。リゼルヴァは優良年にのみ生産されるキュヴェでイル グレッポの樹齢25年以上の葡萄のみを使用。スロヴェニアンオークの大樽で3年程度熟成します。

では、いってみましょう。


生産者: ビオンティ サンティ
銘柄: ブルネッロ ディ モンタルチーノ アンナータ 2007

20000円、WA94pt
外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
まるで最上のピノノワールの様に官能的でバルバレスコの様に力強い体躯のワイン。例えるならばサンジョヴェーゼのクロ ヴージョか。
強烈な鉄分やダークチェリーやブルーベリーの果実味。黒砂糖、それらの黒い果皮を感じる薔薇や生肉、なめし革の様な華やかさがある。僅かな腐葉土、ドライハーブ、クローヴやナツメグの様なスパイシーさが感じられる。
口に含むときめ細やかな酸味とタンニンが広がり、クローヴやリコリスなどのスパイス、スミレの華やかな余韻が長く続いていく。
アロマオイルの様に華やかなワインだ。


生産者: ビオンティ サンティ
銘柄: ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ 2007

82000円、WA94pt
外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
アンナータと比べてより華やかさに重点が置かれており、さながらリシュブールにも通じる官能性がある。アンナータと比べるとより高域に伸びる香りがあり、雑味が少ない。
十分な鉄分があり、かつスパイシー。糖度の高くシロップを想起させるダークチェリー、ブラックベリーの果実味。華やかな薔薇や鉄観音。クローヴ、ナツメグ、そして獣香が一塊となって立ち上る。土の香りは控えめでスパイスや花のより純粋な香りが特徴的。鉄観音やなめし革、ドライハーブなどの要素も。
アンナータ同様きめ細やかなタンニンと酸がありスミレの華やかな風味やクローヴやリコリスなどのスパイスの余韻が長く続く。
香水の様に華やかでありながら、強靭な体躯を持ったサンジョヴェーゼ グロッソだ。


最上級のピノノワールにも似た印象を受けます。例えばリゼルヴァは黙って出されたら「リシュブール!」と思うかもしれません。
それだけ筋肉質で強靭な体躯があり、かつ広域に伸びて行く様な突出した華やかな味わいがありました。
もともとサンジョベーゼ自体が冷涼な地域でしか育たない、ピノノワールと似た性質(ミディアム~フルボディ)がありますし、最上のサンジョベーゼに見られる野性的な鉄の香りはヴォーヌロマネにも見られる要素です。
今回のはサンジョベーゼ グロッソですからよりパワフルで筋肉質と言えるのですが、それがより最上のピノノワールにも似た雰囲気を醸し出しているんですよね。
リゼルヴァはリシュブール。ヴォーヌロマネのエシェゾーであるとか1級群と比べると、力強く筋肉質なので、あくまでリシュブールです。
アンナータはクロ ヴージョ。豊富な鉄分と黒系果実、黒砂糖、そしてアーシーさや野性味。リゼルヴァほどの重心の高さはなく、華やかさとアーシーさ、スパイシーさ、黒系果実のニュアンスはクロ ヴージョ グランモーペルテュイを想起。
大樽に起因するものか、新樽比率が低いのかはわかりませんが、あまりトースティーな風味は無い様な気がします。ただどことなく感じさせるバローロやバルバレスコの様なイーストっぽい風味はスロヴェキアンオークを使用している事に起因しているのではないかと思います。特にそれはアンナータが顕著で、レゼルヴァに関しては、ほぼ感じませんでした。
果実味はどちらも充実していました。ただ流石にレゼルヴァの方が豊かにかんじられました。古木とポジティブセレクションによる味わいの違いかと思います。レゼルヴァの方か凝縮感が感じられますね。

微細な違いはいくつもあるのですが、個人的にこのブルネッロ、今まで飲んだどのブルネッロより最上のピノノワールに近いと思います。色は濃いのでその点分かり易いですが、単純に味わいと香りの点においては、ほぼ受ける印象は同じかもしれません。素晴らしい!高いですが!

しかし、このワインを作り出したフランコ ビオンディ サンティ氏、去年の今頃亡くなってしまいました。2008年ヴィンテージ以降どうなるんでしょうか...
ご冥福をお祈りします。



【シャンパーニュ:24】驚異の芳香を放つ熟成シャンパーニュ3種を利く

こんにちは、HKOです。
いよいよ長かったシャンパーニュレポートも最終回です。いやいや長かった。
やってた本人が、もう、うんざりしてるくらいですから、ご覧になられている方はもっとかもしれません。もう暫く泡はいい...
さて最後は熟成シャンパーニュ3本。


ポールロジェはエペルネに本拠地を置くグランメゾンで、エペルネとコート デ ブランに87haの自社畑を保有、モンターニュ ド ランス、ヴァレ ド ラ マルヌ、コート デ ブランのグラン クリュとプルミエ クリュ、合計20の小区画の葡萄を使用。
単一年のヴァン ド キュヴェのみを使用、清澄後、温度管理を行いながらステンレスタンクにて発酵。地下セラーで最低7年間熟成、その間手作業でのルミアージュを実施。ドザージュは8g/l。一時保管の後、出荷される。

ピエール ルグラはコート デ ブランのシュイィに拠点を置くメゾン。2002年よりRM→NMに登録変更していますが、現在も自社畑のぶどうのみで、珍しいシュイィ100%のシャンパーニュを作っています。現当主はヴァンサン ルグラ。リッチなムルソーを想起させる様なスタイルを得意とする生産者です。
作付面積は8.8ha、平均樹齢は40年。厳格なリュットレゾネで栽培を行っています。ステンレスタンクで醸造後、約15%をブルゴーニュ樽(228L)で8ヶ月間熟成。マロラクティック発酵を行う。ドザージュは5g/l。

ブルーノ パイヤールは1975年に設立された比較的新しいメゾンで、本詰めを始めるまでは仲買商を行っていました。
リリース以降、高い評価を受けており、ジョエル ロブションやオリエンタル急行、そしてロバートパーカー主催のヘドニストディナーなどでも供されています。
ブルーノパイヤールのシャンパーニュは100%ヴァン ド キュヴェのみ。第一次発酵は15-20%を木製樽を使用し、残りはステンレスタンクで醸造。シュールリーの熟成期間が法定期間の2~3倍程度。瓶内二次発酵は温度10.5℃、湿度80%にて管理され、出荷都度デコルジュマン、ドサージュは最低限に抑えられます。
今回の ル メニル ブラン ド ブランは
ルネ ジャルダンのブドゥペーニュという古い畑からのキュヴェ。生産本数はわずか1200本程度となっています。

では、いってみましょう。

生産者: ピエール ルグラ
銘柄: ブラン ド ブラン キュヴェ ミレジム グランクリュ シュイィ 1990
品種: シャルドネ100%


外観はやや濃いめのストローイエロー、粘性は高い。
いきなり最高の熟成シャルドネの洗礼を受ける。
第一印象は濃厚なバニラやバタークリームやシロップの豊満な果実味が感じられます。さながら熟成したムルソーといったところでしょうか。トースティーというより吹かした薩摩芋や焼き栗の様な風味が感じられます。
徐々に熟成香が現れます。熟した洋梨やマンゴー、ドライハーブ、わずかにカマンベールのアロマがあります。
芳香性は強く、豊満でポッテリとした印象を受けるシャンパーニュです。
酸味は旨味に転化し、広がりのある出汁やドライアプリコットの旨味が広がります。
ボディ密度は中程度ですが、熟成により緻密なテクスチャを形成しています。


生産者: ポール ロジェ
銘柄: ブリュット ヴィンテージ 1993
品種: シャルドネ50%、ピノノワール50%

外観は濃いめのストローイエロー、わずかに泡は立ち上り、粘性は中庸。
うわー、これも本当に素晴らしい!参った!
第一印象はピエール ルグラ同様バニラやバタークリーム、杏仁豆腐、シロップの要素が強く感じられます。ただ全体の香りの構成を占める割合としてこの第一印象が非常に強く、さながらカスタードプディングや焼き栗のような豊満な香りが感じられます。非常にリッチで果実味が高い。そして徐々にハーブ香やミネラル、熟した洋梨や力強い旨味を包含したリンゴのようなアロマが広がります。
わずかにシャンピニオンのアーシーな要素も。
ほのかに感じる発泡と穏やかな酸味、そして力強い旨味があり青リンゴやハーブ、温州みかんの様なアフターが広がっていく。緻密な酸味と旨味があり、今素晴らしい味わいになっている。


生産者: ブルーノ パイヤール
銘柄: ブラン ド ブラン グランクリュ ル メニル 1990
品種: シャルドネ100%

外観は濃いイエローで粘性は高い。
先の2つとは全く違うけど、凄まじいシャンパーニュで有ることは非常によく伝わってくる。
第一印象は強烈な石を砕いた様なミネラル感。白い花やフレッシュハーブ、焼きたてのトーストの香り。そしてバタークリームやバニラの芳香が徐々に主体的に現れてくる。ややオイリー。豊満さを感じた他の1990と比べるとかなり引き締まった印象。
そして酸を感じさせるカリンや洋梨の果実味、ヘーゼルナッツ、カフェモカの様な要素も。
酸は目が細かくなっているものの、今だ豊かで旨味が突出している。白檀のクリスピーさ、ハーブ、かつアプリコットのジャム、出汁様の長い余韻が残る。この中でもっとも複雑かつ引き締まったヴィンテージシャンパーニュだ。


いやいや、どれも素晴らしいシャンパーニュでした。やはり熟成したシャンパーニュは何にも代え難い。熟成白ワインと何が違うかは察してください。いいもんはいいんですよ...。
特に今回衝撃を受けたのはポール ロジェ。
ポール ロジェは比較的生産本数が多いグランメゾンで、言ってしまえば大量生産品。勿論大量生産品だからといって品質が悪いわけでは無いのですが、きめ細やかに目を配る事が出来る小規模生産者と比べると、やはりちょっと劣るところはあるのかな、と思ってしまいます。例えばフラッグシップのサーウィンストンチャーチルにしてもそうなんですけどね。ただ毎度ながら、そんなものは幻想で、マンパワーも技術もノウハウも潤沢に持っているグランメゾンの実力を垣間見れたのが、このブリュット ヴィンテージ。
いわゆるスタンダードなミレジムなのですが、これが本当に凄まじい。
元々1993年はあまり良い作柄では無いのですが、それでもこれだけ美しい姿になるとは。
いわゆる最上のシャルドネの味わいで、完全にマロラクティック発酵を終え、樽と豊かな果実味が結合し、さながらバタークリームや杏仁豆腐、カスタードプディングのような芳香が感じられます。
リッチな香りを放つが、酸は滑らかに、旨味は潤沢になり、えもいわれぬ素晴らしい味わいになっています。
ミネラルはさほど感じませんが、シャンパーニュのムルソー、あるいは新世界のシャルドネを想起させる様な香り。根本の葡萄の質が極めて高いからか、一切の果実味の不足は感じません。これがポール ロジェの本質だとしたら恐ろしい事です。

そしてピエール ルグラも基本的には同様の方向性の熟成を経ています。
ポール ロジェほどマロラクティック発酵の要素に傾倒している訳ではないのですが、マロンやバタークリーム、バニラ、シロップの様な甘露な風味が主体となっています。
シュイィ自体が比較的ミネラルか良く出るテロワールだからか、ポール ロジェより若干引き締まった印象を受けますが、基本は豊満なムルソースタイルと言えるでしょう。
個人的にはミネラル部分も含めて、全体的な完成度としてはこちらの方が若干高いと感じました。複雑で十分な甘露さを持ったバランスの良い一本だと思います。

最後、プルーノ パイヤールのル メニル。
こちらは先の2本とは異なり、バニラやプディングの様な風味は控えめ。そのかわり液体にはかなり硬質なミネラルを有しています。
もともとミネラルが強いのが、はたまたはまだ熟成途中なのか。充実した果実味、甘露さがありながら、かなり芯のある味わいです。
やや樽の影響もあり、トースティーかつクリスピーな味わいを感じることができます。
酸がまだ生き生きとしてますから、まだ熟成によってよくなっていきそうな感じですね。
かなりレベルの高い仕上がりになっている印象です。

この3本はかなり熟成によってピークに近い形になっていると思います。
今熟成シャンパーニュを飲むならば90年代前半、フラッグシップクラスなら80年代後半がオススメです。
ピエール ルグラとポール ロジェは特にオススメですね。




プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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