【オーストラリア・NZ: 5】オーストラリア最上のピノノワール生産者、バスフィリップを利く



こんにちは、HKOです。
今回はバス フィリップのガメイ、そしてピノノワールの2本です。


バス フィリップはオーストラリア ヴィクトリア州のギップスランドに1979年に設立されたワイナリー。創設者はフィリップ ジョーンズ。
アンリジャイエに影響を受け、当時畑に植わっていたカベルネは全てピノノワールに植え替える程の完璧主義者。そのエピソードだけに留まらず作付け面積4haのうち、収量は超低収量で10hl/ha。数百ケース程度の生産数量となります。
栽培時は灌漑せず、殺虫剤は使用しない。ぶどうは全て手摘みで収穫、その場で選果(最大30%程度)
自然酵母によって発酵を行い、SO2の添加は最低限。樽熟成後無濾過で出荷。除梗有無、新樽有無は不明ですが、高い比率の除梗、新樽のニュアンスは控えめでこちらは高い比率ではなさそうです。


生産者: バス フィリップ
銘柄: ガメイ 2009

約6700円、WA89pt(2010)。
外観はやや濁りのある濃いルビー、粘性は中庸。
いわゆるボージョレーの様なガメイではなく、クリュ ボージョレにも近いピノノワールの様なガメイ。
第一印象は極めて華やかで繊細、それでいてマロラクティック発酵を経たまろやかな香り。紅茶やミルクポーション、瑞々しいブルーベリーやアセロラの果実味が感じられる。またなめし革や鉄分の官能的なニュアンス。僅かに青さを感じさせる茎やハーブ、アーモンド、クローヴの要素。後半はハーブと果実味が主体となる。
かなり凝縮感が強く、タンニンは柔らかだが、強靭な酸が感じられる。薔薇や梅しばの様な強烈な旨味を感じさせるアフター。やや減衰が早い印象がある。


生産者: バス フィリップ
銘柄: クラウン プリンス ピノノワール 2009

約8400円、WA90pt。
外観はやや濁りのある濃いルビー、粘性は中庸。
香りは完全にブルゴーニュのそれ。
ガメイと比べてより集中力が高く、たいへん凝縮感が感じられる作り。第一印象はより果皮が感じられるブルーベリーやダークチェリーの高密度な果実味、僅かに漂うシロップの様な香りが主体として感じられるが、徐々になめし革や鉄分、そして僅かに紅茶やミルクポーションの要素、松の樹皮、クローヴ、ローズヒップティーなど。
ガメイに輪をかけて、かなり凝縮感が強く、酸の密度が高い。タンニンはきめ細やか。薔薇や梅しば、僅かにミルクポーションの様な強烈な旨味を感じさせるアフター。強烈な味わい。香りはブルゴーニュ、味わいはオーストラリアらしいピノノワール。密度はがガメイより遥かに高い。

この2本、相当すごいです。ガメイは最上のクリュボージョレの様だし、ピノノワールは最良のコート ドールのワインの様な香りを放ちます。
まずガメイですが、そもそもボージョレ地区やロワール以外にあまりガメイを栽培している地域がないので、あまりサンプルケースが無いのですが、ブルゴーニュのピノノワールにも近いクリュ ボージョレの様な凝縮感を感じました。
ただ、それに関してはどちらかというと、この生産者のスタイルの様な気がします。実際に香りで言うなら、彼のピノノワールに接近していたと思います
華やかで繊細、マロラクティックなしなやかさ、瑞々しいベリーなどの小果実。果皮の要素を強く感じるなめし革などのニュアンスが主体となっています。
そしてオーストラリアらしい梅しばの様な凝縮した旨味と酸味の均整が感じられます。
ただ彼のピノノワールと比べると、抜栓直後からフルパワーの状態でありながら、香りの減衰はやや早めに感じました。ピノノワールの方は初めこそ硬いですが、開いてから減衰までの時間はかなり長いです。
ピノノワールの方向性は概ねガメイと近いのですが、特筆すべきはその凝縮感や高い密度。単純に香りで言うのなら、平凡なヴィンテージのアルマンルソー村名~1級並。ただ果皮の強い要素を感じるダークチェリーやブルーベリーなどの香りが、ワインの骨格を形成する酸や旨味と結合して、高密度な一塊となった存在感を感じます。
なんなんでしょうね、このアンマッチ感。
果皮のニュアンスが強く出るのは、(マセレーション期間やピジャージュ頻度など)抽出が強いか、ぶどうが不作によって小粒で相対的に果皮の割合が多くなっている、というのがベーシックな考え方だと思うのですが、ちゃんと果実の熟した感じはするし、結実不良の果実にも似たアンバランス感があるんですよね。そもそも熟した状態で小粒な実をつけるのかもしれません。色も濃いですしね。
醸造は極めてブルゴーニュ的であり、果実味の出方はオーストラリア的だな、と思います。程よいマロラクティック発酵の要素も良いと思います。

総合的に見て、極めてレベルの高いピノノワールを作っていると思います。
個人的にはやはりブルゴーニュに準拠したスタイルだと思いますが、この果皮と果実味のバランスが果実そのものに準拠するものであれば、テロワールの影響も結構大きいのかな、とも思います。
ただ次に扱うコールドストーンヒルやメイヤーなどはまた違った特徴がありました。

オーストラリア面白いなあ。

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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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