【オーストラリア・NZ: 6】オーストラリアのカルト ピノノワール3種を利く



こんにちは、HKOでございます。
引き続きオーストラリアのピノノワール、そして、珍しいネッビオーロです。
ピノノワールはコールドストリームヒル、メイヤー。ネッビオーロはアールのものです。


コールドストリームヒルズは1985年にジェームス ハリデイ夫妻によって設立されたヴィクトリア州ヤラヴァレーに拠点を置くワイナリー。ファーストヴィンテージは1985年のファーストヴィンテージ。
急勾配な丘で構成される冷涼なヤラヴァレーのぶどうを使用。棚作りとキャノピーマネージメントに注意を払い、低収量を実現している。剪定と収穫は手作業で行い、低温浸漬の後、開放式の醗酵樽で発酵。フレンチオークの小樽(新樽比率30%程度)で11ヶ月熟成。
今回のリザーブ ピノノワールは特定区画から収穫されたピノノワールのみを使用し、全生産量の内10%以下のポジティブセレクション。

メイヤーはヤラヴァレーに拠点を置く、ワイナリー。現当主はジェムブルック ヒルで醸造責任者を務めるドイツ移民のティモ メイヤー。2.6haの急傾斜の高い標高の区画を所有し、世界最高峰のピノノワールを作っています。
栽培は人の手の干渉は最低限に抑えています。収穫した葡萄は100%除梗しない。発酵、樽熟成後のろ過も清澄も行われない。
新樽比率は定かではありませんが、そんなに高い訳ではなさそうです。

Rはオーストラリアカルトワインの大御所クリス リングランドとニックストックによって運営されているプライベートワイナリー。日本への割当はわずか24本。詳細は不明。
...ですが、オイルの様な強烈な粘性と樽香はいかにもクリス リングランドっぽいな、と思います。


ではいってみましょう。


生産者: コールドストリームヒル
銘柄: リザーブ ピノノワール 2012

8300円。
外観は透明感のあるルビー、粘性は中庸。
明るい甘露な果実味のあるキュートなピノノワール。ブルゴーニュらしいバスフィリップとは全く異なる味わい。
凝縮感がありながら、とても焼きたてのトーストと共にキャンディ香があるピノノワール。瑞々しい蜜の様な甘露さが感じられる。
アメリカンチェリーやラズベリーの様な溌剌とした甘露な果実味、焼いたトースト、ミルクのアロマ。クローヴ、華やかなスミレや紅茶。燻製肉。比較的樽がしっかりと感じられるのが特徴か。極めてフルーティーかつ華やか。
他のワインと比べると酸味は柔らかく感じられる。タンニンもきめ細かい。華やかな赤系果実やトースト、スミレのアフターが残る。
華やか...見方によってはヴォギュエっぽいかも。


生産者: メイヤー
銘柄: ドクトル ピノノワール 2012

10000円。
外観は透明感のある明るいルビー、粘性は中庸。自然派っぽい味わいで、明るい甘露な果実味のあるキュートなピノノワール。
熟したイチゴやラズベリー、イチジクの溌剌とした赤系果実、オレンジピール、全房っぽいスパイスや茎の様な青さが感じられる。シナモンやクローヴ、枯葉。燻製肉や黒胡椒。ドライハーブやユーカリの要素が感じられる。自然派らしい(ただしプリューレロック、フィリップパカレとは違う)柔らかい印象を受ける。
香りのふくよかさとは裏腹に口に含むとかなり凝縮感がある。酸味は厚みがあり、タンニンはきめ細やか。ベリーの果皮や黒胡椒の要素が感じられる。


生産者: アール
銘柄: ソリータ ネッビオーロ 2006

13000円、WA94pt
外観は橙を帯びたブランデーの様なガーネット、粘性は高い。
しっかりとした樽のニュアンスが感じられる。炭焼きや燻製の様なロースト香、アーモンドや濃厚なオイリーさがある。色の薄さとは裏腹にプラムやカシスの果実味があり、スミレやタバコのアロマ、塩を振ったトマトの要素、ドライハーブなどの風味も。
野生的な燻製肉、ベーコン、漢方、クローヴ。
かなり凝縮感と粘性が高く、重厚で濃厚。重戦車の様な味わい。ブランデーの様でもある。
タンニン、酸が充実しており濃厚で、樽の要素や燻製の要素が広がる。筋肉質でパワフル。エネルギーに満ちたネッビオーロ。
個人的にモダンとも古典派とも言い難いタイプだと思う。


いやー、どれも個性は違いますが、どれも素晴らしいワインだったと思います。
まずコールド ストーン ヒルですが、冷涼かつ若々しいピノノワールのキャンディ香が感じられます。
バス フィリップとは全く違いますが、その一方でブルゴーニュでよく見られるスタイルのひとつだと思います。例えばヴォギュエの2010プルミエクリュや、フレデリック エスナモンのマジシャンベルタン2010など。
強い体躯ではなく、極めて繊細で細身な味わい。それでいてキュートな赤系果実や蜜やトーストやスミレの様なアロマ。酸味やタンニンは柔らかい。一見熟成ポテンシャルなさそうですが、この手のワインの本気は熟成後なので、この先が楽しみです。

次メイヤー。
また典型的なビオが来ましたね。ビオというか全房発酵のワイン。ドメーヌタカヒコとかネレッロマスカレーゼ、ラウルペレスのメンシアとかそこらへん。全房発酵のミディアムボディのワインです。そして出来としてはかなりいいです。人それぞれですがかなり好きな方向性ですね。
イチゴやラズベリーなどの瑞々しい果実味、オレンジピール、全房らしいスパイスや茎の要素が全面に感じられます。あと酵母由来の香りなど。複雑かつ瑞々しくフレッシュなアロマが感じられます。
それでいて凝縮感が高い。
あまりオーストラリアでこの手のワインを見たことがなかったので、結構驚きました。
でもいいですね。本当にオーストラリアのピノノワールは多様化してるなあ。
今回の3本、全部パターン違かったですし。

バスフィリップはコートドールの香りに強烈なエキス感を持つピノノワール。
コールドストーンヒルは繊細かつ低抽出、瑞々しく透明感のあるピノノワール。
メイヤーは低抽出だけど、複雑でスパイシーで瑞々しいピノノワール。

コールドストーンヒルとメイヤーは双方とも瑞々しい果実味を感じますが、受ける印象は正反対。とにかく不要な雑味を排除して、透明感のあるピュアなスタイルを追求しているコールドストーンヒルに対して、メイヤーは複雑味として梗や酵母の香りを取り込んで均整を取ろうとしている。
バスフィリップはどちらかというとコールドストーンヒルに近い思想だと思うのですが、より抽出が強く、おそらく樽の熟成期間も長いんでしょうが、これまた違う印象。
ただ一つ共通しているのは果実味は極端に高い訳ではなく、どちらかといえばエキス感のあるワインを作っていると思います。
カリフォルニアは言わずもがな、ブルゴーニュも高い果実味を持ったワインが主流になっています。スター生産者のグレートヴィンテージなんかは古木や収量制限などで、高い果実味を維持していますが、これらのワインはより古いブルゴーニュスタイルを踏襲している様に感じました。
ブルゴーニュの値段が青天井の今、ポストブルゴーニュはオーストラリア、ニュージーランドのピノノワールであることは間違いないと思います。

最後、珍しいオーストラリアのネッビオーロ。
どこをどう切り取っても完全にクリス リングランドのワインと言った感じ。勿論ネッビオーロらしい、色からは想像できないタンニンや酸があるのですが、樽の使い方からして大分バローロ、バルバレスコとは異なった印象を受けます。バリック新樽で仕込んだ甘露でロースト香を感じるモダンな作りというわけでもなく、古い大樽を使用した酵母香豊かな伝統的な作りでもなく、クリスリングランドのワインと言った感じ。
彼のシラーズほどの密度や粘度がある訳ではないのですが、十二分に重厚なワインです。
極めてオイリーでスモーキー。プラムやカシスの豊かな果実味、塩を降ったトマトの様な強烈な旨味。さながらブランデーの様にも感じられます。シラーズの影に隠れてとてつもないポテンシャルを感じるワインです。
熟成はどちらに向かっていくかはわかりません。そして決して今が美味いわけでもないので、未知数といえば未知数なんですがね...
ただこのワインが枯れる姿があまり想像がつかないです。
凄まじく長熟なワインじゃないかと思います。

こう俯瞰してみるとフランス並にバリエーション豊かですね。繊細なピノも濃厚なシラーズやカベルネも、ネッビオーロも出来てしまう。恐ろしいワイン産出国だと思います。




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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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