【イタリア: 8】プロデュトゥーリ デル バルバレスコ、 バルバレスコ オヴェッロ 2008

こんにちは、HKOです。
本日はプロデュトゥーリ デル バルバレスコのバルバレスコ オヴェッロです。
個人的にイタリア随一のお買い得バルバレスコだと思っていて、レゼルヴァが発売される時はいつも購入しています。
古典的で、かつ上位クラスのワインが7000円で買えるというのはなかなか無いかも。
王道のバルバレスコなので、結構オススメです。


【データ】
プロデュットーリ デル バルバレスコはピエモンテに拠点を構える世界最高峰のクオリティのネッビオーロを生み出す協同組合(所属組合員は56人)。バルバレスコの中でも最高の区画を所有し、特にレゼルヴァ...アジリ、オヴェロ、モンテフィコ、モッカガッタ、モンテステファノ、リオ ソルド、ラバヤ、ポラといった9つの単一畑バルバレスコは世界的にも高い評価を受けています。
栽培は契約農家(組合員)によるもので、栽培、醸造方法は不明ですが、伝統的な方式で行われていると推測されます。(味わいの方向性的にそんな感じです。)


【テイスティングコメント】
生産者: プロデュトゥーリ デル バルバレスコ
銘柄: バルバレスコ リゼルヴァ ヴィネッネィ イン オヴェッロ 2008

約7000円、WA95pt
外観は透明度の高いやや濁ったガーネット、粘性は高い。
古典的な造りのバルバレスコだ。
イーストや焼いた木材の様な香ばしいアロマに、ややプラムやブラックベリーの果皮のニュアンス、スミレや漢方、なめし革の要素。
リコリスなどのハーヴィーな風味、ナツメグや茎の様なニュアンスが感じられる。
王道的なネッビオーロの造りで、リコリスやハーブのニュアンスと共にタニックな黒系果実が感じられる。
酸とタンニンは激しくエッジの効いたピーキーさがある。ボディは極めて厚く、筋肉質な印象を受けるワイン。


【所感】
ほぼ最高レベルの古典派バルバレスコだと思います。新樽のニュアンスはあまり感じられない(旧樽っぽい?)です。
最良の畑なだけに熟度は高く、タニックてパワフルなワインだと思いました。
華やかで、どこかまろやかさを感じさせるアジリと比べると、より黒系果実寄りのアロマで、力強い体躯や酸を持っている様に思えました。
長期熟成に耐えうる強いボディを持っているが、若いうちから最高に美味なワイン、という事はない。
しかし、さすがのプロデュトゥーリ デル バルバレスコ。この値段でこの品質とは...
個人的にはアジリの方が好き。





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【ローヌ:14】シャトー ド サン コム、コンドリュー 2012。

こんにちは、HKOです。

結構記事も溜まってきましたねー。
重複防止、オンラインで感想を振り返られるメモ用に作ったブログですが、以外と人に見られてて、貴重なご意見を頂いたりするのですが、(皆様に有益な記事も織り交ぜつつ)基本的にはゆっくりじっくり、記事を貯めて、より自身のデータベースの拡充に専念していこうと思います。
いや、本当に凄く便利なんですよ、忘れずに付けとけば、「このワイン飲んだな?」とか「過去のヴィンテージはこんなかんじかー」って振り返れるし、紙のメモと違って持ち出し忘れたりすることないし、検索で一覧表示できるし、基本的にオープンな情報だからevernoteやdropboxより気軽だし。
本当はブログ設立前のものも含めていきたいのですが、コメントが恥ずかしすぎて載せられない!そういう意味でいうとブログ開設当初のも大概ですが。まあ日々成長ということで。

本日の更新はシャトー ド サンコムのコンドリューです。

【データ】
シャトー ド サンコムはローヌ南部に拠点を置く1490年から続く老舗生産者。 代表銘柄はシャトーヌフ デュ パプ、コート ロティー、コンドリュー、ジゴンタス。現在は14代目のルイ バルオールが指揮を取り、ピジャージュの多用や全房発酵を導入、大きく発展させています。作付面積は15ha。
サン・コムが手掛けるコンドリューは、
平均収量27hl/ha。マロラクティック発酵を実施。20%を新樽、45%を2年目の樽、35%を3年目の樽で8ヶ月間熟成。僅かに濾過をして出荷する。


【テイスティングコメント】
生産者: シャトー ド サンコム
銘柄: コンドリュー 2012

WA93pt(2010)
外観は明るいストローイエロー、粘性は高い。アロマティック品種らしいさ爽やかで清涼感のあるシトラスやライチ、グレープフルーツの香りに白い花やフレッシュハーブ、甘露な花の蜜、ミルクポーション、ホワイトアスパラなどが主体となり、白胡椒、シナモンなどのスパイスの香りが感じられる。
果実味は豊かで甘露。それでいて清涼感を併せ持つ。酸は柔らかだが液体の厚みは充実しておりざらついた印象は無い。熟したオレンジの様な余韻が残る。


【所感】
アロマティック品種ならではのマスカットフレーヴァー、そしてシトラスなどの清涼感のあるアロマが主体だが、この手のスタイルには珍しくマロラクティック発酵を行い、丸みのあるニュアンスが前に出ており、同時に柔和な印象を受ける。コンドリューらしいリッチなボディ。熟度は高く、果実味は豊かに感じられる。新樽20%だが、新樽のニュアンスが突出して目立っている、ということはないと思う。

【ブルゴーニュ:67】ブルゴーニュ3種、シャブリ、ヴォーヌロマネ、パスグラを利く

こんにちは、HKOです。
今回はブルゴーニュです。特に無作為に飲んで溜まっていたものを消化していきます。
モンジャール ミュニュレのパストゥグラン、ルネ カシューの村名ヴォーヌロマネ、オリヴィエ ルフレーヴのヴォーデジールです。改めて本当に無作為ですね....

では、いってみましょう。


【データ】
モンジャールミュニュレはヴォーヌロマネでは伝統のある老舗の大ドメーヌでリュットレゾネを1990年から実践しています。一時期評価を落とした時期もある様ですが、2000年に入ったヴィンテージで致命的にダメなワインには当たったことはありません。樹齢は大体30年から50年で、パストゥグラン リベルタンで樹齢約30年。除梗は100%実施する。
ふどうはフラジェ エシェゾー村のガメイとピノノワールを使用する。
発酵前低温浸浸を実施し、アルコール発酵は後2年樽で熟成します。

ドメーヌ ルネ カシューはヴォーヌロマネに拠点を置く生産者。元々はジャックカシューとひとつのドメーヌでした。
当代のジェラルドカシューはヴォギュエやベルナールリオンで修行し、暫くはほとんどのワインをネゴシアンに販売していました。
全所有面積は3.26ha。今回のヴォーヌロマネはニュイ サン ジョルジュの隣の1haの畑。100%除梗し、低温マセレーション。村名としては新樽比率は高く、50%で18ヶ月の熟成。

オリヴィエ ルフレーヴ フレールは、故ヴァンサン ルフレーヴの甥であるオリヴィエ ルフレーヴによって1984年に設立されたネゴシアン部門。ポートフォリオは幅広く、コート ド ボーヌの白を中心に、ヴォルネイやポマールなどの赤をリリースしています。
買いぶどうは信頼できる栽培農家に収穫日、栽培方法を指定し、厳密に管理したぶどうを購入しています。複数農家から買い上げたぶどうは瓶詰め直前までブレンドされず、畑の特徴を考慮しながらブレンドされます。
※全てが買いぶどうでは無く、一部の畑(ムルソーポリュゾやクロサンマルクらは自社畑)
ヴォーデジールの土壌はキンメリッジアン土壌。リュットレゾネで栽培し、100%手収穫、平均樹齢40年、平均収量は56hl/ha、10%新樽で11カ月熟成。



【テイスティング コメント】
生産者: モンジャール ミュニュレ
銘柄: ブルゴーニュ パストゥグラン レ リベルタン 2011

外観は澄んだ明るいルビーで粘性は中庸。
良年続きのブルゴーニュが続いた後の、懐かしい感じのするパストゥグラン。ガメイが50%アッセンブラージュされているが、どちらかというとピノノワールの特徴が前に出ている。
瑞々しくフレッシュで、やや酸味の際立つダークチェリーやブルーベリーの果実味、なめし革や鉄、スミレ、ミルクポーションの様な風味を中心に、クローヴなどのスパイスの香りも感じられる。
生産者特有の新樽の要素や果実の熟度による甘さはなく、爽やかで瑞々しいドライなピノノワールと言える。
酸は際立って高くシャープ。クリュ ボジョレーのガメイと熟度の高くないピノノワールのアッセンブラージュ。クリアなブルゴーニュを求める人には良いかもしれない。


生産者: ルネ カシュー
銘柄: ヴォーヌ ロマネ 2010

外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
やや抽出やローストした樽香などの醸造起因の香りが前面に感じられる。
五香粉、オリエンタルスパイス、コーヒー香などの様な香り。スミレ、なめし革などの華やかなニュアンス。やや冷ややかなダークチェリー、ブルーベリーの果実味。ドライハーブ、松やリコリスなどの要素も感じられる。
スタイルとしてはセシル トランブレーのVRにも似ている。
酸は力強く、旨みも充実しており、五香粉、オリエンタルスパイスなどのアフターが感じられる。


生産者: オリヴィエ ルフレーヴ
銘柄: シャブリ グランクリュ ヴォーデジール 2007

外観は明るいストローイエロー、粘性は高い。
やや熟成を経て若々しさは落ち込んでいる。
時期的にはあまり良くない時期に差し掛かっていると思う。香りは閉じている。
フレッシュハーブやリコリス、石を砕いた様な強固なミネラル感が主体となっており、酸味の強いカリンやライチ、レモンの果実味、わずかに蜜の甘露さがあるが、基本的にはかなりシャープな状態。
酸味は際立って高い。ざらつきは少ないものの、レモンの様な切り立ったエッジーさを感じる。旨味も現れ始めている。
シャブリらしいシャブリだが、グランクリュとしては若干役不足を感じる味わい。


【所感】
・モンジャール ミュニュレのリベルタン。
基本的にはブルゴーニュ ピノノワールに近い。ミュニュレらしい樽の要素やマロラクティックっぽい要素がありながら、突出したフレッシュさやシャープな酸味がある。これはガメイ起因だろう。(カルボニックに見られる要素は全く無い)除梗100%のクリアなタッチなワイン。
上位キュヴェは充実した果実味、MLF、樽がバランス良く表現されたワインだが、こちらはそうしたリッチな要素をそぎ落とした、シンプルながら完成度の高いシャープなワインだと思う。

・ルネ カシューの村名ヴォーヌ ロマネ。
セシル トランブレのヴォーヌ ロマネ VVにスタイルは似ている。100%除梗、低温マセレーションによる華やかな香り、強めの抽出、そして村名にしてはリッチな樽香が特徴的。ある種VRらしい華やかさ、そしてNSGらしい重心の低さがある。(正直樽のリッチな使い方からオー ブドかリシュモンあたりの1級畑かと思った) 価格を鑑みると凄くお得感のある造りのワイン。

・オリヴィエ ルフレーヴのヴォーデジール
ミネラル感とカリンやライチ、レモンの様なシャープかつエッジーな酸の効いたハーブ、甘草のような香り。香りは閉じており、かなりの硬質さを感じるシャブリ。
果実味が不足しているのか、ややキャッチーさに欠け、良年の村名の方がまた楽しめる味わいになっている。難しいワインだと思う。





【ボルドー:16】レ フォール ド ラトゥール 2006

こんにちは、HKOです。
本日はシャトー ラトゥールのセカンドラベル、レ フォール ド ラトゥール 2006です。

シャトー ラトゥールはポイヤックに拠点を置くトーチカの様な塔が特徴的な第一級シャトー。現在はフランソワ ピノー氏が指揮を執る。ラトゥールはその品質を安定させる為に約60%がセカンドラベルに回される。1974年に至っては25%のみがグラン ヴァン ド シャトー ラトゥールとなる。また、その偉大なワインが産出がされる畑はメドックにおいて最も歴史が古い畑のうちの一つ。レオヴィルラスカーズに隣接する細かい砂利質で非常に水はけに良い土壌である。今回はセカンドラベル、レ フォールド ラトゥール。
栽培面積は60ha、平均樹齢は35年、収量は40hl/ha程度。
マセラシオンは21日間行なわれ、温度調節機能付きのステンレスタンクで30℃を維持したままアルコール発酵。
新樽を100%使用し20~26ケ月熟成を行なう。清澄は行なうが濾過は行なわない。

生産者: シャトー ラトゥール
銘柄: レ フォール ド ラトゥール 2006

WA92pt
外観は澄んだガーネットで粘性は高い。
重厚で堅牢なファーストラベルと比べると、やはり柔らかく、密度も低めに感じるものの、並の格付けレベルを超える造りであることは間違いない。メドック2級クラスぐらいかな。熟したカシスやブラックベリーの果実味、バニラ。コーヒーや西洋杉、タバコ、乾いた土。甘草や燻製肉などのアロマが感じられる。薔薇やドライハーブなども。
全体的にラトゥールらしいアーシーさがありながらも堅牢になりすぎず、比較的開いた味わい。ジャミーなブラックベリーや西洋杉、土の様なアロマ。重層的な味わいでパワフル。タンニンは充実しており、酸も豊か。球体という訳にはいかないが、ちゃんとボリューム感の感じられる味わいになっている。


個人的に5大シャトーのセカンドの中で、最もファーストラベルに近いエッセンスを持っているのは、このレフォールド ラトゥールだと思います。
勿論凝縮度や密度はファーストには劣るのですが、ファーストに感じられるエッセンスをほぼ持った上で、一回り小さくした様な感じでしょうか。
凝縮した果実味と強い樽香、そしてシャトー特有の乾いた土の様なアーシーさが感じられます。
ちなみに2010年と比べてみると当然既にかなり開き気味ではあるのですが、2元来持っていたであろう果実味はやはり2006年の方が少ない様に感じます。
併せてその他の醸造的な要素は全体的に控えめになっていて印象を崩さないような形になっています。
※ひょっとしたら経年による各要素の溶け込みかもしれませんが。

球体の味わい、とまでは行きませんが、タンニンや酸はこなれている様に感じました。

やはりレ フォール ドは安定して良いですね。
基本的にこのクラスになるとそう悪い事はあまり無い様に思えますが、一般的に最高のヴィンテージとは言い難いヴィンテージでも良くまとまっていると思います。


【ボルドー:15】ボルドー左岸2010年再検証

こんにちは、HKOです。
本日はボルドー2010を思い出してみるテイスティングでございます。
現在は2011年がリリースされていますが、2010年リリース直後の厚さや果実味はやっぱり無い様に感じていました。
でもそれって本当に?人の記憶は結構あやふやなので、実際の所、有る程度近いスパンで飲んでみないと、ハッキリと違いがわからないかもしれません。

はい、というわけで2010年です。
今回は赤はクロワ ド ボーカイユ、スミス オー ラフィット。白はコス ブランです。

シャトーコスデストゥルネルは、メドック第二級のシャトーで、第一級を時に凌駕するスーパーセカンドとして扱われるシャトー。ラフィットに隣接する畑(表土は砂利質、下層土はすい石、石灰岩、シリカ)を70ha保有し、個性的な東洋調の建築物が目印。
平均樹齢35年程度の葡萄を、選定により収量を35hl/ha程度に抑える。収穫は手摘みによって行われる。収穫後の果実は除梗の後、機械制御で高めの温度を維持し、セメントタンクとステンレスタンクでアルコール発酵が行われる。マセラシオンは20~30日程度。
新樽75%~100%程度で18ケ月樽熟成を経た後、瓶詰めされる。瓶詰め後8~30年瓶熟。白はACボルドーシュペリウール。1年樽で熟成。

デュクリュボーカイユはオレンジ色のラベルが特徴的なメドック第二級シャトー。こちらも年によっては第一級を凌駕する事からスーパーセカンドとされています。2003年からメドックの名士、ボリー家のブリュノ ボリーがこのシャトーを牽引しています。
ボリー家が所有して以降30年間に渡ってその品質を高めたため、現在の地位を築き上げたといえる。
栽培面積は52ha、平均樹齢38年、平均収量49hl/ha。畑で選果を行い手摘みで収穫後、除梗機で除梗。温度管理されたステンレスとコンクリートのタンクで17~21日間、アルコール発酵とマセレーションを行う。新樽50~65%で18~20ヶ月樽内熟成を行います。
セカンドラベルはラ クロワ ド ボーカイユ。

シャトー スミス オー ラフィットはスコットランド人のジョージ スミスが18世紀にこの葡萄畑を購入したことにより始まった。現在(1990~)の所有者はダニエル カティアール。
グラーヴ特級の格付けは1842年。
作付面積は56ha。水はけが良く、日照が地面から反射する砂利質の土壌で、平均樹齢は30年。温めと冷却両方の温度調節機能が付いたタンクで30度程度で発酵を行う。発酵後、新樽50~80%で18~20ヶ月の熟成を行う。無濾過で清澄も行わない。
セカンドラベルはレ ゾード ドゥ スミス。

では、いってみましょう!


生産者: シャトー コス デストゥルネル
銘柄: コス デストゥルネル ブラン 2010
品種: ソーヴィニヨンブラン80%、セミヨン20%

約10000円、WA90pt
外観はやや黄色を帯びたストローイエロー、粘性は高い。
果実味がしっかりとした詰まった、樽を効かせたソーヴィニヨンブラン。さながら新世界で作られたかのような豊かな香りがある。
豊かなミネラル。
モカ、バター、シロップの様な甘露さ。炒ったナッツ、白桃の様な果実味。それとともにフレッシュハーブの様な香りが調和が取れている。わずかに白い花のニュアンス。華やかさやミネラルが突出していることはないが、全体のバランスの中で極めて有効的に立ち振舞っている。
酸味は十分にあるが、どちらかといえば旨みの方が突出している。僅かな苦味とハーブやシトラスの様な若々しい余韻が残る。ボディは極めて厚い。


生産者: シャトー デュクリュ ボーカイユ
銘柄: ラ クロワ ド ボーカイユ 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン85%、メルロー15%

約10000円、WA90pt
外観は濃い目のガーネット、粘性は高い。
華やかでトースティ、それでいて充実した果実味を有している。
焼いた西洋杉、カカオの様なロースト香、リコリス、タバコ、燻製肉などのアロマ。
そこに甘露なカシス、ブラックベリーなどの果実味が乗ってくる。スミレやトリュフ、鉄分。わずかにピーマン香がある。
スモーキーかつハーヴィー、スミスオーラフィットと比べるとかなり液体密度は低い。
酸味と旨みは豊かで、インパクトはタンニンよりも優っている。果皮の厚いカシスやカカオのアロマが広がる。


生産者、銘柄: シャトー スミス オー ラフィット 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン64%、メルロー30%、プティヴェルト&カベルネフラン6%

約15000円、WA98pt
外観は濃い目のガーネット、粘性は高い。
果実味の密度が非常に高く、力強い。強烈な果実味と密度を誇るボルドー。
熟れたブラックベリーやプルーン、フルーツケーキを思わせるリッチな果実味。シナモン。ビターチョコレートなどの樽香、そしてミルクティーの様なまろやかさ。ミントやリコリスなどの清涼感のある要素。わずかにタバコやスミレのアロマ。インキーさやピーマン香は一切ない。
酸と旨みは力強く、合わせてタンニンもかなりパワフル。熟したブラックベリーの甘みと果皮の華やかさが余韻として残る。ボディは分厚く、力強いボディと柔軟さを併せ持ったワイン。素晴らしい。


やっぱ2010年は素晴らしいですね...
赤も白も果実味がとても充実している、新世界の熟度を感じさせながら、ボルドーらしい細かい機微を感じる事ができます。
まずはコスデストゥルネル ブランから。
新世界の様によく果実味が詰まった、樽を効かせたソーヴィニヨンブランです。
樽がしっかりと効いていて甘露なのは基本的に他のボルドーブランと変わらないのですが、ミネラル感や白い花の華やかさは、ラグランジュ ブランやブラン ド ランシュバージュに比べるとそんなに強くありません。
ラヴィル オーブリオンやプランティエールにどちらかと近いと思いますが、リッチなこれらのワインと比べると幾分か引き締まっていると思います。
熟した果実とハーブのリッチさをミネラルと白い花が下支えしている感じですね。そこまで硬質ではなく、適度に抑制の取れたバランス。爆発的な旨みがあって、やや苦味を感じるアフター。しっかりしたボディがありますね。さすがに品質は高い。
次にデュクリュボーカイユのセカンド、クロワ ド ボーカイユ。
リッチなファーストラベルと比べると、タンニンやそれを丸める果実味は少なく、ともすればより塊感が少ないのは間違いないのですが、2010年というヴィンテージだからか、それでも極めてよくできています。
抑制された果実味の代わりに、ロースト香やハーブやスパイスが良く前に出ており、甘露なカシス、ブラックベリーがあります。やや若いカベルネのピーマン香もありますが、あまり気にならない程度です。
タンニンは先述の通り柔らかく、酸味と旨みが突出、やや果皮の華やかな余韻を残していきます。
最後、スミス オー ラフィット 2010。
これがメチャクチャ凄いグラーヴワインで、ちょっとびっくりした。
完璧な熟度で、言ってしまえばパーカーポイントがいかにも高そうなワインではあるのですが、この凝縮感、果実味、球体感はボルドーの中でもほぼ最上級に位置するのは間違いないと思います。
熟れたブラックベリーやプルーン、フルーツケーキを思わせるリッチな果実味。シナモン。ビターチョコレートなどの樽香があります。ミルクティーの様なまろやかさがあります。とにかくこれらの要素が一塊となっており角が取れた球体を形成しています。ポンテ カネと似た濃度、粘度ではあると思います。
価格帯を考えるとメチャクチャお得ですね。

やはり2010は総じて凝縮度が高く果実味も力強いのが特徴であるのは、やっぱり間違いなさそうです。





【ボルドー:14】悠久の時を駆けるデュクリュ ボーカイユ、1893年、1986年、2001年垂直テイスティング。



こんにちは、HKOです。
本日はデュクリュ ボーカイユの垂直テイスティングです。
といってもあんまり垂直になっていません。
なぜなら2001(13年熟成)と1986(15年差、28年熟成)、そして1893(108年差、121年熟成)だからです。

121年って...!
ちなみに日清戦争の前の年ですね。
歴史の教科書でしか見たことのない時代のワインです。恐ろしい!
ボルドーのシャトーの歴史を感じますね。

デュクリュボーカイユはオレンジ色のラベルが特徴的なメドック第二級シャトー。こちらも年によっては第一級を凌駕する事からスーパーセカンドとされています。2003年からメドックの名士、ボリー家のブリュノ ボリーがこのシャトーを牽引しています。
ボリー家が所有して以降30年間に渡ってその品質を高めたため、現在の地位を築き上げたといえる。
栽培面積は52ha、平均樹齢38年、平均収量49hl/ha。畑で選果を行い手摘みで収穫後、除梗機で除梗。温度管理されたステンレスとコンクリートのタンクで17~21日間、アルコール発酵とマセレーションを行う。新樽50~65%で18~20ヶ月樽内熟成を行います。

それではいってみましょう!


生産者、銘柄: シャトー デュクリュ ボーカイユ 2001


外観は橙を帯びたガーネット、粘性は中庸。
いつもは古く感じる2001年も相対的に非常に若々しく溌剌とした印象を感じる果実味とを感じることができる。
ミントや熟したブラックベリー、ブルーベリー、そしてオレンジピール、カフェモカなどのロースト香、西洋杉が中心になり、薔薇、タバコ、ドライハーブや燻製肉、紅茶、シナモンなど。わずかにトリュフの風味も漂う。
熟成差し引いても非常にエレガントなボルドーで清涼感と豊かな果実味のある味わいのワイン。
タンニン、酸ともに突出しているが、やや酸の方が優っている。グレープフルーツや果皮、カフェモカのような余韻があり、旨味はそこまで表出していない。柔らかくなってはいるものの、酸、タンニンともに溌剌としており実態感がある。


生産者、銘柄: シャトー デュクリュ ボーカイユ 1986


外観は橙を帯びたガーネット、粘性は中庸。
大変良い状態の古酒で果実味も十分に残っている。熟成香が主体ではある。
枯葉と濡れた土、リコリス、生肉や獣香、熟した紫スモモとドライイチジクの果実味。鰹節の出汁香を中心に、ミント、ドライハーブやローリエ、クローヴ、炭焼きなどのロースト香など。熟成は経ているものの、まだまだ耐久度があり、香りも非常に高密度、順当な80年代ボルドー。
タンニンより酸が突出しており、合わせてわずかな土っぽさを帯びた果皮や梅しばのような旨味を感じさせるアロマが広がっていく。
ボディは先述のヴィンテージと比べるとかなり豊か。透明感のある1893と比べ実態を感じる味わいだ。


生産者、銘柄: シャトー デュクリュ ボーカイユ 1893


リコルクは1989年。
外観は煉瓦色の淡い橙、粘性は低い。
これだけの年月を経ていながら、しっかりとした香りの立ち上がり方をしており、湿った様な熟成香と果実味が両立している。
濡れた木やスーボワ、トリュフのアーシーな香り、野生的な生肉、パストラミハム。ナツメグ、ローリエ、リコリスなどのスパイス、そしてドライハーブなどのアロマが主体的。それだけに留まらず凝縮感のある梅しば、黒オリーブなどの果実味、ほのかにドライフラワー、煙草。ものすごく綺麗に熟成されていて全ての要素が完全に溶け込み一塊となっている。消毒液の風味も。
すっぽ抜けた味わいでは全くない。
酸とタンニンはほぼなく、マツタケなどの出汁と濡れた木、旨味の塊というべきアセロラのアフターがしなやかに口の中に広がっていく。正直期待はしていなかったが、非常に良い状態のワインだった。
グラス供出20分後に焼きホタテやマツタケの風味が表出。染み入る様なワインだ。


※シャトー蔵出し品。


※リコルクは1989年。


※精度の低いボトルの成形技術


※何故か750mlではなく730ml。


デュクリュ ボーカイユの特徴としては、豊かな果実味とリッチな樽香、そして濃さ。ただ今回は13年、28年、121年と一番若いものでもそれなりに熟成期間が長くなっているので、基本的には上記のような特徴は幾分か軟化しています。
最も若い2001年は2000年代後半に見られる熟したブラックベリーなどの若々しさが垣間見れますが、果実味だけではなく、果皮や樽の要素がバランス良く溶け込んで、僅かにアーシーな熟成香も見て取れます。
濃厚なスタイルが軟化し、若さを残しつつもエレガントさを纏っています。
オレンジピールの様な清涼感のある風味もありますし、かなり綺麗に熟成し始めている印象を受けます。しっかりとしたタンニンと酸もあり、まだまだ熟成しそうです。

そしてさらに熟成をして28年。 グレートヴィンテージ1986年。
外観はオレンジを帯びてきています。
果実味を充分に残しながら、アーシーな熟成香が主体となっています。
枯葉と濡れた土、リコリスなどの風味と共に、野性的な生肉や獣香のアロマがあり、そこに熟した紫スモモとドライイチジクの潤沢な旨みと甘みが感じられます。密度は依然高く力強さを残します。徐々に強固なタンニンは落ち着き、どちらかというと酸と旨みの方が突出。いわゆるボルドーの良質な古酒といえる状態です。まだ実態感ありますね。

そして最後1893年。
スカスカの泥で濁った雨水の様な液体を予想していたのだが、想像以上に液体が生きていて驚いた。抜栓直後だったからかもしれない。
アーシーな熟成香に加え、パストラミハム、ヨード香、様々なスパイスやハーブの香りを包含している。そして熟成したピノノワールによく似た梅しばや黒オリーブなどのエキス感のある果実が香る。
グラス20分程度で収束し、焼きホタテやシイタケの様な香りとなる。
酸とタンニンはほぼ消失。アセロラ、シイタケなどの旨みの塊で構成された出汁。
121年経過した液体が、ほん一瞬とはいえ、こうした輝きを放っているのはとても興味深い。日清戦争、第一次世界大戦、関東大震災、日露戦争、第二次世界大戦、神武・いざなぎ・岩戸景気、バブル崩壊、2000年、世界金融危機、東日本大震災という激動の近代史を横目に見ながら「劫」が如き徐々に削ぎ通された液体は味わい以上の価値が感じられます。

いままで甘口以外だと最も古いヴィンテージのワインは1921年のリシュブールでしたが、ボルドーという性質を差し引いても年号以上の力強さを感じるワインだと感じました。

なかなか感慨深いものがありますね。
大変良い経験になりました。

Ch.Ducru BeaucaillouChデュクリュ・ボーカイユ 2001

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価格:13,800円(税込、送料別)




【ブルゴーニュ:67】アルマン ルソー 2011年水平テイスティング:||



こんにちは、HKOです。
本日はアルマンルソーの2011年ヴィンテージです。
多くの生産者が恵まれた2009年、2010年に続いた平凡なヴィンテージ2011年に手を焼いている印象を受けましたが、ジュヴレシャンベルタン最高の生産者はどうだったのでしょうか。
一昨年は特級シャルムシャンベルタン、特級リュショットシャンベルタン、一級クロ サン ジャック、特級シャンベルタンを
去年は村名ジュヴレシャンベルタン、特級クロ ド ラ ロッシュ、特級シャルムシャンベルタン、特級マジシャンベルタン、特級リュショットシャンベルタン、一級クロ サン ジャック、特級シャンベルタンをこのブログで取り上げました。
それらと個別に飲んだ2004年を比較したエントリーがありますので、下記をご参照ください。

2010年 序 (2010年下級キュヴェ比較)
2010年 破 (2010年下級キュヴェ比較)
2010年 Q(2004年、2009年、2010年 水平垂直比較)

今回はやや絞り、1級ラヴォー サン ジャック、特級リュショット シャンベルタン、1級クロ サン ジャック、特級シャンベルタンの4本です。
アルマン ルソーはこのブログでも相当力を入れて比較検証している生産者の一人です。
是非詳細ご覧ください。

しかし、アルマンルソーの比較テイスティング、タイトルに某アニメの新劇場版っぽいタイトル付けてるんですが、果たして来年のヴィンテージが出るまでに:||やるんですかね。
しかし、ちゃんと終わんのかな、あれ。


偉大な生産者を多く抱えるジュヴレシャンベルタンですが、その代名詞とも言える5人の生産者が居ます。デュガ ピィ、クロード デュガ、フーリエ、ドニ モルテ、そしてアルマンルソー。
いずれもブルゴーニュを代表する生産者で個性豊かな極めて高品質なワインを生み出します。
とりわけ評価が高くファンが多いのが、アルマンルソー。彼の作るシャンベルタン、シャンベルタン クロ ド ベーズ、1級クロ サン ジャックはまさに別格。ブルゴーニュでも群を抜いた偉大なワインとされています。ルーミエ程では無いにせよ、旗艦銘柄は瞬殺です。
葡萄の平均樹齢45年以上。ただでさえ収量の少ない古木。かつ収量を25hl/haにまで絞った葡萄はリュットレゾネに則って栽培、熟したタイミングでやや早めに収穫されます。除梗は90%程度行われ低温浸漬を経て、アルコール発酵が行われます。ピジャージュは1日2回程度。キュヴェゾンは20日間。その後シャンベルタン、クロ ド ベーズ、クロ サン ジャックが100%新樽、その他の特級は80%新樽で20ヶ月程度の熟成を経たのち軽く濾過、卵白での清澄を行ったのち瓶詰めされます。

では、いってみましょう。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ ラヴォー サン ジャック 2011

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
一瞬素晴らしい甘露さが現れるがグラスで持続しない、こちらも冷涼な印象を受ける。この中ではやや液体密度が低い。
奥底に僅かに花の蜜やミルク、ブラックベリーやブルーベリーの果実味、華やかなスミレなどの果皮の香りが主軸。ややドライハーブや青い茎の様な香り。
シナモンやワッフルの様な香りも現れてくる。
口に含むと滑らかな酸と丸みのあるタンニンが広がる。ブラックベリーやシロップなどの果実感のある余韻が広がる。緻密な酸味があり、この中だと突出して柔らかく滑らかな味わい。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: リュショット シャンベルタン グランクリュ クロ デ リュショット 2011

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
ダークチェリーやブルーベリーの様な黒系の小果実の集中度のある果実味、それらの華やかな果皮。スミレの果皮のニュアンス。茎香、基本的には冷涼な印象。
徐々に僅かに花の蜜の様な甘やかさが大きくなってきている。燻製肉、紅茶、シナモン、ビスケットなどのアロマが感じられる。最終的にはトースティーに遷移する。
それでも大柄な甘露さというより、基本的には凝縮したエキス感がしっかりとある印象。
跳ねる様な力強い酸、厚いタンニンが感じられる。酸味を強く感じさせるスミレや若いプラム、ミルクのアフターが感じられる。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ クロ サン ジャック 2011

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
やや冷涼感のある果皮のニュアンスの底面に猛烈な果実味の凝縮を感じる。徐々に表出してくるが、例年に比べてもかなり硬質な作りとなっている。ただこちらも徐々に甘露さを増していく。
甘露なカラメル、ワッフル。熟したブラックベリーやブルーベリーの果実味、燻製肉や、ほのかなスミレの香り。ドライハーブ、紅茶、シナモンやクローヴ、僅かな茎っぽさ。基本的には良く熟した印象を受ける。果実味はシャンベルタンに近いが、より樽に抑制が効いている。
跳ねる様な力強い酸味がありながら、シャープなタンニン。若々しいプラム、スミレ、ミルクの闊達としたアフター。明確な華やかさと力強い旨みがある。


生産者: アルマン ルソー
銘柄: シャンベルタン グランクリュ 2011

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
やや冷涼な印象を受ける2011年のアルマンルソーにおいて異質な程果実味が高く、力強い。
果実の凝縮感のあるシロップ、果皮の華やかなスミレとともにオリエンタルスパイスや五香粉、焼いた木材の様な力強い樽香が立ち上がる。徐々に熟したブラックベリーやプルーンの黒系の果実味。シナモンやワッフルなどの焼いた砂糖の香り。クリスピー。
燻製肉、クローヴ、バニラ、紅茶。茎の様な要素は感じられない。甘露でありながら野生的な側面が感じられる。
重厚なタンニンと力強い酸味。
全体的に要素が大きく、五香粉やオリエンタルスパイス、ブラックベリーの様なアフターが残る。重厚だが、2009年程ではない。


まずは大まかな所管です。
・供出直後は2009年、2010年同様の素晴らしい芳香を放つが、全体的に香りが落ちるのが早め。
・と思わせつつ、15分くらいで甘露な香りが漂いはじめる。
・基本2010年に似たキャッチーさがある。
・ただグラス内での変化が例年と比較して、かなりドラスティック。
・これを劇的と捉えるか不安定性と捉えるかは人によりそう。2010年のキャッチーな安定性、2009年の堅牢なスタイルとはまた違ったスタイル。
・リュショットは冷涼さがありつつ開きやすく、エキス感の感じる味わい。
・クロ サン ジャックは堅牢。開くまで2009年、2010年以上の時間を要した。
・シャンベルタンは堅牢かつ樽香が強い。ただ2009年、2010年と比較すると最も抽出(というか果皮成分)が柔らかい。
・ラヴォー サン ジャックは若いアルマンルソーとしては突出した安定感。一級、特級群というか村名の上位互換的な味わい。
この中では最も近づきやすい味わい。

そんな感じでした。
テロワールの特徴のおさらい。
例えばリュショットシャンベルタンはラヴォー渓谷とモレ渓谷の背斜面からの冷涼な風の影響を受けて硬質で骨格の強いワインを産出。
シャンベルタンはグリザール小渓谷からの冷涼な風の影響も受けているので、こちらも堅固で骨格の強いワインになりますが、日照条件が良くこちらの方が堅固でありつつ果実味を感じられるワイン。冷涼さと日照、水捌けの良さが生み出す凝縮感。
クロ サン ジャックは立地としてはラヴォー サン ジャックやカズティエとほぼ同条件ですが、斜面の急勾配は効率的な日照を実現し、ラヴォー渓谷から吹き付ける風を石垣が防ぎ、その熱を保持します。その為他の畑と比較して堅固さ、冷涼さよりはるかに果実味や凝縮度、旨味が突出している。

醸造のおさらい。
新樽比率。
新樽比率はシャンベルタン、シャンベルタン クロ ド ベーズは100%、クロ サン ジャックは70%、他は35%となっているようです。
これは露骨にワインに現れていて、シャンベルタンとクロ サン ジャックはローストした香りがしっかりと感じられます。他のワインでも樽の香りは感じられます。

2011年をそこに照らし合わせてみると、概ね例年の差異と同じ様な違いが出ています。
新樽比率100%のシャンベルタン、70%のクロ サン ジャックはやはり樽の影響がかなり感じられます。
テロワールで見ると、堅牢さが前に出るシャンベルタンは2009年、2010年と比べると、大分近づきやすい味わいになっていると感じました。クロ サン ジャックは逆に堅牢で豊満な果実味は徐々に現れる形。共に開きはじめるまでは時間はかかるのですが、シャンベルタンの方が最初からキャッチーだったと思います。
リュショットはイメージ通り冷涼で堅牢。果実味というより華やかさを前に押し出している。ただ例年以上にエキス感を感じたのは、全体的に果皮の要素が強くなかったからかも。
ラヴォー サン ジャックは今年始めて飲みましたが、かなり柔らかい果実味が感じられました。クロ サン ジャックと比べて「石垣(クロ)」が無い為、よりグリザール渓谷とモレ渓谷からの風の影響を受けやすいはずなのですが、そこまで冷涼でも堅牢でもありませんでした。マジシャンベルタンもセットで検証すれば良かったですね。向かいにあるので、タイプは似そうな気がするので。
いままで冷涼だったマジが今回はラヴォーの様になっていたらテロワール起因ですね。
クロ サン ジャックはお隣ですが、別扱いで考えています。醸造がちょっと異なるので。

口当たりは順当にラヴォーが酸とタンニンのバランスが良く、リュショットは酸が突出、クロサンジャックとシャンベルタンはタンニン、酸ともに重厚といった感じ。
完全にフラッグシップ3本は熟成前提の造りですね。ラヴォーは今飲んでも十分、やや熟成しても美味しいのではないかと思います。

結論として、ピーキーさがありながらも2011年のアルマンルソーもとても良い出来に作られていると思いました。無論凄まじい2010年には劣るものの、堅実に良質なジュヴレシャンベルタンを表現出来ているのではないかと思います。
値段は残念ながらやや高めではあるものの、アルマンルソーに求めるものは、全て余すことなく包含されているように感じました。
このブログでも様々な2011年ヴィンテージを扱いましたが、その中でも成功した生産者なのではないでしょうか。

ここで比較的2011年に成功したと思われる生産者を挙げます。(過去のヴィンテージとの相対評価です)

・成功
エマニュエル ルジェ
クロード デュガ
ベルナール デュガ ピィ
アルマン ルソー
ロベール グロフィエ
ドニ モルテ
ロベール シリュグ
ユベール リニエ
ドメーヌ デュージェニー
フィリップ パカレ
セシル トランブレー
ミシェル コラン ドレジェ
ドメーヌ ラモネ

・やや成功
ジョルジュ ルーミエ
フレデリック エスナモン
アラン ユドロ ノエラ
アンヌ フランソワーズ グロ
モンジャール ミュニュレ
ドメーヌ フェヴレ
ルーロ
コシュデュリ
エティエンヌ ソゼ

・凡庸
デュジャック
プリューレ ロック
ドメーヌ フーリエ

んん?意外と堅実に作っている生産者が多い。勿論2010年と比べると色々と不足感がある生産者も多いですが、基本的には良く出来てるっぽいですね...
期待してたフーリエにいきなり挫かれたからかもしれないですねこれ。

ちょっと別途検証が必要かもしれません。

【シャンパーニュ:28】アンリ ジロー、貴重なフュ ド シェーヌ MV ロゼを利く

こんにちは、HKOです。
本日はアンリジローのフュ ド シェーヌ マルチヴィンテージ ロゼです。

アンリ ジローはアイ村に拠点を置くネゴシアンマニピュラン。フランソワ エマールによって1625年設立されました。
以前から非常に高い評価を受けていたNMですが、ここのところ日本向けにも解禁されたようで、たまに見かけるようになりました。
フラッグシップはこのアルゴンヌとフュ ド シェーヌ。共に単一ヴィンテージとなります。(噂ではフュ ド シェーヌは単一からMVになり、2002年以降のミレジメはすべてアルゴンヌになるとか)
アイ村で産出されたブドウは完熟するのを待って全て手摘みし、果汁の圧搾後は低温浸透法が行われ、清澄されて瓶詰めされる。瓶内発酵時に生じた澱は手作業でが取り除かれます。アルゴンヌ産木樽12ヶ月熟成+6年瓶内熟成。今回のマルチ ヴィンテージ ロゼはフュ ド シェーヌに2005年単一年のアイ村のピノノワールの赤ワインをブレンドしたもの。
世界で4000本の貴重な1本です。


では、いってみましょう。


生産者: アンリ ジロー
銘柄: グランクリュ アイ フュ ド シェーヌ マルチヴィンテージ ロゼ NV
品種: ピノノワール70%、シャルドネ30%

35000円。
外観は淡いピンク、粘性は高い。
アンリジローとしてはかなりフレッシュな果実味が特徴的なロゼ。旨みは充実している。
豊かなミネラル感。熟したリンゴやレッドカラント、フレッシュハーブ。僅かなローストしたナッツ、白胡椒、リコリスなど。白檀や木材。エキス感が非常に強く感じられる。いわゆるフュ ド シェーヌの様な樽が強い感じはしない。
酸味は滑らかだが、旨みは非常に充実。フレッシュなハーブやリンゴ、レッドカラントのアフターが残る。しっかりとした核のある、引き締まった凝縮感がある。
強烈な凝縮感を感じる味わいを感じる。


アルゴンヌや通常のフュ ド シェーヌと比べると、かなり若くフレッシュな感じがしますね。例えばアルゴンヌはもっと酸化的な要素があります。これはフュ ド シェーヌと比べてさらに2年間の瓶内熟成を経ている事に起因すると思うのですが、フュ ド シェーヌよりもフレッシュに感じるのはちょっと不思議に感じます。
これは勝手な妄想ですが、40%のリザーブワインの中で2000年代前半が中心に使われていたとすると、2005年のピノノワールが混ざることで全体的な若いヴィンテージの比率が上がるのでは...?と思います。
リザーブワインの年の比率は開示されていないので、果たして本当かはわかりませんが...
少なくともアンリジローのフラッグシップ級としては極めて若々しい味わいを感じます。

もともとピノノワール比率が高く、色付けは赤ワインのアッセンブラージュなので、基本的にはマセラシオンを行っていない、いわゆるシャンパーニュ的な味わいです。
イチゴやレッドカラント的な味わいは控えめで、よりシャンパーニュらしい旨みの充実した果実味が主体です。
色付き程度のアッセンブラージュなのかもしれません。
そしてローストナッツや白檀などのロースト香、白胡椒やフレッシュハーブの様な風味が漂います。
基本的にはフュ ド シェーヌの延長線上にあるワインだとは思います。(フレッシュではありますが)

さすがにアンリ ジローだけあって大変素晴らしいんですけれども35000円か...心情的には他のを選びたい。アルゴンヌの様な特異な味わいを感じるものではありません...
個人的にはコード ノワールでエスプリだけ感じられたら充分かなあ。


【シャンパーニュ:27】ジャックセロス、テロワールを緻密に映し出すキュヴェ リューディ2種を利く

こんにちは、HKOです。
昨日に引き続きシャンパーニュ、ジャックセロスのリューディ シリーズ、ブラン ド ノワール2本です。
グランクリュ「アイ」の単一畑「コート ファロン」。プルミエクリュ「マレイユ シュール アイ」の単一畑「スー ル モン」です。

ジャック セロスは現在シャンパーニュで最も注目されているレコルタン マニピュラン。
ビオディナミから一線を引き、自然派でありながらロジカルにビオの必要不必要を判断している。
アイとアンボネイに0.7haのピノ ノワールを保有し、リューディを少量生産している。
一次発酵には2種類のサイズ、5つの樽メーカーを使用し、平準化をしている。発酵には天然酵母を使用し澱引き、濾過せずに翌年5月頃まで新樽比率10で樽熟成。マロラクティック発酵は行わない。この時点でリザーブかボトリングかを判断する。ボトリング後、3年間のカーヴで瓶熟成。デゴルジュマンは瓶口を凍らせずに手作業で行う。
今回のアイ コート ファロンは国内割り当てはわずか48本。樽発酵後1年の熟成が行われ、さらに6年の瓶熟成を経てリリースされたエクストラブリュット。2003年を主体に2004年、2005年がブレンド。ドサージュは2g/Lのエクストラブリュット。ソレラシステム使用。デコルジュマンは2012年。
マレイユ シュール アイ スー ル モンはプルミエクリュであるマレイユ シュール アイの6haの単一畑スー ル モンのぶどうを使用。6年の瓶内熟成、ノンドサージュのエクストラブリュット、ソレラシステム使用。デコルジュマンは2013年。

では、いってみましょう!


生産者: ジャック セロス
銘柄: リューディ マレイユ シュール アイ エクストラ ブリュット NV(degorgee 2013)
品種: ピノノワール100%

60000円。
外観は濃い黄金色、粘性は高い、泡は穏やかに立ち上る。
引き締まったミネラルと、伸びていく様なクリーミーな丸みのある甘露さがある。
石の様なミネラル感、クリームやバニラの様な甘露さ。そして柑橘系のレモンやカリンの果実味、ハチミツの要素が中心になり、大変甘露で溶ける様な味わいが特徴。フレッシュハーブや白い花、白檀の様な華やかで陽性の香りが感じられる。ごくわずかにナッツの風味も。
酸は滑らかで、強烈な旨味と凝縮度が感じられる。レモンやハチミツ、フレッシュハーブのアフターが感じられ、ナッツの要素もほのかに感じさせる。


生産者: ジャック セロス
銘柄: リューディ アイ コート ファロン エクストラ ブリュット NV(degorgee 2012)
品種: ピノノワール100%

60000円。
外観は濃い黄金色、粘性は高い、泡は穏やかに立ち上る。
全体を覆う様な力強いミネラル感、アーシーさ、重厚なボディと甘露さが感じられる。
砕いた石の様なミネラル感、強い旨味を包含する出汁香、ローストした塩ナッツ、ドライハーブ、乾いた土や枯葉のアーシーなニュアンス。そしてのカリンや洋梨の様な香りが特徴的。酸化的なニュアンスが強く現れており、複雑な骨格を形成している。その中に僅かなエシレバターやハチミツ、白胡椒やシャンピニオンの要素もある。
ただ同じ酸化系でもボディの重さはアルゴンヌほどではなくエレガント。
マレイユ シュール アイと明らかに特徴が異なり、より今後の熟成を見越した重厚で重みのある味わい。
酸と旨味の規模感はより大きく、パワフル。
ナッツやかれ、オレンジピール、レモンの様なアフター。アンズの様な旨味も顔を覗かせる。


いやー、同じブラン ド ノワールなのに、これは想像以上にハッキリと違いますね。マレイユ シュール アイはクリーンかつフレッシュ、アイは濃厚なボディかつ複雑。
マレイユ シュール アイがどんな特徴なのかはわかりませんが、少なくともアイ村は力強いピノノワールが特徴で、コートファロンはそのイメージに則った造りをしている印象を受けます。

ただ前提としてジャックセロス自体がシャンパーニュメゾンとしてはかなり異端な醸造を行っているので、素直に「これがアイ、マレイユ シュール アイだ」とは言えません。
従ってここから読み取るのはあくまで村ごとのイメージをジャックセロスが再現している、ということだけです。

それを前提に置きながら、それぞれのキュヴェにはどの様な差異があるのか、というのを見ていこうと思います。
まず果実味。
マレイユ シュール アイはフレッシュです。
ハチミツやバニラクリームの様な溶ける甘露さに柑橘系の爽やかな果実味が特徴です。
フレッシュでありつつ甘露。極めてキャッチーな味わいだと思います
対してアイは果実味はやや後ろに下がっており、酸化的な出汁の様な香り、そしてカリンや洋梨の果実味が感じられます。熟成したニュアンスが主体ですね。ただその中に確かな甘露さも感じられます。

次に樽香。
マレイユ シュール アイは、やや樽の要素は控えめでごくわずかにナッツのアロマが感じられる程度。
アイはローストした塩ナッツや乾いた土、枯葉の様な香りが、旨味の強い果実味と有機的に結合して表出しています。酸化熟成&樽香という構成はアンリジローのアルゴンヌにも似ていますね。

ミネラル。
これはどちらも大変豊かなんですが、ややアイの方が力強いミネラル感を感じます。
なので、どちらのワインも引き締まった味わいかありましたね。

全体でいうのであれば、果実味を前面に押し出し、クリーンかつ凝縮感を極めたものがマレイユ シュール アイ。より樽と熟成、その他の副次的な要素が多層的に組み合わさっているのがアイ、と言ったところでしょうか。
アイは難解、マレイユ シュール アイはキャッチーだと思います。一般的に好まれるのは後者でしょうね。
ただアンリ ジロー的な良さが好きならば、もしくはジャックセロスそのもののファンなら前者でしょう。

どちらとも個性があり、甲乙付け難い2本ですね。



【シャンパーニュ:26】クリュッグ ヴィンテージ 水平テイスティング



HKOです、こんにちは。
今回はクリュッグ ヴィンテージの垂直テイスティングです。
1989年、1998年は飲みましたが、3ヴィンテージ垂直は初めてです。

ご存知の通り、クリュッグはNMとしては最上級のメゾンでスタンダードのグランキュヴェにして他メゾンのフラッグシップ級です。
圧搾機で絞られたヴァン ド キュヴェのみを20-30年使用した古い小樽でマセラシオン(新樽は使わない!)。マロラクティック発酵は行わない。そして、クリュッグの本懐であるブレンド作業に入ります。3つの葡萄品種を村、区画ごとに分けたベースワインに、収穫年の異なるリザーブワインをアッセンブラージュしていきます。熟練のブレンダーが舌だけを頼りに。瓶内二次発酵後グランキュヴェは6年間、ヴィンテージは10年寝かせての出荷。これらの要素が欠ける事無く行われる事で芸術的なクリュッグが作られる。フラッグシップはブラン ド ブランの「クロ デュ メニル」、ブラン ド ノワールの「クロ ダンポネ」の2種類ですが、まあ高すぎて中々手に入らない代物です。
今回はクリュッグ ヴィンテージ。
傑出した年にのみ生産される単一年のクリュッグです。

では行ってみましょう。


生産者: クリュッグ
銘柄: クリュッグ ヴィンテージ 2000
品種: ピノノワール、シャルドネ、ピノムニエ

30000円、WA95pt
外観は輝きのある明るいストローイエロー、粘性は中庸で、泡は力強く立ち上っている。
甘露な花の蜜、エシレバターやノワゼットなどのオイリーさ、バニラ、熟した洋梨などの要素が一塊となって立ち上る。クリームブリュレ一歩手前で分離。クリーミーかつ香ばしい芳香主体。ドライハーブ、白い花、焼き栗の様な芳香も感じられる。ミネラル感はそこまで強くは感じられない。
酸味は豊かで、強烈なカリンの旨味と濡れた木材、クリスピーなモカの様なアフターが感じられる。
繊細かつ緻密で、エレガントなクリュッグヴィンテージ。


生産者: クリュッグ
銘柄: クリュッグ ヴィンテージ 1998
品種: ピノノワール、シャルドネ、ピノムニエ

26000円、WA95pt
外観は輝きのあるやや濃いめのストローイエロー、粘性は中庸で、泡は繊細に立ち上っている。
甘露な花の蜜、濡れた木材や枯葉のアロマ、バニラやバター、カシューナッツのオイリーな要素、熟した洋梨の果実味。2000年に印象は近いが、より木材の湿った要素や旨味が突出。ドライハーブ、出汁、リコリス。徐々にマロラクティックなクリームの様な芳香も。ミネラル感は充実している。
2000年に比べてよりドライでカリンやアプリコットの様な強い旨味と酸味を伴うアフター、そして焼き栗の要素が口内に広がっていく。酸度は高く、エネルギッシュで、まだまだ熟成するポテンシャルを有している。

生産者: クリュッグ
銘柄: クリュッグ ヴィンテージ 1995
品種: ピノノワール、シャルドネ、ピノムニエ

47000円、WA94pt
外観は輝きのある明るいストローイエロー、粘性は中庸で、泡は穏やかに立ち上っている。蜜の様な甘露さは穏やかになり、濡れた木材とドライハーブ、旨味が感じられるカリンやアンズの果実味、出汁様の風味。バターやナッツの様な風味。リコリスやドライハーブ、白胡椒、イーストなどの要素も。
複雑かつ旨味に富んだ味わい。
2000年、1998年に比べると酸は豊かで、旨味は変わらず存在している。濡れた木や出汁、アンズやレモンの様なアフターが広がっていく。
まだまだ酸は力強く、より熟成しうるポテンシャルがある。強烈なワインだ。


さすがクリュッグ、どのヴィンテージを飲んでもグウの音が出ないほど素晴らしい。
まずはヴィンテージの特徴から。

1995年は展葉時に氷点下の気温に見舞われるものの、以降は順調に推移し、夏は暑く、結実と成熟に関しては十分に行われた年。収穫時の寒暖の差は激しかったようです。

1998年は夏場に猛暑と雨交互に見舞われ、やや厳しい状況だったが、収穫は安定した穏やかな気候の中で行われた様です。

2000年は例年になく不順な天候に見舞われた年。開花以降雨が多いが、夏場には若干天候が回復、夜は冷え込み寒暖の差が激しくなった年。

上記の特徴と味わいを照らし合わせてみます。ヴィンテージの特徴から味わいを類推してみます。

◼︎1995年
順調な年、糖度、酸ともに充実するポテンシャルの高いシャンパーニュになる。

◼︎1998年
1995程素晴らしくはないものの、平凡なヴィンテージ。結実に雨が降った為、糖度は95程上がらないと思われる。酸も恐らく穏やかでフラットなワインが出来そう。

◼︎2000年
オフヴィンテージ。糖度は上がらず、酸が際立ってくるはず。ただ収量の制限や収穫時期によってリカバーできるかもしれない。


こんな感じでしょうか。
では味わいを見て行きます。


2000年はしっかりとした甘露さがあり果実味は充実。ただ上品で引き締まった酸がある。樽とマロラクティック発酵の要素は際立っている。クリームブリュレ一歩手前。
クリュッグは上手く切り抜けた様で熟度は適切だと思います。2000年を象徴する点は酸でしょうか。クリームブリュレに至らないのはそれでも熟度がやや足りないからでしょうね。あと一歩で最上級たる味わいになって行ったのではないでしょうか。それでもほぼ完璧なワインではあると思います。

1998年。
豊かな果実味と突出したミネラル、熟成によるアーシーなアロマ、樽とマロラクティック発酵の要素は溶け込んでいる。ただ旨味に転化した果実味はやや浮き気味。徐々に要素がマージするが、どちらかというと酸と旨味が表出。焼き栗の様な要素も。ポテンシャルは高く、まだ熟成する。
さすが、どんなヴィンテージでも果実味は豊かですね。酸味は豊かですが、どちらかというと旨味の方が突出した感じですね。
ただ98年という経年を考えるのであれば妥当と思います。

1995年。
かなり熟成感が出ています。
蜜のニュアンスは柔らかくなり、カリンやアンズの様な旨みが前面に表出、濡れたアーシーな要素、出汁の要素。前面に出ていた樽とマロラクティック発酵の要素が穏やかになり、全体として各要素が一体となり複雑な骨格を構成している。酸は力強い。
酸はヴィンテージ起因ですが、熟成によってヴィンテージの要素が薄れています。
95年にして結構な熟成感があり、ポテンシャルはありますが、飲み頃といった所です。
やや熟成感があるシャンパーニュが好きな人向けですね。

全体としてオフだろうが平常ヴィンテージであろうと果実味はよく出ていたと思います。
ここがミソで、シャルドネ、ピノノワール、ピノムニエを使用する中で、僅かにセパージュを変えてマイナスを消しているのではないかと思います。
よって良い酒蔵のシャンパーニュであれば、オフでも平凡並みのヴィンテージのクオリティには持っていけるのではないかと思います。
決してヴィンテージの良し悪し=品質には紐付かないということですね。
勿論オフとグレートだと、熟度の平均値は違うと思いますが...少なくとも酒蔵の努力次第で平年並みに持っていけるのでは。

個人的にはオフの2000年が一番いいですね。基本的には甲乙付け難いと思います。熟成の出方がそれぞれ違いますし、好むスタイルによって選ぶワインは異なってくると思います。




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【ブルゴーニュ:66】ジョルジュ ルーミエ、幻のコルトンシャルルマーニュ1994

こんにちは、HKOです。
日本酒祭りがひと段落して、ワインに戻ってきました。
なんだかんだ言ってワイン飲むと落ち着くなあ。イイ...。
今回はジョルジュ ルーミエの貴重な白、コルトンシャルルマーニュ 1994でございます。

ジョルジュルーミエは恐らくブルゴーニュで最も人気がある生産者のうちの一人で、そもそもの生産量が少ない&市場で瞬間蒸発してしまうため滅多に見かけない、見かけてもプレミアがついてべらぼうな金額で取引されている生産者です。化学薬品、化学肥料、除草剤は使用せず、グリーンハーヴェストによる収量制限を行います。
選果台で選別を行ったのちに除梗します。除梗比率はは年によって変わりますが、平準的な年で75%、暑い年で50%程度。発酵槽は2009年より100%ステンレスタンクを使用し、6日程度の低温浸漬を行った後発酵を行う。新樽比率は村名25%、一級40%、特級50%と比較的少ない使用率で16ヶ月熟成の後、無清張、無濾過で瓶詰めされます。
今回は年間生産本数わずか1500本の貴重なコルトンシャルルマーニュの古酒です。


生産者: ジョルジュ ルーミエ
銘柄: コルトン シャルルマーニュ グランクリュ 1994

60000円、WA93pt
外観は濃い黄金色、粘性は中庸。
強烈な厚い旨味、ミネラルの膜が液面を覆っている。塩をふったナッツ、バターの要素。カリン、リンゴなどのやや酸から旨味に転化した味わいがある。わずかな酸化を感じるシェリーの様なアロマや、ペトロールが感じられる。ドライハーブ、白コショウ、甘露なシロップの様な味わい。
徐々に馴染んでくると、バニラやバターの風味がシロップの様な甘露さと結合し、クリームブリュレ一歩手前の様な味わいを放つ。
しかしながら完全に結合するまでは、やや時間がかかりそうだ。
酸味はまだ残っているものの、ボディはかなり柔らかになっており、ともすれば薄さすら感じられる。ただ出汁様の味わいの中で旨味は突出。塩ナッツやシェリーやカリンの果実味のアロマとバニラの余韻が残ってくる。
もう少しで香りは完成形に至りそうな気がする。それまでボディか残ってるかは不明だが...


なかなかシブイ作りのコルトンシャルルマーニュですね。
20年近くに熟成しているのにも関わらず、今だ残る強烈なミネラルの膜、その膜の中に旨味の塊が表出しています。グラス内で馴染む前は樽やマロラクティック発酵の要素が熟成した果実味とミネラルに溶け込み、やや塩っぽさを感じるバターやナッツ、シェリー香に。徐々に果実の甘みが浮き出て樽と乳酸が結合、クリームブリュレ一歩手前の様な甘露さが現れてきます。
これをまだ若いと取るか...これ以上の果実味が表出しないと取るかは微妙ですが、酸の状況を見る限りだと、ややピークは過ぎている様な気もしました。ミネラル感は非常に残留しているのですが。

果実味は熟成香を感じさせつつ甘露さを内包しているので、まだポテンシャルを残していそう。ミネラルも十分あります。
ただ酸がかなり落ち着いているので、どこまで伸びるのかはわかりませんね...

なかなか難解な状態のコルトンシャルルマーニュですね。美味しいっていえば勿論美味しいんですが、もう一声欲しいし、なかなか読み切れないワインですねえ。
若い状態のを飲んでちょっと検証してみたい系のワインです。


【日本酒:4】吟醸酒を中心にパターン別の5種類を利く

こんにちは、HKOです。
いつの間にこのブログは日本酒ブログになったのか!
いやいや、ちゃんとワインブログですよ。
ネタはちゃんとありますので、今暫くお待ちいただければと思います。というわけで、引き続き日本酒記事でございます。

今回は5本。発泡性×1、純米吟醸×1、大吟醸×1、純米大吟醸×2です。


ではいってみましょう。


生産者: 一ノ蔵
銘柄: すず音 発泡清酒
品種: 非公開
精米歩合:65%
アルコール度数:5%

700円/300ml
外観は白く濁った色調、粘性は中庸。泡は穏やか。
メロンと熟した洋梨、水飴、月桂樹の葉、カッテージチーズのアロマが感じられる。
ほのかなフルーティーな酸味と心地よい残糖感。


生産者: 水戸部酒造
銘柄: 山形正宗 純米吟醸 赤磐雄町 2013
品種:赤磐産雄町
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

2700円
やや茶色を帯びた透明色。
水飴やショードブレッド、檜のアロマ。
白桃やヨモギの様な苦味が感じられる。
粘性があり、アロマティックで重量感のある味わい。酸味は穏やか。新世界のシャルドネの様な糖度が時折感じられる。


生産者: 北雪酒造
銘柄: 北雪 大吟醸 YK35
品種:山田錦
精米歩合:35%
アルコール度数:16%

5000円
きめ細かいマットな酸と厚みのあるフルーティさが感じられる。ただ清涼感は感じられる味わい。
千歳飴や水飴、チェリー、メロンなどのフルーティな香り、バターやヨーグルトなどの乳酸発酵に起因する味わい、若竹、ラディッシュのアロマ。
芳醇な含み香があり、水飴やチェリーなどのアロマが感じられる。ふくよかでありながら綺麗な酸な味わいが感じられる。


生産者: 鯉川酒造
銘柄: 純米大吟醸 原酒
品種:庄内産亀の尾
精米歩合:40%
アルコール度数:18%

5400円
淡いストローイエロー、粘性が高い。
桜餅やバター、マンゴーのアロマ、黄金飴やダイコンの様なアロマ。
酸味は柔らかく、厚みがあり糖度は高めに感じられる。


生産者: 車多酒造
銘柄: 天狗舞 山廃 純米大吟醸 生酒
品種: 兵庫県特A地区産山田錦
精米歩合: 35%
アルコール度数: 16%

5000円
外観は透明色、粘性は高い。
全体的な印象としては清涼感と凝縮感のあるシロップ香が感じられる。水飴やマンゴーの果実味、キンモクセイの華やかなニュアンス。大根やカッテージチーズ、生クリームのふくよかな味わい。僅かに糖蜜のニュアンスも感じられる。
酸味は豊かで切れ味は鋭い。ただ含み香は豊かでボディはとても充実している。


まず 一ノ蔵の発泡清酒。
アルコール度数は低めでビール並みの5%。
発泡の刺激、綺麗な酸味、日本酒の洋梨やメロンなどの果実味が一塊となって、日本酒とは思えない様なフルーツカクテルの様な味わいとなっている。
日本酒のコクであるとか、深みといったものはありませんが、女性受けしやすい、非常に優しく甘露な発泡清酒となっています。
容量とアルコール度数に対して700円という金額が高いか安いかは人によるかと思いますが...約ビールの3倍の価格...美味しいとは思いますが。

つぎに清酒4種類。
純米吟醸は山形正宗(山形正宗 純米吟醸 赤磐雄町 2013)、大吟醸は北雪酒造(北雪 大吟醸 YK35)、純米大吟醸は鯉川酒造(純米大吟醸 原酒)、車多酒造(天狗舞 山廃 純米大吟醸 生)。

鯉川酒造の純米大吟醸原酒は亀の尾という品種の特性なのか磨きが強いのにも関わらず、米っぽい要素が残っており、かつ山田錦とは異なり非常に重厚なボディと糖度がある様に感じました。
ねっとりとしており、悪い言い方をすれば純米大吟醸としては精密さ、緻密さに欠ける部分があります。ただ米の旨味をたっぷりと含んでいますから、より成長の見込めるワインではないかな、と思います。

北雪 大吟醸は大吟醸らしい清涼感、高い純度と共に、醸造アルコールによる酸のきめ細やかさ、柔らかさが感じられました。
精米歩合がかなり低く、米に所以する要素は少なく、より純度の高い千歳飴や水飴、チェリー、メロンなどのフルーティな香りが感じられます。含み香も潤沢で純米と異なる部分はビロードの様な酸ですかね。
生き生きとした目の荒い酸というより適度に抑制された滑らかさがありました。

山形正宗は吟醸酒らしい雑味の無い白桃のようなフルーティーさと、ほのかな米っぽい旨味が同居しています。
それと同時に桧っぽい木材の香り、そしてヨモギの香りが付いていて、比較的複雑な味わいの純米吟醸ですね。純米吟醸は外的要因を受けやすいのかしら...個人的にかなり完成度の高い1本の様に思えました。個性がありますね。

最後、天狗舞 山廃 純米大吟醸 生。
純米大吟醸の清涼感と密度の高い水飴やマンゴーのようなフルーツ香、キンモクセイなどの華やかなニュアンスがある。また生クリームの様なまろやかさもあります。
味はもちろん違いますが、温暖地のシャルドネの様な構成ですが、酸も併せ持っています。ここで感じる凝縮感は山廃によるものかしら。

以上、3回連続
次回はワインです。大変お待たせいたしました。よろしくお願いします。


山形正宗 2013純米吟醸赤磐雄町720ml

山形正宗 2013純米吟醸赤磐雄町720ml
価格:2,700円(税込、送料別)





【日本酒:3】4種類の日本酒古酒から熟成を考える。

こんにちは、HKOです。
今回はちょっと熟成した日本酒、それぞれちょっとパターンが変わっています。
三重錦は瓶詰めから6年、武勇は瓶詰め前に3年、瓶詰め後1年、菊姫は瓶詰め後1年前、双鶴は購入から1年自宅のセラーで寝かせたものです。
品種が違ったり、精米歩合が異なるので、今回は熟成に絞って見て行きたいと思います。

ではいってみましょう。


生産者: 中井酒造
銘柄: 三重錦 斗瓶取り 純米吟醸 H19
品種:八反錦100%
精米歩合:50%
アルコール度数:17%

ヨーグルトやカッテージチーズの風味が感じられる。栗、水飴、餅、シクラメン、ダイコン、そば茶、ゴマ。
酸味は柔らかく滑らか。滑らかで際立った酸味はない。熟成感はあまり感じられない。


生産者:武勇酒造
銘柄: 武勇 道春 純米大吟醸 熟成古酒 H25 BY
品種:山田錦100%
精米歩合:40%
アルコール度数:16%

瓶詰め前に3年間の熟成を行う。
やや黄色を帯びた透明色、粘性は高い。
カッテージチーズ、バターの風味、桜餅、蒸した米、落花生。糖蜜、酒ぬか、熟した洋梨、チェリーなどの果実味。黒糖、ヒノキ、胡麻、和紙など。
酸はきめ細やかで重量感がある。やや熟成に起因する味わいでどっしりとした風味がある。


生産者:賀茂鶴酒造
銘柄: 賀茂鶴 双鶴 大吟醸(B.Y H24)
品種:兵庫県産山田錦100%
精米歩合:32%
アルコール度数:17%

6000円、WA88pt
外観は透明色で、粘性は高い。
1年の瓶熟成を経て抜栓。熟成してなお驚くべき華やかさ、常温にして突出した透明感。
醸造用アルコールが添加されている純米でない大吟醸であるものの、磨きは68%(精米歩合32%)と非常に高く、それの数値に準じた純米大吟醸クラスの味わいを保っているといって過言は無いと思う。(醸造用アルコールの影響を全く感じない)
水飴や桜の花、洋梨やメロンの吟醸香、月桂樹の葉、竹、ショートブレッドのアロマが感じられる。
透明感があり、香りから本醸造や特別純米の様な糠っぽさは一切感じられない。張り詰めた様な冷たさを感じる。
対して口に含むと蒸した米の豊かな味わいと残糖感が感じられる。酸は柔らかい。


生産者: 菊姫合資会社
銘柄: 菊姫 荒走り 大吟醸 B.Y H24
品種: 兵庫県三木市芳川町産山田錦100%
精米歩合: 50%
アルコール度数: 17%

6800円
外観は透明色、粘性は高い。
全体的な印象としてはやや重心の低い味わいが感じられる。葛やわらび餅の濃厚なアロマが感じられる。栗やショートブレッド、洋梨、オーク、チョコレートの風味が感じられる。充実した旨味がある。
口に含んだ際に感じさせる重厚感、粘性、パワフルさは随一。口当たりは滑らかで酸味は落ち着いている印象。


◼︎まず日本酒の熟成傾向について。
これが合っているかは別として、共通項として感じられたのが、いわゆるワインで言うマロラクティック発酵に似たニュアンスが出てくるという部分。
そもそも日本酒の酸の構成としては吟醸酒に少量リンゴ酸が表出するくらいで、ほとんどが乳酸と言われています。
そのため、熟成を経ていない本醸造、純米酒に関しては熟成を考慮せずともバターやショートブレッド、乳酸発酵に起因する要素が現れている訳ですね。

では吟醸酒はどうなのか。
吟醸酒以上を飲んだ時に感じるのは、以下の2点。

1:米糠や酒粕(雑味)の香りが少ない
2:酸が非常に際立っている。

上記で説明した通り、目の荒い生き生きとした酸は多分少量のリンゴ酸に起因するものではないかと思います。

ちなみに今回は全て吟醸酒以上を選定、熟成したものを見ていっています。
その上で通常の瓶詰め直後の吟醸酒と比べると下記2点が変化した点だと思われます。

1:酸が軟化している。
2:乳酸発酵の要素を感じる。

先述した通り、日本酒の酸はほとんどが乳酸ではありますが、熟成により吟醸酒に見られたリンゴ酸のシャープな要素は消えて、より純米酒、本醸造酒に寄った構成に変化しています。(ただし米糠や酒粕の様な香りは無いですが)
予想ですが、恐らく吟醸酒に含まれるわずかなリンゴ酸を原資にマロラクティック発酵(リンゴ酸が乳酸菌によって、乳酸と炭酸ガスに分解される)が発生しているのではないかと思います。

◼︎最初に記載したとおり今回の4種類は下記の様な熟成方法の違いがあります。
三重錦は瓶詰めから6年、武勇は瓶詰め前に3年、瓶詰め後1年、菊姫は瓶詰め後1年前、双鶴は購入から1年自宅のセラーで寝かせたもの。

ではこの中で最も熟成感が感じられたのは何か。順番でいうと下記の通り。

1 三重錦→2 武勇→3 菊姫→4: 賀茂鶴

妥当な順番だとは思います。
日本酒のマロラクティック発酵が起こる条件は不明ですが、基本的に高温でのみ発現します。三重錦は瓶詰め後6年なので、状況によっては大きく変質する可能性はあると思います。かなりの熟成感が感じられましたり。また武勇は貯蔵タンクで3年なので、大きく変質はしていませんでしたが、はっきりとした熟成感はありました。
問題は菊姫と賀茂鶴。
条件としては賀茂鶴の方が自宅セラーなので条件は悪いはずですが、最も純吟らしい若々しさ、シャープさがあったと思います、対して菊姫はより熟成感があったと思います。
なんとなく思うのが、これは精米歩合の差かな、と。
賀茂鶴は32%、菊姫は50%。これはかなり大きな差ではないかな、と。
環境変化による熟成の差より、精米歩合の差の方がはっきりと出ている。
これが2、3年と進んだ時にどう違いが出るかは不明ですが、検証してみたいところですねー。

◼︎この際それぞれの要素は置いておいて、一番美味しかったのは賀茂鶴 双鶴ですね。
醸造アルコールっぽさは全く感じません。緻密で精密な大吟醸といった感じ。次に菊姫でしょうか。

そんなかんじです。

【日本酒:2】醸し人九平次、純米大吟醸3種「Human」「彼の地」「別誂」を利く

こんにちは、HKOです。
最近よく日本酒を飲みます。ワインがなかなか高くて買えないっていうのと、舌が超えてしまって、なかなか感動できる一本にも出会わなくなってしまったから。
飲み過ぎるのもなかなかに困ったものです。
それに比べて日本酒はまだまだ経験値が低いので、なかなか面白い日本酒か結構出てきています。

そんな中で特に気に入っているのが今回の醸し人九平次です。ラインナップはすべて純米大吟醸。精米歩合で名称を分けています。
そのラインナップの分け方は何処か獺祭を想起させますね。1647年創業の老舗ですが、今代より大幅にラインナップの変更を行っています。
今回は45%のHuman、40%の彼の地、35%の別誂の3本です。




生産者: 萬条酒造
銘柄: 醸し人九平次 Human 純米大吟醸 2013
品種:兵庫県産山田錦100%
精米歩合:45%
アルコール度数:16%

3000円
透明色、粘性は高い。
別誂同様、目の荒い際立った酸味。
旨味を伴う清涼感のある果実感。別誂程ではないが、冷ややかなニュアンスは感じられる。白檀、ヨーグルトやバニラのアロマに続き、桜餅、水飴などの甘露さ。マンゴー、青リンゴの果実味。月桂樹の葉など。
別誂と比べると酸は穏やかで、やや糠香があるが、基本的には純米大吟醸らしく冷たいタッチの味わい。ボディは繊細。含み香も充実しており、価格としてはかなり高い品質だと思う。


生産者: 萬乗醸造
銘柄: 醸し人九平次 純米大吟醸 彼の地 2012
品種:兵庫県産山田錦100%
精米歩合:40%
アルコール度数:16%

3300円
透明色。
どっしりとした山形正宗に比べるとフルーティーかつ繊細な印象を受ける。
純度の高い味わいで、メロンや和梨の甘露なアロマ、金木犀、カッテージチーズの様なアロマが感じられる。
酸味は豊かかつ、しなやかで日本酒の中ではかなり優美に感じられる。


生産者: 萬条酒造
銘柄: 醸し人九平次 純米大吟醸 別誂 2013
品種:兵庫県産山田錦100%
精米歩合:35%
アルコール度数:16%

5000円
透明色かつ粘性は高い。
目の荒い際立った酸味と濃密なフルーティさがある。純吟らしい削ぎ落とした冷ややかさが感じられる。メロンや洋梨や水飴、ショートブレッド、青竹、ダイコンの様なアロマが感じられる。酸味は青リンゴの様な目の荒い酸味、青竹や洋梨の様なアフターが感じられる。ボディは繊細で重厚ではなく、広域に伸びていく様な味わいだ。


コメントにブレがあるのはご愛嬌で。
何しろ素人なもので。

基本的にはHumanから別誂まで飲んでみて思うのが、精米歩合が上がれば上がるほど酸の切れ味や鮮明度が上がってくる、という点です。本醸造や大吟醸を飲むと、その点酸のギザつきというのはなく、より酸がきめ細やかでボディが豊か、やや酸が抑制されている印象があります。
また純米酒や純米吟醸にしても同様で鮮明度は高いのですが、跳ねる様な生き生きした酸は感じられません。

しかるに、Humanより別誂の方が酸の跳ね方は豊かです。そしてクラスを追うごとに、お米を想起させる風味が消えて行きフルーツの様な香りが主体となってきています。
Humanは桜餅の様なアロマがありますが、別誂はそうしたアロマはほぼ消えて、よりピュアな果実感や甘露さが前に出てきている印象を受けました。精米歩合の低いお酒の糠や酒粕の風味を雑味というのであれば、完全に削ぎ落とされた清廉な味わいになっていると思います。
個人的に程よくバランスが取れているのは、彼の地でしょうか。
別誂は香りの立ち方や純粋さが群を抜いて高いですが、旨味の部分はややスポイルされ、酸を感じさせる味わい。彼の地はそういう意味て言うならば別誂ほど洗練されていないのですが、包含する旨味と純米大吟醸らしい豊かな香りが同居していて、なかなか良かったと思います。
思えば獺祭も2割3分より3割9分の方が好きですから、そういう好みなのかもしれません。Humanも美味しいのですが、もう少し洗練されていてもよいかもしれません。

別誂と彼の地はやはり美味いですね。
ワイン好きには結構ハマる味わいだと思います。



【ボルドー:13】ボルドーの彩。オフからグレートまで、ボルドーの繊細さを味わう

こんにちは、HKOです。
本日はボルドーのワインを特にヴィンテージ、地域を指定せずに自由にレポートします。
左岸のローザンセグラ、右岸のクリネ、そしてマルゴーのサードワインであるマルゴー ド シャトーマルゴーの3本です。

ローザン セグラはピエール デ メシュール ローザンによって1661年に設立されたメドック格付け第二級のシャトー。
元々第一級に次ぐ二級の最高位と目されていたが、1960年代、1970年代はその評価を著しく落とした。しかし86年にはジャック テオの手によってステンレスタンクの導入や品質の高いメルローやカベルネに大々的な植え替え、そして厳しい選定が行われ、品質を回復。その評価を取り戻している。1994年から今日はシャネル保有となっている
畑はローザン ガシーに隣接する粘土と石灰で構成された66ha。平均樹齢は35年。平均収量は27hl/ha。   
手摘みによって収穫されたぶどうは振動式選果台にて厳密に2回選別される。
グラビティフローを導入し、ステンレスタンクで6日から8日間29℃で発酵。10日から14日のマセレーション。マロラクティック発酵。
ミディアムに焼いた新樽50%(12社より購入)、 18ケ月から20ケ月熟成。卵白による清澄処理。無濾過で出荷される。


シャトークリネは1700年よりポムロールに拠点を置くシャトー。現在ミシェルローランの影響下にある数あるシャトーの中の一つ。醸造責任者はジャン ミッシェル アルコート氏。何回か所有者が変わっていますが、現在はラボルト家所有となっており、ミシェルローランがコンサルタントに就いてからの90年代以降評価を上げています。
レグリーズ クリネ、クロ レグリーズに隣接する粘土(砂利含む)/鉄分を含む青粘土で構成される畑(8ha)を保有。平均樹齢は40年。平均収量は35hl/ha。除草剤は使用しない。収穫は手摘によって行われる。
プレス後、1週間の低温浸漬。その後木製槽にて3%週間から5週間、30℃から33℃で発酵。そしてマロラクティック発酵を行います。フレンチオーク新樽100%にて16ケ月から22ケ月の熟成後、無清澄、無濾過でリリースされます。
セカンドはフルール ド クリネ。

シャトーマルゴーはマルゴー村に拠点を置く、メドック第一級に位置するシャトー。いわゆる5大シャトーのうちの一つ。一時期ジネステ社が所有した時期にその評価を落としたが、メンツェロプロス家に売却されてからは、エミールペイノーをコンサルタントとして迎え、急激な資本投資もあり、1980年以降その評価を回復させた。現在はポール ポンタリエの指揮の下、一級に相応しい卓抜した品質を堅持し続けている。今回はセカンド ラベルのパヴィヨン ルージュ。栽培面積は78haで平均樹齢35年程度の葡萄の収量を45hl/haに抑え収獲を行う。除梗後、温度管理された木製槽で3週間のマセレーションとアルコール発酵が行われ、オーク樽の新樽で18~24ヶ月熟成される。基本的に無濾過で瓶詰めされる。今回は2009年初リリースのサードラベル。

では、いってみましょう。


生産者、銘柄: シャトー ローザン セグラ 2007
品種: カベルネソーヴィニヨン 53%、メルロー 44%、プティヴェルト3%

約7800円、WA89pt
赤みの強いガーネット、粘性は高い。
樽香主導、そこに絡む様に豊かな果実味が感じられる。トースティなブリオッシュやワッフル、シロップや黒糖の様な甘露さ、カシスやブラックベリーの熟した果実味、ムスクの様なアロマが感じられる。マロラクティック発酵に起因するバニラやクリームの様な香りやリコリス、スミレ、シナモンの様なアロマが感じられる。
豊かな果実味がありながら、複雑で気品がある。ボディもいたずらに強いわけではなく、タンニンより酸の方か際立っている。カシスやハーブのアフター。


生産者: シャトー マルゴー
銘柄: マルゴー ド シャトーマルゴー 2009
品種: メルロー50%、カベルネソーヴィニヨン40%、プティヴェルト10%

10000円
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
サードラベルながらパヴィヨンルージュにも似た彩を持つワイン。
果実味は十分に豊か。ただ果実味以外の要素も多分にあり、トーストやバターなどのニュアンス、そして西洋杉、カシスやブラックベリーなどの黒系果実の果実味が綺麗に結合している。薔薇やスミレが鮮やかに花を添え、また西洋杉やリコリス、燻製、ユーカリなどのアロマが感じ取れる。
口に含んだ時の酸とタンニンの立体感はさすがマルゴー。サードとはいえ果皮の華やかさとシロップの様な甘やかさ、黒系果実のアフターが広がっていく。セカンド並みの味わいはあるが、これがオフヴィンテージだったらどうなるか...


生産者、銘柄: シャトークリネ 2003
品種: メルロー 75%、カベルネソーヴィニヨン15%、プティヴェルト10%

14000円、WA86pt
外観は赤みの強いガーネット、粘性は高い。
既に熟成香がかなり現れている。
濡れた土や西洋杉のアーシーなニュアンスと生肉や鉄釘の様な野性的な味わい。ドライイチジクや紫スモモの果実味、マスタードや煮詰めたソースの様なアロマ、スミレやドライハーブ、ナツメグやリコリスなどのスパイス香、燻製肉の様な味わい。
酸味やタンニンは柔らかくなっており、土やイチジク、トリュフなどのアーシーな余韻が残って行く。卓抜した旨味を有しており、熟成の心地よい味わいが早くも感じられた。


2009年のマルゴーサード以外は基本的には凡庸なヴィンテージであると思いますが、どのワインもボルドーらしい、えもいわれぬ彩があり、大変満足しました。
決して熟度が高いわけではないのですが、細いヴィンテージでも見事なエレガンスが垣間見れるのは、まさにボルドーらしさに他ならないと思います。正直過熟感のあるボルドーはニューワールドの土台に乗ったワインになるので、僕はあまりボルドーとしてのカラーがないな、と思ってしまいます。美味しいには美味しいと思うのですが。

では、まずローザンセグラから。
ややブリオッシュやワッフルを想起させる樽が前に出た味わいで、そこに乗る形でそこに絡む様にカシスやブラックベリーの豊かな果実味、黒糖の様な甘さ、ムスクのような野性味が感じられる。
ただ新世界の様にインキーでも爆発するような果実味はないです。必要最低限を抑えて抑制を効かせた味わいだと思いました。
どことなく気品を感じさせる味わい。逆にグレートヴィンテージだと、この良さはスポイルされそうな感じ。パーカーポイントはあまり芳しくないですが、私的にはかなり好みでした。

次にクリネ。
こちらもボルドーならではの彩があるワイン。2003年ということもあり、かなり熟成感が現れており、果実味も旨味に転化しはじめています。
アーシーな要素が強く現れておりドライイチジクや生肉、スパイスなどの熟成香か一つに結合し、早くも一塊となったソースの様なアロマが現れはじめています。ただ一部の果実の要素はまだ残っており、ボディもやや若い様に感じられましたので、まだ若干熟成しそうな気がします。また、ねっとりとした味わいはメルローならではですね。
基本的にそこまで強いワインではないと思いますが、こちらも2007ローザンセグラ同様のボルドーならではのエレガンスが感じられるワインに仕上がっています。

最後はマルゴー ド シャトー マルゴー。
シャトーマルゴーのサードワインです。
正直サードというのもあり期待は全然していなかったのですが、2009年というグレートヴィンテージということもあり、さながら平年並のパヴィヨン ルージュと同等の味わいと思っています。果実味は十分に豊か、かつ新樽や果皮の華やかさが融和し、マルゴーの名に恥じない立体感を持ったワインとなっています。そういう事を考えると価格の高騰が著しいセカンドと比べると、かなりお得感は感じられますね。
ただ勿論パヴィヨンルージュもそうなのですが、ファーストには遠く及びませんし、また2009年が特異なグレートヴィンテージという事も認識しておかなくてはいけません。
2010年は良かったですが、例えば2011年というオフヴィンテージがリリースされた際にサードの品質がどこまで下がるかも見極める必要があると思います。

うーん、一周してボルドー面白い。
またはまりそうな気がする...



[2003] Ch.Clinetシャトー・クリネ 750ml

[2003] Ch.Clinetシャトー・クリネ 750ml
価格:14,040円(税込、送料別)

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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