【カリフォルニア:21】SQN ダークブロッサム、ボンド メイトリアーク。カリフォルニアカルト代表格を利く

こんにちは、HKOです。
毎度お世話になっております。
今回はシン クア ノンのダークブロッサムとボンド エステートのセカンドワイン、メイトリアークの2本です。
このクラスのワインを飲むのは大変久しぶりです。たまに飲むカルトワイン、じっくりと味わわせて頂きました。特に後述しますがシン クア ノンのダークブロッサムは正に圧巻...

【データ】
シン クア ノンはマンフレッド クランクルが運営するサンタバーバラの生産者。ポートフォリオはコロコロ変わるので、イマイチ掴み難いんですが、僕の知ってる限りだとグルナッシュ、シラー、シャルドネ、ルーサンヌ、ヴィオニエ、それらの混醸。(ワインアドヴォケイトもバレルテイスティング時のものは名称を明確に書いていませんでしたね。「まだ名前がない白ワイン」...とかそんな。)南仏の匂いのするカリフォルニアカルトの生産者ですね。
初リリース以降キュヴェ別にラベルは毎年異なるデザインが用いられ、同じラベルは二度と使用されません。
今回は2011年リリースされたダークブロッサム。品種はそれぞれシラー主体とグルナッシュ主体となっています。
畑の内訳は91%がイレヴン コンフェッション エステート、ザ サード ツインエステート、キュムラスエステートの自社畑、その他はホワイトホーク、ビエンナシッドから収穫されたぶどうを使用。フレンチオーク樽にて22ヶ月(新樽率50%)。ファイヴシューターと比較すると15%自社畑の比率が増えています。

ハーランエステートこそカリフォルニア最高峰のカルトワイナリーと言って差し支え無いでしょう。
もともとハーランエステート1種類のみのワイナリーでしたが、95年にはセカンドワインの「ザ メイデン」を、99年にはハーランの別プロジェクトであるボンドエステートから単一畑の「メルバリー」「クエラ」「セントエデン」「ヴェシーナ」「プリュリバス」そしてマルチヴィンヤードの「メイトリアーク」がリリース。それらのいずれも驚く程評価が高くワインアドヴォケイトでは5回(94,97,01,02,07)、ボンドを含めると7回(01セントエデン、07ヴェシーナ)の100点を取得しています。
もともと不動産業界に活躍していたウィリアム ハーランが1980年代半ばにオークヴィルの西に位置する標高100~180mの丘陵(裾野にはモンダヴィのト カロンがあります)を購入。ロバート レヴィを栽培責任者・醸造長に、ミシェル ロランをコンサルタントに迎え、カリフォルニア最高峰のワイナリーはスタートしました。その後高い評価を受けていきますが、99年には別プロジェクトのボンドエステートを立ち上げています。マルチブレンドのハーランに対して、ナパのテロワールを緻密に再現したシングルヴィンヤードのボンド。基本的には製法は畑に合わせて行われています。
ブドウの栽培は徹底した収量の抑制が成され、収穫はタンニンと糖度が上がりきった遅い時期に手作業で(小さいトレイに入れながら)行われています。 収穫した後、除梗(完全除梗)と手作業による3回の厳しい選果を実施。ステンレスタンクとオーク製のバリック樽を併用し、基本的に高い温度で1ヵ月以上発酵を行います。そしてフレンチオーク新樽(ミディアム ロースト)100%にて25ヶ月程度熟成。マロラクティック発酵は熟成過程で実施。清澄、濾過せずに瓶詰めする。
今回のメイトリアークは、ボンドの中で唯一マルチヴィンヤードのアッサンブラーシュを行っているキュヴェで、5つの単一畑のセカンドラベル的な立ち位置のワインとなっています。


【テイスティングコメント】
生産者: ボンド エステート
銘柄: メイトリアーク 2010
品種: カベルネソーヴィヨン100%

約16000円、WA89pt(2008)
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
素晴らしいカベルネソーヴィヨンであることは間違いないが、ボディの液体密度はハイエンドのハーランやボンドヴィンヤードと比較するとやや低く、球体には至っていない。
果実味と樽香は融合している。甘露なシロップや果皮の要素を強く感じるカシスやブラックベリー、スミレの要素。そして西洋杉やバニラ、タバコ。リコリスやベーコンなどの燻した様な香りが感じられる。
先述の通りボディがやや弱い為、タニックで酸も突出している様に感じられる。熟したブラックベリーやスミレ、アーシーな余韻を残して行く。やや尖ったワイン。


生産者: シネ クア ノン
銘柄: ダーク ブロッサム シラー 2011
品種:シラー 84%、グルナッシュ8%、プティシラー4%、ルーサンヌ4%

約32000円、WA96-98pt
外観は濃いガーネット、粘性が高い。
相変わらずもの凄いシラーだが、香りの表出に関してはやや落ち着いた印象も受ける。ファイブシューターの様な派手な印象は無い。
充実した果実味があり、とても甘露で丸みがある。それでいてシラーズではなくシラーを体現したワインと言える。よく熟したドライプルーン、ブラックベリー、デーツ。チョコレート、バニラ、ワッフルなどの樽香。スミレの様な華やかな香り、スパイシーな黒胡椒の風味、リコリスや燻製肉などのアロマが感じられる。
非常に厚いボディで重量感がある。しかしながら受ける印象は柔らかい球体のワインといった感じ。タンニン、酸は豊かだが、きめ細やかでとても滑らか。プルーンやブラックベリーの濃厚な黒系果実の果実味が感じ、またそれに伴う素晴らしい旨味がある。


【所感】
さて所感です。
まずはメイトリアーク。これは正直な話ボンドエステートに求めるレベルにはやや達していなかった様に感じました。勿論素晴らしいのは間違いないのですが、去年のプロプライエタリーレッドやセントエデン、ヴェッシーナは勿論の事、ザ メイデンにも届いていなかった印象。
何故か。
果実味と酸、タンニンのバランスが、前述の4本に対してあまりにも悪すぎる事。
ハーランとしては液体の密度と果実味が低いにも関わらず、前述のワインと同等の抽出を行っているからかタンニンと酸が強烈に舌に刺さる。収斂性も高く、香りこそグランヴァンそのものなのですが、口に含んだ時の荒々しさや質感部分でどうしても飲みにくく感じてしまう。それなりの期間は熟成すると思いますが、おそらくこの強烈な酸とタンニンがこなれるまでには果実味を失ってしまうのではないかな、と思いました。
難しいワインです。ハーランの特徴は確かに備えているのですが、始めて飲む人にとっては、やや厳しく感じるかもしれません。飲んだ事がある人は私と同じ感想を抱くんじゃないかな、と思います。
勿論ヴィンテージによって差はあると思いますけども。

次にSQNのダークブロッサム。
これは逆にぐうの音も出ない程に素晴らしいシラーでした。去年のファイヴシューターに比べると外交的ではなく、また開くまでにある程度の時間を要するワインではあるのですが、SQNシラーの特徴的な熟した黒系果実と豊かな樽香、そしてえもいわれぬスパイシーさと華やかさを当たり前の様に備えたワインである事は間違いありません。
恐らくファイヴシューターは充実した果実味と共に強い抽出も行なっていて、果皮成分に起因するかなり華やかな要素が前に出ていましたが、今回のダークブロッサムは十分な果実味を保持しながら過剰な抽出を抑えエッジーな点をそぎ落とした堅実的な味わいになっていると思います。
球体の果実味が発散するわけではなく、静かにその場にとどまっているような、そういうイメージ。エネルギッシュさを纏った動のファイブシューター、エネルギーを奥に潜めた上質な質感を持つダークブロッサム。
好みだと思いますが、まず間違いなくニューワールドのシラーの最高峰であることは間違いないんじゃないかと思います。価格と入手難度はさておき...ですが。

メイトリアークには期待値の裏返しで結構手厳しくいきましたが、どちらも素晴らしいカリフォルニアワインであることは間違いありません。どちらも購入して損をするようなものでは無いと思います。





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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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