【シャンパーニュ: 45】大手NMが作るフラッグシップキュヴェ No1

こんにちは、HKOです。
本日は大手メゾンのシャンパーニュ4種類を2回にわたってレポートしていきます。
本日はヴーヴクリコのラ グランダム、そしてヴランケル ディアマンの2種類となります。


【データ】
ヴーヴクリコはルイヴィトン モエ ヘネシー社が保有するシャンパーニュ有数の大規模メゾンです。
1772年にフィリップ・クリコ=ムーリオンがランスに設立し、後の1810年に「ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン」と改名しています。現在の醸造責任者はジャック ペテルス。著名なRMであるピエールペテルスは彼の甥に当たります。フラッグシップは8つのグランクリュから作られたラ グランダム。
自社畑のヴェルズネイ、ヴェルジー、アンボネイ、アイのピノノワール65%、アヴィズ、レ メニル シュール オジェ、オジェのシャルドネ35%を使用しマロラクティック発酵を行い6年間の熟成を行う。
初リリースのの1972年以来、1975年、1979年、1985年、1988年、1989年、1990年、1993年、1995年、1996、1998年と続きリリースされています。

ヴランケン ディアマンは世界第二位のシャンパーニュグループであるヴランケン ポメリー モノポールグループ傘下のシャンパーニュメゾン。現在の醸造責任者は1982年よりドミニク ピシャール氏が就任している。同グループの所有するシャンパンブランドの中でも最高位のプレステージシャンパーニであるディアマン ブルー ミレジメは自社の最良の6つのグランクリュ畑産の葡萄のみを使用している。セパージュ比率はピノノワール、シャルドネ50%ずつ。


【テイスティングコメント】
生産者: ヴランケン ディアマン
銘柄: ディアマン ブルー ミレジメ 1999

約20000円
外観はやや色の濃いイエロー、粘性は中庸で、しっかりとした泡が立ち上っている。
早くも熟成の素晴らしい状態に辿り着いている。ミネラルよりも豊満さが重視されている。
強くは無いもののカスタードクリームやスイートポテトを思わせる豊満な香りがあり、無塩バターやトフィーナッツ、ドライハーブ、ハチミツ。熟した赤リンゴやライムの様なほのかに酸味の乗った果実味が感じられる。
非常に旨味が溢れており、穏やかでしなやかな酸味と共に赤リンゴやスイートポテトやバターの様な余韻を残していく。酸も穏やかだし、リッチな体躯で非常に美味い。


生産者: ヴーヴ クリコ
銘柄: ラ グランダム 2004

15000円、WA95pt(1996)
外観は淡い色調のイエローで粘性は中庸、泡は華やかに立ち上っている。
しっかりとしたミネラル感がある。ベースはクリーンだが、フレッシュさを感じながらも熟成による深み、旨味を感じさせる様な香りがある。
赤リンゴやネクタリンの様な酸味と旨味両方を感じさせる果実味、それと共にチーズやエシレバター、ローストナッツ。ドライハーブやリコリスの風味、少しずつ味わいが結合し、ほのかにバタークリームの様な風味も漂わせる。
はっきりとした輪郭のフレッシュな酸味と、しっかりとした旨味が両立されており、赤リンゴやエシレバターの様な余韻を残していく。比較的スパイシーな味わい。


生産者: ヴーヴ クリコ
銘柄: ヴィンテージ カーヴ プリヴェ 1980

約40000円
外観は濃い目のイエローで粘性は高い。泡は溌剌としている。
香りに熟成香はハッキリと表出しているが、酸と泡は極めて若々しくフレッシュ。
カマンベールチーズやキノコ系の風味に、MLFの熟成を感じさせるバニラやカスタードクリーム、ヘーゼルナッツの香り。さわやかでスパイシーなドライハーブと共に熟した洋梨、白桃の蜜を思わせる果実味が感じられる。
熟成期間は長いが、期間と比較すると遥かに若く活き活きとした酸があり、ボディはしっかりと維持されている。蜜、バターやナッツや豊かな果実味や旨味の余韻が感じられる。デゴルジュマンは1986年、生産量や約1300本。



【所感】
本日は大手メゾンのシャンパーニュです。
まずはラ グランダムです。実はグランダムは初体験だったりします。さすがヴーヴクリコ、スタンダードラインでも美味しいですが、フラッグシップはその上を行きます。比較的リッチで果実味豊かなイエローラベルに対して、しっかりとしたミネラル感、リコリスの様なスパイシーな要素と共に熟成による深みが生み出されています。果実味に関しては赤リンゴの様な旨味が凝縮しています。
ミネラル要素を除いてはほぼ順当に進化、熟成したスタイルと言えるのではないかと思います。
クリーンさとフレッシュさを基本骨子にするのは変わらず、ミネラル、複雑さを押し出したスタイル。それでもキャッチーで万人に受け入れられやすいシャンパーニュである点はイエローラベルと変わらないと思います。
ミネラル感はいわゆるメニル単一の様な過剰なシャープさや硬さを感じるわけではないですしね。
ただ各味わいの輪郭がはっきりしていますので、フラッグシップ的な良さがしっかりと感じられます。価格も並み居るフラッグシップ群と比べるとお安い方に含まれるので、結構いいと思いますね。
またヴィンテージ カーヴ プリヴェも素晴らしい。
セラーマスターが選んだ古酒をセラーで20年以上長期熟成させたヴィンテージなのですが、これが恐ろしく若い。デゴルジュマンが遅いならばなんとなくわかるのですが、デゴルジュマンが1986年に済んでいるにも関わらずセラー熟成だけでこれだけの体躯を維持しているとは。熟成のニュアンスも完璧で、熟成の立体感かありながら、クリーンさとフレッシュさを維持している。熟成の方向性によってはこのクリーンさやフレッシュさは失われてしまいますが、最良の環境で熟成されたこの一本はそれらのマイナス要素を排除しています。ミネラル感もしっかりとあり、ヴィンテージに留まらないレベルの高さを感じさせてくれますね。

次にディアマンブルー。
これがあまり期待してなかったのですが、熟成としてはかなりいい線いっていました。
ミネラル感は落ち着いており、どちらかというとシャンパーニュのリッチさを押し出している感じで、熟成もスイートポテト系というか、カスタードクリーム系というか、そっちの方向に向かっています。
個人的に大変好みの味わいではあるのですが、ワインの評価的には高くはありません。
というのも、1999年にして酸とミネラルがかなり落ち着いていて、併せて密度もそう高くはないので腰が弱い。実際見てみない事にはなんとも言えませんが2次のピークはどうにも来なさそうな感じ。
香りの立ち方も熟成しているとはいえ、少しぼやけた感じがします。

なーんて、書いては見たものの、ワイン自体の品質はともかくとして凄い好みの味わいなんですよねえ。
そしてピークというのであれば、今が間違いなくピークでしょう。現在の切り口で言えば間違いなく、多くの人がグランダムではなく、こちらを選ぶでしょう。
そして私もこちらを選ぶと思います。グランダムはまだまだポテンシャルを残していますが、まぁ、好みですがね。しかしディアマンブルーの足早いですね...還元的なワインから見たら99年なんて多少の熟成香はありながらもピチピチだと思うんだけど。酸化的なワインはこうはならないので別ですが。




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Chez Matsuo Shoto Restaurant(シェ松尾 松濤レストラン: 渋谷)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。

こんにちは、HKOです。
本日はシェ松尾です。
なかなかシェ松尾にはご縁がありまして、横浜そごうのキャフェ&ヴァン、そして成城学園のグランファミーユ、そして青山サロンと度々足を運んでいました。
そして今回は遂に...



本丸の松濤レストランです。
蔦の張ったドイツ風の洋館、既に入り口から圧倒されます。



ウェイティングバー。
数席のソファーがあり、洋館のエントランスに貴重な洋酒や焼酎が並びます。

程なく席に通されます。




中庭に植えられた植物を通して心地良い陽光が降り注ぐ素敵な席です。どの席も中庭を囲む様に配置をされているので、特に優劣などはなさそうですが、奥まったいい席でした。



トイレの入り口から眺めた階段。
大正時代に作られた洋館ならではの古風な魅力があります。風見鶏の館みたいですね。



ウェルカムプレートは和風のもの。
柄がお洒落ですね。


早速シャンパーニュを注文します。


◾︎シャンパーニュ
生産者: ペリエ ジュエ
銘柄: グラン ブリュット NV



グラスとしては豪華なペリエ ジュエ グランブリュット。
個人的にはもう少し控えめな価格のこだわりRMを飲みたかったですが...しかし(値頃で)美味しいけど全く無名のRMシャンパーニュよりかは、有名で美味しい(けどちょっと高い)NMシャンパーニュの方がプレミアム感はありますよね。
全員が全員、ワインにこだわりのある人ではないのですから、この選択はベストだと思います。



◾︎アミューズグール「ほうれん草を使った西洋風茶碗蒸し、ズワイガニを使ったコンソメスープ、エストラゴンを添えて」(★★)


やはり甲殻類が入ると圧倒的な旨味と風味で味わいに厚みが出る。
ほうれん草のしっかりとした風味を感じる茶碗蒸しとコンソメスープと塩気の効いたズワイガニの風味が絶妙にマッチする。



◾︎アントレ「ズッキーニで巻いた富山県産サヨリのマリネ 香草のコンディマンとヴィネグレットソース」(★)


常に清涼感のある爽やかな初夏を感じる色合いの一皿です。ズッキーニで巻いたサヨリ、黄人参のサワークリーム、ヤマメの卵。そして脇に添えられているのはイタリアンバジルのマヨネーズ、ディルのビネグレットソース。ズッキーニのザクザクとした瑞々しい食感、そしてサヨリの歯ごたえ豊かなプリプリ食感、プチプチとした食感豊かなヤマメの卵。口に含むと様々な食感が代わる代わる現れ非常に楽しい。
ディルのハーブの風味が極めて強く、濃厚な魚卵、黄人参のサワークリームと絶妙なパワーバランスを見せる。サヨリの新鮮な味わいにそれらの要素がプラスされ、複雑な風味になっている。
ただ個人的には少しハーブの風味と苦味が強い様に感じた。



◾︎スープ「カリフラワーの温製スープ仕立て 宮城県産蛍烏賊とバジル風味のオイル添え」(★★★)


ホタルイカが泳ぐオリーブオイルとカリフラワーのスープ。濃厚でクリーミーなカリフラワーのスープ、しっかりとした塩気と風味があり、ホタルイカは濃厚な味噌と磯の風味があり、それらをクリーミーなカリフラワーのスープが包み込み、オリーブオイルのフレーバーが清涼感と複雑さを与えている。スープにして大満足の一皿です。



◾︎ポワソン「小笠原産 尾長鯛のポワレ ブラウンマスタードとベトラーブ風味 アスパラとオマール海老のソース」(★★★★)


毎度思うが、シェ松尾は魚料理が美味いと思う。
この鯛も例にもれず素晴らしい。
鯛の皮の部分にソースを付けてカリカリに焼き、乾燥させて焙煎したブラウンマスタード、紫蘇の花、ビーツのパウダーを添えている。ソースはオマール海老とビーツ。添え物はしっかりと塩気を帯びたグリーンアスパラガス。
鯛は皮のパリパリとした食感を残しながら、身はフワフワに火が通っており、魚の旨味が詰まっている。
ブラウンマスタードのスパイシーさ、紫蘇の花の清涼感のある風味が鯛の風味を引き締めている。
オマール海老のソースはしっかりとしたビスクソースの様なリッチな風味があり、またビーツのソースはほのかな甘みを感じた。



◾︎ヴィアンド「ニュージーランド産仔羊背肉のキャベツ包みロースト グリーンマスタード風味 仔羊のジュ」(★★★★)


シェ松尾の得意分野の子羊料理。
確かに得意と言い切るだけあって、非常に火入れが巧みだし、美味しいと思う。
じっくりと焼き上げ、キャベツで蒸し焼きにした仔羊、そこに北海道産ルビーオニオン、ジャガイモ、紅時雨大根が添えられている。ソースはグリーンマスタードとジュ ド アニョー。
赤身を残し、しっとりと焼き上げている。羊の臭みがあまり無く、仔羊の個性を残しながら、クセがなく仕上げられている。そして火を通したキャベツからは強い甘みを強く感じる。ジュ ド アニョーの深いコクのあるソース、マスタードの風味も仔羊の個性とよく合う。玉ねぎや紅時雨大根も芯を残しながらシャクシャクで非常に美味い。

ポーションは多少少ないながらも非常に手の込んだ素晴らしい料理ばかりでした。さすがは老舗のレストランです。最後にデゼールです。


◾︎デゼール(★)

テゼールはアラカルト4種類。
マンゴーのアイス、イチゴのムース、宇和島産ブラッドオレンジのゼリーにエスプーマとミントを加えたもの、カカオ75%以上の板状のデュルセーと白スグリを乗せたチョコレートと紅茶のムース。
皿には薔薇が書かれています。
いずれもスタンダードなデゼールですが、チョコレートと紅茶のムースが特に美味でございました。


と、デゼールまで終わると、最後のお茶と茶菓子ですが、中庭で楽しめるとの事。
ここの中庭がとても雰囲気のあるイングリッシュガーデンで陽光が大変心地よかったです。



中庭から望む洋館。


花のいい香りが漂ってきます。


◾︎ミニャルディーズ


やや濃いめに淹れたコーヒーと焼き菓子を頂きます。
大変スタンダードなものでありながら、中庭効果で何倍も美味しく感じられます。
うーん、気持ちいい。


程なくして時間も押し迫ってきたので、楽しい時間も終了。約2時間大変楽しませていただきました。
さすがに老舗のレストランだけあって料理だけではなく、雰囲気や気配りなどがさりげなく、細かくなされているのが印象的でした。
とても渋谷にいるとは思えないくらい静かで穏やかで、それでいて異国の雰囲気を強く感じさせる佇まい。上質な空間。
多少値は張りますが、値段なりの充足感は得られます。青山サロンも素晴らしかったのですが、全体的な雰囲気を考えると松濤レストランの方が満足度が高いかも。いずれにせよ、オススメです。

住所: 150-0046 東京都渋谷区松濤1丁目23番地15
店名: シェ松尾 松濤レストラン
電話番号: 03 3485 0566
営業時間:
12:00~15:00
18:00~23:00
ランチ営業、日曜営業




L'Effervescence(レフェルヴェソンス: 麻布)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。


HKOです。
レフェルヴェソンスに行ってまいりました。



乃木坂駅から約15分程度西麻布の住宅街を歩いていくと、ひっそりとした小道の脇に瀟洒な建物があります。



シャンパーニュを思わせる淡い金色のプレートに「L'Effervescence」と。
シェフは生江史伸氏。ミシェル ブラス トーヤ ジャポン、ファットダックを経由し、2010年にレフェルヴェソンスを立ち上げています。私と10歳も変わらないのに日本最高峰って凄いですね...



よく手入れされた植物の植わる階段を上っていくとエントランスがあります。



エントランスは決して広くありませんが、店内は非常にゆったりとした空間で、カウンターバーや半個室、テーブル席がゆったりとした感覚で並んでいます。窓際は全面窓で、植物を介した穏やかな陽光が店内をライティングしています。
ウェルカムプレートは泡をイメージさせるデザインの純白の皿。


非常に静かでゆったりとした空間で、椅子も心地よく、少し微睡んでしまいそうになりましたが、とりあえずいつも通りスターターとしてグラスシャンパーニュを注文します。ゴッセのグランレゼルヴかジャック ラセーニュという事だったので、迷わずジャックラセーニュを選択。
まだ飲んだ事が無いRMでしたが、このクラスのレストランであれば間違いなく美味いはず...!


◾︎シャンパーニュ
生産者: ジャック ラセーニュ
銘柄: ラ ヴィーニュ ド モングー ブラン ド ブラン エクストラブリュット NV


非常に熟した果実味があるシャンパーニュ。
クリーンな味わいで、熟したリンゴやシトラス、ほのかなバターの風味、ほのかにノワゼットの要素があり、キリッとしたミネラル感があるが、決して堅牢ではない。白い花やフレッシュハーブの風味。
酸は繊細だが、香りの清涼感、クリーンさから思えないような広がるようなしなやかな旨味も感じさせる。
ふくよかで素晴らしいシャンパーニュ。

オーブの生産者との事でしたが、コート ド ブランに近く、日照条件の良い斜面に植わっているので、極めて熟度の高いシャルドネが出来るとの事。なるほど、クリーンでありながら確かに熟度は高いですね。




◾︎アミューズブーシュ「グリーンアスパラガス、桜海老、アオヤギ、アーモンドを2口で~」(★★★★)


小さいグラスの中にグリーンアスパラガスのピューレ、シェリービネガーの層、桜海老とアオヤギ、エスプーマが添えてある。軽く火を加えた桜エビとアオヤギは極めて香ばしく、それらをシェリービネガーの酸味と甘さ、グリーンアスパラガスのピューレの豊満な風味が包み込む。ほのかに柑橘の風味が感じられる。口の中で香ばしさと桜海老のプリプリとした食感、ふくよかさを感じる。ピューレの中に隠されたアスパラのサクサク感も楽しい。食材のバランスが極めて良く、ふくよかさと酸味、甘味、旨味が非常に良くマッチしている。また液体窒素で固めたシャーベットは柑橘と日本酒の風味で、ピューレに含まれた柑橘の風味とよく合い、それらを引き継ぎながら綺麗に余韻を完結させていく。


アミューズから調和が炸裂しています...
次はアイナメです。魚が先に出るのは珍しいですね。


◾︎花たち~「アイナメをプリッと焼いて桜の花のブールブランと蕗の薹のピュレ、山独活、八朔の葉のオイル、白味噌のエミュルジョン、野生の胡椒、パンプルネル」(★★★★★)


青森県下北半島産のアイナメと桜の塩漬けを加えたブールブラン、山独活、蕗の薹、マダカスカル産の野生の胡椒。
脇に添えられた山独活はコリコリとサクサクしている。
しかしこのアイナメの火入れが本当に絶妙で最高。崩れるように柔らかく仕上げず、外側は香ばしく、中はしっかりと噛みしめるような、それでいてしっとりと仕上げられている。アイナメに含まれた旨味も充実し、ブールブランの中にある桜のフレーバーや八朔の葉、様々なハーブの複雑な風味が調和していく。野生の胡椒は香りは極めてスパイシーな芳香だけれどもスパイス的な辛さは殆どなく、より複雑さを助長していく。
全体的に極めてハーブ的な要素が強く、アイナメの旨味と共にアロマとフレーバーを楽しむ料理。少し木の香りがあり、森の中にあるコテージにいるような香りを放つ。絶妙な調和を生み出している一皿だと感じました。


アイナメ本当に最高...やばい。
アミューズとポワソンにいきなりレフェルヴェソンスの洗礼を受ける。

次はまさに定点、調理法は変えずに季節ごとに移り変わる蕪の味わいを楽しむ一皿。


◾︎定点「丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルジョン、バスク黒豚のジャンボンセック&ブリオッシュ」(★★★)


シンプルな蕪料理、そこにイタリアンパセリのにソースとクルトンに似たブリオッシュ、細かくジャンボンセックが散りばめられている。
4時間ほど食感を残して火入れした蕪は、しっかりとした歯ごたえでザクザクとした食感、素材には根菜類のほのかな苦みと辛味、そして甘みがあり、ほのかな塩味でそれを引き出している。葉の部分はやや塩気が強く、上手くバランスをとっている。そこにパセリのエマルジョン。濃厚でクリーミーなエマルジョンにパセリの爽やかで清涼感のある香りが鼻に抜けていく。ブリオッシュのクルトンは甘みがあり、ジャンボンセックは欠片にも関わらず全体に行き渡っていくような旨味がある。シンプルな料理だが、節度という単語をを体現した様に完璧な調和をみせる。


時期によって調理法が変わらない、まさに定点観測。蕪を通してみる、季節の定点観測。
次も驚きの一皿。フォアグラです。


◾︎春の温度「フォアグラのナチュレル、金美人参のピュレとそのキャロットケーキのかけら、サントモール&セミドライトマト、しょっつるのキャラメルと芹の葉」(★★★★★)


なんだこのフォアグラ、全然重くない!確かにそういう風にしたとは言っていたものの、まるでバターやアボガドの様に濃厚でマイルドありながら、クリーンでさっぱりとしている!
そしてそんなフォアグラだからこそ、繊細な味わいの付け合わせやソースがしっかりとハマってくるのか。
そこに合わせるのは甘辛い秋田のしょっつるのキャラメルソース、甘いキャロットケーキ、旨味の充実したドライトマト、独特のグリニッシュな人参。
しょっつるの甘く凝縮した旨味のソース、そしてキャロットケーキはフォアグラのほのかな塩味を引き立て、その脂分が個性豊かなフレーバーを受け止めているし、ドライトマトの風味も強烈な旨味を軟化させ調和している。シェーブルの独特の風味が複雑さと深みを高めている。お互いの素材の良さを完全に引き出している。パンケーキとフォアグラの組み合わせ、あるいはしょっつるとの組み合わせはフォアグラと甘口ワインのマリアージュの構図だけど、それより、より繊細に作り込まれている。素晴らしい。クリーンなフォアグラだからこそできる技ですなぁ。


さてメインのホロホロ鳥に合わせる赤ワインを注文。
提案されたのはジュヴレシャンベルタンとグリュオラローズの古酒だったが、ベストな選択でありつつも個人的には飲んだこともあり、毛色を変えたかったので、他に合うワインを探してもらった。
それがコレだ。


◾︎赤ワイン
生産者: モリック
銘柄: ブラウフランキッシュ レゼルヴ 2009
品種: ブラウフランキッシュ100%

外観は濃い目のガーネット、粘性は中庸。
スパイシーで香りはローヌ北部のシラーに似ている。
果皮の味わいが強く毛皮やなめし皮の様なアロマがある。冷涼地域を想起させる堅牢さで、果皮の厚いブルーベリーやブラックベリーの風味が感じられます。少々グリニッシュで、梗、クローヴやスミレの要素も前に出てきている。徐々に乾燥系果実のにの様な余韻が残る。


ブラウフランキッシュ。
冷涼なオーストリアのテロワールから生み出されるこのワインはピノノワールの様に繊細な酸があり、南仏品種の様にワイルドな側面を見せる。
ホロホロ鳥とはしっかりとマリアージュした。


◾︎寒さの下の春「石黒牧場のホロホロ鶏を炭火で、ソテーした白菜のエキスと栄螺、新筍、マッシュルームの砂」(★★★★★+)


炭火で焼いたホロホロ鳥の腿肉(手前)、胸肉(奥)、ソテーした白菜と新筍、栄螺をみじん切りにしたもの。
これまた極上の火入れのホロホロ鳥。鶏肉としては今まで感じたことのない超絶的な味わいだった。
腿肉は外側がカリカリに、中はしっとり。絶妙な柔らかさで非常滑らか、まるでクリームチーズの様な食感。筋を全く感じない。そして肉の中に含まれる強烈な旨味を、これまた火入れと塩、椎茸と白菜のエキスで完璧に引き出している。基本的にナチュラルな風味なので、栄螺の塩見で、更に深みが出る。
胸肉は腿肉と比べてしっかりとした肉感があり、中に含まれる旨味がすごい。滑らかでスムーズな味わいの胸肉に対して、より力強さを感じる。
美味い...出来の良い焼き鳥にも感じられるが、他の食材との調和が素晴らしい。
香ばしくオイリーで炭の香りのする塩見の効いた白菜、コーンの様にも感じられる甘くほのかな苦みを感じる新筍、共に塩が絶妙に降っており、また栄螺の磯の風味が素材の味を引き立たせている。シャンピニオンのフレークもとても香ばしい。それらが一体となっている皿だ。


最後はデゼール。
一見シンプルなデゼールでしたが、そこかしこに工夫が凝らされている。


◾︎春よ恋「えづれ農園のとちおとめと北海道小麦のクレープ、富士酢のギモーブと桜の葉香るアイスクリーム、柚子の花びらと焼酎を一杯」(★★★★)


北海道の春よ恋という強力粉と黒ごまのクレープ、甘く酸味のあるとちおとめ、桜の花の塩漬けを含めたアイスクリーム。
桜の葉と塩気を感じるアイスクリームが本当に絶品!
とちおとめも酸味は確かに感じるものの、アイスクリームの甘味に負けて酸味だけになっていない。クレープはゴマの風味が香ばしく、これまた桜の葉のアイスクリームの塩加減ときっちりあっている。焼酎の豊満な甘いアルコール感がとちおとめやアイスを引き立て、完璧な味わいになっている。素晴らしいデゼール。


ミニャルディーズに至るまで工夫が凝らさらている。


◾︎おしゃべりのひととき「葛餅、生キャラメル、チョコレートキャンディ、ヨモギバーガー」

エスプレッソの様なビターなコーヒーが出てきた。
そこに合わせるように素敵なミニャルディーズのプレゼント。
葛餅は中にルバーブとフランボワーズの風味があり、酸味と甘みの絶妙の味わい。
パッションフルーツの生のキャラメルはパッションフルーツの種のプチプチ感が心地良くキャラメルの甘味が見事に調和。
ヨモギバーガー、ヨモギときな粉のクリームを挟んだシュー。クリーミーさもサクサクとした外皮が絶妙。
チョコレートキャンディは梅干しとバジル、そしてパチパチキャンデーが入ったチョコレート。懐かしいパチパチとした食感が楽しい。シックプッテートルもパチパチキャンデーを使ったミニャルディーズを出していたが、今流行りなのかしら。


以上、アミューズ、ミニャルディーズ含め7皿。
夜のメニューの本当にいいとこ取りで大変素晴らしかった。そこかしこに和の食材、香りが使われているのは生江シェフがミシェル ブラスに影響を受けたという、「郷土料理をモチーフとした料理」という思想によるものではないかと。メニューからその思想がしっかりと感じられます。
なかなか予約が取りにくいお店ではあるものの、ランチからして行く価値は充分過ぎる程あります!
いい経験しました...



住所: 〒106-0031 東京都港区西麻布2丁目26−4
店名: L'Effervescence(レフェルヴェソンス)
電話番号: 03 5766 9500
営業時間:
ランチ 12:00~16:00(13:30L.O)
ディナー 18:00~23:30(20:30L.O)
ランチ営業、日曜営業




【ブルゴーニュ: 106】コント ジョルジュ ド ヴォギュエ 2012

こんにちは、HKOです。
本日は2012年のヴォギュエ、特級ボンヌマールと特級ミュジニーVVです。
ヴォギュエといえば何と言ってもシャンボールミュジニー最高の生産者であり、最も若いうちに飲んではいけない生産者ですね。
ただこのブログでは美味しさ云々もありますが、将来性や現状を把握していくのがメインなので、ずんどこ行きます。


【データ】
ヴォギュエはミュニエ、ルーミエ、グロフィエとともにシャンボールミュジニーを代表する最も優れた生産者の一人。栽培責任者はエリック ブルゴーニュ、醸造責任者はフランソワ ミレが担当しています。
有機農法、収量制限の為の仕立て併用、作柄毎に醸造方法を変えるなど、葡萄のポテンシャルを最大限に引き出す為の栽培方法を実践しています。
収穫したブドウは100%破砕除梗。低温浸漬は行わない。木の発酵槽で約3週間発酵させ、樽熟成は約1年で、新樽率は村名15%、特級で30%。
なお、ミュジニー畑に植わっている25年未満の若木に関しては、赤はシャンボールミュジニープルミエクリュとして、白はブルゴーニュブランとして、そして25年以降を特級ミュジニーヴィエイユヴィーニュとしてリリースしており、このデクラッセによってミュジニーの品質が保たれています。
今回は特級ボンヌマールとミュジニーです。



【テイスティングコメント】
生産者: コント ジョルジュ ド ヴォギュエ
銘柄: ボンヌ マール グランクリュ 2012

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
瑞々しい黒系ベリーの要素がありながらも、抽出の強さが際立つジュヴレシャンベルタンの様な堅牢さがある。パワー感のある香りの立ち方で、目の詰まった濃密さとグリセリンを帯びた様な風合いを感じられる。
少し焦がした様なカラメルや黒糖的な香りと、樹皮や茎、華やかななめし皮やスミレの風味、熟したブラックベリー、ダークチェリーの様な果実味が渾然一体となって力強く香りが立ち上がる。ほのかにミルクティーの様な風味もある。ローズマリー、生肉、クローヴやシナモンの様な風味が感じられる。
ミュジニーと比べると目がかなり詰まっており、ムチムチとした質感の濃密さがある。
酸、タンニンともに充実しており、特に酸は暴れ気味。暴れる酸と共に目の細かいタンニンが立ち上がりアタックとしてはやや強め。ミルクティーやベリーの余韻がしばらく続く。


生産者: コント ジョルジュ ド ヴォギュエ
銘柄: ミュジニー グランクリュ ヴィエイユヴィーニュ 2012

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
2011年と比べるとだいぶ色が濃いように見える。
瑞々しい黒系ベリーの果実味があり、MLF的なふわりとしたミルクティーの要素と奥底にある凝縮感が強く感じられる。果実味はしっかりと存在しており、凝縮しているのに、ふわりと撫でるようなタッチを持つワイン。
しなやかなミルクティーと抑制の利いたスミレの様な香りの中に、チェリーリキュールやラズベリージャムの様な果実味が結合し、シロップや蜜を思わせるほのかな甘さを感じさせる香りがある。そこにシダの樹皮やほのかに土を感じさせる。なめした毛皮、紅茶。徐々に焦がした様なワッフルの様なアロマもある。
概念的でふわりとしたタッチだが根本から全体を引き締めるミネラル感はしっかりとある。
酸もタンニンも充実しているが、特に暴れ気味というわけでもなく、ひたすら強い酸とタンニンが立体的に、かつどこかで跳ねることなく、長い余韻と太いアタックを残していく。ミルクティーと果皮の厚いベリーを思わせる余韻。香りの柔らかさとは裏腹にボディは強固で熟成ポテンシャルは極めて高い。



【所感】
まずボンヌマール。
とてもムチムチとした破裂しそうな濃密感(濃厚ではないです)とジュヴレシャンベルタンにも通じるガッチガチの堅牢さがあります。香りからして濃密で、極めて明確な実体感と立体感のある球体的ボンヌマールです。香りに一定のキャッチー感はあるものの、なかなか足を出さない力強さ=抽出の強さを内包しています。
ロースト香や華やかさもミュジニーと比べるとよく出ています。正直ジュヴレシャンベルタンと言われた方が納得感があります。少なくともモレサンドニ的ではなく、またシャンボールミュジニー的かと言われれば、ヴォギュエ=シャンボールミュジニーではあるのですが、ちょっとボンヌマールにしても強すぎるな、と感じました。
次にミュジニーですが、ボンヌマールと比較すると明らかに作りが異なりますね。
香りは奥底に凝縮した強靭なエネルギーを潜ませながら、つかみどころのない撫でるような優しい香りが主体的。ただ口に含むとその印象は一気に変わり掴みかかるようなタンニンと酸に圧倒させられる。香りに果皮のニュアンスはあまり出ていないが、相当に力強く、しかして外面は柔らかく仕上げている。優しい外面に騙されて口に含むと、全てを拒絶される様なワイン。
それはMLFをやや際立たせているのと、抽出をしっかりとしているのにも関わらず、あるいは果皮成分をあまり感じさせず、タンニンや華やかさだけしっかりと抽出しているという感じ。そこにさらに強いミネラル感が絡んでいく。樽も強くはないがしっかりと効いている。熟度は高いものの、口当たりはかなりドライで冷淡。香りや全体的な雰囲気と口当たりとの齟齬、相反する要素がミュジニーという奥深さ、一筋縄では決して行かない難易度の高さを感じる。

全体的に2010や2011と比較すると、かなり強い酒質に仕上げている印象を受けます。色も濃く、いわゆるシャンボール的な淡い色合いでは無いと感じました。その分ボンヌマールもミュジニーもこれまで以上に長期熟成に適していて、おまけに言うのであれば若い内にはかなーりキツイ当たりをかましてくれます。
まあここはヴォギュエのいつもの事ではあるんですが、殊更この2012年はそう思いますね...ますます開けどころが予想つかない。おそろしいツンツンツンデレワインですね...過去一度もデレは見たことないですが。90年でもデレないってどういうことだよ...



【ブルゴーニュ: 105】熟成を考える(フランス ブルゴーニュ地方 ピノノワール)

こんにちは、HKOです。
本日はブルゴーニュの古酒2種類です。
1本は既に引退してしまった伝説的なドメーヌ、ショパン グロフィエの村名ヴージョ。そしてもう1本はムルソー最高の生産者コント ラフォンのルネ時代のムルソー ペリエールです。妙に豪華な2本です。


【データ】
説明不要かもしれませんが、コントラフォンはムルソーに拠点を置くドメーヌで、ブルゴーニュ、世界の生産者の中で常にルフレーヴ、コシュデュリと共にトップドメーヌとして語られる、シャルドネのスペシャリストです。
栽培醸造に関しては全ての畑でビオディナミを実践し、収量を25-40hl/haにまで落とし栽培を行う。収穫後2回の選定を行った上で圧搾、その後ステンレスタンクでデブルバージュ。新樽と旧樽へ移し低めの温度でアルコール発酵。
マロラクティック発酵を行いながら最大40%の新樽比率で21ヶ月の熟成を経て、無濾過、無清張で瓶詰めを行っています。
赤は除梗後、ステンレスタンクで6日間程度の低温浸漬。20日程度でアルコール発酵後圧搾。ピジャージュは最後の10日間のみ1日2回ピジャージュを行う。新樽比率は30%程度で18ヶ月から20ヶ月の熟成を経て瓶詰めされます。
コントラフォンの旗艦銘柄は特級モンラッシェ、ムルソー ペリエール、ジュヴヌヴィエール、シャルム。どの銘柄も人気が高く、上位銘柄は 価格も併せなかなか入手しづらいのが現状です。

ダニエル ショパン グロフィエはプレモーに拠点を置く、ブルゴーニュにおける伝説的な生産者。一般的に最もアンリ ジャイエに近い味わいを持つ生産者と言われながら、既に1997年に引退しています。
フラッグシップのクロ ヴージョ含む10haの畑を保有。
後継者はショーヴネ ショパンですが、大きくスタイルを変更しています。ポートフォリオはヴージョ、クロ ヴージョ、シャンボール ミュジニー、オート コート ド ニュイ。
70%を除梗(カビが発生した際は100%除梗)し、3~4日低温浸漬。仕込み期間は3週間。新樽比率は50%で18ヶ月熟成。当時の樹齢は50~60年。村名シャンボールも同様。今回の1996ヴージョはショパン グロフィエのラストヴィンテージ。


【テイスティングコメント】
生産者: ドメーヌ ショパン グロフィエ
銘柄: ヴージョ 1996

63000円、WA88-90pt
外観は橙色に近いルビー、粘性は低い。
変に動物的な要素は無く、クリーンで洗練された古酒。熟成感はしっかりと出ている。
土や枯葉、腐葉土と僅かに焼いた帆立の様なロースト香、黒オリーブや梅、ブルーベリーのドライジャム。エキス感を感じるピノノワール。椎茸、薫製肉や血の様な香り、ドライハーブ。トリュフ。
紅茶、クローヴなどのスパイス的な要素。
旨味の余韻がとんでもなく素晴らしい。
土や腐葉土の香りと共に椎茸の吸い物の様な潤沢な旨味を強く感じられる。酸はしなやかで繊細。きめ細やかで、タンニンも非常に目が細かい。素晴らしく余韻が長い。少しトースティー。


生産者: コント ラフォン
銘柄: ムルソー プルミエクリュ レ ペリエール 1980

約90000円
外観は黄金に近いイエロー、粘性は高い。
未だ石を砕いた様なミネラル感が残存している。
やはりミネラル感が充実しているペリエールは塩気が出てくるのか、以前飲んだ1980年代後半のジュヴヌヴィエールとは全く異なるスタイルになっている。
ナッツやドライシェリーを思わせる塩気と凝縮した恐ろしい程の旨味の中で、エシレバターの様な豊満な風味、濡れた木材や土、ネクタリンや花梨の様な凝縮した果実味がひしめいている。ほのかに感じるドライハーブ、シャンピニオンの要素が感じられる。一見極めて堅牢な印象ながら、少しずつ開いてきそうな雰囲気は醸し出している。徐々にカラメルのような要素も現れてくる。
香りの旨味を感じさせる香りは爆発的だが、口に含んだ時の酸と塩味はかなりエレガントの様に思える。引っ掛かりがなく、スムーズ。ナッツやネクタリン、エシレバター、木材の様な余韻。すっぽ抜けた様な感じはなくて、ちゃんとボディを維持している。


【所感】
まずはショパン グロフィエ。
恐ろしいほどにエレガントでしなやかな古酒です。
古酒にありがちな動物的な要素はなく、クリーンな印象を受けるワインです。例えば土や枯葉、そしてホタテの要素に、黒オリーブや梅の様な塩気、ブルーベリージャムの様な果実味が混じり合います。低温浸漬の影響は鉄分を思わせる香りになっています。
適度な抽出と樽の効果か、熟成を経て各個の要素がバランス良く配されている。酸も緻密で繊細。きめ細やかで非常にエレガントな味わいを感じさせます。
本当に絶妙なバランスの上に成り立った味わいで、果実味がほのかに残るのが素晴らしいですね。
これが村名ヴージョっていうのだから凄いですね。
もしショパン グロフィエが本当にアンリジャイエに近いのであれば、「ああ、納得」と言った感じがします。まあアンリジャイエ飲んだ事ないんすけどね。

次はコントラフォンのペリエール。
今回の1980年ヴィンテージは現当主のドミニクラフォンの先代であるルネ ラフォンが作った1本です。
だからか知りませんが、なかなか1980年代前半のバックヴィンテージがなかなか出てきません。
今回飲めたのは結構ラッキーでしたね。
ペリエールを飲んでみて思ったのは、熟成の到達点として同じくラフォンのジュヌヴリエール1989と結構違う点です。それはテロワールによるものなのか、醸造によるものなのかは分かりませんが、丸みを帯びたクリームブリュレの様な風合いを感じたジュヌヴリエールとは全く異なり、酸化的で塩気を感じさせる古酒となっています。香ばしいローストナッツやドライシェリー、エシレバターなどの風味とともに土や木材、強烈な旨味を感じさせる花梨やネクタリン、シャンピニオンの風味が感じられます。ある種ムルソーの典型を別の形で表現した様なそんな感じ。
これは先日飲んだアルベール グリヴォーのムルソーペリエール1997と概ね方向性は近い味わいで、やはりペリエールのミネラルと強固さの表現方法としてはこんな感じなのかな、と。あと似た感じというなら、ルイジャドのムルソーシャルム2002も酸化的でしたね。
やはりテロワールによるものなのだろうか...謎は残る。味わいとしては最高でした。香りは爆発的で、酸やボディもしっかりと維持されています。
申し分ない古酒だったと思います。

以上、ブルゴーニュ古酒でした。




【ローヌ:18】熟成を考える(フランス ローヌ地方 マルサンヌ・ルーサンヌ)

こんにちは、HKOです。
本日はジャン ルイ シャーヴのエルミタージュ ブランの古酒です。全くもって素晴らしいマルサンヌ・ルーサンヌでした。


【データ】
ジャン ルイ シャーヴをエルミタージュ最高の生産者と呼ぶ事に異論が出ることは無いでしょう。シャーヴのエルミタージュルージュは9つのリューディから成り(その中にはシャプティエのレルミット、ドゥラスのベッサールも含まれています)基本的に単一畑で醸造することは無いようです。シャーヴの芸術的な所はそれらの個性のブレンド技術に起因するものだと言われています。これらはまさにローヌ北部のトップワインと言って差し支え無いだけに値段も高く、それでも引く手数多なので入手しにくいのが現状です。生産本数は30000本程度、平均樹齢は60年程度。収穫された葡萄は10%新樽で1年間熟成させたのちに、大樽に移し替えさらに18~24ヶ月の熟成をかさねてから瓶詰めし、最低12ヶ月は瓶熟してから出荷されている。
ちなみに最良ヴィンテージのベッサールは100%新樽でひと樽のみ熟成されキュヴェ カトランという名前でリリースされている。
今回のブランは新樽で2年熟成させた後に出荷されるマルサンヌ・ルーサンヌです。



【テイスティングコメント】
生産者: ジャン ルイ シャーヴ
銘柄: エルミタージュ ブラン 1987
品種: マルサンヌ80%、ルーサンヌ20%

約40000円、WA87pt
外観はやや濃いめのストローイエロー、粘性は中庸。
熟成を経て、なお強固なボディ。ナッツを感じさせる出汁系ローヌブレンド。塩を振ったローストナッツ、ドライハーブ、そしてネクタリンや熟した赤リンゴ、ほのかにバタークリーム、カマンベール的な要素もある。白い花や杏仁豆腐のニュアンスもあり複雑。
モカの様なロースト香、濡れた木材の様な風味。徐々にカラメルのような風味も。
ボディは厚みがあり酸、果実味、旨味は充実。わずかに苦味を感じるものの、余韻に至るまでかなり高いレベルを維持していると思う。



【所感】
ジャン ルイ シャーヴのエルミタージュ ブランです。
先ほども記載した通り、素晴らしい古酒でした。
さすがに80年代だけに熟成のニュアンスが支配的です、塩気を感じるローストナッツや木材、モカ、カマンベールの様な香りが感じられます。ただネクタリンや熟したリンゴを思わせる果実味と旨味がしっかりと残っており、樽香が徐々に果実の甘露な風味と絡みつきカラメルの様な風味もあらわれてきます。熟成により様々な要素を受け止め複雑な香りを放っています。
しっかりとボティと厚みがあります。MLFの要素も残ってますね。
このタイミングなのにすごいいいバランスですね...!
ともすれば今が飲み頃かもしれません。
あまりマルサンヌとルーサンヌの熟成はあまり飲んだ事はないのですが、極めて熟成ポテンシャル高いですね。シャーヴだけかもしれませんが...!
強靭だったブラン2009年から見ると、順当な熟成かもしれないですね。



【アルザス・ロワール: 9】熟成を考える(フランス ロワール地方 ゲヴェルツトラミネール)

こんにちは、HKOです。
本日はアルザスの熟成ゲヴェルツトラミネールです。
リースリングは結構飲む機会があるのですが、ゲヴェルツトラミネールの熟成は稀です。
楽しませてもらいました...


【データ】
トリンパックはアルザスに1626年に設立された老舗ドメーヌ、現在の名声を確立したのは9代目フレデリックエミール時代。(現在は12代目)
45haの自社畑の1/3は特級畑、すべて有機栽培を実践しております。
今回のキュヴェ セニョール ド リボピエールは良年のみに作られる辛口ゲヴェルツトラミネールよ最上キュヴェです。全体のフラッグシップは白ラベルのクロ サンテューヌ、ヴァンダンジュ タルティヴ、セレクション グランノーブルがあります。
上位キュヴェとして金ラベルが、そしてネゴスラベルとして黄ラベルがあります。


【テイスティングコメント】
生産者: トリンパック
銘柄: セニョール ド リボピエール ゲヴェルツトラミネール 1985
品種: ゲヴェルツトラミネール100%

約20000円、WA88pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
比較的クリーンで少し残糖を残した様な香りを感じるゲヴェルツトラミネール。極めて若々しく、ゲヴェルツでありながらリースリングを思わせる香りを含んでいる。
ミネラル感が際立っており、引き締まったペトロール香がある。そして酸味が豊かなカリンやパイナップルなどの果実味、カマンベールの様な香り。バタークリームやイースト、そしてシロップやハチミツの様な甘み、ムスクのような風味が感じられる。
酸は繊細で、カマンベールの様な強い余韻を感じる。
余韻は長くパワフル。


【所感】
恐ろしく若いゲヴェルツトラミネールです。
以前少し熟成した2002年のフレデリック エミールを飲んだ時に、「こちらも若いな」と思いながらも、「きっとそもそもリースリングやゲヴェルツトラミネールはミネラル感しっかりとしているし長熟なのだろう」で済ませてしまっていたのですが、ほぼほぼ30年を経過しているヴィンテージがここまで若々しいというのは驚愕です。
ハチミツやカマンベールを思わせる熟成香はあるものの、まだまだボディは健在、若いヴィンテージは飲んだ事がないのですが、果たして如何程堅牢であったのか。恐ろしいワインです。
この原因は全くわからないんです。
ミネラルが乗っているのでボティがしっかりしているのはわかる。ただ熟成香があまり出てこないのは何故なのか。貴腐っぽいニュアンスが少しあるので、それかしら...アンチエイジングの達人だな...
シャルドネやセミヨン、ソーヴィニヨンブラン、マルサンヌ、ルーサンヌやヴィオニエの常識はちょっと通用しなさそうなワインですね...



【ワシントン: 35】熟成を考える(アメリカ ワシントン州 カベルネソーヴィニヨン)

こんにちは、HKOです。
前回に引き続き、本日も熟成レポートです。
今回は別名ワシントンのハーランエステートと呼ばれるクイルシーダクリークの熟成カベルネソーヴィニヨンです。


【データ】
クィルシーダクリークはワシントンワインの第一人者アレックス ガリツィンが監修する、ワシントン最上の生産者。
別名ワシントンのハーランエステート。
1979年に本格的にリリースをスタートした。カリフォルニアやオレゴン州の北、シアトルの北方スノーボッシュにワイナリーがある。ワシントン州コロンビアヴァレー地区のシャンプー、レッドマウンテンA.V.Aのクリプスン、シエル デュ シュヴァル、タプティユのカベルネソーヴィニヨンを使用。フレンチオーク新樽100%の22ヶ月熟成にてリリースされる。


【テイスティングコメント】
生産者: クイルシーダクリーク
銘柄: カベルネソーヴィニヨン 1994
品種: カベルネソーヴィニヨン91%、メルロー7%、カベルネフラン2%

30000円、WA94pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
樽に起因する黒土の様な堅牢さや抽出の強さは全く感じられない。
ドライハーブやクローヴ、ジャムの様なプラムやブラックベリーの充実した果実味、モカや炭焼きの様なほのかな樽香、土も枯葉、バニラの様な要素がある。
シナモン、ムスク、生肉、クローヴの様な要素がある。タバコやトリュフの様な要素、トースト、アーモンドなとの香りを感じられる。チョコレートの様な風味が感じられる。
酸味やタンニンは滑らかでスムーズ、タンニンの目が細かく、ピーマンぽさと土や枯葉、ジャミーな果実味の余韻が感じられる。素晴らしい。


【所感】
素晴らしいカベルネソーヴィニヨンでした。
いわゆる熟成的なニュアンスこそ控えめではあるものの、各々の熟成要素が綺麗に絡み合い、溶け込んでいる、極めて馴染んだ状態になっています。
クイルシーダクリーク自体は甘露できめ細やかな味わいがありつつも、どこか黒土の様な硬さを一部感じるところはありましたが、そういった意味合いでいうと、樽のニュアンスは枯葉や土、バニラを思わせる風味に変わっています。ただ依然果実味は若々しく甘露で、溌剌としていますから大変若々しく感じるのですが、同時にしなやかで硬さがない、若い状態における良いタイミングと言えるのではないでしょうか。
噂によると現在は醸造方法がかなり変わっているので、一概には言えないのですが...
完全にワシントンの風を感じながらボルドーの品の良さを併せ持っている素晴らしいカベルネソーヴィニヨンだったと思います。そして、熟成のポテンシャルは酸とタンニンからいくと抜群にありますので、これから熟成香と果実味のフェーズ、旨味のフェーズと楽しんでいけるのではないかと思います。




【NZ オーストラリア: 16】熟成を考える(オーストラリア ヴィクトリア州 ソーヴィニヨンブラン・セミヨン)

こんにちは、HKOです。
本日から新世界、旧世界問わず幾つか古酒を取り扱っていきます。
まずはオーストラリアのヤライエリング。少しレアなドライホワイトNo1からです。


【データ】
ヤラ イエリングは1970年代にDr.ベイリー カローダスによってヤラヴァレーに設立されたワイナリー。
カローダスはメルボルン大学で樹木生態学を、ローズワーシー大学でワイン醸造学を学んだ後、ヤラヴァレーにあるは12haの畑を購入。ヤライエリングを立ち上げます。
畑は北向き斜面で灰色の粘土質土壌に多くの砂利が混じる水はけと保水力のバランスが良い畑で現在はカベルネ ソーヴィニヨン、マルベック、メルロ、カベルネ フラン、シラーズ、ピノ ノワール、セミヨン、シャルドネ、ソーヴィニヨン ブラン、マルサンヌ、ヴィオニエ、プティ ヴェルド、ムルヴェードルが植樹されています。発酵槽は1m四方の木箱の内側にステンレス板を張ったオリジナルなもの。
ちなみにNo1はボルドーブレンド、No2はローヌブレンド、No3はポートソーツと同じポートワインの品種を使っている様子。

【テイスティングコメント】
生産者: ヤラ イエリング
銘柄: ドライ ホワイト ワイン No. 1 1998
品種: セミヨン、ソーヴィニヨンブラン

約10000円
外観は濃いイエローで、粘性は高い。
バタークリームに花の蜜が溶け込んだ様な品の良い感じさせるセミヨン。グラーヴ地区の最上級クラスのセミヨンに近い。高密度で暑さを感じさせる訳ではなく、冷涼さがある。出汁や石の様なミネラル感がある。バニラ。洋梨、白桃のシロップ漬け。わずかにブランデー。ドライハーブ、カマンベール的な要素が感じられる。
ボディはかなり柔らかで酸味は穏やかで繊細。少し立体感に欠け平べったい。旨味はしっかりと出ている。
リンゴやバタークリームの要素が感じられる。


【所感】
ボルドー左岸スタイルのドライセミヨンです。
いわゆるグラーヴのグランクリュ白を想起させる樽のニュアンスがしっかりと効いたセミヨン&ソーヴィニヨンブラン。白粉のニュアンスがまさにそういった感じ。ボルドー左岸の白と大きなスタイルの違いはなく、以前飲んだラヴィル オーブリオン ブラン古酒に特徴がよく似ています。
一見シャルドネに近いオーキーな風味が感じられますね。しっかりとMLFされているのと、熟成を経たことによって、ボディが少し抜けており、多少平面的な印象を受けます。やや残念ですが、オーストラリアとしては小柄でエレガンスを感じさせるのがいいですね。価格帯もボルドー左岸白ほど高額ではないですし、なかなか良いと思います。ボディを考えると熟成としては良いところだと思います。




【シャンパーニュ:44】ビルカール サルモン モノセパージュ(白)

こんにちは、HKOです。
ビルカールサルモンレポート、最後はモノセパージュの2本です。
グランクリュ ブラン ド ブラン、そしてビルカール サルモン最高の単一セパージュ、単一畑「レ クロ サン ティレール」です。


【データ】
ビルカール サルモンは1818年にニコラ フランソワ ビルカールとエリザベス サルモンによって設立されたメゾン。
ワインの葡萄は10haの自社畑(ピノノワールのみ)、30haの35の自社以外の畑、140haの契約農家の畑から産出されています。(ピノノワール、シャルドネはモンターニュ ド ランス地区とコート ド ブラン地区、ピノムニエはヴァレ ド ラ マルヌ地区から作られています。)
自社畑から作られるピノ ノワールはマレイユ シュール アイ村と特級のアンボネイ村産で収量は40~45ha/L程度。ノンヴィンテージのリザーブワイン比率は40%。
ブラン ド ブランはグランクリュ100%。アヴィズ、メニル シュール オジェ、クラマンの葡萄を使用。
フラッグシップのクロ サン ティレールはマレイユ シュール アイの単一畑クロ サン ティレール(1ha)のピノノワール100%。平均樹齢50年程度。生産本数は3500本程度。ノンドサージュ。


【テイスティングコメント】
生産者: ビルカール サルモン
銘柄: ブリュット グランクリュ ブラン ド ブラン NV
品種: シャルドネ100%

約11000円、WA90pt
透明に近いストローイエロー、粘性は中庸。
バタートーストやブリオッシュ、白い花、その蜜の様な果実味があり、瑞々しいリンゴや洋梨の様な果実味が感じられる。ほのかにナッツの要素があり、フレッシュハーブが感じられる。ピノノワールのワイルドな旨味は影を潜め、極めてシルキーで繊細。上質なシャルドネを飲んでいるような感覚。香りは拡散的で、ブリオッシュやリンゴ、ハーブのクリーンな風味が広がっていく。
酸はフレッシュで若々しく、旨味は大変スムーズ。旨味にインパクトは少ないが、極めて綺麗な酸がある。リンゴやハーブ、バターのような余韻が感じられる。


生産者: ビルカール サルモン
銘柄: レ クロ サン ティレール ブラン ド ノワール 1996
品種: ピノノワール100%

約70000円、WA96pt
やや濃いめのストローイエロー、粘性は高い。
芯の通ったミネラル感があるが、どちらかというと強烈無比な旨味が目を引く。ある種、ブラン ド ブラン、そしてエリザベス サルモンとは好対照だ。
香りからして強烈な濃密さと凝縮感を包含している。僅かに塩味を感じさせるクリームブリュレあるいはカスタード。時間経過とともに強いカラメルやブランデーの様な余韻を残していく。
バタークリームやバニラの要素と濃密な出汁の様な酸化的な旨味が共存している。ハチミツやネクタリン、熟したリンゴのような僅かに塩味を帯びた果実味。控えめではあるもののローストナッツの要素やドライハーブなどの要素が感じられる。重厚で充実した香りと圧倒的なボティを持っている。
酸味は穏やかだが、その分群を抜いた旨味がある。
他のキュヴェとは比較にならない旨味。
ネクタリンを思わせる高濃度で高密度で力強い余韻があり、そこに樹皮やナッツ、バターを感じさせる長い余韻がある。素晴らしい。


【所感】
ついに!クロ サン ティレールを飲めました!
想像していたよりずっと良くて感動...と共に若いタイミングで飲んではいけないボトルだな...とも思いました。早く感想を書きたいのですが、まずはブラン ド ブランから。
もちろんティレールと比較すると分が悪いのは間違いないのですが、それはやむなしで。
ただ一般的なブラン ド ブランとして考えても非常によく出来ています。アヴィズ、メニル シュール オジェ、クラマンのシャルドネで各々の個性がよく出ています。アヴィズやクラマンの果実味をメニルのミネラル感で引き締めている。全体的にはエリザベスサルモンに通じる様な繊細さを秘めたブラン ド ブランです。
MLF起因のふくよかさと核種系果実の凝縮した蜜の様な味わい、樽起因のナッツの様な風味、フレッシュハーブが感じられ、それらが拡散的に広がって非常にクリアな余韻を残していきます。炸裂するような旨味は無く、酸の美しさとシルキーさが魅力的です。堅牢さとは無縁のしなやかなシャンパーニュになっています。
さて、クロ サン ティレールです。
クロ サン ティレールは熟成したドンペリニヨンのリッチさと熟成サロンの背筋の張った緊張感、ヴィエイユヴィーニュ フランセーズの旨味と凝縮感を全て持ったシャンパーニュといえばわかりやすいでしょうか。
キャッチーな側面がありながら張り詰めたような緊張感と内に秘めたエネルギーの大きさを併せ持ったアンビバレンスな魅力に満ちたシャンパーニュです。
完璧というにはアグレッシブで、過不足というには全ての要素が揃いすぎている。
例えるならばアンバランスの黄金比、魅力的な偶発的に取られた調和。エリザベスサルモンやブラン ド ブランと好対照を成す不確定要素を孕んだエネルギーの奔流。そこにあるのは強烈無比な印象。
ブランデーやクリームブリュレ、そして塩気を帯びた果実味、凝縮感のある旨味、ハチミツ、出汁の様な要素。暴走する個性が熟成のニュアンスを帯びて多くの要素が我先にと主張する。押さえつけるべきミネラル感はそれらの主張を静観し、それでいて個々の要素の調和が取られている。抽象的な物言いですが、比較的的を得ているのではないかと思います。
素晴らしいシャンパーニュです。熟成シャンパーニュの魅力全てをこの一本で体現している。
恐ろしいワインです。価格的には安価にすら思えます。一度は飲むべきシャンパーニュだと思います。

さて、これでビルカールサルモンの全ポートフォリオとなります。
個人的にはクロ サン ティレールは別格として、繊細な魅力が感じられるエリザベス サルモンとブラン ドブランの良さが際立っている様に感じました。コストパフォーマンスはニコラ フランソワ ビルカールが随一ですが、これらのシャンパーニュと比べると、少し通常のフラッグシップに寄った作りかな、と思います。
値付けはポートフォリオごとに妥当ですが、ビルカールサルモンの恐ろしさがわかるのはこの3本だと思います(多少ブラン ド ブラン贔屓ではありますが)
改めてビルカールサルモンのファンでよかったな、と感じますね。物凄いワインたちでした。



【シャンパーニュ:43】ビルカール サルモン セパージュ(ロゼ)

こんにちは、HKOです。
先日に引き続きビルカール サルモンです。
本日はロゼにスポットを当てています、ブリュットロゼのテイスティングコメントはノンヴィンテージの為差し控えますが(まとめから検索頂ければと思います)、どうぞご容赦くださいませ。

では行ってみましょう。ロゼのフラッグシップ、キュヴェ エリザベス サルモンです。


【データ】
ビルカール サルモンは1818年にニコラ フランソワ ビルカールとエリザベス サルモンによって設立されたメゾン。
ワインの葡萄は10haの自社畑(ピノノワールのみ)、30haの35の自社以外の畑、140haの契約農家の畑から産出されています。(ピノノワール、シャルドネはモンターニュ ド ランス地区とコート ド ブラン地区、ピノムニエはヴァレ ド ラ マルヌ地区から作られています。)
自社畑から作られるピノ ノワールはマレイユ シュール アイ村と特級のアンボネイ村産で収量は40~45ha/L程度。ノンヴィンテージのリザーブワイン比率は40%。
キュヴェ エリザベス サルモンも良年のみ作られるロゼで最上のピノノワールおよびシャルドネで構成。10%の赤ワインが加えられています。


【テイスティングコメント】
生産者: ビルカール サルモン
銘柄: キュヴェ エリザベス サルモン 2002
品種: ピノノワール50%、シャルドネ50%

約29000円、WA93ot(2000)
淡いピンク、粘性は中庸。
驚愕の凄まじいロゼ。
バニラやハチミツ、ブリオッシュなどの豊満な要素と瑞々しいフランボワーズやストロベリーのコンポート、出汁の様な旨味が共存している。それらにクリーミーなバターの様な要素が絡み合い赤系果実のケーキの様な風味が感じられる。フレッシュハーブやほのかにスミレの様な要素、シナモンやビスケットなどの要素も。徐々にロースト的なワッフルを思わせる風味もある。
ロゼに対してより強い果実味とはっきりとしたMLF M、それに瑞々しさが加わっている。屈託の無いピュアな果実味がある。
旨味の表出が無印に比べて非常に高く、口の中で広く広がっていく、ロゼはどっしりとした口の中での膨らみがあるが、それらを凝縮させているかのような濃密かつ繊細な赤系ベリーを感じさせるピュアな風味が口の中に広がっていく。緻密。


【所感】

ブリュット ロゼがグリニッシュで、クリーン、そして瑞々しく果実味、どっしりとした旨味があるのに対して、よりエリザベス サルモンは繊細で緻密、そして過不足の無い完璧なロゼシャンパーニュと言える。
ともすればブリュットロゼの方が大柄だが、広がる規模感はエリザベス サルモンが圧倒的だ。
それは要素が複雑であり、それらが極めて緻密に凝縮されている点に尽きる。これほどまでに緻密という言葉が似合うシャンパーニュはなかなかないかもしれない。ふくよかなMLFや樽の要素と赤系果実の蜜を濃縮した様な果実味、瑞々しさ、スミレの華やかさがが見事に補完しあっている。それでいて受ける印象は恐ろしいくらいにクリア。グリニッシュさは殆ど感じられず、フレッシュハーブの要素はごくわずかにしか感じられない。
香りの完全性もさる事ながら、口の中に含んだ時の感覚も極めて素晴らしい。旨味の鮮烈さこそ影を潜めているが、水面の波紋の様に静かに広がっていく余韻と旨味が素晴らしい。まさに凝縮されている。
全てにおいて静的で、それでいて明確なワインであるとおもう。
ロゼはブリュットとエリザベス サルモンの差がかなり大きい印象。恐ろしいワインだ...。一体どこの畑のものなのだろうか。
いや、ビルカールサルモンのクロ サン ティレールを見るにグランクリュ、プルミエクリュの差はこの際考慮から外していいのだろう。当初の取引額を示した基準でしかないのだから。




【シャンパーニュ: 42】ビルカール サルモン セパージュ(白)

こんにちは、HKOです。
本日より2回にかけてビルカールサルモンのテイスティングレポートをさせていただきます。

ブリュットレゼルヴ、エクストラブリュット、ブリュット ロゼは既にレポート済みなので、そちらをご参照くださいませ。

今回はスタンダードの延長上にある2本、スー ボワ、そしてフラッグシップのキュヴェ ニコラ フランソワ ビルカールの2種類です。


【データ】
ビルカール サルモンは1818年にニコラ フランソワ ビルカールとエリザベス サルモンによって設立されたメゾン。
ワインの葡萄は10haの自社畑(ピノノワールのみ)、30haの35の自社以外の畑、140haの契約農家の畑から産出されています。(ピノノワール、シャルドネはモンターニュ ド ランス地区とコート ド ブラン地区、ピノムニエはヴァレ ド ラ マルヌ地区から作られています。)
自社畑から作られるピノ ノワールはマレイユ シュール アイ村と特級のアンボネイ村産で収量は40~45ha/L程度。ノンヴィンテージのリザーブワイン比率は40%。
スーボワは醸造工程において発酵、熟成を樽で行ったものです。
キュヴェ ニコラ フランソワ ビルカールは良年のみ生産され、シャルドネはコート ド ブラン地区、ピノ ノワールはモンターニュ ド ランス地区の特級畑100%を使用。
醸造はブルゴーニュのバリック樽で行い、コールド スタビライゼーション方式を採用、作られたワインは白亜質の天然セラーで12度の温度で寝かせられています。ヴィンテージは10年間、ノンヴィンテージは3年程度瓶内熟成を経て出荷されます。


【テイスティングコメント】
生産者: ビルカール サルモン
銘柄: ブリュット スー ボワ NV
品種: ピノムニエ、ピノノワール、シャルドネ1/3ずつ

約12000円
透明に近いストローイエロー、粘性は中庸。
木製樽で発酵、熟成させたものだが、強烈な樽香や酸化的な処理がなされている訳ではなく、あくまでクリーンさと果実味をベースに据えながら、ハーブや自然の樹皮、後にビスケットやバニラを感じさせる樽香が前に出ている。そして熟したリンゴや洋梨の様な果実味、ほのかな塩気を纏うナッツを思わせる酸化的な要素が感じられる。従ってブリオッシュというより、エシレバターに近いMLFの要素。白い花の様な要素が感じられる。先述した通り徐々にクリスピーなビスケットやバニラ、ハーブを包含した甘い香りが出てくる。蜜の様な果実味。
口に含むとはっきりとした樹皮の要素とピノを感じさせるはっきりとした旨味、層の厚い旨味を感じる事が出来る。ワイルドな酸で、ナッツやエシレバター、リンゴの長い余韻を感じることができる。


生産者: ビルカール サルモン
銘柄: キュヴェ ニコラ フランソワ ビルカール 1999
品種: ピノノワール60%、シャルドネ40%

約19000円、WA94pt(1998)
透明に近いストローイエロー、粘性は中庸。
既にクリームブリュレに近い香りが漂っている。ピークに近いかもしれない。酸化的な部分は控えめで、バタークリームやバニラの要素、そして品の良いしっかりと熟した白桃や洋梨の果実味が感じられる。ビルカールサルモン共通の澄んだ蜜を思わせる果実味。ローストナッツやドライハーブ、白い花の様な香りが感じられる。酸にブラン ド ブランにも見られた繊細さがあるが、香りの力強い立ち方はピノノワールらしさを見せる。全体的にはリッチさを感じるが、奥底にはぶどう品種に起因する力強さを感じさせる。
目は少し粗めだが、酸は繊細。ただ十分に他のシャンパーニュと比べるとスムーズ。十分なリンゴやハーブ、ナッツの旨味と余韻が感じられる。


【所感】
ビルカールサルモンのポートフォリオとしては下記の通りとなっています。

1: セパージュ(ブラン)
ブリュットレゼルヴ(スタンダード)
エクストラブリュット(ノンドゼ+スタンダードより熟成期間が1年長い)
スー ボワ(樽発酵、樽熟成)
キュヴェ ニコラ フランソワ ビルカール(フラッグシップ)

2: セパージュ(ロゼ)
ブリュット ロゼ(スタンダード)
キュヴェ エリザベス サルモン(フラッグシップ)

3:モノセパージュ
ブラン ド ブラン(シャルドネ単一)
クロ サン ティレール(単一畑、ピノノワール単一)

今回は1:セパージュ(白)を書いていきます。


まず前提としてブリュットレゼルヴとエクストラブリュットは熟成期間とノンドゼの違いですが、熟成期間よりノンドゼのドライさの方が差分としてしっかりと感じられました。舌に残る余韻が鋭く、キレ味があります。スパークリングウォーターを飲んだ時のアタックに近いです。熟成期間については、やや長めなだけ、エクストラブリュットの方が香りは甘い様な気がしますね。MLFが進んでるからでしょうか。
さて、次にブリュット スー ボワです。「森の下草」の名前を冠した樽発酵、樽熟成を経たシャンパーニュ。考え方はアルゴンヌに近いでしょうか。
ただし、ベースはビルカールサルモン、確かにフラッグシップを除くキュヴェの中ではかなり樽の香りを感じさせますが、強くローストした様なモカやコーヒー、あるいはローストナッツの様な香りは、あまり感じられません。また他のノンヴィンテージのキュヴェと比べて熟成感があるので、ひょっとしたら旧樽を使用しているのかもしれません、あるいは焼きの浅い樽材か。骨子はクリーンで蜜のような香りを感じさせます。バニラやビスケット、そして酸化的な影響を受けてかエシレバターの様な塩気を感じさせます。それらの樽の要素に加えハーブなどの風味を感じさせます。
旨味に厚みもあるし、フラッグシップを思わせるリッチな作りになっています。
ちなみにセパージュは3分の1ずつですが、熟成感がありピノの特性がよく出ている様に感じました。

次はキュヴェ ニコラ フランソワ ビルカール。
去年飲んだ2002年も良かったですが、更に熟成が進んだ1999もかなり良いです。セパージュはピノとシャルドネ。両方の良さを引き出しています。
2002は溌剌とした若々しさがあり、ある種ブリュットレゼルヴの延長線上にあるシャンパーニュでしたが、円熟するにつれてより完成度が増しています。
ピークのスタートとも言えるクリームブリュレを思わせるクリスピーで甘い香りをベースにして、白桃や洋梨を思わせる品の良い果実味に満ちています。そこに白い花やドライハーブの複雑さが加わっていきます。
他のフラッグシップ群と比較すると酸の目の荒さを感じますが、他のシャンパーニュと比較すると圧倒的にスムーズで余韻も長いと思います。
香りの立ち方もしっかりとしていますし、価格を考えると非常に良くできていると思います。他のメゾンなら3万は固い出来だと思います。

以上サルモンのセパージュの白のテイスティングレポートでした。これら全てが2万円に届かないっていうのはすごいですね。他のが高すぎる、という見方もありますが。次回はロゼとなります。




【焼酎: 5】山ねこ

こんにちは、HKOです。
久方ぶりに焼酎を一本空けましたのでレポートします。ちなみにセンスの良い弟から貰いました。
ナイスチョイス!


【データ】
尾鈴山蒸留所は宮崎県児湯群に拠点を置く黒木本店の別蔵。品種は自家農園で作られた宮崎産ヒノヒカリ、麹はすべて箱麹でつくられ、木桶で仕込。2年間の貯蔵、熟成。仕込み水は尾鈴山の湧き水を使用。


【テイスティングコメント】
生産者: 尾鈴山蒸留所
銘柄: 尾鈴山 山ねこ

非常に香り高い芋焼酎。はっきりと蒸した薩摩芋の香りが感じられる。ベタ甘い感じではなくて、自然な蜜のような甘さ。スイートポテト。出汁やほのかな白胡椒の風味、マッシュルーム、しっかりとしたミネラル感がある。鼻に抜ける芋と華やかな香りが素晴らしい。手には入りにくいが、値段も安く非常にレベルの高い芋焼酎。


【所感】
しっかりとした芋感があります。
佐藤とかと近いタイプでアルコール臭よりも芋の豊満な香りが際立つ一本です。ある種洗練の極みみたいな魔王や森伊蔵とは異なる、村尾タイプとでもいうタイプでしょうかね。
いい焼酎だと思います。
本数を買ってデイリーユース、というのもいいですね。

尾鈴山(黒木本店) 山ねこ 25度 1800ml

尾鈴山(黒木本店) 山ねこ 25度 1800ml
価格:2,900円(税込、送料別)

【ブルゴーニュ: 104】ブルゴーニュ シャトー デ デュック、スー ル ピュイ、コトー ブルギニヨンを利く

こんにちは、HKOです。
本日はブルゴーニュ、無作為に3種類です。
飲んだことの無い生産者、あるいはキュヴェを選んでいます。


【データ】
プリューレロックはDRCの共同経営者アンリ フレドリック ロックが運営する個人ドメーヌです。とても偉大な生産者で唯一無二のアンリ節を感じさせる個性的なワイン群にはファンが多いです。栽培はビオロジックで、除梗はせず房ごと木樽にて発酵、ピジャージュは人の手にて、アルコール強化の補糖は一切せず、コルヴェは新樽100%で20ヶ月熟成、スショは新樽50%と1年樽併用で18ヶ月の熟成となります。
今回のコトー ブルギニヨンは2011年に制定されたAOCでブルゴーニュ地域の複数の品種を併用する事が出来るACブルゴーニュの下位AOCとなります。(このキュヴェは100%ガメイ)
ヴォーヌロマネのすぐ東にあるグレピニー ポンセという僅か0.27ヘクタールの区画のぶどうを使用しています。平均樹齢は60年程度。

ミシェル ラファルジュの源流は19世紀の初めからヴォルネイに続くジヨット家のドメーヌであり、娘のマリーがマコネ出身のアンリ ラファルジュと結婚し現在の姿になった。ドメーヌ元詰めは1934年から開始。
現在はミシェル ラファルジュを当主とし、実際の栽培醸造は息子のフレデリックが取り仕切る。作付け面積は12haでヴォルネイに1級畑のクロ デュ シャトー デ デュック(単独所有)、クロ デ シェーヌ、カイユレ、ミタンを所有しています。
栽培は2000年から完全ビオディナミ。100%除梗.低温マセレーションは意識的に行うことはせず、14~18時間の発酵。初期はルモンタージュを行い、後に日に1回のピジャージュに切り替える。新樽比率は15%程度。

ヴェルジェは1990年にマコネ地区のジャン マリー ギュファン(=ギュファン エナン)が設立したネゴシアン部門。拠点はマコネ地区ソロニーに醸造所を置き、コート ドールやシャブリから購入したぶどうを使用し醸造しています。
今回のスー ル ピュイはブラニーとの境に位置する石灰質土壌で、フリーランのみを使用し新樽25%で熟成させます。


【テイスティングコメント】
生産者: ヴェルジェ
銘柄: ピュリニー モンラッシェ プルミエクリュ スー ル ピュイ 2013

WA90pt(2006)
クリーンでフレッシュなピュリニーモンラッシェ。
MLF的な部分や樽の部分はあまり感じられず、充実した素直な果実味と、小石の様な冷ややかなミネラル感が主体的に感じられる。ライムや白桃、白い花の蜜の様な果実味。清涼感があるフレッシュハーブ、白い花、ほのかなヨーグルトの風味、イーストの様なアロマが感じられる。
一見ピュリニーらしさがあるか少し疑問に感じたが、口に含むとありのままのピュリニーで安心した。
はっきりとした綺麗な酸があり、フレッシュハーブや洋梨の様な果実味、わずかなヨーグルトの様な余韻が残る。品のあるシャルドネだ。


生産者: プリューレ ロック
銘柄: コトー ブルギニヨン ガメイ 2012

外観はやや燻んだ赤色で粘性は低い。
いかにも全房っぽいスパイシーな風味のガメイ。
茎やクローヴの要素、生肉やなめし皮、瑞々しいダークチェリーやラズベリーの様な果実味、そしてトーストの様な要素が一体となって立ち上っている。自然派的だが抽出の要素が強く、一見ガメイには感じない。
樹皮やキャンディの様な風味、出汁の様な風味が漂う。
薄旨系の味わいで、酸味は柔らかく、ハーブ類や赤系ベリーの余韻と甘みが柔らかく広がっていく、酸やタンニンに際立った所は無く落ち着いている味わい。


生産者: ミシェル ラファルジュ
銘柄: ヴォルネイ プルミエクリュ クロ デュ シャトー デ デュック 2011

WA93-95pt(2010)
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
リッチな果実味を感じるヴォルネイで洗練された印象。コンポートの様なアメリカンチェリーやブルーベリーの果実味、バニラやワッフルの様な樽香、クリームの様な滑らかさが基本骨子となり、スミレや若い葉、樹皮。リコリスの様なアロマが感じられる。抽出は穏やかでなめし皮の様な要素はないが、華やかさに転化されている。ごく僅かな土の風味がある。
タンニンは柔らかく、酸は比較的強め。
酸と包含する旨味の要素が多少アタック感はあるものの、ブルーベリーやバニラのキャッチーな余韻が残っていく。


【所感】
まずはプリューレ ロックのガメイから。
珍しいキュヴェですね、コトーブルギニヨン自体がつい最近制定されたAOCというのもあり、早速ボトルを発売している生産者もいますが、ACブルゴーニュやグランオルディネールほど浸透している感じではまだありません。そんな中でもプリューレロックのガメイは珍しいですね。
明確にガメイではあるものの、しっかりと抽出してるし、全房のニュアンスがしっかりと出ているので、意外と自然派のピノノワールって言っちゃうかも。
ガメイとしてはかなりしっかりと果実味があって凝縮感はあると思います。樹齢が高いからかもしれません。ただ品種の個性だからか、醸造的要素をかなり素直に受け入れていて、いわゆるプリューレロック節をこれでもか、という程感じます。嫌いな人は嫌いな感じでしょうね。少し樽の風味もありますが、新樽っぽさは無いと思います。コスパは悪いのですが、プリューレロックを飲みたい人には手を出しやすい価格帯のものなので、好き者にオススメです。
次はラファルジュのヴォルネイ。
2011年としてはとても良い出来だと思います。
2011年のムルソーは確か大打撃を受けた覚えがあるのですが、そうは感じさせないリッチな出来映えだと思います。古典的な生産者と言われますが、このグリセリン感はモダンさを少し感じますね。
コンポートした様な熟度の高いベリー類の風味、バニラの様な香りがクリーミーさを感じさせます。
その中にスミレや樹皮、土の香りが感じられます。
シャンボールミュジニー程のエキス感は無いですが、抽出の柔らかさと滑らかさはヴォルネイらしいですね。繊細というにはリッチですが...とても良いピノノワールだと思います。
最後はヴェルジェのピュリニーモンラッシェ スー ル ピュイ。後からギュファン エナンのネゴシアン部門と聞いて凄く納得した。
ピュリニーのミネラル感と充実したフレッシュな果実味を活かしたクリーンな作り。多くの生産者が樽とMLFの要素を付けながらミネラルを活かすように腐心をしていますが、リッチさを捨ててある種思い切りの良い、果実味とクリーンさを演出しています。ぶどう本来の味わいを尊重している造りです。
ヨーグルトやトーストの様なニュアンスもありますが、酸を活かしているのでボリューム感は無いですね。メゾンルロワにもこんな作りのワインがありましたね。シャサーニュのモルジョだったかな。
意外と見当たらないスタイルなので熟成ポテンシャルは未知数。ただ基本的にはシャブリ グランクリュと近い形で推移しそうですね。
以上3本のブルゴーニュワインでした。
この中だとヴェルジェとラファルジュが良かったですね。テロワール云々は別として単純に一本のシャルドネ、ピノノワールとして大変完成度が高い様に思えました。値段もスター生産者ほど高騰していないので、悪い選択では無いと思います。
高騰著しいブルゴーニュですが、これからの市場の方向性として、躍進目覚ましい生産者や無名ながら堅実な生産者をいかに探していくか、というのが重要であると思います。
ルソーやデュガ、ドニモルテ、ポンソやデュジャック、ヴォギュエやミュニエ、ルーミエ、グロフィエ、DRCやメオカミュゼ、ルジェ、シュヴィヨンやルフレーヴ、ラモネ、ラフォン、コシュデュリ...などなど数えだしたらキリが無いですが、これらは美味くて当たり前、だって高いんだもの。ただこれからこれ以上高騰をしていくと限られた人の嗜好品にしかなりえません。そんな中で価格帯以上のお値打ちなブルゴーニュがあれば、市場を大きく開けるかもしれません。
ブルゴーニュファンとしてはニューワールドを探すつもりでつぶさに見ていきたいと思います。





CROWN(クラウン:丸の内)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。


HKOです。本日はパレスホテル6Fのクラウンです。
シェフはラ ピラミッドで修行を積んだ市塚 学氏。
ミシュランガイド2015 東京版で*1を取得しています。


高級ホテルのフレンチだけあってエントランスも風格があります。




壁際は全面ガラス張り。6Fと比較的低層階ですが、皇居付近の絶好のロケーションというのもあり、眺めは抜群です。


グラスワインはランチオススメ赤白、それ以外の固定銘柄をスパークリング、赤白甘口各5種くらいをラインナップ。随一のグラスの品揃えです。そしてフラッグシップ銘柄も2種類赤白用意されています。
なんと私が行った時はグラスでクリスタル2006、ラモネのシャサーニュモンラッシェ1級、DRCエシェゾー1992が空いていた。素晴らしいですね。
これらを頼めば一気に豪華なランチに!DRCエシェゾーはグラス8000円と比較的良心的な値付けですが、まぁランチでいただくには少し敷居が高い金額です。
なので今回は普通のシャンパーニュでいきます。
ただこういった選択肢があるのはいいですね。
ボトルだとさすがに開けられない金額のワインなので...


生産者: パスカル ドケ
銘柄: グランクリュ メニル シュール オジェ ブラン ド ブラン NV

クリーミーで果実味が豊かなシャンパーニュ。
チョーキーなミネラル感。
溌剌とした果実味があり、甘い果実の蜜の様な香り、白桃や青リンゴの様な果実味があり、バターやナッツ、フレッシュハーブの様な香りが感じられる。
酸味は柔らかく緻密で、丸く滑らかな口当たりのシャンパーニュ。余韻にリンゴの甘い余韻が残る。


普通というには贅沢すぎるシャンパーニュですね。メニルらしいチョーキーらしさがありつつ、しっかりとした果実味とボリューム感も感じます。


◾︎アミューズ1(砂糖をまぶしたカシューナッツ、トマトのフィナンシェ、オリーブ)

ハンドフード。特に特筆すべきものはないのですが、トマトのフィナンシェはイタリアンっぽくて美味しかったです。


◾︎パン(バターブレッド、セサミ、チャパタ)

バターブレッドはフワフワで、他のパンはしっかりとした味わいがあります。バターに一工夫されていてブラックオリーブ、グリーンオリーブを混ぜこまれています。バターというか生クリームの様なフレッシュな味わいです。



◾︎アミューズ2「サーモンのムースとジャガイモ、サーモンのタルタルと飛びっ子のワサビ風味 ポートワインのゼリーを纏ったフォアグラムース」(★★)



緑色のオリーブのソースを添えてあります。
火を入れた冷製のシャガイモでサーモンのムースを挟み込んだ一品。ビシソワーズの様なクリーミーさがある。その隣にはサーモンのタルタルとワサビ風味の飛びっ子、そして薄く伸ばした小麦のプレート。トビッコのわさびの風味と塩分、プチプチした食感、タルタルのサーモンも歯ごたえがしっかりとあって楽しい。
別皿にはポートワインのゼリーを外に纏ったフォアグラが。フォアグラムースの濃厚な風味と、ポートワインのベリーの様な赤系果実の爽やかで甘い風味が王道の如くハマってくる。一口サイズのアミューズだが、どれも一口では物足りないくらい美味しい。


アミューズが1皿で3種類というのもなかなか豪華ですね。しかもどれも異なる個性があるというのがいい。次は前菜です。


◾︎アントレ「国産ホワイトアスパラガスのスチームと卵黄のラヴィオリ イベリコ生ハムとパルメザンチーズのコポー 烏賊墨のチュイル プレミアムリーフ」(★★★)


これも主役級の食材が2つも。しかもどれも趣向が凝らされている。卵黄そのものを包んだラヴィオリ、スチームされた甘い食感豊かなホワイトアスパラガス。それらに少し塩見が効いたアスパラガスのエスプーマ、香ばしいロースト風味と塩風味が強く感じられるイカスミのチュイル。ナッツを感じさせる香ばしいハモンイベリコとハード系らしいザラザラした食感の濃厚なパルメザンチーズが添えられている。卵黄を包んだラヴィオリは小麦の風味豊かで外側はモチモチ。中は半生の卵が入っていて濃厚な風味を引き立てる。ハモンイベリコの塩味とエスプーマで完成している。アスパラガものゆたかな風味を引き立たせるために様々な食材で塩味をつけて調和を図って甘さを際立たせている。


お次は魚料理です。


◾︎ポワソン「いとより鯛のメタイヨン レモン風味 キノアのタルトとムール貝のフリット カリフラワーのピリュプ キュリーヴェール」(★★★★)


いとより鯛を真空調理をしたもの。メタイヨンは円形(メダル型)に仕上げている事を指してるみたい。
これにローズマリーのタルトの上にカレー風味のキヌア、ムール貝のフリットを乗せたものが添えられている。こちらも2種類皿に乗ってますね。
まず真空調理されたいとより鯛にはカリカリ食感の香ばしい風味の桜エビと薄く切ったホワイトカリフラワー。そこに生姜風味のエスプーマが添えられている。とろけるように柔らかく火が入れられた鯛。鯛本来の旨味を全て閉じ込めている。ほのかな塩味は素材由来のものかしら。エスプーマがスパイシー、下に敷いたカリフラワーのソースもクリーミー、そして甲殻類のクリスピーな風味が、柔らかい鯛に複雑さと食感を与える。
強いローズマリーの風味を感じるサクサクしたタルト、ムール貝のフリットは小ぶりだが濃厚でどこか牡蠣のような風味で、フライは目が細かくサクサクとした食感。レモンはほのかに感じる程度でわずかに酸味を帯びている。


最後に肉料理ですが、その前に追加でランチオススメのワインを頼みます。1000円。


生産者: マーベリック
銘柄: ブリーチェンズ シラーズ バロッサヴァレー 2012

強烈に華やかなシラー、強いスミレの華やかな香り、若干揮発的なアルコール感、熟したカシスやブルーベリーの強い果実味を主軸にわずかに焦げたようなタールやゴムのようなアロマ、黒胡椒、バニラリキュール、エナメルリムーバー、松ヤニ、ベーコン、ドライハーブなどの要素。
タニックで酸味は充実、ごり押しのパワー感溢れるシラーだが甘みは控えめでシラーの持つ華やかさをコミカルな程に描写している。


濃厚なシラーです。ただいわゆるジャミーでバロッサ王道的な感じではなくて、抽出とアルコール感が前に出たシラー。


◾︎ヴィヤンド「ウサギ背肉のバロティーヌ ブランケット仕立 バニラの香りニューカレドニア産天使の海老 ジロール茸と空豆のフリカッセ」(★★★★)


メインです。旬だから兎に当たる機会が最近多い。
柔らかくフワフワの兎の背肉をベーコンで巻いた一品。
添え物はコリアンダー風味を感じさせるそら豆、スパイシーな風味のジロール茸、カレドニア産のプリプリした天使の海老、グリーンピースのソースを中に詰めたクロメスキが脇を固める。そしてソースは少し塩味が効いたバニラ風味のソース、グリーピースのクリーム。カレドニア産のプリプリとした濃厚なエビにバニラクリームのアロマティックの風味が奇跡的なマッチング、味わいのパワーバランスがあっている。エビとグリーンピースムースの風味もエビの淡白さと豆の濃厚さのバランスがいい。味の強さのマリアージュを感じる。淡白さだが奥深い滋味と丁寧な塩味を感じるうさぎ背肉、香ばしいワイルドさを感じさせるベーコンが調和。モツの代わりにジロール茸が入っている。味の個性が穏やかだからバニラソースにもよく合う。淡白なうさぎ背肉という食材にして強烈な満足感を残す一皿。


ここも凄く食材同士のバランスを丁寧に考えられていると思いました。味わいのバランスの手本みたいなマリアージュ感があります。ただシラーは少し強すぎた。ピノノワールでよかったかもしれません。
シラーを飲み干し最後はデゼールです。


◾︎デゼール「ヌガーモンテリマールのムース 日向夏のソルベ フリュイルージュのクーリーとジュレ」(★★)



見目麗しい清涼感のあるビジュアルです。
ラズベリーと日向夏のソルベ、それに飴細工、ミントとヌガーのムースの色合いが涼しげ。飴細工を割り、ラズベリーとミント、ヌガーのムースと一緒に食べるとパキパキとした食感も楽しめる。様々なドライフルーツが入ったヌガームースの甘く滑らかな風味がとてもいい。ムースの滑らかさと飴の甘さが日向夏とラズベリーの荒々しい酸味を受け止めてくれている。
これもバランスの妙といったデゼールでした。


◾︎ミニャルディーズ


美しいミニャルディーズです。
アーモンドのマカロンとカシスのバードドフリュイが大変美味しかったです。


クラウンは食材同士のバランスに物凄く気を使っているように思えました。
ワインのマリアージュの基本として風味の濃さや塩味と甘みの引き立たせ方、あるいはバランス感が重要になりますが、それらを周到に皿に込めている様な気がしました。
特にメインの鯛と兎は絶品で、一見全く関連なさそうな食材同士を組み合わせ、複雑で新しい風味を作り上げています。バランス感の妙技。
素晴らしいです。ひょっとしたらワインもソムリエのオススメを頼んだら凄いことになるかもしれません。
今回は自分で選びましたが、恐らくここはペアリングで更に深みを見せてくるレストランかもしれません。


住所: 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目1−1パレスホテル東京6F
店名: CROWN (クラウン)
電話番号: 03 3211 5317
営業時間:
11:30~14:30
17:30~22:00
ランチ営業、日曜営業

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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