【カリフォルニア: 36】華やかなルックスとは裏腹にいぶし銀のスタイルが見える、ドメーヌ シャンドン エトワールNV

こんにちは、HKOです。
本日は日本未輸入のドメーヌ シャンドン カリフォルニアのフラッグシップスパークリング、エトワールです。


【データ】
ドメーヌ シャンドンは言わずと知れたモエ エ シャンドンのニューワールドのブランド。現在はオーストラリアはヤラヴァレー産のものが主流となっていますが、カリフォルニアでも生産されています。
今回のエトワールはカリフォルニア産においてのフラッグシップとも呼べるスパークリングワインともなります。ソノマヴァレーとナパヴァレーのアッサンブラージュ。メソッド トラディションで、瓶内熟成は5年間にも及びます。
※カリフォルニアのドメーヌ シャンドンはどうやら日本にはあまり輸入されていないようです。ブランドとしてもラベルに明記はあるものの、はっきりと区分けはなされていない感じです。今回のはカリフォルニア勤務の友人から購入したもの。



【テイスティングコメント】
生産者: ドメーヌ シャンドン(カリフォルニア)
銘柄: エトワール ブリュット NV
品種: シャルドネ48%、ピノノワール46%、ピノムニエ6%

外観は少し濃いストローイエローで粘性は中庸。
意外としっかりとしたミネラル感があり、やや塩気の効いたローストナッツやリコリス、ドライハーブ、エシレバターの様な香りが強い。果実的な部分に関しては熟成香が意外と主体的と言える。
鉄分やムスク、シトラスやパッションフルーツの様な果実味が感じられる。ハチミツなど。
シャンパーニュ的な風味ではなく、いわゆるその他地域のクレマンの方を想起する。セパージュはピノとシャルドネ半々ずつ位だろうか。
熟成に起因する充実した旨味があり、ハチミツや石灰、ナッツの様な余韻が感じられる。


【所感】
驚くほどハッキリと、本家ブリュットアンペリアルとは異なります。
本家はある意味優等生的なシャンパーニュを感じさせますが、このエトワールはかなり違っていて、存外にハッキリとしたミネラルとニューワールドらしい果実味が熟成した際に現れるであろう厚い旨味を感じさせるスパークリングです。シェリー的な要素があり、ある種優等生である事を拒んだ酸化的な味わいがあります。故に「暑いぜーコノヤローっしゃースパークリングだーコノヤロー」って感じで飲むスパークリングでは無いのかな、と思います。
酸化的と言ってもクリュッグやセロス、アンリジローの様に品と深みが同居している訳ではないので、結構好みが分かれそうな感じかもしれません。
勿論スパークリングとしては堅実に、上手く作られているとは思いますが...いわゆるドンペリニヨンやグランヴィンテージとはかなり毛色が異なる事だけは認識しておくと落胆が少なくていいと思います。
個人的にはシャンパーニュを期待して飲んだので「あれ?これ全然シャンパーニュっぽくないじゃん」と思ったくらいで。フランス的ではないですね。ロワールもアルザスもリムーもボルドーもブルゴーニュも当てはまって来ない。
カリフォルニアでもこのタイプのスパークリングはあまり見た事ないですね。
面白いので、過剰な期待はしないで現地で購入すると良いと思います。※日本では未輸入。
エッチング加工のボトルは超カッコいいと思います。


スポンサーサイト

小笠原伯爵邸(オガサワラハクシャクテイ: 若松河田)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。

こんにちは、HKOです。
スリオラ、サンパウに続く、モダンスパニッシュ。最後は小笠原伯爵邸です。
東京都選定歴史的建造物に認定されているスパニッシュ様式の建物で、旧小倉藩の藩邸だったものをインターナショナル青和が借り受けスパニッシュレストランとして運営されています。
レストランとしての名声も非常に高くミシュランガイド2015東京版では*1を獲得しています。
シェフはレスグアルドなどで修行を積んだゴンサロ アルバレス氏。

まずは建造物から見ていきます。



地下鉄大江戸線の若松河田駅、河田口を出るとすぐに古風な正門が出迎えてくれます。



正門を入ると瀟洒な玄関。立体的に設えられた籠の鳥のモチーフが象徴的です。



エントランスを抜けるとL'Arc-en-Cielの叙情詩のPVで有名な廊下。



そこからスペイン建築ならではの内庭を望む事ができます。あいにくの雨なので、あまり情緒はありませんが...



大きなテーブルがある応接間、今は大人数用の個室として利用されているようです。



寝室の手前にあるウェイティングバー。ここのステンドグラスと絨毯はは昭和初期の頃のまま残っています。



すごい柔らかそうな椅子。



喫煙所。もともと葉巻が中東から輸入されていたものが多かったらしく、この部屋もそれに合わせて中東風になっています。Hydeここで歌ってましたね。



元々は寝室と書斎を兼ねていた部屋にレストランとしてのフロアが用意されています。広いです。



ウェイティングプレートはシンプルです。


ランチコースは7000円の1コースのみ。
ただしアミューズ、前菜、米料理、魚料理、肉料理、口直しのグラニテ、デザート、ミニャルディーズと皿数が多いので、かなりお得感があります。



◾︎アペリティーボ:
アホブランコのエスプーマ 鯵のマリネ 白ぶどう(★★)
フォアグラのクレモソ イチジクのコンフィチュール(★★★)

アペリティーボは一皿2種類乗っています。
フォアグラのクレモソは、やや塩味の強い滑らかなフォアグラとイチジクのコンフィの甘さが非常にマリアージュしている。それに複雑さを加えるスパイシーなシナモンの風味。加えてクレモソのカリカリの食感がいい。
鯵のマリネはしっとりとした食感にほのかな酸味が感じられる。濃厚な白ニンニクのエスプーマ(といってもムースに近い濃さ)に白ぶどうが添えられている。
白ぶどうの糖度はメチャクチャ高い。個性の強い食材に対してオリーブオイルとニンニクのソースがまとめあげている。



◾︎プリメーロ: アスパラガス キノアのクルヒエンテ バジリコの香り(★★★)


2種類のアスパラガスを主体とした一皿。
ほのかに塩味を感じるサクサクのグリーンアスパラガス、トロトロに柔らかいホワイトアスパラガスの2つの食感と味わいに明確な差異が楽しめる。アスパラガスをベースとしたアイスクリームは、冷たくクリーミーで冷製スープの様にも感じられる。良くアスパラの風味が出ており、グリーンアスパラガス、ホワイトアスパラガスを見事な結合を見せる。バジリコのグリニッシュで爽やかな風味は全体に影響を及ぼしている。板状のチーズは塩味は控えめで、パリパリ。レモンの風味もある。



◾︎赤ワイン
生産者: ペスケラ
銘柄: ティント クリアランサ 2010
品種: テンプラリーニョ100%

100%アメリカ産の樽で18カ月、瓶内で6ヶ月。
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
マロラクティック発酵のまろやかなバニラの風味濃厚だが、アルコール度数起因のアタックさはあまり感じられない。熟したブラックベリーやプラム、メイプルシロップや焦がした砂糖のような風味、甘草、凝縮した果実味がある。濃密だが、過ぎないボルドースタイルのワイン。酸味とタンニンはしっかりとあるが、それと共にグリセリン感かあり、どこかニューワールドを思わせる。ペスケラの中でもローグレードのアイテムだが十分過ぎるほど楽しめる。



◾︎アロス: スミイカのアロスとモザイク ピメントンデラベラの軽いソース(★★★★+)


素晴らしい米料理。
スミイカを巧みに使ったアロスでピメントンというパプリカパウダーを使った一皿。
アロスはピメントンとサフランライスを思わせる様なスパイシーさがしっかりとあり、コリコリと芯を残して仕上げられている。旨味はトマトだろうか...?お米の上にはモザイク状に添えられたイカの切り身。サクサクとした食感。
右側にはスペイン産パプリカのエスプーマ、真珠に見立てた銀色の球体はイカ肝の濃厚なソースが入っていて、お米と和えて食べると、その磯の風味がダイレクトに広がっていく。これだけひたすら食べる料理があってもいいかもしれない。


◾︎ペスカード: イサキのプランチャ 彩の野菜とハーブのブーケ(★★★)


いわゆるイサキの鉄板焼き(プランチャ)。
全体をハーブの強い香りでまとめあげている一皿。
塩味が少ないしっとりと火入れされたイサキ、インゲン、ジュンサイ、蕪、マイクロトマト。ソースはイサキの出汁に茴香の風味を移したもの。全体的にグリニッシュ。

これに様々なハーブを添えて頂く。フェンネル、コリアンダーなどのブーケ。塩はほとんど無いから、ハーブの強い風味が主張する。



◾︎カルネ: イベリコプルマの備長炭焼き マスタードシード 黒にんにくのアリオリ シェリーソース(★★★★)


爽やかな魚料理から一転。極めて濃厚な肉料理。
イベリコベジョータのプルマ(リブロース)を備長炭焼きにした一皿。
濃厚でハチミツを感じさせる様な濃厚な甘さと塩味を感じさせるアホネグロを使ったスペイン風マヨネーズ、同じく濃厚な甘さを持つみたらしにも似たシェリーソース、一際爽やかなマスタードシードの3つのソースで頂く。
付け合わせのビーツと芽キャベツは甘く、ほのかに酸味が乗っている。サクサクとした食感を残すが、柔らかい。イベリコプルマはしっかりとした食感でありながら、極めて柔らかく、決して過剰に脂っこいところはない。外側は炭火らしい香ばしいローステッドな味わいがある。豚肉の旨味が最高。



◾︎グラニデ: 琵琶のテクスチャー 梅酒のグラニテ ライムのキャビア

濃厚な余韻を打ち消し、デザートに備える一皿。
現代的な技術を使ったアルギン酸を利用したライムのキャビアは豊かな柑橘のニュアンスと酸味があり、梅酒の甘く酸味を感じさせるシャーベット、アプリコットを思わせる琵琶と共に、優美な味わいのグラデーションを形成している。



◾︎ポストレ: チェリーのパルフェグラッセ ライチのコンポートとパセリのソルベテ


華やかなルックスのデゼール。
イチゴのチョコレートのクラウンの中に、クッキーとスポンジケーキで挟み込んだダークチェリーとサクランボ、ライチのコンポート、柑橘とパセリのソルベ。
こちらも近代的技法が用いられており、液体窒素で固めた木苺を砕いたものを添えている。
ソルベはハッキリとしたパセリのグリニッシュな風味だけではなく、ハッキリとした酸味がある。ライチのコンポートはしっかりとした甘さがあり、ダークチェリーとサクランボの華やかで豊かなチェリーの風味がある。木苺は酸味豊か。ライチのコンポートを中心に、酸味豊かなフルーツとパセリのグリニッシュな風味、コクのあるイチゴのチョコレートが上手く結合している。



◾︎ミニャルディーズ: 茶菓子のワゴン

最後は茶菓子のワゴン。お腹いっぱいだったので、マカロン2種類だけ頂く。マンゴーとベリーのマカロン。
このマカロンが異様に美味くてびっくりする。
ピエール エルメのマカロンに似ていてフワフワで濃厚なクリームが良い。


次々と供出されていくので、この皿数でわずか2時間。早い。3時間くらいかかるものかと思ってたのだけど。ランチとしてはこれくらいクイックの方が望ましい。
サンパウ、スリオラ共に、かなり近代的で繊細なスペイン料理を供出している様に思えたが、小笠原伯爵邸はより近代的ガストロノミックな技法を追求している印象を受けました。かなりテクニカルで技巧的な料理で見かけも、味も大変素晴らしかったです。
食後は館内と中庭を案内頂き、大変優雅なひと時を過ごす事が出来ました。





住所: 東京都新宿区河田町10−10−10
店名: 小笠原伯爵邸(おがさわらはくしゃくてい)
電話番号: 03 3359 5830
営業時間:
ランチ  11:30~15:00(クローズ)
ディナー 18:00~23:00(クローズ)
ランチ営業、日曜営業




Restaurant Sant Pau(レストラン サンパウ: 日本橋)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。



こんにちは、HKOです。
先日に引き続き今回もモダンスパニッシュの名店です。皆さんご存知のレストラン サンパウです。
源流はスペイン カタルーニャ地方 サン ポル デ マルにあるミシュラン3つ星レストラン「レストラン サンパウ」。本店と時差の無い料理を提供しているそうです。東京店のシェフは岡崎 陽介氏。ブノワやサクレクール、セドのシェフを経て、サンパウのエグセクティブシェフに就任しています。
※ちなみに岡崎氏がいた頃のセドには何回か行ったことがあります。
日本のサンパウ 東京はミシュランガイド 2015 東京版で


ウェイティングスペースから階段で2階に上がる途中に絵画や彫刻などが飾られています。


かなりラグジュアリーな雰囲気。


シガーバーを抜けると扉の向こうにレストランフロアがあります。


金と白を基調とした豪華なウェルカムプレート。


早速ハンドフードが供出されます。
それをつまみながらワインリストを眺める。
レストランに来たならば、そのレストランが自信を持って選んだグラスワインがやはり飲みたい。
たとえ卓越したソムリエでも食べた事のない料理に完璧に合わせられるワインなど見つかるはずも無いのだから、分かっている人が選ぶのが一番。
特にこういったガストロノミックな料理は尚更だと思う。


◾︎アミューズ: トウモロコシのパウダーで作ったクッキー

パリパリした薄いタコスみたいな感じ。


折角のスペイン料理なので、泡はカヴァを選びたい。
シャンパーニュもブルーノ パイヤールを選んでいてセンスが感じられるが、やはりここはカヴァだろう。


◾︎カヴァ
生産者: パルシェット
銘柄: パルシェット ブルット レゼルヴ 2010
品種; チャレッロ33%、マカベオ33%、パレリャータ33%

約3000円
外観は透明感のあるストローイエロー。リースリングを思わせる様なしっかりとしたミネラルのペトロール香が感じられる。冷涼な感じだが、果実の糖度は高そうだ。カリンやライチの様なエキゾチックな果実味に、イースト、バターやナッツ、フレッシュハーブ、白胡椒の様な風味がある。
ほのかに甘みを感じさせる舌触りで、豊かな酸とフレッシュな味わいが魅力的。


抜群に美味しい訳ではありませんが、安定して美味しい、熟度の高いスパークリングだなと思いました。
これで肉料理まで通していきます。


◾︎アペリティーボ1: トマトとアメリカンチェリーのサルモレッホ、ウニと野菜のロール(★★★★)


トマトと共にアメリカンチェリーを混ぜたサルモレッホ。雲丹と、細切れにしたチェリーとキュウリをスライスしたキュウリで巻いたものを添え、バジルオイルを散らしている。
滑らかなトマトとアメリカンチェリーの風味とバジルオイルの清涼感のある風味が混じり合う。素材の風味豊かなプリプリとした柔らかい蕩けるような食感の雲丹がその中に溶け込み、甘さが際立つ。細切れ野菜とベリーを巻いたキュウリはベリーの風味が際立ち、サルモレッホに食感をもたらしている。サルモレッホのトマトの酸味と雲丹の風味、チェリーの瑞々しさが見事に結合していく。雲丹の柔らかさ、張りは特筆すべき味わい。


◾︎アペリティーボ2: 全粒粉のコカ、イサキ、ナスのキャヴィア(★★★)


カタルーニャの伝統的料理のコカ(スペイン風ピザ)
ナスのペーストの上にフレッシュなトマト、イサキ、そしてオリーブ。程よく感じる味噌の様な風味があるオリーブと茄子ペーストの組み合わせが面白い。トマトはフレッシュで甘く、しっかりとした肉質のイサキと良く合っている。全く和の要素は無いのに和っぽく感じる。生地は適度なサクサク感がある。
ピンチョス感覚。王道的なアペリティーボといった感じ。


◾︎アペリティーボ3: 比内地鶏とお米のクロケッタ 唐辛子のゼリー、紫マスタード(★★★)


比内地鶏とお米を使ったコロッケ、紫マスタードのソースを敷き、パプリカをゼリー状にしたものを添えている。
サクサクと香ばしいコロッケでしっかりとした鶏肉の旨味とお米の甘みが感じられる。紫マスタードは香り高くオリエンタルな辛味がある。パプリカのゼリーはパプリカのグリニッシュな風味とほのかな辛さがありコロッケに複雑な風味を与えている。


◾︎プリメーロ: ホタテ 人参のソーダ ライム(★★★+)


人参の味わいを最大限に活かした一皿。
ホタテの上に枝豆やキュウリ、人参やコーンなどの様々な野菜、そして人参のエスプーマが乗っており、ライムのクリームが添えられている。
まず人参の主張がすごい。有機栽培や収量を減らした時に現れるような強い人参味。野菜の中でも特に強い主張をしている。ガリゴリの食感。他の野菜も異なる食感があり、面白い。人参のエスプーマはピリピリとした酸味と発泡の刺激が感じられる。ライムのペーストも人参のソーダの刺激を助長する。
ホタテは甘くほのかに暖かい。極めて柔らかく、スプーンで十分に割ることが出来る。
野菜は種類ごとに異なる食感で、そこにホタテのまろやかな食感が包み込んでいく。マスタードが隠し味になって深みを高めている。


◾︎ペスカード: スズキ ホドイモ デーツ(★★★★)


絶妙な火入れのスズキとホドイモ、デーツの甘さがバランス良く収まった一皿。
軽くソテーしたスズキの上にホドイモのパウダー、フレッシュな食感を持つ独活、デーツの身にマスカットを詰めて、その果実はスズキの上に一欠片。マスカットゼリー。
スズキはかなりしっかりとした食感でホロホロでも硬いわけでもなく、丸で刺身のような肉質を保っている。プレーンな味わい。淡白な味わいだから裏ごしされたクリーミーなホドイモのペースト、レモンピールの柑橘ニュアンス、デーツのメイプルシロップにも似た甘みが自然に調和する。オリーブと絡めたサクサク食感のウドも嬉しい。ホドイモのペーストはマッシュポテトを思わせる。意外とスズキとデーツの組み合わせはハマってくる。巧みなレシピだ。


なんとかここまでカヴァで繋げたけど、流石に肉料理は赤ワインを合わせたい。
そこで、たまたまグラスで供されていたビエルソのウルトレイア サン ジャックを頂く。繊細であると共に、シラーにも似た華やかさはきっと和牛には合うだろう。
というか好きなんだよね...


◾︎赤ワイン
生産者: ラウル ペレス
銘柄: ウルトレイア サン ジャック 2011
品種: メンシア100%

外観は濃いガーネット、粘性は中庸。
極めてエレガントなメンシアで、例えるならばシラーとピノノワールの合いの子のような味わいだ。どちらかというと香りにおいてはシラーの特徴の方が強い。
華やかなスミレや溶剤の様な芳香、そして果皮の厚いダークチェリーやブルーベリーの果実味、紅茶やコーヒー、黒胡椒、パストラミハム、わずかに土の様な香りが感じられる。スパイシーで華やか、バランスが取れている。冷涼地のシラーにもよく似ている。少し自然派っぽい様なニュアンスもある。
余韻に残る酸は繊細で緻密、熟したベリー類やスミレのような芳香の余韻を残していく。タンニンはしなやかで収斂性は殆ど感じられない。


◾︎カルネ: 和牛のミスジ 薄いポテトチップとミニ野菜(★★★★★)



最高。
柔らかく煮込み後にソテーしたというミスジ。玉ねぎ、ラディッシュ、デーツ、蕪などのミニ野菜の上にビーツで色付けされたポテトチップが添えられている。
ソースは2種類。透明になるまで煮込んだトマト、煮詰められた甘露なジュ ド ヴォー。清涼感のあるハーブが全体を華やかにしている。
ミスジの肉質はしっかりとしていながら歯切れ良く、和牛ならではのジューシーな甘い脂が溢れ出る。濃密で凝縮した味わい。牛肉的な野生的な香りもはっきり。しっかりと火が入れられている。
岩塩の塩気とミニ野菜の甘いエキスと結合して非常にリッチな味わいになっている。ジュ ド ヴォーは酸味と甘みがあり、肉の旨味と脂にしっかりと合致している。ミスジの脂身の部分はカリカリとしていて、とろけるように甘く、濃厚なな味わい。素晴らしい。恍惚としてしまいそうな味わい。


◾︎リフレッシュフルーツ: 白桃とレモンバームのシロップ(★★)


トロトロ甘い恍惚の白桃。滑らかでフレッシュ。ハーブの芳香の絶妙な深み。最高。



トイレから帰ってきたらウェルカムプレート変わってました。


◾︎ポストレ: マンゴーと玄米 玄米アイス (★★★)


マンゴーと玄米のアイスを使ったデザート。
フレッシュなマンゴーにマンゴーのムース、ベルガモットのキューブ、ジャスミンティーのゼリー、玄米のアイスクリーム。
マンゴーのトロピカルな酸味と甘みの中にミントの爽やかさ、若干の苦味を感じるジャスミンティーのゼリーのアロマティックな香りが混ざり合う。
ベルガモットのキューブは極めて香り高く、酸味が強い。カリカリとした食感の玄米のボールの中には甘露な玄米のアイスクリーム、そこにマンゴーの濃厚な酸味。マンゴーのほどよく厚みのある酸味と香ばしい玄米の要素がしっかりと感じられるデザート。美味しい。


最後はミニャルディーズです。
飲み物は普通のコーヒーで。

◾︎ミニャルディーズ:10種類のプティフール


ミニャルディーズの数が多いです。10種類!
以下気になったのだけメモ。
・バシルのマカロン
チョコレートの風味とバシルの風味が見事に調和したマカロン。
・クランチチョコ
・ゴミノラ
やや酸味が感じられるゼリー
・フィリピノ
チョコがかかったクッキー
・抹茶のガナッシュ
抹茶のほのかな苦みととろける様な甘さ!
・海苔とカカオ
磯香がする海苔とカカオが不思議に調和。なんだろう、悪くない。
・バタースクワッシュのマジパン
柔らかいけど、もくもくとした味わい。
・フランボワーズのクランブル。
カリガリザクザクしたナッツの様な風味とともにフランボワーズの爽やかな風味。
・ミニクレーマカタラーナ
いわゆるクリームブリュレだが、フルーツの風味も感じられる。


以上です。
ええと、最初のフィンガーフードから見ると約10皿ですか。すごいですね。というか3種のアペリティーボって言って一皿ずつ出てくるとは思わなかった。一皿にピンチョスが3つ乗ってくる程度かと...
皿数は多いんですけど、前菜以降のポーションが結構多いのでかなりボリューム感があります。満足感も高いです。空間もリッチなので、様々なシーンで使えるのではないかと。
どれも美味しかったですが、やっぱりミスジとサルモレッホがすごいよかったですね。夜はちょいと厳しいですが、またランチには行ってみたいです。


住所: 東京都中央区日本橋1丁目6−1
店名: Restaurant Sant Pau(レストラン サンパウ)
電話番号: 03 3517 5700
営業時間:
レストラン 11:30~15:30(L.O.13:30)、
土日祝 12:00~/18:00~24:00(L.O.21:00)
ワインバル 18:00~24:00(L.O.23:30)
日祝 18:00~23:00(L.O.22:30)
ランチ営業、夜10時以降入店可、日曜営業




Zurriola(スリオラ:銀座)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。

こんにちは、HKOです。
モダンスパニッシュ。
本日はこのジャンルの最高峰であるサンパウと双璧を成すスリオラに行ってまいりました。
ミシュランガイド東京版2015年では*2を獲得しています。シェフは六本木の龍吟や日本橋のサンパウで修行した本多 誠一氏。


元々麻布十番で営業してましたが、今年の5月から銀座に移転しています。路面店からビルのテナントになりましたが、依然として高級感は健在です。



ウェルカムプレートが象徴するように、店内はシックなモノトーンでまとめられています。
テーブル席もありますが、オープンキッチンのカウンター席の臨場感が素晴らしい。本多シェフから直接お料理の説明も聞けたりします。

さて、いつもならここでシャンパーニュですが、流石にスペイン料理なんですからカヴァを頂きたいところです。おすすめのカヴァを頂きます。


生産者: ラ ロスカ
銘柄: ラ ロスカ ブリュット

うーん、美味しかったですが...流石にグラスが小売価格超えているのはちょっと。ランチだったからかな?
ただ他の赤白はラインナップも面白いし、適正な値付けだと思いますし、この後の皿やサービスの素晴らしさを考えると、とても文句も言えなくなります。


◾︎フィンガーフード



カボチャのスポンジケーキ。
ローストしたカボチャの種とクリームチーズ。
フワフワのなめらかなクリームチーズと香ばしい種、カボチャの濃厚な甘みが感じられる。
お米のフリットは海老煎餅みたいな感じ。少し辛いパプリカパウダーがいい。


◾︎アペリティーボ「稚鮎のフリット ロメスコソース」(★★★★)


締めたばかりの稚鮎をセモリナ粉で揚げたもの。スダチの風味のエスプーマ、ドライパプリカ、アーモンド、トマトを使ったスペインの伝統的なロメスコソース。稚鮎の苦味と、マヨネーズ的なリッチさを感じる酸味とトマトの甘みが溢れるロメスコソース、香ばしいカリカリのナッツ。苦味に対してリッチなソースが良く効いている。濃厚な味わいなのに整合性と調和が取れている。稚鮎の苦味も複雑さを助長している。カリカリとした稚鮎のフリットが素晴らしい。


◾︎アペリティーボ「サルモレホ 北海道産雲丹とバジルのヴェール」(★★★)



濃厚なスペインのトマトスープ「サルモレホ」。ガスパチョに近い料理ですが、こちらにはパンは入っておらず、トマトだけで作られているようです。 味わいは4層で、アボガドのクリーム、目の細かいスムーズなトマトのサルモレホ、北海道産雲丹、風味豊かで清涼感のあるバジルのゼリー。トマトの酸味と旨味が豊かなサルモレホに、濃厚なアボガドクリームが混じり合い、雲丹の甘さの濃厚さを引き立たせ、過剰な磯臭さを抑えている。またそこに清涼感のあるバジルの香りが加えられ、濃厚でありながら夏前に心地よい爽やかな味わいになっている。クルトンのサクサク感も面白い。


◾︎プリメーロ「白イカのプランチャとココナッツのボンボン」(★★★)


手の込んだ一品。イカを6日間ゆっくりと冷凍し、ゆっくり解凍することで、あえて繊維を壊し、歯切れ良く仕上げている。スペインの鉄板焼きプランチャで仕上げたイカにサラダを詰めている。ソースはイカのエキスにワタを加えた出汁に、イカスミソース、ボンボンをイメージしたココナッツ。
イカの強いコリコリ感、サクサク感は無くなっているがナイフで容易に切れる程柔らかく、プルプルとした滑らかな食感。その中にサクサクとしたヴィネグレットソースを思わせる酸味が感じられるサラダが入っており、食感が楽しい。
塩辛くコクがあるイカスミソースと磯の風味豊かな滋味溢れる出汁が上手くバランスが取れている。
ココナッツの甘い風味とイカの食感、ほの辛いソースが見事に絡み合いサラダの爽やかさと共に厚みのある隙のない味わいを再現している。ココナッツがかなりいい仕事をしている。


生産者: ボデガス レダ
銘柄: マス デ レダ 2009
品種: テンプラリーニョ100%

黒に近い濃厚なテンプラリーニョ。
よくローストした牛脂や十分に熟したダークチェリーやブルーベリーの果実味があり、黒糖やシェリー樽のような香りが感じられる、クローヴやコリアンダーのようなスパイスに加え、ドライフラワーや土、薫製肉、炭焼き、タールの様な風味が感じられる。
グリセリンもタンニンもたっぶりとあり、酸味とタンニンは充実しており厚みがある。


◾︎カルネ「生パスタで巻いた国産牛テールのスイートシェリー煮込み、サマートリュフのサラダを添えて」(★★★★)



柔らかく煮込んで崩した牛テールをフレッシュパスタで巻き、ピスタチオがふってある。そして季節のアスパラソバージュ。
おおおおああああ...!牛テールが甘辛くてメチャクチャ濃厚...!それに生パスタのしっかりとした食感と小麦粉感がすごくいい。シェリーの甘い風味で煮込まれてコッテリとしたコラーゲンが最高...シェリーソースの酸化ニュアンスが醤油に似ているからかもしれない、とてもお米が欲しくなる味わいだった。
激重な料理だからこそ、濃厚なテンプラリーニョとも完全なマリアージュ。逆に古酒は重さ的に会わなかったかも。若干粘り気がある野性味溢れるアスパラソバージュも全体の濃厚さを引き立てていた。
逆にサラダは爽やかで味わいは滋味にあふれている。サマートリュフは香りこそ弱いものの、爽やか。牛テールの濃厚な風味を受け止めるのにピッタリ。塩味を多少感じる味わいが素晴らしい。


◾︎アロス「セルバチコ、マッシュルームのアロス メロッソ」(★★★)


イタリアのリゾットに近いお米料理。本多氏がスペインの伝統的な米料理をプレゼンテーションしていきたいらしく、メニュー外からの一皿。クリーミーでグリニッシュ、チーズ?と米の粘性を活かした濃厚な風味。全体を覆う強烈なマッシュルームのアロマが素晴らしい。米はコリコリとした芯を残しており、マッシュの歯ごたえが楽しい。
多分チーズ入ってそうなもんなんだけど、無かったらこの濃厚さはどこから出てるんだろう。


◾︎ポストレ「トリハとラベンダーのエラード」(★★)


卵を使っていない香り高いフレンチトーストにゴマのキャラメリゼ、ラベンターのアイスクリームを添えている。フレンチトーストはフワフワ。シナモンっぽい香りがありスパイシー、濃厚な甘みがあるが、清涼感のある香りのラベンダーアイスクリームが綺麗に調和している。またそこにゴマの香ばしい風味が加わり、複雑な味わいになっている。美味い!素敵!


◾︎ミニャルディーズ

4種類の構成のミニャルディーズ。
ライム風味の液体が入ったチョコレートボンボン。
柔らかく濃厚なホワイトチョコのムース。
スナックに近いカリカリのチュロス。
豚のラードを使った伝統菓子ポルボロン。
コーヒーと共に頂く。ミニャルディーズにして趣向が凝らされている。


時間が無かったので、メインを1皿にしたのだけど、想像以上に沢山の皿が出てきて大満足。どれも趣向が凝らされていて、最高に美味しかった。
モダンスパニッシュ素晴らしいですね...!
結果として時間も空いたので、メイン2皿構成にしておけば良かったと後悔。イトヨリのサフランソース食べたかった...!
また今度は夜行きたいですね、料理的にリオハが合いそうな気がしたのですが、プリオラートやビエルソのワインも是非合わせてみたいです。


住所: 東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4F
店名: Zurriola(スリオラ)
電話番号: 03-3289-5331
営業時間:
11:30~13:30(L.O.)
18:00~21:30(L.O.)
ランチ営業、日曜営業

【ラングドック: 4】南仏カルトワイン、ラグランジュ デュ ペールとペイルローズ

こんにちは、HKOです。
本日はラングドックのカルトワイン、ペイルローズとグランジュ ド ペールの2本です。


【データ】
ドメーヌ ペイルローズはラングドック地方最高の生産者の一人。現在の当主はマルレーヌ ソリア。収穫以外は一人で全ての工程をこなしています。代表的なキュヴェはクロ デ シスト、そしてシラー レオーヌです。
クロ デ シストはシスト土壌の7つの区画に植えられたシラーを主体に仕込まれるキュヴェ。僅か25hl/haという超低収量のブドウを使用している。
またシラー レオーヌはクロ デ シストと共に双璧を成すキュヴェ。シラー90%とムールヴェドル10%で仕込まれており、収量は25hl/haと極少。畑は16ha程度、生産量はわずか30000本。ワインの熟成期間は最新ヴィンテージが2005であることからも分かるように非常に長い。

ドメーヌ ド ラ グランジュ デ ペールはラングドック最高の生産者の一人で、ローラン ヴァイユ氏によって1992年に設立された。
どの区画もコトー デュ ラングドックのアペラシオン地域ですが、カベルネ ソーヴィニョンがブレンドされる為VdPとなっています。作付面積は合計7.3ha。
除梗機はドーマスガザックから、搾汁機はドメーヌ ド トレヴァロンから、瓶詰め機はジェラール シャーヴから、樽はコシュデュリとジョセフロティから譲り受けています。
栽培は徹底的にヴァンダンジュヴェルトを行い、樹の手入れはボルドー液と硫黄を使用し。収量は20hl/ha。収穫は手摘み。除梗後破砕し、ステンレスタンクで自然酵母を使用して発酵します。
1日に2回ピジャージュを行い、醸造期間は4~5週間。3原則温度管理は行わず、バリック、あるいはオーク樽で28ヵ月間熟成されます。
清澄、濾過はせず、重力を利用して瓶詰めを行います。


【テイスティングコメント】
生産者: ペイルローズ
銘柄: コトー デュ ラングドック クロ デ シスト 2005
品種: シラー 85%、グルナッシュ 15%

約12000円、WA93pt(2002)
外観は濃いガーネット、粘性は高い。縁はややオレンジを帯びている。程よく熟成香を帯びている。
ボディは厚いが、嫌な獣香はあまりなく、綺麗な熟成を経ている。ドライシェリーや黒オリーブ、紫スモモの塩味のある要素、果皮の厚いカシスの果実味。熟成した生肉、少し土や炭焼き、燻製香(ソーミュール液)、クローヴ、しおれたドライフラワー、濡れた土。茎やアプリコット、樹皮などの要素がある。
シラーレオンと比べると剥き出しの果実味があり、タイトな印象を受ける。強烈な旨味がある。ミネラル起因か。
丸みのあるタンニンと酸で、旨味も品があり、アプリコットやカシス、黒オリーブの様な潤沢な旨味が感じられる。


生産者: ペイル ローズ
銘柄: コトー デュ ラングドック シラー レオーヌ 2005
品種: シラー 90%、ムールヴェードル10%

約12000円、WA91pt(2002)
外観は濃いガーネット、粘性は高い。縁はややオレンジを帯びている。クロ デ システよりは丸みを帯びた果実味が感じられる。
バターやミルクの様な丸みがあり、その中にドライシェリーや黒オリーブの様な要素、ブラックベリーの果実味。炭焼きの風味、ベーコンの様な燻製肉、しおれたドライフラワー。紅茶、ユーカリ、黒胡椒、ナツメグの様な要素がある。滑らかでしなやかな味わいで、システと比べると大分角が丸い印象を受ける。
しなやかなタンニンと酸があり、品もある。黒オリーブやベーコン、ブラックベリーの果実味が感じられる。


生産者: ドメーヌ ド ラ グランジュ デ ペール
銘柄: ヴァン ド ペイ レロー 2011
品種: シラー40%、ムールヴェードル40%、カベルネソーヴィニヨン10%、クノワーズ10%

約12000円、WA86pt(2006)
外観は濃いガーネット、粘性は高い。縁はややオレンジを帯びている。
凝縮感のある瑞々しく甘い果実味が感じられる。イチゴやアメリカンチェリーのリキュールの様な果実味、ミルクの様なまろやかな風味が感じられる。濃厚なピノノワールの様な感じでもある。マロラクティック発酵起因のミルクティーの様な丸みがあり、ワッフル、生肉やベーコン、スミレや薔薇の様な華やかな要素。ややグリニッシュでクローヴなどの要素がある。ドライハーブ、若い葉、白マッシュルーム、クローヴ、シナモンなどの要素がある。
こちらもタンニンと酸は滑らかでほのかな甘みや旨味が感じられる。ミルクやイチゴのコンポートの可愛らしい味わいが感じられる。フレッシュで素晴らしい味わい。


【所感】
まずはドメーヌ ペイルローズから。
最新とはいえ2005年のヴィンテージのものとなる為、結構熟成感があります。共にシラー主体ですが、熟成による獣香は控えめで、基本的には塩気を感じさせる黒オリーブやドライシェリーの様な熟成感を感じさせます。炭焼きや燻製香など樽香はありますが、そこまで主張をしている訳ではなく、バランスが取れています。概ね熟成シラーなんですが、シラー レオーヌとクロ デ シストだと結構な違いがあります。
クロ デ シストはより剥き身のシラーというか、ネイキッドな果実味が感じられます。対してシラー レオーヌはややマロラクティック発酵的なニュアンスが現れており、黒系の果実味も比較的強めに感じられます。
印象としてはシラーレオーヌの方が丸みがありしなやかな味わいだと思います。クロ デ シストはミネラルを表現する為に、少し手を加えているのだろうか。
シラーレオーヌの方が少し若い印象を受けました。
2005年と熟成として結構半端な時期なので、これより熟成をしたものか、あるいは熟成期間を短くして早めに引き上げたヴィンテージをちゃんと飲んでみたいですね。とはいえ通常のコトーデュラングドックとは比べるべくもない複雑を内包した味わいだと感じました。
次にグランジュ ド ペール。
これが本当に素晴らしかった。シラーとムールヴェードル主体としながらも、非常に瑞々しく凝縮感のある素晴らしい味わいでした。いわゆるスペイン新潮流系(アンリジャイエ系)やラヤス、アンリボノー、あるいはオーストラリアの新生産者系(自然派系)に近しい繊細さやエレガンスを感じるんですが、もう少し凝縮したピノノワール系というか、そんな感じのエレガントさを感じます。たぶんブルゴーニュファンのハートにはストレートにヒットする様な味わいです。売り文句の南のロマネコンティは言い過ぎだとは思いますが、チェリーやイチゴのエキス感のある瑞々しい良いシラーです。マロラクティック発行のニュアンスもあり、何処と無くシャンボールミュジニーの面影を感じるワインだと感じました。
南仏王道的な味わいのペイルローズやマスジュリアン、極めてボルドー的なテイストを感じさせるマス ド ドマ ガザック、ブルゴーニュを思わせるグランジュ ドペール。いずれも有名な生産者でありながらも多様性に富み、様々なスタイルを受け止めるラングドック。
ルールはあれど、一切気にしないスタイルはどこかトスカーナにも似ていますね。毎度ラングドックのワインを飲むと、その可能性に大きな期待を寄せてしまいますね。




懐石料理 はし本(かいせきりょうり はしもと: 日本橋)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。


こんにちは、HKOです。
映画を見て心が十分に満たされた後は、その余韻に浸りながら静かに杯を傾けたくなります。
日本橋をふらり、小料理屋に入るなんて、いいじゃないか。


という訳で、入ってみました小料理屋、もとい懐石料理屋。日本橋 はし本へ。
こういうお店に行く時は殆どフラッと入る事は基本ありません。入ってはみたものの予約無しでは入れない場合があるので。その点一見の私もすんなりと受け入れてくれて、とても嬉しかったです。



清潔で明るい雰囲気のカウンターキッチン。
間接照明もオシャレです。
料理長の橋本眞一氏は東京吉兆で23年勤めた料理人だそうです。


今回は初訪問なので、ミニ懐石を頼んでみました。
一番安いコースですね。


◾︎突き出し(★)

水無月の胡麻豆腐の中に小豆を入れたもの。
濃厚な胡麻豆腐、蕎麦つゆの様な出汁が効いている。胡麻豆腐はクリーミーで滑らか。

突き出しから期待出来ます。
せっかくなので、日本酒も頂こうと声をかけるとメニュー外が沢山空いているらしく、大将のオススメの日本酒を出してもらう事にしました。


◾︎日本酒1
生産者: 朝日酒造
銘柄: 呼友 純米大吟醸


朝日酒造のレアなお酒。
澄んだ味わいながらお米の甘みが充実している。
ふくよかなMLF的なバターやミルクの様な香り、そして水飴や上白糖の様な甘さ。白桃やマンゴー、若竹、クレソン、よもぎなど。
柔らかな酸と充実した豊かなお米の風味が感じられる。豊満ながら澄んだ味わいが感じられる。


米の旨みがありながら、純米大吟醸のクリアネスが両立しているのが素晴らしいですね。惜しむらくは滅多に手に入らないってところか...
次にお椀です。


◾︎お椀: 焼き茄子と青梅のにゅうめん(★)

錦糸卵、澄んだお出汁と柚子の柑橘の風味。
硬さを残した入麺、青梅は辛さや酸っぱさは殆どなく、柔らかなアミノ酸の味わい、柔らかく味わい深い甘い焼き茄子。和食らしい澄んだお出汁の深い味わい。



◾︎お造り: 鯛と北海道産帆立の刺身、土佐醤油で(★★)

4種類の調味料とカツオを入れた土佐醤油。
帆立は柔らかだけど身は引き締まっていて甘みが充実。噛むと蕩けるような味わいが感じられる。
鯛は淡白ながら歯ごたえ豊かで、土佐醤油がかなり上手く効いている。プリプリの味わい。
特別貴重な食材ではないですが、とても美味しかった。酒が進む。

酒が進んでしまったので、次の日本酒を頼む。



◾︎日本酒2
生産者: 枡田酒造店
銘柄: 満寿泉 Pero 生夏酒


低アルコールで残糖を残した日本酒。
残糖分を感じさせない爽やかな夏酒です。いい感じ。



◾︎焼き物: 梅肉醤油で和えたゴボウと鱧の天婦羅、ズッキーニのフライ(★★★★)


最高。
巧みに骨切りした鱧のふくよかだけど淡白な味わい。ゴボウのコリコリとした食感、隙間に埋め込まれた梅のアミノ酸の強い旨味が鱧に絶妙にマッチしていく。天婦羅ならではのふくよかな味わいと鱧、牛蒡、梅紫蘇の調和が素晴らしい。
オマケのズッキーニのフライも秀逸。まるでお芋の様なサクサクでホクホクさがある。根菜類みたいな甘い味わいがある。



◾︎焚き合せ: 小松菜、牛タン、冬瓜、南京の炊き合わせ(★★★)


牛タンの強い風味が椀全体に満ち満ちてる。
スープには牛エキスが溶け込んでおり、小松菜や冬瓜、南瓜からもしっかりとそのエキスを感じられる。冬瓜のわずかに繊維を残した柔らかさ、南瓜のホクホクさ。ミョウガも素晴らしいスパイスにもなっている。濃厚ながら滋味と透明感に溢れている出汁。エキスの抽出元である牛タンは絶妙な脂身と牛テールのような濃厚な牛の風味が感じられる。出涸らしではない。和の中に牛が感じられるのはなかなか面白い。



◾︎ご飯: 生鯛とゴマのお茶漬け、72年糠床のぬか漬け(★★★★)


絶妙な鯛茶漬け。スペシャリテとのこと。
素晴らしい味わいの出汁とゴマの香ばしい風味が非常に魅力的。鯛はフワフワで、しっかりとしたゴマの風味も感じられる。滋味に溢れている。安心感。
海苔の風味も良い。カツオ的な風味もしっかりとある。ついつい箸が進む一品。




◾︎デザート: フルーツの白ワインゼリー寄せ(★)

メロン、ピンクグレープ、マンゴーに、バニラクリームが添えてある。巧みな味わい。


美味しかったですー!
洋食ばかり食べてると、出汁を巧みに使った繊細な料理が沁みる、ものすごく沁みる...
出汁の使い方が本当に巧みで素晴らしい。
ミニ懐石コースだからか、やや物足りなさを感じるものの、上のコースになったらさぞかし素晴らしい事でしょうね。日本酒をやりながら懐石、最高ですね。
この味か分かるようになったって大人になったなあ、自分よ。



住所: 東京都 中央区 日本橋 本町 2-3-6共同ビル 1階
店名: 懐石料理 はし本
電話番号: 03‐6225‐2456
営業時間:
お昼 11:30~14:00(l.o)
夜 17:00~21:00(l.o)

Andaz tavern(アンダース タヴァン: 虎ノ門)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。



2014年に竣工した話題のスポット、虎ノ門ヒルズ。
NHNやノバルティスファーマ、unionpayなどが入居する52階の超高層オフィスビル。



その最上階には外資系高級ホテルであるAndaz Tokyoが居を構えています。



今回のランチはそのAndaz TokyoのメインダイニングとなるAndaz Tavern。
東京を一望する虎ノ門ヒルズ51Fにある特徴的なオープンキッチンから伝統的なヨーロッパ地方料理を送り出しています。フロアは天井が高く、非常に開放的。



テーブルはカジュアルな木製テーブル、居心地の良いソファー。どこか北欧風のダイニングです。


ランチは4皿構成のコースメニューとランチボックスという木製の重箱に4種類の料理が詰められたものの2種類。(アラカルトもあります)
アンダースタヴァンのランチといえばランチボックスらしいので、まずは王道から頼んでみます。


◾︎パン

パンとバターは別皿です。
ここらへんは普通のレストラン的です。


◾︎ランチボックス

きました、ランチボックス。
木製のお重がカジュアルながらも高級感があって良いですね!
なかなか手の込んだ料理が綺麗に仕切られて並んでいます。いわゆるフレンチ的な皿毎の個別のプレゼンテーションを捨てて、ボックス全体のとしてプレゼンテーションしてる感じですね。美しい。



・春野菜とハーブのサラダ トマト
ルッコラやハーブ類が沢山入ったサラダ。
かなりハーブの香りが強くて、ヴィネグレット的なドレッシング。トマトが甘いです。

・ポークパテ ラディッシュ ガーキンサルサ ピスタチオ(★)
パンと一緒に。いわゆるパテっぽいコニャックの香りあんまりは無くて、豚肉そのものの味が強いです。
よりプレーンな感じ。脂身の甘さと豚肉の風味がとてもパンとよく合います。ピスタチオのコリコリした食感もいいですね。いわゆるアミューズ的な立ち位置でしょうか。

・スモークした鮪 大麦と大根のサラダ ホワイトアスバラガス(★★)
雑な感想で言うとアボガドマグロ丼みたいな感じ。
コリコリとした芯を残す大麦、濃厚なアボガド、甘く塩味を感じるホワイトアスパラガス、スモーキーな燻香が感じられるマグロで構成。
味付けは少し酸味を感じるドレッシング。大麦の食感でねっとりとしたアボガド、鮪の燻製の燻香がとても良く合っています。
全体的にスモーキーでねっとりとした濃厚さがあります。前菜的なポジションにピッタリだと思います。



・国産牛のスライス 紫マスタードのジュ 春大根の煮込み(★★★)
メインの一皿(?)
マスタードの華やかな香りが食欲をそそります。
甘さが際立つ大根、ジャガイモ。これらにマスタードと牛肉のエキスが染みている。
牛肉は和牛らしく粘性があり柔らかい。強い脂身の要素をマスタードの風味が引き締めている。細切れ肉ではあるものの、BOXにたっぷりと入っていて食べ応えがある。



・季節のエクレア セレクション(★)
まずはエルダーフラワーレモン。エルダーフラワーの華やかな香りとレモンの豊かな酸味がいい感じです。
ゆずも柑橘の清涼感とある香りと酸味を感じるクリームでこちらも爽やか。
最後のチョコレートバナナは結構しっかりとバナナの風味が感じらます。濃厚チョコレート。
デザートというかミニャルディーズみたいですね。
ランチだからこんなものかもしれませんが。


以上アンダースのお手軽ランチでした。
どれも良くできていますが、値段もランチコース並なのでお得かというと微妙なところ...
職場、あるい家から近ければ、少し贅沢なランチとして使えます。
あえて時間をかけて行くか、というと微妙なところですが悪くないと思います。

住所: 東京都港区虎ノ門1-23-4 アンダーズ東京
店名: Andaz tavern(アンダース タヴァン)
電話番号: 03 6830 7739
営業時間:
朝:6:30~10:30
昼:11:30~15:00
夜:18:00~22:00
朝食営業、ランチ営業、日曜営業


【トスカーナ: 10】カーゼバッセ、幻の2008 ブルネッロ ディ モンタルチーノ。

こんにちは、HKOです。
本日はブルネッロ ディ モンタルチーノの最高峰、カーゼバッセのIGT トスカーナ ソルデラです。
今回の2008年ヴィンテージは例の事件の影響を受けたヴィンテージで、極めて品薄になっています。
ちなみにシリアルは2000番台。そう考えると数十樽は残ってる事になりますね...


【データ】
カーゼ バッセ ディ ジャンフランコ ソルデーラは、モンタルチーノ地区の南西部に拠点を置くワイナリー。作付面積は23ha。
栽培は全てビオロジック。標高320mの南西向きの斜面に位置し雨の少なく霧が発生しない日照条件の良い気候。気候収穫したぶどうはオーク大樽で温度管理はせず発酵。酵母の添加やバリック樽は使用しない。
熟成はブルネッロで4年、リゼルヴァで5年熟成させた後、瓶で9ヶ月熟成。
リゼルヴァは上質なぶどうが収穫された年のみに作られます。醸造所は最適な熟成環境を確保するために騒音 温度変化 臭気から遮断されています。
ニュースにもなりましたが元従業員が2006~2012までのバレルの栓をすべて開けて逃げた事によってこれらのヴィンテージは全滅してしまっています。よってほぼこれらのヴィンテージは手に入らない状況です。今回は2008年はごく少量残ったワインを瓶詰めしたもの。
名称がIGTになっているのは2006年から。
上記の理由からか、はたまたは協会から脱退したからなのかハッキリとした事は分かりませんでしたが、まあそんなとこでしょう。


【テイスティングコメント】
生産者: カーゼバッセ
銘柄: IGT トスカーナ ソルデラ 2008
品種: サンジョベーゼ グロッソ 100%

外観は透明感のある濃いガーネット、粘性は中庸。
外観の色調の淡さからは想像つかないようなイタリア的な堅牢さがある。
少し硫黄のような還元香、そしてイーストや毛皮の様な香り、燻製の様なローストした様な味わい。オイリーでタール的、トリュフや土の風味。硬いイタリアワインにありがちな硬さ。
果皮の強いダークチェリーやブルーベリーの様な果実味、スパイシーな甘草。鉄観音の様な香りもある。
香りは今ひとつだが口に含んだ時の味わいの広がりは極めて素晴らしい。
少しの苦味とドライアプリコットをそのまま液体にした様な酸味と旨味、グリセリン感が乗ってくる。
特に含み香が圧倒的に素晴らしく、スミレやアプリコットの様な立体的な余韻が残る。


【所感】
うーん、やっぱりこれまで何本か評価の高いブルネッロ ディ モンタルチーノの飲んでみたけど、改めて僕の好みには合わないみたい。古酒はいいとは思うんだけど、若いワインが致命的に香りが好みじゃない...
ビオンティ サンティは華やかな香りは素晴らしかったですが、他のがなぁ...
ブルネッロじゃなくてサンジョベーゼは比較的好きな方ではあるんだけど。
以上、好みの話。以下ワインとして評価。
やや還元的なワインで、大樽熟成というのもあり酵母と野性味のある香りが主体的です。甘やかな樽香は無く、どちらかというと黒土系、あるいは炭焼き系の樽香、スパイス、ブドウそのものの香りが感じられます。故に堅牢。キャッチーさは無くて、どちらかというと古風なワインだと思います。
しかし、その香りとは裏腹に含み香は抜群に素晴らしい。わずかな苦みとともにドライアプリコットをそのまま液体にした様なグリセリン感を帯びた濃縮した液体です。それとともに果皮のスミレのアロマがしっかりと感じられます。生き生きとした溌剌とした液体です。ここは抜群に素晴らしい。
香りの方向性は異なりますが、全体的な印象はブルーノ ジャコーザに似てますね。もう少し香りと含み香のバランスは良いですが...
という訳でカーゼバッセのブルネッロでした。
うーん、品薄という需給バランスで決まる世界とはいえ、この価格帯なら他に飲みたいワインが沢山あるので、あえて選ぶことはないでしょうなー。
ただこれだけ評価されているのですから、やっぱり好みの問題でしょうなぁ。

【オーストリア:2】オーストリア 高品質白2本テイスティング

こんにちは、HKOです。
本日はオーストリアの素晴らしいベーレンアウスレーゼとドライ グリューナーの2本です。


【データ】
ハイディシュロックはノイジードラーゼー ヒューゲルラント ルストにあるワイナリー。ルストの有名な甘口ワインの『ルスター・アウスブルッフ』はの第一人者。今回のベーレンアウスレーゼはノイジードル湖の高い湿度により貴腐菌が成長し、レーズン化したブドウを使用しています。 2010年は50%のリースリング、50%ピノ·ブラン。木製樽で発酵し、12ヶ月熟成。残糖は130g/l。

FXピヒラーは1898年にヴァッハウに設立された老舗ワイナリー。現在の当主はルーカス・ピヒラー。
1998年には後にパーカーポイント97+を取得するリースリング ウンエンドリッヒが造られます。
保有する畑は約16ha。約50%がグリューナー、48%がリースリング、2%がソーヴィニヨンブラン。
暖かいパノニア気候と大陸性気候、ヴァルトフィアテルから冷風が谷に沿ってドナウ川に流れ込む事で昼夜の温度差が激しい気候が生まれます。
鉄分を含む風化してやせた原生岩、片麻岩、花崗岩、雲母片岩が織り交ぜられた土壌。
自然に熟したブドウだけを複数回手摘みし、丁寧に醸造、30-40年間使用のオーク材大樽で熟成。補糖、清澄、あるいは濃縮も行わない。
今回のグリューナーヴェルトリーナー Mは「モニュメンタル」=「金字塔」の頭文字から取っている。
「M」用のブドウは他のラーゲンワインよりも2週間から3週間遅く摘みされ、70%は銘醸畑ロイブナーベルク、残りも優れた銘醸畑から選ばれたブドウを使用しています。


【テイスティングコメント】
生産者: ハイディ シュロック
銘柄: ベーレンアウスレーゼ セレクション 2010
品種: リースリング 50%、ヴァイザーブルグンダー50%

外観は濃いイエロー、粘性は高い。
しっかりと酸味を帯びた、黄桃やドライアプリコットの豊かな果実味。マスカテルフレーバーを思わせるダージリン、シナモンなどのスパイス。
リースリング50%の割にはペトロール香は感じられず、どちらかというとピノブランの性質の方が良く出ているかもしれません。ドライフルーツの様な濃厚な甘露さがあるが、クリアで濃厚。
骨格を形成する酸味はしっかりと存在している。
糖度は高く非常に甘露で濃厚なドライフルーツの余韻が感じられる。


生産者: FX ピヒラー
銘柄: グリューナーヴェルトリーナー スマラクト M
品種: グリューナーヴェルトリーナー100%

約12000円
粘性を感じるようなオイリーなミネラル感。
香りにどこかスパイシーな風味が漂う。白胡椒やバター、熟したグレープフルーツ、花梨の様な果実味。白い花やフレッシュハーブの様なアロマが感じられる。時折ハチミツなどの要素も感じられる。
クリーンだが非常に香りに厚みがあり、ねっとりとした重量感が感じられる。ただアロマやミネラル感は冷涼地域独特だと思う。アロマの要素自体はスパイシーさとミネラル感の現れ方、ボディの厚みを除けばシャルドネにも似ている。
口に含むと厚みのある酸と共にハチミツやバタートーストの様な甘いアタックと余韻を感じる事が出来る。それと共にはっきりとした苦味がある。


【所感】
進んで飲むようなジャンルではないものの、今までオーストリアワインで外れた事がない。
ドライリースリング、ゲヴェルツ、グリューナー、そしてトロッケンベーレンアウスレーゼまで。
もちろんいい奴ばっかり飲んでたっていうのもあるのですが、大概な1万円は超えません。2万円は絶対行かないです。ドイツでトロッケンベーレンアウスレーゼやゴールドカプセル、アイスワインなんて飲もうもんなら全く手が出んわけですから、良心的もいいところです。
今回のドライグリューナーとベーレンアウスレーゼも素晴らしかったです。っていうかハーフながらベーレンアウスレーゼで5000円以下って半端ないですね。
まずハイディ シュロック。
ベーレンアウスレーゼの130g/lにも及ぶ残糖が生み出す濃厚な甘露さとともに、フルーティーな厚みのある酸がとても魅力的です。ハンガリーやオーストリア、ドイツの甘口は強い酸があるのが引き締まっていていいですね。そしてそこに複雑さを付け加える紅茶やスパイスの豊かな香りが感じられます。
しかしこの甘口、50%がリースリングなのにも関わらず、独特のリースリングの香りがしないのが不思議ですね...完成度の高いベーレンアウスレーゼだと思います。
次にピヒラーのスマラクト M。
辛口ながら非常に粘性が高いねっとりとしたタッチで、その裏に隠れる骨太なミネラル感、そしてスパイシーさがなかなか個性的です。並行してバターや少し苦味を帯びたグレープフルーツ、花梨、ハチミツの果実味が感じられます。粘性で言うならナパシャルドネにも似ていますが、果実味自体や副次的な要素としては冷涼地帯のそれなので、クリーンな印象を受けますね。厚いボディとはアンマッチの様にも思えましたが...それがスタイルなのかもしれません。残糖分はほぼ無いですが、グリセリンとちょっとした貴腐ブドウを思わせる風味があり、少し甘みを感じます。
個人的に100%好みかというと、正直そんな事はないんですが、完成度の高いワインである事は間違いないですね。割とこのスタイルに慣れている人ならハマるワインかもしれません。



【ブルゴーニュ:108】老舗ドメーヌのプレステージ、モンラッシェとクロ ド ベーズ

こんにちは、HKOです。
本日はブルゴーニュ最大級のネゴシアンのドメーヌ部門が作るモンラッシェ、そしてクレール ダユの畑を継ぐブリュノ クレールのフラッグシップであるクロ ド ベーズの2本です。


【データ】
1979年に設立されたブリュノ クレールはマルサネに拠点を置く生産者。出生はクレール ダユだが、相続によって多くの畑を失い、後にブリュノクレールとしてそれを買い戻している。現在は合計23haを保有する大ドメーヌとなっている。
栽培はリュット レゾネによって行われている。樹齢は40-60年の古木を使用。収穫は手摘みで、除梗は多くて10%とほぼ全房発酵がなされている。低温浸漬を行い、自然酵母による発酵が行われる。
発酵後、新樽比率20~50%で16~22ヶ月の樽熟成が行われる。清澄は行われません。

ブシャールはブルゴーニュの大手ネゴシアン。歴史は長く1731年にミシェルブシャールがヴォルネイの会社を購入した事から歴史が始まります。
次々と畑を買い足して行く中で1960年までは非常に高い品質を保っていたもののアンリオ社に買収される90年代中盤まで、その評価は地に落ちる。以後劇的に品質は向上している。
人手での収穫、選果台での選定、100%除梗、グラビティフロー式の醸造機を導入。新樽比率は区画、ヴィンテージによって変えているそうです。まるでトップドメーヌが如きこだわりですが、ここ最近のネゴシアンは自社で畑を持っているケースも多く、品質の高いネゴシアンは例外無く気を使った栽培醸造をしている印象。
今回のモンラッシェはドメーヌもので自社畑1.9haを所有している。熟成にはタランソーのオーダーメイド樽を使用。


【テイスティングコメント】
生産者: ブリュノ クレール
銘柄: シャンベルタン クロ ド ベーズ グランクリュ 2008

WA95pt
赤みの強いルビー、粘性は高い。
2008年という事で少し熟成を経ており、旨味が表出している。少し塩気を感じるブルーベリーや紫スモモのジャミーな果実味、ナツメグや生肉の様な熟成香、クローヴ、スミレのドライフラワー、焼いた樹皮、鉛筆の芯、徐々に少し乾いたようなジャミーな甘みが現れてくる。
酸味やタンニンは落ち着いており、その分旨味が表出している。ハーブや生肉、スミレのような余韻が残る。クロドベーズ的な側面はタンニンや酸味に現れており、しなやかな体躯に強固な体躯を内包している。


生産者: ブシャール ペール エ フィス
銘柄: モンラッシェ グランクリュ 2011

WA93-95pt(2009)
外観はレモンイエローで粘性は高い。
豊満な果実味とともに、強靭なミネラルと複雑さが潜むシャルドネ。
石を砕いた様なミネラル感が根底にありつつも極めてリッチで、スポンジケーキやコンポートした黄桃や洋梨の濃密な果実味があり、無塩バターや杏仁豆腐のニュアンス、ノワゼット、バニラ、白い花やほのかなハーブ類の香りが感じられる。骨子は完全にコンポートのような濃密な果実味、そしてスポンジケーキのようなふくよかな甘み、ミネラルがメインとなっている。
ボディの厚みも半端ではない。ねっとりとしたすごいグリセリン感。溌剌としていながらグリセリンに覆われた滑らかな酸味があり、ほのかな苦みと共に黄桃や洋梨の満ち満ちた果実味が長い余韻を残していく。


【所感】
突出した生産者の垂涎のフラッグシップです。
まずはブリュノ クレールのシャンベルタン クロ ド ベーズ。凝縮したリッチな果実味が魅力的なブリュノ クレールのワインですが、クロドベーズも例に漏れず濃密なボディを持っています。...ただ残念な事に少し酸化的な要素が目立つ形となっています。
塩気を感じるジャミーな果実味とナツメグ、生肉やドライフラワーの様な風味が出ています。ボディの厚みに対して熟成ニュアンスが出過ぎているので、ちょっとアンマッチな感じがします。こちらは要検証って感じですね。折角のブリュノクレールのクロ ド ベーズだったのですが、残念です。
次にブシャールのモンラッシェです。
シュヴァリエにもタイプは違いながらも同じような感覚を覚えるものの、モンラッシェは流石に別格感が際立ちますね。どのモンラッシェにも共通して強烈なミネラル感とそれを遥かに凌駕する恐ろしいほどの球体感と凝縮感が感じられます。シュヴァリエは逆ですね、球体感と凝縮感が十分に感じられるものの、それを遥かに超えるミネラルがあるという。
今回のブシャールのモンラッシェも御多分に洩れず若いヴィンテージながら充実した球体感が感じられます。すでに熟成の姿が容易に想像がつくような、リッチさがあります。スポンジケーキやコンポートした黄桃や洋梨のような果実味とアロマがあります。新樽のニュアンスは過剰には出ていません。
やっぱり改めて思うのが、モンラッシェの濃密さは新世界のそれとは全く異なりますね。充実した果実味とMLFだけではなく、オイリーなミネラルと冷たい酸味が骨格を形成していて、より立体感を感じる作りになっています。単純に果実味という意味ではカリフォルニアのシャルドネの方が強いものが多いと思いますが、流石に冷涼さやミネラルまで表現をできているワインはそう多くないと思います。
そういう意味では大規模生産者ながらブシャールの作るモンラッシェはモンラッシェとして必要な全てを再現しきっているような気がしますね。
カリフォルニアのシャルドネは大好きですが、立体感や品の良さの演出はやっぱりブルゴーニュの方が得意分野の様に見えますね。
偉大なシャルドネです。







【ブルゴーニュ: 107】気鋭の生産者バシュレ モノ、ドメーヌ ド ベレーヌを利く

こんにちは、HKOです。
本日はブルゴーニュの新鋭生産者であるバシュレモノ、そしてニコラポテルのドメーヌであるドメーヌ ド ベレーヌです。


【データ】
ドメーヌ バシュレ モノは2005年に設立されたマランジュに拠点を置くドメーヌ。現当主はマルク、アレクサンドル兄弟。シャサーニュモンラッシェ、ピュリニーモンラッシェを中心に高品質なシャルドネを生産しています。フラッグシップはバタール モンラッシェ。
栽培は除草剤は使わず収穫は全て手摘み。除梗せず空気圧式圧搾機で搾汁します。アペラシオンによって新樽の比率を変えながら、12~18ヶ月熟成します。
今回の村名シャサーニュモンラッシェは1級畑マルトロワの斜面下の石灰粘土質の畑を使用。樹齢40年、収量40~50hl/ha。
収穫後、低温で24~36時間ほどデブルバージュ、樽にてアルコール発酵、新樽比率30%で樽にて12ヶ月熟成。

ドメーヌ ド ベレールはコート ド ボーヌに2007年に設立されたドメーヌ。ニコラ ポテル氏のドメーヌ部門なのですが、1997年に設立した「メゾン ニコラ ポテル」が2004年に大手に買収された為、自身のブランドとしてネゴシアン「ロッシュ ド ベレーヌ」自社畑のドメーヌ「ドメーヌ ド ベレーヌ」を立ち上げました。ドメーヌは少量生産で畑から醸造までビオロジックの考えを徹底した妥協なき造りを旨としています。
今回の村名畑であるカルティエ ド ニュイは完全ビオディナミで5kgのケースを使用し手摘みの後、除梗比率は基本的に全房発酵、小型のステンレスタンクにて低温で30日発酵。新樽50%で16ヶ月熟成。無濾過無清澄。100%マロラクティック発酵。
標高250mの東南東向きの粘土石灰岩土壌(0.3ha)、最高樹齢85年。収穫は2010年9月27日。生産本数は1890本。



【テイスティングコメント】
生産者: バシュレ モノ
銘柄: シャサーニュ モンラッシェ 2012

外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
かなり洗練されたクリーンでチョーキーなシャサーニュモンラッシェ。
強固で力強いミネラル感があり、その上でシャサーニュらしいクリーンかつリッチな果実味が感じられる、品のある蜜を感じさせるような洋梨、花梨の様な果実味、比較的しっかりと表出したバターの風味、白い花やフレッシュハーブなどの要素が感じられる。ミネラル起因のオイリーさが少しある。
酸はきっちりと立っていて、チョーキーなミネラルが際立って感じられる。しかしながら堅牢ではなく、花梨のようなクリアで品のある風味が感じられる。ほのかに苦味がある。マロラクティック発酵の要素はハッキリとあるもののコッテリとしたクリーミーさは無く、ミネラル感がありながらも堅牢ではない、クリーンな果実味が魅力的なバランス感の良いシャサーニュモンラッシェ。


生産者:ドメーヌ ド ベレーヌ
銘柄: ヴォーヌ ロマネ レ カルティエ ド ニュイ 2010

外観は澄んだ強い赤みを帯びたルビーで粘性は高い。
ヴォーヌロマネらしいエキス感と赤系果実の果皮を思わせる様な妖艶な香水の様な香りが感じられる。抽出は強めだが、果皮が薄いか、ジュヴレの様な堅牢さはない。
なめし革というより鉄分を帯びた血のような香り、五香粉やクローヴ、焦げた樹皮、ダークチェリーやブルーベリーの様なエキス感のある果実味が感じられる。
スミレや鉛筆の芯、ローズマリー、リコリスの様なハーブやスパイス類の香りを感じさせる。100%MLFだが、乳酸的な要素は無く、華やかさが勝っている、
少し梗の要素があるが、自然派的ではなく、全房ではないと思う。
いわゆるヴォーヌロマネの王道的な香り。だが、それに出会うのは少ない。
酸味は繊細で、タンニンもスムーズ、口当たりはほぼ完璧に近いがほのかに厚みを演出する苦味を感じるのはMLFらしいかも。スミレや血液の様な鉄分を感じさせる余韻がある。


【所感】
まずはバシュレ モノ。
以前マランジュを飲んだ時から思ったのですが、やっぱりメチャクチャ品質が高い!内包する要素のバランス感が半端ないです。
シャサーニュらしいリッチな果実味を基調にしながら、ピュリニーにも通じるチョーキーで力強いミネラル感、ラクティックなバターの風味があります。
酸味もキッチリと立っており、醸造要素が十分に感じられながらもピュアな印象があります。
コッテリとしたいわゆる樽とMLFが主体となったタイプではなく、あくまで果実味主体。その果実味も花の蜜の様な品がある。シャサーニュの中でもかなりピュアな方に入ると思う。
あとシャサーニュやピュリニーによく見られるミネラルの過剰感も無く、ビッグな果実味も無く、本当にバランスの取れたシャルドネになっています。
本当に素晴らしい生産者なので、早急にバタールモンラッシェを飲まなくては...

次はドメーヌ ド ベレーヌのヴォーヌロマネ村名畑。
久しぶりに感じたヴォーヌロマネの王道的な味わい。
妖艶さを演出する果皮由縁の華やかさや血の様な鉄分、伸びやかなエキス感。それらを壊さない程度でありながらオリエンタルな風合いを演出する樽香、エシェゾーにも似た伸びやかさをどこか感じる事が出来ます。スパイシーな梗の要素もあります。
実際後から調べて分かったのですが、エシェゾーとグラン エシェゾー、クロヴージョに隣接する村名畑で、特徴的なアロマをしっかりと演出してきています。
村名ですがいい位置にありますね...クロヴージョなら中腹部だし...でもどちらかというとエシェゾー的な性質が強い様な気がします。なんでヴィラージュなのか...平地ではあるけれど...

以上2本でした。共通して品質は高いと思います。
どちらも大変オススメのお買い得ブルゴーニュだと思います。





【ボルドー: 26】Back in 1988. ボルドー左岸(グラーヴ)

こんにちは、HKOです。
先日は1988年のサンジュリアンとポイヤックでしたが、今回はグラーヴの3つのシャトーです。
パプクレマン、ドメーヌ ド シュヴァリエ、そしてラ ミッション オーブリオンの3本です。


【データ】
ドメーヌ ド シュヴァリエはペサックレオニャン南西の郊外に拠点を置く、メドック二級シャトーにも匹敵するシャトー。
保有する30haの小さな畑の土壌は砂礫質かつ粘土質と鉄分、そして相当量の黒砂を含む。春の遅霜と雹に見舞われる事が多い。平均樹齢は30年、平均収量は45~48hl/ha。
赤は30℃以下での発酵、3週間のマセレーションは温度管理された100hl、150hl入りのステンレスとエポキシ張りの槽で実施。熟成は毎年3分の1ずつ更新される樽で18~22ヶ月。清澄も濾過も行う。
生産量は8万本、セカンドラベルが9万本。

シャトー パプ クレマンは、1299年から歴史が続くシャトーオーブリオンから数キロ程度の距離に位置するグラーヴのシャトー。「バビロン捕囚」の法王クレマン5世がフランス革命まで保有していたこともある。
その後農業工学者であるポール・モンターニュ、そして現在はその相続人が管理し、運営はベルナール・マグレが、醸造コンサルタントはミシェルロランが担っている。70年代に品質を落としたが、80年代に復活している。
パプ クレマンの畑(30ha)は極度に軽い砂利質の土壌の上にある。平均樹齢は27年、平均収量は39hl/ha。
コールドマセレーションは3日間。発酵とマセレーションは温度管理された木製槽で実施。ビジャージュは手作業で行い、新樽でマロラティック発酵、20ヶ月の熟成。清澄はしないが濾過はヴィンテージによる。
平均年間生産量は9万5000本。

シャトー ラ ミッション オーブリオンはシャトー オーブリオンに隣接し、長年ライバル関係にあったペサックレオニャンのシャトー。
17世紀、ラ ミッションの信徒によって設立されたが、フランス革命後、1983年にオーブリオンの現在の所有者であるクラランス ディロン家に売却されるまでウォルトナーによって管理された。1982年以降は新樽の使用比率を増やし、現在は100%新樽。メルロの割合は45%まで増加され、カベルネソーヴィニョンとカベルネフランは減らされた。
一般的にはオーブリオンよりもはるかにリッチで、力強いワインで、貧弱なヴィンテージによいワインをつくることにかけてはラトゥール同様、随一。
ラ・ミッション・オー=ブリオンは依然として一級シャトー並みの品質。
畑は20ha、平均樹齢21年、平均収量45hl/ha。
発酵とマセレーションはコンピューター制御で温度管理された180hl入りのステンレスタンク、熟成はオークの新樽で20ヶ月。清澄するが、濾過はしない。


【テイスティングコメント】
生産者、銘柄: ドメーヌ ド シュヴァリエ ルージュ 1988
品種: カベルネソーヴィニヨン55%、メルロー35%、カベルネフラン4%、プティヴェルド6%

約24000円、WA90pt
外観は橙を帯びた若々しいガーネット、粘性は中庸。
香りは比較的若々しい。
トーストやミルクコーヒー、鉄分、そしてほのかな腐葉土や燻製肉。オリーブやダークチェリーの果実味。
徐々に果実の蜜を思わせるほのかな甘い香りが漂う。
スミレや椎茸や蒸れた靴下、メイプルシロップ、甘草などの要素も感じられる。
この中では最もトースティーで果実味豊かで若々しい、極めて良いタイミングの古酒。堅牢さや密度はラミッションやピジョンバロンには劣るものの、十分な魅力がある。
酸味もタンニンも生き生きしており、バランスの良いアタック感がある。ダークチェリーや腐葉土、スミレの様な余韻が長く続く。


生産者、銘柄: シャトー パブ クレマン 1988
品種: カベルネソーヴィニヨン54%、メルロー46%

約27000円、WA92pt
外観は赤みの強いガーネット、僅かに橙を帯びるが若々しい色彩、粘性は中庸。
腐葉土や熟成肉、オリーブ、潰したブラックベリーの様な果実味、カマンベールチーズやミルクティーなどの香り。トリュフ、鉄分や濡れた樹皮、炭焼き、徐々にドライフラワーが強く現れる。
全体的にしなやかで丸みがあり柔軟な体躯。強い熟成香とは裏腹に穏やかな雰囲気が漂う。
酸味もタンニンは穏やかだが、凄まじい旨味があり、木材や腐葉土、ベリーの果皮の様な余韻を残していく。この中では飲みやすくスムーズ。


生産者、銘柄: シャトー ラ ミッション オーブリオン 1988
品種: カベルネソーヴィニヨン62%、メルロー35%、カベルネフラン3%

約60000円、WA90pt
外観は濃い橙を帯びた若々しいガーネット、粘性は中庸。
力強い腐葉土や熟成肉、タバコ、オリーブや果皮の厚いブラックベリーの果実味。ドライフラワーや鉄分、そしてカマンベールの皮、キノコ、枯葉などの熟成した要素が強く感じられるのが特徴だが、ボディはしっかりとしており、パブクレマンと比べるとくっきりとした輪郭で堅牢さを感じる。
徐々に丸みを帯び、ジャムのようなブラックベリーの芳香を感じさせる。
タンニンは柔らかいが酸が少し立っている。
タバコや腐葉土、黒系果実の果皮の余韻がある。スモーキーで個性的な余韻を感じる。
この中では最も堅牢で力強く、長期熟成を期待させるような強烈なプレセンス。まだまだ熟成する。


【所感】
どれも優れた古酒でありながら、かなり方向性というか、違いが手に取るように見えますね。とても面白い比較になりました。
特にドメーヌ ド シュヴァリエは何度も飲んだ事はあるものの、実際他のグラーヴのシャトーと比較した事が無く、今回改めてその差をハッキリと認識する事が出来ました。
まず今回の比較の前提ですが、どのワインもカベルネソーヴィニヨン主体でありながら、相当比率メルローが混醸されています。1988年はメルローが良く出来た年。なるほど、ポイヤックとサンジュリアンと比べると安定感がある様に思えました。
まずスタンダードなグラーヴのパプ クレマン。
しっかりとした熟成香と共に潰したブラックベリーの果実味、MLF的な要素がしっかりと現れており、果実味も相まって丸みを感じさせる体躯です。多分MLFによって酸が丸くなった部分に起因するのかもしれません。ドライフラワーの様な華やかな要素や、グラーヴらしいスモーキーな雰囲気ももちろんあります。
非常にキャッチーて飲みやすい雰囲気を纏うワインです。
対してラ ミッション オーブリオンはオーブリオンに並び立つに相応しいハッキリとしたテクスチャーと筋肉質な体躯を持った古酒に仕上がっていました。
MLFで丸みを帯びたパプクレマンと比較すると、しっかりと各要素が際立っていて、熟成香を主体としながらも、グラーヴらしいタバコやジャムの様なブラックベリーの果実味、強い果皮の要素、そしてチーズのようなアロマが際立っています。大枠スモーキーで果皮のニュアンスが強く、また果実味も豊かですが、その裏腹に堅牢という印象も受けます。タンニンも酸もしっかりあるので、まだ少し熟成しそうです。
最後はドメーヌ ド シュヴァリエ。
何故最後にこれを持ってきたかというと、先述したように、今までのこの2種のグラーヴとは全く違うから。極めて若々しくキャッチーな味わいに満ちています。
ロースト香とMLF起因の要素がはっきりと残っており、そこに混じり込むように熟成の腐葉土のニュアンス、果実の蜜を思わせる果実味、メイプルシロップの様なアロマが現れます。密度こそラ ミッションやバロンに劣るものの、若々しいアロマと熟成香両方を楽しめるという点でとても魅力的です。メルロー比率が多めのメドックワインに近い。酸味やタンニンもしっかりとありますが、ボディは熟成なりなので、熟成ポテンシャルは高くないと感じました。
そんな感じで3本ですが、ラ ミッション以外は基本的に丸みを帯びていました。MLFの要素が残留していたのと、そもそも若いスタイルの2本だったのでそう感じたのかも。あとは果実味が意外と残っているものか多かったのも印象的ですね。
1988年のグラーヴはなかなかいいと思います。
というかメルロー比率が多いのが良いという感じでしょうか。せっかくなんでオーブリオンも飲んでみたいですね...1988。




【ボルドー: 25】Back in 1988. ボルドー左岸(ポイヤック、サンジュリアン)

こんにちは、HKOです。
本日はボルドー垂涎の1988年の古酒2種類です。
アペラシオンはポイヤックとサンジュリアン。
まず1988年のボルドーとは一体どういった年だったのでしょうか。

◾︎1998年ボルドー
ファインズ ヴィンテージチャート:◎(とても良い年)
ワイン アドヴォケイト ヴィンテージチャート: 87pt(平均より良い年 飲み頃)
どうやら悪い年ではなさそうです。
9月までは好天が続き雨も適度。葡萄は順調に成熟していたが、収穫が、やや早めの為、カベルネよりもメルロ主体のワインのほうが成功したようです。

さて、実際のところどうなんでしょうか。


【データ】
シャトー ピジョン ロングヴィル バロンはコンテス ド ラランド、ラトゥールに隣接するメドック格付け2級シャトー。アペラシオンはポイヤック。
1980年終わりにAXAへ売却された後、ランシュ バージュのジャン ミシェル カーズを監督として雇用し、新たに導入された厳しい選別、収穫時期を遅らせる、セカンドワイン導入、新樽比率の向上によって劇的に品質が改善した。作付面積は68ha、平均樹齢は35年。収量は45hl/ha。
砂利質で生育したブドウは手摘みで収穫。100%除梗。ステンレスタンクで通常15~17日間発酵、マロラクティック発酵も一部行われる。3ヶ月後樽に移され、新樽は70%で12~15ヵ月熟成。清澄処理も濾過処理も実施。

デュクリュボーカイユはオレンジ色のラベルが特徴的なメドック第二級シャトー。こちらも年によっては第一級を凌駕する事からスーパーセカンドとされています。2003年からメドックの名士、ボリー家のブリュノ ボリーがこのシャトーを牽引しています。
ボリー家が所有して以降30年間に渡ってその品質を高めたため、現在の地位を築き上げたといえる。
栽培面積は52ha、平均樹齢38年、平均収量49hl/ha。畑で選果を行い手摘みで収穫後、除梗機で除梗。温度管理されたステンレスとコンクリートのタンクで17~21日間、アルコール発酵とマセレーションを行う。新樽50~65%で18~20ヶ月樽内熟成を行います。
セカンドラベルはラ クロワ ド ボーカイユ。



【テイスティングコメント】
生産者、銘柄: シャトー ピジョン ロングヴィル バロン 1988
品種: カベルネソーヴィニヨン75%、メルロー25%

約29000円、WA90pt
外観は濃い橙を帯びた若々しいガーネット、粘性は中庸。特徴的な野生的な獣香、熟成肉、そして腐葉土。オリーブやブラックベリーの塩味を感じる果実味。少しスパイシーなリコリスやドライハーブの要素、甘草などの要素を感じられる。徐々に果実味がジャムのような香りを帯びてくる。炭焼きや焦がした木材の樽香がはっきりと感じられる。
ラミッション同様堅牢ではっきりとしたテクスチャーがあるが、より焦げた様な風味と極めて野生的な体躯を感じる。力強いポテンシャルを持ったポイヤック。
タンニンや酸は滑らかであるものの、堅牢な余韻があり、焦げたような苦みとリコリス、オリーブの様な風味を感じられる。


生産者、銘柄: シャトー デュクリュ ボーカイユ 1988
品種: カベルネソーヴィニヨン75%、メルロー20%、カベルネフラン5%

約34000円、WA88pt
外観は赤みの強いガーネット、僅かに橙を帯びるが若々しい色彩、粘性は中庸。
熟成による腐葉土や熟成肉、燻製の香り、わずかな獣香、ヨードチンキ、オリーブやブラックベリーの果実味を感じる。カマンベール。樹皮など。 少しずつ鉄分の香りが主張してくる。やや輪郭はぼやけていてパワフルさは欠けるものの、透明感のある古酒。少し野性的でパワフル、それでいて全体的な雰囲気はエレガントさを纏う。
酸味もタンニンも非常に柔らかくソフト。
腐葉土や焦げた木、ブラックベリーの様な余韻が長く続いていく。


【所感】
カベルネソーヴィニヨン主体のこの2本については、しっかりと熟成香が主体的に現れており、時折獣香を思わせるパワフルで野生的なニュアンスがあります。
まずロングヴィル バロンについて。
堅牢さが約27年の熟成を経てなお残っています。
熟成香を主体としながら旨味を感じるベリーやオリーブ、スパイシーさと焦がしたニュアンスが未だ残ります。今回のテイスティングの中ではラ ミッション オーブリオンと並びはっきりとしたテクスチャーを残しており、まだ熟成のポテンシャルを残しているように感じました。あまりマロラクティック的な要素は感じず、比較的ぶどうそのものと樽の要素が際立っている印象を受けました。ここまでくると独特のアーシーさが熟成ニュアンスに飲み込まれ、あまり個別の特徴を感じませんでした。とはいえ綺麗に熟成したボルドーではあると思います。
次にデュクリュボーカイユ。
こちらは若かりし頃の濃密さやボリューミーなはち切れそうな果実味はちょっと影を潜めていますを
先述の通り熟成香ははっきりとあり、獣香も目立ちます。全体的にややぼやけたテクスチャーで、密度や要素の鮮明さは抜け落ちています。ただ熟成による透明感はあり、これはこれで悪くありません。
ちょっと果皮のニュアンスが目立っていて、そこはきっと当時抽出が強かったんだろうな、と。
この中ではあまりよろしくない部類ですが、ボルドーの熟成の魅力としては完全に再現しています。
この2本、どれもメドック産のカベルネソーヴィニヨンの熟成の魅力を雄弁に語りかけますが、実は次回のグラーヴのワインが本当に素晴らしくて、少し霞んでしまいますね。
良質のワインですが、もう少し熟成を経ると枯れる直前の最後の光を楽しめるのではないかと思います。




催事・銀座三越 春のフランスフェア

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。


こんにちは、HKOです。
銀座三越の催事で春のフランス展というのがやっていたので、見に行ってきました。

これがなかなか凄くて、名だたる名パティシエ、名レストランの惣菜やスイーツが惜しみなく催事場に並びます。その上極太のホワイトアスパラやアーティチョークなどの野菜の物販、チーズやワインなどもあり、見てて全く飽きが来ません。

今回はそんな中で今回限られた時間で行ってきたのが代官山にあるテリーヌでミシュラン*1を獲得している「レ ザンファン ギャテ」、銀座の名店でミシュラン*2を獲得している「エスキス」、都立大学にある話題のパティスリー「アディクト オ シュクル」の3店舗。
スイーツや一部のメニューだけとはいえ、この3店舗をひとつの催事場で回れるのは幸せ!


まずはレ ザンファンギャテからです!

◾︎レ ザンファン ギャテ

※購入したパテ ド カンパーニュ、スモークサーモンとクリームチーズのテリーヌ、7種の野菜のポタージュ。


・7種の野菜のポタージュ
ボンヌテリーヌで購入し、お家で温めたもの。
蕪とカリフラワーの風味がしっかりと感じられる。ブルーテほど濃くはなく、少し緩めのスープだが、味わいはしっかりとしており、濃厚。


・スモークサーモンとクリームチーズのテリーヌ(★)

お家で冷凍を8時間冷蔵庫で解凍したもの。
キュウリの食感、クリームチーズの滑らかさとスモークサーモンの塩味、燻製の風味がいい感じ。
サンドウィッチに入れたら美味しそうだけど贅沢すぎるか。



ここからは催事場で展開されていたワンプレートランチです。



・パテ ド カンパーニュ(★★)


柔らかく濃厚な味わい。
内臓の風味はあるもののほぼ臭みがなく、クリーンで丁寧な味わい。脂の風味は甘く、品のある田舎風パテ。豚の脂が滑らかさを感じさせるのだろうか。素晴らしい。


・黒毛和牛 黒豚ハンバーグとフォアグラのポアレ ロッシーニ風(★★★)


フライドキャロット、フライドオニオン。
やや強めの味付けの非常に滑らかなフォアグラ、その旨味を吸ったバターライス、肉感的な黒豚のハンバーグ、ジャガイモのクリーミーさ、濃厚て塩気が強く仕上げられたフォアグラは、プレーンなハンバーグに良く合う。繋ぎを殆ど使っていないのか、肉の強い風味が感じられる。


お次はスイーツ、都立大学のアディクト オ シュクレのパリブレスト。


◾︎アディクト オ サクレ
・パリブレスト ノワゼット オランジュ(★★★)



オレンジの清涼感のある風味とノワゼットのクリーム、サクサクとしたクランチ的な味わい。
しっかりとした生地のパリブレスト。マーマレードの清涼感、濃厚さとサクサク風味、ノワゼットの濃厚な風味がすばらしい。


最後は銀座エスキスのスイーツ。


◾︎エスキス
「ペシェ ノンブル サンク」(★★★★)





それぞれに花の砂糖漬けが配されていて色鮮やか。


・レ フリュ デュ ボワ
ブルーベリー、ラズベリーのベリー類とバニラの風味を効かせたピスタチオのムース。滑らかなムースの中に含まれるピスタチオのコリコリ感が素晴らしい。

・ラ ドゥスール
葛と黒蜜にバニラを効かせたカスタード。
滑らかなバニラとカスタードの風味と共に和を感じさせる黒蜜と葛。メイプルシロップを思わせる黒蜜の風味がバニラと良く合う。

・ラ メルテュム
コーヒーの風味の崩したクッキー、クランチチョコ、カスタードムース。オレンジの柑橘系の風味。少しビター。ムースは滑らか。


大変満足です。
流石に名店のスイーツだけあってなかなか値段が張りますが、基本的に家で食べられるものが多いのがいいですね。外食となると敷居が高いですが、家族とも食べられますし。見て回るだけでも楽しいので、都内近郊の方は是非行ってみてください。
来年も楽しみです。

Toybox(トイボックス:三ノ輪)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。

こんにちは、HKOです。
こと外食に関しては、フレンチをメインにしつつも、潰れる直前のスーパーが100円商品を扱う様な手広さを見せるこのブログですが、今日はラーメンです。
ただラーメンブログではないので、あくまでひとりぼっちのテイスティング勉強会ならではの視点で取り扱っていこうと思います。



今日はトイボックスです。
ミシュランガイドが2015年からラーメン屋を取り扱っていますが、その掲載店になります。

「おいおい、またミシュランガイドかよ、自分の舌で美味いものくらい探せよ」と思われる方が多数いらっしゃるかと思いますが、何分自分の舌が全然定まってないので、その視点を定める為に有効活用させてもらっています。
一般的に美味しいと言われるお店→その中で自分の美味しいと思うお店→それこそがHKO的に最高の店、っていう感じですね。財布にも人生にも限りがあるので出来るだけ効率的に探していきたいと思っているので。

で今回のトイボックスなんですが、個人的には今まで食べた醤油ベースのラーメンでは最も美味しいと感じました。
まあ好みなのですが、これが本当にもうジャストミートというか。


◾︎温玉 チャーシュー 醤油ラーメン(★★★★)

昔懐かしい醤油ベースだが鶏油の深みとコクがありモダンな雰囲気が漂う。スープは鶏ガラとリンゴ、昆布の風味。低温調理のスパイスの効いた鶏チャーシュー、鶏油の風味を感じる脂の豚チャーシュー。
とても品があり、スープとチャーシューの相互補完で味の統制がとれている。
麺はプツプツとしたしっとりとした食感のもの。魚介系のコクがある味玉も素晴らしい。


ラーメン屋に使う表現ではないのかもしれませんが、フレンチに通じるような緻密な食材同士の相互作用が強く働いている一皿です。
例えば焼豚の鶏油を使ったコンフィは同じく鶏油を使ったスープを強く惹きつけるし、プレーンな低温真空調理の鶏チャーシューは鶏油のコクとスープの塩味で完全性を得ています。それが味玉に至るまで、スープの中に含まれるいずれかの要素と強く引き付け合い、完成していきます。
だから具材同士が拒絶し合う事なく、あるいはいずれかが際立ちすぎるわけでもなく、ごく自然に調和を成しています。
それでいて繊細さとラーメンらしい力強い味わいがあり、物足りなさもありません。

いわゆるラーメンの雑さとは無縁のものです。
また行きたいものです。


住所: 東京都荒川区東日暮里1-1-3
店名: TOYBOX(トイボックス)
電話番号: 03 6458 3664
営業時間:
[平日・土曜]
11:00~15:00
18:00~21:00
(材料切れにより早仕舞いの場合があります)
[日曜・祝日]
11:00~15:00
ランチ営業




【シャンパーニュ: 46】大手NMが作るフラッグシップキュヴェ No2

こんにちは、HKOです。
昨日に引き続き、シャンパーニュです。
本日はフィリポナのクロ デ ゴワセ、そしてローランペリエのグランシエクルです。

【データ】
フィリポナは マレイユ シュール アイに拠点を置く1697年設立の老舗生産者。現在の社長はシャルル フィリポナ氏。
力強さとフレッシュさに力を入れており、それらに傾倒する姿勢は、多くのポートフォリオがピノノワールの比率が高めになっている点に現れています。樽内発酵後7~10年澱上で寝かせたワインをベースにして、基本的に木樽にて約80%マロラクティック発酵を行い、20%をステンレス発酵させた果汁をブレンドしています。
フラッグシップは1935年から所有しているマレイユ シュール アイにある石灰土壌によって形成された45度の急斜面の畑、クロ・デ・ゴワセ(5.5ha)です。
瓶内熟成は8年~10年、ドザージュ4g/L~5g/L。

ローラン・ペリエは、1812年に創業された老舗メゾン。前会長のベルナールド・ドゥ・ロナンクール氏が一代で家族経営におけるシャンパーニュ第1位の規模までにしたシャンパーニュメゾン。
プレステージキュヴェであるグランシエクルはプレステージキュヴェでありながら複数の畑、複数の葡萄品種、複数のヴィンテージをアッサンブラージュしたノンヴィンテージ(マルチヴィンテージ)。複数の秀逸なヴィンテージをブレンドし、また11のグランクリュ、(アヴィズ、クラマン、オジェ、メニル・シュール・オジェ、シュイィ、ヴェルジ、マイィ、アンボネイ、ヴェルズネイ、ブージー、アイ)の最良の場所から選びぬいた葡萄から生み出されるハーモニーを大切にしたプレステージシャンパーニュです。750mlで7年から8年、マグナムにはさらに2年、必要と判断されれば更なる年月、セラーで熟成する。


【テイスティングコメント】
生産者: ローラン ペリエ
銘柄: グランシエクル グランキュヴェ NV
品種: ピノノワール45%、シャルドネ55%

24000円。
外観は明るいイエローで粘性は高い。泡は溌剌と立ち上っている。
若々しくもトースティーな風味を感じさせる香りが感じられる。比較的ドライなシャンパーニュで華やかなミネラルと共に、バニラやシトラス、洋梨の様な豊満なアロマと、蜜のようなほのかな甘み、モカ、ドライハーブ、ハチミツ、ブリオッシュの様な芳香が感じられる。なかなか頑なで時間が経たないと本質を表さないタイプと予想。徐々に時間が経つと甘みと強烈なドライアプリコットの様な旨味を表出させてくる。
酸はフレッシュだが、キュートな甘みとしっかりとした旨味があり、エシレバターの様な風味も想起させる。徐々に旨味メインの味わいに。


生産者: フィリポナ
銘柄: クロ デ ゴワゼ ブリュット 2005
品種: ピノノワール70%、シャルドネ30%

25000円、WA96pt(2002)
外観は明るいイエローで粘性は高い。泡はしっかりと立ち上る。
全体的に若々しくクリーンでありながら、熟成による複雑さを感じるシャンパーニュだ。果実味の熟度は高く豊満で、香ばしいナッツのアロマがある。バター的な要素は少なめ。
筋の通ったはっきりとしたミネラル感とローストナッツ、ほのかなシェリーの様な熟成による芳香、そしてシトラスやドライアプリコットの様な果実味、ほのかにヨーグルトやイースト、ドライハーブ、蜂蜜のような風味が感じられる。
クリアな味わいでありながら熟成起因のアロマと、しっかりとしたミネラル感がある。濃密で厚みのある旨味があり、パワフル。酸味は旨味と混じり合い蜂蜜とシトラスのような余韻を残しながら滑らかで筋肉質な味わいを残していく。


【所感】
クロ サン ティレールに引き続き、クロ デ ゴワセも飲めました!わーいやったー!
という訳でグランシエクルとクロ デ ゴワセです。
まずはグランシエクルです。
ちなみに非公開ですが、2002年、2004年ヴィンテージがメインで使われているらしいです。非公開故に本当かどうかわかんないんですけどね!
とはいえしっかりと若々しさとほのかな熟成香を感じるので、イメージとしては近いです。全体的にはドライでありながら、きめ細やかな蜜の香りとブリオッシュを思わせる樽香とMLFの要素がしっかりと感じられます。わずかに熟成ヴィンテージを想起させるハチミツやエシレバターの要素も感じ取れます。ピノノワール45%に起因するしっかりとした旨味があります。
しっかりとバランスが取れたノンヴィンテージシャンパーニュです。ただ美味しいのですが、ハッキリと個性的なシャンパーニュではないので、印象は薄いです。優等生的なシャンパーニュでドンペニヨンと通じるものがあるなぁ...
逆にクロ デ ゴワセはかなり個性的でした。
全体的にはクリーンで若々しいシャンパーニュではありますが、筋の通った強固なミネラルと共に強烈な旨味が表出しています。ハチミツと強烈な旨味の表出は10年の熟成の結果なのか、そもそも酸化的なのかは判断に悩むところですが、少しドライアプリコットやシェリー的な要素も感じられます。MLFのニュアンスはわずかにありますが、バターというより酸味と紐付いたヨーグルトといった感じ。酸味、旨味、蜜の風味のバランスはマレイユ シュール アイっぽいですね。
多少暴れ気味の旨味がワイルドで筋肉質。そんな中でも決して失わないミネラルを基礎とした骨格、ブラン ド ノワールファンには受け入れられやすいと思います。ワインの完成度は非常に高いと思います。
個人的には繊細なブラン ド ブランファンなので、ちょっと好みから外れましたけど、クロ サン ティレール同様素晴らしいワインだと思います。



プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR