【フランチャコルタ:1】夏には冷やして美味しいフランチャコルタを

こんにちは、HKOです。
本日は夏らしくフランチャコルタです。


【データ】
モンテニーザは1990年にティニャネロやソライアで有名なアンティノリ社が設立したフランチャコルタメーカー。製法は勿論メトード トラディショネル。
ブドウはすべて手摘みで収穫され、手動の空気式プレスで圧搾、フレンチオークとステンレスタンクを両方用いアルコール発酵、そのワインを木樽で発酵・熟成後、瓶内での二次発酵。 スタンダードキュヴェでも瓶内で最低30ヶ月熟成される。 その間、ルミアージュは手動で行われる。


【テイスティングコメント】
生産者: モンテニーザ
銘柄: モンテニーザ ブリュット NV
品種: シャルドネ、ピノブランコ、ピノネロ

約4000円
夏に楽しみたいとてもキャッチーなフランチャコルタ。リンゴやパッションフルーツ、ライムなど、爽やかな酸と甘いアロマを帯びた果実味があり、ブリオッシュやバターやフレッシュハーブの様な香りも感じられる。ハチミツを思わせる甘い芳香があり、それに伴う様なフルーツのアロマが強調されている。ヘーゼルナッツやリコリスなどの風味があり、原則フレッシュ、キャッチーな果実味を楽しめる素晴らしいフランチャコルタ。泡は溌剌としており、華やかなハチミツやリンゴのフレーバーの余韻が残る。


【所感】
うーん、フランチャコルタにも色々あるので一概には言えないですが、シャンパーニュよりは季節に合ってる様な気がしますね。シャンパーニュの場合、ふくざつである一方、供出温度を下げると、要素がどうしても抜け落ちてしまう、というかわかんなくなっちゃうんですが、フランチャコルタはフレッシュな果実味が前面に出ているので、冷やしてもかなり美味しい。
サテンなんかは温度高めの方が全貌はわかるんですが、冷やしていても美味しいっていうのが、やっぱり時期的にも嬉しいですよね。プロセッコ含むスプマンテ全般に言えることですが。
このモンテニーザも御多分に洩れず、そんな感じで冷涼感を感じさせながら溌剌とした果実味と一定の醸造起因の要素を感じ取ることができます。発泡が強いので、かなり冷やし気味でも楽しむことができそう。
とはいえ4000円なので、お気軽に飲めるものでは無いのですが、かなりいい線のいったフランチャコルタだと思います。

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【ブルゴーニュ: 115】自然派の先鋒と変貌中の近代派生産者が作る、特級クロ ヴージョ

こんにちは、HKOです。
本日はヴォーヌロマネとニュイ サン ジョルジュの生産者が作るクロ ヴージョです。かたや自然派でも独特の存在感を放つプリューレロック、近代的な生産者のジャン グリヴォーの比較です。


【データ】
プリューレロックはDRCの共同経営者アンリ フレドリック ロックが運営する個人ドメーヌです。とても偉大な生産者で唯一無二のアンリ節を感じさせる個性的なワイン群にはファンが多いです。栽培はビオロジックで、収量は25~30hl/ha。除梗はせず房ごと木樽にて自然酵母で発酵、キュヴェゾンは3週間。ピジャージュは人の手にて、アルコール強化の補糖は一切せず、コルヴェは新樽100%で20ヶ月熟成、スショは新樽50%と1年樽併用で18ヶ月の熟成となります。樽はトロンセの樽。プリューレロックの特級クロ ド ヴージョは上部区画の35年~70年の古木を使用している。新樽比率は不明。

ジャン グリヴォーはヴォーヌロマネに拠点を置く、近年評価が高まっているドメーヌ。一時期ギィ アッカをコンサルタントに迎え、強すぎる抽出で評価を落としたものの、現在はリュットレゾネでの栽培や、一部の畑は馬での耕作を行いながら、収量を引き下げ続け、2000年半ば以降は品質を高め続けている。除梗は100%、新樽率は40%-70%。樽業者は4社を利用している。フラッグシップはリシュブール、エシェゾー、クロ ヴージョ。



【テイスティングコメント】
生産者: プリューレ ロック
銘柄: クロ ド ヴージョ グランクリュ 2012

約29000円、WA92pt(2002)
外観は淡いルビーで、粘性は低い。
ロック香、というよりは今となっては自然派的な香りといった香りかもしれない。ただし香りからして凝縮感があるのは一目瞭然。グランクリュの風格に満ちている。
オレンジや瑞々しいダークチェリーやブラックベリーの甘酸っぱい芳香に、イーストやスパイシーな茎やクローヴの要素、鉄分や燻製肉の様な野生的なアロマが混じり合う。スミレや樹皮、ローズヒップティー、ほのかな旧樽の様な土を帯びた香りが感じられる。
全房的なグリニッシュさと瑞々しい果実味、そしてイースト的なニュアンスはやはり自然派的。
強い旨味を伴う酸味があり、レバーペーストや甘酸っぱい黒系チェリー、そしてほのかに乗るタンニンが非常に心地よい。


生産者: ジャン グリヴォー
銘柄: クロ ド ヴージョ グランクリュ 2011

約30000円、WA94-96pt(2010)
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
強烈な樽香と抽出を想定していたか想像以上にみずみずしくピュアなワインだった。
とはいえ比較的樽も抽出は強く一般的にはジュヴレシャンベルタンを想起させそうな香りだが、ピュアで瑞々しい果実味が以前より主張している印象だ。
やや焦げた炭焼きの様な香りにマロラクティックなミルクティーの様な要素に包まれたなめし皮や鉄の要素に、瑞々しく華やかなダークチェリーやブラックベリーの様な果実味。それらとともに黒糖の様な甘露さを帯びている。スミレや枯れた葉、ハーブティー、コリアンダーや五香粉、すこしスパイシーなクローヴなどの要素もある。
全体的には樽が主軸でその他の要素が上手くそこに絡みついている感じ。
酸もタンニンもかなり充実して、合わせて旨味の波が押し寄せる。ミルクをかけたストロベリー、華やかでスミレや葉の様なアロマが含み香としては主軸となっている。引き締まった味わいで旨味は充実。素晴らしい。



【所感】
自然派的生産者とギィ アッカ&アンリ ジャイエ系生産者のクロ ヴージョです。全房発酵と100%除梗+低温浸漬の構図ですね。
はい、同じ畑とは思えない程、比較にならない位違いますね。
そもそも自然派でも独特のプリューレ ロック、と方や元とはいえ近代的醸造手法のジャン グリヴォー。こうなるのは自明の理というか、当然ですね。
今回のプリューレロックのワインはやっぱりプリューレロックだし、ジャン グリヴォーのワインはジャン グリヴォーでした。ただジャン グリヴォーの方は少しだけ毛色が変わってきた様な気がしないでもないですね。
まずプリューレロックのクロ ヴージョは、先述した通り、プリューレ ロックのワインでした。醸造手法としてはDRCに連なるものですが、よりプリミティブな自然派的で、DRCの様なある種洗練された感じはありません。ホールバンチによるスパイシーな要素と瑞々しい黒系果実の果実味(ここが赤系で高凝縮なのがDRCといった印象です)、そして燻製肉と樽香が混じり合うスタイル。世界的な視点で見ると、オーストラリアやカリフォルニアの新進気鋭の自然派生産者と共通しているスタイル。彼らの大本となるスタイルとなっているのだと思います。DRCの共同経営者ですが、スタイルとして似ているのは、まだフィリップパカレの方が似ていますよね。もはや独特の世界観がある様な気がします。
冷涼感があるのとアルコール度数12%と低めなのはクロ ド ヴージョのテロワールと理解していいのかな? エキス感というのか、そういったものはエシェゾーにもやっぱり近いかな、と思うんですが、このスタイル、ブルゴーニュにも少ないからわからないですね。やっぱプリューレ ロックなんですよね。

対してジャン グリヴォーは流行り(?)というか今となっては主流の様な作りをしていると思います。
2009年や2010年からすでに当初の極端な抽出スタイルから脱却していますが、2011年ヴィンテージはそれを更に推し進めた様な形です。また樽の要素も少し控えめになっています。(2009年や2010年という強いヴィンテージに対して強めに樽香や抽出を強めに施したのかもしれませんが)
もうそうならば2011年が本当の形?
そうするとかなりエレガントの様な気がしますね。勿論それでも樽と抽出は強めですが、2009年の五香粉を思わせる香りと比べればかなり普通です。
問題の抽出も滑らかなミルクティーと香ばしい樽香が綺麗に相殺していて、かなり穏やかになっているではないですか。適度な華やかなさもいいですね。果実味もよくでており、黒糖の様な甘い香りが感じられます。除梗によるクリアな風合いが醸造的要素を際立たせてますね。
口当たりは絶妙でストロベリーのミルクを思わせる瑞々しくまろやかな口当たり。完全にキャッチーなワインになっている。
非常に良くできていて、そろそろこのスタイルの完成を見た感じかも。

そんな感じでロックとグリヴォー、全く違うんですよね。ちっとはクロ ヴージョらしさを比較から見出せないか、というのがありますが、まあ無いですね。
果実味とタンニンの太さ、低重心、土っぽさは、共通項としてやっぱりあると思うんですけど、分かりにくいなぁ。



【ボルドー: 27】平凡なヴィンテージでも圧倒的なプレセンスを見せる、ムートンロートシルト 2011

こんにちは、HKOです。
本日は久々のシャトー ムートン ロートシルトです。
飲む機会は結構あるのですが、そこそこ飲んだ銘柄なので、特段手も出さなかったんですよね。
あと去年まで凄い高かったですから。そんな感じで久々に飲んだのですが...


【データ】
シャトー ムートン ロートシルトはポイヤック村に拠点を置く、メドック第一級シャトー。5大シャトーの中では唯一1973年に格付けの変更を実現させた。現在はその格付け変更を成功させたフィリップ ド ロートシルト男爵の娘であるフィリッピーヌが指揮を執り、パトリック レオン、エルヴェ ベルローと共にこの1級シャトーを牽引している。
毎年変わるアーティスティックなラベルが特徴的なシャトーでコレクターズアイテムにもなっています。
今回はセカンドラベル、プティ ムートン ド ムートン ロートシルト。
栽培面積は78ha、平均樹齢は45年、平均収量は40hl/ha程度。
除梗は100%、完全な果実のみ選定され木製槽で15~25日間、発酵とマセレーションが行なわれる。新樽にて19~22ヶ月熟成。無濾過で瓶詰めが行なわれる。


【テイスティングコメント】
生産者、銘柄: シャトー ムートン ロートシルト 2011
品種: カベルネソーヴィニヨン90%、メルロー7%、カベルネフラン3%

約80000円、WA93-96pt
黒に近いガーネットで粘性は高い。
たっぷりとした豊かな果実味を感じさせる芳香が遠くからも香ってくる。目が細かく緻密で、熟したカシスやブラックベリー、西洋杉やバニラ、カベルネソーヴィニヨンのピーマンやハーブの要素が複雑さをもたらしている。カカオや、少しずつ散りばめられている濡れた土、毛皮、小豆、リコリスなどの要素がある。
マロラクティック発酵の要素が強く、それが熟した果実味と結びついて、えもいわれぬ丸みのある芳香を放っている。少しグリニッシュなのが年の特徴なのかもしれない。
タンニンと酸もきめ細やかで丸みがある。ミルクティーの様なまろやかさと果皮のほのかな苦み、熟したベリー類の余韻が綺麗に残る。香りの立ち方もふくよかさも圧巻。


【所感】
ワインを飲み始めた時の感動みたいなのがググーッと来ました。そんな久しぶりに飲んだムートン ロートシルト。平凡なヴィンテージだが、相変わらず圧倒させられる膂力がありますね。凄い。
少しグリニッシュなのが年の特徴なのかもしれませんが、シャトー ムートン ロートシルトならではの、まろやかで丸みのある充実したタッチは完全に表現されています。
ニューワールドや良年ボルドーの様なツヤツヤしたグリセリン感はないですが、逆にこれこそがボルドーじゃないかと思ってしまいますねー。
そんな感じですごく近づきやすいのに、幾分か複雑さを感じさせるのは、やはり1級シャトーといったところですね。
しかし安く手に入るもんですね...2011年は。
これくらいならギリギリ手を出せそうな気がする。


【ブルゴーニュ: 114】フィリップ シャルロパン パリゾ 特級水平テイスティング 2012 Part.2

こんにちは、HKOです。
本日はフィリップ シャルロパン パリゾ2回目です。
予告通り、特級シャンベルタン、マジ シャンベルタン、シャルム シャンベルタンの3本です。


【データ】
フィリップ シャルロパン パリゾは1976年に設立されたドメーヌ。ブルゴーニュでもアンリジャイエの弟子という枕詞と共に非常に注目されている生産者です。といってもアンリジャイエのワインを飲んだことがないので、今ひとつイメージが湧かないのですが。
全体で樹齢の高い樹を中心に、栽培はリュットレゾネで行われています。収穫をした葡萄は100%除梗され、約1週間の低温浸漬を経てアルコール発酵がなされます。新樽比率は殆どが50~70%で、特級で100%。無濾過、無清澄で瓶詰めされます。フラッグシップはシャンベルタン、ボンヌマール、マジ シャンベルタン、エシェゾー、クロ ヴージョ、クロ サン ドニ。
今回のシャルム シャンベルタンはマゾワイエールとの混醸、マジシャンベルタンはリュショットに隣接する区画、シャンベルタンはラトゥール一族から委託されている畑、ボンヌマールは石灰土壌のテール ブランシュの中にある0.12ha区画のみを使用、クロ サン ドニは0.17haの区画を使用。



【テイスティングコメント】
生産者: フィリップ シャルロパン パリゾ
銘柄: シャルム シャンベルタン グランクリュ 2012

約28000円、WA93-95pt(2010)
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
果皮のニュアンスははっきりと感じられるものの、エキス感寄りの妖艶な香り。スミレや、焦がした様なコーヒーの樽香と熟したブラックベリー、ブルーベリー。青い葉の様な要素が主体的。密度は高くないながらと黒砂糖の様な甘露で柔らかい香り。華やかだが、なめし革にまでは至らない。土やお香、クローヴやコリアンダーなどの要素を感じる事ができる。
アプリコットを思わせる酸味と引き締まったタンニンがあり、スミレや鉄釘の華やかさや酸味の強いベリー類の果実味が感じられる。バランスが良い。
エキス感と華やかさと柔らかさのシャルムシャンベルタン。


生産者: フィリップ シャルロパン パリゾ
銘柄: マジ シャンベルタン グランクリュ 2012

約27000円、WA92-95pt(2010)
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
エキス感がベースとしてありながらシャルムと比べると堅牢で高密度。なめし革を思わせる果皮のニュアンスとほのかなイースト、ミルクティー、強く熟したブラックベリー、ダークチェリーの要素がある。徐々に焦げた木の様なはっきりとした樽香が現れる。すこしハーブの様な青い葉の様な香りもある。お香やクローヴ、ローリエの様な要素も。徐々にシャルムに見られた黒砂糖のアロマも。
この中だと酸味もタンニンもかなりよく出ている。
同じく華やかなスミレや鉄釘の香りと綺麗な酸のベリー類、ハーブの余韻が残る。わずかに五香粉も。
キャッチーな甘い果実味と樽香、華やかさと高凝縮度さを感じるマジシャンベルタン。


生産者: フィリップ シャルロパン パリゾ
銘柄: シャンベルタン グランクリュ 2012

約38000円、WA92-94pt(2010)
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
強い抽出による華やかさと力強い樽香がはっきりと感じられる。スミレを思わせる華やかさがあり、そこになめし革や鉄釘の様な鮮明な抽出香、焦げた木材の様な燻したニュアンスが感じられる。その奥底にブラックベリーの果実味があるが甘さまでは感じられない。
土やタバコ、鉄観音。ほのかにジンジャーブレッドやコリアンダーシード、蜂蜜の様なアロマも混じる。徐々に五香粉的な風味も。
硬く、香りの密度は高く、凝縮している。
タンニンと酸は明らかに強いが、舌の上を転がる様なグリセリン感とまとまりがある。五香粉やスミレ、ベリーの余韻が舌に残り、旨味の帯を残していく。余韻も長い。収斂性も高い。
香りが強く、高凝縮度で堅牢、華やかなシャンベルタン。



【所感】
これら3本の特級は共通して先日のボンヌマールとクロ サン ドニと比較すると、いずれも煌びやかな強いなめし皮のニュアンスと凝縮した果実味があります。
まさにジュヴレシャンベルタン的というか、村名の特徴の差分が良く出ていると思います。もちろんエキス感も充実してますし、他のヴィラージュ同様ジュヴレシャンベルタンも、極めて良く作られていると思います。
この3つの差分をざっくりと。
シャルムシャンベルタン。抜栓直後から非常にキャッチーな姿を見せるワインで、エキス感と共に抽出のスミレの様な要素、焦がした様な樽香、ブラックベリーやブルーベリーの豊かな果実味が結びつき、黒砂糖の様な甘露で柔らかい香りを感じさせます。華やかさと果実味と樽香のバランスが極めて良く近づきやすい。冷涼さはなく、堅牢さもどこか感じさせながら開けた感じのグランクリュです。
対してマジ シャンベルタンは開けたシャルムと比べると内向的にも見えます。もちろんエキス感をベースとしながらも、冷涼感があり、焦げた木の様なはっきりとした樽香となめし皮の様な果皮のアロマに隠れる形で、強く熟した果実味がある。果実味と他の要素のバランスが良かったシャルム伴う比べると抽出と樽がより強調されている様な印象を受けます。勿論内側に内包する果実味はシャルムと同等くらいはありそうなもんですが、解けるまで忍耐強く待たないといけないワインです。少しグリニッシュな印象もあります。
ただ解けてくると非常にバランス良くまとまってくれて果実味が前に出るに従って甘い樽香と凝縮度両方を楽しませてくれます。
内向的ですが、待てば姿を見せてくれるワインです。
ただシャンベルタンはちょっと違います。
これはいわゆるシャンベルタンによくあることなのですが、長期熟成を前提にする為、その強靭なボディに合わせた強烈な樽香や抽出を行っている場合があります。それは本当に力強く強靭でパワフル。決して開かない様な錯覚すら受けるシャンベルタン。
今回のシャルロパンのシャンベルタンもそれに近いと思います。華やかさと樽香が前面に出ており、鉄釘やスミレ、なめし皮、焦がした様なニュアンスが強い。徐々に五香粉の様な香りも出てきますが、果実味は面影は感じられるものの最後まで決して前には出てきません。
口に含んだ際のタンニンや酸も随一でアタックもそれなりに強く、やはりシャンベルタンなりのパワフルさを持っていますが、偽りでも親しみやすさを演出したアルマンルソーの2012と比べると、極めて無愛想なシャンベルタンだと思います。まあ、こんなもんですけどね、シャンベルタンって。デレがありません。

よってやはり現段階でオススメはシャルムです。
これは誰でも新しいヴィンテージであれば楽しめるものではないかと。
ただマジやシャンベルタンと比べると腰が少し弱い...ボディか弱めなので、長期的に見たらマジでしょうね。シャンベルタンはどう転ぶかわかんないので、とりあえずオススメはしときません。





【ブルゴーニュ: 113】フィリップ シャルロパン パリゾ 特級水平テイスティング 2012 Part.1

こんにちは、HKOです。
本日はフィリップ シャルロパン パリゾのグランクリュテイスティングです。
2回に渡って合計5種類をレポートしていきたいと思います。今回はモレ サン ドニのクロ サン ドニ、シャンボールミュジニーのボンヌ マールの2種類です。


【データ】
フィリップ シャルロパン パリゾは1976年に設立されたドメーヌ。ブルゴーニュでもアンリジャイエの弟子という枕詞と共に非常に注目されている生産者です。といってもアンリジャイエのワインを飲んだことがないので、今ひとつイメージが湧かないのですが。
全体で樹齢の高い樹を中心に、栽培はリュットレゾネで行われています。収穫をした葡萄は100%除梗され、約1週間の低温浸漬を経てアルコール発酵がなされます。新樽比率は殆どが50~70%で、特級で100%。無濾過、無清澄で瓶詰めされます。フラッグシップはシャンベルタン、ボンヌマール、マジ シャンベルタン、エシェゾー、クロ ヴージョ、クロ サン ドニ。
今回のシャルム シャンベルタンはマゾワイエールとの混醸、マジシャンベルタンはリュショットに隣接する区画、シャンベルタンはラトゥール一族から委託されている畑、ボンヌマールは石灰土壌のテール ブランシュの中にある0.12ha区画のみを使用、クロ サン ドニは0.17haの区画を使用。



【テイスティングコメント】
生産者: フィリップ シャルロパン パリゾ
銘柄: クロ サン ドニ グランクリュ 2012

約27000円、WA92-94pt(2010)
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
華やかさより、瑞々しい丸い果実味がよく出ている。
ミルクティーや、甘くシルキーなブラックベリーやダークチェリーリキュールのアロマが主体的に感じられる。土やバタートーストの香り、ほのかな血の香りやスミレのアロマが入り混じる。ハーブティー、クローヴやアーモンドなどの要素が感じられる。
少しアルコール感があるものの、香りの方向性としてはボンヌマールに近い。
やや酸が経つが、タンニンは柔らか。塩味とほのかなスミレの要素、茎、ハーブの余韻が残る。塩味を伴う旨味が非常に素晴らしい。
豊かな丸い果実味と樽香、凝縮度が高めのクロ サン ドニ。


生産者: フィリップ シャルロパン パリゾ
銘柄: ボンヌ マール グランクリュ 2012

約27000円、WA90-92pt(2010)
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
この中ではミネラル感が比較的強めに出ている。エキス感のある熟したブルーべリーやイチゴの果実味とグリニッシュで濡れた葉や土の香り、雨上がりの木の香りが前面に出ている。徐々にミルクティーや血のアロマも現れる。 樽香の方向はバタートースト的。ほのかにスミレの要素と、ラベンダー、ユーカリなど清涼感のあるアロマを纏う。クローヴなどの要素も。
香りのタッチも鮮明ではなく、柔らかく穏やか、密度を競うワインではない。
酸やタンニンは非常に滑らかで軽妙、血の香りや青い葉、果皮の要素がしっかりと余韻に乗ってくる。収斂性は低いので、非常に滑らかに感じられる。
羽の様に柔らかく、ミネラリーでグリニッシ。エキス感のある甘いまろやかさを感じさせるボンヌマール。


【所感】
やっぱりシャルロパンはいい。とにかく全体的に過剰がない。抽出、樽香、果実味のバランスがどのキュヴェも決して飛び抜けていない。しかもそのグランクリュの特徴はちゃんと掴んでいる。
シャンベルタンなら堅牢、マジシャンベルタンなら堅牢かつ華やかな、シャルムは華やかさを備えながら親しみやすく、ボンヌマール テール ブランシュはミネラリー、クロ サン ドニは冷涼でありながら、しっかりとした果実味が主張している。
そして、そのすべてに共通して瑞々しいエキス感と鉄にも似た煌びやかな芳香を放っている。
そう、どこかヴォーヌロマネを感じさせる味わいがベースにあるんですよね。それは、おそらく生産者の個性によるものだと思いますが、その中で存分にテロワールの表現を行っている感じ。
そうそう、こんな感じがいいんだよ!

では、まずクロ サン ドニから。
このワインは5本の中では最もシルキーで、リキュールを思わせる様な輪郭のはっきりとした果実味を感じることができます。もちろん共通の鉄やエキス感は帯びています。樽香は焦げ香というより、マロラクティック発酵と結合したミルクティーやバタートースト的です。
ボディはボンヌマールをやや重くした印象ですが、極端な厚みがあるわけではないです。どちらかというとシャンボール的なものを意識してるんでしょうかね。故に堅牢さというより、遥かに柔らかさが際立ちます。
特徴の触れ方としてはモレっぽいですが、他の生産者のクロ サン ドニなんかと比べると、かなり軽量級だも思います。

ボンヌマールは更に軽量級です。
テールブランシュの特徴であるミネラルがハッキリと出ていていますが、作りとしては凝縮感や鮮明さより奥行きや広がりを重視している様に感じます。
その為肉厚なボンヌマールというより、ヴージョ寄りのクリュの特徴、例えばゾードワやレザムルーズ的な繊細なシャンボールミュジニーを思わせます。
この中ではグリニッシュで、エキス感のある赤系果実と濡れた土や葉の香り、樽香はバタートーストやミルクティー的です。スミレやラベンダー、ユーカリなどのアロマがあります。 繊細で柔和な表情のあるボンヌマールです。

この2本を飲んで改めて思うのが、やはりベースはヴォーヌロマネスタイルの生産者だと思いますね。
そもそも繊細とは言わないまでも、熟した果実のエキス感のあるスタイルをベースにした生産者なので、クロ サン ドニでも艶やかなたっぷりとしたピノノワールになっていないのが面白い。これはこれでいいんですけどね。
次はシャルロパンの別の側面を感じさせる、ジュヴレシャンベルタンの特級畑3本です。


【ローヌ: 19】想定外のトラディショナル、タルデュー ローランのエルミタージュ、コンドリュー

こんにちは、HKOです。
本日はローヌのタルデュー ローランのエルミタージュとコンドリューです。
本当はシャトーヌフも含めたかったですが...取り急ぎ。所感で言うと両方とも凄く良かったです。


【データ】
タルデュー ローランは1994年にファーストヴィンテージをリリースした新進気鋭のローヌのネゴシアン。
ミッシェル タルデュー氏が単独経営しています。
ポートフォリオはローヌ全域12のアペラシオン。
購入するワインは樹齢50年~100年のブドウのものを厳選。赤ワインはアルコール発酵後すぐのワインを、白ワインは搾汁後すぐの果醪を買い付け、自社の専用樽やステンレスタンクで熟成を行います。エレヴァージュ中は亜硫酸を添加せず、無濾過で瓶詰め。
今回の2012年エルミタージュは、ル メアル、ピエメルの畑に植わる、樹齢60年のシラーを使用。全房発酵の後、アリエ、トロンセのフレンチオークの新樽で熟成。2013年のコンドリューは、シャンソン、コトー ド シェリーの畑に植わる、樹齢45年のヴィオニエ。アリエ、トロンセのフレンチオーク新樽と1年使用済みの樽で熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: タルデュー ローラン
銘柄: コンドリュー 2013

8400円、WA94pt(2009)
外観はやや濃いめのイエローで粘性は高い。
極めてアロマティックで果実味に満ちた温暖的な香りを感じさせるコンドリュー。
バナナやパッションフルーツ、マンゴーの瑞々しくも濃厚な果実味と共に、バターやバニラのまろやかで濃密な風味が絡み付いている。少しニューワールド的にも感じられる熟度というか、重みがある。杏仁豆腐や白い花、シナモンや蜂蜜の様な香りが感じられる。
濃密なクリームの様な風味に溌剌としたトロピカルフルーツか絡む様なイメージ。
どっしりとしたボディに綺麗な酸が絡みつく。粘性が高い。バナナやマンゴーを思わせる余韻。重いからか、後味の苦味もそう気にならない。素晴らしい。


生産者: タルデュー ローラン
銘柄: エルミタージュ 2012

12000円、WA91-93pt(2009)
外観は赤みの強い澄んだガーネット、粘性は中庸。
ローヌの古典的エルミタージュで、モダンな果実味盛り盛りのシラーではない様だ。シラーの果皮がもたらす色気がムンムンする。
鉄やなめし革の様なギラギラとした華やかな香りに、まろやかさを齎すバターの要素、鉄観音やラベンダーの様なアロマ、ブラックペッパー。果皮のアロマが強いブラックベリーやミルティーユの果実味、リコリスやオリエンタルスパイス、麦藁や燻製や焦げた木の様な樽香が感じられる。
酸味は豊かでタンニンもしっかりと感じられる。野性的ななめし革や華やかなスミレ、そしてシラーの黒胡椒の特徴的な香りがはっきりとわかる。
想像以上にトラディショナルなシラー。


【所感】
面白い生産者です。ローヌを強く感じさせるエルミタージュとローヌをさほど感じさせないコンドリュー、ちょっと方向性がバラついている様な気がします。
トラディショナルなのかモダンなのかはっきりしろよ!と言いたくなります。

...ただしかし美味い!残念ながらどちらもとても美味い!

まずコンドリューはヴィオニエ独特のアロマティックな香りと共にトロピカルフルーツやマロラクティック発酵のニュアンスがしっかりと感じられます。
この熟した果実感と甘酸っぱいアロマ、こってりとしたバターや杏仁豆腐のニュアンスはどこかニューワールド感を感じさせます。ただバランス的にニューワールドの典型よりは品がある様に思えます。
具体的に言うとあくまで果実味主体でマロラクティック発酵のニュアンスが前面に出すぎていない点ですかね。バタークリームというより、トロピカルフルーツと杏仁豆腐という感じ。ドライでシャープではないですが、酸も綺麗だし、ほぼ申し分ない作り。苦味もさほど出ていないしいい作りをしていると思います。
価格的に結構お得だと思います。

エルミタージュは真逆のローヌの典型です。とはいえエルミタージュみたいに野性的な訳ではなく、もっとエレガントですけどね。近いのはルネ ロスタンのコート ロティ。スパイシーで果実味もしっかりとあって、色気がムンムン。抽出によるエキス感重視で、鉄やなめし皮のアロマが比較的強く感じられます。そこに樽の麦藁や鉄観音、華やかなラベンダー、充実した黒系果実の風味があります。酸とタンニンも豊かで、いわゆる重いシラーとは一線を画すものです。
熟度だけに頼らない、かなり技巧的なシラーに仕上がっていると思います。とにかく色気がすごい。
ルネロスタンのランドンヌ、コート ブロンドには劣るが、十分すぎるほどトラディショナルシラーの美味さというか官能を感じることができます。

タルデューローラン、いいですね。
ただ他のヌフとか飲んだら全然キャラクターが違かったりして...そんなビビリもあります。




【シャンパーニュ: 47】シャンパーニュ、その価格差10倍。

こんにちは、HKOです。
こう、間に合わせ的にバラバラと飲んだ2本を一つのエントリーにまとめています。あんまり共通点とかそういうのはないので気にしないでください。
今回はお買い得生産者のミシェル アルノーと、プレステージ オブ プレステージ シャンパーニュ、クリスタル 2007です。


【データ】
ルイロデレールはランスに拠点を置く1776年創業のNM。ロデレールグループという大きい会社を経営しています。傘下にはボルドーのシャトーも。
現在ロデレールで保有する自社畑はモンターニュ ド ランス、コート デ ブラン、ヴァレ ド ラ マルヌ合計で213ha。約70%が一級以上の畑を保有しています。
大きな特徴としてはリザーブワインをふんだんに使うことで、40からなる畑から作られた150樽程のリザーヴワイン(2-6年熟成)が保管されており、ノンヴィンテージのシャンパーニュに90%程度がその比率だとされています。ドサージュに使用するリキュールも5年熟成を使用し、徹底的な品質管理が行われている。
今回の単一ヴィンテージの為リザーブワインは使用していませんが瓶内で長期熟成を経てリリースされるため、品質としては同等以上でしょう。ブラックシップのクリスタルは10つのグランクリュの葡萄を使用し、瓶内熟成5年、澱引き後6ヶ月を経てリリースされます。

ミシェル アルノーは1970年代に設立されたヴェルズネイに拠点を置くドメーヌ。12haの畑をヴェルズネイに保有しグランメゾンにもぶどうの提供を行っています。現在はミシェルと息子のパトリスが指揮を取っています。
空気式圧搾機や斜面を利用したグラヴィティシステムを採用し、清潔なセラーで丁寧な醸造を行い、テロワールをそのまま映し出した様なシャンパーニュを生産しています。


【テイスティングコメント】
生産者: ミシェル アルノー
銘柄: グランクリュ ヴェルズネイ トラディション ブリュット NV

約3000円
少しピンクを帯びたイエロー、粘性は中庸、泡は溌剌と立ち上っている。
ミネラル感もあるし、熟した赤リンゴやアメリカンチェリーの様な綺麗な酸味と豊かな旨味があるのがいい。ハチミツや白い花の蜜やヘーゼルナッツ、フレッシュハーブなどの香りの要素がある。ミネラルとピノノワールらしい果実味が主体的で樽香は控えめな感じ。冷涼地域のピノノワールっぽい熟したアロマ。こう、蜜の様な甘い澄んだ繊細な香り。
酸味は豊かだけど、どちらかというとやっぱりこの旨味の厚みだよなぁ。リンゴを頬張った時の旨味そのもの。それに幾分かの樽に起因するナッツの様な余韻が残る。余韻も長くていいね。


生産者: ルイ ロデレール
銘柄: クリスタル 2007

約40000円
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸で、泡は溌剌と立ち上っている。
小石の様なミネラル感とフレッシュな赤りんごや搾りたてのライムの様な果実味、無塩バターのアロマが主体的で、アーモンドの様なナッツの香り、イースト、フレッシュハーブ、ホワイトアスパラガスの様なアロマが感じられる。
活発とした酸と非常に充実した旨味があり、リンゴやライムの様なフレッシュで切れ味鋭い余韻が残る。MLF的な香りはあるものの、酸は生き生きとしていて、明快でエッジーな姿のシャンパーニュ。


【所感】
まずミシェル アルノー。あまり期待しないで飲んだのですが、この価格帯のシャンパーニュとしてはかなりいい線いってるんじゃないかと。たまたま近くの信濃屋で買った時に割引があったんですが、割引があるとはいえ、なんか高いブラン ド ノワールがこの価格帯で買えるというのがそもそも凄い。
味わいもミネラル感と共にピノノワールらしい旨味やアロマがはっきりと感じられるのがいいですね。ハチミツなどの綺麗な蜜の香りやナッツ、フレッシュハーブなどの要素もあり、繊細ながら堅実にブラン ド ノワールの良さを感じることができます。
過度な複雑さや厚みはないから、いわゆるプレステージの様な風格はありませんが、しっかりと価格帯を超える良さを演出していると思います。
レストランとかで好まれそうなシャンパーニュですね。
次にルイ ロデレールのクリスタル。
これはもう、当然ですが価格帯も違いますので、期待値が違います。なんせ価格から見たら10倍以上っすからね。
でも流石はクリスタル、ちゃんと値段なりの良さを演出してくれてます。
プレステージでは意外とお目にかからないミネラルとシャープネスと旨味の厚みを鮮烈に感じさせる味わい。リッチなスタイルになれる可能性を残しながら、リリースしたてはアグレッシブな酸と硬いミネラル感に満ちた堅牢なシャンパーニュ。恐らく徐々に他の要素とのバランスが取れてくるであろうことが予想できます。出来はほぼほぼ例年通りといった所といった印象です。どの要素も不足なく含まれている。
口に含んだ時の分厚い旨味もいいですね!
お得感とか全く無縁のものですが、シャンパーニュを追求する人ならばこの良さは伝わるんじゃないかと。

以上二本でした。




Mori Bar(モーリバー:銀座)


HKOです。
友人の薦めで銀座の名店毛利バーに行ってきました。
東京會舘出身で国内外問わず数々の賞を受賞している名バーテンダー毛利隆雄氏のお店です。
このお店、何といっても毛利マティーニが有名で、それを頼むといいよ、とのこと。

ただ残念ながら伝説はまだ来ておらず。
中堅っぽいバーテンダーの方に作っていただきました。


コンソメスープ。野菜の旨味がたっぷりで美味い!じんわりと染み入る味わい。ありがたい。



チェイサーは薄はりのグラスで供出されたウコン茶(有難いことに何度も継ぎ足してくれる)と乾き物のスナック。



噂のマティーニ。
高アルコールのドリンクだけに度数なりのアタック感はありますが、舌触りはしなやかでふくよかです。
ここのマティーニはステアの回数が多いのが有名らしいんです。水とかもそうなんですけど、空気を含ませると丸みが出るとかいいますが、そういうのかなー。
今まで飲んだ事のない舌触りのマティーニ、美味しかったです!(あまりカクテルは詳しくないですが...)

しかし下戸の私にはなかなか量が多くて、一杯でほろ酔い気分。
うーん、これはお得かも。
一杯1500円と最初に見たときに、「まあ伝説だし」とか「ホテルと比べたらまあこんなものか」と思いましたが、美味しいマティーニで1500円でほろ酔いになれると考えるととても安い。

比べるのも大変失礼なんですが、ことアルコール摂取量で言うならビール3杯飲むよりよっぽど満足感あるし、味に関しても1500円じゃ大したもの飲めないので、嬉しいところですね!


住所: 東京都中央区銀座6-5-12 アートマスターズ銀座ビル 10F
店名: Mori Bar(毛利バー)
電話番号: 03-3573-0610
営業時間:
[月~金] 18:30~翌3:00
[土] 18:30~23:00
夜10時以降入店可

【コニャック:1】最高峰のコニャック、その優美な世界観。

こんにちは、HKOです。

本日は最上クラスのコニャック3種類です。
このブログでもブランデー(マールやフィーヌ)を扱う事がごく稀にありますが、今回は一歩踏み込んで本丸ともいうべきコニャックを。まあ初体験というわけではないのですが、あまり経験値が高くない状態で、このクラス、ってのは少し悩んだのですが、折角なので飲んでみようと思い立ちまして。
すごい体験になりましたよ!


◾︎まずはおさらい、コニャック地方のブランデー。
【葡萄品種】
ユニブラン(トレッビアーノ、サンテミリオン)主体
補助品種はコロンバール、フォルブランシュ。

【コニャック地方のテロワール】
シャラント川沿い。粘土石灰質の土壌が石灰質の底土層を覆い、石灰含有度は表土で60%を超える。モンモリロナイト質粘土により土壌は肥沃で水はけもよく、多孔質の底土が毛細管現象により水を上げ、土地の乾燥を防いでいる。そのため、空気が乾燥しても表土はしっとりとしている。生産可能面積は109万ha

【製造方法】
伝統的な銅製のポットスチルを用いた単式蒸留を2回行って得られたアルコール度数70%程度の精留分を、フランス国内産のオークの樽で2年以上熟成し、水で度数40%に希釈して製品とする。色付けに少量のカラメルを添加することもある。

【ACオー ド ヴィ ド ヴァン ド コニャックの地域】
グランド・シャンパーニュ(Grande Champagne)
※石灰土壌の最高峰地区、全体生産量の1%以下。
プティット・シャンパーニュ(Petite Champagne)
ボルドリ(Borderies)
ファン・ボワ(Fins Bois)
ボン・ボワ(Bons Bois)
ボワ・ゾルディネール(Bois Ordinaires)


◾︎今回のテクニカルデータ
【データ】
ポール ジローは400年前にグランドシャンパーニュ地方に設立され、1800年代後半からコニャックの生産を始めた生産者。
収穫は全てのブドウを品質を確認しながら一つ一つ手で摘み、自然に発酵。また一括して大量に蒸留するのではなく、個別に樽に詰めるタイミングを計ります。
通常「50年熟成」という表現をされますが、年数が変わる可能性もありヘリテッジは50年に近い古酒がブレンド、瓶詰めされます。

レミーマルタン社は1874年に設立された大手コニャックメーカー。ルイ13世はそのフラッグシップとも言えるコニャックで同社のカーヴで半世紀以上熟成されていた原酒を用い、ユリの花の装飾がほどこされたデキャンタに収められている。100%グランドシャンパーニュ産の原酒を使用。品質の高さは不作の年にもレミーマルタンの畑だけは拡大を許したエピソードが有名。樹齢100年を超えるリムーザン地方産のオークで作られた樽で50年から100年以上寝かされた1200を超える原酒をアッサンブラージュ。

ヘネシーはリチャード ヘネシーによって1765年に設立されたコニャックメーカー。今回のリシャール ヘネシーは同社のフラッグシップ。原酒には、コニャックの6つの産地の内、上質な葡萄ができる4地域から原酒を厳選。40年から200年熟成の100種類にも及ぶ最高格付の貴重な原酒を独自にブレンド。 カラフェは手吹きのバカラ製クリスタルで、一つ一つにナンバリングが施されています。


◾︎テイスティングコメント
生産者: ポール ジロー
銘柄: ポールジロー ヘリテージ(50年)

約30000円
かなり熟成感を感じる風味がある。
少し土の風味や、穀物的な風合いを感じる。少し熟成日本酒に近いアロマが感じられる。
ドライフィグの果実味、セメダイン、フレッシュハーブ。ハチミツなどの風味、少しメイプルを思わせる様な香りもある。バニラなどの要素も感じられる。シナモンなどのスパイスの要素。白胡椒などの風味も。
舌触りから香りの遷移が本当に素晴らしい。アルコール的なアタックは非常に柔らかく、みずみずしいチェリーの様な柔らかい果実味が感じられる。


生産者: レミー マルタン
銘柄: レミー マルタン ルイ13世

約210000円
輪郭がハッキリとしたていながらもトースティーで濃厚な香りが感じられるブランデー。
葡萄の果皮をほのかに感じさせるフレッシュ感、ビターなキャラメルトフィーの様な甘い樽香、ドライプルーン、ハッキリとした輪郭。徐々にスパイスやグリニッシュな干し草やハーブの香り、そしてオーク、メープルシロップ、バニラ、余韻はエレガントなブルゴーニュを思わせるトースト的な風味も感じられる。
スパイシーでフレッシュ感に満ちたアルコール感どスパイシーな胡椒やビターキャラメル、干し草の様な複雑な余韻を残していく。アルコールのアタック感がしっかりとある。


生産者: ヘネシー
銘柄: リシャール ヘネシー

約350000円
豊満でふくよかなボリューミー、どこかスパイシーな要素を感じる事ができるブランデー。
チョコレートやミルクを感じさせるまろやかな香りで、焦げたキャラメルトフィーやドライベリーの果実味、少し白胡椒を感じるスパイシーな風味が感じられる。徐々に甘みが向上し、クリームブリュレやココナッツ、バニラ、果皮、干し芋の要素が感じられる。
ミルクティーなど次々と香りが遷移していく。最上クラスのシャンパーニュを思わせる。石鹸や花の要素も現れる。複雑無比。
石灰的なミネラル感、堅牢さ、ハーブ、フレッシュでフルーティーな干し葡萄、強烈な粘性と余韻が非常に長く続いていく。余韻の残り方が恐ろしい、いつまでも下の上で残る。凄まじい一本。



◾︎所感
ポールジローは熟成感、ルイ13世はフレッシュ感と複雑さ、リシャールヘネシーは超絶余韻とふくよかさのコニャックでした。それぞれに特徴があり、それぞれ素晴らしいのですが、非常に強く感じた事は、どのコニャックにもワインにも似たニュアンスを持っている点です。
例えばポールジローであれば、どこか酸化的な熟成を経た日本酒やワイン的なニュアンスがあるし、ルイ13世はブルゴーニュにも似たトースティーなアロマがあります。リシャールヘネシーに至っては良く出来た熟成シャンパーニュの様なクリームブリュレのアロマを纏っています。ワイン用の原料から作ったマールやフィーヌには実はワイン的な要素をあまり感じた事がないのですが、コニャックに関してはワイン用では無いのにも関わらず、そういったアロマを感じさせるのが面白いですね。

まずはポールジローですが、先述した通り、酸化熟成を経た日本酒を思わせる穀物的なアロマが感じられます。そして豊かなドライフィグやメイプルシロップの様な甘さを感じさせる樽の要素、高アルコールらしいスパイシーなシナモンや白胡椒のアロマが感じられます。
特筆すべきはこの中で最も柔らかくしなやかな舌触りを持っており、瑞々しいチェリーを思わせる果実味が感じられます。この中ではそういった意味でも一番熟成感を感じさせますね。
他のコニャックは100年級、200年級の原酒を使用していながらも、アッセンブラージュの妙なのか、ここまでの柔らかさは感じませんでした。これはこれでなかなか素晴らしいと思います。後の2本とはまた別の良さですね。

次にルイ13世。以前フォーシーズンズのバーで見かけましたが、まあ、なかなか手が出ないですよね。
ホテルだし。今回飲めたのはラッキーでした。
極めてトースティーでキャラメルトフィーやメイプルシロップ、バニラなどの様な樽香と共に、品があるブルゴーニュを思わせる樽香が混じってきます。
極めてキャッチーで、ドライプルーンの様な甘い芳香が鼻腔をくすぐります。スパイスや干草の要素もあり、極めて複雑、それでいて各々の要素がハッキリとした輪郭を形成しています。これが若々しくも見える。
また時間を追うごとに、キャッチーなキャラメルのアロマからスパイス、プルーンへと次々と遷移していくのが面白いですね。ストーリーがある様にも見える。異なる熟成年のアッセンブラージュに起因するものでしょうか。アルコールのアタック感は溌剌として強烈。素晴らしいと思います。

最後はリシャールヘネシー。
ルイ13世は輪郭がハッキリとしたコニャックでしたが、リシャールは要素の境界線が曖昧なコニャック。渾然一体と言うには、要素が膨れ上がっており、巨大なボリューム感を持っている。明らかな統制がありながら、外向けに暴発するエネルギー感。
概念的にはそんな感じなんです。で、これ香りも素晴らしいのですが、とにかく余韻が絶妙というか芸術的なんですよ。しっとりと舌に残る馥郁たる香りと、その余韻がいつまでも消えない。決してアルコール感頼りではなくて、それ以外の原料的な部分起因なので、アタック感はどこかしなやかなんですよねえ。
要素としてはチョコレートやミルク、カラメルトフィーといった樽要素とドライベリー。
徐々にクリームブリュレやココナッツ、果皮の要素、スパイスと白い花のアロマが感じられます。
石灰の様なミネラル感も穏やかで豊満な酒質に一本筋を通しています。堅牢さとしなやかさ、華やかさとボリューム感を全て両立している。アンビバレンスな魅力もあるコニャックです。
とにかく余韻とボリューム感は是非感じて頂きたい一本。半端ないです。
カラフェ代が高いとか言われてますが、まあカラフェも高いんでしょうが、一発で感動できるレベルのコニャックです。ぶっちゃけルイ13世が霞むレベルで。
高いですが、ワンショットでも飲む機会があれば是非。

しかし、先述した通り、この3本素晴らしかったです。
なんか新しい扉を開いてしまった様で正直恐ろしい...
ただこれ以上はそうそう無いと思いますんで、色々と探してみようかと思います。




【ブルゴーニュ: 112】アルマン ルソー 2012水平テイスティング(シャンベルタン・シャンベルタン クロ ド ベーズ)

こんにちは、HKOです。
本日は毎年恒例アルマンルソーの水平テイスティングです。
バックナンバーに2004年、2009年、2010年、2011年の記事もありますので合わせてどうぞ。
ちなみにリストは下記の通り。

◾︎2004年(4種類)
シャルムシャンベルタン
マジシャンベルタン
クロ ド ラ ロッシュ
クロ サン ジャック

◾︎2009年(4種類)
シャルムシャンベルタン
リュショットシャンベルタン
クロ サン ジャック
シャンベルタン

◾︎2010年(7種類)
ジュヴレシャンベルタン
シャルムシャンベルタン
マジシャンベルタン
クロ ド ラ ロッシュ
リュショットシャンベルタン
クロ サン ジャック
シャンベルタン

◾︎2011年(4種類)
ラヴォーサンジャック
リュショットシャンベルタン
クロ サン ジャック
シャンベルタン

平均的に4種類くらいは飲んでいたわけですが、今年は激減です。今回は水平の対象が2種類のみとなります。



【データ】
偉大な生産者を多く抱えるジュヴレシャンベルタンですが、その代名詞とも言える5人の生産者が居ます。デュガ ピィ、クロード デュガ、フーリエ、ドニ モルテ、そしてアルマンルソー。
いずれもブルゴーニュを代表する生産者で個性豊かな極めて高品質なワインを生み出します。
とりわけ評価が高くファンが多いのが、アルマンルソー。彼の作るシャンベルタン、シャンベルタン クロ ド ベーズ、1級クロ サン ジャックはまさに別格。ブルゴーニュでも群を抜いた偉大なワインとされています。ルーミエ程では無いにせよ、旗艦銘柄は瞬殺です。
葡萄の平均樹齢45年以上。ただでさえ収量の少ない古木。かつ収量を25hl/haにまで絞った葡萄はリュットレゾネに則って栽培、熟したタイミングでやや早めに収穫されます。除梗は90%程度行われ低温浸漬を経て、アルコール発酵が行われます。ピジャージュは1日2回程度。キュヴェゾンは20日間。その後シャンベルタン、クロ ド ベーズ、クロ サン ジャックが100%新樽、その他の特級は80%新樽で20ヶ月程度の熟成を経たのち軽く濾過、卵白での清澄を行ったのち瓶詰めされます。



【テイスティングコメント】
生産者: アルマン ルソー
銘柄: シャンベルタン クロ ド ベーズ グランクリュ 2012

約110000円、WA94-96pt(2009)
外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
当初獣香や鉄のニュアンスから徐々に柔らかい果実味が感じられる。シャンベルタンと比べるとエキス感が低く、比較的しなやかな甘みが感じられる香り。ややアルコール感が先に出ている。
よく熟したブラックベリーやダークチェリー、炭焼きの香り、抽出は抑えめだからか凝縮感はあまりなく、より横に広がっていくシロップの様な甘みがある。
ミルクティー、スミレや綺麗な鉄分の要素が強く、ミネラルの様な風味がある。土や樹脂、西洋杉、ワッフルの香りが感じられる。クローヴ、リコリス、コリアンダーなどの要素が感じられる。最終的に五香粉の様な香り。
口の中で強烈な凝縮感、酸味、タンニンに驚く。シャンベルタンよりも控えめながらも香りからは想像のつかないパワフルさで、鉄分や獣香、華やかなスミレの香りが口内で広がる。驚くべき堅牢ながら、しなやかである。



生産者: アルマン ルソー
銘柄: シャンベルタン グランクリュ 2012

約110000円、WA95-97pt(2009)
外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
果実味豊かで一見キャッチーだが、堅牢で時間が経っても殆ど変わらない。かなり強烈な凝縮感がありエキス感豊か、蜜の様な甘みがある。
コンポートした様なツヤツヤとしたブラックベリーやダークチェリーが前面に出ており、ツヤツヤとしたテクスチャーを形成している。ミルクティーや華やかなスミレと炭焼き、五香粉の香りがバランス感がよく、徐々にキャラメルの様な樽と果実味のミックスした香りがある。土の様な香り。燻製肉、樹脂、クローヴやリコリスなと。
口の中で凝縮感と共に強い酸とタンニンのアタックが際立ちます。まとまりがあり、濃密なチェリーの果実味とミルクティー、スミレの様な余韻が感じられる。



【所感】
さすがです、アルマンルソー。今年も比類無きブルゴーニュを作っています。

さて、この項目ではヴィンテージ比較をしていますが、今回のシャンベルタンは今までで最も飲みやすい味わいとなっていると思います。無論タンニンや酸はエネルギッシュでパワフルですが、樽や抽出が強烈すぎない程度で抑えられ、しっかりと果実味の塊が感じられる様な作風になっています。無論長期熟成前提に作られているので、他の物と比べたら強いですが2009年の堅牢さからすると、かなり抑えられていると思います。
ではシャンベルタンとクロドベーズの比較を。
まずシャンベルタンから。
こちらはかなり輪郭がはっきりとしており、各々の要素がバランス良く際立っています。かなりグロッシーな質感のワインで一塊感が半端ないです。凝縮感があり、膨大な要素が球体にまとめられています。極めて良く熟した果実味があり、さながらリキュールのごときグリセリンに満ちた味わいです。その中に強い抽出と樽に起因する華やかさやロースト香が存在しています。
一見近づきやすく感じますが、上記の樽や抽出の強さから、ブルゴーニュとしては非常にパワフルなタンニンと酸があり、やはり熟成してから飲む事が望ましいというのが、ハッキリと分かります。

対してシャンベルタン クロ ド ベーズはより難解です。
果実味よりも樽の要素や独特の抽出起因の鉄分や獣香を思わせる風味が際立ちます。果実味も極めて高いのですが、一塊感はなく、横に広がって拡散していくかの様な印象を受けます。広がりのある空間的なグランクリュといった感じでしょうか。またミネラル感もあり、様々な要素が複雑に絡み合い、一つの空間を成している様な感じです。シャンベルタンの様なハッキリとした輪郭のグロッシーなワインというよりは、より複雑で、悪い言い方ですが、輪郭がぼやけた空間的なワインだと思います。各々の要素の主張が絡み合っているから、ワインの本質を掴むのが極めて難しい。
口に含むと、シャンベルタンに近い強いタンニンと酸が感じられ、接頭徹尾排他的な印象を受けます。
こちらはそもそも熟成向けで、シャンベルタンの様な近づきやすさ(偽りのですが)がないですね。
確かに甘露さはあるのですが、それがこのワインの素晴らしいポイントかと言われると、そうでない。
飲めるのには飲めるけども、それがこのワインの本質ではない、というのがひしひしと伝わるんですよね。
難しいワインです。

いつも同じ生産者の畑違いに関しては醸造的要素の違いが主軸となると主張をしていますが、おそらく今回は本当にテロワールの差なんでしょうね。
それこそ、お互い隣接しあっている畑なのですが、実は内情は異なっていて、標高が高く、傾斜が急で丘の中央にある事によって風から守られる、軽く水捌けのよいクロドベース。さらに標高が高く、グリザール渓谷に隣接するため冷涼な気候となっている、粘土質のシャンベルタン。
かなり土壌や気候に関して違いがあります。
ピノノワール栽培においては、明らかにハングタイムが長く肥沃な土地とされるシャンベルタンの方、が骨格が強く、果実味とアルコール度数が高いワインを産出する。またハングタイムがやや短く痩せた土地であるクロドベースに関しても華やかでエレガンスのあるワインを産出する。
今回のテイスティングの印象から考えると、土壌や気候から齎される影響と合致しているので、ほぼこれじゃないかと。
そう考えるとルソーは意外と醸造手法ではなく(勿論新樽やピジャージュなどで上位下位の差別化はありますが)ありのままのテロワールを瓶詰めしているといった感じですね。

非常に良いテイスティングになったと思います。
かなりアルマンルソーは飲んでいる方なのでわかった気になってましたが、てんでまだまだですねー。



【ブルゴーニュ:111】プイィ フュイッセ最高クラスの品質、ダニエル バローのアリエンス

こんにちは、HKOです。
本日はダニエル バローのプイィ フュイッセ アリアンス ヴィエイユヴィーニュです。
場繋ぎ的に飲んだ1本なんですが、これからメチャクチャ素晴らしい。プイィフュイッセの最上の生産者のものを飲むとコートドール並に素晴らしいシャルドネが産出されている事がよく分かります。


【データ】
ダニエル バローはマコネ地区に1890年設立されたドメーヌでか、現当主は4代目のダニエル バロー氏。
マコネ地区ではかなり評価の高い生産者です。
石灰むき出しの岩山の裾野という土壌に畑を持ち、ミネラル感溢れるぶどうは手摘み。自然酵母のみでアルコール発酵、幾分かの新樽で熟成、無濾過で瓶詰めされる。今回のアリアンスはヴェルジッソンの石灰の岩山周辺にある3区画のぶどうをブレンドしたキュヴェ。新樽比率は30%程度。


【テイスティングコメント】
生産者: ダニエル バロー
銘柄: プイィ フュイッセ アリアンス VV 2013

WA90pt(2009)
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
十分なミネラルを骨格として、豊かな果実味が前面に出ているプイィフュイッセ。ごく僅かにMLF的な要素はあるが全体的に極めてクリーン。樽の要素はほとんど感じられない。
バニラやバターの様な風味とフレッシュハーブの爽やかなアロマ、杏仁豆腐、瑞々しいライチや白桃の様な果実味、コンポートの様なシロップに近い香りで、多少オイリーなミネラルが感じられる。ボリューム感があり、どこかシャサーニュモンラッシェを思わせる。
酸と旨味がしっかりと切り立っており、僅かな苦味を感じさせる柑橘系のレモンピールの様な余韻がある。


【所感】
うーん、やっぱいいですねえ。
ミネラル感がしっかりとあって、果実味も充実、だけど決して酸が切り立っていなくて、MLFで適度に滑らかにしているという。極めてクリアで綺麗な目の細かい酸。十分にオイリーなミネラル感。素晴らしい。
余韻に僅かなレモンピールを思わせる苦味があるのもいいすね。なかなか複雑だと思います。
さながらシャサーニュモンラッシェを思わせるような味わい。そう考えると4000円以下で買えるのは物凄くお買い得なのではないかと思う。
まあ、そもそも彼らの様にコートドールに畑が無くて、マコン地区に全力を投入している方たちにしてみれば、プイィフュイッセあるいはサンヴェランこそがフラッグシップとして考えているのでしょうから、このクラスの出来になるのは何処となく納得です。
コートドールの生産者が片手間で作るサントーバンやモンタニーとは違うわけですからね...
ブルゴーニュ的な性質を持ちながら、距離が遠い為に独自の文化を持つマコン地区、決して侮れない、決して侮ってはならないエリアだと思います。

T氏邸宅のワイン会(Tしのていたく:都内某所)

こんにちは、HKOです。
人のお家でワイン会に行ってまいりました。

いつもならワイン会でも雑然とした記載を避けるために、今まで地域ごとに分けていましたが、ペアリングという観点で今回はサルデーニャ、ボルドー、ローヌ一括りで。

しかし我々のワイン会、びっくりする程ブルゴーニュが出ない。ある程度ブルゴーニュの経験値が高い人ばかりなので、その点配慮されているのかもしれません。

では、まずはワインのご紹介です。



【データ】
パーネヴィーノはサルデーニャのカルトワインで、現当主はジャンフランコ マンカで、1994年設立。
標高450mから700mまで土壌も火山岩質から粘土片岩質と様々な特性の、5つの区画に合計3ヘクタールの畑を持ち、樹齢100年を超えるサルデーニャの土着品種を栽培。 年間生産量7500-9000リットル。
畑では一切の施肥を行わず、畑に自生する草を鋤き込むことで緑肥として利用。細かい粉末状の土と硫黄を混ぜたものを農薬代わりに使用している。
今回のス キ ノ ナウはカンノナウ主体にて使用したキュヴェ。

メゾン シシェルはシャトーパルメのオーナーが運営する1883年に設立されたネゴシアン。ACポイヤックの謎のボルドーワインですが、その実、1級シャトーのバレル落ちのワインをそのままボトル詰めしたワインとなります。(故に1級シャトーの区画で、同じ醸造方法で作られたワインということ)
1級シャトーのポイヤックはラトゥール、ムートン、ラフィットの3つのうちの一つ。今回の2013はラフィットと言われています。

Mシャプティエは1808年にタン エルミタージュに設立された老舗ドメーヌ。点字ラベルで有名なこの生産者は、コート デュ ローヌなどのデイリーラインに力を入れる一方で、ローヌ随一のフラッグシップラインも手がけています。
それが「セレクション パーセレール」。単一畑区画名入りのローヌワインで畑の個性を強く押し出したスタイル。現在は「パヴィヨン」「レルミット」「メアル」「ロレ」「グレフェ」などの合計14の畑がリリースされています。すべて完全なビオディナミによって栽培がなされています。
今回はパーセレールのものではありませんが、
畑の所有者であったモーリス モニエ ド ラ シズランヌの名前を冠したキュヴェゾンです。収穫は手積みで、1日2回のピジャージュ、12ヶ月間樫の小樽(1/3が新樽、残りが最長で2年使用後の樽)で熟成。ゆっくりと自然に清澄され、フィルターもコラージュも行われません。ベッサール、グレフュー、メアルのアッサンブラージュ。


【テイスティングコメント】
生産者: パーネ ヴィーノ
銘柄: ス キ ノ ナウ 2013
品種: カンノナウ主体

外観は赤みの強い濃いガーネット、粘性は中庸。
スペインの冷涼なガルナッチャ(例えばテロワール アル リミット)の様な薔薇やスミレの華やかさがある。ハングタイムが長そうな風味で果皮の香りを強く感じる。
凝縮感のある果実味がありチェリーリキュール、アプリコットなどの果実味が感じられる。副次的な要素としてなめし皮、黒胡椒など。オークの風味も。
酸味やタンニンは強いが収斂性は低く、ボディと柔らかいアルコール感が綺麗に流れていく。
クリーンで洗練された味わい。


生産者: メゾン シシェル
銘柄: ポイヤック 2012
品種 : カベルネソーヴィニヨン60%、メルロー40%

外観はガーネット、粘性は高い。
非常にバランスが取れた味わいで、全体的にまろやかでシルキーなボルドー。ほのかなトースティーな樽香とミルク、豊かなカシス、ブラックベリーの柔らかな果実味、ピーマンの様なグリニッシュな風味。
2011年のラフィットに近い繊細さを併せ持っている。
ボディは極めてシルキーで柔らかい。酸も程よい。ブラックベリーの果実味、蜜の様な甘さ。


生産者: ミシェル シャプティエ
銘柄: エルミタージュ モニエ ド ラ シズランヌ 1989
品種: シラー100%

赤みは未だ強くハッキリとしたガーネット。淵はほのかにオレンジがかっている。粘性は中庸。
素晴らしく優美に熟成したシラー。
熟成起因のカツオダシや燻製肉、濡れた樹皮や土のアロマ。熟成のニュアンスはピノノワールにも近い。モカやトリュフ、ダークチェリーやブルーベリーのドライジャム、クローヴ、コリアンダー、ナツメグなどの要素が感じられる。
熟成によって酸はきめ細やかで、タンニンは穏やか。ローヌとしてしなやかな体躯になっているが、その分動物的な旨味が爆発している。



お料理はほぼホストの手作り。
そのお料理とのペアリングは以下の通り。
いずれも本当に良かった...


【お料理】
◾︎前菜「岩塩とスダチで食べる刺身の盛り合わせ、厚揚げ(コチ、真鯛、シマアジ、白イカ、トリガイ、ホッキ貝)」

プラーガーのヴァッフストゥム ボーデンシュタイン スマラクトと共に。プラーガーの酸がスダチを介して魚介の刺身を引き立たせる。シマアジと強烈にマリアージュ。


◾︎握り「岩塩とスダチで食べる白イカの握り」


プラーガーのヴァッフストゥム ボーデンシュタイン スマラクトと共に。
口の中で解けるホストの握り。これまたスダチを介してよくマリアージュした。白イカが厚みがあって、歯ごたえ豊かで美味しかった。サクサク。



◾︎肉料理1: 「ラムロースト、ガーリックとローズマリー」

メゾン シシェルのポイヤックと共に。
ラムチョップ。以前より火入れが上手くなってる!
ローズマリーの風味がいい感じ。ワインはエルミタージュの方が合った。


◾︎肉料理2: 「神戸牛フィレ肉の3時間かけた低速ロースト、ローストした野菜を添えて バルサミコソース」




シャプティエの熟成エルミタージュ シズランヌと共に。神・戸牛フィレ200g。まさか手作り料理でここまでヤバいのが出てくるとは思わなかった。火入れも好みな感じで、香ばしくカリカリの外面と、極レアで肉汁と血が滴る感じ。ベースの味わいはシンプルなので、ポイヤックとよく合った。



◾︎パスタ: 「アマトリチャーナ・ブラン パンチェッタ増し増し」


パーネヴィーノのスキノナウと共に。
厚切りパンチェッタの脂身の旨味が最高。スペックもいい。麺の茹で加減も絶妙で、パーネヴィーノの華やかな味わいと意外とマッチをした。


◾︎デゼール「エコール・クリオロ ガイア、白桃、佐藤錦」

マリアージュ フレールのサマーティー ヴィオレッタと共に。ビターなカラメルの風味がいい感じ。一番最下層の記事がサクサク。かなり美味しい。ヴォレッタのスミレの香りも最高。


相変わらず、まるでホームパーティーで食べる料理とは決して思えない...プロ並みの皿が出てくるのはおっそろしいですね。特に神戸牛が完膚なきまでに素晴らしかった...!最高ですね!
毎度申し訳ない気持ちになってしまいます笑




Chinois Shibuya(2回目)(シノワ渋谷:渋谷)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。

こんにちは、HKOです。
このブログでは毎度お馴染みシノワ渋谷です。
相変わらずコストパフォーマンスの良い素敵なコースでした。


◾︎アミューズ: 冷製の茶碗蒸し(★)

卵の風味とペーコンやコンソメの様な風味が最高。
茶碗蒸しというよりプリンっぽい。



◾︎前菜: 熊本産馬肉のタリアータ ルッコラ マッシュルーム パルミジャーノ添え ルバーブソース(★★)


火入れした薄切り馬肉に、旨味たっぷりのスライスパルミジャーノ、歯ごたえの良いマッシュルーム、ルッコラのサラダが添えられている。ソースは2種類。甘みと酸味たっぷりバルサミコソース、赤いルバーブのソース。
馬肉は肉感的で強い歯応えがある。野生的な味わい。パルミジャーノの旨味とルバーブの甘みが最高に合ってくる。



◾︎メイン: 山形産三元豚のスペアリブのオリエンタル風 パッションフルーツのソース(★★★)


スペアリブは醤油ベース?でかなり強い味付けがなされている。柔らかく焼き上げられており身はホロホロ。すぐに骨から身が離れてくれる。一見難しそうなパッションフルーツのソースもスペアリブ自体の味が強いから酸味と甘さが自然に溶け込んでくれる。余韻を柔らかくしてくれる。インパクトある味わい。



◾︎ご飯: フォアグラ丼(★★★)

出汁を使って炊き上げた餅米を使ったフォアグラ丼。
強い旨味がある餅米だから、甘辛いソースのフォアグラの濃厚な味わいがバランス良く収まる。



◾︎デゼール: アメリカンチェリーとショコラ風味のアーモンドクリームのパフェ(★★★)

ナッツの香ばしい風味とベリーの華やかな酸味と食感が嬉しい。ナッツの風味のアイスクリームの上にはピスタチオ。奥の方にショコラクリーム。
キャッチーで親しみやすいデザート。



ワインはアムルーズ6種類。完全に別個のものとして楽しみました。相変わらずコストパフォーマンスの高いディナーですなー。
素晴らしい!



住所: 東京都渋谷区宇田川町28丁目4番地 A2ビル 8F
店名: Chinoi Shibuya(シノワ渋谷)
電話番号: 03 5457 2412
営業時間:
[月~金・土・祝前]
18:00~26:00 LO25:00
[土・日・祝]
12:00~14:30
[日・祝]
18:00~24:00 LO23:00

【ブルゴーニュ: 110】娼婦達の誘惑、レ ザムルーズ古酒の誘い

こんにちは、HKOです。
本日は昨日に引き続きレザムルーズ2種類です。
ちなみになんと!ジョルジュ ルーミエのアムルーズも含みます!やったぜ!(あんまり良くないヴィンテージだけど)


【データ】
ヴォギュエはミュニエ、ルーミエ、グロフィエとともにシャンボールミュジニーを代表する最も優れた生産者の一人。栽培責任者はエリック ブルゴーニュ、醸造責任者はフランソワ ミレが担当しています。
有機農法、収量制限の為の仕立て併用、作柄毎に醸造方法を変えるなど、葡萄のポテンシャルを最大限に引き出す為の栽培方法を実践しています。
収穫したブドウは100%破砕除梗。低温浸漬は行わない。木の発酵槽で約3週間発酵させ、樽熟成は約1年で、新樽率は村名15%、特級で30%。
なお、ミュジニー畑に植わっている25年未満の若木に関しては、赤はシャンボールミュジニープルミエクリュとして、白はブルゴーニュブランとして、そして25年以降を特級ミュジニーヴィエイユヴィーニュとしてリリースしており、このデクラッセによってミュジニーの品質が保たれています。

ジョルジュルーミエは恐らくブルゴーニュで最も人気がある生産者のうちの一人で、そもそもの生産量が少ない&市場で瞬間蒸発してしまうため滅多に見かけない、見かけてもプレミアがついてべらぼうな金額で取引されている生産者です。化学薬品、化学肥料、除草剤は使用せず、グリーンハーヴェストによる収量制限を行います。
選果台で選別を行ったのちに除梗します。除梗比率はは年によって変わりますが、平準的な年で75%、暑い年で50%程度。発酵槽は2009年より100%ステンレスタンクを使用し、6日程度の低温浸漬を行った後発酵を行う。新樽比率は村名25%、一級40%、特級50%と比較的少ない使用率で16ヶ月熟成の後、無清張、無濾過で瓶詰めされます。
今回のレ ザムルーズは特に人気が高く、(もはや辟易してしまいそうな)価格高騰を起こしている希少な一本です。


【テイスティングコメント】
生産者: コント ジョルジュ ド ヴォギュエ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ レ ザムルーズ 2001


約86000円、WA92-94pt
赤みは落ち着いているもののまだまだ若々しさを感じさせるルビー、粘性は中庸。香りがあまり立ってこない。
ミネラル感は健在。ラズベリーやブルーベリーのドライジャムの様な果実味は驚く程健在なのに、獣香や熟成香はハッキリと立っている。マロラクティック発酵に起因するミルクティーの要素、そのまま派手さを引き換えに旨味を強烈に表出している。スミレや薔薇のドライフラワー、紅茶や枯れた葉、濡れた土などの自然的な要素が際立っている。生肉、そして溶剤。クローヴやローリエなどのスパイス香が感じられる。少しずつ蜜の様な風味も現れる。 鉛筆の芯など。
香りは切ないが、口に含むと偉大さがよくわかる。
強烈な旨味のエキス感、梅柴やスモモの様な果実味とスパイス、獣香の様な余韻が広がっていく。まだ熟成出来ると思う。


生産者: ジョルジュ ルーミエ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ レ ザムルーズ 1994


約190000円、WA89pt
外観は全体的に橙を帯び始めたルビー、粘性は中庸。
パワーは弱いがそれを求める生産者ではない。
他の要素をそぎ落とされた、核に近い澄んだエキス感を感じるアムルーズ。香りも十分に立っている。
ただヴィンテージに対して進みすぎている印象もある。アプリコットジャム、アセロラ、梅しば的な旨味を包含するエキス感が際立つ。椎茸や漬物的な風味が早くも現れている。濡れた木材やトリュフ、併せてスミレなどのドライフラワーや落ち葉、生肉やなめし革。ユーカリ、ヒノキ。燻製。スーボワの香りはあるが控えめ。獣香に至っては全くないピュアなエキス感を残した果実味がかなり魅力的だ。
どこかミルクティーの要素もあり、熟成しているのにも関わらずツヤツヤとした果実味がある。(勿論熟成香が主体だが立体感があるということ)
酸の繊細さ、柔らかいタンニンに差異なく綺麗に乗ってくる旨味、絶妙なバランス感。梅しばや木材、落ち葉、生肉を感じさせる完璧な余韻。素晴らしい。美しい酸とタンニンが両立。


【所感】
昨日に引き続きレザムルーズですが、今回は「少し熟成した」ヴォギュエと「飲み頃の」ルーミエです。
端的に言うとヴォギュエはなかなか香りが開いて来ず、ちょっと残念な感じでしたが、ルーミエは悪いヴィンテージのものだったからか、逆に凄まじく良いタイミングで飲めたと思います。
もうこれは本当にラッキーですね。この年代にしてほぼ核だけ残したお出汁系の上品な味わいといって差し支えないのではないかと。
まずヴォギュエのレザムルーズから。
先ほど凄まじいミネラル感と芳香をブリブリ振りまいていたアムルーズですか...なんと全然香りが上がってこない。当然フレッシュなイチゴ香は期待をしていない訳ですけど、熟成に起因する獣香や鉛筆の芯、生肉以外はすごーく閉じこもっていて、その姿を現してくれない。
ほのかに感じられるベリーの香りやミルクティーの要素、ミネラル感を見るに若いヴィンテージの面影を未だ残しているのはどことなく感じますが....滋味には至ってません。熱浴びのミュジニー2001は(不完全ながらも)開いていたので、多少期待していたのですが、香りに関しては少し厳しいな、と感じました。
丁度熟成と若々しさの狭間でスタイルを見失っている感じでしょうか。ただこれが口に含んだ時に本質の片鱗を感じとることができます。
エキス感が強烈な旨味に転化している。これは若いヴィンテージでは決して味わえないものです。梅しばやスモモのような旨味成分が口に広がり長い余韻を残してくれます。酸はパワフルなので、まだ若いとは感じるものの、旨味は最高だと思います。
次にジョルジュ ルーミエのアムルーズ。1994って事で一般的にも飲み頃だと思うんですが、そもそも良くないヴィンテージというのもあり、平準より少し進んでいる様な味わいだと思いました。感じとしては2次ピーク。様々な要素をそぎ落とした上で、本質というか核というか、それらの美しい部分だけを残した味わいというべきでしょうか。一昨年の80年代前半ののフーリエのグリオットシャンベルタン、そして去年のトラペの1982シャンベルタンに近しい味わいと感じました。年に一回こうした完全なる2次ピークの熟成に出会えるのはラッキーです。しかもルーミエのレザムルーズ。これで残念アムルーズだったら泣いているところでした...
当然ながら、最近のスタイルのルーミエの若いヴィンテージ(例えば レ クラなど)と比べるとパワー感というか凝縮感は落ちているものの、非常に繊細で美しいワインになっています。梅しばやアプリコットのジャム、アセロラの果実味と椎茸や漬物系の綺麗な旨味が引かれています。その中でバランス良く熟成のニュアンスが織り込まれているのが素晴らしいですね。出汁の様なワインではあるものの梅しばの風味はツヤツヤとしていて、古酒にして立体感があります。
アタックから余韻に至るまでも完璧で酸が立つ訳でも旨味が立つ訳でもなく、ひたすら綺麗に残留する酸に旨味が乗ってきます。その組み付けが完璧で、継ぎ目が無い。何言ってるのかよくわかんないと思いますが、分かる人には分かっていただけるのではないかと...
以前ルーミエのボンヌマール古酒を飲んだ時は1980年代が結構パワフルで帆立味だったので「んー」となんとも言えない気分になったのですが、これは完璧ですね!
すは




【ブルゴーニュ: 109】淑女達の微笑、レ ザムルーズ2011の誘い

こんにちは、HKOです。
レアなジャック フレデリック ミュニエのアムルーズを含む、レ ザムルーズ4種類です。


【データ】
フランソワ ベルトーは2004年より父ピエールに代わり5代目当主のフランソワが設立したドメーヌ。
保有面積はボンヌマール、レ ザムルーズを含む6.2ha所有しています。平均樹齢は30年~40年。年間生産量は15000本のみ。シャンボールに根差した生産者でレジオナル以外はシャンボール村名、一級、特級のみを保有しています。
栽培は厳格なリュットレゾネ。ヴァンダンジュヴェールトで厳しく収量を切り詰め、収穫は全て手摘み。野生酵母で発酵、熟成はバリックで18ヶ月間。新樽の比率は20%~30%。瓶詰めはノンフィルター、瓶詰め後半年以上休ませてから出荷します。
今回のレザムルーズはわずか0.32haのみのレアワイン。

ロベール グロフィエはモレ サン ドニに拠点を置くシャンボールミュジニーのトップ生産者の一人。レ ザムルーズ最大の所有者。現在はセルジュ グロフィエ、ニコラ グロフィエが指揮を取っている。フラッグシップはシャンベルタン クロ ド ベーズ、ボンヌマール、1級レ ザムルーズ。
除梗は2007年、2009年が100%、2008年、2010年は70%。2011年は60%。
10日間の低温浸漬の後、自生酵母による自然発酵。新樽率は村名20%、アムルーズ40%、ボンヌマール60%で、13ヶ月程度のフランソワフレール製の樽で熟成を行う。

ジャック フレデリック ミュニエは19世紀後半にその大本となるドメーヌが設立されましたが、実際に本格的にワイン作りが行われるようになったのは1985年から。現在はシャンボールミュジニートップクラスの名手となっています。指揮は5代目のフレデリック ミュニエ。
ミュジニーは2カ所1.13ha、ボンヌマールはテールルージュ、テールブランシュ5カ所に0.36ha保有しています。
ぼぼ有機農法、グリーンハーヴェストによって収量を制限した栽培がおこなわれる。選果は収穫時に入念に行われ、除梗機で100%除梗は行われる。発酵前に2、3日低温浸漬を行なわれ、徐々に温度を上げ自然に発酵を行なうが、必要によってシャプタリザシオンも行う。発酵は18日間。新樽比率はミュジニー、ボンヌマールは20−25%で24ヶ月熟成を経て無濾過、無清澄で瓶詰めされます。
個人的に凄い好きな生産者で(ヴォギュエより好き)毎年楽しみにしています。2011年はどうでしょうか。

ヴォギュエはミュニエ、ルーミエ、グロフィエとともにシャンボールミュジニーを代表する最も優れた生産者の一人。栽培責任者はエリック ブルゴーニュ、醸造責任者はフランソワ ミレが担当しています。
有機農法、収量制限の為の仕立て併用、作柄毎に醸造方法を変えるなど、葡萄のポテンシャルを最大限に引き出す為の栽培方法を実践しています。
収穫したブドウは100%破砕除梗。低温浸漬は行わない。木の発酵槽で約3週間発酵させ、樽熟成は約1年で、新樽率は村名15%、特級で30%。
なお、ミュジニー畑に植わっている25年未満の若木に関しては、赤はシャンボールミュジニープルミエクリュとして、白はブルゴーニュブランとして、そして25年以降を特級ミュジニーヴィエイユヴィーニュとしてリリースしており、このデクラッセによってミュジニーの品質が保たれています。



【テイスティングコメント】
生産者: フランソワ ベルトー
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ レ ザムルーズ 2011

21000円、WA85-87pt(2004)
外観は淡いルビーで粘性は低い。根本をしっかりとしたミネラルが占めるが、極めて繊細なアムルーズで澄んだエキス感がある。
アメリカンチェリーやクランベリーの赤系果実の果皮を感じさせる華やかさと果実味があり、なめし革や燻製肉、スミレのような花の香りが鼻腔をくすぐる。
濡れた樹皮やクローヴなどのフレッシュハーブ、紅茶や、ほのかにミルクの香りや燻した香りが漂うがメインではなく、あくまで野生的な香りとベリーのエキス感が主体的。徐々に旨味の膜をはり、枯葉やメイプルの様なトースティーな甘さを伴い始める
酸味は非常にきめ細やかで、タンニンはとても柔らかい。ベリー類の瑞々しいエキス感となめし革、葉の余韻が立体感を持って現れる。王道的アムルーズ。凝縮感もあり、テロワールをしっかりと写し取っている。



生産者: ロベール グロフィエ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ レ ザムルーズ 2011

33000円、WA93pt(2009)
外観はやや濃いめのルビーで粘性は中庸。
こちらも澄んだエキス感のある味わいだが、少し樽の要素とが感じられる。引き締まったミネラル。
ダークチェリーやブルーベリーの果実味があり、その中に五香粉やコーヒー、強めのなめし革の要素が感じられる。複雑で以前より樽の香りが増した印象。
少し乾いた果実の甘みがあり、パワフル。スミレや濡れた土や葉、ポルチーニ。鉄観音の様な乾いた葉も混じる、クローヴなどのハーブなどの要素が感じられる。ミルクの要素はあるが少し控えめ。枯葉の要素が徐々に主体的になり力強いアプリコットの要素が現れる。
酸味は極めてきめ細やかで繊細、タンニンはベルトーに比べると少し強めだが、瑞々しいアムルーズの本日は変わらない。妖艶な五香粉とダークチェリーのエキス感が凝縮し、味わいが広がっていく。
マロラクティックな1年前とはかなり印象が異なる。



生産者: ジャック フレデリック ミュニエ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ レ ザムルーズ 2011

120000円、WA93pt
やや濃いめのルビーで粘性は中庸。
還元的であるものの、少しずつ本質を表していく。
エキス感はしっかりとありながら抽出が強く、やや筋肉質な印象を受ける。
華やかなスミレやなめし革の香りとダークチェリー、ブルーベリーの瑞々しい果実味が復活してくる。果実の本来の蜜の様な甘みが混じる。アプリコットの様な旨味も存在。ツヤツヤとした果実味がある。若い瑞々しい葉と枯れた葉の香りが同居、フィトンチッドの様な木材の香り、ほのかに五香粉の様な樽香。燻製肉や濡れた犬、少しずつマロラクティックなミルクティー風味が現れる。クローヴやフレッシュハーブなど。
この中では最もつやつやした果実味が感じられる。ほのかに炭焼きの様な樽香を帯びてくる。
やはりタンニンと酸は繊細でしなやか。クローヴやダークチェリーやブルーベリーのエキス感に満ちた余韻が長く続いていく。華やかでありながら果実味に満ちたアムルーズ。



生産者: コント ジョルジュ ド ヴォギュエ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ レ ザムルーズ 2011

95000円、WA94-96pt(2010)
やや濃いめのルビーで粘性は中庸。
なんだかんだで凄まじい凝縮感と香りの発露を見せるヴォギュエのアムルーズ。若くして鮮明な骨格を見せ、強烈な立体感がある。
まずコントレックスの様な強烈なミネラル感がある。
その中で、フランボワーズやチェリーリキュールの様な赤系の強烈なエキス感が際立っている。厚みと鮮明さを完全なものとしたキャンディ香、その中でしっかりとミルクティーの要素もある。なめし革やスミレ、薔薇などの煌びやかな香りと若い葉やフレッシュハーブの香り、そして乾いた木、紅茶、クローヴなどの要素。ほのかに甘いシロップの香りが感じられる。
ロースト香は殆ど感じられない。とにかくフレッシュでエネルギッシュなイチゴのキュートなアロマ。
タンニンや酸はこの中では強いものの、やはり繊細で目が細かい。スミレや溶剤、ベリーやはっきりしたイチゴの風味と強靭なミネラル感を舌で感じることができる。インパクトの強い旨味、余韻は長い。



【所感】
どの生産者もかなり個性が異なり、一概に良し悪しが言いにくいものばかりでした。
共通点としてはローストを押し出さず、基本的にエキス感とMLFを上手くバランスを取って外面を軽やかに、内面は強い凝縮感が出る様に仕上げています。
ミネラルは生産者によってまちまちですね。結構生産者毎の差異が大きいので特徴を掴むのなかなか難しいっすね。

まずフランソワベルトーのアムルーズ。これは個人的には今最も美味しく飲めるであろうと考えるアムルーズで、体躯的には最も軽く、十分なエキス感を持っているワインと感じました。色付きの薄いピノノワールを適切に処置したであろうアムルーズで、赤系果実味のエキス感が充実、それと共になめし皮とスミレ、燻製肉の香りがバランスよく配されています。適度にグリニッシュ、MLF的要素が感じられ、アムルーズの特徴をとても掴んでいると思います。
対してグロフィエのアムルーズは -単体で飲んだ時には全くそうは思わないのですが- 比較をした時に新樽の要素がハッキリと感じられ、また抽出も強めである事が良くわかります。去年飲んだ時にはマロラクティック発酵の要素の方がハッキリと出ていましたが、そこは落ち着いたのかもしれません。その分樽香がハッキリと出てきているのかも。そして抽出による強いなめし皮、スミレの要素、そしてダークチェリーやブルーベリーの果実味、アプリコットの様な強い旨味、ハーブの要素があります。
タンニンはこの中では強めで、酸と共にハッキリとしたアタックがありましたが、目が細かく繊細。
これは更に熟成する事でいい方向に向かっていきそうですね。今としてはちょっと堅牢ですね。もちろんアムルーズの中では、ですが。
次にジャック フレデリック ミュニエのアムルーズ。
貴重な一本ですが、抜栓直後は極めて還元的で、わずかに硫黄を思わせる香りがありました。ただ供出20分程度で抜けて、その姿を現してきます。
抽出の煌びやかさとブルーベリーやダークチェリーなどの果実味に満ちたツヤツヤとしたテクスチャのアムルーズで、ある種王道的と感じました。枯れた葉や木材、ミルクティーのアロマと炭焼きニュアンス。余韻は抽出起因の華やかさがありますが、やはり極自然的な森の様なニュアンスを最も強く感じたアムルーズでした。
最後ヴォギュエ。
相変わらずの独特のスタイル...でありながら強烈で鮮烈な香りの明確さ、立体感、骨格の強固さ。
コントレックスにも似た強烈なミネラル感が全面を占めている。にもかかわらず恐ろしい程のキャッチーさがある。フレッシュなイチゴやフランボワーズ、そしてチェリーリキュールなどの赤系果実味が鋭角的に鮮明に芳香する。ハッキリとしたマロラクティック発酵のニュアンスもあり、薔薇やスミレの香りが乱舞する。抽出も強めなので酸とタンニンはこの中ではアタッキーではありますが、恐ろしい程の気安さを感じるワインです。...ただし明らかに撒き餌ですけどね、ヴォギュエのワインは。知ってますよ、あと数年すると次開く時はいつかわからないっていうね。
樽のニュアンスが無く、ほぼほぼ抽出と果実味で複雑さを出していますから、本当に樽香頼りで熟成ポテンシャルを読めない...この中だと圧倒的なポテンシャルを感じる一本です。それでいて、仮初めだけど、今飲んでも美味しいっていうね。

どれも素晴らしかったですが、個人的にはフランソワベルトーですね。今の段階だと最もバランスが取れているので、価格的にも満足が行くと思います。
あるいはヴォギュエですが、値段が高すぎる。ミニュエは熟成待ちですが、そもそも国内に玉がない。グロフィエは絶賛高騰中ですし、ここのところ激しく堅牢に作ってあるので、柔らかくなるまで待たなくちゃいけませんね。
そうなると必然、フランソワベルトーです。
なかなかいい生産者だと思いました。





プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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