【ピエモンテ:11】古典派、モダン織り交ぜたバローロ5種類を効く Part2

こんにちは、HKOです。
先日の続き、バローロです。
本日は熟成したモダンバローロ2種類です。


【データ】
ガヤはピエモンテにおける最も偉大な生産者のうちの一人です。
ポートフォリオも膨大でバルバレスコやバローロ、そして各々の単一畑。国際品種を使用したダルマジ、買収した生産者のブルネッロなど。いずれも比類なきレベルの高さ。価格も比類なき高さ。
国際品種の導入、単一畑、バリック樽の使用などイタリアにおいて革命的なシステムを数多く取り入れています。
特に単一畑はバルバレスコやバローロの名前をあえて使用せずランゲに格下げして生産しています。
なので、ボトルにはバルバレスコやバローロの表記こそありませんが実態としてはバローロ、バルバレスコの偉大な畑から産出される卓抜したネッビオーロです。
収量制限がなされて収穫された葡萄は、果皮と共に3週間ステンレスタンクで発酵が行われます。 バリック樽で12ヶ月熟成、その後さらにオーク大樽で約20ヶ月間の熟成を行われます。
通常伝統的なネッビオーロは大樽を使用しますが、最近のモダンバローロよろしく(最近は少なくないですが)バリック小樽を使用しています。技術革新も受け止めて比較的モダンな作りと言えると思います。


ルチアーノ サンドローネはエリオアルターレなどと共にモダンバローロの枠内で語られるバローロボーイズのうちの一人。大手ネゴシアンで仕事をする中で、カンヌビの畑を1978年に購入した事でワイナリーをスタートさせます。現在はルチアーノと弟のルカは栽培醸造を行っています。
カンヌビの麓にある醸造所は近代的な設備を備え、バローロ、ランガ、ロエロの地区に最上の畑を所有しています。
今回のレ ヴィーニャは4つの異なる畑のワインをブレンドさせて作るバローロ。 内訳は標高250m、樹齢20年、石灰岩粘土質のヴィニャーネ(バローロ地区)、
標高400m、平均樹齢25年、石灰岩質マール他、密度が濃く多様な土壌のメルリ(ノヴェーロ地区) 、
標高450m、平均樹齢45年、石灰岩質マール他、密度が濃く多様な土壌のコンテルニ(モンフォルテ ダルバ地区) 、標高250m、平均樹齢15年、石灰岩質マール、砂質のチェレッタ(モンフォルテ ダルバ地区) 。
それらの畑から収穫したブドウを畑別に醸造。ステンレスタンクでマセラシオン9~10日間、発酵28日間。フレンチバリックで5ヶ月程度MLF。個々の樽を翌年夏にブレンドし、同じ樽で秋まで熟成後、さらに18ヶ月瓶熟。


【テイスティングコメント】
生産者: ルチアーノ サンドローネ
銘柄: バローロ レ ヴィーニェ 2002

WA88pt、25000円
外観は淵にオレンジを帯びた均一な淡いガーネット、粘性は中庸。
枯葉や濡れた土、萎れた薔薇の様な香り、そしてブルーベリーやオリーブの様なやや塩気を感じさせる果実味、サフラン、クミンなどのスパイス、消毒液とともにお出汁にも似たキノコ系の旨味が表出している。
バニラのアロマが全体の印象をまろやかに。ドライハーブや燻製肉、鉄観音、炭焼きやイーストの様な香りを帯びる。ボルドー的な熟成感と共にバローロ的なアロマもしっかりと残している。徐々に渾然一体となったナツメグを含むソースのような香りも。
酸とタンニンは泣くほど絶妙で、優美の一言。
引っかかりは一切なく、滑らかで、土やドライフラワー、熟したベリーのような余韻が残る。
華やかかつエレガント。モダンスタイルが醸し出す絶妙な熟成香。


生産者: ガヤ
銘柄: スペルス 1999

WA94pt、41000円
外観は淵にオレンジを帯びた均一な淡いガーネット、粘性は中庸。
熟成したボルドーの様な見事な熟成感をまとった一本。腐葉土やキノコの様な熟成香と、円熟したブラックベリーやダークチェリーのジャムの様な果実味、ドライフラワーの様な香りが入り混じる。そこバニラのまろやかな芳香が香りにしなやかさを与えている。葉巻、西洋杉などの香り、そして熟成肉、タイムやリコリス、ナツメグなど熟成によるスパイシーな香り。炭焼きの様なアロマが漂う。
ボルドーの2回目の飲み頃を思わせる香り、ただしその中にある酸味の豊かさとなめし皮の様なアロマは非常に官能的。
枯葉や鉄観音、腐葉土、キノコ、ブラックベリーなどの様々な要素の余韻を残し、口の中のボディも厚い、さりとて酸とタンニンは穏やかで、完全に素晴らしい状態になっている。ほのかに苦味はあるが、ほぼ完璧な状態だと思われる。


【所感】
何これ最高かよ...
ちょっと絶句してしまう位いいです、この2本。
両方ともモダンバローロなんですが、メチャクチャ綺麗に熟成してる。経年としてはさほどではないので、奇跡的にバランスの良いタイミングで飲めたかもしれません。
私の中での認識では、いくらモダンバローロでもタンニンと熟成香とタンニンが張って微妙な時期であると思っていたのですが...これはすごいですね。
やっぱり実際飲んでみない事にはわからんなぁ。
うまい具合にタンニンも酸もこなれていて、いい感じの熟成感と適度な果実味が残っていて、綺麗な旨味があります。エレガントです。
ルチアーノ サンドローネはまだそれでも足りてないと思いますが、ガヤの方は1次ピークを迎えていると思います。まだ熟成香主体の2次ピークは先でしょうが、その一つ前のベストな状態だと思います。
というか1999ってこんなに熟成しているものか???

という前提の下、個別に。
まずルチアーノ サンドローネ。
枯れた葉や濡れた土、萎れた薔薇の様な香りを主体としながら、ブルーベリーやオリーブなどの塩気を感じる果実味、様々なスパイス。バニラのアロマやイーストの香りが感じられます。
熟成香ははっきりしていながら、まだまだボディは若々しく張ってます。酸とタンニンはテイスティングコメントの通り滑らかで優美。受けた感じではボルドースタイルの熟成香とネッビオーロの本来の香りの丁度真ん中くらいの風合いってところでしょうか。
ガヤほどではありませんが、こちらも突出した熟成ネッビオーロといった感じでしょうか。

次にガヤ。
ひょっとしたら今まで飲んだ熟成ネッビオーロの中ではほぼベストだったのでは...という感じ。
ネッビオーロは熟成に極めて時間が掛かるという話から80年代、70年代を幾つか飲んだのですが...勿論いいものはありましたが、全体的にどこかアンモニア香が強いものが結構多く苦手意識がありました。
ただこれは凄い!行ってしまえば、まるでボルドーの最上の古酒の様ではありませんか!
腐葉土やキノコ、そして熟成して円熟した黒系果実のジャムの様な果実味、ドライフラワーの香りがこれがもう見事にバランスが取れていて素晴らしい。そしてフレンチバリック的なバニラ、葉巻、西洋杉の香りもあり複雑さも演出してくれています。なめし革の様な要素もあり、非常に官能的でもあります。
酸とタンニンは落ち着いていながら、ボディは厚く熟成ポテンシャルも十二分に感じられます。

凄いですね、バローロの熟成したの。
少なくともモダンバローロの熟成はかなり半端ないってことが分かりました。
いや、奥が深い。ネッビオーロ、もっと試してみたいと思います。



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【ピエモンテ: 10】古典派、モダン織り交ぜたバローロ5種類を効く Part1

こんにちは、HKOです。
本日はバローロ5生産者のうち比較的若いヴィンテージ3本のレポートです。
一言でいうとプルノットがものすごいいいです....


【データ】
マッソリーノはセッラルンガダルバに1896年に設立されたワイナリー。初代のジョバンニマッソリーノ氏から現代に至るまで100年以上続く老舗ワイナリーで、現在のオーナーはフランコ氏とロベルト氏。ヴィーニャ リオンダ、パラファーダ、マルゲリアという、フラッグシップとなる3つの畑を含む23haの畑を保有。
設立当初からワイン造りは変えておらず、伝統的なバローロの造り方に則り熟成に大樽を使うなど、自社畑を最大限に表現したワインを造り出しています。
セッラルンガは、バローロの中で最も東側に位置している石灰と砂の多い土壌です。

エルヴィオ コーニョはランゲ ブリッコ ラヴェーラの丘に1990年に創設された比較的新しいワイナリー。
ランゲの中でも最南端に位置する場所にあります。
3代目エルヴィオ コーニョは1950年代末「マルカリーニ」で醸造を担当した実績を持っており、現在は娘のナディアと夫のヴァルテール・フィソーレが担当しています。
ミクロクリマの影響を受ける石灰質土壌のランゲにおいて南東向きの丘陵地帯に位置している為、日照条件も良く、海洋性の穏やかな気候の恩恵も受けています。降水量は少ないです。栽培には除草剤などは使用しません。
醸造では自然酵母を利用し、最新技術と伝統的製法を併用し、酸化しやすいネッビオーロ種へのアプローチとして厳密に温度管理をする最新式ステンレスタンクを使用、熟成はクロアチア産の伝統的な大樽を使用しています。
今回のヴィーニャ エレナ リゼルヴァはブドウの良年にのみ作られるフラッグシップワイン。クラシックなスタイルのバローロです。

プルノットは1923年にランゲワイン協同組合をアルフレッド・プルノット氏が買取り、自身の名前でワイナリーを設立しています。拠点はモンフォルテダルバ。1956年の引退以降は醸造家ペッペ コッラ氏に引き継がれ、更に1989年にアンティノリに引き継がれています。畑の概念を早くに導入した生産者でもあります。
アンティノリに引き継がれて以降は優良畑「ブッシア」をはじめ、バルバレスコにも畑を買い増し、自社畑を少しずつ増やしています。
醸造に関しても、1999年には老朽化したセラーを最新の温度管理機能を備えた施設に一新し、発酵用のタンクは、古いコンクリート製のものから、ステンレス製に変更。熟成用の樽はバリックを採用しながら、スロベニアンオークの大樽もより小さい5,000~7,500リットルサイズへ変更しています。
今回のブッシア コロネッロはブッシアの畑内にあるコロネッロと呼ばれる僅か1haの区画を使用したもの。砂層、ローム層、粘土層が入り混じった土壌で、西南西向きで樹齢35-40年のブドウを使用しています。醸造においてはフレンチオーク大樽と一部バリック樽を使用、24ヶ月樽熟成の後、12ヶ月の熟成を経てリリースされます。


【テイスティングコメント】
生産者: マッソリーノ
銘柄: バローロ 2010

7000円
外観は淡いルビーで透明度は高く、粘性は中庸。
上白糖や濃密なイチゴ、ラズベリーのジャム、そしてほのかに焦げ香が混じる。イースト的な酵母の香りもあり、トーストを思わせる。香ばしいタバコ、土。 してドライハーブ、燻製肉や消毒液、鉄観音、甘草なとスパイス香もある。時折血のような香りもある。
基本的な印象としては伝統的なバローロ。
タンニンは意外にも丸く酸も穏やか。ほのかに後味に苦味が残るが悪くない。消毒液やイチゴジャム、枯葉の余韻が残る。舌触りが滑らかだから、意外にもキャッチーなキャラクターにも感じる。


生産者: エルヴィオ コーニョ
銘柄: バローロ ヴィーニャ エレナ レゼルヴァ 2009

15000円、WA96pt(2007)
外観は赤みの強いルビーで均一的な光彩、粘性は中庸。
強い抽出と瑞々しい薔薇を思わせる華やかな香り。こちらも比較的伝統的なバローロに思える。ザラメのような香りがあるが、より鉄分や血の香りを強く感じさせる煌びやかで華やかな香り、そしてイチゴやチェリーリキュールの様な果実味がある。少し土の様な風味もある。ローズウッドやユーカリ、リコリスの様な風味もある。炭焼きの様なアロマ。強い抽出と共に潤沢な果実味を包含している。こちらも伝統的。最終的には血と枯葉の香りに。
タンニンは丸く、酸も過剰な強さを感じない。わずかに苦味がある。イーストや薔薇、鉄分の余韻が残る。
柔らかいタンニンと裏腹に、意外と収斂性は高い。


生産者: プルノット
銘柄: バローロ レゼルヴァ ブッシア ヴィーニャ コロネッロ 2008

24000円、WA91-93pt
外観はバローロとは思えないほど極めて淡いルビーで粘性は中庸。
瑞々しく熟したイチゴやドライベリーが入り混じるフレッシュかつエレガントなバローロ。明るいキャラクター。果実味にザラメの様な甘さとイースト、グリニッシュなシナモンやリコリス、ほのかに薔薇や鉄観音の風味。パストラミハムや鉄釘の様な風味も入り混じる。フレッシュながらリキュールを思わせる瑞々しく甘露な赤系果実、どこか干した様な果実のアロマがある。最終的にはドライフルーツとイースト、枯葉の香りに包まれる。
伝統的なバローロを基調にしつつも、どこかブルゴーニュの様な洗練した味わいを感じる。
どちらかというとタンニンよりはるかに酸の方が際立っている...が荒い酸ではなく、目の細かい穏やかな酸ではあるのだか。やや果皮の風味があり、イチゴや茎のような余韻を残していく。


【所感】
今回は比較的新しいヴィンテージのバローロを試しています。正直言うと、個人的な経験からいくとちょっとびっくりなくらい飲みやすいバローロだったと思います。
個人的に気に入ったのはプルノットのバローロ ブッシア コロネッロ。飲んだ時に思ったのが「あっ、これブルーノ ジャコーザ的じゃん」と。
淡い色調、過剰なタンニンと抽出は無くて、瑞々しい果実味と凝縮感に満ちていて、幸せになれる系の明るいキャラクターのバローロ。それでいてしっかりとネッビオーロの薔薇の様な華やかさと鉄観音の様な乾いた葉の香りが主張している。スパイシーでフルーツリキュールを思わせる素晴らしいバローロです。透明感がありますよね。
味わいとしてはこの中で最も酸が突出しており、タンニンが無い代わりに熟成の骨格になってくれるのではないかと思います。輪郭も明確だし、かなりいいと思います。

次はエルヴィオ コーニョのヴィーニャ エレナ レゼルヴァですが、こちらもバローロとしては比較的飲みやすい性質がある様な気がします。
ただプルノットがミュジニー的だとすれば、こちらはジュヴレシャンベルタン的。
プルノットと共通するザラメの様な熟した果実味とトーストの様な風味はありますが、最も強く感じられるのは抽出の果皮成分の強さです。色合いとしてはプルノットと比べれば濃いですが、バローロを見渡した時に決して濃いとは言えない色調です。
ですが、明らかにこの中では薔薇や...ともすれば血液や鉄分の様な煌びやかでソリッドな要素が目立っています。少し土の要素やローズウッド、炭焼きの様な風味はありますが、基本これです。
極めて堅牢と言って差し支えないと思います。
ただフルーツ感は強くて凝縮した果実味はありますので、若いブルゴーニュを飲む感覚で飲めば十分に楽しめると思います。薔薇を思わせる香りが主張していて、大樽や酵母起因のイースト風味を感じさせるのはやっぱり伝統的な作りではあるなー、と思いますね。

最後のマッソリーノのバローロは最も伝統的で、いわゆる若い内は飲みにくいバローロのスタイルだと思います。(とはいえ、それでもチェレットやプロデュトゥーリ、マルケージ ディ バローロなんかと比べるとキャッチーではあると思いますが)
この中では強めの熟した果実の風味(少し乾燥させた様なスタイルの)はあれど、どこか消毒液を思わせるアロマやトースト、タバコや燻製肉、血の様な香りが堅牢な中で構成されています。
酸やタンニンは丸いので飲みやすくはありますが、いわゆる古典的なバローロのバランスを好まない人には少し厳しいかもしれません。
個人的にはしっかりと果実味があったので、まあ美味しくは飲めました。プルノットやエルヴィオ コーニョが美味しすぎたからちょっと微妙感はありましたね。

以上、バローロ3本でした。
プルノットはどこかブルーノジャコーザを思わせる味わいで凄い好みでしたし、基本的にはどれもしっかりと飲めるバローロで良かったです。
次回は熟成バローロです。



尾花(おばな: 南千住)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。

こんにちは、HKOです。
本日は南千住にある鰻の名店、尾花です。
元々出身がここらへんのゲットーボーイズなので、高校時代に知人と尾花を掛けて勝負なぞやってました。
バイト代も微々たるものだったので、ひと勝負だった訳ですが、今としてもなんと贅沢な...といった感じです。昔はこんなに高くなかったんですよ、本当に...


お馴染みの店先。そしてお馴染みの強烈な列です。
今回は正味一時間程度なので、ピーク時に比べればそんなに酷いものではありませんが、それでも1時間とか結構半端ないですね。待ち時間内に少し物申したい部分が幾つか散見されましたが、まぁ静かに待ちます。
待っている間、先に鰻だけ注文する形になっています。



お手元。

さて、じゃあ昔は鰻しか食べられなかったし、もう大人ですから、鰻重の他にも鰻巻きとうざくも注文してしまおうかしら。→あっ、手持ちないわ。→カード使えません→えっ、マジすか。
辛うじて鰻重+幾ばくかの金額はあったものの、鰻巻きとうざくを頼める程の予算はありません。

とはいえ仕方ないので、肝吸いだけにするかー、と思ってたんだけど...


隣の人のスーパードライがめっちゃ美味そう!
あー、そうだよねー。
この暑い中並んでたらビールの一杯くらいは引っ掛けたくなるよねー、わかるわかる。

iPhoneで消費税まで込み込みで精緻に計算...みみっちい...
若干の物悲しさを感じながら予算内に収まりそうだったので注文。



小瓶。うまい!尾花の凄い戦略です!



変わらぬ漬物を当てに待つ。

まずはお吸い物。期待感が上がってきます。




器を開けると三つ葉の芳醇な香り。お出汁の香りが潤沢に。肝は淡白で澄んだお味。
いいですね。



そして満を持して重箱が来ました。
リッチな感じがします。

◾︎鰻重(大)(★★★★)



ふわっふわで、しっとりとした鰻。蒲焼と香ばしい香りが漂うが一切苦さもなく、脂の甘みと柔らかさがある。箸で掴んだだけでほろほろと崩れるような柔らかさ。これだよこれ。ご飯は少し水分多め。
決して蒲焼のタレが強調されているわけではなく、程よい風味か付加されているに留まっている。甘さ自体はうなぎの脂の甘さって感じだ。
皮の裏にはたっぷりとした脂。うなぎ自体は淡白。ほっこりとした白身の旨味。蕩けるような鰻。
やはり美味い!

でも正直な話、竹葉亭と大きな差分が見つけられない。そもそも血となり肉となっている味わいではあるので、今更驚く様な感動はないのだけど、相変わらずご飯と質の良い甘辛タレのマリアージュは絶妙ではある。


ただこれにいかほどだせるかは...個々人の背景にもよると思いますね...美味しいのは間違いないんですけどね。

並んでまで頂くかというと、流石に今ではないなー。
並ぶ時間も勿体無いし、これなら竹葉亭に行っちゃう感じ。
まあそもそも並ぶ事自体が嫌な人なので、アレかもしれませんが、1時間、2時間平気で潰せる人にはいいかもしれません。待ち時間は仕事のメールの返信をしていたのですが、1日数百件来るメールを全部読み終えて返信しきっちゃうくらいですから、まぁ有意義といえば有意義に使えてるのかもしれません。
本やゲームなど時間潰しのアイテムは必須ですね。
あと今度予約を受け付けない明確な理由も教えてくれ。

住所: 東京都荒川区南千住5-33-1
店名: 尾花(おばな)
電話番号: 03-3801-4670
営業時間:
[火~金] 11:30~13:30 16:00~19:30
[土・日・祝] 11:30~19:30

Restaurant Ryuzu(レストラン リューズ: 六本木)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。


こんにちは、HKOです。
本日は六本木のレストラン リューズです。
元々リューズ自体は、同じく六本木にあるマックスボルドーの料理を担当した時に初めて名前を聞いていてはいました。ただ食自体にはさほど強いこだわりがあった訳でもなかったので、特に気にしてません。
最近自分の中で、妙にフレンチが盛り上がっているのもあり、じゃあ本店にいってみようじゃないかと。

シェフはタイユヴァンロブションの部門シェフ経験後、2つ星、3つ星レストランで修行した後、5年間ラトリエ ドゥ ジョエル ロブションでシェフを務めた飯塚 隆太氏。2015年のミシュランガイド東京版でも*2を獲得しています。



六本木の通りから一本入ったところにあります。
会員制のバーが居並びます。


大きい階段。B1にオシャレな佇まいのレストランが。



リューズ。



ウェルカムプレートもモダンでオシャレ。


予約段階ではテーブル卓でしたが、キッチンがよく見えるカウンター席が空いているということで、そちらへ。


早速アミューズ3種類供出されます。


◾︎アミューズ「レモン風味のパンケーキ スモークサーモン」(★)

まろやかな僅かに塩気の効いたパンケーキに、しっとりとしたサーモン、マヨネーズの様なほのかな酸味の効いた味わいが混じる。


◾︎アミューズ「自家製ポークリエット」(★★)

塩気がほとんどなくプレーンで滑らかなリエット、パリパリの皮とピクルスと共に。
豚肉の風味で内臓っぽさはない。豚肉の旨味が感じられる。


◾︎アミューズ「ストラッチャテラ トマト バジル」(★★)

凝縮した甘みが半端ないトマトと爽やかなバシルの風味、プレーンなクリーミーなストラッチャテラ。
トマトの甘みと酸味、バジルの清涼感を、プレーンでミルキーなストラッチャテラが包み込み、甘みをまろやかにし、厚みを演出している。ヨーグルトみたいなほのかな酸味がある。小さい一皿でカプレーゼを表現。水っぽさは排除。


前菜と共に取り急ぎシャンパーニュを合わせていきます。


生産者: シャンパーニュ サンゲール
銘柄: ジェネロジテ ノワール ブラン ド ノワール NV
品種: ピノノワール50%、ピノムニエ50%


外観は淡いイエロー、粘性は中庸。
フレッシュでナッツやバターの香り漂うシャンパーニュ。ただ果実味が甘すぎず、しっかりとしたミネラルがある。
無塩バターの様な香りと共に、ほのかな果実の蜜やトーストを感じさせる香り、シトラスやカリンの清涼感のある果実味、プレーンなカシューナッツ、ドライハーブなどの要素が感じられる。
酸味は太いが穏やかでふくらみがある。無塩バターやトーストの余韻が残る。


なかなかいいシャンパーニュですね、BdNという事でピノノワール100%と思いましたが、ピノノワールとムニエ半々というのも面白い。
フレッシュなだけではなく、樽や酵母の香りがしっかりと感じられるのかいいですね。

お次は前菜3種類です。


◾︎アントレ「なめらかな雲丹のフラン ウイキョウのエスプーマを重ねて レモンのアクセント」(★★★)


最初はウニのフラン。磯の風味と苦味が豊か、クリーミーかつ滑らか。少しコンソメの風味を帯びています。カスタードクリームみたい。
そこに細切れのセロリとウイキョウのエスプーマ。エスプーマはあまりフェンネルの強い風味は出てなくて、基本的にすごくクリーミー。あんまりハーブハーブしてない。そして最上部には濃厚な生のウニ。極めて瑞々しく、磯の香りと独特の甘さ、苦味が、ごく自然に現れている。
雲丹単体だと少し苦味が目立つがウイキョウのエスプーマとフランが緩衝材的に和らげ、奥行きを深めている。いきなりレベル高いのが出てきた。美味い。


◾︎アントレ「鮎のクルスティアン 胡瓜と生姜をあしらいに 蓼と緑胡椒のソースで」(★★★★)


鮎を薄く3枚におろし、一度骨を取ってローストしたものを身に戻し、薄い生地で巻いてソテーしたもの。
キュウリ、生姜と、鮎の頭から撮った出汁と蓼、緑胡椒を使ったソース、そしてナスのペーストを添えている。
鮎の川藻と甘酢を感じさせる芳醇な香りが漂う。
鮎はまるでキスの天婦羅の様なホクホクとした白身で、ジューシーな魚のエキスと、鮎独特の強い苦味、薄皮のパリパリとした食感、そしてローストした骨のカリカリとした香ばしさが素晴らしい。ナイフで綺麗に切れる。キュウリと生姜と共に楽しい食感が感じられる。蓼のソースはあまり苦くなく、酸味とスパイシーな香りが非常に強く感じられる。尻尾は香ばしくスナックの様な味わい。
苦味はナスのペーストと生姜が受け止めてくれる。焼いた鮎の皮の香ばしい風味が引き立っている。
フレンチながら和食における王道的な鮎と蓼の組み合わせを再現しているのが面白い。


◾︎アントレ「八色椎茸をタルト仕立てに ラルドの薄いヴェールで覆って」(★★★★)


ラトリエ ドゥ ジョエルロブションから作り続けている、レストランリューズのスペシャリテ。
ソテーした魚沼産椎茸と、細切れにした椎茸のペーストをパイ生地で挟んだもの、薄皮のようなラルド(要は豚の脂身だ)で包んでいる。ルッコラを散らして。ソースはルッコラとキノコかも。
微妙な塩味を感じるラルド、
ソテーした椎茸のコリコリとした食感、椎茸自体の味はプレーンながら、パイのバター風味と、濃い味付けの細切れ椎茸、ゼリーのような食感で塩気の強いラルドと良く合致している。
コリコリした椎茸とパイのサクサクとした食感が楽しい。全体的にかなり香り高く、椎茸がまるでモリーユ茸やジロール茸の様な香りがする。
椎茸の美味さを引き出した絶妙な味わい。美しいひと皿だが、残念ながら形を残しながらフォークを入れるのは難しかった...


ここまでの3皿で、あれ?フレンチなのに和の食材と技法がかなりミックスされていないか?と。
ジャンジョルジュ的な日本食をエッセンスとして使った技法というより、リベルテ的な和とフレンチの調和だ。根をはるように和の要素が至る所に浸透している。
なるほど、リューズはそういうスタイルなのか。
ジョエルロブション系列ではある程度のルセットが決められてそうなものだけど、リューズはその点自分のお店だから全面にスタイルを押し出していける。

次の一皿もそんなリューズのスタイルを体現したようなひと皿だった。


◾︎ポワソン「徳島産活〆鱧のオリーブオイル焼き 香川産オリーブオイルの香りで」(★★★)


鱧と来ましたか!
骨切りをした鱧の湯引き、鱧の出汁と香川県産オリーブオイルと共にサラマンドラで焼き目を入れて。枝豆、竹香川県産オリーブオイル、鱧の出汁をスープ仕立てに枝豆と緑竹を浮かべて。スパイスは花山椒。
あれ...骨切りって日本料理の高度な技法だったような。
ほっこりとしたエキス感溢れる鱧に、花山椒の華やかで清涼感のあるアロマが混じる。鱧はふわふわで淡白ながら、出汁とオリーブオイルとの調和が本当に素晴らしい。これぞ日本の滋味というか。そんな感じ。
澄んだお出汁はオリーブオイルの豊かなグリニッシュな香りを帯びている。はんなりしてる。
筍的なものはコーンの様な香ばしい風味が。


最後は鶉のラケ。
ラケ自体はフレンチの技法ですが、言わば照焼きでこの流れだとどうしたって日本料理の技法を強く感じさせてくれる。


◾︎ヴィヤンド「愛知産 ウズラのラケ ジロール茸のフリカッセを添えて」(★★★)


ハチミツとシェリービネガーを使ったラケとコンフィで仕上げた鶉の胸肉、ほのかに微塵切りの玉ねぎの食感が加わったフランス産のジロール茸。付け合わせは薩摩芋の様な甘さのフライドポテト、甘いズッキーニ、炭のような香りが香ばしいミニコーン。
淡白だが少し野生的な肉感を感じる鶉に甘辛いソースがぴったりと合致。シェリーの酸化的な風味がほのかに醤油を思わせる。ただハチミツの要素が強いのでどちらかといえば「甘い」かな。
コンフィは外側がカリカリで香ばしい。プレーンに仕上げられているのでソースと絡めていただく。
ウズラのラケの火入れは絶妙で、断面からみずみずしい肉汁がキラキラと輝く。柔らかくしっとりと仕上げられている。
ややレアだが、肉質はかなりしっかりとしている。
コンフィは肉本来の味わいを表現している。
ソースはかなり甘露だが、ウズラの個性にあっている。


和とフレンチの味わいを堪能しました。
前回のポール ボキューズとはある種対極的です。
次はプレデセール。


◾︎プレデセール「ライチのグラニテ ブルーベリー バルサミコ ハーブ風味のバニラアイス」(★★)


ブルーベリーをバルサミコで合えたものと、ハーブ風味のアイス、ライチのグラニテ。
ライチのオリエンタルな果実味とブルーベリー本来の酸味とバルサミコの酸味が結合し、深みを与えている。バニラアイスはハーブの香りが漂う。ほのかな少し苦味があるんだけど、これはジュニエーブルかしら?美味しい。


◾︎グランデセール「山梨産黄桃のマリネ 桃のジュレを添え赤紫蘇のソルベと共に」(★★★)


絶妙なグランデセール。ジュースを真空調理で染み込ませた黄桃、自家製の梅のシロップのエスプーマ、赤紫蘇のアイス、ミントと梅のジュレ。バニラとフランボワーズのソースを添えて。
赤紫蘇のソルベは酸味と梅を思わせる旨味が卓抜。黄桃はミントの清涼感を帯びていて、梅の高い香りとフレッシュな黄桃の食感と甘みが最高に調和している。バニラは風味が強く、黄桃に合わせると完全にスイーツ的な味わい。皿全体から完全に旨味がよく出ていて、和的な要素が物凄い主張している。


◾︎ミニャルディーズ

5種類のミニャルディーズ。カヌレとマカロンが美味しかった。高級レストランのコーヒーはやっぱり苦かった。



以上、素晴らしいプレゼンテーションと和とフレンチの調和を見せてくれました。凄いぞレストラン リューズ。
鱧の骨切りなんでどういうことでしょう!フレンチなのに!すごいぞ!
特に美味しかったのは鮎のクルスティアンとスペシャリテの八色椎茸が良かったですね。
鮎の瑞々しさは素晴らしいし、わざわざ骨をローストして戻すとか凄く手が込んでいる。八色椎茸も椎茸ではあまり味わえない様な食感と味わいでした。
どれも凄く手が込んでいて美味しいし、皿ごとに和の食材の新たな発見があり楽しいです。
時期か変わったらまた行きたいですね。



住所: 〒106-0032 東京都港区六本木4丁目2−35 アーバンスタイル六本木B1
店名: Restaurant Ryuzu(レストラン リューズ)
電話番号: 03 5770 4236
営業時間:
[火~日]
12:00~15:30(L.O.14:00)
18:00~23:30(L.O.21:30)
ランチ営業、日曜営業

Maison Paul Bocuse DAIKANYAMA(メゾン ポール ボキューズ 代官山: 代官山)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。

こんにちは、HKOです。
本日は代官山のメゾン ポールボキューズです。
実はポール ボキューズ、ブラッスリーの方は以前行った事があるのですが、これがまぁ当時の貧乏舌には全く合わなくて、よりにもよってメインを残すという酷い事をした訳ですけども、今はどうなんでしょうねーって事で行ってみました。

元々はフランスのリヨンに1965年からミシュラン三ツ星を維持し続ける老舗レストランで、オーナーシェフのポール ボキューズ氏は近代フレンチの基礎を作った巨匠で、1975年にはレジオンドヌール勲章まで受賞しています。今回のメゾン ポール ボギューズは、日本における総本店的な立ち位置のレストラン。
シェフはレストランひらまつ博多の料理長を勤めた中谷一則氏。日本のポール ボキューズ ブランドの総料理長でもあります。
ミシュランガイド 2015 東京版では*1を獲得しています。



有楽町のビル中とはエライ違いです。圧倒的なグランメゾン感。螺旋階段を降りていきます。




豪華なディナーを予測させる金色の皿。
トラディショナルですね。近代フレンチとは言っても、今となっては古典的。だけどそれが素敵ですね。



全体的に赤いです。
フロアはテーブル卓とボックス席が幾つか。
このクラスのレストランでボックス席は珍しいですが、ちゃんと高級感があります。
大体のレストランはエントランスで荷物を引き取ってくれますが、手元に荷物を置けるのが
安心感があっていいですね。(というのもその時会社パソコンを持っていたので手元から離したくなかったのです。)


グラスシャンパーニュは個人的に唆られるものが無かったので、クレマン ド ブルゴーニュ ロゼを注文。
※決してシャンパーニュのチョイスが悪いわけではなく、個人的に飲み慣れたものだったのでパスしました。


生産者: ヴーヴ アンバル
銘柄: クレマン ド ブルゴーニュ ロゼ NV

色調は淡いルビー、粘性は低く、きめ細やかに泡が立ち上っている。
華やかなロゼだが、シャンパーニュと比べるとより明るい溌剌としたキャラクター。
ミネラル感がしっかりとありつつも、フレッシュハーブやクランベリー、ラズベリーの様な酸味の強い赤系果実、そしてイースト、バターや牛脂のアロマ、シロップの様な甘い風味が混じる。
酸味は柔らかく、タンニンというより少し苦味が混じる。赤系果実の心地よい余韻が残る。


特に突出した様なスパークリングでは無いと思いますが、なかなか良いと思います。
いわゆるシャンパーニュの瑞々しさというより果実味がしっかりとしたスパークリングだと思います。


◾︎フィンガーフード

・「白身魚(タラ)のコロッケとオーロラソース」(★)
バカリャウのクロケットみたい。外側はサクサクで、中からほっこりとした白身魚の身と少しチーズの様な風味が感じら

れる。塩気が強め、オーロラソースも美味しい。

・「大根の紅時雨 胡瓜 チコリ ハーブを加えたクリームチーズ」
フレッシュで瑞々しい野菜とともに濃厚でクリーミー、ほのか塩気が効いたハーブ風味のクリームチーズ。

・「3種類のチーズのシュー」
香ばしいチーズの効いたシュー。


フィンガーフードとしてやはり3種類もあると食べ応えが結構ありますね。
白身魚のコロッケ、あと2,3個くらい食べたかったですが、まぁフィンガーフードですからね。


◾︎アミューズ: 「パプリカのムース トマトのソース フロマージュブラン」(★★)


パプリカのムースに瑞々しく旨味に満ちたフレッシュなトマトソース、一番上にはフロマージュブランのクリームが。
パプリカのムースはほのかな甘みを感じますが、パプリカならではのほのかな青さが感じられる。
上に乗っている細切れキュウリのサクサクとした触感と青い風味とのバランスが良い。
トマトの旨みと爽やかさ、パプリカの旨みと青さがよく調和している。カッテージチーズは非常にミルク感があり全体の青さをまろやかにしている。

ここまで比較的さわやかな味わいの料理が多かったですが、以降怒涛のパワフルなフレンチの皿が続く。
まずは鴨フォアグラのソテー。


◾︎アントレ: 「鴨フォアグラのソテー ソース・ヴェルジュジャガイモのゴーフレットを添えて」(★★★★)


表面を軽くソテーし、中身をトロトロにした鴨のフォアグラ。
ポレンタというトウモロコシを厚焼きにしたパンケーキの様な生地、そしてジャガイモのゴーフレット(ポテトチップス)。ソースは、ソースヴェルジュというパッションフルーツと葡萄を使ったソース。フルーティーでアプリコットの様な甘酸っぱさがあり、フォアグラの塩気、脂っぽさを引き締めて、味わいを高めている。
フォアグラはサクッとした食感。ポレンタは穀物的な味わいがベースにあるが、フォアグラから染み出した肉汁とソース ヴェルジュをたっぷりと吸って、極めて味わい深くなっている。ホクホク。
全体的にまろやかで濃密だが、余韻はフルーティーで決してしつこくない。
酸味とのバランスが絶妙。非常に素晴らしい。
全体的にフワフワとした味わいだがゴーフレットがサクサクとした食感と香ばしさが追加していて面白い。


次はポールボキューズのスペシャリテのパイ包みのコンソメスープです。
追加オーダーで注文しました。


◾︎スープ: 「1975年にエリゼ宮にてV.G.Eに捧げたトリュフのスープ」(★★★★)



一見シンプルなパイ包みのコンソメスープですが、驚くほど味わい深い一品。
レジオンドヌール勲章を授与される際にエリゼ宮でヴァレリー ジスカール デスタン大統領に供出したスープ。
パイを取り外すと驚くような濃密で滋味溢れる香りが立ってくる。
液体はとても澄んでいる。バターの香ばしい香りと香味野菜、牛頬肉起因の甘く滋味あふれる香り。そして黒トリュフの蠱惑的な香り。
中にはフォアグラのテリーヌ、じっくりと煮込まれた牛頬肉、人参、セロリ、そして黒トリュフ。
香味野菜の甘み、そして牛肉の強い旨味成分(なんというか、鉄の様なソリッドな旨味)、フォアグラの脂身の風味、甘みが溶けだしていて非常に密度の高い味わい。
ワインで言う所の凝縮感と言った所だろうか。
それでいて極めて複雑だ。澄んでいるのに非常に多くの要素を包含していて、よくあるコンソメスープは完全に一線を画している。
素材から出た出汁を良く吸った頬肉や香味野菜もとても美味しい。
じっくりとスープを味わった後はパイは落として食べた。パイはバターがしっかり効いていてサクサク。スープの旨味をこれでもかと吸ってくれる。フランスの滋味をしっかりと感じさせてくれる。

ジャスティス!


すでに味わいに関しては満たされているが、次の魚介料理も強烈であった。豪勢にもオマール海老もホタテをカソレットで仕上げたもの。


◾︎ポワソン: 「オマール海老と帆立貝のカソレット アルモリック風」(★★★★★)


ぐあああ!オマール海老のアルモリック風ソース超濃厚!かつクリーミーでオマールの超絶旨味がすごいいい!!
冷静にスプーンを進めながらも、頭の中でもんどり打ってました。これは超絶美味いぞ!
オマール海老と帆立貝のポワレして、カソレットで。ソースはオマール海老のアルモリック風ソースとムースリーヌソース。付け合せのアスパラガス。
オマール海老はしっかりとした塩気があり、やや強めにも感じられる。プリップリで甲殻類の濃密な磯の香りや旨味がある。それに甲殻類のアルモリック風ソースが完全に相乗している。(味わいとしてはソース アメリケーヌに近いような気がする)
ホタテはやや強めポワレされていて、外側がカリカリで中はしっとりとした食感。蕩けるような甘さがある。適度に身が固めに焼かれているから、食感と歯応えが絶妙。
付け合わせのアスパラガスは甘みをたくさん包含していながらシャクシャク食感。アルモリックソース風味が絡みにくいのに相乗してくれる。当然ながら下に敷いているほうれん草のバターソテーも絶妙。


◾︎ヴィヤンド:「鶏胸肉のフリカッセ モリーユ茸と季節野菜添え ソース・シュープレーム」(★★★★+)


フォアグラのテリーヌを低温調理(蒸し焼き)にした鶏胸肉で巻いたものを2種類のソースで。
鶏肉のブイヨンとバターと生クリームを煮詰めたソース、そしてモリーユ茸をフォンドボーとマデイラで煮詰めたソースの2種類。マッシュルームを添えている。
低温調理らしいしっとりとした食感の淡白な鶏肉に、フォアグラのオイリーで独特なコクのある風味が混じり合う。しっとり食感とコクのミックス。鶏肉は鶏肉で淡白ながらもしっかりとした味わいがあり、むしろフォアグラとバター、生クリームのソースで完全に強化されている。
またモリーユ茸とマデイラの濃密なソースとも風味としては良く合致している。マデイラの醤油の様な酸化的な風味、そしてモリーユ茸のアーシーな風味。甘辛で絶妙な風味がフリカッセに立体感をあたえている。
味付けはかなり濃いめだが好み。
濃いと言っても塩気や甘さが強いというより、相乗による立体感が大きさに起因する。季節野菜はどれも甘く美味しい。


ヴィヤンドまで頂き大変満足。
どれも極めて美味しかった。スープも頼んで良かった。


◾︎デセール「ココナッツのブランマンジェ オレンジ風味のアングレーズソース マンゴーとパッションフルーツのソルベと一緒に」(★★★)


この時期ココナッツがブームなのかもしれない。どのお店もココナッツばっかりだ。
とはいえどのお店もその中で個性を出している。
ココナッツのブランマンジェを中心として、マンゴーとパッションフルーツのソルベ、そしてマンゴーのコンポート、レッドカラント。アーモンドのチュイル。
ココナッツのブランマンジェはほのかにココナッツの風味があるが、なめらかで、基本的にはプレーンで過剰な甘みは付いていない。アングレーズソースとマンゴーのコンポートで味わいが完成する感じ。フレッシュなマンゴーはすごく柔らかく果実の甘みが充実、アングレーズソースのクリーム感、ソルベはトロピカルな酸味が相乗。素晴らしい。
ソルベの下にはアーモンドが隠れている。アーモンドのチュイルと共にソルベの下にアーモンドが隠れている。ココナッツパウダーも含め極めて香ばしい。
一皿の調和で完成するものだ。


◾︎ミニャルディーズ

オレンジ風味のフィナンシェ、チェリーの焼き菓子、フランボワーズのケーキなど。ワゴンではないが、幾つか種類があり、そこから選んでいただくタイプ。
コーヒーも美味しかった。


以上メゾン ポール ボキューズでした。
かなり他のレストランと比べると価格が抑えられており、ブラッスリーがかなり展開されているので「本当に大丈夫かしら」と思ったのですが、しっかりと上質なフレンチを頂かせてくれた。
モダンフレンチの様な驚きや精密さは控えめだが、しっかりとした味付けで、クラシックな調理法とソースの素晴らしさをハッキリと見せてくれる、素晴らしいレストランだと思いました。美味しかったです!



住所: 〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町17−16, 代官山フォーラムB1
店名: Maison Paul Bocuse DAIKANYAMA(メゾン ポール ボキューズ 代官山)
電話番号: 03 5458 6324
営業時間:
<ランチ>
12:00~15:30
13:30(L.O.)

<ディナー>
17:30~23:00
20:30(L.O.
ランチ営業、日曜営業

【シャンパーニュ: 51】メニルの特徴をありのまま表現する。ブルーノ パイヤール コトーシャンプノワ。

こんにちは、HKOです。
本日は貴重なブルーノ パイヤールのコトーシャンプノワです。
すごくエッジの効いたワインなので好みが分かれると思いますが、ここまでメニルを体現しているスティルワインはそうないのではないかと思います。


【データ】
ブルーノ パイヤールは1975年に設立された比較的新しいメゾンで、本詰めを始めるまでは仲買商を行っていました。
リリース以降、高い評価を受けており、ジョエル ロブションやオリエンタル急行、そしてロバートパーカー主催のヘドニストディナーなどでも供されています。
ブルーノパイヤールのシャンパーニュは100%ヴァン ド キュヴェのみ。第一次発酵は15-20%を木製樽を使用し、残りはステンレスタンクで醸造。シュールリーの熟成期間が法定期間の2~3倍程度。瓶内二次発酵は温度10.5℃、湿度80%にて管理され、出荷都度デコルジュマン、ドサージュは最低限に抑えられます。
今回のル メニル コトーシャンプノワはわずか2樽しか作られないル メニルを使用したスティルワイン。醸造には古樽が使用され、シュールリーで9ヶ月間、定期的にバトナージュが行われます。


【テイスティングコメント】
生産者: ブルーノ パイヤール
銘柄: ル メニル コトー シャンプノワ ブラン 2009

外観はやや濃いめのイエローで、粘性は中庸。
熟成によって旨味と熟成香が表出してきているが、まだまだフレッシュ感に溢れている。石灰の様なシャープなミネラル感。リンゴやレモンなどの酸味溢れる香りと共にハチミツ、お出汁、徐々にシロップや核種系果実の蜜の様な甘いアロマ、焼き芋やコーンスープが現れてくる。ドライハーブ、白胡椒、リコリスなど。
液体の酸度が極めて高く、強い酸のアタックがある。引き締まったミネラル感と共に強烈なレモン、出汁の強烈な余韻が残る。


生産者: ブルーノ パイヤール
銘柄: ル メニル コトー シャンプノワ ブラン 2010

外観はやや濃いめのイエロー、粘性が高い。
2009と比べると、まだ旨味の表出が少なく、香りの厚みは控えめ。良くまとまっているが2009と比べると規模感は小さい。 強靭でシャープなミネラル感は健在。フレッシュな印象は09よりも強い。ほのかな甘さを感じさせるフレッシュなリンゴやカリン。フレッシュハーブ、ナッツ、白い花、ほのかなハチミツの様な甘さが感じられる。
やはりこちらも強烈なシャープさを感じさせる酸、引き締まったレモンとミネラルの強烈な風味が感じられる。少しハチミツの様な余韻もある。


【所感】
まさに自分のイメージしていたメニル シュール オジェの特徴と完璧なまでに合致している。シャープな酸とミネラル。これだ。
むしろ想像を遥かに超えていると言っていい。
白ワインとしては歪なまでに酸が強烈で、レモンの果汁を強烈に想起させる。ミネラルもコート ド ボーヌの様に分厚いミネラルというより酸のシャープさと同期するような長く続く石を舐めるようなミネラル。
全体的にクリアでピュアで過剰なまでに引き締まった棘のあるワインだと思う。
ただそんな酸やミネラルと裏腹に香りは極めてクリーンかつキャッチーだ。
古樽とはいえ樽を用いているとは思えない程(特に2010は)ある種還元的で、樽の要素も酸化的なニュアンスもマロラクティック発酵のニュアンスも感じられないのだ。本当にピュアなワイン。
リンゴやカリンのような果実味とフレッシュハーブが主体的、まさにいわゆるシャンパーニュのシャルドネといった印象。
シャンパーニュの風味は醸造的なものというより、果実本来の香りであることがわかる。
多くのコトーシャンプノワはルージュが主体という話を聞いたが、ブランはまさにシャンパーニュそのものを強く想起させるものであると感じました。
まあ、ただアンリジローみたいにつくり方を変えているものに関しては別ですけどね。
少なくともパイヤールのブランはテロワールを教えてくれる1本だと思いました。
ヴィンテージに関しては詳しくはわかりませんが、概ね同等ということなので、2009年は単純に白ワインとして熟成して、旨味の厚みを増しているという印象でした。若いですが、2010と比べると香りや味わいの厚みや膨らみは大きいと思いました。



L'AS(ラス: 表参道)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。

HKOです。
本日は最近話題の表参道にあるレストラン、L'ASです。
よく話題になる新進気鋭のお店は幾つかあります。
例えばラ ボンヌターブル、そしてティルプス。
これらのお店はその源流をレフェルヴェソンス、そしてカンテサンスにもっていますが、今回のL'ASも多分に漏れず名店コート ドールを源流に持つレストランです。
ただし、元の店舗のスタイルを踏襲するボンヌターブルやティルプスと異なり、L'ASは源流とは全く異なる今風のモダンフレンチを提供しています。

シェフはコートドール出身の兼子大輔氏。



入口からしてカッコイイ。

ちなみにL'AS、Corkというカウンターのみのワインバーと隣接しているのですが、私が行った時は丁度L'ASの席が空いていなかったみたいで、CORKの方に通されました。
コの時型のカウンター席のみの店で、ガラス張りの雰囲気のある店内です。
みんな各々ワインを楽しんでいて、いい感じです。
むしろ俺があまり飲んでなかったのが印象的でした。
カウンター席、お一人様に優しくて良いですね。


雰囲気あります。

ここは8~10皿5000円のコースのみ。
普通なら考えられないお値段です。懐に優しいです。
※ただしアミューズやお茶も含まれているので実質6~7皿といったとこでしょうか。


アミューズ:「スイカと梅干しの冷たいスープ」(★★)

スムージーの様な食感のスープ。スイカの青っぽさ、甘みと、梅干しの旨味、酸味が素晴らしくマッチする。ほのかに甘酸っぱく、瑞々しいアプリコットを思わせる風味。甘い梅干しの風味がうまくスイカの甘みと調和している。


生産者: ヒルシュ
銘柄: ツェービング リースリング 2012

色調はイエローで粘性は中庸。
ミネラリーなリースリングだがペトロール香は控えめでシロップの様な濃密な甘みを感じさせる果実味が感じられる。ハチミツレモンやオレンジピールの様な果実味、ペトロール香、バタークリームの様な香りが均衡、石油、ナッツなどのオイリーな風味に、フレッシュハーブやリコリスの様な要素がある。
酸味は穏やかで粘性はミディアム程度、ペトローリーな余韻とほのかな苦みが残る。


アントレ: 「L'ASのスペシャリテ フォアグラのクリスピーサンド パイナップル味」(★★★★)


外側はクリスピーなハーゲンダッツの皮やゴーフレットみたいなパリパリの生地で、ほのかに甘みを感じる。
そこに口どけの良いフォアグラのファッティで独特の風味が加わる、生クリームの様にまろやかでクリーミー。その中にアクセントとしてパイナップルのペーストが入っており、フレッシュで強い酸味と風味が加わってくる。フォアグラからはほのかに塩気を感じる。フォアグラの脂っぽさに対応する酸味、フォアグラの塩気に対応する甘み、互いを引き立て合い、フォアグラとパイナップルが調和。さらにクリスピーなゴーフレットが心地よい食感を生み出している。


アントレ: 「透明なトマトのエキスで揚げ浸しにした茄子 梶谷農園のハーブを散らして」(★★)


一見ただのナスのマリネ。でもその中に強烈なトマトのエキスが移り込んでいる。ハーブには岩塩を使ったシンプルな味付けをして清涼感のある香りを引き立てる。揚げ浸しの茄子はトマトの酸味、旨味や独特の青さがしっかりとナスに絡みついている。
色調としては無職なのにトマトの風味がする不思議な一品。茄子はトマトの酸味で爽やかだけど極めてジューシーで、噛みしめるたびにトマトの風味とハーブの爽やかさ、少しカイワレの様な、ゴマの様な香ばしさが感じられる。


アントレ:「雲丹とミモレットチーズのサラダ ルッコラ スナップエンドウ ブロッコリー」(★)


スナップエンドウは千葉県産。
雲丹のソースがとにかく濃厚で全体的な味の方向性を決めている。はっきりした苦みと雲丹由来の磯風味。ルッコラはフレッシュで瑞々しく、かつかなり強い辛みがある。ミモレットは濃厚だが、この中においてはどちらかというと、全体にまろやかな印象を与えている。
茹でたスナップエンドウやブロッコリーは対比する様に極めて強い甘みが出ている。雲丹の苦みと互いに調和し合っている。ルッコラの辛みと雲丹の苦みと磯風味が刺激的な一皿。


皿数が多いからか、供出のペースも早いです。
いつもだと、タイミングを誤って肉料理まで白を引っ張ってしまうが、今回は魚料理が供出される前に赤ワインを注文。
あらかじめメニューに対してワインが決められているようで、選択肢は無い。肉に対してはカストロ ベンドーサのみ。ゲストにワインを選ばせないのは好みが分かれるかもしれないが、それだけペアリングに自信があるという事だろうか。
それはそれとして、いずれにせよ僕はワインについてはソムリエにお任せのケースが多いので、特に違和感はない。
しかもラウル ペレスだ。異論などあるはずもない。


生産者: ラウル ペレス カストロ ベンドーサ
銘柄: エル カストロ デ バルトゥイエ 2010

外観は濃いガーネットて粘性は中庸。
華やかで冷涼なメンシア。
果皮の厚いブラックベリーやダークチェリーの冷涼な果実味と共に、多分に血や鉄の風味が包含されている。そして黒胡椒やクローヴ、枯葉などの風味や、葉巻や土、パストラミハム、スパイシーかつ鉄分に満ちている。ユーカリやキノコ。ほのかに隅で焼いた様な要素もある。
タンニンは極めて豊かだが酸も充実しており、その酸も非常にアタックは強いものの、収斂を残さずきめ細やかに消えていく。スミレや鉄分、ブラックベリーの余韻を残す。極めて古典的な北部ローヌ、ことコートロティに似通ったスタイル。


ポワソン: 「北海道函館産 マグロのポワレ 千葉県並木さんのビーツとブラックオリーブ」(★★★)


外側はカリッと火を通し、中はレアに仕上げたマグロに、香り高いブラックオリーブのパウダー、トウモロコシの様な穀物的な甘さを感じるビーツのピューレで構成。
ブラックオリーブは極めて香り高く、皿全体の香りをビシッと決めている。マグロの赤身は旨味たっぷりで、特に血合いはマグロの旨味を包含している。赤身はしっとりしていて歯切れ良い。ポワレされた外側も香ばしい。風味は違うが、香ばしさはカツオのタタキにも似ている。
ソースを絡めるとマグロの血の様な旨味とオリーブの華やかさ、ビーツの甘やかさが見事に調和してくれる。特に果実の様な甘さすら感じるオリーブがかなり血合いの味を引き立てているし、ビーツの風味も非常に合う。

肉料理を想定して注文した赤だが、これがマグロにも絶妙にマリアージュした。果皮の鉄の様な風味がマグロの血合いと結合した。


ヴィヤンド「スペイン産イベリコ豚のロースト ピペラート添え(赤パプリカ トマト バスク産唐辛子)」(★★★)



唐辛子の風味がしっかりと効いている。トマトとパプリカの使ったピペラート自体の味わいは不動だが、ローブリューのビッグなスタイルと比べるとスパイシーでありながら幾分か繊細だ。
やや強めに火が入ったイベリコ豚。焦がした様な香ばしい風味と脂身の濃密な甘さが非常に素晴らしい。ムチムチとした肉質で非常に旨味を沢山含んでいる。噛めば噛むほど美味い。味付けはシンプルに塩と唐辛子を自分でつけて食べるスタイルだが、塩だと本当に肉の味わいが際立つ。非常に良い豚肉の風味。油は甘いし、穀物を思わせる肉汁もある。ワインにもとても良くマリアージュしてくれた。豚肉の甘みをワインの華やかさが落ち着かせてくれる。


やっぱりこの手のマリアージュは料理をよく知っているソムリエにお任せするべきだなぁ、と。
お店の料理とのペアリングは流石に心得ている。

次はデザート2種。

プレデセール「ミニトマトのコンポート バジルジュレ ピアノ グリッロ(ビオ オリーブオイル)を添えて」(★★)

甘く煮たミニトマトですが、とにかくバジルのジュレの風味が強烈。ミニトマトは潤沢な旨味と青々しさを残しながら、酸味で引き締まった甘みがある。そこにバジルの風味が加わり清涼感のある感じに。添えたオリーブオイルによってさらにまろやかで複雑になる。構成要素的にはイタリアンなのに、全くそれを感じさせない創作的なスタイルを感じる。


デセール「サマートリュフとココナッツのブランマンジェ」(★★★)


ブランマンジェにたっぷりとサマートリュフを乗せたもの。
香ばしくクリーミーなココナッツのブランマンジェ。少しバナナの様な甘い香りを帯びている。ミルキーな味わい。その中にサマートリュフが強烈な香りを放っているが、決して浮いてはいない。ミルクの様な香りとしっかりと結合している。少しアーシー。
ひょっとしたらこのバナナみたいな風味はトリュフとココナッツで生み出されている?ココナッツミルク、そしてバナナミルクを飲んでいる様な錯覚。思わぬ組み合わせ。美味い。


最後は清涼感のあるハーブティーで〆。


「広島県梶谷農園から届いたフレッシュハーブティー」

アップルミント、レモンタイム、レモンバーム、フルーツセージ、メキシカンスイートハーブ、ローズマリーなど複数のハーブを使ったハーブティー。


以上、LASでした。
とても5000円とは思えない様な素晴らしい満足感です。しかもにどの皿も非常にクリエイティブで面白い。面白い組み合わせや発見があるのがいいですね。
過剰に豪華な内装ではないですが、すごくセンスがいいですし、ワインも価格帯の中では様々な地域から美味しいワインを選んでいる印象です。サービスも過剰ではなく、極めて不可測なく行われています。

ここはお得ですね。是非また行きたいです。

住所: 東京都港区南青山4-16-3 南青山コトリビル 1F
店名: L'AS(ラス)
電話番号: 080-3310-4058
営業時間:
月曜定休
営業時間:(ランチ)[土・日・祝日のみ]12:00~15:00(L.O.13:00)、
[平日・土](ディナー)17:30~22:30(L.O.)、[日・祝日]17:30~22:00(L.O.)
予約受付時間 14時~17時30分 22時~24時





とんかつ割烹 かつ善(とんかつかっぽう かつぜん: 銀座)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。


こんにちはHKOです。
急にとんかつが食べたいと思い立ち「はてさてラートにするか、あるいは近場でとんかつ和光があったかな」と思案していたのですが、そうだ、と、せっかくなんで話題のとんかつ屋にいってみようじゃないかと思い行ってきました。



既に只者ではない佇まいの外観。
おおよそとんかつをメインにしているとは考え難い店構え。

そういえは、ここスリオラも入ってるんですよね。
すごいな交詢ビル...地味に今半もあるし。



しぶい。



◾︎先付け「胡瓜、木耳、海ブドウ、若布、玉葱、蛸の酢の物」


旨味と酸味溢れる酢醤油と紫蘇の香りが漂う酢の物。歯ごたえの良い食材が並ぶ。これで日本酒一合いけそう。


◾︎漬物「山芋、人参、大根、キュウリの漬物」

少し洋梨の様なフルーティーさがある漬物。


◾︎九州産黒豚リブロースかつ(★★★★★+)


超絶とんかつ!
パン粉は仕入れたパンに下ごしらえを加えつつ2日寝かせ、網を使って人の手で細かくしたもの。ラードを使って揚げてるらしい。
味わいはリブロースを使いながら繊細さと力強さが同居している。
衣がメチャクチャ薄く目が細かい。サクッと軽やかな食感。油の重さは一切なく香ばしさと食感のみを演出していて、あくまで主役は絶妙の火入れがされた豚ロースと言わんばかりに肉の旨味か恐ろしいほど際立っている。
衣は肉の旨味をすべて封じ込める為の衣といった風合。そのスタイルは美かさの天婦羅にも似ている。
衣は一切強調せず、香ばしさと食感を付加するに留めている。
だから瑞々しく甘露な脂が、ジューシーで穀物の風味のある豚肉がダイレクトに感じられる。
とんかつらしからぬ品性があるような気がする。
最初は何も付けず、次にレモンを、甘いニンニクの味噌ダレ、黒酢の様な風味のあるトンカツソースと味わった。何もつけなければ脂身の強烈な甘みを、レモンは肉本来の旨味を強調し、ニンニクの味噌ダレは甘みが脂身と調和し、とんかつソースは脂身と肉の味わいと調和する。美味しかった。



YES!!!!!

付け合わせも侮れない。キャベツも驚く程瑞々しくシャクシャク。目が細かくシャーベットのような食感の未体験領域。

粒の立った無駄な水分の無いご飯も最高。ついお代わりしてしまった。



地味に味噌汁もとても美味しい。


決してコストパフォーマンスが良いとは言い難いですが、この未体験領域のとんかつを食べるという意味では決して高くはないと感じました。
お腹を満たす事やコストパフォーマンスを優先する場合はオススメできませんが、未体験を体験したい人にはオススメだと思います。


住所: 東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル 4F
店名: とんかつ割烹 かつ善
電話番号: 03-3289-8988
営業時間:
ランチ 火~金 11:30~14:30(L.O.14:00)
ディナー 火~金 17:00~22:30(L.O.21:30)
ランチ 土・日・祝 11:30~15:00(L.O.14:30)
ディナー 土・日・祝 17:00~21:30(L.O.20:00)
ランチ営業、日曜営業



Pierre Gagnaire(ピエール ガニェール: 溜池山王)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。

こんにちは、HKOです。
摂氏35度にも及ぼうとしている真夏日の東京赤坂。
溜池山王駅から地上に上がると、焼けたアスファルトと近年稀に見る暴力的な日差しがお出迎えしてくれる。街は休日の為かほぼ無人状態。
ちょっとした気味の悪さを感じながら早足で目的地まで急ぐ。


うーん、どこかANAインターコンチネンタルの看板も揺らめいてみえます。



ANAインターコンチネンタルのメインダイニングといえば、やはりミシュランガイド*2のピエールガニャールです。入り口もかなり豪勢です。



ただ店内は入り口ほど豪勢ではなくこざっぱりとした感じです。でもこれくらいの静かな感じの方が落ち着いていていいですね。



いつもならグラスシャンパーニュを頼みますが、グラスでオンリストされているのは最高級メゾンのものばかり...高い!さすがピエールガニェール!
ただ流石に昼からこんなの飲むわけにも行かない...!

なんで、チキン野郎の私は極々普通の白ワインを注文。アルザスのピノグリです。


◾︎白ワイン
生産者: ドメーヌ ローヴ
銘柄: ピノ グリ ブルターバッハ クロ マリエンベルグ 2012

外観は淡いイエローで粘性は低い。
極めてミネラリーかつ華やかなピノグリ。フレッシュ感がメインとなりながらも程よい樽のニュアンスもある。チョーキーなミネラル感とオイリーさがあり、ハチミツやバタークリーム、杏仁豆腐の様な風味があり、白い花のアロマやライム、グレープフルーツ、カリンのような風味が感じられる。アルザス的な少し残糖を思わせる甘露な風味が全体的に感じられる。
ねっとりとした果実味があり、酸は穏やか。
ただ非常に分厚い果実の厚みが感じられる。


ふくよかな厚みが感じられるピノグリです。


◾︎フィンガーフード(★)

・黒ビールのジュレ パンデピス
キャラメルの様な甘みとビールの麦芽の苦味が感じられるパンデビス。スパイシーです。

・湯葉で包んだツナ、マスカルポーネ、キュウリ
爽やかなサラダ的な一品。、湯葉とミルキーな感じとゴマの香ばしさ、マスカルポーネの酸味がベストマッチ。胡瓜のサクサクとした食感がいい感じです。

・サントモール ブランシュ トマトとパプリカのパウダー
サントモールというシェーブルチーズのコクのある味わいに、トマトとパプリカの酸味と旨味の塊が爆発する。

・生姜のサブレ
生姜のスパイシーな刺激的な風味と強い塩気、ナッツの香ばしさ。生姜の風味がかなり強く、それと競合する様な塩気が地味に素晴らしい。


ほんの一口程度の、まさにフィンガーフードではあるものの、一つずつ趣向が凝らされています。
次に前菜に向けてパンが供出されたのですが、ここの果物パンは非常に美味しかった。


◾︎パン(★★)


カンパーニュもエシレバターを使ったパンも美味しかったが、なにより感動的だったのはトーストした果物のパン 。サクサクホロホロと崩れる食感と果物の酸味が素晴らしい。感動的な味わい。


お次はカクテル ド ポッシュ。
前菜が一度に全て供される小皿の集合体。



前菜にひと皿だと思っていたのに5皿も一気に出てきたでござる....


◾︎カクテル ド ポッシュ1「スイカのスープ ガスパチョ仕立 胡瓜と花穂紫蘇を添えて」(★★)

トマトの代わりにスイカを使ったガスパチョ。
スイカの爽やかな水分の甘み、そして紫蘇の風味がしっかりと感じられる。トマトと異なり酸味がまろやかで、含まれる素材の味わいがくっきりと際立っている。スパイシーで少しカレーみたいな風味も。キュウリやパプリカのサクサクとした食感も感じられる。紫蘇の清涼感ある風味と、滑らかなスイカのスープのほのかな酸味がよく調和している。


◾︎カクテル ド ポッシュ2「ほうじ茶の香るトウモロコシのアイスクリーム」(★★)

ほうじ茶の香りをしっかりと帯びたトウモロコシのアイスクリーム、焼き目の入ったコーンが香ばしく、アイスクリーム自体の風味を助長し、細かいあられがカリカリとした楽しい食感を演出している。とにかくコーンの甘みと退避した少し苦味を感じるほうじ茶の滋味が際立つ。


◾︎カクテル ド ポッシュ3「香草を纏ったイサキのカルパッチョ 生姜を効かせた茗荷のマーマレードとライムのジュレを添えて」(★★)

なんかちょっとお寿司のネタっぽい風味を感じるひと皿。
酸味のあるライムのジュレ、香草の爽やかな風味が味わいの中心となり、それらの酸味や風味をイサキが引き締めていく。ミョウガのマーマレードの日本的な風味と結びつくとどこかお寿司のネタを思わせますね。
面白いです。


◾︎カクテル ド ポッシュ4「サリエットの香るラパン腿肉のコンフィ マスタードを効かせたイチジクと蓮根のクロッカン」(★★★)

しっとりと火入れされた淡白なウサギ肉を中心としたプレーンな一皿。そこに清涼感のあるサリエットのハーブティーのような風味、スパイシーな生マスタードのプチプチ食感、ハーブを帯びたフレッシュなイチジクの柔らかい食感と風味が、ウサギのプレーンな風味に瑞々しさ、清涼感を与えている。
またフライした蓮根は香ばしく、単体で食べても美味しい。マスタードの辛さはあまりなく、調和を邪魔せず風味だけ添加されている。


◾︎カクテル ド ポッシュ5「サフラン香るムール貝、赤パプリカでリエしたプレス産若鶏のフリカッセ 枝豆と茴香を添えて」(★★★)

しっとりとした食感の若鶏、プリプリとした濃厚なムール貝、ハーヴィーなフェンネルをクリーミーなサフランのソースと共に。サフランの風味が強く、皿全体の味わいをカチッて決めている。濃い味ながら非常に調和が取れた味わい。フェンネル、若鶏、ムール貝の異なる食感が面白い。もう少し量を食べたかった...


カクテル ド ポッシュとかいって1皿の様に見せかけて、全く違う味わいの5皿とかホント半端ない...
どれも手が込んでいて、手間は完全に5皿分なのに...これって超お得に見えるんですが!


前菜に十分に満足した後、待望のヴィヤンドです。
魚も美味しそうだったので、メイン2皿コースも検討したのですが、結局ヴィヤンド1皿にしました。


◾︎ヴィアンド「朴葉の上に置いた仔羊のグリエとオッソ イラティー ジロール茸 里芋 黄ニラのガレット スケッチアップのアクセント ナヴァランのジュを添えて」(★★★★+)



アニョーのグリエ、その上にはオッソ イラティという羊のセミハードチーズ、下にはジロール茸と黄ニラと里芋のお焼き、緑と赤のペーストはそれぞれブロッコリーとパプリカ トマト。トマト風味のジュ ド アニョー。
アニョーのキュイソンが絶妙。しっとりとした肉感、旨味をしっかり残してグリエしてる。アニョーの上には強い塩気を感じるオッソ イラティと黒胡椒で、かなりアタックの強いインパクトある味わい。
対してトマトとパプリカのペーストはほのかに甘く、インパクトの強い肉の味を受け止めてくれる。それでも繊細というより、かなりビッグな料理の印象。ただ朴葉の風味は良く分からんかった...
添え物のガレットも素晴らしく、トロトロの里芋を繋ぎとしてニラの独特の風味とジロール茸の香ばしい風味が最高。噛みしめるたびに旨味が。


いい感じです。


さて、メインも頂きまして、最後はデセールです。
ここも予想外の皿数で、なんと3皿。
軽くビビる。


◾︎デザート1 「ビーツのコンポート サフラン風味のクリーム レモンバーム フランボワーズのシート」(★★★)

なんともオリエンタルな風味を感じさせるデセール。
サフランのスパイシーな風味漂うまろやかなクリームの中にサクサクとしたビーツのコンポート。
レモンバームが爽やかさを演出している。洋梨の様な甘いアロマを感じさせる不思議な味わい。パリパリとしたフランボワーズのシートが強い酸味を付加する。クリームこそ滑らかでマッタリとしているが、基本的には清涼感と酸味を感じさせる味わい。


◾︎デザート2「桃のコンポート 桃のグラニテ パッションフルーツのチュイル バジルシード」(★★)


桃のソルベとパッションフルーツのチュイルが冷涼感と爽やかさを感じさせる。
酸味とトロピカルな風味を感じさせるパッションフルーツのチュイル、桃のコンポートと桃のグラニテ。桃コンポートのナチュラルな甘みが素晴らしい。
少しバニラの風味も感じる、バジルシードはかなり不思議な食感があり、食感に飽きがこない。奥の方には香ばしいビスケットやバニラ、桃の風味が感じられる。上から酸味、徐々に濃密さを演出するグラデーション。


◾︎デザート3「チョコレートのミルフィーユ チェリーリキュールとコンポート ミルクのクリーム」(★★)


10皿に及ぶショートコースの最後は濃厚なミルフィーユ。濃いめのコーヒーと共に頂いた。
チェリーリキュールとそのコンポートを使ったチョコレートのデザート。サクサクとしたビスケット状の生地、ビターな板チョコレート、チョコレートクリームの濃密でローステッドな風味。そ全体的に濃厚なチョコ風味があるが、濃密なチェリーリキュールの華やかな香りがバランスよく競合している。かなり濃厚なデザートなので、時折スプーンが止まりそうになるが、添えてあるミルク感溢れる球体のクリームがチョコレートとチェリーのアタックを柔らかくしてくれる。


◾︎ミニャルディーズ


濃いめのコーヒーと共に。
一口サイズのゼリーと焼き菓子。


以上、前菜+メイン+デザートの10皿コースでした。
全体的にハーブやスパイスを巧みに使った料理が多く、その中でも紫蘇や韮など和食由来の香草を巧みに織り交ぜた近代的なフレンチ。それを複数の皿で巧みに演出している。
さすがピエール ガニェール、ランチコースでも全くもって隙がない。
そうなるとやはり残念なのがポワソンを食べなかったこと。
次回行く機会があれば是非ポワソンも頂きたいものです。



住所: 東京都港区赤坂1丁目12−33ANAインターコンチネンタルホテル36F
店名: Pierre Gagnaire(ピエール ガニェール)
電話番号: 03 3505 9505
営業時間:
月曜定休
ランチ11:30 ~ 13:30(L.O)
ディナー17:30 ~ 20:30(L.O)
ランチ営業、日曜営業

Signature(シグネチャー: 日本橋)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。


HKOです。
本日はマンダリンオリエンタルホテルのメインダイニング、シグネチャーです。
もともとミシュラン星付きレストラン(2015でも1つ星)で有名ですが、今年初めに期間限定でnomaが入った事でも知られています。



マンダリンオリエンタル東京37F。
外資系ホテルのメインダイニングらしく開放感と清潔感のある店内です。高層階ならではの東京を一望出来る景観も素晴らしいですね。

シェフはマンダリンオリエンタル香港の「ピエール」で料理長を務めたニコラ ブジェマ氏。

否応無しに期待が高まります。
シャンパーニュは興味の惹かれるものがなかった(個人的に。チョイス自体はとてもいいと思います)ので、白ワインから。
やはり白ワインも極めてセンスがいい。
迷う事なくラングドックのカルトワイン、マス ド ドマ ガザックのヴァン ド ペイ レロー ブランを選択。
赤がとてつもなく良かったので、白にも期待してしまいます。


生産者: マス ド ドマ ガザック
銘柄: ヴァン ド ペイ レロー ブラン 2013

約6000円、WA89pt
外観はイエローで粘性は中庸。
ヴィオニエらしいフレッシュでアロマティックな香りとシャルドネのプレーンな香りが混じりあう。
ボディは明らかにヴィオニエ主体ということがわかる厚み。クリーンな作りで樽はあまり感じない。
しっかりとしたミネラル感があり、カリンやマスカット的なフォキシーなフレーヴァー、ライチなどのフレッシュな果実味に、濃厚なハチミツの様な香りが主体的に感じられる。白胡椒、その中にフレッシュハーブや石灰の様な要素などの要素が感じられる。
ボディは極めて厚みがあり、粘性が高く、重厚。
重いハチミツやライチの華やかな含み香りが楽しめる。

シャルドネのファーストノートの後にヴィオニエ独特の香りと厚みが感じられます。フルボディでボリューム感があります。これは当たりですね!


◾︎フィンガーフード(★)


・シェーブルチーズとチョリソー
酸味があり、ねっとりとした食感にシェーブルチーズの独特の香り。サクサクとした玉ねぎの様な風味、サラミのスパイシーさ。

・三角のパンスフレ チーズクリーム 玉ねぎ
パンスフレのサクサクとした外側、中にはトロトロとした酸味を帯びたチーズのまろやかな風味。玉ねぎの甘み。

・海藻を練り込んだクッキー ブロッコリーのペースト ラディッシュ
サクサクとした食感の甘いクッキーの風味の中に海藻の海っぽい風味がほのかに混じる。

・スティック状の生セロリ ケイパー アンチョビペースト
瑞々しくフレッシュなセロリの食感と、ほのかに感じられるアンチョビペーストの塩気とケイパーの酸味。


マス ド ドマ ガザックの白と一緒に楽しみました。
一つずつは本当に一口のフィンガーフードですが、どれも手が込んでいて、とても美味しかった。


◾︎パン「空気を含めたノルマンディ産ボルディオバターと海の塩」(★★)

ミニバケットとミルクパン。
バターはフワフワのクリーム状かと思いきや、しっかりとした硬さのあるバター。ミニバケットは酸味があって美味しい。


適切なタイミングでイワシのマリネが供出。
イワシ...イワシが、臭みあるんだよなぁ、どう仕上げるのかしら、と思ったが、驚くほど臭みが無く、イワシの持つ濃厚な味わいが楽しめた。


◾︎アントレ1「イワシのマリネ 海藻風味 きゅうりのカルパッチョとジュレ シェーブルとアクアヴィットのフレッシュチーズ」(★★★★)


柔らかくプリプリの臭みの無いイワシに驚き。
しっかりとしたオリーブオイルと酸味が感じられるイワシの切り身の下には、ツナの様な食感のほぐし身と海藻の風味が感じられる。淡白かと思いきやしっかりとしたイワシの旨味が、酸味とオリーブオイルによって助長されている。イワシのジュレは臭みの無い出汁的な風味。
袖にあるバケットも絶品。
酸味の強いイワシのマリネは、ローストがしっかり効いたバケットと非常に良く調和しており、ほのかに残るイワシの苦味もとてもいい感じ。引き締まっている。きゅうりで巻いたシェーブルはまったりというより、パサッとした食感で粒感を感じる。あまりシェーブル残る臭さはない。スパイシー。


次は温前菜。
イワシが良かったので期待感が否応なく高まります。


◾︎アントレ2「埼玉県産ズッキーニとソッカのタルト、花のファルシー、赤パプリカのクーリ ミントの香り」(★★★)


タラのほぐし身とジャガイモのペーストの上に乗ったグランメール風の花ズッキーニを蒸し焼きにしたファルシ。ケッパーの酸味とミントの香りが漂うズッキーニのペースト、そしてミルク風味のエスプーマ。ソッカは伝統的な雛豆を使ったタルト。
ファルシはミントの香りと花の風味がタラとジャガイモの濃厚で塩気の効いたベーストの中にほのかに感じられる。食感はフワフワ。
ズッキーニのペーストはケッパーの酸味とミントの香りを帯びていてクリーミーで爽やかな印象を受ける。ファルシと一緒に食べるとよりミントの様な風味が強く、クリーミーに、魚介の塩気とのバランスが良くなる。
赤パプリカのクーリは濃厚でパプリカのグリニッシュな風味とともに、ほのかな甘みと酸味を帯びている。
互いに食べていくと非常に複雑な味わいとなる。


鱈はやっぱり洋食には不可欠なのか、よく出てきますね。塩気ととても合うし、今回の温前菜もすごくよかった。ズッキーニ感はあまりないですが...
次は待望の肉料理。低温ローストは個人的に好きな調理法なので楽しみ!


◾︎ヴィアンド「牛肩肉の低温ロースト 季節野菜のマティニヨン 沖縄産ロングペッパー」(★★★★)


かなりいいですね!
本来は硬く旨味がある牛肩肉ですが、旨味はそのままに極めて柔らかく仕上げられている。そこにセロリや人参、玉葱の香味野菜のペーストの風味や食感、甘みがすごくいい感じに牛肩肉に合っている。牛肩肉の旨味との相乗効果。ジュ ド ヴォーもごく自然な牛肉の味わいを皿全体に浸透させている。付け合わせの人参と玉ねぎは柔らかく甘く、人参はグリニッシュさはほとんどなく、玉葱の甘さは本当に半端ない。マッシュポテトはびっくりするほどの粘性でこれもほのかに酸味を帯びている。時折混じるロングペッパーの甘みを帯びたスパイシーな風味も素晴らしい。ポーションも多く満足できます。


これは凄まじい満足感です。
ポーションもそこそこ多いですし、何より牛肉の旨味が柔らかい状態でしっかりと出ているのがいいですね!


◾︎デセール「クランブルのサブレ アルバコチョコレートのガナッシュ コーヒー風味 タヒチ産バニラのアイスクリーム」(★★★)


エクアドル産チョコレートのガナッシュにキャラメリゼしたマカデミアナッツ、カラメルとナッツの飴。ビターでカカオの風味が強いガナッシュに対して、
香ばしいナッツのキャラメリゼ、そしてコーヒーパウダーのローストしたような風味と甘さが豊かに感じられる。タヒチ産アイスクリームを加えると、チョコレートのビターさが抑えられ、非常に甘美な風味となる。タヒチ産のアイスはバニラというよりクリーム感が非常に強い。時折混じるマカダミアナッツのカリカリ感もいい。濃厚なデザート。
清涼感はないがすごく濃密で好み。


非常に濃いデザートです。
コーヒーと良く合いました。


◾︎ミニャルディーズ「アールグレイのシュークリーム」(★★)

意外な伏兵、アールグレイの香り高さが際立つシュークリーム。


いつもミニャルディーズは所詮は茶菓子ポジションなんで、あんまり期待してないのですが、これが一口ながら凄く良かった。
かなり食後感も良く、個人的には大満足。


以上シグネチャーでした。
全体的に一皿にかなり複数の要素を混ぜ込んだ複雑なタッチの料理が多い様な気がしました。ファルシなどの伝統的な料理も含まれながらも基本的にはかなり近代的な料理を供出していると思います。もちろんいわゆるクリエイティブと呼ばれる様な極端な先進性はないですが、フレンチにおいてはかなり先進的な印象を受けました。ピエールガニャール然り、コラージュ然り、トロワグロ然り、ホテルのフレンチはやはり洗練されているなぁという印象。
素晴らしいかったです。


住所: 東京都中央区日本橋室町2丁目-1-1マンダリンオリエンタル37F
店名: Signature(シグネチャー)
電話番号: 03 3270 8188
営業時間:
ランチ   11:30~14:30
ディナー 18:00~22:00
ランチ営業

【シャンパーニュ:50】RMを中心に3生産者のシャンパーニュを利く

こんにちは、HKOです。
本日は3種のシャンパーニュです。
ジャンヴエッセルのロゼ、フランクパスカルのムニエ主体のエクストラブリュット、インフィニティエイトです。


【データ】
ジャン ヴェッセルはブージィに拠点を置く1930年に創設されたレコルタンマニピュラン。畑はグランクリュを中心とした14ha生産本数は年間約12万本。作付の90%はピノ ノワール。栽培はリュット レゾネ。
今回のウィユ ドゥ ペルドリは直接圧搾法で色調を抽出。ドサージュは6g、瓶熟最低3年。

フランク パスカルの源流は1986年に設立されたレコルタンマニピュラン。1994年に父親から畑をレンタルしフランクパスカルとしてのキュヴェを初リリースしています。2004年からビオディナミに移行。
醸造コンサルタントはデュヴァル ルロワのヘルヴェ ジュスタン氏。所有畑はヴァレ ド ラ マルヌの5村20区画、合計3.5ha。土壌構成は粘土、シレックス、石灰質。

インフィニティ エイトはニコラ ルティステランとフランク ルルーが作り上げたモダンシャンパーニュ。プティ モンターニュ ド ランスとヴィル ドマンジュの畑の葡萄を使用。年間生産量は15000本~40000本程度と小規模生産。2002年のセパージュはシャルドネ61% ピノノワール23% ピノムニエ16%。 ドサージュは8g/l。ナイトマーケット向けですかね。


【テイスティングコメント】
生産者: ジャン ヴェッセル
銘柄: ブリュット ウイユ ドゥ ペルドリ NV

デゴルジュマンは2014年の4月
外観は淡いピンクで粘性は低い。
瑞々しくフルーティーなロゼシャンパーニュで、ブリオッシュやフレッシュハーブ、そしてイチゴやグリンゴの様な瑞々しく、ほのかに蜜の風味を帯びた果実味が感じられる。ミネラル感は控えめでタッチは柔らかでスムーズ。ほのかな鉄分や乾いた木、バターなどの要素がある。
全体的に繊細で、酸味が際立つものの、穏やか。
ピノノワールらしい旨味とともにハーブやイチゴ、フランボワーズの様な赤系果実の余韻を残していく。


生産者: フランクパスカル
銘柄: ルリエンス ブリュット ナチュール NV
品種: ピノ ムニエ60%、シャルドネ15%、ピノノワール25%

フレッシュだがほのかに熟成感を感じさせる旨味の感じられるシャンパーニュ。
土台のしっかりとしたミネラル感がある。
イーストやバケットの様な酸味をほのかに感じさせるロースト香、ドライシェリー、強い旨味を感じる塩気を感じる出汁、カリンやライムの様な果実味、バターやヨーグルト、ドライハーブ、リコリスの様なアロマが感じられる。若干スパイシー。
酸化的なピノムニエ主体のシャンパーニュ。徐々にリンゴを思わせる甘みが表出してくる。
泡は生き生きと立ち上っており、リンゴ的な果実味と、酸味と強い旨味を感じさせる味わい。ドライシェリーやカリンの様な余韻が長く感じさせる。


生産者: インフィニティエイト
銘柄: ブリュット ミレジメ 2002

外観は明るいイエローで粘性は中庸、泡は穏やかに立ち上っている。熟成によって出汁感のある深みのあるシャンパーニュになっている。
旨味に満ちたドライシェリーやイースト香、チーズ、バターの様な濃密な香りと、熟したリンゴやネクタリンの様な果実味が感じられ、ローストナッツやドライハーブ、白胡椒、少しずつバタークリームを思わせる甘みが徐々に現れてくる。わずかに酸化的でフレッシュさは落ち込んできているものの、旨味が非常によく出ていて深みがある。
口当たりは非常に良く、木材や出汁、リンゴの様な果実味、余韻があり、泡はかなり落ち着いている。
かなり酸化的で旨味主体の味わい。


【所感】
まずはジャン ヴィッセルのウイユ ドゥ ペルドリ。
ピノノワールとしては繊細なボディではあると思いますが、香りに関してはとても良く特徴が出ていると思います。イチゴやリンゴの様な果実味と共にハーブやブリオッシュの様な香りが感じられます。蜜のようなほのかな甘みもあり、なかなかキャッチーだと思います。
ピノっぽい旨味はあるんですけどそんなに分厚くなく、ピノシャルドネ セパージュの様な軽やかさがあるような気がしました。

次にフランクパスカル。
やや酸化的な旨味が出ており、ボディは若々しいのですが、ほのかに熟成を感じさせる味わいがあります。
しっかりとしたミネラル感とイースト香、ほのかな塩気を感じさせる出汁のような風味と、カリンやライムの溌剌とした果実味が同居しています。
若干スパイシーでドライハーブやリコリスのような要素も。確かに酸化的な香りと舌触りがありますか、いわゆるその手の代表格、クリュッグ、アンリジロー、ジャックセロスなんかと比べると、かなり若々しいとは思います。ムニエのスタイル自体そこまで経験は多くないですが、その中でも酸味はややエッジーだと思います。

最後にインフィニティエイト。
派手なルックスのナイトマーケット向けのシャンパーニュだと思いますが、2002というのもあり、熟成感があります。というか、ちょうどフレッシュさと熟成の狭間であまり魅力的な香りにはなっていません。
っていうか微妙に閉じているような気がします。
こちらもお出汁やシェリー、エシレバターやイーストの香りが主体的で、徐々に完熟以上のリンゴやネクタリンの様な厚い旨味を持つ果実味と、ローストナッツの様な樽香が感じられます。少しずつバタークリームの様な方向が感じられます。
少し頑なで今は飲むべきタイミングとは思えないですが、香りの感じからして、あと10年で綺麗な熟成を帯びたシャンパーニュになるんではないかと思います。

どれも外れなく良いシャンパーニュですが、どれも心の奥に響くようなシャンパーニュではないなぁとちょっと思いました。



【シャンパーニュ: 48】ドン ペリニヨン 1982、1985、2004比較

こんにちは、HKOです。
本日はドンペリニヨン1985です。
2004年、1982年を絡めて、熟成に至る過程を考えていきたいと思います。



【データ】
ドンペリニヨンはモエ エ シャンドン社が作るフラッグシップ ヴィンテージシャンパーニュ。
現在の醸造最高責任者はリシャール ジュフロワ。
セパージュは平均でピノノワール、シャルドネが50%ずつ。グランクリュ比率は100%。瓶内熟成期間は7年間。今更説明不要のプレステージシャンパーニュですが、存外に醸造観点での情報がありません。


【テイスティングコメント】
生産者: モエ エ シャンドン
銘柄: キュヴェ ドン ペリニヨン 1985

約60000円、WA96pt
外観は黄金に近い琥珀色、粘性は中庸。
82年同様、まさに神懸かり的と言っていいレベルの最高峰の熟成シャンパーニュ。
焦がしたカラメルやクリームブリュレの濃密な風味を中心としながら、モカや焼き栗の要素、そしてリコリスの風味。アプリコットや熟したリンゴの様なねっとりとした果実味、白カビ、ドライシェリーの様な旨味がある。
豊満ながら、そぎ落とされた先にしっかりとしたミネラル感が存在する事がよく分かる。
酸味はよく出ており、旨味も充実、素晴らしいクリームブリュレの風味がある。


◾︎参考
生産者: モエ エ シャンドン
銘柄: ドン ペリニヨン 2004
品種: シャルドネ60%、ピノノワール40%

WA94pt
外観は明るいストローイエローで粘性は中庸。
豊かなカシューナッツやバター、モカ。そしてフレッシュハーブの芳香に、豊満な洋梨、花梨の様な果実味が混じり合う。ブリオッシュ、バニラや白胡椒、しなやかなミネラル感。
際立ったシャープネスもミネラル感もない、バランスの良い豊満でキャッチーな魅力を感じさせるシャンパーニュだと思う。
酸は柔らかく、リンゴやアプリコットの蜜を感じさせる果実味の余韻と旨味が広がる。優等生的なシャンパーニュだ。


生産者: モエ エ シャンドン
銘柄: キュヴェ ドン ペリニヨン 1982

約60000円、WA96pt
外観は褐色に近い黄金色、粘性は高い。泡は穏やかに立ち上っている。
焦がしたカラメルやブランデー、カスタードクリームなどの甘やかでビターな要素に、ブリオッシュやバター。ドライシェリーの強烈な旨味を感じさせる風味。ハチミツ、オレンジの様な柑橘系の果実味。焦がしバター、塩ナッツなどの風味が感じられる。カマンベールの様な味わい。
旨味に満ちた柔らかい酸味があり、木材やカラメル、シェリーの要素。ややビターさが残る。綺麗な旨味と複雑な香りを楽しめる完璧なドンペリニヨン。


【所感】
完璧なドンペリニヨンという意味では1982年には劣るものの、熟成変化という点で頂点に至っていないだけで、ポテンシャルは間違いなく同等クラス。
現状でもほんの僅か樽と酸が優勢なくらいで、香りはほぼほぼMAX状態にある。
改めて同時に飲んだ2004年と比較すると本当に残念なくらい完成度に違いがある。
若いなりの素晴らしさを単体で飲むと感じられるのだけど、比較するとグリニッシュさと、各々の要素のまとまりの無さ、ワイン自体の堅牢さを改めて目の当たりにしてしまう。封じ込められた様々な要素が閉じていて、2004年はミネラル感さえ希薄だが、1985を飲むと熟成によって、ミネラル感もくっきりと浮かび上がってくるのが面白い。
本来強すぎるミネラル感は他の要素を蓋をする要素のはずなのだが。様々な要素が篭り過ぎていてそれすらも隠してしまっているのか。

こうして見ると、そもそものドンペリニヨンが極めて還元的で、樽香の強さと相まって本来のポテンシャルが全く出せていないのがわかる。
思えばエノテーク(1998)ですらヴィンテージに似つかわしくない若々しさに満ちていたのだから、2004年が極めて強い還元状態にあるのは妥当かもしれない。
いわゆる還元香ではなく、10年の酸素不足の状態がこういう形になっているのではないかと。
そして1998年のように約15~20年かけて正常な若々しいシャンパーニュとなり、30年で熟成の頂点に向かう、といった感じだろうか。
他のシャンパーニュが90年前半にピークを迎えるという事を考えるとドンペリニヨンは極めて堅牢でイメージとは裏腹に非キャッチーなシャンパーニュという気がしますね。
ドンペリニヨンを飲むなら少なくとも90年代から。
いい勉強になりました。

【チリ:1】エラスリス 普及品カルネメールとフラッグシップ カベルネ ソーヴィニヨン

こんにちは、HKOです。
本日はチリの老舗ワイナリー、エラスリスのエントリーグレードとハイエンドの2本です。


【テイスティングコメント】
ヴィーニャ エラスリスはアコンカグア ヴァレーに拠点を置く1870年から135年以上続く名門ワイナリー。
創業者はドン マキシミアーノ エラスリス。
チリで唯一のコースタルレンジのアコンカグアヴァレーの大部分を所有しています。
フラッグシップはドン マキシミアーノ、そしてヴィニエド チャドウィック。
今回はエステート カルメネール、そしてドン マキシミアーノ ファウンダーズリザーブの2本
エステート カルメネールはアコンカグアのMAX Vエステートのフラットな土地から生まれるブドウを使用。
フレンチ&アメリカンオーク樽で8ヶ月間熟成する。カルメネール100%。
ドン マキシミアーノ ファウンダーズは急斜面の中腹付近に位置する最高の区画から作られるカベルネ。熟成には100%フレンチ&アメリカンオークの新樽で18ヶ月熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: エラスリス
銘柄: エステート カルメネール 2013
品種:

約1500円
外観は黒に近いガーネット、粘性は高い。
乾いた土やタバコ、グリニッシュなピーマン、リコリス。レッドペッパー、果皮の厚いブラックベリーやカシスの香りが感じられる。華やかさが花の方向に向いているわけではなく、モロに果皮の香りが感じられる。土系の香りと燻製肉、ミルクティーなどの要素が感じられる。
果実は熟れているが、平面的で若干散漫な印象を受ける。タンニンはしっかりとあるが、滑らかで酸味も穏やか。マロラクティック発酵を経た様な滑らかなミルクティーや木材の香りが感じられる。


生産者: エラスリス
銘柄: ドン マキシミアーノ ファウンダーズ レゼルヴ 2012(抜栓1週間)
品種: カベルネソーヴィニヨン78%、カルメネール10%、プチヴェルド7%、シラー5%

約8700円、WA92pt
外観は黒に近いガーネット、粘性は高い。
これが抜栓一週間のワインか。驚くほど素晴らしいワイン。エレガントさすら帯びている。
旨味が十分に包含されたアプリコット、ブルーベリー、ブラックベリーのジャム。決して甘露さに寄せすぎず、瑞々しさと旨味を最良の形で演出している。
スミレやパストラミハム、ドライハーブ、徐々に甘いバニラの様な樽香が現れてくる。ミルクや西洋杉、ベニヤ板、ほのかに土の要素は感じるがカルネメール的な要素は感じない。リコリスや溶剤などの風味が感じられる。酸味が豊かだがタンニンは少し経過時間によって柔らかくなっているのかも。後味のわずかな苦みにタンニンの力強さの面影がある。バニラや熟したフルーツの余韻が感じられる。


【所感】
まずエステート カルメネールですが、まさにチリの王道的カルメネールといった感じで、土の香りと充実した果実味が感じられます。ただ濃厚かというとそんなに粘度はないので、突出しているかというと、そうではない感じです。若干果皮の香りが強いのが華やかな感じですね。価格よりはお得だと思いますが、そんなに突出したワインではないかな、と思います。

っていうのはきっとドン マキシミアーノが素晴らしすぎるから、そう思うに違いない。
抜栓1週間というイレギュラーな環境ですから、正しくそのポテンシャルが図れているかというと、そうではないと思いますので、それ前提で見ていただければと。

1週間後のドンマキシミアーノ、素晴らしいです。
ボティが柔らかくなっているのは感じますが、いわゆる酸化的なカベルネの香りはわずかにしか感じません。むしろ樽がかなり溶け込んでいて、絶妙な最初の飲み頃感を感じます。
ガッツリ系のチリカベではなく、落ち着いたデュガピィのシャルムシャンベルタンみたいなエレガンスをまとっています。旨味と果実味のバランスを取れた黒系果実のジャム、パストラミハムやバニラやミルクの芳香、ほのかに土を感じるが、基本的にエレガントな果皮と果実味の要素がメイン。タンニンもこなれていて、恐らく抜栓直後から全く別物になっているかもしれない。
コント リジェ ベレールのチリカベにも驚いたが、チリ生まれのエラスリスがこれだけエレガントで集中力の高いカベルネを作るというのが驚き。
これが綺麗に熟成したら...としたら恐ろしいですね、きっと。
エステートブランドもいいですが、比類なきコストパフォーマンスはどちらかというとこちらの方が高いかもしれません。


【ブルゴーニュ: 116】ティボー リジェ ベレール ムーランナヴァン パーセル比較

こんにちは、HKOです。
本日はニュイ サン ジョルジュの名手、ティボーリジェベレールが作るムーランナヴァンの4つのキュヴェです。
これがかなり美味しいのですが、お値段は驚きのACブルゴーニュ並...恐ろしや。


【データ】
ティボーリジェベレールはニュイサンジョルジュに拠点を置く生産者で、ヴォーヌロマネのコント リジェベレールと同様、ルイ リジェベレールに連なる家系です。2002年 27歳の時にドメーヌを設立し、現在38歳、ブルゴーニュの新世代生産者であるとともにレ サンジョルジュのグランクリュ昇格運動の代表者でもあります。
2005年からビオディナミを始めており、収穫された葡萄は除梗せず全房発酵を行なう。低温浸漬は約1週間程度行なわれ、アルコール発酵も含めキュヴェゾンは4週間程度。ピジャージュは3回程度。新樽は30%程度で瓶詰めされます。
今回のムーランナヴァンの4つのキュヴェはクリュ ボージョレでありながらブルゴーニュと同等に手を入れ区画ごとに醸造したもの。
レ ルショーは斜面下部に位置する1.4haの砂利混じりの石灰岩土壌。樹齢60-70年。
レ ヴィエイユヴィーニュは斜面中腹部に位置する花崗岩と砂で形成された7区画14haの葡萄を使用。樹齢60-80年。
ラ ロッシュは丘の最頂部に位置する花崗岩と石英、砂が混じる0.95ha。
ヴィーニュ ソントネールはムーランナヴァンの北、南、西に位置する合計0.5haの畑。継木せず、自根のままの葡萄の木を使用。木製樽で50%全房発酵。


【テイスティングコメント】
生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: ムーラン ナヴァン レ ルショー 2011

外観は濃いめのルビー。
スパイシーで獣香や消毒液の様なアロマが強く、濃密で個性的。熟したダークチェリーの果実味とスミレの果皮の香り、スターアニスの様な要素。薔薇やほのかな土、笹の葉、ミルクの様なまろやかさがある。
紅茶やクローヴ、少し燻製の様なアロマもある。徐々に蜜の様な甘さが出てくるが依然獣香は強い。
酸味、タンニン共にしなやかで柔らかい。果皮と獣香を含む滑らかな余韻があり、刺々しくない。
タンニンがボージョレとしては優勢の為、大変長熟しそう。


生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: ムーラン ナヴァン レ ヴィエイユヴィーニュ 2011

外観は濃いめのルビーで粘性は高い。
スパイシーで獣香が強いのはルショー同様だが、幾分か堅牢で、より果皮の風味が前に出ている。
凝縮度は高く、燻製肉、ブルーベリーやブラックベリーの果実味が感じられ、より冷涼な風味が感じられる。
ミルクティーと共に煌びやかなスミレ、なめし皮。笹の葉、クローヴ、リコリスなどのグリニッシュな風味がある。
よりハッキリとしたタンニンがあり、堅牢な香りの印象と同一。酸は柔らかく、獣香より果皮の風味がより含み香としては強く感じられる。


生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: ムーラン ナヴァン ラ ロッシュ 2011

外観は濃いめのルビーで粘性は高い。
獣香よりもバニラや冷涼なブラックベリーやブルーベリーの果皮や果実味がより前に出ている。時折柑橘の様なアロマも現れ、エレガントで堅牢。スミレなどの華やかさがあり、毛皮やなめし皮の要素もある。茎、クローヴ、ドライハーブの様な青い風味がわずかに。
この中では最もピノノワールに近い。上記二つとは全く異なる。時間経過によってほぼピノノワールと相違ない様なグリニッシュな要素が前に出てくる。
幾分かタンニンはやや強く、酸もしなやか。ハーブや果皮を感じさせる含み香りがあり、青さと共に冷涼さを感じられる。


生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: ムーラン ナヴァン レ ヴィーニュ サントネール 2011

外観は濃いめのルビーで粘性は高い。
同じくロッシュ寄りで獣香は控えめ。バニラ香に対して果実味が前に出ている。品があり凝縮感がある。
蜜の様なブルーベリーやブラックベリーの果実味とスミレの様なアロマが前に出ている。アプリコットの様な旨味があり、紅茶の様なアロマ。そして徐々にハチミツやキャンディの様な甘い香りが香り出してくる。スミレやなめし皮のほのかな要素。わずかにバターの要素も含む。鉄分や樹皮、ファンデーション、ほのかに木材の要素。極端にエレガントで凝縮感がある作り。
最もタンニン、酸共に充実している。しなやかではあるが...果皮と共に冷涼なタッチのグリニッシュさが感じられる。


【所感】
ムーランナヴァン自体はコートドニュイの生産者が本気で作ったものであれば、ジュヴレシャンベルタンにも劣らない非常に素晴らしいものが出来る...という認識自体はあったものの、ティボーリジェベレールがパーセル分けまでしてくれるとは思わなかった。
よほどムーランナヴァンにこだわっているのだろう。それが非常に良くわかる。こだわりがワインに滲み出ている。同じムーランナヴァンでもここまで味わいが異なるとは。
データでも記述した様に、今回の4本は標高と自根であるかそうでないかの違いが主な相違点です。
全体感で言うと、まず標高が高くなればなる程味わいとしてはピノノワールの様に洗練されてきます。
それは全房発酵関係なしに、より凝縮感と果皮の厚さを想起させる華やかさが主体的になってきます。
対して低い標高のものは洗練さとしては欠けますが、よりクリュボージョレらしい、あるいは南部ローヌを想起させる様な野性的な獣香が目立って感じられます。人によっては嫌いそうなアロマですが、重心の低いパワフルさが感じられます。まあただ、これはこれでいいですね。
分水嶺はヴィエイユヴィーニュとラ ロッシュの間ですかね。ヴィエイユヴィーニュまでは低い標高の特徴を持っていて、ラ ロッシュからは高い標高の特徴を持っていると思います。

では、個別にタイプだけ。
ルショーは独特の獣っぽいアロマと熟した果実の濃密なタイプと言えます。
果皮の香りはしっかりと出ていますが、全体的に獣香が強いので、さほど目立ちません。複雑で横に広がる様なタイプのパワフルなワインだと思います。
続いてVVですが、これはより果皮のアロマが強く出ていますね。勿論獣香が強くはあるのですが、ルショー程ではありません。また少し凝縮度か目立ち、横に広がる印象も弱くなっています。
ラロッシュはルショーやVVとは全く印象を異なり、よりティボーリジェベレール的な側面が前に出ています。言ってしまえばピノノワール的。樽やMLF的な要素もより前に出ていて、獣香は控えめになっています...というかほとんど感じられない。エレガントで堅牢という部分でいうとジュヴレシャンベルタンにも似ていると感じました。スタイリッシュなワインですね。
最後はヴィーニュ サントネールはこちらもロッシュ寄り、そして自根のピノノワールを使ったヴィーニュ フランセーズ。バニラの様な香りがバランス良く収まっていたラロッシュにも比べると、より蜜のようなピュアな黒系の果実味と煌びやかな果皮の要素が主体的になっています。キャンディ的で、高い凝縮感とエレガンスを持っています。これはかなりいいですね。

しかし標高が高い方が果皮のアロマが出やすくなるのは、冷涼である程ハングタイムが長くなり、色付きの期間が長くなるからだろうか...凝縮感はなんとなくそれで説明できそうな気がする。
かなり違いますね。タイプとしては。
ゆえにかなり面白い、クリュボージョレ侮れないな。
むしろティボーリジェベレールの方か。

これモルゴンとか他の地域でもやってほしいなぁ。



TIRPSE(ティルプス:白金台)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。




こんにちは、HKOです。
以前は白金台のフレンチといえば、カンテサンスでしたが、そのカンテサンスが高輪に移ってしまった後、店舗を居抜きで使っている新進気鋭のレストランがこの「ティルプス」です。
コルディアンバージュやカンテサンスでソムリエ経験のあるオーナーの大橋直誉氏。カンテサンス、北欧ガストロノミーを経験したシェフの春田理宏氏、パリで修行を積んだパティシエの中村樹理子氏を中心に、最先端のフレンチ+北欧テイストの料理を供しています。
もう入り口からしてオシャレ感がすごいですが、店内もシックな雰囲気とクールなBGMが素敵です。

メニューは基本的には無いようで、ドリンクも基本的にはソムリエさんに聞いてあるものを出してもらいます。まずはグラスシャンパーニュから。


生産者: マルゲ ペール エ フィス
銘柄: ブリュット レゼルヴ グランクリュ NV
品種: ピノノワール50%、シャルドネ50%

外観はイエロー、粘性は中庸。
しっかりとしたミネラル感と果実味に満ちたのフレッシュなシャンパーニュ。
白桃や熟した赤リンゴの様なフレッシュな果実味とそれらの蜜の様な甘い香り、その中にバタートーストの様な風味とフレッシュハーブ。ほのかにヘーゼルナッツの要素がある。
あくまで充実した果実味をベースにしたフレッシュなシャンパーニュながら、MLFのほのかな要素がバランスを取り合っている。ミネラルも充実。
酸は穏やかで、過度のエッジーさはない。心地よい喉越しと白桃と赤リンゴの余韻が絶妙。


アンボネイ、ブージィ、マイィのグランクリュの畑を使っているようですね。ドサージュは8.5g
老舗の生産者でラシーヌさんが輸入しているようですが、あまり市場で見かけた事がありません。
これが5000円程度のシャンパーニュですか、メチャクチャバランスが良くて美味しい!
大手NMのシャンパーニュもいいんですが、こうした選び抜いた素敵な小規模生産者のシャンパーニュが出てくるとやっばり嬉しくなりますね。発見があって。


◾︎アミューズ1「ポテトチップス、リンゴのパウダーとジャム」(★)

松毬の上に乗せて供出。
厚めのポテトフライはしっかりと塩味が効いている。リンゴパウダーと薄く引いたジャムでリンゴの甘い風味だけを載せた様な形。ほのかな甘みが塩味と絶妙のマリアージュをみせる。


◾︎アミューズ2「干した赤大根のバターソテー マヨネーズとマスタードのディップ」(★★)

こちらも塩味がしっかり振られたバターソテーした干し大根。切り干し大根のような凝縮した大根の風味とバターソテーによってオイリーさと厚みをまとっている。マヨネーズとマスタードのディップはその分塩分が少なく、互いを補いあっている。


◾︎アミューズ3:「リードヴォーのパウダーをまぶした揚げパン」(★)

ホクホクとしたスナック感覚の一皿、揚げ菓子。外はカリカリ、中はふわふわ。ほのかに牛のシビレの風味が感じられる。


アミューズ3皿は本当にビックリする位のスピードで供出されてきます。多分皿を下げて頂いてから2~3分も待ってないんじゃないだろうか。
全体的に皿数が多いから、あんまり時間を掛けられないというのもあるのかもしれませんが。平日ならこのスピードは助かりますね。


◾︎パン1「ライ麦を使ったパン ホイップバターとヨーグルトのホエー」(★)

小麦を感じる強い風味のパンとホエーを使ったクリーミーなバター。外側は軽く揚げたようなカリッとした食感。バターのデザインが美しい。


次からは前菜です。
こちらも超スピードで供出。


◾︎アントレ「小玉ねぎのピクルス、雲丹のバーニャソース、玉ねぎのペースト、オニオンスープ」(★★★★)


小たまねぎに茶色のたまねぎのペースト、白いソースは雲丹のバーニャソース、その上から暖かいオニオンスープを流し込んでいる。
玉ねぎはやや酸味があるが、強烈に甘みが凝縮されている。濃厚。それでいてサクサクと歯ごたえを残している。玉ねぎのペーストやオニオンスープは香ばしく同じく甘く濃密。時折感じられる白いバーニャソースは雲丹の磯を感じさせる風味が、全体的に甘く、まろやかなたまねぎの風味にアクセントを与えている。たまねぎの旨味と甘みが非常に素晴らしい。


◾︎パン2 「シンプルなリュスティック」
ほっこりしっとりしたリュスティックです。



アミューズ3種と前菜がかなりのスピードで供出されたので、焦っていたのですが、少しスピードを遅く食べていたら魚料理以降は結構ゆっくりと食べていたのですが、それとなく供出のスピードを遅らせてくれたのが助かりました。



◾︎ポワソン「ノルウェー産のサーモン 枝豆とグリーンピース、枝豆のピューレ、発酵ソラマメとレモンのピューレ」(★★★★)


ナイフの重みで簡単に崩れるであろうフワフワな火入れのサーモン、外側は軽く炙ってあり、塩はあまり振られていない。一口でわかる素晴らしい火入れ。豆のペーストは程よく塩味が感じられる。また少し酸味を感じる白いそら豆のペーストも、サーモンのプレーンな風味にグリニッシュさと塩味、酸味をもたらしている。豆類の風味の合い方がとても面白い。枝豆は最低限塩が振られており、ホクホクコリコリとした食感が素晴らしい。単体として凄く完成されているように思えた。


白を注文する隙間がなかったですが、シャンパーニュでここまで一本通しました。
次は肉料理。珍しくブルゴーニュのピノノワールを注文。グラスはボーヌ グレーヴ。


生産者: シャトー ド ムルソー
銘柄: ボーヌ プルミエクリュ グレーヴ 2006

外観は落ち着いたルビーで粘性は中庸。
過渡期の熟成香が出る直前の様なバランスのワイン。
イーストや蒸れた靴下、土や腐葉土の要素が、生き生きとした果実味と綺麗に同居している。ドライフラワー、ブルーベリーやブラックベリーのドライジャム、ほのかな毛皮の様な香り、リコリス、タイム、トーストなどの要素が感じられる。
酸味とタンニンは滑らかでしなやか。ここはかなり落ち着いているししなやか。


良いレストランはお買い得ワインの宝庫ですね。センスを賭けて選んでるってのが伝わってくる。
コート ド ニュイのジュヴレシャンベルタン~ニュイ サン ジョルジュ、あるいはヴォルネイやポマールは美味しくて当たり前。やはりこういう所にマルサネ、フィサン、ボーヌの幾つかの村を選んでくれるとニヤリとしちゃいますね。


◾︎ブルーベリー風味のパン

甘酸っぱいふくよかな風味。暖かく香りがよく立っている。ひょっとしたら赤に合わせて出してくれたのかしら。



◾︎ヴィアンド「山形県産豚肩ロースに3種の調理の金時草(フライ、ソテー、フレッシュ)、金時草のピューレ、豚のジュ」(★★★★)


ボリューム感のある絶妙な火入れの豚肉に、異なる調理法の加賀野菜「金時草」の滋味が素晴らしい。
金時草は特別香り高い訳でも濃い味でもないのですが、調理法の違いによってそれぞれの食感が楽しめるのが良いですね。
フライはサクサクした食感で塩味が効いていて、ソテーはしっかりとした豚肉のソースと塩味が溶け込んでしんなりしている。そしてフレッシュはグリニッシュな風味とパキパキとした食感が楽しい。
これらが大容量かつ単一の食感の豚肉に様々な食感を付加していると思う。
肝心の肉は火入れが絶妙で、非常に厚い肉にもかかわらず均一に火が入っている。塩気は殆ど降っていないが、プレーンな豚肉の旨味や甘みが際立って感じられるし、金時草がそれらを補っている。
またピューレはバターの様な濃密な風味があり、塩味がしっかりと効いている。
これもプレーンな豚肉によく合う。豚のソースもほのかに豚肉の旨味を補強してくれて素晴らしい。
勿論150gという食べ応えのあるボリュームでお腹いっぱいだ。


お昼はがっつりポリシーらしい。
コース構成の一部で150gの大ボリューム。これはとても嬉しい。やはりこの手の皿数の多いレストランはポーションの量が少なくなるので、たまに物足りなさを感じる時があるが、ここはガッシリと胃を抑えてきた。


最後は中村樹理子氏のデセール2種。



◾︎デセール1「5層のデセール」(★★★★)


あんまりちゃんと覚えてないんですが、上から「バナナのチュイル」「ロングペッパーのクリーム」「ライムとバニラのソルベ」「パイナップルのジュレ」食感に「ビスケットとパイナップル」でしたかね。
このデセール。味わいのグラデーションが素敵。
まろやかなバナナのチュイル、ロングペッパーのクリームの層から、冷たく酸味のあるライムとバニラのソルベ、そして香ばしいビスケットと生のパイナップルと遷移していく。パリパリとしたチュイルの食感、クリーミーなタッチから徐々に酸味と冷たさ、最後に香ばしさが来るという。上から食べても面白いし、同時に食べた時の要素の多さにも驚く。でも決して混乱しないし、バナナはクリームと、ライムとパイナップルが橋渡ししてくれるので不自然感がない。
素晴らしく巧みで美味しいデゼール。


◾︎デセール2「フレッシュな桃とリコッタチーズケーキ、フロマージュブラン、液体窒素で固めたミルクアイスとラベンダー、赤い桃のソース、プラムのソース」(★★★★★)


次も巧みな技が炸裂している。
甘露で甘美なデセールでフレッシュな白桃の甘みと、フロマージュブランとリコッタチーズケーキの濃厚なまろやかさ、冷たさと甘さを感じさせる液体窒素を使ったミルクアイス。見目麗しいし本当に絶品、白桃はコンポートの様な甘さではなくフレッシュ。そこにリコッタチーズケーキの濃厚さにフロマージュブランの滑らかさが乗り、そこにソースの白桃やカシスのフレッシュな風味が現れる。ほのかに感じられるハーブの風味がまた面白い。よく思いつくなあ...本当に。


最後はコーヒーとミニャルディーズ。


◾︎ミニャルディーズ1「ナッツのチョコレートケーキ」(★★)

コリコリとしたナッツの食感と濃厚なチョコレート。
シンプルだけど美味しい。


◾︎ミニャルディーズ2「ポテトチップス、リンゴのジャムとパウダー」(★)

あれっ、最初に戻った!?
っていうサプライズをもって終わらせてくる。
すごくプレゼンテーションにこだわりを感じる。
同じ材料なのに、ポテトではなくリンゴを主張させることで全然違う料理に。面白い試み。
これジャガイモだよね...サツマイモじゃないよね...
って感じの甘さ。最後に爽やかに終わった。


◾︎食後酒
生産者: レーヴィ ロマーノ
銘柄: グラッパ ジェントレ アラ カモミッラ NV

ワインを楽しませてくれたので、食後酒も注文。
甘みが乗るスパイシーなグラッパで、ほのかにカモミールの香りが感じられる。


合計9皿のランチでした。
どの皿も楽しいん趣向が凝らされており、スタートエンドの流れが素晴らしい。
特に素晴らしかったのは前菜以降デセールに至るまで全て。
たまねぎの甘み、旨味を引き出しているオニオンスープ、絶妙な火入れのサーモンと豚肩ロース、繊細な味わいのグラデーションと調和を感じさせるデセール、それぞれに個性があって面白い。
ワインのチョイスも素晴らしく、ブランド価値より本質の味わいを追求している。それらの個性が一塊となって一つのコースの中に収まっているという。
ランチでこれなんだからディナーはどうなってしまうのか....検証が必要かも。


住所: 東京都港区白金台5丁目5−4−7, BARBIZON25 1F
店名: TIRPSE(ティルプス)
電話番号: 03 5791 3101
営業時間:
12:00~13:00(L.O)
18:00~20:30(L.O)
※ランチは土曜のみ
※月~金のランチタイムはkiriko nakamuraとして営業

Lauburu(ローブリュー:麻布)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。


こんにちは、HKOです。
フランスの家庭料理が食べたくなって、会社帰りにジョンティでも寄ろうかと思っていたのですが、はたと、そういえばバスク料理で評判が良いお店があったのを思い出した。

一瞬でいい選択だと思った。あまり食べたこともないし、いい経験になるだろうと。

麻布にあるローブリューはミシュランガイド2015で*1を獲得したバスク料理のお店。
シェフは代官山パッション、銀座レザンドール、原宿オーバカナルを経験した櫻井信一郎氏。



場所は異様に分かりにくいです。
Googlemapが無ければ辿り着けなかったろうなぁ...
六本木からだと大体徒歩15分くらいかな、表参道が一番近いっぽいです。



ガストロノミーというより、ビストロ的なカジュアルの風体。パリの街場の食堂みたい。



店内も雑然。メニューはなく、黒板からアラカルトを選んでいく形。これはこれで、すごく雰囲気があっていい。井之頭五郎が入りそうな感じだ。


早速ワインを注文します。
本日の白グラスワインはJ.Pマスのシャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、アランブリュモンのブリュモンブランの3種類。ラングドックとガスコーニュですね。
いい感じの安旨ワインを選んでいます。
ただ割と何処でも手に入るワインだけに驚きがあまり無いのが寂しいですね。


◾︎白ワイン
生産者:ジャン クロード マス
銘柄: レ タンヌ アン オクシタン ソーヴィニヨン ブラン 2014

変わらぬ安定した美味しさです。爽やか。



◾︎アミューズ

ピリ辛のオイルが掛かったオリーブ。


◾︎アントレ「豚のど肉と皮のパテ」


もともとはフォアグラやガチョウの余り物などで作っていたパテを豚でアレンジしたもの。添え物はキャンベラスときゅうりのピクルス。
皮とのど肉で作られたパテにラードが塗られている。
皮が入っているからか、かなり固めのブリブリとした食感。普通のパテとは全く異なる風味で、さっぱりとした味わい。ハーブの様な風味も少し感じた。
個人的な好みには合わなかった。


◾︎アントレ2「スープ ド ポワソン」(★★★★)


これは美味い!
イトヨリ、カサゴ、アナゴ、そしてペルノーリキュールを使った魚介スープ。付け合せはニンニクと卵黄を使ったアイオリソースとチーズ、そしてバケット。
ものすごく濃厚なスープで魚介の旨味がたっぷり。磯香りがテーブル一杯に広がる。アクアパッツァみたいな香り?スパイシーで渾然一体となった魚介スープ。トロトロで、流石南仏、色も味も濃い。
そもそも味が濃いから、バケットを浸して食べても決して味の濃度は落ちない。粘度としてはスープというよりソース?かなり濃厚。
アイオリソースを入れるとニンニクの芳醇な風味が魚介スープに加わる。辛さとスパイシーさを増し、チーズはまろやかさが出てくる。これは凄い。



生産者: ドメーヌ ポール マス
銘柄: ヴィーニュ ド ニコル カベルネソーヴィニヨン シラー 2013

至って普通のJPマス。


◾︎ヴィアンドゥ「米の娘豚骨付きロースのグリエ」(★★★)


2時間かけて備長炭で焼き上げたという米の子豚。
バターをたっぷり使ったワイルドライスはプチプチとした食感で味が濃いめ。炭火で焼いたピーマンや付け合せの野菜類(インゲン)も絶妙。
極めて香ばしく、豚肉の旨味、そして何と言っても穀物を感じさせる甘ーい脂がたまらない。ほのかにハーブの風味が漂うが、とにかく甘い豚の脂がすごい、凄い甘み。
味付けは全く複雑でなく、かなりシンプルなんだが、だからこそ、豚の味わいがしっかり出ていると思う。
ソースもいいけど、岩塩だけのシンプルなスタイルが好みにあった。
ソースは骨と野菜の出汁で、豚肉の風味がしっかり。特段難しい事はしてないが、地味に火入れも良いと思う。


さて、ここまできて、ハーフながらもお腹いっぱい。
席からは調理場が見えるのですが、これはヤバいぞと。次の料理、ハーフサイズながらもかなり量がありそうだと。

出てきて悪寒的中、ヒィって感じの濃厚なピペラートがたっぷり出てきた。
ここも井之頭五郎風に言うのであれば「いくら何でも食べ過ぎた」って感じだ。


◾︎ヴィアンドゥ「ピペラート(ピーマンのトマト煮 ヴァントレッシュ添え)」(★★★)


これも絶品。バスクの王道的な家庭料理で、ピーマンをトマトで煮込んだものに、塩漬けの豚バラ肉とガチョウの脂で揚げた揚げ卵を添えたもの。
もうガーンって感じのインパクト。
揚げ卵はカリカリで黄身までしっかりと火が通っている。赤ピーマンはじっくりと煮込まれていて独特の青っぽさがあまり無い。トマトソースはオイリーで濃厚。美味い煮込み。
ベーコンはかなり厚みがあり塩味もしっかりと付いていてバラ肉らしく濃厚な脂の風味を感じる。卵を崩して食べると絶品で熱々。


ハーフサイズってことでお値段も抑える事が出来てお腹いっぱい。
家庭料理と唄いながら、ガストロノミックの影響を受けているものが多いから、本当の家庭料理を見て幾分か面食らう部分もあるかと思うのですが、個人的には本当に美味しいし好きな感じ。
そしてスペインの影響大きいなあ、と思います。
アルザスもドイツの影響大きいし、フランスの食文化って郷土料理からしてミクスチャーなんだな、って思います。


最後に接客について。いつもは全く書かないのですが(一人だし、味にしか基本拘らないので)、Web上で言われているのは非常に悪いという話。
個人的な感覚としては決して悪いとは思いませんでした。多少口下手というか、ペラペラと話す感じでは無いし、過剰なホスピタリティがあるわけでは無いんですが、十分に気を利かせてくれるし、悪くないと思います。
やっぱりWebの情報は当てにならないっつーか、そういう声のでかい事言う人ってろくなもんじゃないなーと思います。僕のも含めてね。


住所: 東京都港区南青山6丁目6−8−18
店名: Lauburu(ローブリュー)
電話番号: 03 3498 1314
営業時間:
日曜定休
18:00~21:30(L.O)
プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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