【ブルゴーニュ: 116】ティボー リジェ ベレール ムーランナヴァン パーセル比較

こんにちは、HKOです。
本日はニュイ サン ジョルジュの名手、ティボーリジェベレールが作るムーランナヴァンの4つのキュヴェです。
これがかなり美味しいのですが、お値段は驚きのACブルゴーニュ並...恐ろしや。


【データ】
ティボーリジェベレールはニュイサンジョルジュに拠点を置く生産者で、ヴォーヌロマネのコント リジェベレールと同様、ルイ リジェベレールに連なる家系です。2002年 27歳の時にドメーヌを設立し、現在38歳、ブルゴーニュの新世代生産者であるとともにレ サンジョルジュのグランクリュ昇格運動の代表者でもあります。
2005年からビオディナミを始めており、収穫された葡萄は除梗せず全房発酵を行なう。低温浸漬は約1週間程度行なわれ、アルコール発酵も含めキュヴェゾンは4週間程度。ピジャージュは3回程度。新樽は30%程度で瓶詰めされます。
今回のムーランナヴァンの4つのキュヴェはクリュ ボージョレでありながらブルゴーニュと同等に手を入れ区画ごとに醸造したもの。
レ ルショーは斜面下部に位置する1.4haの砂利混じりの石灰岩土壌。樹齢60-70年。
レ ヴィエイユヴィーニュは斜面中腹部に位置する花崗岩と砂で形成された7区画14haの葡萄を使用。樹齢60-80年。
ラ ロッシュは丘の最頂部に位置する花崗岩と石英、砂が混じる0.95ha。
ヴィーニュ ソントネールはムーランナヴァンの北、南、西に位置する合計0.5haの畑。継木せず、自根のままの葡萄の木を使用。木製樽で50%全房発酵。


【テイスティングコメント】
生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: ムーラン ナヴァン レ ルショー 2011

外観は濃いめのルビー。
スパイシーで獣香や消毒液の様なアロマが強く、濃密で個性的。熟したダークチェリーの果実味とスミレの果皮の香り、スターアニスの様な要素。薔薇やほのかな土、笹の葉、ミルクの様なまろやかさがある。
紅茶やクローヴ、少し燻製の様なアロマもある。徐々に蜜の様な甘さが出てくるが依然獣香は強い。
酸味、タンニン共にしなやかで柔らかい。果皮と獣香を含む滑らかな余韻があり、刺々しくない。
タンニンがボージョレとしては優勢の為、大変長熟しそう。


生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: ムーラン ナヴァン レ ヴィエイユヴィーニュ 2011

外観は濃いめのルビーで粘性は高い。
スパイシーで獣香が強いのはルショー同様だが、幾分か堅牢で、より果皮の風味が前に出ている。
凝縮度は高く、燻製肉、ブルーベリーやブラックベリーの果実味が感じられ、より冷涼な風味が感じられる。
ミルクティーと共に煌びやかなスミレ、なめし皮。笹の葉、クローヴ、リコリスなどのグリニッシュな風味がある。
よりハッキリとしたタンニンがあり、堅牢な香りの印象と同一。酸は柔らかく、獣香より果皮の風味がより含み香としては強く感じられる。


生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: ムーラン ナヴァン ラ ロッシュ 2011

外観は濃いめのルビーで粘性は高い。
獣香よりもバニラや冷涼なブラックベリーやブルーベリーの果皮や果実味がより前に出ている。時折柑橘の様なアロマも現れ、エレガントで堅牢。スミレなどの華やかさがあり、毛皮やなめし皮の要素もある。茎、クローヴ、ドライハーブの様な青い風味がわずかに。
この中では最もピノノワールに近い。上記二つとは全く異なる。時間経過によってほぼピノノワールと相違ない様なグリニッシュな要素が前に出てくる。
幾分かタンニンはやや強く、酸もしなやか。ハーブや果皮を感じさせる含み香りがあり、青さと共に冷涼さを感じられる。


生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: ムーラン ナヴァン レ ヴィーニュ サントネール 2011

外観は濃いめのルビーで粘性は高い。
同じくロッシュ寄りで獣香は控えめ。バニラ香に対して果実味が前に出ている。品があり凝縮感がある。
蜜の様なブルーベリーやブラックベリーの果実味とスミレの様なアロマが前に出ている。アプリコットの様な旨味があり、紅茶の様なアロマ。そして徐々にハチミツやキャンディの様な甘い香りが香り出してくる。スミレやなめし皮のほのかな要素。わずかにバターの要素も含む。鉄分や樹皮、ファンデーション、ほのかに木材の要素。極端にエレガントで凝縮感がある作り。
最もタンニン、酸共に充実している。しなやかではあるが...果皮と共に冷涼なタッチのグリニッシュさが感じられる。


【所感】
ムーランナヴァン自体はコートドニュイの生産者が本気で作ったものであれば、ジュヴレシャンベルタンにも劣らない非常に素晴らしいものが出来る...という認識自体はあったものの、ティボーリジェベレールがパーセル分けまでしてくれるとは思わなかった。
よほどムーランナヴァンにこだわっているのだろう。それが非常に良くわかる。こだわりがワインに滲み出ている。同じムーランナヴァンでもここまで味わいが異なるとは。
データでも記述した様に、今回の4本は標高と自根であるかそうでないかの違いが主な相違点です。
全体感で言うと、まず標高が高くなればなる程味わいとしてはピノノワールの様に洗練されてきます。
それは全房発酵関係なしに、より凝縮感と果皮の厚さを想起させる華やかさが主体的になってきます。
対して低い標高のものは洗練さとしては欠けますが、よりクリュボージョレらしい、あるいは南部ローヌを想起させる様な野性的な獣香が目立って感じられます。人によっては嫌いそうなアロマですが、重心の低いパワフルさが感じられます。まあただ、これはこれでいいですね。
分水嶺はヴィエイユヴィーニュとラ ロッシュの間ですかね。ヴィエイユヴィーニュまでは低い標高の特徴を持っていて、ラ ロッシュからは高い標高の特徴を持っていると思います。

では、個別にタイプだけ。
ルショーは独特の獣っぽいアロマと熟した果実の濃密なタイプと言えます。
果皮の香りはしっかりと出ていますが、全体的に獣香が強いので、さほど目立ちません。複雑で横に広がる様なタイプのパワフルなワインだと思います。
続いてVVですが、これはより果皮のアロマが強く出ていますね。勿論獣香が強くはあるのですが、ルショー程ではありません。また少し凝縮度か目立ち、横に広がる印象も弱くなっています。
ラロッシュはルショーやVVとは全く印象を異なり、よりティボーリジェベレール的な側面が前に出ています。言ってしまえばピノノワール的。樽やMLF的な要素もより前に出ていて、獣香は控えめになっています...というかほとんど感じられない。エレガントで堅牢という部分でいうとジュヴレシャンベルタンにも似ていると感じました。スタイリッシュなワインですね。
最後はヴィーニュ サントネールはこちらもロッシュ寄り、そして自根のピノノワールを使ったヴィーニュ フランセーズ。バニラの様な香りがバランス良く収まっていたラロッシュにも比べると、より蜜のようなピュアな黒系の果実味と煌びやかな果皮の要素が主体的になっています。キャンディ的で、高い凝縮感とエレガンスを持っています。これはかなりいいですね。

しかし標高が高い方が果皮のアロマが出やすくなるのは、冷涼である程ハングタイムが長くなり、色付きの期間が長くなるからだろうか...凝縮感はなんとなくそれで説明できそうな気がする。
かなり違いますね。タイプとしては。
ゆえにかなり面白い、クリュボージョレ侮れないな。
むしろティボーリジェベレールの方か。

これモルゴンとか他の地域でもやってほしいなぁ。



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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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