【NZ・オーストラリア: 18】漲る高級感、やっぱりカーリーフラットは凄い...、シャルドネ 2010

こんにちは、HKOです。
本日はカーリーフラットのピノノワール...でもなくシャルドネです!
個人的に大好きなワイナリー、シャルドネはどうなんでしょうか!


【データ】
カーリーフラットはフィリップとジェニ・モラハンが、オーストラリアのマセドンレンジズに1998年に興したワイナリー。マセドンレンジズはブルゴーニュに良く似たオーストラリアで最も冷涼な産地。気候は大陸性気候で、標高は560m。最高気温は16度。玄武岩のローム土壌の畑で、ピノノワールとシャルドネの栽培に適しています。
2008年以降、ビオディナミへの転向しており、手作業で収穫を行っています。収量は30hl/ha。除梗比率は年によって変えている様ですが、2010年は70%を除梗し、発酵に回します。低温浸漬を行った上で、区画ごと、クローンごとにステンレスタンクで発酵。ピジャージュは1日3回程度。複数階に渡る多重構造の発酵蔵によりグラヴィティフローを行う事が可能です。その後40%新樽で24ヶ月熟成を行い、無清張で瓶詰めされます。
シャルドネは南部ランスフィールド周辺の自社畑。冷涼地区として知られる。深部に粘土層のある、火山性ローム層。バイオダイナミック農法を取り入れ、2006年 より除草剤不使用。フレンチオーク新樽50%で樽熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: カーリー フラット
銘柄: シャルドネ 2010
品種: シャルドネ100%

約7000円
外観は淡いイエローで粘性は中程度程度。
かなり樽がしっかりと効いたナッツや麦茶、ロースト香がまず感じられる。コントラフォンの若いヴィンテージにそっくりな印象を受ける。
ピュリニーの火打石の様なミネラリーさ、ムルソーっぽいローストナッツのような樽香、ニューワールドのシャルドネ的な苦味を感じさせる余韻がある。麦茶、奥の方にマロラクティック発酵に起因するミルクの様な要素がある、それに付随してしっかりとした洋梨、花梨のような果実味が感じられる。
酸はしっかりと骨格を形成し、わずかな苦味はある。
麦茶やナッツ、洋梨などの風味を感じさせる。想像以上にしっかりとした新世界的な要素がある。


【所感】
メチャクチャ高そうなシャルドネだ...
ニューワールド的な甘い樽香とマロラクティック発酵がブリブリに効いてくる感じではなくて、もっとブルゴーニュ的な樽香とミネラルがある。とはいえボディはしっかりと新世界的な厚みがあり、かつ酸味も充実している。
半端なブルゴーニュというより、いわゆるピュリニー的なミネラルを維持しながらムルソー的なハッキリとした樽香が素晴らしい。
麦茶やナッツを思わせる樽香と張り詰めたミネラル。
決してコッテリとした甘さはなく、力強く堅牢さすら感じさせる。
少しずつ花梨や洋梨の様な果実味とミルクの様なまろやかな風味も現れるが、樽香とミネラルでしっかりと引き締まっている。
液体にハッキリとした酸とボディがあり、MLFの影響で中抜けする感じは一切ない。余韻に苦みがあるのが、新世界的ではある。(ただこれくらいならブルゴーニュでもありありですね)
樽香やミネラルの感じはコントラフォンの若いヴィンテージに似てるかも。だから高級感を感じるのか。

今となっては7000~8000円近くする為、お得感も大分薄れてきましたが、ブルゴーニュと比較するとまだまだお得感が際立ちます。基本的にはやっぱりオススメです。
ピノノワールもシャルドネもカーリーフラットは良いですね!


◾︎例のごとくワイン会で(Part.2)

キンメのお寿司や...



蒸し穴子...



ホタテのソテーと良く調和しました。



ワッシーズさんがメチャクチャ安い....


スポンサーサイト

【シャンパーニュ: 57】プティ クロ ジャカン、ピエールカロのヴィーニュ アンシェンヌ

こんにちは、HKOです。
本日も引き続きシャンパーニュです。


【データ】
ピエール カロは1985年に設立されたアヴィーズに拠点を置くレコルタンマニピュラン。それまでは基本的にメゾンにブドウを販売しており、現在でもボランジェにもブドウを提供しています。アヴィーズ、クラマン、シュイイ、グローヴに合計7.25haを所有し、うち4ha程度がドメーヌ本詰。生産量は4万本程度。フラッグシップは0.07haの単一畑、樹齢40年の古木を使用したクロ ジャカン、年間生産量は800本。
栽培はリュット レゾネを実践。畑での作業はすべて手作業で行われ,収穫も当然手摘みで行われる。シュールリーの状態で、12ヶ月間木製発酵槽で熟成とMLF。その後,瓶内二次発酵。32ヶ月熟成。デコルジュは2013年9月。単一年(2009年)90%とリザーヴワイン10%のアッサンブラージュ。
今回のヴィーニュ アンシェンヌはミレジム。
アヴィーズ村に存在する0.4ヘクタールのリューディであるレ ザヴァで栽培された1952年植樹のヴィエイユ ヴィーニュ。シュール リーの状態で8ヶ月間熟成。マロラクティック発酵は実施せず、瓶内二次発酵と熟成(79ヶ月)。ドザージュは1リットルあたり10.8グラム。


【テイスティングコメント】
生産者: ピエール カロ
銘柄: ヴィーニュ アンシェンヌ アヴィーズ グランクリュ 2007
品種: シャルドネ100%

約9000円
外観は淡いイエローで粘性は中程度。
塩ナッツやエシレバターの香りを感じさせる少し酸化的な風味が感じられる。比較的しっかりとしたミネラル感がある、少し熟成感があるがパワフル。ドライハーブ、出汁、熟した黄桃、アプリコットの様な濃密な果実味は感じられる。
酸の感じはブランドブランらしいシャープで繊細。
緻密な酸があり、塩ナッツ、アプリコットなどの旨味がしっかりある。果実の酸化的な風味が素晴らしい。


【所感】
正直クロ ジャカンと比べても引けを取らない素晴らしいシャンパーニュでした。
幾分かフレッシュさが目立つクロ ジャカンですが、こちらは単一年の物なので、やや酸化的です。
酸化的というのは表現があまりよろしくないですね、ごく自然に熟成した感じでしょうか。
マロラクティック発酵の影響は比較的強めで、それに酵母や樽の香りがしっかりと調和し、塩ナッツやエシレバターのような風味が感じられます。
果実味も円熟し、アプリコットや黄桃の密度の高い果実味が感じられます。ヴィーニュ アンシェンヌという名前にふさわしい60年クラスの古木なので、密度はかなりたかいです。
酸は緻密でブランドブランらしい繊細さがありますね。決して高いワインではないだけにかなり嬉しい一本です。
トップキュヴェのクロ ジャカンとは少し違いますが、単純に出自の良さが伺えるシャンパーニュだと思います。


◾︎例のごとくワイン会で。(Part.1)

ホタテのソテーや...


蒸し穴子のお寿司と良く調和しました。



【シャンパーニュ:56】最近飲んだシャンパーニュ3本

こんにちは、HKOです。
本日はシャンパーニュ3種類です。

【データ】
クリスチャン エティエンヌは、バール シュール オーブのムールヴィルに1970年に設立された生産者。
伝統的な造り手で、現在3つの畑に9.5ヘクタールの畑を所有しているRM。
造りは伝統的で、約2~3年、上級キュベで10年近く地下カーヴで保管。生産本数は約2万5千本。

アンドレ クルエはモンターニュ ド ランスに拠点を置くソシエテ ド レコルタン。中世からブドウ栽培は始めていましたがスティルワインのみで、シャンパーニュを作り始めたのは当代の祖父から。
表土が薄くチョーキーなアンボネイ、村が南向きで日照量が多いブージーという100%グランクリュからそのキュヴェは作られている。
収穫したブドウは長方形の木製水平プレスで圧搾、テート ド キュヴェのみ使用、温度調節装置が内側に設置された2050lの醸造タンクで発酵。発酵状態を4段階に分けてバリック樽に移し 最終的にバリック内で醗酵を終了させます。 その後瓶内熟成。
リザーブワイン比率は不明。ドサージュは7.5g/l。
フラッグシップは今年初リリースのル クロ ミレジメ。
ル クロは、アンドレ クルエが所有する0.35haの単一区画「クロ ド ブジー」より収穫された良年のピノノワールのみを使用したキュヴェ。樹齢は16~18年、瓶内2次発酵後7年瓶熟。出荷時にデゴルジュマン。ドサージュは8g/L。生産本数はマグナムのみ1,500本。

テタンジェは1734年より続く老舗NMで1930年からテタンジェの名称でシャンパーニュを販売しています。グランクリュ、プルミエクリュ含む自社畑は288ha 34区画を保有しています。
テタンジェの最高峰といえば、やはりコント ド シャンパーニュ ブラン ド ブランでしょう。
コント ド シャンパーニュはテタンジェのフラッグシップワイン。優れた年のコート ド ブラン地区のグランクリュ(シュイィ、クラマン、アヴィーズ、オジェ、メニル シュール オジェ)のヴァン ド キュヴェのみをアッセンブラージュしたブラン ド ブラン。全体の5%程度が100%新樽を使用。セラーにて4-5年の瓶内熟成を経て出荷される。
ロゼも同じくグランクリュから採れたピノノワール、シャルドネのヴァン ド キュヴェのみを使用。瓶内熟成期間も同じく5年以上です。


【テイスティングコメント】
生産者: クリスティアン エティエンヌ
銘柄: ブリュット ミレジム 2006
品種: ピノノワール50%、シャルドネ50%

約5000円
色調は中程度のイエロー、粘性は中程度で泡は落ち着いている。
しっかりとしたミネラル感があるが、基本ボリューミー。
ほのかな熟成感があり、塩ナッツやシェリーの様な風味と共に豊かな果実味が合わせて存在しクリスピー。摩り下ろしリンゴ、ネクタリンなどの強い果実味が主張。
カマンベールチーズ、バター、しっかりとした出汁感がある、ヘーゼルナッツ、ハチミツなどの要素も。
酸味は穏やかでふくよかな果実味が口の中に広がる。泡はハツラツとしており、摩り下ろしリンゴやネクタリンの様な熟した果実味の余韻を残していく。


生産者: アンドレ クルエ
銘柄: ブージィ グランクリュ ル クロ ド ブージィ 2006
品種: ピノノワール100%

約32000円(マグナム)
外観は濃い黄色で、粘性は中庸。
小石のようなミネラル感がある。
摩り下ろした林檎、洋梨の様な濃密な果実味が魅力的な味わい。親しみやすい果実味があるが、極めて精密な作りになっている。
ハチミツやブリオッシュ、リコリス、シナモンなどの風味が感じられる。ドライハーブ、ほのかに熟成起因の出汁の風味、ローストナッツ、白檀の様な香ばしい香りが感じられる。ほのかに塩っぽさもある。
酸味は穏やかで緻密、含み香は極めて複雑で木材や林檎の旨味、ナッツの余韻が綺麗に感じられる。
緻密な舌触りがあり、細やかな泡を綺麗に感じられる。


生産者: テタンジェ
銘柄: コント ド シャンパーニュ ロゼ 1981

価格表記なし
外観はややオレンジを帯びた黄金色、粘性は少ない。
ロゼとはいえほとんど通常のシャンパーニュに寄り添った風味がある。
焼き芋やマロングラッセ、モカの様な香りを主体として、ピノノワールらしい鉄分の要素が感じられる。
ビターキャラメル、魚介出汁の様な旨味の風味が混じり合う。熟したリンゴの要素が少し。焦がしたバター、甘い蜜の香り、バニラの様な風味、パンの様なイースト的な風味を伴う。ドライハーブ、ほのかにスミレの香りが感じられる。シナモンなどの要素。
含み香と味わいが抜群に素晴らしく、強い旨味のアタック、滑らかに遷移していきながら、戻し香りでベリーやリンゴ、栗やモカの風味が綺麗に戻っていく。
芸術的なシャンパーニュ。


【所感】
今回は一つの方向性に絞って飲んだ訳ではなく、バラバラと飲んだものを1エントリーでご紹介。
個人的に超お買い得なミレジム、クリスチャン エティエンヌのミレジム、そしてアンドレクルエのニューリリース単一畑、そして貴重なコント ド シャンパーニュの古酒です。
まずはクリスチャン エティエンヌのミレジムから。
この価格帯としては熟成感含め極めて複雑なシャンパーニュになっており、かつとても良いバランスを維持しています。ピノノワール的な摩り下ろしリンゴを想起させる旨味と太い滑らかな酸味、そして酸化的な塩ナッツやシェリーの適度な要素が程よく混じり合っている。MLF的なバターやチーズ、ナッツを思わせる樽の要素があります。
果実味がキャッチーなので取っつきやすいですが、同時に複雑さも味わえるのがいいですね。
グランメゾンならエントリークラスくらいの価格帯でミレジム、そして十分な複雑さを感じられるところからかなりお得感はあるのではないかと思います。
いわゆるアイやアンボネイ程骨格のあるピノノワールではありませんが、確実にいい線の行ったピノノワールだと思います。ラベルも安っぽくないですし、かなりいいと思います。

次はアンドレクルエのル クロ。
これは目下のフラッグシップであるアン ジュールド 1911のブージイの1区画をピックアップしたもの。
この生産者はスタンダードからしてメチャクチャいいのですが、こちらも強烈にいいです。
とはいえ、ビルカールサルモンやクリュッグほど上位とスタンダードの差は感じませんでしたが、こちらも複雑性が特徴的で、極端な凝縮感やパワー感が売りのシャンパーニュではありません。テイスティングコメント通り親しみやすい果実味が根本にありながら、ミネラル感やハチミツ、ブリオッシュ、白檀、そしてローストナッツや出汁の様な熟成感など様々な要素が緻密に埋め込まれている。パワー感や規模感は極端に大きくないですが、その中で精密に作り込まれている印象。変に硬いところもないので、今のタイミングでもとても美味しくいただけるのではないかと。

最後はコント ド シャンパーニュ ロゼの古酒。
シャンパーニュロゼの古酒はあまり飲んだ事がないのですが、いいですね。
やっぱり限りなくシャンパーニュに近い熟成をしていくんですね、焼き芋やマロングラッセ、モカの様な魅力的な芳香がありますが、その中にしっかりとピノノワール起因の鉄分を思わせる 香りがあります。
そもそもコント ド シャンパーニュはトップキュヴェとしては若くても親しみやすい味わいがありますが、その通りの熟成を経て行っている印象です。
シャンパーニュの熟成ともにピノノワールの鉄分がなんともいえない複雑さを助長している。酸味は流石に柔らかく、熟成のピークといった風態。80年代前半ですから元の酒質が高かったか窺い知れます。
確かにロゼの方が値段が幾分か高いですが、熟成の時の複雑性の一助になるから、ひょっとして妥当なのかもしれません。



【ブルゴーニュ:117】約二ヶ月ぶりのブルゴーニュブランでその複雑さを再認識。

こんにちは、HKOです。
メチャクチャお久しぶりのブルゴーニュです。
最近意図的にブルゴーニュを避けています。
というのも決して嫌いになったとか、ボトルが高いからというわけではなく(関東だったらバイ ザ グラスで飲める所も沢山あるので)単純に他の地域を飲み込んで、慣れた時にブルゴーニュに対してどういった印象を受けるのか、というのをハッキリと知りたかったから。
これがテキメンでした。やっぱりブルゴーニュは他の地域と違う。
今回はブルゴーニュでも最上のシャルドネの生産者、ドメーヌ ルフレーヴのラ ピュセルとクラヴァイヨンを比較していきます。


【データ】
ルフレーヴは言わずと知れた、世界で最も偉大なシャルドネの生産者。醸造責任者はエリックレミー(先代はピエール モレ)、党首は アンヌ クロード ルフレーヴ氏(4月に逝去しました)
フラッグシップの特級モンラッシェ、特級シュヴァリエモンラッシェ、特級バタールモンラッシェはさながらシャルドネの王たる風格と威厳を漂わせる。厳密なビオディナミ、収穫用具の醸造設備の徹底したクリーン化を推進している。1997年より全面的に採用されたビオディナミにより栽培された葡萄を、手摘みで収穫しプレス後2週間のアルコール発酵を行う。その後バドナージュをしながら12ヶ月の樽熟成を行う。新樽比率は特級でも25%と抑え気味。樽はフランソワフレール社のものを採用。
樽内熟成後、ステンレスタンクでさらに6ヶ月熟成を行い瓶詰めしています。


【テイスティングコメント】
生産者: ドメーヌ ルフレーヴ
銘柄: ピュリニー モンラッシェ プルミエクリュ クラヴァイヨン 2013

約18000円、WA92pt(2010)
外観は中程度のイエローで粘性は高い。
堅牢ではあるものの、ピュセルに対して柔らかく、蜜の様な香りが早くから現れる。
洋梨やカリンの様な瑞々しく澄んだ果実味、アカシア、それらと共にヨーグルトやローストナッツの香りが混じり合う。ほのかにイースト、ハチミツレモン、フレッシュハーブなど。これらがどれも突出せず複雑に絡み合っている。
徐々にモカではなく上白糖の様なピュアさ。
酸はシャープだが、どこか角に丸みを感じさせる。力強くも緻密な酸で厚みがある。苦みはない。ピュア。
レモンや洋梨、ヨーグルトやハチミツの様な余韻を残す。


生産者: ドメーヌ ルフレーヴ
銘柄: ピュリニー モンラッシェ プルミエクリュ レ ピュセル 2013

約23000円、WA95pt(2010)
外観は中程度のイエローで粘性は高い。
かなり強固なミネラルがあり、オイリーさすら感じさせる。 チョーキーで極めて堅牢なワイン。
ローストナッツ、エシレバターや石、フレッシュハーブの様な香りが最初主軸を占めるが、徐々に密度の高いシロップの様な香りが溢れる。洋梨やカリンのより凝縮度の高い果実味。引き締まった厚みのあるボディ。ただオイリーさが極めて突出しており、その中に厚い果実味がある感じだ。徐々にモカの様な香りも出てくる。
厚みがあり、口に含んだ時に綺麗でシャープな酸があり、どこか丸みがある。ミルクや熟した洋梨、そしてハチミツレモンの様な溌剌とした厚みが感じさせる。


【所感】
いやー、クリーンで清洌ですね。
過剰な焦げ香はなく、瑞々しく優美なミネラル感があります。それと蜜の様な澄んだ果実味。やはりブルゴーニュはいい。いや、ルフレーヴだからこそ、か。
熟成による強烈な開花には勿論劣るものの、ありのままのピュリニーモンラッシェを知るには、やはり若いヴィンテージの方がわかりやすい。

◾︎2010年の比較
・クラヴァイヨン
軽やかな酒質でありながらバランスは安定。
フォラティエールやピュセルと比べると密度に見劣り。
繊細な果実味。

・フォラティエール
クラヴァイヨンと大きな開き。
ミネラルも強いが、より大きな球体感。厚みのある果実味。

・ピュセル
フォラティエールよりも強い耐久度と凝縮感。
バタールに比肩。
堅固なミネラル、立体感のある骨格、球体感。
凝縮した果実味がある。

基本的には2010年が示す畑ごとの差異に関しては違いはありません。やっぱり2013年もフォラティエールはピュセルと比べると密度に見劣りを感じるもののバランスはいいし、ピュセルは堅固で分厚い球体感がある。
また作柄としても2010年のそれとほぼ近く、かなり良い出来だと感じました。
キッチリピュセルに球体感ありますしね。
ただ少し違いを感じたのが、ピュセルにシャープな酸を感じたところですかね。
2010年は幾分か球体感に飲まれて酸が穏やかに感じられた記憶があります。
ただこの数ヶ月ボリューミーなシャルドネを頂く機会が多かったので、少し基準は変わっているかもしれませんね。

熟成ポテンシャルについてはかなり高いと感じました。
クラヴァイヨンとピュセルにかなり差があるので、キュヴェでかなり変わってくると思いますが、ピュセルは20年強は持ちそうです。ここもバタール並だと。クラヴァイヨンは5年くらい早くいい感じになりそう。
お得感はどちらもないですが、待てば確実に美味しくなりそうな2本です。

2010年同様テロワールを再現しながら、堅牢でクリーンなシャルドネを作っていると思います。
しかし高えな...


◾︎ブルゴーニュを2ヶ月飲まずにわかったこと。
わかりやすい要素を突出させ、他の要素を付加的にバランスを取る他の地域に対して、基本的にはブルゴーニュはすべての要素が折り重なる様に一塊になっています。
勿論その中で、ミネラルや果実味、樽が突出しているものもありますか、樽や果実味についてはニューワールドほど極端ではないし、ミネラルも例えばアルザスなどの様に極端ではありません。
他の要素と溶け合い突出しないが故の複雑さというか。
一塊に色々な要素を感じられて相乗し合うという感じ。
抽象的ですが、そんな感じがします。
構成要素そのものというより、それぞれのバランス感、押し出し方が違うという印象を受けますね。
それとやっぱりクリーンですね、ねっとりした感じが無い。だから複雑さが生きるのかもしれないですね。
そう考えるとやっぱりブルゴーニュはブルゴーニュで、他の地域とは代え難いものがあると感じました。



【カリフォルニア:46】新世界ピノノワール Part3

こんにちは、HKOです。
ニューワールド ピノノワール最後はみんな大好きカリフォルニアです。
コブ ワインズとジョージ、共にロス コブが手掛けるカリフォルニアらしさと冷涼さを両立するピノノワールです。

【データ】
コブ ワインズは、デヴィッド コブによって1989年にソノマコーストのコーストランドヴィンヤード開拓の際にに設立されたワイナリー。コーストランドヴィンヤードはウィリアムズ セリエムにも採用された事があるそうです。
その後、フラワーズのワインメーカーも担当した息子のロス コブと共に2001年にコーストランドの葡萄で元詰めを開始。
収穫は他のワイナリーより低い糖度で収穫されるが、極めて厳密に選果され、未熟な葡萄を弾きます。
今回のライス スピヴァック ヴィンヤードはラッセル ライス氏とヘレナ スピヴァック氏の保有する火山灰と粘土質を含む砂質の土壌。ディジョンクローンとスワンクローンを使用。
フレンチオークにて20ヶ月の熟成(新樽率35%)。生産量は295ケース、除梗比率は不明。

ジョージはジョージ レフコフによってソノマに設立されたワイナリー。ウィリアムセリエムのロキオリ ヴィンヤードに衝撃を受け、ソノマに移住、99年から01年までウィリアムセリエムで仕事に就き、その後ブロガンセラーズ、ハーシュヴィンヤードを経験し、そのままハーシュの醸造施設を使いジョージのプライベートレーベルリリース。醸造家はロス コブ。
無清澄、無ろ過、パンチダウンをしない、プレスしすぎない、混ぜ物を入れない、ブレンドを行わない、澱引きしないなどの、人の手を加えないワイン造りをしています。


【テイスティングコメント】
生産者: コブ ワインズ
銘柄: ライススピヴァック ヴィンヤード ピノノワール 2011

10000円、WA93pt(2009)
外観は透明度が高く済んだルビー、粘性は中庸
しっかりとしたミネラル感や灯油の様なオイリーさ、華やかさが感じられる。海苔や海藻系の塩気を感じさせるピノノワール。アルコール度数は低いが、ややアルコールが際立っても感じられる。カリフォルニアの中にブルゴーニュ的な側面が見える。
瑞々しいイチゴやラズベリーの様な赤系の果実味が際立っていて、そこにほのかに淹れたての紅茶の様な香り、エナメルリムーバーやスミレの華やかさ、ほのかに茎やフレッシュハーブの様なグリニッシュな香り、鉄釘やスパイシーなハム、黒胡椒。すこしずつMLFの様な香りが入り混じってくる。完成度が高いピノノワール。樽が程よく効いている印象。
マロラクティック発酵の影響を受けた酸が柔らかいタッチのワインで、滑らかな余韻とほのかな苦みを残していく。
ミルクティーやイチゴのジャムを思わせる素晴らしい余韻を感じられる。


生産者: ジョージ
銘柄: ハンセン ヴィンヤード ピノノワール 2012

12000円
外観は濃い目のルビー、粘性は中庸。
繊細系のカリフォルニアピノノワールの王道的な味わいで、鰹節や瑞々しい赤系ベリーの果実味が魅力的。徐々に蜜の様な甘さが現れてくる。
同じく熟した赤系のイチゴやアメリカンチェリーの様な香り、鰹節や燻製肉の様な旨味のしっかり効いた風味と、製材された木材、エナメルリムーバーの香りがある。ラベンダーなどの華やかさ、ほのかな血の香り、ミルクティーやわずかな土っぽさ、なめした革や塩っぽい要素が感じられる。クローヴ、茎の様な香り。ゴムなどのちょっとした焦げ香りがある。
柔らかい酸と共に柔らかいタンニンがあり、極めて滑らかでほのかな苦みを感じる。鰹節やベリーの様な個性的な余韻を残していく。


【所感】
コブのピノノワールは冷涼さを押し出したソノマのピノノワールといった感じ。オーベールみたいにボリューミーなわけでもなく、キスラーやハーシュの様なバランスの良いタイプというわけでもありません。
緊張感のあるミネラル感、冷涼さ。煌びやかな果皮とアルコール感を主軸に感じられるワインです。
基本は海藻、赤系の果実、紅茶、鉄釘、エナメルリムーバーの様な香りが要素の多くを占めています。しっかりと抽出されているんですが、黒系の果実には至らず、繊細な赤系果実の果実味が感じられて、そこに蜜の様な甘さを伴っています。ボディ自体はかなり引き締まっていて、厚めのボディに赤系果実が乗っている感じ。果実味のタイプは異なりますが、グリセリン感に乗ってくる繊細な果実味はアストンやラディオ コトー、スクライブなんかとも近いかな、と思います。
最近このスタイルは多くて、結構見かけますね。
ブルゴーニュのボディから繊細なタイプとは異なって、表層の冷涼さはよく似てるんですが、グリセリン感はやっぱりカリフォルニアの日差しを感じますね。

次にジョージです。こっちも相当いいですね。
ほのかに自然な酸化を思わせる鰹節のニュアンスを感じるのが面白い。もちろん基本は2012年というヴィンテージ通りのピュアな果実味なので、樽熟成か何かで出たニュアンスなんでしょうね。果実味もとても充実していて赤い果実の蜜の様な澄んだ甘みがあります。
それと共に製材や溶剤の様なアルコール的な部分もあります。コブと作りは似ていますが、MLFの要素が少なく樽の要素もハッキリとあるので、より緊張感のある張り詰めた印象を受けますね。

共にモダンなカリピノだと思いますが、なんかブルゴーニュがどうだとか、そういうのはほとんど無くなって独自のスタイルを築き上げている様な気がしますね。
キスラーやフラワーズ、セリエムがブルゴーニュ的な造りを目指しているのであれば、今回の2本はより先鋭的に冷涼さの演出を突き詰めていっている様な気がします。


【オレゴン:45】新世界ピノノワール Part2

こんにちは、HKOです。
本日はオレゴン。評価の高いセントイノセントとドメーヌセリーヌの貴重なブラン ド ノワールです。


【データ】
セントイノセントはオレゴン セーラムに1998年に創立されたワイナリー。ワインメーカー兼オーナーはマーク ヴロサック氏。初ヴィンテージは1998年。ピノノワールを主力としており、シングルヴィンヤードの生産にも力を入れている。現在の生産量は約6800ケース。
サスティナブルな農法で管理され、各グロワーと共に、キャノピーと果実のバランスを取りながら注意深く栽培を進めている。
今回のモンタジ ヴィンヤードはマックミンヴィルAVA内に位置するヴィンヤード。1999年と2004年に植えられた3つのブロックは、急斜面の丘の中腹に位置したぶどう園のピノ ノワールはビオディナミで栽培。ブドウは小さな発酵槽で1日間低温で安定させ後に発酵。16ヶ月間、31%新樽のフレンチオークで熟成の後に、無清澄で瓶詰め。


ドメーヌ セリーヌはオレゴンでもトップクラスの生産者。オレゴン州ダンディ ヒルズの丘の上にある自社畑で卓抜したピノノワールを生み出しています。
凝縮しつつエレガント、そして複雑性も兼ね備えたピノノワールとシャルドネを目標として、栽培は低収穫量(30hl/ha)を保っています。ブドウは全て手収穫、選別。
各畑の各区画のロット毎に、小さな開放型の醗酵槽で別々に醗酵させ、フランス産のオーク樽で熟成。最初から最後の行程までワインはポンプを一切使わず、自然の重力で移動させ、人の手による介入は最小限に抑えています。ピノノワールは14~18カ月樽で熟成、清澄と濾過は行わない。瓶詰め時の澱引きのみを行います 。
今回のクールブランは珍しいピノノワールの白ワイン。ブランドノワール。全房で樽発酵、色素が出ない様に優しくプレスする。

ちなみにオレゴン州は、大陸性気候(寒く乾燥した冬、暑く乾燥した夏)のブルゴーニュに対して、地中海性気候(寒く湿潤な冬、暑く乾燥した夏)だそうです。


【テイスティングコメント】
生産者: セント イノセント
銘柄: モンタジ ヴィンヤード ピノノワール 2012

6500円、WA92pt(2009)
外観は赤みが強く濃いルビー、粘性は中庸。
色調の割に青さが際立っていて、果実味の密度は高いが香りの精彩を欠いている様に思える。徐々にエナメルリムーバーの様な香りも。
ややインクっぽさがあり、茎やクローヴ、不思議な事にピーマンを思わせる、かなり青い感じがある。干したアメリカンチェリー、ブルーベリーの様な香り、ミルクの様な甘みがあるが、香りの弱い果皮とMLFによってかなり閉じこもった印象がある。黒土や濡れた木、ビターチョコレートの様な香りが感じられる。毛皮、ゴムの様な香りが感じられる。
かなり口に含んだ感じも青く、酸もタンニンも際立っており、おまけにキャンディ香的な含み香がある。やはりグリニッシュな余韻があり、熟している印象とは少し異なる。


生産者: ドメーヌ セリーヌ
銘柄: クール ブラン ピノノワール 2013

15000円、
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
よく熟したソーヴィニヨンブランのような味わいが感じられる。リッチでバニラやバターの要素が感じられると共に、シロップの様な甘い香りがある。
ほのかなマスカテルフレーバーと白桃、杏子の様な香りが感じられる。蜜の様な香りは確かにピノノワールっぽいかもしれない。杏仁豆腐やヨーグルト、ドライハーブ、白い花の様な風味が感じられる。ナッツの様な風味は控えめだが、マロラクティックと果実の熟度が良く融合した味わい。
酸がしっかりとあり、MLFの影響下にありながらボディもしっかりと保たれている。マスカテルな風味とバター、杏仁豆腐の様なしなやかな余韻が感じられる。素晴らしい。


【所感】
やはりオレゴンのピノノワールはブルゴーニュに近い性質があるな、というのが所感です。しかしながら今回のセントイノセントに関しては、少し冴えない。
赤みの強い濃いルビーですが、それに反してかなり青く、冷涼な雰囲気を湛えています。密度は高いと思いますが、香りの精彩は欠いている印象です。
青草や何故かピーマンの様なグリニッシュな風味が強く前に出ています。果実味は干したベリーの様なしっかりとした果実味は感じますが、とにかく青い風味が強く、黒土やゴム、ビターチョコの様な樽のニュアンスがさらに果実味に蓋をしている。
一つ一つの要素は良さげですが、全体的にバランス感を欠いた味わいだと思います。今回のヴィンテージだけかもしれませんが、あまり良い作りとは思えませんでした。
ただ実績として去年は良かった様なので、ひょっとしたら来年は良くなってるかもしれませんね。

次に大御所ドメーヌ セリーヌの珍しいピノノワールの白。これは凄く良かった。
アロマティック品種の様な性質と共に非常にリッチな果実味と醸造的要素がある、いわゆる新世界的な白。
だけど、決して酸は失われていないし、ボディも骨格もしっかりとあり、白ワインとして極めて完成度が高い。
どこかニューワールドの熟した新世界のソーヴィニヨンブラン的な要素をベースとしながら、白桃や杏子のような官能的な果実味とマロラクティック発酵の要素を中心にしている。ボルドーの最上級の白ワインにも近いかもしれません。酸の出方はピノノワールっぽいとは思いますが、前提分かんないときっと気づかないですね。
白ワインとして極めて完成度の高い一本だと思います。

そんな感じです。




【NZ オーストラリア: 17】新世界ピノノワール Part1

こんにちは、HKOです。
これから3回は新世界のピノノワールをしっかりやってこうと思います。
今回はニュージーランドの新進生産者コヤマワインズ、サトウワインズ。今やカルトワインの貫禄すらあるベルヒルのセカンドワインの3本です。


【データ】
コヤマ ワインズは神奈川県出身の日本人醸造家 小山竜宇氏が手掛けるニュージーランド ワイパラヴァレーに拠点を置く生産者。設立は2009年。 マウントフォードでアシスタントワインメーカーを担当し、トスカーナやドイツでも醸造を経験しています。
拠点の置くワイパラは新興産地で樹齢の若い葡萄がほとんどでありながら、乾燥し南風が吹く冷涼気候でで、降雨量は少なく、穏やかな日照と長く続く優れた産地です。
今回のピアソンズ ヴィンヤードはワイパラ ヴァレー北西に位置する砂利質土壌の平坦な畑。コヤマ ワインズの契約は約1ha。クローンはUCD5, 10/5, Dijon 115, 667, 777。フレンチオーク新樽33%で16ヶ月熟成

サトウワインズは大阪出身の佐藤嘉晃氏が手掛けるセントラルオタゴに拠点を置く生産者。
フェルトン ロードでチーフワインメーカーのブレア ウォルターの薫陶を受け、マウント エドワードでワインメーカーを担当。他にもジャン イヴ ビゾ、ベルンハルト フーバー、フィリップパカレ、クリスチャンビネールでも醸造を経験。現在もフェルトンロードのヴィンヤードスーパーバイザーとしてマネージメントに携わっています。
本拠地を置くセントラル オタゴは2000m級の山に囲まれた内陸にある産地で準大陸性気候。昼夜の寒暖差が大きく降雨量が少ないために乾燥し、霜の被害が比較的少ない土地です。また日照時間が長く収穫期は乾燥した涼しい日が続きます。
今回のパルティキュリエールはクロムウェルの町から北20kmに位置するピサ テラス ヴィンヤードから提供される葡萄を使用。標高300mにある浅い表土で覆われた水はけのよいシルト土壌に砂利、灰色硬砂岩、片岩、石英が混じる畑です。
栽培はバイオダイナミック農法。亜硫酸の添加は通常ボトリング直前のみに僅かに行う。
全房発酵のフラッグシップのランソリッドと異なり、このパルティキュリエールは100%除梗。収量は25hl/haと非常に低く抑えられ、フレンチオークの古樽で20カ月間熟成(トータル21カ月熟成)と、2カ月長い熟成期間を経ています。

ベルヒルは1997年にノースカンタベリー ウェカ パス地区に設立された、ニュージーランドのピノノワールだと最上と見なされるワイナリー。
代表はマーセル ギーセンとシャーウィン ヴェルデュイゼン。
もともと石灰岩の採堀場だった石灰質土壌の畑を持ち、北向き斜面に位置。
生産量は年間わずか200~500ケース。
ベルヒル ピノノワールは3つの区画のアッセンブラージュ。低く抑えられた収量のぶどうは区画毎に収穫と発酵を実施。最後にブレンド。除梗後、発酵前マセラシオンを実施。アルコール発酵の後フランス産オーク樽(新樽100%)で18ヶ月熟成、澱引き。1年後にブレンド。18カ月瓶内熟成をした後にリリースされます。
今回のオールド ウィカ パス ロードはベルヒルのセカンドワインにあたるキュヴェで「Quarry 10/5」の区画のブドウを、圧搾のレベルを3種類に分けて発酵し、12ヶ月間フレンチオーク(新樽100%)で熟成した後ブレンドし、3ヶ月半タンクで熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: コヤマ ワインズ
銘柄: ピアソンズ ヴィンヤード ピノノワール 2013

5600円
外観は透明度の高い赤みの強いルビー、粘性は中庸。
キャンディ香が感じられる、華やかで若々しい香りが感じられる。極めてピュアな味わい。
イチゴやレッドカラントの香りとは裏腹に比較的甘みのハッキリと表出したキャンディ香がある。きわめてピュアであまり樽の影響を感じられない。ほのかにそこからミルクティーの様な要素が徐々に出てくる。スミレやラベンダー、ほのかに鉄の様な華やかな要素などのポジティブな要素が入り混じる。フレッシュハーブ。華やかさとキャンディ香りが極めて前面に出ている。クローヴやバターなどの風味も。外交的なワイン。
綺麗でかつ十分な酸があり、タンニンも骨格を形成する程度で口に含んだ時のバランスが極めて良い。ミルクやスミレ、レッドカラントの様な余韻が適切な酸と共に残っていく。


生産者: サトウ ワインズ
銘柄: ピノノワール キュヴェ パルティキュリエール 2013

6500円
外観は濃いルビーで粘性は高い。
こちらもキャンディ香とミルクティーが入り混じる瑞々しで華やかなピノノワール。かなり品質が高いと思う。
ミルクキャンデー、上白糖やバターなどの要素、その中にイチゴやデーツなどの甘露な風味が感じられる。香りの方向としてはキャンディ香を想起させる。スミレの香りもあるが全体的には上記の要素が最も際立っている。抽出はやや強めに。炭焼き、ジンジャーブレッド、生肉などの複雑な要素を感じられる。
ややタンニンが優勢で、酸味よりも目立つ。
キュッと引き締まった収斂性と共に、スミレやミルクキャンディ、ブラックベリーの様な果実の余韻を残していく。
やや余韻に苦みを残すのも特徴的。


生産者: ベルヒル
銘柄: オールド ウィカパス ロード ピノノワール 2011

13000円
外観は淡い透明度の高いルビー、粘性は中庸。
ブルゴーニュライクでやや樽のロースト香が際立った様な香りが感じさせる。
帆立や炭焼きを感じさせるハッキリとした樽香、その中にブルーベリーやダークチェリーの果実味。凝縮度は低い。ミルクティーや枯葉などの香り、ドライフラワーの様な華やかな香り、バニラ、毛皮、シナモンなどの要素が感じられる。ほのかに濡れた土などの香りもある。
ハッキリと際立った酸があり、ミルクなどの滑らかな舌触り、柔らかいタンニンが特徴的で、ほのかな苦みを感じさせる。複雑だが果実の密度にやや不足感が感じられる。


【所感】
この3本を見てみると、ちょっとサトウとコヤマのスタイルは似ていますね。樽の要素は押し出さずにクリーンで明るい果実味を押し出しています。若いよく出来たピノノワールに見られるキャンディ香、そして外交的な甘さを感じさせる香りがある。良く熟した赤系果実味そのものの様な感じ。抽出も適度に為されており華やかです。
基本的には素直な作りのピノノワールだと思います。
少しサトウの方が複雑で、ヴォギュエの若いミュジニーみたいな仕上がり。かなりよく出来ています。勿論ミュジニーが醸し出す底知れない凝縮感は無く、もっと明るさや親しみやすさを前に出した感じではありますが。キャンディ香とマロラクティック発酵のニュアンスがそんな感じで似てますね。コールドストリームヒルなんかとも仕上がりは近いかも。あと少しタンニン優勢で、苦味もあります。
とはいえ、基本的な方向性はサトウとコヤマでにてるんですが、ベルヒルはちょっと異質です。
まず新樽100%というのもあり、かなりはっきりと焦げ香が出てきます。ブルゴーニュライクな感じですね。
その中に黒系果実があります。少し凝縮度は低いですね、マロラクティック発酵の要素もあります。
醸造としてはリッチだと思いますが、果実の力が今ひとつ。セカンドワインらしいといえばらしいと思います。
悪くはないのですが、醸造が目立ちすぎですね。
フラッグシップがそこらへん補完してくれると思います。
価格的にいい値段なんで、これならコヤマかサトウがオススメです。
基本的にはやっぱりニュージーピノは冷涼ですね、過剰に熟していたりっていうのはやっぱり無いですね。
果実味はしっかりとあるんですが、ジャムというより蜜やシロップの繊細な果実味が特徴ですね。
あとベルヒルは別ですが、やはりクリーンに仕上げるのがメインストリームの様な気がしています。




Restaurant FEU(レストラン フウ: 乃木坂)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。



HKOです。
乃木坂の老舗フレンチレストランFEUへ行って参りました。



老舗ですが、かなり店内、店外はスタイリッシュ。とても1980年代から続く老舗とは思えません。
ちなみにレストランFEUの創業時のシェフは「小川軒」出身の吉田実生氏。その後白鳥恒夫氏(しらとり)、谷川貴俊氏、三上敏行氏(ビストロミカミ)、森本秀和氏(サリュー)、下村浩司氏(エディション コウジ シモムラ)など有名シェフを輩出している事でも有名です。
現在のシェフはフランスのコートドールも経験した松本浩之氏です。


モダンなウェルカムプレートです。
なんというかリューズみたいです。むしろリューズがフウみたいな感じなんすかね。

◾︎白ワイン
生産者: ジャン リケール
銘柄: プイィ フュイッセ 2012

良く熟したシャルドネで、かつ酸味もしっかりと骨格を形成している。マロラクティック発酵のニュアンスやほのかに甘い香りからニューワールドシャルドネを思い起こさせる部分もあるが、この酸の美しさがブルゴーニュらしさをしっかりと感じさせてくれる。
外観は濃いめのイエローで粘性は中庸。小石の様な繊細なミネラル感。
バタークリームや洋梨、白桃を思わせる豊かな果実味と共に少し炒ったナッツの様なニュアンスがある。タイプとしてはムルソーにも似ている。糖蜜やメイプルシロップの様な濃密な甘みも現れる。フレッシュハーブやイースト的な香り、リコリスの様な風味が感じられる。
酸味は柔らかく、やや苦みはあるものの、心地よく、熟した果実やバターの風味が広がってくれる。
余韻は短いがよくできている。

いいシャルドネです。
ブルゴーニュでも南部に位置するので、プイィフュイッセは結構熟したタイプが多いようにも感じられます。

早速アミューズが供されます。

◾︎アミューズ: ガスパチョのシャーベット、バジルオイルの粉末(★★)


わあい、HKOガスパチョ大好き!
トマトの旨味がギュッと凝縮したシャーベット。
パウダーはほのかにバジルの風味を帯びていてクリーミー、酸味と旨味に満ちたガスパチョの角を綺麗に丸くしている。若干玉ねぎの様なニュアンスもある。
ガスパチョの風味が複雑でかなりいい感じだ。

早速いい感じの一皿で期待感がすごい上がってきます。
次はアントレ。

◾︎アントレ: タスマニアサーモンのフリボリテ カリフラワーのピュレ オマール海老のクリームソース(★★★★)


華やかなルックスの一皿。サーモンとそのムースが詰まったフリボリテ。
オマール海老のクリームソース、カリフラワーのピューレ、オリーブオイルのキャビア仕立て、スダチを添えている。色鮮やか。
プリプリとしたサーモンの中にチーズを思わせる滑らかなムース。濃厚でクリーミー。赤コショウがたまにピリッとした刺激を与える。
カリフラワーのピューレはスパイシーでカレーの様な風味を帯びている。クリーミーなサーモンにスダチをふりかけ、オリーブオイルのキャビアを添えると、よりまろやかさが助長されるが、スダチとコショウがギュッと全体を引き締め、複雑さだけ際立ってくる。
個性的なオマール海老のビスクは塩気と海の風味を付加し良く調和してくれる。美味い....


アントレもかなりいい感じでした。
次は魚料理です。


◾︎ポワソン: 天然スズキのア ラ ヴァプール アサリのスープビストゥと共に (★★★★+)


活け締めのスズキを蒸し上げたもの。そして、タコやムール貝、アサリなどの魚介と香味野菜、ベーコンがふんだんに入ったスープ。
バジルのスープに、魚介の旨味と香草野菜の甘みが詰まっている。クリーミーさすら感じる。
ベーコン、エビ、ムール貝、タコ、人参、玉ねぎ、セロリなど具沢山。
タコやムール貝、エビはフレッシュでプリプリの食感、貝類の濃厚な滋味を感じさせる。食感的に違和感があるのは無いし、素材の味わいがはっきりと出ている。
かなりいい火入れ。
スープも素材の味わいをを引き上げている印象。柔らかく蒸しあげたスズキはフワフワで崩れそうな程柔らかいのに、身の間にスープが詰まって淡白な味にはっきりとした魚介類の複雑な風味が混じってきている。天にも昇る様なフワッフワで複雑な味わい。香味野菜がすごくいい味を出している。なめらかでかつ味わい深く、決してクドくない。最高。

ここまでメチャ美味い皿ばかり。
エディション コウジ シモムラがかなり好きなんですが、ひょっとしたらFEUに連なる料理が好きなのかもしれない。
最後、肉料理。


◾︎ヴィヤンド: 牛ハラミ肉のステーキ 滑らかなポテトのピュレと酸味を利かせたローズマリーソース(★★★★)



ビネグレットソースのサラダとポテトのフリット、しっかりとした歯ごたえを残したジャガイモのエクラゼ。バターの甘い風味が漂うポテトに酸味のきいたソースが恐ろしくマッチする。
しっとりとレア気味にキュイソンされたハラミ。わずかに内臓の様な風味が混じる、赤身としては個性的な味わいだと思う。そのわずかな癖を酸味のきいたローズマリーソースとポテトの滑らかさが和らげて、極めて食べ応えのある食感と深い味わいに昇華。ポーションもしっかりとあり食べ応え十分。


ハラミは食べ応え十分。かなり満足なコースでした。
その分最後のデセールはシンプルな一皿。


◾︎デセール: 和栗のモンブラン バニラアイスクリーム(★★)


シナモンの効いたモンブラン、奥にはクッキーの様なサクサクの生地、クリームと冷たいバニラアイスが食後の余韻を綺麗に和らげてくれる。奇をてらったものではないが、スタンダードに美味しいモンブランだった。


ミニャルディーズはなし。
ただランチでここまでやってくれるのは嬉しい。
一皿一皿奇抜でアーティスティックではないですが、かなり良くできているモダンなフレンチ。
シェフの自己主張はあまりなく、淡々と美味しいフレンチを供している感じですね。
食後感もとても良く、気分的には最高です。
価格的にもお手頃ですし、また行きたいですね。


住所: 〒107-0062 東京都港区南青山1丁目1−26−16
店名: Restaurant FEU(レストラン フウ)
電話番号: 03 3479 0230
営業時間:
【昼】 
11:30~15:00 (L.O. 14:00) 

【夜】 
18:00~23:00 (L.O. 21:30)

【バー】 
18:00~23:30 (L.O. 23:00)
ランチ営業

Les Saisons(レ セゾン: 日比谷)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。


こんにちは、HKOです。


帝国ホテルです。
何度かトイレを借りに入った事はありますが、こういる人の人種もなんか違う感じがします。


作りは老舗なだけに若干の古めかしさを感じますが、やっぱり豪華ですね。

そんな感じで今回はランチですが、ちょっと贅沢にレ セゾンに行ってまいりました。 帝国ホテルと言えばシャリアピンステーキが有名ですが、レ セゾンには無いようですね。
ちなみにミシュランガイド2015 東京版では*1を獲得しています。シェフはシャンパーニュのレ クレイエールでシェフを務めていたティエリー ヴォワザン氏。


テーブルウェアもクラシックモダンです。

たまたまちょっと風邪気味で薬を飲んでいたのもあり、酒は控えてジュースにしました。
以前ラヴィネで売ってて興味を持ったものがあったのでそれ。


◾︎ジュース
生産者: メゾン オノレ デュ フォーブール
銘柄: 1688 グランロゼ
品種: ピノノワール、シャルドネ、ピノムニエ

華やかな白ブドウの香りと赤ブドウの深み、ベトつきの少ないほのかな糖分がとてもいい。フレッシュだし安っぽくもない。
ただ下戸や子供だったらともかく、普通にワインを飲める人ならワインを飲んだ方が幸せになれるっぽい。

注文は4皿コース。
早速2種のアミューズが供されます。

◾︎アミューズ


・ゼラチンで固めた子牛のスネ肉 マスタード

ラードを思わせるねっとりとしたリエット、
マスタードを使っているが辛くなく、風味のみほのかに感じられる。マスタードの清涼感のある一皿。
スネ肉の旨味と歯ごたえもいい。

・ババロア仕立てのクリーム、生ハム、オレンジ、白ワインのゼリー

白ワインのアルコールの風味を感じるゼリー、滑らかなクリーム、ほのかな生ハムの塩味、オレンジの酸味、パイのサクサク感が調和。


◾︎アントレ: 伝統的なホロホロ鳥のパテ アン クルートと付け合わせ(★★)


ホロホロ鳥のパテをパイ生地で包んだもの。バターナッツカボチャのクリーム、赤桃のジャム、サラダにはオリーブオイルとオニオンのドレッシングを。
パテはスパイシーで、パイとの間に挟まれているゼラチンも旨味たっぷり。外側のパイはしっとりしていてバターっぽさがすごいある。
赤桃のジャムはまるでプラムのジャムの様に甘露で柔らかい酸味が感じられる。バターナッツのカボチャのクリームは滑らかでクリーミー。確かに穀物の中にバターの味がする。バターで煮つめたカボチャの様な感じ。
パテのオイリーでスパイシーな風味とジャムの酸味を帯びた甘さが奇跡的な調和。
パテとクリームも、さながらグラタンを思い起こさせる調和を見せる。正直パテに対してジャムの様な甘みやクリームの滑らかさのペアリングはあまり想定に無かった。美味しい。


◾︎ポワソン: マルセイユ風ブイヤベース(カサゴ、ホウボウ、タイ)(★★★★+)


奥から時計回りにホウボウ、タイ、カサゴ。
濃厚な出汁と塩の香りに満ちた魚介スープ!ローブリューのスープ ド ポワソンと近い、いかにも南仏といった濃厚スープ。
スープの中にはソテーした魚介が惜しげもなく入っていて、クルトンのサクサク食感や、芋のホクホクとした味わいも。
魚介はそれぞれ味わいや食感が違う。面白い。
カサゴの身は適度に固めでギュムギュム、皮はパリパリ。かなり食べ応えがある。ホウボウは皮がしっとりしていて、ホクホクホロホロとしたタラの様な食感がある。タイは皮はパリパリ、身はブリンブリン。つやつやしている。スープの中にバターの様な滑らかさをどこか感じるのがいい。魚介の濃密さ中心だけど、それだけではない。超秀逸。


◾︎ヴィヤンド: リ ド ヴォーとキドニーのフィナンシエール仕立て(★★)




メインの肉料理になるが、個人的な嗜好にはあまり合わなかった。
オニオンとクリームで仕立てたスープ、ソテーしたリードヴォーとキドニー、その上にバターをふんだんに使ったパイ。プレーンな風味の仔牛のリートヴォーの歯ごたえは良く、肉感的で嚙みしめるたびに旨味が溢れる。腎臓はコリコリで独特のレバー的な風味が中から溢れ出す。
ほのかに感じるブドウの果皮の甘み、様々な味が溶け込んでいる。


◾︎デセール: ポワール ウィリアムズのクリーム 季節のソルベ ライムとアルガンオイルに明かりを灯して(★★★+)


フルーツのコンポート、カダイフ、クリーム、キャラメル
お酒のビターな風味を感じるバニラアイスクリーム、かなり大人の風味。洋梨とアメリカンチェリーのコンポートの素直な甘みも素晴らしい。柚子とイチゴのソルベとカダイフのパリパリ感と香ばしさが非常に心地よい。バニラの風味と良く合っている。清涼感と甘みを両立する秀逸な一皿。


◾︎ミニャルディーズ


ヌガーグラッセ、レモンタルト、フィナンシェ、木苺のタルト、チョコレート2種、オランジェット。


流石に帝国ホテル、ランチでもいいお値段しますが、トラディショナルなフレンチとしては結構秀逸だと思います。
肉料理は好みに合わなかったので鴨にすればよかったな、と思いましたが、その他は大筋満足です。
次回行く機会があれば鴨食べてみたいですね。


住所: 東京都千代田区内幸町1丁目1−1−1帝国ホテル 東京 本館中 2F
店名: Les Saisons (レ セゾン)
電話番号: 03 3539 8087
営業時間:
7:00~10:00(L.O)
11:30~14:30(L.O)
17:30~22:00(L.O)
朝食営業、ランチ営業、日曜営業

【ピエモンテ: 13】バローロ伝統派生産者、変わらぬ思想と伝統の現在

こんにちは、HKOです。
昨日の革新派バローロに引き続き本日は伝統派バローロの代表的生産者をレポートします。
今回はジャコモ コンテルノ、アルド コンテルノ、ジュセッペ マスカレッロです。(※ブルーノ ジャコーザは過去記事をご参照くださいませ)


【データ】
ジャコモ コンテルノは1908年に創始者のジョヴァンニ コンテルノによって設立されたワイナリー。最も伝統的なバローロ生産者とも言われています。
現在は3代目のロベルト コンテルノが指揮を取っています。長期間の果皮の浸漬と、巨大なスラヴォニアン・オーク(大樽)での所有している自社畑はバローロ地区の南東部、西南西向きの標高約500mにある石灰混じりの畑、カッシーナ・フランチャ。
収穫は手摘み。収穫の段階でフラッグシップであるモンフォルティーノに使用するブドウを選別しています。
ブドウの収穫後は100%除梗した後、ステンレス製の発酵タンクで自然発酵、温度調節も行わない。果皮の浸漬は5週間にも及び、マロラクティック発酵後、ワインはガルベロット社製のスラヴォニアン オークの巨大な旧樽で、リゼルヴァは最低7年間、カッシーナ フランチャは4年間熟成されます。

アルド コンテルノは、1969年にジャコモ コンテルノから独立した、ジョバンニ コンテルノ氏の弟のワイナリー。モンフォルテ ダルバに拠点を置いています。今や本家ジャコモ コンテルノに勝るに劣らない評価を受けています。
拠点を置くモンフォルテ ダルバ村は非常に冷涼で、標高は480m。土壌はディアーノ砂岩と呼ばれる茶黄色の土壌と重い土壌が中心で力強いワインを産出します。収量は低めに抑え、ブドウを収穫。
圧搾はほとんど圧力をかけず、発酵は荒いタンニンを抑制する為、最新のコンピューター制御が可能な発酵槽で温度を管理をしながら、短めに行われます。スラヴォニアン・オークの大樽で2~3年間の熟成。バリックは使用しません。今回はブッシアの中の樹齢約65年のクリュ「チカラ」熟成は、大樽にて36ヶ月間行った後、瓶熟12ヶ月間を経てリリースされます。

ジュゼッペ マスカレッロはジュゼッペ・マスカレッロ1世が1881年にモンフォルテ ダルバに設立した老舗ワイナリー。現在の当主は3代目のマウロ マスカレッロ氏。
ヴィレッロ、ブリッコ、サント・ステファノ・ディ・ベルノなど、いくつも畑を所有していますが、最も銘醸畑と名高いのは 96%が石灰質の単一畑モンプリヴァート。
熟成は伝統的ながら一部近代的ない手法も取り入れており、ブドウの樹や土を入れ替え。グリーンハーベストを行い1ha当り6~6.5tという低収量での収穫などを行っています。熟度の高いブドウを手摘みで収穫。基準に達しないブドウは使用しません。
また1970年からは畑ごとの醸造も開始しています。
今回のバローロ モンプリヴァートは優良ヴィンテージでのみ瓶詰めされるワイン。基準未満のクオリティと判断されたヴィンテージはネッビオーロ・ランゲとして販売されます。セメントタンクとステンレスタンクで発酵、20日~25日マセラシオン、MLFの後、スラヴォニアンオーク(大樽)で38カ月熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: アルド コンテルノ
銘柄: バローロ ブッシア チカラ 2006

20000円、WA94pt
外観は澄んだ淡いガーネット、粘性は中庸。
フレッシュかつ、やや果皮の影響が感じられるダークチェリーやブルーベリーの様な果実味、イーストや薔薇の香り、みずみずしい茎や葉、ほのかにグレープフルーツ、黒砂糖の様な甘さや凝縮感が感じられる。
その中に全体に行き渡る様な鉄分や血液の様なニュアンス、クローヴ、ほのかに鉄観音や井草の様な風味などの要素が感じられる。
フレッシュで輪郭がはっきりとしたバローロ。旨味も充実している。
タンニンは継ぎ目がなく、酸味がやや旨味と共に際立っている。薔薇や旨味の強いプラムなどに違い戻し香の行き渡り方を感じる。


生産者: ジャコモ コンテルノ
銘柄: バローロ カッシーナ フランチャ 2005

28000円、WA95pt
外観は澄んだ淡いガーネット、粘性は中庸。
ピノノワールの様な極めて繊細でピュアなネッビオーロ。血や鉄分の様な香りと共に、タイムや、フレッシュなダークチェリーやブルーベリーの様な果実味、オレンジの様な清涼感、薔薇の様な華やかさが感じられる。なめし革やローズヒップティー。クローヴ、フレッシュハーブの様な多少青い香りが感じられる。ごく僅かに井草の要素があるが、基本的には旨味に満ちたピュアな果実味が主体。凝縮感はかなり強く、高度にバランスが取れている。
タンニンは強固だが、なめらか。酸は生き生きとしており、強い旨味を伴っている。薔薇や藁、茎の戻し香と共にプラムやブドウの果皮の余韻が長く続いていく。


生産者: ジュゼッペ マスカレッロ
銘柄: バローロ モンプリヴァート 2005

28000円、WA94pt
外観はカッシーナフランチャと比べると、少し淡いガーネット、粘性は中庸。
最もトラディショナルに違いバローロのスタイルでイーストや藁の様なアロマと共に、極めてプラムやアプリコットを思わせる酸味と旨味のバランスが取れた果実味が最も強く感じられる。上白糖や薔薇のドライフラワー、焼きたてのパン ド ミ、生肉、鉄観音などの乾いた葉の要素、そしてスパイシーなジンジャーブレッドやクローヴの様な要素が感じられる。
酸とタンニンは共に力強いがバランスが取れている。
ジンジャーブレッドや果皮、干したプラムを思わせる戻し香。余韻は長く極めてよく出来ている。


【所感】
マルケージなどの生産者を伝統的と考えると幾つかパターンがある様な気がしています。
果実が瑞々しいタイプはブルーノジャコーザ、ジャコモコンテルノ、エルヴィオ コーニョ。
濃密でイーストや藁の香りが漂うタイプはジュゼッペ マスカレッロやフラチェスコ リナルディなど。
その間にアルドコンテルノがいる感じです。
そんな感じで一口に伝統派と言ってもかなり味わいに差異があるわけですが、共通してどちらも果実の本来の第一アロマや第二アロマがメインで、第三アロマは控えめだという点です。酵母とか果実本来の香りですね。
これが明らかに強く、フラワリーで酵母が目立つ香りが出てくると、そんな感じです。

ちなみにジャコモコンテルノとアルドコンテルノを比較するとなかなか違いがあって面白いですね。
アルド コンテルノはしっかりと果皮の色付きがあるのに、どちらかというと酸味が優勢、黒系果実のネットリとした甘さが特徴的。
ジャコモコンテルノは色調はアルドコンテルノと比べるとわずかに淡く(本当にごく僅か)、香りはピノノワールの様に繊細なのに、タンニンが圧倒的に優勢で、血や鉄分の風合いが強い。ヴォーヌロマネ的なエキス感、凝縮感に強靭なタンニンを乗せたとかそういう感じ。
マセラシオンの期間が長いのに色付きかやや薄いっていうのも変な話ですが、プレスにもよるので、まあそんなもんなんでしょうね。
極めてピュアで妖艶なネッビオーロですが、簡単に手を出すと、そのタンニンでしっぺ返し食らいますよ、と。
アルドコンテルノはその点、誘惑する様な妖艶さはないんですけど、ちゃんと甘いタンニンや黒砂糖の様なアロマがあって、バランス良く、イメージ通りの良いワインを演出していると思います。若いヴィンテージ飲むとこっちも厳しいんですがね、2005年が最初の飲み頃っぽい様な気がします。
ジュゼッペ マスカレッロは個人的には典型的なバローロを最上のクオリティで実現させている様な印象ですね。
酵母的なニュアンスとスロヴェニアンオークのニュアンスが前に出ていて、そのなかに旨味たっぷりのプラムやアプリコット、フラワリーなニュアンスがある様な気がしています。上白糖の様な強い甘さもありますし、まあ大筋キャッチーですし、上質ですね。多分しっかりと熟成もしてくれるものだと思います。複雑ですし。

伝統派と革新派を飲み比べると、やっぱり醸造的な要素ははっきりと出るものなんですね。
根本の品種特性は変わりませんが、受ける第一印象が全く違います。熟成によって醸造的要素が削ぎ落とされる事によって似通ってくるとは思いますが、ファーストインプレッションって大切だなぁと思うわけですね。
素っぴんが好きか、バッチリ化粧をした方が良いか好き好きって感じとなんか似てますね。






【ピエモンテ:12】モダン バローロ、近代派の成熟と今

こんにちは、HKOです。
本日はちょっと毛色が変わりまして、バローロを幾つかレポートします。

バローロといえば80年代に起こったバローロボーイズ達の革新が有名ですね。
結果として改革運動の末、国外市場での立ち位置を確保して、ランゲに富をもたらしたという。
主に革新派のバローロといえば、バリック樽の使用、マセラシオンの短縮、剪定の厳格化が、主な特徴として挙げられるのですが、どうにも紐解いていくともっと概念的で。
飲みやすいキャッチーなバローロであるべき、という部分に集約していると感じました。
革新派だからといって100%バリック新樽な訳でもないし、伝統派だからといってヴァンダンジュ ヴェールトをしない訳でもない。
単純に長期熟成型か、すぐに美味しく飲めるものを作るのか、スタイルの違いに過ぎないと。

今回は2回にわけて伝統派と革新派の仕事を見ていきたいと思います。
まずはロベルト ヴォエルツィオの古酒、そしてヴィエッティの新しいヴィンテージです。

【データ】
ヴィエッティはピエモンテ カスティリオーネ ファレットに20世紀初め頃に設立されたワイナリー。
現在もヴィエッティ家によって保有されており、オーナーはマリオ コルデーロと醸造家も務めるルカ クッラード。バローロのアメリカへの市場を開拓したワイナリーの一つ。
今回のバローロ ロッケはカステリオーネ・ファレットにある単一畑ロッケによるもので、ヴィエッティのフラッグシップとも言える一本。
収量は28hl/ha、ステンレスタンク内でポンピングオーバーを行いながら5日間アルコール発酵。30~32度で20日間発行。マセレーション20日間。
バリック樽で4週間マロラクティック発酵させ、31か月間スラヴォニアン・オークで熟成を行う。

ロベルト ヴォエルツィオは1986年にピエモンテ ラ モッラに設立されたワイナリー。近年特に評価が高いワイナリーで近代的な特徴と古典的な特徴双方を併せ持っています。
このワイナリーの大きな特徴は徹底した低収量です。
冬季に5~8芽を残して強剪定、7月中旬に1本の樹当たり5房だけ残して、約50%以上の房が取り除かれます。8月中旬頃きは房の下部をカット。
これによって1ha当たり6,000~8,000本の樹からバローロに使用する葡萄は1本の樹からわずか500~700gに抑えられます。化学肥料や除草剤、殺菌剤、防カビ剤は一切使用しない。セラーでは醸造からボトリングまで基本的にはシンプルに行っています。
今回のラ セッラはラ モッラらしい若干の砂質が入り混じる土壌のもの。バリックと大樽を併用し24ヶ月熟成、さらにステンレスタンクで8ヶ月熟成&瓶熟成。
年間生産本数は約4万~6万本。


【テイスティングコメント】
生産者: ロベルト ヴォエルツィオ
銘柄: バローロ ラ セッラ 1995

約12000円、WA87pt
外観はややオレンジを帯びた均一的なガーネット、粘性は高い。
バローロボーイズながらクラシックな風合を感じるバローロ。薔薇やスミレのドライフラワーの華やかな香り、濡れた木材や土、茎の様な極自然的な香りと共に、リコリスやスパイス、ほのかなクレゾールの香り、黒オリーブやブルーベリーの様な果実味があり、鉄観音や藁、パストラミハムの様なスパイシーな風味と生肉の様な風味、ユーカリやナツメグ、ほのかにニンニクの要素や炭焼きなどの樽の要素、ミルクの香りも帯びてくる。華やかさが突出しており、それと共に強い旨味が突出。特に甘さを伴った感じは無い。凝縮した旨味とドライフラワーの奔流。焼いたゴムなどの風味が感じられる。
タンニンはかなり強めで、それに対して酸は穏やか。感じられるタイヤの様な焦げ香、鉛筆の芯、リコリス、ブルーベリーの様な戻し香が感じられる。


生産者: ヴィエッティ
銘柄: バローロ ロッケ 2005

32000円、WA95pt
外観は澄んだ濃いめのガーネット、粘性は中庸。
かなりモダンなスタイルにも見えるバローロで、明らかなマロラクティック発酵と新樽の影響が前に出ている。バニラや熱したバターの様な滑らかな香りの中に、干したブルーベリーやダークチェリーの様な果実味、薔薇の様な華やかさが見事に収まっている。凝縮感が感じられる。香木などの香りが強いが、徐々にイースト的な香りや葉巻、燻製肉、溶剤などの要素。
クローヴ。徐々にカラメルトフィーにも似た甘い芳香が強く表出してくる。アタックはボルドー的だが、その奥にあるのはまごうことなくネッビオーロ。
酸とタンニン共に生き生きとしている。若干タンニンの方が優勢で引っかかりがある。ダークチェリーの果皮やバニラの様なまろやかな戻し香が極めてエレガントで余韻も長い。


【所感】
ロベルト ヴォエルツィオのラ モッラにある単一畑ラ セッラ。
超低収量で、熟成にバリック、大樽、ステンレスタンクを併用したバローロ。このワインを飲んで思ったのは、熟成によって醸造的な要素を差し引いていくと、ネッビオーロの本来の味わいが出てくるという点。スペルスやサンドローネのラ ヴィーニェはまだ醸造的要素が強く残っていました。(故にボルドー的な古酒の風合いがありました)
ラ セッラはその点、早く熟成が進んだのか、極めて古風なネッビオーロの味わいが感じられました。
フラワリーなネッビオーロの個性とバローロらしい藁の風味、それと共に熟成したニュアンスとクレゾールの香りが感じられます。
まだ熟成過程であるのは間違いなさそうなので、美味しいかは別問題ですが、先進的であるにも関わらず、極めてネッビオーロの特徴がハッキリと表出している感じです。ゴムの香りは樽が変質した感じですかね。
タンニンもまだまだ鋭角です。
もう少し熟成すればこなれてくると思います。

次にヴィエッティのカスティリオーニ デル ファレットにある単一畑ロッケ。
どうやらざっと見る限りヴィエッティ、パーカーポイントメッチャ高いですね。07なんて99点...
そんな感じで、いかにもアメリカ市場向け、といった感じのモダンバローロです。ガヤとかに近いと思いますが、まあ近いだけで違います。
マロラクティック発酵のニュアンスと甘い樽香が特徴的な極めてキャッチーなネッビオーロだと思います。
熱したバターやバニラのまろやかな風味、熟した黒系果実、華やかな薔薇の風味、カラメルトフィーや燻製肉などが力強く立ち上ってきます。
極めて豪華で近づきやすいネッビオーロ。
でもやっぱりネッビオーロだからタンニンは鋭角的。
醸造で分かりやすく、そして徐々にゆっくりとその本質を伝えるという部分に関しては、とてもユーザーフレンドリーだし、バローロの良さが伝わりやすく素晴らしいと思います。
こうあるべきだからお前ら理解しろ(プロダクトアウト)ではなく、ほらいいでしょ、でもよく見るとちゃんとネッビオーロしてるんだよ?(マーケットイン)って歩み寄る姿勢が今の現状に繋がってるんですねえ。なんとも素敵な事です。

ただとはいえ名声を高めるのも大切ですが、片一方でその地域ならではの、地域を象徴するような確固たるポリシーを持った生産者も、地域の特徴を確立させる為に必要です。
次回は伝統的生産者をレポートします。



【カリフォルニア: 44】ハーランファミリー最新作とボンドの適度に熟成したクエラを利く

こんにちは、HKOです。
本日はボンドエステートのクエラ、そしてハーランチームの新製品 ザ マスコットです。
ザ マスコットは方々で散々プレミアが付いて捌かれていますが、その実力の程はいかがなもんなんでしょうか。


【データ】
ハーランエステートこそカリフォルニア最高峰のカルトワイナリーと言って差し支え無いでしょう。
もともとハーランエステート1種類のみのワイナリーでしたが、95年にはセカンドワインの「ザ メイデン」を、99年にはハーランの別プロジェクトであるボンドエステートから単一畑の「メルバリー」「クエラ」「セントエデン」「ヴェシーナ」「プリュリバス」そしてマルチヴィンヤードの「メイトリアーク」がリリース。それらのいずれも驚く程評価が高くワインアドヴォケイトでは5回(94,97,01,02,07)、ボンドを含めると7回(01セントエデン、07ヴェシーナ)の100点を取得しています。
もともと不動産業界に活躍していたウィリアム ハーランが1980年代半ばにオークヴィルの西に位置する標高100~180mの丘陵(裾野にはモンダヴィのト カロンがあります)を購入。ロバート レヴィを栽培責任者・醸造長に、ミシェル ロランをコンサルタントに迎え、カリフォルニア最高峰のワイナリーはスタートしました。その後高い評価を受けていきますが、99年には別プロジェクトのボンドエステートを立ち上げています。マルチブレンドのハーランに対して、ナパのテロワールを緻密に再現したシングルヴィンヤードのボンド。基本的には製法は畑に合わせて行われています。
ブドウの栽培は徹底した収量の抑制が成され、収穫はタンニンと糖度が上がりきった遅い時期に手作業で(小さいトレイに入れながら)行われています。 収穫した後、除梗(完全除梗)と手作業による3回の厳しい選果を実施。ステンレスタンクとオーク製のバリック樽を併用し、基本的に高い温度で1ヵ月以上発酵を行います。そしてフレンチオーク新樽(ミディアム ロースト)100%にて25ヶ月程度熟成。マロラクティック発酵は熟成過程で実施。清澄、濾過せずに瓶詰めする。

ボンドのクエラはナパ・ヴァレーの中心を見渡す9エーカーの東の丘。畑は南西向きの急斜面。最近の火山活動で発生した火山灰の混じった磯や石でできた古い河床が隆起した土地にあります。2006年がファーストヴィンテージ。
ザ マスコットはハーラン、ボンド、プロモントリーのブレンドキュヴェ。価格的にはなんとなくメイデンやメイトリアークの余りの様な気がしますが...現在のヴィンテージはハーランチームで醸造してるみたいです。元々は知人向けに配る用のワインだった様です。



【テイスティングコメント】
生産者: ハーラン×ボンド×プロモントリー
銘柄: ザ マスコット 2009
品種: カベルネソーヴィニヨン主体


18000円~32000円くらい
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
ハーランのワインとしては幾分か繊細さが際立つ。凝縮した滑らかさは健在だが、他のボンドやハーランと比較すると果実の熟度は抑え目だ。熟成香へと変化途中のアロマで、全体的には若々しいが、果実味が他の要素と馴染みつつある。
熟成肉やチーズなどの旨味とまろやかさを帯びた香り、カシス、ブラックベリー、プラムの様な少し酸味を帯びた熟した果実味がある。徐々にバニラのアロマが出てくるが強すぎない。リコリスや土、エナメルリムーバー、漢方、西洋杉の様な清涼感のある香り、炒った豆などのトースト香が感じられる。花の様な華やかさは控えめで滑らかな果実味主体。最終的には土の香りに終着する。
酸は穏やかながら、収斂性がやや高めのタンニン。そして微妙な苦みがある。残る余韻は少しグリニッシュでピーマンやカシスの果実味、バターの様な余韻を残していく。
クエラとの本質的な違いを感じる。


生産者: ボンド エステート
銘柄: クエラ 2006
品種: カベルネソーヴィニヨン100%


38000円、WA92pt
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
密度が高く継ぎ目のない完璧なナパのカベルネソーヴィニヨン。幾分か香りから熟成をしていて乾いた土や濡れた樹皮、熟成した生肉、シイタケの様な旨味を伴った香りを帯びているが、まだまだ抜群に果実味が残っている。熟したブラックベリーやプルーンの様や濃密な果実味と、ミルクティーの様な香りがよく馴染んでいて、熟成香と共に非常に複雑な姿になっている。萎れたスミレや紙巻煙草、ミントやリコリスの様なハーブの香り。エナメルリムーバーなどの要素。ほのかにバニラの甘い香りを感じさせるが、焦げ香などは無い。最終的にはハーブややや酸味を感じさせる果実味に終着。
酸とタンニンはよく馴染んでいて滑らか、期待していた丸みのある甘いタンニンは少し控えめで、バターやバニラ、ほのかに感じるブドウ本来の果実の風味が余韻として残る。余韻は長いが決してアタックに特徴的なパワフルさがあるかといえばそんなにないかも。


【所感】
ザ マスコット。
これがもう素直な気持ちで言ってしまうのであれば、期待外れもいいとこだと。というか、こんなもんなんでしょうか。
狂い悶える様な官能も異常な程の多幸感も無いハーランチームのワインは初体験です。勿論良いワインである事は間違いないのですが、ハーランやヴェッシーナ、セントエデンから感じた様な感動は一切無いです。
メイデンやメイトリアークはファーストラベルと共に比べたので「ハーランの味わいはちゃんと引き継いでいるなぁ」とは思ったのですが、多分単体で飲むとこんな感じなんでしょうね。プレミアでボンド本体並の価格帯になっていますが、間違いなくその価値はありません。それなら価格的に安いメイトリアークやメイデンの方が良いと思います。ハーランのワインである事は間違いないスタイルですしバランスも良いですが、決定的に果実の熟度が足りてないし、口に含んだ時の艶やかさもありません。ボンドと良く似ているだけの、足りてないワインです。
こういう造りだと俄然「余り物のブドウで作りました!」ってのが真実味を帯びてしまうぞ...
まあ、それでも凡百のナパカベルネと比べると比べ物になりませんが、ハーランの名前を少しでも使うのであれば、もっと頑張ってもらわないと...
黒系果実の要素が中心ですが、やや酸味とグリニッシュさを帯びているカベルネ。贅沢な樽の要素はありますが、香りに混じるグリニッシュさを裏付ける様なグリセリン感やタンニンが若々しく収斂性が高いワインです。

次にクエラ。
丁度熟成の谷でバランスが崩れ気味、かつ本質的にヴェッシーナやセントエデンに対してミネラル感を押し出すワインの為、全体的にハーランとしては冴えない印象です。
マスコット程果実の致命的な弱さは感じませんが、それでも香りが力強く上がってくる感じじゃないし、少し軟弱な印象があります。ただとはいえハーラン、そしてボンドのキュヴェ。ナパのワインとしては卓抜したものである事は間違いないですね。
ボディの力強さは残っていて、それに対してやや前に出過ぎな熟成香。その裏によく熟した黒系果実の果実味、紙巻タバコやハーブ、スパイスの様な香り。あまりミネラルがしっかりとある様には思えませんでしたが、熟成によって落ち着いたのかしら。このワインは熟成でもっともっと良くなってきそうですね。
ハーランからすれば冴えないワインですが、ナパにおいてはやっぱり随一だと思います。熟成香がこんなに出ているのに、果実味がしっかり出ているのは、出自がいい証左ですよねえ。とはいえ評価の高い2010年ならまたちょっと違うのかなぁ。

ザ マスコットはちょっと残念な感じでしたが、まあいい経験にはなりました。ハーラン自体の出来のいい年には注目できるかもしれません。値段が適正化すればのはなしですがね。



【カリフォルニア: 43】カリフォルニア高品質ワイン3種

こんにちは、HKOです。
本日はカリフォルニアの3つの生産者、ホナータ、リッジ、ハーシュヴィンヤーズをレポートします。


【データ】
ホナータはスクリーミング イーグルの総支配人を努めるアルマン ド メグレ氏がサンタバーバラに立ち上げたワイナリー。
600エーカーの畑を保有し、うち80エーカーはテロワールを考慮し選ばれた土地で、50以上のブロックとサブ ブロックに分割されています。
それぞれが異なる台木、クローン、植密度の組合せになっています。今回のフロールはサンタバーバラのサンタイネズヴァレーから取れたソーヴィニヨンブランを使ったキュヴェで、1/3ずつ新樽、旧樽、ステンレスタンクで熟成しており、約10%マロラクティック発酵を行います。

リッジ ヴィンヤーズはカリフォルニアを代表する老舗ワイナリー。1986年に大塚製薬株式会社が取得し、更にその名声を押し上げています。醸造は天才醸造家と名高いポール ドレーパー氏が担当しています。
リッジ ヴィンヤードのワイン造りは、伝統的な手法を重視し、ブドウ栽培、ワイン醸造の両面において極力自然なプロセスで行われます。
今回のリットン スプリングスは1972年に初めて仕込んだ古くからあるキュヴェで、1991年から自社畑となっています。ドライ クリーク リヴァーにあるこの畑には樹齢110年を超える最高品質のジンファンデルを中心に、プティ シラー、カリニャン、ムールヴェドル、グルナッシュも混植されています。ドライ クリーク ヴァレーとアレキサンダー ヴァレーの境界線から、北に位置するテラス状台地となだらかな丘陵地にある砂利まじりの粘土質土壌。
品種ごと、あるいは区画ごとに天然酵母で発酵を行い、マロラクティック発酵も天然乳酸菌で生起、卵白清澄も最低限に抑えている。100%アメリカンオーク(14%新樽)にて14ヶ月熟成。

ハーシュヴィンヤーズは高名なシングルヴィンヤードであるハーシュヴィンヤードのグロワーのワイナリー。初ヴィンテージは2002年。
1978年にデヴィット ハーシュ氏が1この土地を購入、80年に約0.4Haのピノ・ノワール(ポマール クローン)と0.8Haのリースリングを栽培したのが始まりです。以降リースリングは全てピノ・ノワール(マウント・エーデンクローン)に植え替えられ、栽培面積を徐々に拡張。シャルドネ種も栽培開始した。90年代以降はウィリアム セリエム、キスラー、フラワーズなど、カリフォルニアのトップワイナリーにブドウを供給。2002年に自社のワイナリーを建設。
ソノマの海側にあり非常に冷涼な気候を持ちながら標高が高いため霧が届かず、日中は強い日差しを受けるテロワール。今回のリザーブはハーシュの持つ畑の中でも最も古く、また最も優れたブロックで採れたブドウから作られたワインの中でも最も優れた樽のものをブレンドして作らたもの。


【テイスティンクコメント】
生産者: ホナータ
銘柄: フロール サンタイネス ヴァレー 2012
品種: ソーヴィニヨンブラン70%、セミヨン30%

約9000円、WA90-93pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は高い。
ソーヴィニヨンブラン的なフォキシーなニュアンスがありながら、よく熟した蜜の様な甘露さや青草の様な香りが同居する。ミネラル感がしっかりと感じられる。
蜜や杏仁豆腐、ヨーグルトの様なまろやかさの中に、ソーヴィニヨンブラン由来のマスカットや青草の様なニュアンスがはっきりと感じられる。 新世界らしく熟した白桃やシトラスの様な果実味、ムスクや火薬、ドライハーブ、蜜の様なまろやかな香りが感じられる。
酸は柔らかく滑らかで、マスカットやヨーグルト、ハーブの様な余韻が長く続く。マロラクティック発酵の影響が大きいが中抜けはない。多少の苦味はある。


生産者: リッジ ヴィンヤーズ
銘柄: リットン スプリングス ドライクリークヴァレー 2012
品種: ジンファンデル70%、プティシラー21%、カリニャン6%、ムールヴェードル3%

約8000円、WA95pt(2009)
外観は赤みの強いガーネット、粘性は高い。
素晴らしいジンファンデル&プティシラー。ゴリ押しのパワーだけではなく、品もしっかりと備わっている。バニラの樽香、キャラメル、杏仁豆腐やミルクティーの様なまろやかさと共に、高域に伸びていく熟したブラックベリーやダークチェリーなどの黒系果実の果実味、溶剤の様なややアルコール感を感じるアロマ、華やかなスミレや薔薇のニュアンス、ミント、リコリスや茎などのアロマ、燻製肉などのアロマがある。
全体的に丸みを帯びていながら、果実味の豊かさだけははっきりと酸味と共に主張している。
重く緩い感じではなく、果皮の香りと酸がしっかりと全体を引き締めている。豊かな果実味とマロラクティック発酵、酸のバランスをよく取っている。
タンニンと酸のバランスはよく、やや酸が立っている。果皮と茎、果実の旨味が広がっていく。


生産者: ハーシュ ヴィンヤーズ
銘柄: リザーブ エステート ソノマコースト ピノノワール 2009

13000円、WA93pt
外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
キスラー ピノノワールにも通じる華やかで瑞々しい果実味とミルクティーの様なアロマとのバランスが良い。
ボリューム感もあるが決して豊満にはならない。
フレッシュな木苺やアメリカンチェリー、茎の様な青い要素とともに、ミルクティーなどのまろやかな風味がバランスよく感じられる。薔薇、シシトウや漢方などの風味、なめし皮、樹皮などの要素とともに、奥の方にバタースコッチの様な樽香が感じられる。
酸味やタンニンはかなり滑らかでスムーズ。毛羽立ちがない。しっかりとしたマロラクティック発酵によるアロマとの赤系ベリーの風味が綺麗に余韻を残していく。茎などの要素もある。ブルゴーニュにも近いというよりキスラーに近い。


【所感】
それぞれ品種も異なり、バラバラですので、基本的には個別にいきます。
まずホナータのフロールから。
基本となる葡萄品種はソーヴィニヨンブラン。樽の感じと10%とはいえマロラクティック発酵をしているので、いかにも新世界らしい雰囲気を漂わせています。ただその奥にしっかりと品種固有の青草やムスク、フォキシーフレーバー、そしてミネラル感が存在しているのが面白いですね。ヨーグルトの様なマロラクティック発酵のニュアンスと結合した酸のニュアンスも面白いですね。
新世界らしいキャッチーさはしっかりと演出しながら品種の個性も尊重しているのがとても好感が持てますね。基本的にキャッチーさは醸造手法によるもので、葡萄本来のものではありませんが、サンタイネズの冷涼さをそのまま受け止めたかのようなソーヴィニヨンブランの品種の特徴もよくわかるのは、なかなか素晴らしいと思います。世間的な評価は別ですがね...

次にお馴染みリッジのリットンスプリングス。
これはかなりいいと思います。ほぼ隙の無いかなり美味しいジンファンデルベースのプロプライエタリーブレンドだと思います。
まず果実が熟していて、タンニンがとても甘い。そしてマッチョなボディになり過ぎず、適度にグリセリン感があって、それに対して樽などの醸造的な要素がうまくハマっています。多少の青さも複雑さとなっているし、なんというか品があります。
ボルドー的とはまたタイプが異なった品といいますか。
黒系果実やバニラやバター、そして華やかさ。極めて高レベルでのバランス感を保っている。1万円を切る金額帯において、抜群のレベルの高さを感じます。
舌触りも良く滑らかなので深酒しやすいいいワインです。
ただ抜栓直後から2日程度で大きく変質するので、みんなでワイワイやりながら1日で飲んてしまうのがオススメです。

次にハーシュ ヴィンヤーズ。
パッと思いついたのがキスラーのオキシデンタルステーション。タイプとしてはこれに近いと思いました。
赤系の瑞々しい果実感と共に新世界らしいミルクティー、若干の青さを感じるニュアンスが、液体によく溶け込んでいます。かなりバランスの良いピノノワールで果実の感じはブルゴーニュに近いですが、俯瞰して見るとやっぱりニューワールド的ではあると思います。樽香は焦げた様なニュアンスは無くて自然な感じだし、タンニンも酸も極めてこなれています。
手に入りにくいワインではあるのですが、なかなか突出した作りのピノノワールだと思います。ニューワールド好きにはオススメですね。値段は安くないですが、妥当だと思います。


リッジ リットン・スプリングス 2011

リッジ リットン・スプリングス 2011
価格:7,300円(税込、送料別)



【カリフォルニア :42】ナパの代表的銘柄から見る熟成の可能性

こんにちは、HKOです。
本日はカリフォルニアを代表する2つの生産者、ドミナス エステート、そしてシルバーオークの古酒です。
特に今回の見所はシルバーオーク ノースコースト 1973。シルバーオークの設立が1972ですから、ファーストヴィンテージ、あるいは2回目のヴィンテージかもしれません。


【データ】
ドミナス エステートは1983年から続くカリフォルニアの中でも比較的長い歴史を持つワイナリーの一つ。拠点はヨーントヴィル。シャトーペトリュスのクリスチャン ムエックスがカリフォルニアに保有するワイナリーです。ドミナスは歴史的なナパヌック・ヴィンヤード(50ha)の葡萄で造られています。
生産量は年間6000~8000ケース。50%はセカンドワインのナパヌックとして、50%はこのドミナスとしてリリースされます。フレンチオーク樽(新樽40%)で16~18ヶ月熟成でリリースされます。

シルバーオークは1972年にレイ ダンカン氏とジャスティン メイヤー氏によってナパヴァレーに設立されたワイナリー。カベルネソーヴィニヨンに特化しアレキサンダーヴァレーとナパヴァレーの2種類のみリリース。アメリカンオークにこだわり、独自に開発したブリージング技術でカベルネソーヴィニヨンながら、そのイメージを覆す滑らかさが味わいを作り出します。
最高級アメリカンオークの新樽で24~30ヶ月の樽熟に続き、15~18ヶ月の長い瓶熟を経てリリースされるアメリカンクラシックワイン。


【テイスティングコメント】
生産者: ドミナス エステート
銘柄: ドミナス 2009
品種: カベルネソーヴィニヨン86%、カベルネフラン10%、プティヴェルト4%

WA97pt
外観は赤みの強いガーネットで、粘性は中庸。
相変わらずボルドーに寄った作りで、適度に熟成感が出ている。土やキノコの様な香りが既に出始めている。樽を感じさせる炭焼きやカカオのアロマ、熟したブラックベリーやプラムの様な果実味がある。燻製肉、ほのかにミルクポーションの要素があるが、香りに少し酸を帯びていてスミレや溶剤。ワッフルの様な香りが感じられる。
香りは少し沈み気味であまり新世界の様な溌剌さは無いが、口に含むと滑らかで明快な果実味が膨らむ。
酸やタンニンは非常に滑らかで、球体とまではいかないが、かなりツヤツヤとしてシルキーかつ粘性がよく感じられる。黒系ベリーとスミレの香りが口の中に広がっていく。


生産者:シルバー オーク
銘柄: ノース コースト カベルネ ソーヴィニヨン 1973
品種: カベルネソーヴィニヨン84%、メルロー8%、カベルネフラン4%、プティヴェルト4%

WA89pt
オレンジを帯びたガーネット、粘性は中庸。
熟成してかなりエレガントかつ繊細に至ったカベルネソーヴィニヨン。アメリカのカベルネとは思えない。
タイムなどのハーブや濡れた土の様な熟成起因のアロマ、熟成肉の様な旨味の表出、黒オリーブや紫蘇の様な果実味が強く感じられる。鉄観音やドライイチジク、優しいドライアプリコットの様なしなやかな果実味、プリザーブドフラワー、ほのかな鉄の様な風味。徐々に干した果実の様なアロマも現れる。樽香は殆ど溶け込んでいる。枯れながらも確かに奥底に果実味が残っているのが素晴らしい。
かなり出汁的で酸の方が強めに感じられ、タンニンはほぼ滑らかに溶け込んでいる。梅柴や萎れた花、タイムの様な風味と、繊細な旨味が口の中に広がっていく。


【所感】
まずドミナス 2009。一応目下の最新ヴィンテージになる訳ですが、リリース直後からかなり円熟した形になっています。勿論ベースは若々しいカベルネソーヴィニヨンだと思いますが、幾分か土やキノコといった熟成香が現れています。
樽や果実味はまだ分離気味ではあるものの、熟した黒系フルーツ、そして香ばしい樽香はかなり魅力的。またマロラクティック発酵のニュアンスもあっていい感じです。いわゆる新世界の様にガッツリと丸みと厚みがある訳では無く、適度な酸としなやかさを備えているのがいいですね。強烈に香る様な芳香性は無いんですが、口に含んだ時のツヤツヤとしたシルキーな舌触りは新世界なりだなぁと思います。変に濃くないですし、無理のないエレガンスや抑制の効いた良いカベルネソーヴィニヨンだと思います。
結構何度か飲んだワインですが、相変わらずいいな、と思いますね...

次にシルバーオーク。新世界にあって1970年代のワインというのはかなり珍しいのではないかな、と思います。しかもファーストヴィンテージ直後、っていう少しレアな感じも魅力的です。
流石にかなり熟成感があり、極めて出汁感に近づいている印象。エレガントに熟成しています。
枯れ感はありますが、液体のしなやかさはかなりいい感じだと思います。若いヴィンテージはアメリカンオークのバニラの香りが強く漂いますが、そういった感じは既にありません。極めてコアな部分だけ残っていて、ほぼ樽香は溶け込んでいる感じです。
熟成したカベルネのハーブや濡れた土、熟成肉、黒オリーブや紫蘇などの旨味を残した澄んだ液体のといった感じでしょうか。
時折アプリコットの様な酸味と旨味が結合した果実味とほのかな鉄分を感じさせます。
樽香もそうですが、タンニンもほぼほぼ削ぎ落とされていて、どちらかといえば現在は酸が優勢の状態。
とはいえ酸も跳ねる様な若々しさは一切無く、旨味と結合した滑らかな酸が存在するだけですが。
個人的にカリフォルニアの古酒で80年代以前は飲んだ事がありませんでしたが、綺麗に熟成するものだとかなり感心してしまいました。
よく新世界のワインは熟成しないとも言われますが、このワインを飲んでいると「適当な事言うな...」って思っちゃいますね。
ほかのボルドータイプもあと10年くらいしたらいい感じになるのかしら。結構楽しみですね。


【カリフォルニア: 41】カリフォルニアの貴重なソーヴィニヨンブラン、プティシラーの古酒を利く

こんにちは、HKOです。
本日は引き続きカリフォルニアの古酒です。
カリンセラーズの熟成ソーヴィニヨンブラン、そしてターリーのハイン ヴィンヤード プティシラーの古酒です。


【データ】
カリン セラーズは、1977年、テランス レイトン氏によってカリフォルニア北部のマリン カウンティに設立されたワイナリー。
基本的な運営は彼とその奥様で全てを担当しています。
生産量は全15種類程度ですが、総生産量は7,000ケース程度。100%シングル・ヴィンヤードのみ。基本的には全てのワインは長期の瓶熟成を経た後に市場にリリースされます。
今回のソーヴィニヨンブランは、リヴァモアリザーブとも言える1本の様です。ブドウはディケムからカッティングされたソーヴィニヨンブランが植わるウェンテヴィンヤードのもの。フレンチ・オークにて澱とともに24ヶ月熟成。その後、ろ過せずボトル詰め。瓶詰め後10年間の瓶熟を経てリリースされます。

女帝へレン ターリーの弟であり、フロッグスリープの共同者であったラリーターリーが指揮を執るターリー ワイン セラーズはカリフォルニア最上のジンファンデル、プティシラーを生み出すワイナリー。
01年はワインアドヴォケイトにてジンファンデル最高点となる97点を取得しています。
今回のハイン ヴィンヤードは1908年設立のヴィンヤードで、ターリー プティシラーのフラッグシップとも言える単一畑です。ターリーの最高級・最高品質のフラッグシップ単一畑。新樽100%。


【テイスティングコメント】
生産者: カリンセラーズ
銘柄: リヴァモア ヴァレー ソーヴィニヨン ブラン 2001
品種: ソーヴィニヨンブラン80%、セミヨン20%

6000円、WA90pt
外観は輝きのある黄金色、粘性は高い。
黄桃のコンポートや洋梨、バターの様なまろやかな香り、イースト的な焼きたてのパン、カシューナッツの様なオイリーな香りとドライハーブ、蒸した栗、蜜蝋。ほのかに感じられる白カビの風味、ヨード香りが感じられる。丸みがありながらオイリーで力強くパワフル。香りに関しては球体のバランスがある。
徐々に焼き芋を思わせるバターや穀物、蜜の風味が急激に表出。
非常に強い出汁の様な香りがあり、旨味がかなり表出している。酸から旨味への遷移が非常に芸術的で、最後にほのかに残糖分を残していく。黄桃やカリンの様なフルーティーさとバターの様な余韻を残していく。
かなり完成度の高いソーヴィニヨンブランで青さは一切無い。味わいもだんだんマロングラッセの様に。


生産者: ターリー
銘柄: ハイン ヴィンヤード プティ シラー 1996
品種: プティ シラー100%

17000円、WA96-99pt
濃いガーネット、粘性は高い。
凝縮感のある力強い果実味が特徴的で、甘さを除いた干したプラムやブラックベリーなどの果実味、ビターチョコレート、黒土の様なアロマ、タイムの様な香りが感じられる。徐々にエナメルリムーバーや灯油の様な香りが感じられる。かなり力強くまだ閉じている感じ。黒胡椒やナツメグ、西洋杉。少しインクの様な濃さがある。パストラミハム、スミレや乾いた葉の様な熟成を思わせる香りが少し現れる。黒土が徐々に馴染んで濡れた土に。
しっかりとしたタンニンがあるが、毛羽立ちは無く、酸と旨味とのバランスが良く取れている。アプリコットやブラックベリーなどの凝縮した果実と果皮の余韻が長く続いていく。


【所感】
カリンセラーズめちゃくちゃお得ですねえ...
このお値段で熟成ピークは最高すぎますね。7000円もあれば買えちゃうっていう。無論即購入。
熟成白の良さを存分に感じさせてくれる素晴らしいソーヴィニヨンブランだと思います。
黄桃や洋梨のコンポートや、バター、焼きたてのパン、剥き栗、蜜蝋などの、香ばしく甘い香りと複雑な出汁などの要素が見事に絡み合っているという。
この値段が殊更魅力に感じさせますね。
個人的には1万以上でも買っちゃいますよ、これ。
決して味わいも中抜けしてないし、未熟なソーヴィニヨンブランでもない。グラーヴあたりの上質な白ワインにも通じる味わいって感じです。
例えるならばこのリッチな感じはラヴィル オーブリオンやラクルテ オーブリオンなんかに似てるな、と。
かなりお得な一本だと思います。

次はターリーのプティシラー。
凝縮感があるのは分かるのですが、閉じた様な内向的な特徴がまず感じられます。香りが立ってこない、あの感じです。
徐々にシラー系のプラムやブラックベリーの果実味、ビターチョコや黒土の様な樽香、やや高めのアルコール度数から感じさせる溶剤や灯油のような香り。
それらがまぜこぜになって押し込められている感じ。
徐々に本質を見せ始めますが、ちょっと時間がかかりますね。ジンファンデルのキャッチーさと比較すると、少し難しいかもしれません。
口に含んだ時のタッチは素晴らしくて、毛羽立ちの無い滑らかさや果実味、酸とタンニンのバランスがとても良いです。もうちょっと馴染んだタイミングで飲んだらまた印象が変わるかもしれません。
今の段階だともうちょっと熟成するか、もしくは馴染んだタイミングが良かったと思いました。

カリンセラーズの古酒は買いですね。
めっちゃオススメです。



プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR