【カリフォルニア: 44】ハーランファミリー最新作とボンドの適度に熟成したクエラを利く

こんにちは、HKOです。
本日はボンドエステートのクエラ、そしてハーランチームの新製品 ザ マスコットです。
ザ マスコットは方々で散々プレミアが付いて捌かれていますが、その実力の程はいかがなもんなんでしょうか。


【データ】
ハーランエステートこそカリフォルニア最高峰のカルトワイナリーと言って差し支え無いでしょう。
もともとハーランエステート1種類のみのワイナリーでしたが、95年にはセカンドワインの「ザ メイデン」を、99年にはハーランの別プロジェクトであるボンドエステートから単一畑の「メルバリー」「クエラ」「セントエデン」「ヴェシーナ」「プリュリバス」そしてマルチヴィンヤードの「メイトリアーク」がリリース。それらのいずれも驚く程評価が高くワインアドヴォケイトでは5回(94,97,01,02,07)、ボンドを含めると7回(01セントエデン、07ヴェシーナ)の100点を取得しています。
もともと不動産業界に活躍していたウィリアム ハーランが1980年代半ばにオークヴィルの西に位置する標高100~180mの丘陵(裾野にはモンダヴィのト カロンがあります)を購入。ロバート レヴィを栽培責任者・醸造長に、ミシェル ロランをコンサルタントに迎え、カリフォルニア最高峰のワイナリーはスタートしました。その後高い評価を受けていきますが、99年には別プロジェクトのボンドエステートを立ち上げています。マルチブレンドのハーランに対して、ナパのテロワールを緻密に再現したシングルヴィンヤードのボンド。基本的には製法は畑に合わせて行われています。
ブドウの栽培は徹底した収量の抑制が成され、収穫はタンニンと糖度が上がりきった遅い時期に手作業で(小さいトレイに入れながら)行われています。 収穫した後、除梗(完全除梗)と手作業による3回の厳しい選果を実施。ステンレスタンクとオーク製のバリック樽を併用し、基本的に高い温度で1ヵ月以上発酵を行います。そしてフレンチオーク新樽(ミディアム ロースト)100%にて25ヶ月程度熟成。マロラクティック発酵は熟成過程で実施。清澄、濾過せずに瓶詰めする。

ボンドのクエラはナパ・ヴァレーの中心を見渡す9エーカーの東の丘。畑は南西向きの急斜面。最近の火山活動で発生した火山灰の混じった磯や石でできた古い河床が隆起した土地にあります。2006年がファーストヴィンテージ。
ザ マスコットはハーラン、ボンド、プロモントリーのブレンドキュヴェ。価格的にはなんとなくメイデンやメイトリアークの余りの様な気がしますが...現在のヴィンテージはハーランチームで醸造してるみたいです。元々は知人向けに配る用のワインだった様です。



【テイスティングコメント】
生産者: ハーラン×ボンド×プロモントリー
銘柄: ザ マスコット 2009
品種: カベルネソーヴィニヨン主体


18000円~32000円くらい
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
ハーランのワインとしては幾分か繊細さが際立つ。凝縮した滑らかさは健在だが、他のボンドやハーランと比較すると果実の熟度は抑え目だ。熟成香へと変化途中のアロマで、全体的には若々しいが、果実味が他の要素と馴染みつつある。
熟成肉やチーズなどの旨味とまろやかさを帯びた香り、カシス、ブラックベリー、プラムの様な少し酸味を帯びた熟した果実味がある。徐々にバニラのアロマが出てくるが強すぎない。リコリスや土、エナメルリムーバー、漢方、西洋杉の様な清涼感のある香り、炒った豆などのトースト香が感じられる。花の様な華やかさは控えめで滑らかな果実味主体。最終的には土の香りに終着する。
酸は穏やかながら、収斂性がやや高めのタンニン。そして微妙な苦みがある。残る余韻は少しグリニッシュでピーマンやカシスの果実味、バターの様な余韻を残していく。
クエラとの本質的な違いを感じる。


生産者: ボンド エステート
銘柄: クエラ 2006
品種: カベルネソーヴィニヨン100%


38000円、WA92pt
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
密度が高く継ぎ目のない完璧なナパのカベルネソーヴィニヨン。幾分か香りから熟成をしていて乾いた土や濡れた樹皮、熟成した生肉、シイタケの様な旨味を伴った香りを帯びているが、まだまだ抜群に果実味が残っている。熟したブラックベリーやプルーンの様や濃密な果実味と、ミルクティーの様な香りがよく馴染んでいて、熟成香と共に非常に複雑な姿になっている。萎れたスミレや紙巻煙草、ミントやリコリスの様なハーブの香り。エナメルリムーバーなどの要素。ほのかにバニラの甘い香りを感じさせるが、焦げ香などは無い。最終的にはハーブややや酸味を感じさせる果実味に終着。
酸とタンニンはよく馴染んでいて滑らか、期待していた丸みのある甘いタンニンは少し控えめで、バターやバニラ、ほのかに感じるブドウ本来の果実の風味が余韻として残る。余韻は長いが決してアタックに特徴的なパワフルさがあるかといえばそんなにないかも。


【所感】
ザ マスコット。
これがもう素直な気持ちで言ってしまうのであれば、期待外れもいいとこだと。というか、こんなもんなんでしょうか。
狂い悶える様な官能も異常な程の多幸感も無いハーランチームのワインは初体験です。勿論良いワインである事は間違いないのですが、ハーランやヴェッシーナ、セントエデンから感じた様な感動は一切無いです。
メイデンやメイトリアークはファーストラベルと共に比べたので「ハーランの味わいはちゃんと引き継いでいるなぁ」とは思ったのですが、多分単体で飲むとこんな感じなんでしょうね。プレミアでボンド本体並の価格帯になっていますが、間違いなくその価値はありません。それなら価格的に安いメイトリアークやメイデンの方が良いと思います。ハーランのワインである事は間違いないスタイルですしバランスも良いですが、決定的に果実の熟度が足りてないし、口に含んだ時の艶やかさもありません。ボンドと良く似ているだけの、足りてないワインです。
こういう造りだと俄然「余り物のブドウで作りました!」ってのが真実味を帯びてしまうぞ...
まあ、それでも凡百のナパカベルネと比べると比べ物になりませんが、ハーランの名前を少しでも使うのであれば、もっと頑張ってもらわないと...
黒系果実の要素が中心ですが、やや酸味とグリニッシュさを帯びているカベルネ。贅沢な樽の要素はありますが、香りに混じるグリニッシュさを裏付ける様なグリセリン感やタンニンが若々しく収斂性が高いワインです。

次にクエラ。
丁度熟成の谷でバランスが崩れ気味、かつ本質的にヴェッシーナやセントエデンに対してミネラル感を押し出すワインの為、全体的にハーランとしては冴えない印象です。
マスコット程果実の致命的な弱さは感じませんが、それでも香りが力強く上がってくる感じじゃないし、少し軟弱な印象があります。ただとはいえハーラン、そしてボンドのキュヴェ。ナパのワインとしては卓抜したものである事は間違いないですね。
ボディの力強さは残っていて、それに対してやや前に出過ぎな熟成香。その裏によく熟した黒系果実の果実味、紙巻タバコやハーブ、スパイスの様な香り。あまりミネラルがしっかりとある様には思えませんでしたが、熟成によって落ち着いたのかしら。このワインは熟成でもっともっと良くなってきそうですね。
ハーランからすれば冴えないワインですが、ナパにおいてはやっぱり随一だと思います。熟成香がこんなに出ているのに、果実味がしっかり出ているのは、出自がいい証左ですよねえ。とはいえ評価の高い2010年ならまたちょっと違うのかなぁ。

ザ マスコットはちょっと残念な感じでしたが、まあいい経験にはなりました。ハーラン自体の出来のいい年には注目できるかもしれません。値段が適正化すればのはなしですがね。



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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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