【ピエモンテ: 13】バローロ伝統派生産者、変わらぬ思想と伝統の現在

こんにちは、HKOです。
昨日の革新派バローロに引き続き本日は伝統派バローロの代表的生産者をレポートします。
今回はジャコモ コンテルノ、アルド コンテルノ、ジュセッペ マスカレッロです。(※ブルーノ ジャコーザは過去記事をご参照くださいませ)


【データ】
ジャコモ コンテルノは1908年に創始者のジョヴァンニ コンテルノによって設立されたワイナリー。最も伝統的なバローロ生産者とも言われています。
現在は3代目のロベルト コンテルノが指揮を取っています。長期間の果皮の浸漬と、巨大なスラヴォニアン・オーク(大樽)での所有している自社畑はバローロ地区の南東部、西南西向きの標高約500mにある石灰混じりの畑、カッシーナ・フランチャ。
収穫は手摘み。収穫の段階でフラッグシップであるモンフォルティーノに使用するブドウを選別しています。
ブドウの収穫後は100%除梗した後、ステンレス製の発酵タンクで自然発酵、温度調節も行わない。果皮の浸漬は5週間にも及び、マロラクティック発酵後、ワインはガルベロット社製のスラヴォニアン オークの巨大な旧樽で、リゼルヴァは最低7年間、カッシーナ フランチャは4年間熟成されます。

アルド コンテルノは、1969年にジャコモ コンテルノから独立した、ジョバンニ コンテルノ氏の弟のワイナリー。モンフォルテ ダルバに拠点を置いています。今や本家ジャコモ コンテルノに勝るに劣らない評価を受けています。
拠点を置くモンフォルテ ダルバ村は非常に冷涼で、標高は480m。土壌はディアーノ砂岩と呼ばれる茶黄色の土壌と重い土壌が中心で力強いワインを産出します。収量は低めに抑え、ブドウを収穫。
圧搾はほとんど圧力をかけず、発酵は荒いタンニンを抑制する為、最新のコンピューター制御が可能な発酵槽で温度を管理をしながら、短めに行われます。スラヴォニアン・オークの大樽で2~3年間の熟成。バリックは使用しません。今回はブッシアの中の樹齢約65年のクリュ「チカラ」熟成は、大樽にて36ヶ月間行った後、瓶熟12ヶ月間を経てリリースされます。

ジュゼッペ マスカレッロはジュゼッペ・マスカレッロ1世が1881年にモンフォルテ ダルバに設立した老舗ワイナリー。現在の当主は3代目のマウロ マスカレッロ氏。
ヴィレッロ、ブリッコ、サント・ステファノ・ディ・ベルノなど、いくつも畑を所有していますが、最も銘醸畑と名高いのは 96%が石灰質の単一畑モンプリヴァート。
熟成は伝統的ながら一部近代的ない手法も取り入れており、ブドウの樹や土を入れ替え。グリーンハーベストを行い1ha当り6~6.5tという低収量での収穫などを行っています。熟度の高いブドウを手摘みで収穫。基準に達しないブドウは使用しません。
また1970年からは畑ごとの醸造も開始しています。
今回のバローロ モンプリヴァートは優良ヴィンテージでのみ瓶詰めされるワイン。基準未満のクオリティと判断されたヴィンテージはネッビオーロ・ランゲとして販売されます。セメントタンクとステンレスタンクで発酵、20日~25日マセラシオン、MLFの後、スラヴォニアンオーク(大樽)で38カ月熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: アルド コンテルノ
銘柄: バローロ ブッシア チカラ 2006

20000円、WA94pt
外観は澄んだ淡いガーネット、粘性は中庸。
フレッシュかつ、やや果皮の影響が感じられるダークチェリーやブルーベリーの様な果実味、イーストや薔薇の香り、みずみずしい茎や葉、ほのかにグレープフルーツ、黒砂糖の様な甘さや凝縮感が感じられる。
その中に全体に行き渡る様な鉄分や血液の様なニュアンス、クローヴ、ほのかに鉄観音や井草の様な風味などの要素が感じられる。
フレッシュで輪郭がはっきりとしたバローロ。旨味も充実している。
タンニンは継ぎ目がなく、酸味がやや旨味と共に際立っている。薔薇や旨味の強いプラムなどに違い戻し香の行き渡り方を感じる。


生産者: ジャコモ コンテルノ
銘柄: バローロ カッシーナ フランチャ 2005

28000円、WA95pt
外観は澄んだ淡いガーネット、粘性は中庸。
ピノノワールの様な極めて繊細でピュアなネッビオーロ。血や鉄分の様な香りと共に、タイムや、フレッシュなダークチェリーやブルーベリーの様な果実味、オレンジの様な清涼感、薔薇の様な華やかさが感じられる。なめし革やローズヒップティー。クローヴ、フレッシュハーブの様な多少青い香りが感じられる。ごく僅かに井草の要素があるが、基本的には旨味に満ちたピュアな果実味が主体。凝縮感はかなり強く、高度にバランスが取れている。
タンニンは強固だが、なめらか。酸は生き生きとしており、強い旨味を伴っている。薔薇や藁、茎の戻し香と共にプラムやブドウの果皮の余韻が長く続いていく。


生産者: ジュゼッペ マスカレッロ
銘柄: バローロ モンプリヴァート 2005

28000円、WA94pt
外観はカッシーナフランチャと比べると、少し淡いガーネット、粘性は中庸。
最もトラディショナルに違いバローロのスタイルでイーストや藁の様なアロマと共に、極めてプラムやアプリコットを思わせる酸味と旨味のバランスが取れた果実味が最も強く感じられる。上白糖や薔薇のドライフラワー、焼きたてのパン ド ミ、生肉、鉄観音などの乾いた葉の要素、そしてスパイシーなジンジャーブレッドやクローヴの様な要素が感じられる。
酸とタンニンは共に力強いがバランスが取れている。
ジンジャーブレッドや果皮、干したプラムを思わせる戻し香。余韻は長く極めてよく出来ている。


【所感】
マルケージなどの生産者を伝統的と考えると幾つかパターンがある様な気がしています。
果実が瑞々しいタイプはブルーノジャコーザ、ジャコモコンテルノ、エルヴィオ コーニョ。
濃密でイーストや藁の香りが漂うタイプはジュゼッペ マスカレッロやフラチェスコ リナルディなど。
その間にアルドコンテルノがいる感じです。
そんな感じで一口に伝統派と言ってもかなり味わいに差異があるわけですが、共通してどちらも果実の本来の第一アロマや第二アロマがメインで、第三アロマは控えめだという点です。酵母とか果実本来の香りですね。
これが明らかに強く、フラワリーで酵母が目立つ香りが出てくると、そんな感じです。

ちなみにジャコモコンテルノとアルドコンテルノを比較するとなかなか違いがあって面白いですね。
アルド コンテルノはしっかりと果皮の色付きがあるのに、どちらかというと酸味が優勢、黒系果実のネットリとした甘さが特徴的。
ジャコモコンテルノは色調はアルドコンテルノと比べるとわずかに淡く(本当にごく僅か)、香りはピノノワールの様に繊細なのに、タンニンが圧倒的に優勢で、血や鉄分の風合いが強い。ヴォーヌロマネ的なエキス感、凝縮感に強靭なタンニンを乗せたとかそういう感じ。
マセラシオンの期間が長いのに色付きかやや薄いっていうのも変な話ですが、プレスにもよるので、まあそんなもんなんでしょうね。
極めてピュアで妖艶なネッビオーロですが、簡単に手を出すと、そのタンニンでしっぺ返し食らいますよ、と。
アルドコンテルノはその点、誘惑する様な妖艶さはないんですけど、ちゃんと甘いタンニンや黒砂糖の様なアロマがあって、バランス良く、イメージ通りの良いワインを演出していると思います。若いヴィンテージ飲むとこっちも厳しいんですがね、2005年が最初の飲み頃っぽい様な気がします。
ジュゼッペ マスカレッロは個人的には典型的なバローロを最上のクオリティで実現させている様な印象ですね。
酵母的なニュアンスとスロヴェニアンオークのニュアンスが前に出ていて、そのなかに旨味たっぷりのプラムやアプリコット、フラワリーなニュアンスがある様な気がしています。上白糖の様な強い甘さもありますし、まあ大筋キャッチーですし、上質ですね。多分しっかりと熟成もしてくれるものだと思います。複雑ですし。

伝統派と革新派を飲み比べると、やっぱり醸造的な要素ははっきりと出るものなんですね。
根本の品種特性は変わりませんが、受ける第一印象が全く違います。熟成によって醸造的要素が削ぎ落とされる事によって似通ってくるとは思いますが、ファーストインプレッションって大切だなぁと思うわけですね。
素っぴんが好きか、バッチリ化粧をした方が良いか好き好きって感じとなんか似てますね。






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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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