こんにちは 、HKOです。
大変お待たせしておりました。
ようやくワインの記事が溜まってまいりましたので、更新していきます。
1回目はサンテミリオンの実力派シャトーの熟成です。
【データ】
シャトー ラ コンセイヤントはポムロールにおいて高く評価されているワインの1つ。ニコラ家が所有している。
1970年代、1990年代のワインは傑出しているとは言いがたく、しかしながら1980年代のものは輝かしいワインを生み出しているという、多少ムラが見え隠れするシャトー。
ブドウ畑はポムロールの東寄り、レヴァンジル、プティ・ヴィラージュ、ヴィユー・シャトー・セルタンの隣で、サン=テミリオンとポムロールのアペラシオンの境界にあり、土壌は粘土と鉄分の鉱床が混じった深い砂利質土壌。
平均年間生産量は6万5000本、作付面積は7.9ha、平均樹齢40年以上、平均収量は45hl/ha。
発酵とマセレーションは温度管理されたステンレスタンクで30日間。マロラクティック完了後の熟成はオークの新樽で18ヶ月。清澄はするが濾過はしない。ポムロールの典型からすると、やや早飲み傾向にある。
シャトー キノー ランクロはサンテミリオンで急激に評価を伸ばしている生産者。
リブルヌ市の市境にある、塀に囲まれたここの畑(ブドウはこのアペラシオンで最も樹齢が高いものの1つ)に位置している。
97年のファーストヴィンテージより破竹の勢いで、その最もたる理由はアラン及びフランソワーズ・レイノーによって運営されている点。
ブドウの2段階選別、ブルゴーニュ・スタイルのビジャージュ、逆浸透膜、ミクロ・ビュラージュ澱との撹拌など様々な手法によって品質が向上されている。
コールド・マセレーションは7℃で10日間。28℃で3日間の発酵と10日間のマセレーションは温度管理されたコンクリートと木製の槽で行う。マロラクティックと16ヶ月間の熟成はオークの新樽60%で行い、そのうち8ヶ月は細かい澱に触れたまま育成(澱引きはしないが、樽の自動ローテーションを行う)。清澄はするが、濾過はしない。
2001年には、 最終アサンブラージュの際には少量のマルベックを加えている。
平均年間生産量は6万本、作付面積は20.0ha、平均樹齢50年、平均収量は38hl/ha。
【テイスティングコメント】
生産者、銘柄: シャトー キノー ランクロー 1997
品種: メルロー70%、カベルネソーヴィニヨン 20%、カベルネフラン10%

外観は橙を帯びた透明感のあるガーネット、粘性は中庸。
剥き出しの熟成メルローで強力な旨味を感じさせるダイナミックなサンテミリオン。
凝縮したブラックベリーやダークチェリーと土や枯葉などのスーボワを思わせる様な熟成香が混じる。熟成肉の様な強力な鉄分、干し草。リコリスなどのスパイス香。ベーコンやドライフラワー、アルコーリックな要素が感じられる。
タンニンや酸は落ち着いていて、シルキーなタッチ。
ただし旨味はものすごく出ていて強力。濡れた木材や果実の香りがよく表れている。
生産者、銘柄: シャトー ラ コンセイヤント 1997
品種: メルロー80%、カベルネフラン20%

外観は橙を帯びた透明感のあるガーネット、粘性は中庸。
マロラクティック発酵がしっかりと感じられ、エレガントでカベルネフランの特徴が比較的しっかりと出たポムロール。
ミルクティー、コンポートの様なブラックベリー、ダークチェリーなどの熟した果実味。タバコ、ほのかに濡れた土の香りやリコリス、ピーマンなどの青さ。ドライフラワー。スパイス、血の様な鉄分が調和する。徐々に特徴的な獣香が表出。
酸がやや優勢ながらもタンニン含めてかなりシルキー。
やや青みと引き締まった旨味、そして華やかな余韻を残す。重くなく、軽妙で繊細。
【所感】
今回はキノ ランクロとコンセイヤントです。
コンセイヤントは右岸の中でも個人的にとても好きな生産者で、豪華で力強いワインを作っている右岸の中において、繊細、かつ緻密なワインを作っています。ただそんな作りだから、ややブレが見られる事が多いようですね。
キノーランクロは初体験です。シンデレラワインとしてはヴァランドローと同じくらいのタイミングで有名になってきた生産者ですね。
今回はともに90年代の中盤あたりのヴィンテージ。熟成経年数としては程よい感じかと思います。
まずはキノーランクロ。
新樽比率はまぁまあ高いですが、あまり新樽的なニュアンスは感じません。
控えめですね。剥き出しのメルローといった作りになっています。
あまり重いタイプのワインではありません。熟成を経た事も多分にあろうかと思いますが、凝縮感はありながらも果実味と熟成香、鉄分の要素がバランス良く配されています。逆に器用貧乏でこれといって大きな特徴はない、良くできたサンテミリオンのワイン、といった感じではあります。
とても美味しいし熟成感も良いのですか、突出した部分は基本的にはありません。
液体の旨味に関してのみ、非常に強く出ていて、落ち着いた酸味とともに口の中に広がる味わいは素晴らしいと思います。
若いヴィンテージを一回飲んでみたいですね。
ラ コンセイヤントはとても良く出来ています。
こちらもやはり力強いワインという訳ではないのですが、非常にエレガントに仕上がっています。ミルクティーなどのマロラクティック発酵の要素とともに熟した黒系の果実味、そこにカベルネフラン的な青さを程よく感じます。
樽に起因するものなのかもしれませんが、土っぽい要素もありますね。
鉄や獣香なども混ざり複雑なニュアンスを醸し出しています。
酸はシャトーの特徴ではありますが、多少優勢で、華やかなドライフラワーの余韻を残しています。
複雑かつ繊細なワインです。ただすぐに壊れるタイプではありませんが、感じられる要素は多いし、いわゆる右岸の力強さ、豪華さとは一線を画したワインに仕上がっていると思います。
やはり右岸は毎度新しい発見があって面白いですね。
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