【南アフリカ:10】ザ サディ ファミリー ワインズ Part.2 レッドワイン

こんにちは、HKOです。
本日はサディ ファミリーの続きです。



【データ】
ザ サディ ファミリー ワインズは南アフリカにおける最上の生産者。当主はイーベン・サディ氏。10代の頃から15年間ヨーロッパのワイナリーで修業、スパイスルートで醸造責任者を担当。1998年にスワートランドに自身のワイナリーを設立しています。
今回のワインは赤はソルダード、ポフェイダー、コルメラ。
ソルダードはウエスタンケープ、ピーケニアスクルーフの標高700mの畑から産出。冷涼な東向き斜面の花崗岩土壌。
グルナッシュ単一品種。
ポフェイダーはスワートランド カステルバーグ西の畑から産出。土壌は粘板岩と分解頁岩。
コルメラはスワートランドのバードバーグ、カステルバーグ、マルムズバリー、ピケットバーグの高い標高から産出されたシラー、グルナッシュ、ムールヴェードルを使用。解放樽で発酵後、プレス。8区画ごとにフレンチオークで12カ月発酵。新樽10%程度。
白はスカーフバーグ、スケルピオン、パラディウスの3種類。
スカーフバーグはオリファンリヴァー スカーフバーグ斜面より産出。土壌は石が混ざった砂質で、標高は高く海に近い乾燥した地域。古樽で12カ月熟成の後ブレンド。
スケルピオンはスワートランドの西海岸から産出。土壌はチョークと石灰岩。乾燥した地域。樹齢60年。古樽で熟成。
パラディウスはパードバーグ、花崗岩質の13区画と、砂質土壌の4区画に植えられた計9品種から産出。
選果しながら収穫、圧搾は伝統的なバスケットプレス。卵型のコンクリートタンク、アンフォラ、古い木樽に入れられ発酵~24か月間熟成。
フラッグシップは無灌漑の古樹のみから造られるローヌブレンドのコルメラと、独自アッサンブラージュのパラディウス。


【テイスティングコメント】
生産者: サディ ファミリー ワインズ
銘柄: ソルダード 2015
品種: グルナッシュ100%

獣香香るラムネのような果実味と華やかでありながら突出したシャトーヌフに酷似。
レッドカラントやラズベリーなどの甘酸っぱい果実味と共に、やや強めの獣香、生肉の様なニュアンスが感じられる。イースト、花の蜜の様な甘い香り。甘草やジンジャーブレッドなどのスパイシーさ。瑞々しいスミレやユーカリの様なほのかな青さが統合して感じられる。
ほのかにユーカリや茎の様な青さを感じる。
酸もタンニンもやや控えめで、甘酸っぱい果実の風味と獣香の余韻を感じられるが、やや短め。
ボディとしては低めでやや水っぽさを感じてしまう。


生産者: サディ ファミリー ワインズ
銘柄: ポフェイダー 2015
品種:サンソー 100%

外観は明るいルビーで粘性は中庸。
極めて華やか。蜜のような果実味があるフレッシュなキャンディ香。ニュージーランドのピノノワール(あるいはボージョレ)に酷似。
フレッシュなイチゴやラズベリーの果実味があり、非常に甘露。フレッシュなキャンディ香。砂糖漬けのスミレが主軸になっている。ややエナメルリムーバーの様なアルコール感を感じる。
そしてブリオッシュや鉄観音の様な樽香。ユーカリやベーコンの様な香りも感じられる。赤リンゴ、リコリスの様な風味。比較的クリーンなタッチ。
酸もタンニンもしっかりと感じられ、甘みを包含し立体感を感じさせる。特に酸がやや強めで、甘みを帯びているので心地よい。そして含み香は生のスミレの様な華やかさ。



生産者: サディ ファミリー ワインズ
銘柄: コルメラ 2014
品種:シラー、ムールヴェードル、グルナッシュ

やや濃いめのガーネットで粘性は中庸。
凝縮した果実味、樽の効いた比較的強めのロースト香。
複雑かつ繊細、凝縮した果実味はカリピノ的な体躯を思わせる。(キスラーにも似ているかも)傑出している。グリセリン感すら感じさせる果実味。
イチゴやダークチェリーのコンポートの様な果実味、バターやミルクポーションの様なまろやかさ。焼けたゴムや黒糖の様な樽香、ブリオッシュなどの風味が感じられる。
甘露さとMLFをしっかりと主張しながら重くならない様に相当気を使われている。そこにスミレや赤い花の華やかさ、シダーウッドの様な清涼感、スパイシーなパストラミハムが相乗する。ユーカリやクローヴの様なほのかな青さも複雑さを助長している。
タンニンは柔らかく、酸もシルキー。立体感もあり、厚みを感じる。コーヒーやチョコレート、ダークチェリー、昆布の含み香を感じる。めちゃうま。



【所感】
本日はサディ ファミリーの赤です。
赤もバリエーション豊かで、3種類とも方向性が異なっている様に思えました。
ソルダードはシャトーヌフにも近いスタイルのワイン、ポフェイダーはややそこから洗練されてニュージーランドのクリーンなピノノワール。そしてコルメラはカリフォルニアのハイクオリティのピノノワールを思わせる作りでした。
共通して感じるのは各々の品種、グルナッシュ、サンソー、シラー、ムールヴェードルから連想される味わいからは離れた冷涼で凝縮感を重視した作りになっています。
過剰な重さ、ボリューム感は無く、いい意味で削ぎ落とされたスタイリッシュなワインが作られています。
その最もたるはコルメラ。モダンで豊かな果実味と巧みな醸造を感じ取れる秀作になっていると感じました。

ではソルダードから。
先述した通りタイプとしてはロジェ サボンやボーカステルを思わせる香りの要素や輪郭を感じますが、それらより冷たく冷ややかで、華やかさをやや強めに感じ取れるものとなっています。線の細さはガメイとかそこらへんに近いんですが、結構獣香があるので、そこでしょうか。
全体的によく出来ていると思うのですが、かなり線が細い、というか凝縮感に欠けるので、人によっては物足りなさを感じるかもしれません。

次にポフェイダー。
明るいタッチのキュートな果実味が魅力的ですね。
若々しいキャンディ香とフレッシュやイチゴやラズベリー、砂糖漬けのスミレなど華やかさとフレッシュさを前面に感じる作りですね。樽も目立っておらず、むき出しのピュアな果実を感じる作りです。サンソーはピノタージュの交配元という部分で、あまりこういった印象が少ないワインになっていますが、かなりフレッシュさによったサンソーになっています。そういう意味でいうとプロヴァンスのロゼあたりに感覚としては近いのかなとも。
ワインの骨格もしっかりとしていて、華やかさに満ちた素晴らしいワインになっています。

最後はコルメラ。
個人的にはこれらのワインの中で最も完成度が高く、世界基準の品質で見ても高い方に含まれる様な気がしています。
非の付けどころが殆どない優秀なワインになっています。
タイプとしてはキスラーに似ていると思います。
甘くフレッシュな赤系果実の果実味と、マロラクティック発酵的なミルクの様な甘露な要素、ブリオッシュや黒糖、スミレの様な華やかさと上質なピノノワールの要素が揃っている。ただスパイシーさはシラーとかグルナッシュから感じられる部分がそのままですね。全体的にはグルナッシュ色の方が強いかも。
グルナッシュではラヤスやアンリボノーあたりは自然派ピノの要素を感じる事もありましたが、このモダンなスタイルは珍しいですね。スペインの冷涼なグルナッシュともまた違うし、ローヌブレンドでこれは結構珍しいんじゃないかと思います。
素晴らしいワインでした。

全体的に言うと、優れたワインも非常に多いですが、全てのポートフォリオが優れている、と言うわけではない様です。
それはどんな生産者にも言える事なのですが(例えばマルゴーのサードとか、優れた生産者のACブルだとか)裾物はそれなり、最上級が如何に素晴らしいかで語られる事が多いと思います。この生産者もそうなのかな、と思います。
手放しですべてが優秀、と言うわけではないのですが、良かったです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ザ・サディ・ファミリー / ポフェイダー [2015]【赤ワイン】
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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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