【シャンパーニュ:66】話題のRM、熟成したNM、特異な2種のシャンパーニュを利く

こんにちは、HKOです。
本日はシャンパーニュ。
期待の新鋭ジェロームプレヴォー、その師匠である大御所ジャックセロス、そしてRMローランペリエのグランシエクルの貴重な単一年のものです。


【データ】
ジェローム プレヴォーはグー村に拠点を置く新進気鋭の生産者で、アヴィーズの醸造学校で学んだ後、ジャックセロスのスタッフとして働きながら自身のシャンパーニュを醸しています。初ヴィンテージは1998年。2001年にリリース。作付面積は2.2ha。
栽培はビオディナミによって行われ、熟し具合を見ながら手摘みを行う。除草剤は使用しない。台木を使わない植え付けを現在は検討している。
野生酵母を使用し、圧搾は気圧式プレス。デブルバージュと亜硫酸添加(5g/hl)を行い、小樽での樽発酵。新樽比率10%以下で基本は1-3年樽を使用し樽熟成を実施。その後無濾過無清澄で瓶詰めがなされ、デコルジュマン時には僅かにブドウ糖を添加しドサージュは行わない。
今回のベギーヌはジェロームプレヴォーにおいてスタンダードとも言えるものですが、ピノムニエ100%のブラン ド ノワール。レ ベギーヌという区画で作られたもので、石灰質や珪藻土で構成された特異な土壌となっている。

ジャック セロスは現在シャンパーニュで最も注目されているレコルタン マニピュラン。
ビオディナミから一線を引き、自然派でありながらロジカルにビオの必要不必要を判断している。
アイとアンボネイに0.7haのピノ ノワールを保有し、リューディを少量生産している。
一次発酵には2種類のサイズ、5つの樽メーカーを使用し、平準化をしている。発酵には天然酵母を使用し澱引き、濾過せずに翌年5月頃まで新樽比率10%で樽熟成。マロラクティック発酵は行わない。この時点でリザーブかボトリングかを判断する。ボトリング後、3年間のカーヴでイースト菌と共に8年間瓶熟成。デゴルジュマンは瓶口を凍らせずに手作業で行う。スティラージュ後は6ヶ月間寝かせて出荷される。
今回のシュブスタンスはジャック セロスのフラッグシップ。(ほぼ同価格帯にリューディとミレジムかありますが、そっちは特殊なキュヴェなので)
アヴィーズのシャルドネをソレラで熟成。5種類のヴィンテージをアッサンブラージュ。新樽を含む400Lと228Lの樽で発酵し、熟成2年目には4000Lの大樽に澱と共に移され、3年目には4300Lの大樽の中に澱無しで入れられる。
この樽から瓶内二次発酵の為に22%抜いて瓶詰めされ、
減った分は大樽から、大樽から減った分は新しい年のワインで補充する。

ローラン・ペリエは、1812年に創業された老舗メゾン。前会長のベルナールド・ドゥ・ロナンクール氏が一代で家族経営におけるシャンパーニュ第1位の規模までにしたシャンパーニュメゾン。
プレステージキュヴェであるグランシエクルはプレステージキュヴェでありながら複数の畑、複数の葡萄品種、複数のヴィンテージをアッサンブラージュしたノンヴィンテージ(マルチヴィンテージ)。複数の秀逸なヴィンテージをブレンドし、また11のグランクリュ、(アヴィズ、クラマン、オジェ、メニル・シュール・オジェ、シュイィ、ヴェルジ、マイィ、アンボネイ、ヴェルズネイ、ブージー、アイ)の最良の場所から選びぬいた葡萄から生み出されるハーモニーを大切にしたプレステージシャンパーニュです。750mlで7年から8年、マグナムにはさらに2年、必要と判断されれば更なる年月、セラーで熟成させる。
今回のグランシエクル ヴィンテージは例外的に単一ヴィンテージで作られたグランシエクル。今までで単一ヴィンテージのグランシエクルは85,88,90のみ作られているが以降は作られていない。


【テイスティングコメント】
生産者: ジェローム プレヴォー
銘柄: ラ クロズリー レ べギーヌ ブラン ド ノワール エクストラブリュット NV
品種: ピノムニエ 100%

WA93pt
外観は濃いめのイエローで粘性は高い。
やや酸化気味のニュアンスがあり、非常に旨味が強い。
しっかりとしたミネラル感がある。
塩ナッツやエシレバター。レモンやシトラス、アプリコットの様な果実味が感じられる。ドライシェリー。
ドライハーブがリコリス、カマンベール、ドライフルーツなどの果実味を感じられる。
酸味は柔らかく、黒ブドウ系の厚い旨味が感じられる。
アンズやレモンの様な余韻。さすがに素晴らしい。


生産者: ジャック セロス
銘柄: シュブスタンス ブラン ド ブラン NV
品種: シャルドネ100%

WA96pt。デコルジュマンは2011年。
外観は濃いイエローで粘性は高い。
非常に強靭なシャンパーニュ。驚くほど酸化的で、驚くほど複雑な香りが表出。これぞジャックセロスという感じがする。
筋肉質なミネラル感。イニシャルとは比べ物にならない程酸化的で、塩ナッツやアモンティリャードの様な強い塩気、有塩バターなどが主体的。
イーストなどの酵母香。ドライハーブ、シャンピニオンなどの複雑な香りが混在する。そして濡れた木材、乾いてくると香りに甘みが表出し始めメイプルシロップや塩バニラ、塩カスタードの様な香りに変化していく。香りとしては果実の香りは希薄だが、含み香としてはアプリコットやライム、リンゴなどの果実味が膨らむ。香りは非常に力強く、厚みがあり、凝縮していると思う。
舌触りは香りに対して非常に繊細で酸はどこか甘みを帯びていて、滑らかに口の中を通り抜けていく。旨味にも品があり、爆発的というより、酸の中に収まっていて、しかし非常に凝縮している。泡も緻密。木材やアプリコット、ナッツを思わせる余韻が非常に長く続いていく。


生産者: ローラン ペリエ
銘柄: グラン シエクル ヴィンテージ 1988
品種: ピノノワール50%、シャルドネ50%

WA95pt(1985)
外観はやや色調の濃いイエローで粘性は中庸。泡はしっかりと立ち上っている。
酵母と酸化的な強烈な旨味が内包されたキュヴェで、いわゆるクリームブリュレ的なものではない。
塩気の効いたナッツや有塩バター、摩り下ろした様な濃密なリンゴ、花梨の様な旨味に満ちた果実味を感じられる。
ドライハーブや乾いた葉の様な香りと共に、栗の様な香ばしさ、蜜蝋やアスパラガス、キノコの様な複雑な香りが感じられる。
酸というより、非常に旨味成分が強い。
口当たりはシルキーでスムーズながら喉に至る際の強固な旨味と酸が感じられる。花梨やナッツの様な余韻が感じられる。



【所感】
いろいろ飲みました。
RMの新星ジェロームプレヴォー、そしてその師匠のジャックセロス。所変わってNM ローランペリエのレアなグランシエクル ヴィンテージと。
特にジャックセロスのフラッグシップであるシュブスタンスと、ローランペリエのフラッグシップのグランシエクル、その中でも単一年のヴィンテージは必見です。

では行ってみましょう。
まずは年々手に入りにくくなるジェロームプレヴォーから。これは友人のご相伴に預かったものです。
多少抜栓してから日が経ったものになるので、いわゆる抜栓直後のものではない、という所だけ特記しておきます。
キュヴェはスタンダード的な立ち位置に当たるレ ベギーヌ。今となってはそう珍しくないピノムニエ100%のブラン ド ノワールです。
若干酸化の気配が感じられる塩気のニュアンスこそありますが、やはりブラン ド ノワール。旨味の層が厚いと思います。ミネラル感も強靭で、柑橘の様な果実の要素が感じられます。かなり果実味もありますし、レベルの高いシャンパーニュである事は間違いありません。
師匠のリューディーやシュブスタンスとは全く違いますが、イニシャルあたりとは幾分かの共通点が見出せると思います。

次、師匠のジャックセロスのフラッグシップ シュブスタンス。
これはもう流石の個性というか...強烈な酸化感と複雑さのあるシャンパーニュですね。旨味の表出や塩気においてはアモンティリャードあたりとの共通点を見出す事ができます。ただ、アタックにおいてやや薄さを感じるそれと比べると、ボリューム感のあるシロップの様な果実味、酵母や樽、熟成香が入り混じった複雑さ、そして目が詰まった様な濃密度、凝縮感。
特異でありながら、完全にその他のシャンパーニュと立ち位置を異にしながら、ワインとして求められる評価軸を満たしている。これでいてバランス感のよさを感じてしまう。
熟成による旨味の表出に見合ったボディ、酸は極めて上質だと思います。
もちろん個性が強いので人によっては忌避するワインではありますが、ハマる人はハマると思います。
かくいう私も最初こそシャンパーニュの枠に当てはまらないセロスは特異では無かったのですが、回を重ねる毎に慣れてくるのが面白いですね。素晴らしいと思います。

最後は少し毛色が変わってグランシエクルのヴィンテージ1988。
かなりレアなワインです。通常グランシエクルはノンヴィンテージのみですが、これはごく僅かにリリースされた単一年のもの。
熟成がかなり進んでいて、クリームブリュレ的というより、酸化的な風合いがよく出ているグランシエクルになっています。
ナッツや有塩バター、そして赤りんごのような厚みのある酸が非常に特徴的で、乾いた葉や栗の様な香ばしさを感じるものとなっています。アスパラガスやキノコの様な複雑性も顕著に感じられます。
この熟成シャンパーニュの見所は、やはり自然でありながらしっかりとした旨味と熟成によって形成された酸化感のバランスの良さ、複雑さだと思います。
セロスが酸化的で濃密だとすると、あそこまで酸化的ではなく、より自然な形の旨味の表出と残存する果実、たとえばリンゴや花梨などの要素がしっかりと残っています。セロスは果実の香りというより、その糖蜜感だけを残した形ですから、自然な形を感じるのは自明の理ですね。
そこから栗の様な香ばしさや複雑さがどんどん出てくるのが、また面白い。アミノカルボニル反応はあまりない様ですね。
もともとドライなシャンパーニュですからクリームブリュレには発展しませんが、ドライなシャンパーニュとしては最上クラスの良さだと思います。









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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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