【NZ・オーストラリア:22】オーストラリア最高峰のカルトワイン2種

こんにちは、HKOです。
本日はオーストラリアのワインです。

【データ】
カーリーフラットはフィリップとジェニ・モラハンが、オーストラリアのマセドンレンジズに1998年に興したワイナリー。マセドンレンジズはブルゴーニュに良く似たオーストラリアで最も冷涼な産地。気候は大陸性気候で、標高は560m。最高気温は16度。玄武岩のローム土壌の畑で、ピノノワールとシャルドネの栽培に適しています。
2008年以降、ビオディナミへの転向しており、手作業で収穫を行っています。収量は30hl/ha。除梗比率は年によって変えている様ですが、2010年は70%を除梗し、発酵に回します。低温浸漬を行った上で、区画ごと、クローンごとにステンレスタンクで発酵。ピジャージュは1日3回程度。複数階に渡る多重構造の発酵蔵によりグラヴィティフローを行う事が可能です。その後40%新樽で24ヶ月熟成を行い、無清張で瓶詰めされます。


クリス リングランドはバロッサバレーに拠点を置くオーストラリア シラーズ最高のカルトワイナリーで、ワインアドヴォケイトでは100点4回、97-99点6回が献上されています。以前はスリーリバースシラーズと呼ばれていました。あまりに流通が少なすぎて(80ケースほどらしい)有名ではありませんが、まず間違いなくオーストラリア最高の生産者の一人だと思います。1エーカー1トンの低収量。所有しているシラーズの樹齢は100年近くになります。収穫したぶどうはマロラクティック発酵を行いながらフレンチオーク新樽100%で42ヶ月の熟成が行われます。その他の生産や醸造方法に関する記述は見つかりませんでした。謎めいたカルトワイナリーですが、その実力は確実に本物です。
今回のランドルズヒルはスリーリバースのセカンド的な存在。バロッサ イーデンヴァレーのストーン キムニー クリーク(ポドゾル性土壌+砂質土壌)のシラーズを使用。
樹齢は20%が18年、80%か108年。収量は1エーカーあたり1トン。新樽のラドワ ホッグスヘッド樽で32ヶ月熟成。
生産本数1500本。


モリードゥーカーは2005年に南オーストラリア マクラーレンヴェールに設立されたワイナリー。ワインメーカーは左利きのサラとスパーキー。91年にバルクワインの販売で成功し、その後はマーキス フィリップスに参画。2005年に自社元詰を開始しています。
このモリードゥーカーの面白い所はユニークなボトルデザインもさることながら、目新しい試みが目立つ事です。
独自の指標(マーキス フルーツウェイト)でワインの果実味を厳密に審査し、3~4のレンジのワインに分けたり、マーキス ウォーター プログラム™という独自の栽培方法を自社畑のみならず契約農家にも実践させていたりと、個性的です。
今回のベルベットグローヴはその最上級のもので、標準: 95%に対して実績:95 %第一次発酵、マロラクティック発酵、アメリカンオーク新樽100%にて樽熟成を行う。


【テイスティングコメント】
生産者: カーリーフラット
銘柄: ピノ ノワール 2011

外観は透明度の高い淡いルビーで粘性は低い。
新世界版薄旨ピノノワールの決定版。
過度に装飾がある訳ではなく、過度に熟している訳ではなく、絶妙のバランス感をこの薄い液体の中で見せている。
デュジャックの作るシャンボールミュジニー。クリーンで透明度の高いワイン。
全房発酵を思わせる青い梗の香りと瑞々しく熟したイチゴやラズベリーの様な果実味。これらを基軸として、ほのかなミルクティーを思わせるまろやかさと、鉄釘やなめし皮の様な華やかさ、グローヴやリコリスなどのスパイスが絡み合う。香りは徐々に練乳イチゴの様な甘やかさを表出していく。そして乾いた木や葉、スミレの花、オレンジ、ユーカリなどの要素も付随していく。
薄い色調ながら十分な複雑さを内包している。
舌触りは非常に滑らかでシルクの様。酸やタンニンはあまり感じさせず、旨味と果実の甘さがじんわりと口の中に広がっていく。イチゴや茎、なめし皮の様な余韻が長く続く。



生産者: モリー ドゥーカー
銘柄: ベルベット グローブ シラーズ 2007

2007はセカンドヴィンテージ。
黒に近い濃密なガーネット、粘性は非常に高い。
驚異的な超凝縮度、厚み、アルコール感、甘露さが際立つシラー。全てがパワフルでそれでいて調和がとれている。
非常に熟したブラックベリーやプルーン、黒系果実のリキュールなどを思わせる甘露な香り。インク、そしてコーヒーやビターチョコレートの様な焦がした香りが前面に現れている。プーアル茶やタバコの要素。瑞々しい薔薇。
燻製肉やベーコン、そしてごくほのかにユーカリの様な要素も感じられる。黒胡椒、シナモン、甘草などの要素も感じられ複雑。
バロッサヴァレーのシラーズの典型というには素晴らしい。オイリーさより果実味のストレートな力強さを感じる。
舌触りはまさにベルベットの様で、酸味もタンニンも力強いのに、アルコール度数に起因するものなのか、驚くほど滑らか。風味も明確でブラックベリーやプルーンのリキュール、ユーカリ、薔薇などが複雑に折り重なった味わいを見せる。ただしアルコール感は極めて高いため、アタックは強烈。ほのかな苦味もある。


生産者: クリス リングランド
銘柄: ランドル ヒル シラーズ 2010

外観は透けない黒に近いガーネット、粘性は高い。
強烈な凝縮度、強烈な果実味、強烈な華やかさ。
強靭な抽出、樽香、果実味が突出。角を取る様にMLFが効いている。
全てが鮮明で異次元の力強さを感じさせる。
炭焼きや焦げたゴム、キャラメルトフィーのウイスキーの様な甘露な樽香、そして石油、エナメルリムーバーや薔薇の様な鮮明な華やかさ、カシスとブラックベリーのリキュールの様な果実味、ユーカリの様なハーブ香が感じられる。さながらインクの様な濃密さ。杉の木の様な風味。
ベーコン、シナモン、グローヴの様な要素。色気がムンムン。
タンニンや酸は豊かなのにもかかわらず、非常にタンニンが滑らかでツヤツヤ。引っ掛かりがない。
グリセリン感がしっかりとあり、しっかりとした酸を感じるブラックベリーとキャラメルトフィーの余韻が感じられる。



【所感】
やっぱりオーストラリアとニュージーランドのワインは私に合うのか、今回のワインは全て最高感あります。
特にオーストラリアの面白いところはアデレードヒルズやマセドンレンジズでは冷ややかなタッチの極端に薄旨ピノノワールやグルナッシュ、リースリングが産出されるのに対して、バロッサヴァレーや一部のマクラーレン ヴェイルなどはメチャクチャ熟したシラーズやカベルネが産出される、幅の広さ。だって、クリスリングランドやグランジ、ヌーンの様な特濃ワインが生まれる一方で、ヤウマやルーシーマルゴー、カーリーフラットみたいなのが作られるとは思えない...
ソノマ、オレゴンとナパヴァレーみたいな関係性だとは思うんですが、良いワインは軒並み高騰しているナパ、ソノマと比べるとまだ落ち着いてますからね...
カリフォルニアの様な洗練されたものではないですが、こう、ワインの核がしっかりしているワインは多いと思います。

さて、まずは薄い方。カーリーフラット。
私はここのピノノワールの大ファンなんですが、やっぱり最高ですね。
さながら自然派、梗のニュアンスがしっかりとあるブルゴーニュのピノノワール。デュジャックに近いかもしれない。
しっかりとした熟度はありながらクリーンで透明感のあるワイン。新樽を使いながら過剰な焦げのニュアンスは控えめのものになっている。よく熟した赤系果実...練乳とイチゴ、ラズベリーの果実味が、茎やハーブの様な香りと見事にバランスが取れていて、なめし皮やスミレの要素が控えめにおり混じっていく。全体的に控えめなのですが、ちゃんと出るところは出ている。淡い作りでありながら果実味ははっきりとある。強烈な華やかさを見せる作りではないのですが、このバランスの取り方が最高ですね。

お次は濃い方。モリードゥーカーのベルベットグローヴ。
コッテリ濃厚シラーズです。
果実の凝縮度がめちゃくちゃ高く、アルコール感と甘露さが前面に出ています。弾けそうな果実のエネルギーがあり、パワフル。それでいてタンニンも酸も極めて滑らかで、シルクと表現するのにふさわしい。
熟したプルーンやブラックベリーのリキュール、コーヒー、ビターチョコレートの樽香、インク、燻製肉やユーカリの様な要素があります。
もちろん果実味が主軸になっていますが、醸造的な要素も果実を活かす形でバランスが取られており、非常に上品に仕上げられています。
口当たりなどの印象はいわゆるカリフォルニアのPP100点ワインにも近いですね。ワインとして好みを抜いた時に、非の打ち所があるかと言われれば、無いワインではあります。
飲み疲れる...とかはあると思うのですが、隙のないワインです。金額なりの価値のあるワインだと思います。

最後も濃い方。クリスリングランド。
強靭、筋肉質、堅牢を体現した様なシラーズです。
とにかく果実のボリューム感と凝縮感が驚くほど高く、それらを樽と抽出の強さで堅固に抑え込まれている様な感じでしょうか。バランス感が偏っているわけではないんですが、各々の要素が力強すぎて硬く見える感じがしますね。
そしてこれが解れるところが全くもって想像できません。
とはいえ、ものすごいワインで、樽の要素、抽出の要素、リキュールの様な果実味が規格外にデカく、濃密。
この規格外に持っていくのも骨格に果実味がなければ負けるので、いかに熟した果実を使っているのかわかります。
アルコール感も高くグリセリン感があり、ツヤツヤで、タニックだけどシルキーなタッチ。ハーブやベーコンなどの風味が複雑さを助長しています。
現状でも美味しく頂けるんですが、少し解れてきた感じの方がいいでしょうねえ。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

クリス・リングランド CR バロッサ シラーズ 750ml
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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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