【ブルゴーニュ:140】ブルゴーニュ最深部へ エシェゾー(アンリジャイエ、メゾンルロワ)

こんにちは、HKOです。
最終日はエシェゾー。ヴォーヌロマネのグランクリュとしては格下の部類のものですが、他の村のグランクリュと比べるとやはり突出した印象を受けます。
それだけヴォーヌロマネのテロワールに外れがないって事でしょうかね。
今回はそんなエシェゾーを最高の生産者で。
メゾン ルロワとアンリジャイエです。



【データ】
アンリ ジャイエはブルゴーニュにおいて最も高名な、神様とも称される生産者。1922年にヴォーヌロマネの小ドメーヌの3男として生を受け、1945年にはドメーヌの責任者に就任。
ルネ アンジェルから醸造学を学び、1973年に全量元詰めに。そこから劇的にブルゴーニュを改革していきます。
1988年に引退を宣言し、以降はエマニュエル ルジェと共同で95年まで年間7800本ほどのワインを生産者、96年~2001年までは自家消費用に年間3樽(960本)のクロ・パラントゥを生産しています。(ジョルジュ ジャイエ畑は継続)
アンリ ジャイエといえば「低温浸漬」「完全除梗」「新樽100%」。後続に大きな影響を与えたスタイルで、今尚多くの生産者がこのスタイルを実践しています。
全房発酵が主流だったブルゴーニュにおいて正に革命的な作りでした。
低収量、有機的・自然な耕作法、収穫時の選果を極限まで追求。収穫後は伝統を覆す100%除梗。破砕後は5~6日間13~15度で低温浸漬。発酵には天然酵母の使用。
朝夕2回ルモンタージュ。ワインの比重が下がってからピジャージュ。新樽100%で熟成。清澄・濾過は実施しません。
マロラクティック発酵後1回だけ澱引き。
今回は貴重なジョルジュ ジャイエ畑のエシェゾー。
全盛期でこそないものの、ビックヴィンテージ。かつ若々しい状態を味わえるのは非常に希少な体験でした。


マダムルロワが手がけるのは次の3つのライン、ドメーヌ部門のドメーヌ ルロワ、個人所有のドメーヌのドーヴネイ、そしてネゴシアン部門のメゾン ルロワ。目下最も手に入りやすく価格も安いのがメゾン ルロワですが、それでも並のドメーヌとは比べものにならないほど高品質かつ高額です。
メゾン ルロワはラルー ビーズ ルロワ率いる説明不要のブルゴーニュ最高のネゴシアン。栽培は厳格なビオディナミを行っている生産者のものから買い付けを行ない、新樽率100%で熟成、無清澄、無濾過で瓶づめが為されます。
ドメーヌ ルロワは、マダムルロワ自身の哲学が全て詰め込まれた自社畑で作られるプレステージライン。例え下位アペラシオン...例えば広域名称ワインですら、ルロワが全力を傾け、驚異的な品質を実現しています。しかしながらメゾンに比べると圧倒的にに値段は高く、希少性も非常に高いことで知られています。目印は赤いキャップシール。髙島屋と分割所有しています。
栽培は勿論厳格なビオディナミによって行われます。除草剤、殺虫剤、合成肥料、その他科学的処置は行われておらず。伝統的な方法で瓶詰めされます。無濾過、無清張。新樽率は100%。
超低収量で木1本あたり4房、1haあたり16ヘクトリットル。不良果以外を取り除いたのみで除梗はしません。



【テイスティングコメント】
生産者: メゾン ルロワ
銘柄: エシェゾー グランクリュ 1969

外観は橙を帯びたとても淡いルビーで粘性は低い。
極めてエキス的で完璧なブルゴーニュの熟成を思わせる澄んだ香りを感じさせる。各々の要素が完全に調和している。それでいて果実味はしっかりと残存している。梅や鰹だしの旨味の塊。アルヌーを更にスリム化し果実の甘露さを残した形ともいえる。
ミネラル感が生存しており、ほのかな白カビ、藁の様な香り。
そしてアセロラや梅しばの果実味があり、上白糖や蜜の様なほのかな甘露さを感じさせる。削ぎ落とされた香り。エキス。ラズベリーやイチゴのジャム。鰹を思わせる出汁などを基軸にする。濡れた土や落ち葉、木材の香り。スミレやバラ、ラベンダーなどのドライフラワーや熟成肉、サフランやグローヴの様なニュアンスを感じ取れる。徐々に焼いた帆立や藁、そして黄金飴の様なニュアンスも。
酸やタンニンは完全に落ち着いており、魚介の出汁や椎茸の出汁を思わせる旨味の塊が口の中にシルキーに広がっていく。美しい梅を思わせる余韻が恐ろしく。余韻も長い。



生産者: アンリ ジャイエ(ジョルジュ ジャイエ畑)
銘柄: エシェゾー グランクリュ 1999

外観はやや濃いめのルビーで粘性は中庸。
抽出の強さと共に繊細な体躯でありながら強い凝縮感と華やかさを感じさせる。驚くほど若々しい。
凝縮度や力強さはむしろ新世界に近い。蕩けるような甘さを見せる。
ミルキーで黒糖を思わせる熟した果実味。キャラメルトフィーや焼きたてのブリオッシュ、クリームブリュレを思わせる甘露さを前面に、ブラックベリーやダークチェリーのコンポートを思わせる強烈な果実味がある。非常に濃密で力強い。シャンピニオンの香り、そして華やかさはドライフラワー的で薔薇やスミレの香りが漂う。イメージ的には砂糖漬けだろうか。淹れたてのロイヤルミルクティーや熟成肉の香りが漂う。それと共にハーブやグローヴ、リコリスなどの要素が溶け合っている。驚くことにこれらの要素が全部一塊になっている。複雑。ユーカリや生肉、ハーブが襲い来る。椎茸的、濡れた木な出汁香もある。
タンニンや酸は基本的には落ち着いているが、まだまだ若々しさを残す。鉄分を感じさせながら熟成肉や椎茸のアミノ酸が繊細に広がっていく。妖艶に。木材やブルーベリーの余韻が美しく残っていく。存外に力強いワイン。



【所感】
言葉にならない...!至福すぎる!
最高感半端ない...メゾン ルロワのエシェゾー古酒、そしてアンリジャイエとは!ルロワの81年 クロ ヴージョを直近では飲みましたが、今回はさらに古いエシェゾー。
ヤバイっすね...しかも好きな畑だ...

まずはルロワ。
タンニンや酸などの要素の殆どを削ぎ落とし、残ったピュアなエキス感。古酒らしく極めて繊細でありながら緻密。
アセロラや梅しばを思わせる引き締まった旨味、澄んだ液体に潜む古酒ならではの土や枯葉、ハーブ、スパイスなどの複雑性。黄金飴を思わせる甘露さ。そしてDRCにも見られた焼いた帆立のニュアンス。
様々な要素が淡い液体の中で渦巻く小宇宙的な存在感。
梅、魚介や椎茸の出汁的な旨味の余韻が静かに広がっていきます。ルロワ時代のDRCの最終形もこうした形のスタイルになるのだろうか。似た方向性はよく見て取れる。
至ったバランス感は完璧、やや強めのDRCと比べると、これが至るべき最終地という感じがする。
塊というには拡散的で、拡散的というには引き締まっている、不思議な伸長性を持っている液体。
空想的で浮世離れしたワイン。
タイプとしては先述したロベールアルヌー、そしてフーリエの80 グリオットシャンベルタンにも近い。しかしより複雑で、多分房の影響じゃないかと...
古酒としても1段上のレイヤーにいるような気がする...
絶妙な古酒でした。

次にアンリ ジャイエ。お初です。
こう、想像したより遥かに凝縮感があって...極端な話モダンです。そして1999なのにメチャクチャ若々しい。
ただ樽や果実味、抽出が突出しているというより、各要素のバランス感がとても良いです。
例えばなめし皮や鉄釘が如き煌びやかさがあるかといえば無いし(むしろそれはギィアッカ的かもしれない)、そして焦げた香りがするかというとそれも無い。
黒糖やキャラメルトフィー、ブリオッシュ、クリームブリュレの様な(ある意味シャンパーニュの熟成にも似た)香りに、ピノノワールらしい華やかさやロイヤルミルクティー、熟成肉のニュアンスを感じさせる。スパイスやハーブなどの要素もある。そのくせ熟成による椎茸などの出汁の風味もあり、古酒であることは間違いない。
華やかさ、しなやかさ、果実味の凝縮がとても巧み。
互いの要素が良く調和した一塊とした味わい。
豊かな果実味とバランスのとれた醸造要素、今主流の作りの完成形がここにある様な気がしています。
エシェゾーらしさはジャイエの他のワインを飲んでないんでわかりません。飲んでみたいよ、クロパラントゥとリシュブール。

若いヴィンテージのイメージがあまり湧かないけど、逆算していくと、やっぱりエマニュエル ルジェやフーリエに辿り着くような形になるんじゃないかと思います。
今となってはそれを実証する事は出来ないですが...
という風に考えると、その素晴らしい体験をリアルタイムで感じる事が出来なかったことがとても悔しい。
1999はとても素晴らしいものでしたが、1本、1本と市場からなくなっているんだろうな...

唯一無二は納得、ただしかし他にも良い生産者は(恐らく当時よりは遥かに)いると思うので、次なる神が出る事を祈っています。









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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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