神々の美酒。天上に至るラトゥール'78と背徳のレオヴィルラスカーズ'98。

こんにちは。
本日はボルドー特集です。
まずは1級に迫るスーパーセカンドのうちの1本、2級レオヴィルラスカーズの1998年。そして1級シャトー ラトゥールの1978年です。

正直説明不要のグランヴァンですが、説明しますと、シャトーレオヴィルラスカーズは、デュクリュボーカイユと並んで1級の存在しないサンジュリアンにおいて筆頭とされるシャトーです。
もともとポワフェレ、バルトンと同一のものでしたが、現在ラスカーズはそれらと比べても頭抜けており、その品質は1級クラスと目されています。
ラトゥールに隣接し、水はけの良い土壌と温暖な気候。神に愛されたテロワール。そして多い時は収量の約70%をセカンドに回す厳しすぎるほどの選定。ジャンユベールの狂気が生み出す、最高のカベルネ主体のワイン。

そして、シャトーラトゥールは更にレオヴィルラスカーズに隣接する一級シャトー。1855年の格付けから一度も揺るがぬ、まさに世界のトップワイン。
シャトーラトゥールはジロンド川からの反射熱が適度に温暖な気候を維持し、そこで収穫された葡萄は選果、除こう、更に選果を行い厳密に選び抜かれていく。区画に合わせた近代的なタンクで醸造し、品質の劣るものはサードのポイヤックにまで落とす事で一級の品質を保っていく。

そんなトップとも言うべきレオヴィルとラトゥールの熟成ワインともなれば、背筋も伸びますね。


生産者、銘柄: シャトー レオヴィル ラスカーズ 1998
品種: カベルネソーヴィニヨン 76%、メルロー 15%、カベルネフラン 9%

約20000円、パーカーポイント93点
10年を超える熟成を経て、なお驚くほど若々しい澄んだガーネット、粘性は低い。
堕落的で快楽に満ち溢れた甘露な
カベルネソーヴィニヨン。一点の隙も曇りも無い。
煙草のスモーキーさ。ミント、カシス、ブラックベリーの爽やかな果実味。
コーヒーや焼いた西洋杉、モカの香ばしく甘やかなニュアンス。華やかな芍薬。ピーマン、甘草、クローヴなどのニュアンス。肉感的な血液や燻製肉の香りも。
クラシックでありながら、まさに完璧で豪華で花開いているボルドー。脅威のバランス感。
澄んだクリアな味わいではない。
しかしながら雑多な中に確かな調和と、官能的な豊満さがある。
タンニンも酸も柔らかく心地よい味わい。クイーンズライクのオペレーションマインドクライムの様な重厚で複雑な香りを感じさせつつ、穏やかなタンニンとミントの香りが近付きやすさを演出する。
軽やか。
余韻は長いが次へとグラスに手を延ばしてしまう。まさに知恵の果実と言って差し支えの無い味わい。


生産者、銘柄: シャトー ラトゥール 1978
品種: カベルネソーヴィニヨン 75%、メルロー 20%、プテイヴェルト・カベルネフラン 5%

約63000円、パーカーポイント90点
色調はやや橙を帯びたガーネット、粘性は高い。やや澱が浮いている。
78と思えない若々しさ。
凝縮感が半端ない。若い頃に見られる煌びやかさは色褪せているものの、強固な骨格は修行僧の様な厳格さを見せる。
沢庵や梅しば、ドライイチジク、スモモなどの旨味に満ちた果実味。華やかな芍薬の香り、赤い花、ドライフラワーの香りを中心に、生肉、ベーコン、甘草、スモーク、炭焼き、スーボワのニュアンス。
全体的な統制の取れた濃厚な香り。
とても深い味わい。スーボワ。
強固なタンニンは強固な旨味となり、柔らかい酸味は重厚な骨格をむき出しにする。
これだけ年をとっているのにも関わらず均整の取れたニュアンスは素晴らしい。力強い味わい。すげえ、熟成ラトゥールは半端ない。
この強固さ、頑なさは天上に至る聖人にも似ている。


極論でいうなら、レオヴィルは飲み頃ジャストミート、ラトゥールはやや枯れ始めといった所でしょうか。
レオヴィルは本当に素晴らしくて、クラシックなスタイルですが、甘露で複雑味があり、ボルドーを飲む官能性を端的に示していると思います。
対してラトゥールはその強固さ故に飲み頃を過ぎても、充満したエネルギー感があって熟成香に負ける事の無い果実味を保っていたのが印象的でした。
ともにインクっぽさは皆無で、滑らかなタンニンと凝縮した旨味が、これらのワインの本当の姿を物語っているような気がします。

いや、このクラスのワインを飲むと、神妙な気持ちになりますね。
楽しんで飲むというより、その芳香に、その味わいに耽る。落ちていく。
そんな表現が近いと思います。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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