fc2ブログ

【南アフリカ】アタラクシア、ポールクルーヴァー2種を利く

こんにちは、HKOです。
昨日に引き続き、本日は南アフリカのいくつかのワイナリーのフラッグシップを利いていきます。


【データ】
シモンシッヒは南アフリカ ステレンボッシュに1953年設立されたワイナリー。マラン一族が所有しています。
スパークリングやスティルに複数の銘柄を持っていますが、フラッグシップはこのティエラにあたります。
ティアラは96%をフレンチオーク、4%をアメリカンホワイトオーク樽で16ヵ月熟成。20%は新樽を使用。

ポールクルーバー・ワイナリーは、ケープタウンの中でも冷涼なエルギン地区の家族経営のワイナリー。最も南アフリカて注目される生産者です。フランス ブルゴーニュ地方とほぼ同じ気候で涼しい気候となっている。
畑の標高は280-400m。樹齢6-25年。その中で最も良質の畑のブドウを更に収量を抑えて収穫。始めは自然発酵。その後、ブルゴーニュ酵母を入れて発酵。その後フランスの5社から取り寄せたフレンチオークで11カ月熟成(新樽20%)。最終的に一番良い樽だけを選んでブレンドして瓶詰め。

ワインメーカーの南アフリカを代表するウォーカーベイ地区のワイナリー、ハミルトン・ラッセルで醸造責任者を務めたトップワインメーカー。その後、海外で経験を積み、2004年、ヘメル アン アードにアタラクシアを設立。
テロワール主義、不干渉主義でワインを醸造。畑はヘメル アン アードの標高400m、ヘメル アン アード リッジ。(ケープ アグラスの西まで約35kmに渡る地区)。リッジ、ヴァレー、アッパーヴァレーの3つの小地区の中でも更に冷涼な場所で畑はより涼しい南斜面を向いている。
今回のアタラクシア ピノノワールは収穫後、発酵前に10日間のコールドマセラシオン。オープンタンクでの22日間の発酵(最高で28度)。発酵中は、1日2回のパンチダウンを行う。その後プレスされ、225Lのフレンチオークに移して100%マロラクティック発酵。そのまま11ヶ月熟成(新樽21%)。



【テイスティングコメント】
生産者: シモンシッヒ
銘柄: ティアラ 2011
品種: カベルネソーヴィニヨン66%、メルロー21%、プティ・ヴェルド9%、カベルネフラン4%

かなり強烈なロースト香と浮いたような生乳を思わせるMLFの香りが主体的。品種こそボルドーブレンドだが、ボルドースタイルというより、オーストラリアのワイナリーに近い重厚な仕上がりになっている。パワフルかつリッチな作り。ドライフラワーやエナメルリムーバーなど。炭焼き、ガソリンにも近い樽香、そして生乳クリームのような香り。そしてブラックベリーやカシスのような果実味がそれぞれ独立して存在している。シロップやキャラメル、燻製肉。インクの様なアルコーリックさ。鰹節、オリエンタルスパイスの香り。
カノンコップやミヤルストがボルドースタイルを行っているが、こちらは根本から違う形。新世界的。
ただこちらの方が酸味が鋭い。そしてタニック。多少熟成感があり旨味を感じる。


生産者: アタラクシア
銘柄: ピノノワール 2014
品種: ピノノワール100%

外観は透明度の高い、少し橙を帯びたルビー。
面白いワイン。ヴィンテージ的には非常に若いが、枯葉や下草を思わせるほのかな熟成ニュアンスを感じさせる。
クランベリーや木苺の様な果実味と共にほのかな上白糖の様な甘さが降り混じる。よく熟成したブルゴーニュのピノノワールに通じる熟成香がある。
パウンドケーキやキノコ、ドライフラワーの様な落ち着いた華やかさ、野生的な生肉など。そしてハチミツやクミン、グローヴなど。
熟成感のある香りが主体的だが、果実味は非常に若々しく甘やかで不思議な風味を感じさせる。
完成度自体は非常に高い。
酸は柔らかく、タンニンも穏やか。膨らむ旨味があり、優しいタッチの味わい。キノコや木苺、濡れた木のような余韻が残る。


生産者: ポール クルーヴァー
銘柄: セブン フラッグス ピノノワール 2015
品種: ピノノワール100%

外観は赤みを帯びたルビー、粘性は低い。
凝縮感が強く、ギュッと引き締まった様な果実味がある。
ブルゴーニュ的ではないが、果実の凝縮度は村名~1級クラスではあると思う。ブルゴーニュというよりも繊細な作りをするカリフォルニアのピノノワール。
よく熟したダークチェリーやブラックベリーのコンポート、ミルクの様な滑らかさ、ほのかな茎の様な青さや濡れたスミレの花、ブリオッシュやパウンドケーキなど、果実味とはなやかさのバランスが取れている。樽香は控えめ。鞣し革、ほのかにベーコンの様な燻香。ローリエ、オレンジピールの様なニュアンスを感じる。
酸は天鵞絨的で緻密、タンニンは厚みがあるが滑らか。
ミルクの様な滑らかさと共にフレッシュなダークチェリーとブラックチェリーの果実味が感じられる。



【所感】
南アフリカ第二弾になります。
今回はポール クルーヴァー、アタラクシア、シモンシッヒの3本です。
まずはシモンシッヒのティエラ。
物凄い樽のロースト香が強く、炭焼きやオイル感を感じるほど。
MLFの要素もあるのですが溶け込んでおらず、生乳の要素が少し浮いて見えます。風格はあり、フラッグシップらしく大変リッチですが現状ではややバランス感の悪さを感じます。
抽出も強くアルコール感も顕著。かなり作り込まれたワインだと思います。ボルドー的ではなく新世界的。
黒系果実の要素もありますが、醸造的な要素が前に出ている様に思えます。
熟成によって馴染んでくるとは思うのですが、これでも既に6年経ってるんですよね...難易度の高そうなワインでした。
酸味・タンニンも強いです。

お次はアタラクシア。品種はピノノワール。
非常に面白いワインです。繊細で瑞々しいのですか、若いにもかかわらず不思議な熟成香とオレンジを帯びています。
濁りとかはあまりないので、不良、という訳では無さそうですが、不思議とエイジングされた様な印象を受けるあたり、醸造起因でしょうか。これ、別のヴィンテージはどうなんでしょうね。
ちょっとわからないですね。
赤系の溌剌とした果実と共に甘い香りが漂うのですが、そこに森の下草や枯れ葉、キノコ、クミンの様なニュアンスが混じります。これが謎ですね...
ただ非常に美味しくて、若々しい果実味と共に複雑な熟成香を感じられるのも良いですし、柔らかい酸やタンニン、丸みのある旨みはかなりレベルが高いと思います。
薄旨系ピノノワール。美味しいと思います。

最後はポール クルーヴァーのフラッグシップであるセブンフラッグス ピノノワール。
アタラクシアとは全く異なったワインで、カリフォルニアの中でも繊細なタッチを得意とする生産者のピノノワールにも良く似ていると思います。ブルゴーニュというには果実味やMLFが目立ちすぎている。でもかなり美味しいです。
まず凝縮感が非常に高く、引き締まった様な果実味が軸になっていて、そこにコンポートやミルクの様な滑らかさ、そして茎の様な青さとスミレの様な花の香り。
樽香こそ控えめですが、冷涼なピノノワールの良さは存分に感じる事ができます。オレンジやなめし皮、ベーコンなど香りは多岐に渡り複雑さもあります。
かなりいいですね。アタラクシアも良いですが、こちらの方が王道的な美味しさがあります。

タイプは本当に多岐に渡るんですけど、基本的にはどれも良くて、流石だなと。色々なスタイルを許容出来るバリエーションがあるんだなと。
南アフリカは今みなさん追ってると思いますが、僕もボチボチ見てきます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

シモンシッヒ・ティアラ [2011]750ml
価格:3218円(税込、送料別) (2017/11/15時点)







[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

アタラクシア・ワインズ / ピノ・ノワール [2014]【赤ワイン】
価格:5444円(税込、送料別) (2017/11/15時点)




関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR