裁きの硫黄と火に焼かれても構わない、背徳と官能のヴォーヌロマネ特級テイスティング。



今日のテイスティングは非常に素晴らしい体験をしたと思います。
一級のオーレイニョ、特級エシェゾー、特級リシュブール、そしてコント リジェ ベレールのモノポール 特級 ラ ロマネ。ヴォーヌロマネの名立たる生産者のフラッグシップとも言えるワインをまとめてテイスティング出来る機会なんて、そうありません。
特にモノポールであるラ ロマネはフランス最小のAOCにしてロマネコンティに隣接するもっともロマネコンティに近い特級畑、価格は150000円と飲める機会なんて基本的にはこれからも無いかと思います。
そういう意味で非常に勉強になりました。

エシェゾーのフランソワフイエは、若き天才醸造家ダヴィッドデュパンがメタイヤージュしているドメーヌで、比較的歴史が浅いものの、安価ながら高次元のブルゴーニュワインを産出します。フラッグシップはクロ ド ラ ロッシュと、このエシェゾーです。特級畑の葡萄はすべてビオロジックにより栽培され、耕作は馬を使用し行われます。
ワインの色調的にノンコラージュ、ノンフィルターじゃないかな、と思います。
ジャン グリヴォーはヴォーヌロマネに拠点を置く、近年評価が高まっているドメーヌ。一時期ギィアッカをコンサルタントに迎え評価を落としたものの、現在はリュットレゾネを使用し、自然な造りをしています。フラッグシップはこのリシュブールとエシェゾー、クロ ド ヴージョです。全体的に強気な価格設定です。
そして、コント リジェ ベレール。
ドメーヌとしての歴史は浅いですが、元々高名な畑は保有しており、ブシャールやルロワから近年買い戻し、アンリジャイエやビゾーから指導を受けて2000年からドメーヌ元詰を始めています。馬を使用した耕作、ビオロジックでひたすら丁寧に葡萄を仕上げます。
葡萄は除梗され、プレス後定温浸漬され、新樽で熟成されている。
フラッグシップはラ ロマネ、エシェゾー。ラロマネは年間4000本しか生産されない。

いずれも高名な生産者と最高の畑の組み合わせ、いざ尋常に。

生産者: フランソワ フイエ
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2007

約16000円、パーカーポイントは不明。
ノンフィルター、ノンコラージュ、抽出弱めかな。
やや濁った明るいルビー、粘性は低い。
ゼラニウムやクランベリー、ストロベリーの赤い果実、スミレや薔薇の香り、松の樹皮、オリエンタルスパイス、白檀など。
非常に柔らかい造りで、穏やかで明るいタッチの果実味の強いエシェゾー。
タンニンは柔らかく、酸味も穏やか。今回テイスティングした卓抜したワインの中では圧倒的にインパクトが足りないが、俯瞰した時に非常に優れたエシェゾーである事は間違いない。


生産者: コント リジェ ベレール
銘柄: ヴォーヌロマネ プルミエクリュ オーレイニョ 2008

約23000円、パーカーポイント94点。
色調は透明感かある深いルビー。
ともすればパワー感についてはラ ロマネを超えるかもしれない。
特徴的なオリエンタルなお香、中華料理的なスパイス、八角、薔薇のアロマオイル、噛む様な甘やかなラズベリー、ダークチェリーの果実味を中心に、松、ムスク、舐めし皮、ゴム。徐々に果実の甘さが主体的になってくる。ゼラニウムの爽やかな香りも。香りの要素が渾然一体と立ち上る。
ラ ロマネと比べるとシンプルで、固有の要素と果実味がメインで、一体感のある造り。ただシンプルと言っても並のグランクリュの複雑さ、パワー感は優に超える卓抜した造り。
酸味もタンニンも強いが、あくまで果実本来含有している程度で、より凝縮感が表現されている。


生産者: ジャン グリヴォー
銘柄: リシュブール グランクリュ 2008

約63000円、パーカーポイント93点。
色調は濃いルビー、粘性は中庸。
ミネラル感やゼラニウムやオレンジピールを感じさせる、爽やかでエレガントなニュアンス。瑞々しく、果皮の厚いダークチェリー、紫スモモの密度の高い果実味。
オリエンタルなお香、薔薇のアロマオイルを中心に、野生的な毛皮やパストラミハム、生肉。樹脂、僅かにコリアンダー、八角っぽさがある。
ラ ロマネに比べて凝縮した果実と爽やかな清涼感のある香りがやや前に出ていると思う。
柔らかく、爽やかな酸味。
タンニンも優しく、グリヴォーのワインにたまに感じる樽の苦味か全く無くピュアな造り。
時間が経つと動物的な香りは血液の鉄分となり、より果実とクローヴ、レモンの香りが強くなる。
非常にレベルの高いリシュブール。


生産者: コント リジェ ベレール
銘柄: ラ ロマネ グランクリュ 2006

約160000円、パーカーポイント93点。
フランス最小のアペラシオンにして、コント リジェ ベレールのモノポール。価格はDRCのラターシュ並。
色調は若干深めのルビー。粘性は中庸。
やや熟成感がある様な気がする。
コントリジェベレールのワインにおいて特徴的なオリエンタルなお香、五香粉、八角、ムスク、舐めし皮、ガソリンっぽい香りが全面に出ている。その後薔薇のアロマオイル、焦げたゴム、松の樹皮などのナチュラルで華やかな香りが現れる。そして急激に甘やかさが増して、ダークチェリーやアプリコットのコンポート。
最終的にはインセンスに加えてシロップ漬けしたスミレ、溶剤が中心となる。
次々と香りが移り変わっていく。
オーレイニョと比べると複雑だが、全体的に密度は高いものの落ち着いた印象。
厚い果皮の深い味わい。ややタニックで酸味か強く、密教を思わせる宗教的なイメージを想起させる。余韻は凄まじく長い。まさに官能的で突出したグランクリュ。


まずはエシェゾー。
エシェゾーらしいキュートな果実味と華やかさに溢れていてテロワールは緻密に再現されている。芳香性も高く、非常に優れているとは思う。
しかしリジェベレールの生産者の個性やジャングリヴォの強い抽出の果てに現れる深みとエレガントさと比べると分の悪い勝負であることは間違いない。
リシュブールは個性的というより、非常に鮮烈でクリアな味わい。果皮の深い抽出が薔薇とゼラニウムの香りを強く呼び起こし、驚く位の重厚な果実味をもたらしている。リシュブールというテロワールがもたらすのか、非常に野生的な側面を見せる。
ヴォーヌロマネを忠実に再現した前に挙げた2本に対して、ラ ロマネとオー レイニョは生産者の個性がはっきりと出ている。アニスや五香粉、オリエンタルなインセンスを主軸に据えた密教的ともいえる深淵と複雑に発露する野生と果実味が、殉教と背徳を内包する。リジェベレールの基本骨子。
それは村名のクロ デュ シャトー、一級レ スショでも変わらない。
アニスの甘露なニュアンスは上質なヴォーヌロマネのワインの何処かに含んでいる要素ではあるが、ここまで全面に現れる事例はあまり知らない。
オーレイニョとラ ロマネの違いは、ヴィンテージの差もあるが、多岐に渡る。構成要素は近いが、2008オーレイニョの方がごり押しに近いパワー感があり、発露する芳香性は一塊。一つの塊に大きな要素が詰め込まれている。
対してラ ロマネはシネマチックというか、構成要素が複雑なシナリオを描く様にシーンが移り変わって行く。オリエンタルな寺院を思わせる密教性、深い野生を感じさせる花々の華やかさ、そしてある一点から急激に姿を見せ始める凝縮された果実味。
2006年でこれだから、あと2年もするとより複雑味を増すんじゃないかと。
恐ろしいワイン。

現段階で最も美味しいワインを選ぶのならば迷うことなく、オーレイニョかエシェゾーだろうか。リシュブールとラ ロマネは圧倒的に優れているが、多分泥沼の様にはまりこんでしまうし、まだやや硬さが残っていると思う。
それに比べるとオー レイニョの個性と味わいのバランスは下級とはいえ素晴らしいし、エシェゾーも安価でありながらキャッチーだ。
値段的にも買うのならこっち。
むしろリジェベレールならクロ ド シャトーでも十二分に素晴らしいだろう。ラ ロマネは話しながら飲むワインじゃない、一人でじっくりと要素と向き合いながら飲むべきワインだ。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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