強烈な個性を放つプルミエグランクリュクラッセ。2006ボルドー一級並行テイスティング


こんばんわ。
今日はブルゴーニュはお休みで、ボルドーです。たまにボルドーやその他の地域のを飲まないと、ピノ以外の感覚が本当に鈍るので...
今回はオーブリオン、マルゴー、ラトゥールの並行。本当はラフィットとムートンもあれば良かったのですが、まあ、そう都合の良い事はありません。
ヴィンテージはすべて2006となります。
全くもって説明不要かと思いますが、シャトーのざっくりした説明をすると、シャトーラトゥールはポイヤックにあるプルミエグランクリュクラッセ。セカンドラベルはレ フォール ド ラトゥール、サードラベルはポーイヤック。創設は14世紀。序列は第二位。栽培面積は78ha(うち47haがグランヴァンの区画)
シャトーマルゴーはマルゴーにあるプルミエグランクリュクラッセ。セカンドラベルはパヴィヨン ルージュ シャトー マルゴー。創設は12世紀。序列は第三位。栽培面積は赤白含め約100ha。
シャトーオーブリオンはメドック外にして例外的にメドック格付け1級とされたプルミエグランクリュクラッセ。セカンドラベルはクラレンス オーブリオン(バァン オーブリオン)。設立は15世紀ごろ。序列は第四位か第五位だったはず?栽培面積は51ha。

...事務的な文言になるのは、ボルドーで最も品質を左右するのは葡萄の出来とシャトーのセパージュ技術という側面があるからです。なんであまり土壌や醸造技術を論じても仕方ないという。
土壌が味わいにダイレクトに反映する訳ではないし、栽培醸造セパージュは既に確立されているブランドイメージをベースとして出来によって毎年変更しているし。
基本ボルドーは複数品種という調整弁があるので、品質においては安定しやすいんですよね...記録的に悪いことはここ10年では無かったような気がします。(ヴィンテージの負はブレンド比率や選果で吸収してますから)

そんな安定のボルドーですが、決して画一的ではなく、シャトーごとに沢山の個性があり、中でもメドック最上級の5本にも確固たる、そして明確な違いが存在しています。

今回はその魅了を追えたらな、と思います。


銘柄、生産者: シャトー オーブリオン 2006
品種: カベルネソーヴィニヨン45%、メルロー37%、カベルネフラン18%

94500円、WA96pt
外観はかなり濃いガーネット、粘性は高い。
かなりスモーキーでパワフル、濃厚ななカベルネソーヴィニヨンの香り。
やや硬さを感じるタバコや燻製肉、ベーコン。カシス、ブラックベリー、プルーンの豊満な果実味。ミントや焦がした西洋杉、やや土っぽさ、僅かにスミレや芍薬の芳香。ややインキーな作り。
ユーカリやクローヴ、甘草など。
ローステッドで複雑なハーブの香りが特徴的で、やや硬さを感じる作り。カシスの甘やかさはほどほど。真骨頂はこの複雑さとスモーキーさにある。やや近づきづらい印象。
タニックて収斂性は高いが、酸味は柔らかい。相変わらず複雑で難解なワインだ。


銘柄、生産者:シャトー マルゴー 2006
品種: カベルネソーヴィニヨン90%、メルロー 10%

99750円、WA94pt
おお、これぞマルゴー!華やか!
素晴らしいカベルネの香り!シャープで透明感に溢れている。
クレーム ド カシスやブラックベリーのコンポートの超濃厚で甘やかな果実味、ローストしたカカオ、シダーウッド、ミント、ユーカリ、茎やスミレや野薔薇の華やかな花の香り、やや茹でた小豆や、僅かにタバコ、腐葉土、ややシシトウっぽさ、ベーコンなど。
ややオーブリオンに比べると野性味やスモーキーさが減退している。自然な大地の華やかさを感じる。華やかで森のような清涼感があり、濃厚な果実を頬張る官能性がある。
酸味はやや強く、タンニンは充実しているが、本質はシルキーであることに尽きる。べらぼうに華やかで滑らか、豪奢なカベルネソーヴィニヨンである。シルクの様な口当たりだ。やや出汁の様な風味も。


銘柄、生産者:シャトー ラトゥール 2006
品種: カベルネソーヴィニヨン80%、メルロー15%、カベルネフラン&プティヴェルト5%

115500円、WA95pt
強靭で鉄のような風味のカベルネソーヴィニヨンだ。だがこれがラトゥール。
鉄釘や血液、そしてミントやパチュリー、西洋杉などの大地香、クローヴ、甘草などのスパイスの香りが全面に出ている。全体的にやはり堅牢な印象。ベーコンや生肉など。ぼやけた印象がない。
そして茹で小豆やカシスリキュール、ブラックベリー、ドライプルーンの凝縮した果実味、若々しい茎や土を感じさせる青っぽさ、タバコ、僅かにスミレの芳香も。松やシダーウッド、コリアンダーなど炭焼など。
全体的に青っぽく野生的で堅固な印象を受けるワイン。鉄の様な体躯のコアには強烈な果実味を内包している。
タンニン、酸味は最も力強く華やか。流石ラトゥール、最高、強固だ。


まず押し並べて思うのが、このクラスはやっぱり途轍もない品質だな、と。
2006年のポイヤック、マルゴー、グラーヴは決して突出している訳ではなく、まあ平準的なヴィンテージなのですが、それでもこのレベル。むしろこのレベルだからこそ、今この時分で飲めるという気もしますが。

さて、比較でいうと、ラトゥール、マルゴーの2本はカベルネソーヴィニヨン比率が高く、80%を超えています。エレガントで滑らか、細身で筋肉質な印象。いわゆるボルドーのスタンダードなグランヴァン(例えメドック格付け2級以下のワイン)的な造りです。
対してオーブリオンはメルロー比率がこの中でも高い。ただ妙に厳めしいスパイシーでスモーキー、そしてペタッとしたインクっぽさがあるんですよね。気品はあるんだけどより野性的な側面を強く感じる。
異質、異端児。確かにそんな雰囲気が漂う独特のグランヴァンだと思います。

ラトゥールとマルゴーは前述した様にいわゆるボルドーのグランヴァンの指標的なスタイルですが、この二者にも大きな違いが感じられます。
やや鉄や大地香、濃厚な果実味が目立つ堅牢なラトゥールと、花や甘露な果実味、シルキーで流麗なマルゴー。
この二者はボルドーというスタイルにおいては好対照、筋肉質で堅牢、そして流麗でしなやか。

共に若いのでタニックで収斂性は高いのですが、印象は構成要素の問題かなと思っていて果皮から抽出される鉄や大地香が堅い印象を、マルゴーはカカオや茎、スミレの香りが流麗な印象を与えるのだと思います。

味わいの違いは石灰岩、粘土を含む砂利の台地であるマルゴーと砂利と砂質のポイヤックとの違いなんだろうな...とも。粘土ならメルローが上手く作れそうですが、マルゴーはカベルネ主体だし...ううん、難しい。

なかなかボルドーは勉強のしがいがありますなぁ。


※メルロー(早熟品種)は粘土質を好む。吸水性が高いため、水分が保持され、かつ過剰な水分を弾く粘土質土壌が適している(らしい)。逆にカベルネソーヴィニヨン(晩熟品種)は蓄熱効果がある水捌けの良い砂利土壌を好む。カベルネは逆に水を吸わないので、あえて根を伸ばすために水捌けの良い土壌を選択する?しかし小高い丘の場合シルト、粘土の層が断続的に続いているらしく、そこで保水性を保つ。そこに届く様に葡萄の根を伸ばす。ということは低い丘の砂利地質はあまり良くないのか?


  
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR