ボルドーメドック、グラーヴの古酒、枯れ際を探る。

こんにちわ。
今日は久々にボルドーの古酒でございます。

ちなみ私は比較的早飲み派ですが、ボルドーやシャンパーニュは幾分か熟成感があった方が好きです。
というのは若いボルドーはタニックだし(果実味は魅力的ですけど)、シャンパーニュは熟成しないと今ひとつ酸味が強くて、なかなかピンと来ないのです。シャンパーニュに関してはNVでもリザーブワインの比率が高いものは深みも酸味もちょうど良くていいんですけどね。

今回はグラーヴのパプ クレマン、オーメドックのカントメルル、そしてサンテステフのカロンセギュールの3本です。

カントメルルは16世紀から続く老舗シャトーで現在はメドック5級格付に位置しています。アペラシオンはいわゆる村ではなくレオジナルのオーメドック。しかしながらその品質は3級シャトーに匹敵すると言われています。
80年代から近代醸造技術により革命的な進化を遂げました。
平均製造本数は約300,000本、平均樹齢は約30年。手収穫で丁寧に収穫を終えた後、マセラシオンは木製タンクで28から30日間行われ、約30-40%の新樽で約12ヶ月熟成の後、無濾過で瓶詰めされます。

パプ クレマンはグラーヴ格付シャトー。13世紀から続くこのシャトーは1970年代中盤に品質を大きく落としますが、85年にベルナール ブショルが雇い入れられ急激に品質が回復、以降90年代にはミシェルロランも参画しオーブリオンやラミッションオーブリオンと比肩するシャトーとなっています。
年間生産量は95000本、平均樹齢は27年。醸造は低温浸漬を3日間行った後、木製発酵槽にて26~29日間のアルコール発酵とマセラシオン。ビジャージュは手作業で行われ、100%新樽にてMLFと20ヶ月熟成後、無清澄で瓶詰めされる。

カロン セギュールはサンテステフに拠点を置くメドック格付3級シャトー。30年代から60年代まで非常に高品質なワインを作っていたが、その後品質が落ち込む。しかしながら1990年代に品質が復活する。平均樹齢は35年、醸造はステンレス槽で3週間のマセラシオンを行う。一部は木製樽で一部MLFを行い、新樽50%で18ヶ月程度熟成させた後、無濾過で瓶詰めされる。

さて、今回はボルドーでもかなりの古酒です。特にカロンセギュール1970。
どうでしょうか。


生産者、銘柄: シャトー カントメルル 1989
品種: カベルネソーヴィニヨン50%、メルロー 40%、カベルネフラン 5%、プティヴェルド 5%

約14000円、WA92pt。
色調はやや薄目のガーネット、エッジに橙。旨味が凝縮しはじめている。なかなかいい。
素晴らしいミントと西洋杉、腐葉土、濡れた土っぽさ。毛皮やジビエなどの動物っぽさ。焼いた木材やカカオ。
グローヴ、甘草。そしてカシス、ブラックベリーの凝縮感があるアロマ。
酸味やタンニンは柔らかく、口の中で木材やブラックベリーの風味が楽しめる。


生産者、銘柄: シャトー パブ クレマン 1989
品種:カベルネ・ソーヴィニョン58%、メルロー42%

約40000円、約87pt。
色調は橙を帯びた濃いガーネット、粘性は高い。
かなり熟成が進んでいる。
沢庵やかつお節の様な円熟した旨味と檜、生ハムの様な血液の香りが主体。
ほのかにブラックベリーやカシスの香りも残っている。腐葉土や濡れた樹皮、ドライフラワー、きのこ、グローヴやリコリス、クルミなど。
タンニンはスムーズで酸味も適度。液体はスムーズで柔らかく、薄めの液体濃度に凄まじい旨味と木材の複雑なニュアンスが乗ってくる。
かなり品格のあるボルドー。あと少しタンニンが柔らかくなるととてつもないワインに成長しそうだ。


生産者、銘柄: シャトー カロン セギュール 1970
品種:カベルネ ソーヴィニヨン65%、メルロ 20%、カベルネ フラン 15%

約34000円、WA80pt。
色調はエッジに橙を帯びたくすんだガーネットで、粘性は高い。
濡れた土や生肉、紅茶、鉄釘などの熟成香、黒オリーブなどの熟成香が液体に漲る。トリュフ、ドライハーブ、甘草、漢方、炭焼きなどのニュアンス。果実味は残っていない。
酸味、タンニンは弱めだが残っており、口に含むとソースや土の風味が口に残る。朽ち果てている様に思えつつ、ボディはしっかりと残っている。


いずれもかなり熟成感があるのが特徴的でしたが、やはり80年代後半と70年代初頭のワインだと大分違いがありますね。ヴィンテージの条件というか、品質はほぼ70年も89年も近しいものがあるので、単純に熟成的な観点と生産方法だけで見る事が出来ると思います。
89年のこの2本のワインは何れも傑出したシャトーで、ほぼ飲み頃ストライクと言っていいタイミング。
タンニンや酸が奇麗に液体にとけ込んでおり、口当たりは滑らか。
熟成香主体の複雑な芳香に、芯のある巨大な旨味が感じられました。その分果実味は若いヴィンテージと比べて目立たなくなっているものの、仄かに旨味に乗る感じがとてもいいですね。
カントメルルと比較するとパプ クレマンは新樽比率や樽内熟成期間が長いため、より樽のニュアンスが強く出るかと思いますが、そういった違いを表すニュアンスはあまり感じられませんでした。
おそらく2本とも24年間の熟成を経て、樽の渋みやロースト香はすべて熟成香や旨味に溶け込んでいるのではないかと。
またカントメルルが1ヘクタールあたり55ヘクトリットルに対してパプクレマンは39ヘクトリットルと低収量。
こちらはタンニンと果実味に如実に出ていたかと思います。カントメルルがかなりタンニンや酸味が落ち着いているのに対して若干パプクレマンはタンニンと果実味を残しています。もうすこしだけ熟成の余地がありそうな感じです。

そしてカロンセギュール。さすがに1970年のワインは違いますね...いや、ここまでくると個人的にはあまり美味しいと思えませんでした。ほぼ果実味はありません。泥の様な...というと言い過ぎですが、かなり土や腐葉土、生肉のニュアンスが強く、果実味はほぼ死んでいます。エキス的というか薄いソースの様な味わい。
素性はいいワインですが、さすがにここまで来ると決して飲んで面白いワインとは思えないですね。
特にワインならではの個性も感じられませんでしたし。
よって、個人的な好みで言うと圧倒的にパプクレマンとカントメルルですかね。現状で言うならカントメルル最高です。

ちなみに89はグラーヴもポイヤックも良いヴィンテージ。70年はサンテステフにとってまずまず良い年だったようです。
89年は素晴らしいですが、70年はもうアウトですね。古酒好きにしか薦められません。




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価格:35,700円(税込、送料別)

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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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