濃密で硬質。稀有な力強さとエレガンスを放つルシアンのレ ザムルーズ。他ネゴシアンのスショと村名VV。

こんばんわ。
久しぶりのブルゴーニュです。しかも全部ネゴシアン。
やや変わり種をあつめてみました。フレドリック マニャン、ルモワスネ、そしてリュシアン ル モワンヌ。

フレデリックマニャンはミシェルマニャンの父に当たるベルナールマニャンの孫のネゴシアンラベル。
カレラで修行を積んだフレデリックマニャンは93年から自身の名前を冠したネゴシアンワインを市場に送り出しています。2000年代初頭は樽をしっかりと利かせたモダンな作風でしたが、近年はテロワールを尊重した造りを行っています。このネゴシアンの選定スタイルは実にユニークで古典的。自転車で気に入った区画を見つけたら、直接所有者に交渉を持ちかけて高い金額で購入する。(アップルのサプライチェーンみたいですね。)
40年程度の古木を中心に選定、100%除梗を行ないグラヴィティフローで破砕、圧搾、発酵までを行う。
ピジャージュは18日程度、樽はフランソワフレール社のみを使用。村名は30%新樽比率で14ヶ月熟成の後、無濾過で瓶詰めされる。

ルモワスネは100年以上続くブルゴーニュの老舗ネゴシアンです。現在はドメーヌ元詰が一般化していますが、ネゴシアン経由での販売が一般的だった時代、今でいう有力な生産者からワインを購入し、販売していました。そしてルモワスネが所有している地下カーヴには地域最大量とも言える古酒が眠っています。高品質なワインの古酒をここまで溜め込んでいるネゴシアンはそうないでしょう。

そして最後は新進気鋭のネゴシアン、リュシアン ル モワンヌ。
1999年に立ち上げられたこの小規模なネゴシアンはリリース直後からワインスペクテーター、ワインアドヴォケイトなどで非常に高い評価を受けています、残念な事にやや価格は高めですが。煌びやかな程の一級畑、特級畑のみをリリースしています。
常に最高の生産者から発酵後のワインを購入し、自社でMLFおよび樽熟成を行っています。MLFは遅い時期に行われ、ステファヌシャサン製の新樽100%で18~24ヶ月熟成される。澱引きは瓶詰め直前まで行わない。

ではいってみましょう。

生産者: フレドリック マニャン
銘柄: シャンボール ミュジニー ヴィエイユヴィーニュ 2009

約4000円。
色調はやや濃いめのルビー、粘性は高め。
なかなか凝縮感のあるシャンボールミュジニー。ミネラル感もある
ダークチェリー、紫スモモのやや酸味を強く感じる果実味。スミレや薔薇の香りもあるが、残念ながらやや香りは立っていないようだった。ほのかに茎やシナモンのニュアンスは感じ取ることができた。
特徴はよく出ているものの、香り自体がさほど強く現れている訳ではなく、ちょっと飲む環境が悪かったかな、と。
酸は綺麗だしタンニンも穏やか、果実味もあって、口に含む分にはいいワインだなぁとは思うんだけど…別に再挑戦したいワインだなぁ。


生産者: ルモワスネ
銘柄: ヴォーヌロマネ プルミエクリュ レ スショ 1998

約14000円程度。
やや体力が低いのか...ちょっと香りは落ち込み気味。
外観は若々しいルビーでエッジは橙を帯びている。粘性はやや高め。熟成香が強く出ている。
枯葉や腐葉土、ドライハーブの熟成香となめし革、ドライフラワー。ダークチェリー、紫スモモの果実味、キノコ、藁の香り。グローヴ、ゴムなど。ちょっとダレた味わいで、酸味、タンニンは十分に残っているが、果実味がそろそろなくなりそうかも。


生産者: リュシアン ル モワンヌ
銘柄: シャンボール ミュジニー レ ザムルーズ 2010

約25000円、WA92-94pt
色調は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
非常に香りはカリフォルニアピノノワールの如き濃厚さを感じさせるが、シャンボールらしいミネラル感と繊細さが確かにある。
抽出は非常に強く、樽の香りもしっかりと効いている。
岩を砕いた様なミネラル感に強いスミレや薔薇のキャンディー、シベット、凝縮感に満ちたダークチェリーやプラムの様な酸味を伴う黒系果実の果実味、シナモンやコーヒー、キャラメルなどの焼けた樽香。それらが渾然一体となって立ち上る。ヒノキや葉巻や燻製肉、アニスなど。
過剰に甘露にならず、シャンボールらしく切り立ったミネラルとそれに呼応する様な強めの酸味。目が詰まった凝縮感のある果実味が楽しめる。タンニンは柔らかい。
とてつもなくエレガントで濃縮感がありながら切れ味の鋭いアムルーズ。
徐々に時間を経るとかなり柔らかくなってくる。本領発揮と言わんばかりの華やかさを放つ。


フレドリックマニャンのワインは白も赤もミネラル分が際立ってますね。全体の印象としてはやや固めですね。
比較的若いヴィンテージだからか、そこまで新樽のニュアンスは感じませんでした。
ルモワスネのレ スショは...正直リシュブールの古酒が素晴らしかったので期待していたのですが、やはりテロワールに若干弱い部分があるのか、果実味が落ち込んでる印象でした。一級レ スショも一級の中でも卓抜したポテンシャルを持つ畑ですが、流石にリシュブール基準では考えてはいけなかったですかね。流石に20年の熟成は厳しかった様です。
ちなみにレ スショの立地としてはリシュブール、サンヴィヴァン、エシェゾーに隣接していますが、一段低い立地となっています。

これが一級たる所以なのですが、如何程違うのか...

さて、最後はレ ザムルーズ。
リュシアン ル モワンヌらしく非常に濃密で強靭な作りなんですが、彼のマジ シャンベルタンと比べると、やはり冷ややかで硬質な印象をうけます。

レ ザムルーズは特級ミュジニーとよく似た風味を持つシャンボールミュジニー最上の、ブルゴーニュを代表する5.4haの一級畑。コンブラシアン石灰岩が母岩となっており、その下には魚卵状石灰岩がある。表土が薄く小石が多い。そして水はけも良い。
水はけの良さは石灰地質の影響を強く与えるのでこれにより非常にミネラリーでフェミニンなワインが出来るのですが、リュシアンのワインは非常に精密にアムルーズの個性を捉えていると思います。
スタイルはグロフィエやヴォギュエとは全く異なりますが、生産者内のワインの作りで見た時に、明らかに硬質なミネラル感と果実の凝縮感を出しつつ甘露になりすぎない冷涼なタッチを生み出しています。マジシャンベルタンやレ カイユは濃厚ですが、こちらはよりシャープでソリッドです。
抽出が強く、樽はしっかりと効いていますがテロワールをキッチリと表現しているのは素晴らしいですね。

フレドリック マニャンはやや中凡、ルモワスネはもう少し若い方が良かった。
そういう意味で、この2本に関しては、やや難ありと思いますが、その点リュシアンのアムルーズは現時点においても非常に優れた完璧なアムルーズでした。
忠実にテロワールを再現している点に関しても、並み居るシャンボールの生産者には決して負けてはいない。
作りに関してはモダンなので飲む人を選ぶかもしれませんが、僕として注目に値する素晴らしい選美眼を持ったネゴシアンだと思います。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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