ジローのモダンなCNDPとサンプレフェールの特異なCNDPを利き比べる



こんばんは、今回は3回に渡ってシャトー ヌフ デュ パプ特集です。特にWAのポイントが高いものを中心に。

さて、まずはシャトー ヌフ デュ パプについておさらいです。
シャトー ヌフ デュ パプ(以外CNDP)はフランス ローヌ南部にあるコミューン。(※プロヴァンス アルプ コート ダジュール地方)
南部ローヌにおいて最も偉大なワインを産出する事で有名な産地です。土壌は、丸い大きな石が点在している褐色粘土土壌。その他に砂地や石灰岩、砂岩と複雑に構成されています。
寒暖の差は激しく、最大で28℃程度違う時もあるようです。作付比率は赤97%、白3%。
中でも特筆すべき特徴はシャトー ヌフ デュ パプの使用可能な品目数です。その数なんと13品種。赤ワイン用としてはグルナッシュ、シラー、ムールヴェードル、サンソー、ミュスカルダン、クーノワーズ、ヴァカレーズ、テレ ノワール。白ワイン用としてはグルナッシュ・ブラン、クレレット、ブールブラン、ルーサンヌ、ピクプール、ピカルダン。
ただ、全て使用しているのはシャトー ド ボーカステルくらいで、他は概ね赤はグルナッシュ、シラー、ムールヴェードル。白はグルナッシュ ブラン、ルーサンヌがいいとこです。

今回はそんなCNDPの中でもフィリップカンビが醸造コンサルタントとして活躍する2つのドメーヌを。

1974年に設立されたマリー エ フランソワ ジローはマリーとフランソワの兄弟が運営しているドメーヌで、フィリップカンビ氏を醸造コンサルタントとして迎え入れています。
生産は全行程ビオロジック。
栽培面積は19haのうち平均樹齢100年のレ ガイマルドが2.5ha(収量:18hl/ha)、同じく樹齢100年以上のグルナッシュ ド ピエールが2.0ha(18hl/ha)。樹齢50年以下の葡萄は全てネゴシアンに売却しています。総生産量は30000本
醸造にまつわる部分は不明ですが、インポーターさんのHPだとシラーのみ新樽で、ほかはステンレスタンク内で発酵を行っている様です。フラッグシップは今回レポートするレ ガイマルドとレ ピエール ド グルナッシュの2本です。

サンプレフェールは1920年代にフェルナンドセッレがシャトー ヌフ デュ パプに興したドメーヌで、最も早く元詰めを始めたドメーヌでもあります。2002年からイザベル・フェランド氏がドメーヌを復興させ、運営を行っている。こちらもマリー エ フランソワ ジローと同様、醸造コンサルタントとしてフィリップカンビ氏を迎え入れています。
こちらは栽培は有機栽培で一部ビオディナミの手法を取り入れています。ヴァンダンジュヴェールト、手作業で完熟した果房のみ朝のみ収穫する。発酵はコンクリートタンクで行われ、品種によってコンクリートタンク、バリック新樽、旧樽を使い分け18ヶ月の熟成を行う。栽培面積は15ha(15hl/ha)で平均樹齢は40~100年。


生産者: マリー エ フランソワ ジロー
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ ガイマルド 2010
品種: グルナッシュ90%、シラー10%

約7800円、WA95-97pt。
外観は赤みの強いガーネットで、粘性は高い。
印象としてはモンナイユールと良く似ている。新世界的な濃厚なガムやキャンディーの様な果実味。ブラックベリーやプルーンの濃厚な果実味が主軸となっている。
やや黒胡椒の様なスパイシーなのはシラーによるものか。ワッフル、キャラメルの様な甘露な果実味。薔薇、スミレの華やかな芳香、ドライフラワー、シナモン、ナッツ、ドライハーブ、ミルクティー、ベーコンの様なニュアンスも。
酸とタンニンは強めだが、こちらも果実味かやはり豊かでリッチで膨らみのある味わいが楽しめる。
例えばアルマヴィヴァの様な甘露で強烈な甘みを持った味わいがある。ピエール ド グルナッシュと比較すると、こちらの方がより華やかさを感じる。モダンなタイプ?


生産者: マリー エ フランソワ ジロー
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ グルナッシュ ド ピエール 2010
品種: グルナッシュ100%(樹齢100年以上)

約10300円、WA98-100pt。
外観はより濃いガーネットで粘性は高い。
同生産者のガイマルドと比較して、深い重みのある芳香で酸味とタンニンがより際立っている。
しかしながら、それらを上回る強烈な甘やかさがある。グルナッシュの特徴か。
ブラックベリーやチェリーリキュールの様な濃厚な果実味と、より甘露でシロップやコーヒーのローステッドな風味。甘露さの持続時間がこちらのほうが全然長い。クレームブリュレやシロップ、ワッフルなどの甘露な樽の香り。アーモンド、ややスパイスを感じる。ベニヤ板、わずかに燻製肉、溶剤、薔薇の様な華やかさ、煙草やベーコンの風味。
ややタニックで酸は強烈だが、分厚い果実味とシロップの味わいが口に広がる。
ガイマルドと比べて全体的に濃厚で甘露な印象、そしてウッディ。


生産者: サン プレフェール
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ コレクション シャルル ジロー 2010
品目: グルナッシュ60%、ムールヴェードル40%

9000円、WA98pt。
外観はやや濃いめのガーネット、粘性は高い。
この中(※CNDP2回、3回含む)では突出したエレガントさがある。グルナッシュの力押しの果実味はあまり感じられない。これは確かにすごい美味しい。果実味に寄らない美味さがある。凄まじい。
スパイシーな味わいで、ダークチェリーやプラム、オリーブの様な果実味はあるのだけど、より複雑で炭焼きや良く炒ったカカオの様なビターさを感じる。ワッフル、クルミやバターの様なニュアンスも。
過剰に甘露な訳ではない。松や樹皮などの青っぽさを感じられる。複雑でいて均整の取れた芳香。
タンニン、酸は厳しめだが複雑で作り込まれた味わいが特徴的だ。
複雑でアロマティック、華やかな香りが楽しめる。


まずはジローからですね。この2本、収量や葡萄の木の樹齢に関してはほぼ同様ですが、味わいは大きく異なっています。樽や地勢に起因する部分もあるかと思いますが、恐らく最も大きな相違を生み出しているのはガイマルドに10%だけ混醸されたシラーに由縁するものだと思います。
10%のシラーが混醸されたガイマルドは華やかで瑞々しく濃密な果実味を有しています。
シラーはスパイシーさや華やかさ、野性味の溢れた品種ですが、一部そういった要素が混じっていると思いました。
新世界的なシラー、というかシラーズを想起させる様なニュアンスがあります。強い日差しを感じさせるキャンディーの様な果実味。
これに対してグルナッシュ100%のグルナッシュ ド ピエールは甘露な果実味と濃厚なボディでしたね。
ギラギラとした濃密な果実味というより、もっと甘やかなドライフルーツ、そして樽っぽいシロップやコーヒーのニュアンスなど、リッチで豊満、そしてしっかりしたボディのワインだと感じました。
力強いといえばどちらも力強い造りなのですが、タイプが異なりますね。しかしながら両方とも非常に高い水準にあるシャトー ヌフ デュ パプだと思いました。樽はグルナッシュの方が利かせてるのではないかな。
インポーターさんのサイトだとシラーのみ新樽で、グルナッシュはステンレスタンクと書かれていますが、恐らく熟成には新樽を使ってると思います。あとインポーターさんの資料が何かコピペっぽいです。

次にサンプレフェールですが、これがまた本当に凄い。卓抜したシャトー ヌフ デュ パプだと思いました。
ブルゴーニュと言うとかなり語弊がありますが、それに似たすごく複雑なニュアンスで、ジローに比べると果実味が若干落ち込みますが、バランスがすごくいい。
ムールヴェードルというとやや地味な感じがしますが、スペインで言うとモナストレルですから第一線級の品種であります。ややスパイシーで土っぽい香りがこのワインにもどこかあって、それらが良くグルナッシュと均整をとっている印象です。とてもアロマティック。
それでも収量に気を使っているからか、凝縮感は結構あります。新樽も一部使っているからか樽香もしっかりあります。テイスティングレポートでも本文でも言っていますが、とにかく均整の取れた味わいです。
素晴らしくレベルの高いCNDPだと思いました。

俯瞰してみて思ったのが、樹齢の高さから来る甘露さと、柔軟なCNDPのアッセンブラージュによって大きく印象が変わる点が最も興味深いと思いました。
ネタバラシをすると次回はピエールユッセリオ、その次はドメーヌ ペゴーなのですが、これらもアッセンブラージュによって当然ながら大きく変わってくるみたいです。
この点に関しては、次回かそれ以降にゆっくりと迫って行きたいと思います。


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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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