ボルドー スーパーセカンド 2: 第三級パルメ2008、第二級コスデストゥルネル2007を味わう


こんばんは。
前回に引き続きボルドーでございます。前回はスーパーセカンド、サンジュリアンの王、レオヴィルラスカーズでしたが、今日は同じくスーパーセカンド、シャトーパルメ2008、シャトーコスデストゥルネル2007、そして近年評価を伸ばしているシャトータルボ2009をレポートします。

シャトータルボは、サンジュリアン、グリュオ ラローズのすぐ北に位置する極めて高い品質を誇る第四級格付シャトー。タルボの名は、イギリス軍指揮官ジョン・トールボット伯から取られている。
90年代前半から2000年代前半においては格付同等の評価を受けていましたが、2000年代中盤から特に評価を伸ばしています。
栽培面積は102ha、平均収量52hl/ha。
栽培面積の広さと収量の多さから、お買い得で比較的手に入りやすいシャトーと言えます。平均樹齢35年の葡萄を手摘みで収獲を行い、温度管理されたステンレスと木製の槽で21日間マセラシオンとアルコール発酵を行う。新樽40%で15ヶ月熟成の後。清澄と軽い濾過を行い瓶詰めされる。

シャトーコスデストゥルネルは、メドック第二級のシャトーで、第一級を時に凌駕するスーパーセカンドとして扱われるシャトー。ラフィットに隣接する畑(表土は砂利質、下層土はすい石、石灰岩、シリカ)を70ha保有し、個性的な東洋調の建築物が目印。
平均樹齢35年程度の葡萄を、選定により収量を35hl/ha程度に抑える。収穫は手摘みによって行われる。収穫後の果実は除梗の後、機械制御で高めの温度を維持し、セメントタンクとステンレスタンクでアルコール発酵が行われる。マセラシオンは20~30日程度。
新樽75%~100%程度で18ケ月樽熟成を経た後、瓶詰めされる。瓶詰め後8~30年瓶熟。

シャトーパルメはメドック第三級でありながら第一級に匹敵するスーパーセカンドとして扱われるシャトーのうちの一つ。
小塔のある個性的な建造物のあるシャトーだが、製法は伝統的。
主だった特徴としてメルローを多く使用している点とマセラシオンの期間が28日から30日間と非常に長い点が挙げられる。90年代後半からセカンドラベル(アルテレゴ)を導入し劇的な品質向上している。
栽培面積は52ha。平均樹齢35年程度の葡萄を、平均46hl/haの収量で栽培。除梗を行った後、破砕をし、アルコール発酵とマセラシオンはステンレス槽で28~30日間行われる。新樽45%で20~21ヶ月熟成後、無濾過で瓶詰めが行われる。


生産者、銘柄: シャトー タルボー 2009
品種: カベルネソーヴィニヨン65%、メルロー31%、プティヴェルト4%

約8000円、WA92-94pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
若いカベルネソーヴィニヨン的なニュアンスは結構出ているのだが、若いながらも、とても飲みやすく仕上げている。
果実味がとても豊かでカシスやブラックベリーのコンポートの様な甘露さ、西洋杉の清涼感を主体として、穏やかなピーマン香や煙草。ユーカリやミント、リコリスなどのハーブ。鉄釘、甘草、ジンジャーブレット、カカオなどの風味が感じられる。
流石に若いカベルネゆえ、ややタンニンや酸味はキツめだが、通常のクリュクラッセと比較すると、リッチな果実味があるので飲みやすく感じる。
手軽に楽しめるボルドーワイン。ただ味わいは、流石にクリュクラッセだと思う。


生産者、銘柄: シャトー コス デストゥルネル 2007
品種: カベルネソーヴィニヨン85%、メルロー12%、カベルネフラン3%

約17000円、WA90pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。パルメには劣るものの十分に一級に匹敵するレベルのボルドーだと思う。
こちらも果実味は凝縮しておりカシスやブラックチェリーなどの濃厚な果実味を感じられ、リコリスや胡椒の様なスパイス、オレンジ、茹で野菜や茎、若葉などやや青いニュアンスが複雑さを助長している。炭焼きなどのロースト香。スミレ、燻製肉、ミルクティーの様な風味、土っぽさも感じられる。
パルメの清廉とした印象と比較して、野性味を感じる。骨子はボルドーだが、ちょっとブルゴーニュを思わせる部分がある。


生産者、銘柄: シャトー パルメ 2008
品種: メルロー51%、カベルネソーヴィニヨン41%、プティヴェルト8%

約25000円、WA94pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
一級並、もしくは一級を超えそうな作り。密度の高さ、果実味の豊かさは突出している。
ミントやハーブ、西洋杉、煙草のニュアンス、そしてカシスリキュールやブラックベリーの超濃縮した甘露な果実味が主体。コーヒーやカカオなどのロースト香、シロップやフルーツケーキ、リコリスなど。ほのかに薔薇の香りが広がる。
果実味が非常に豊かだが、受ける印象はエレガントで、一貫して清涼感と甘露さが全体を支配している。
タンニンと酸はヴィンテージゆえ厳し目。しかしながら果実味豊かな為かシルキーに感じる。
全体の印象としてはやはりマルゴーに近いが、パヴィヨンルージュと比較すると、圧倒的に果実味の部分で突出している。


今回はセパージュも生産年も醸造方法も違いますから、良い比較は出来ないかもしれませんが、お付き合いください。

さて、今回はかなり要素が異なりますので、ちょっとテクニカルデータをまとめてみました。

※ピジャージュ、ルモンタージュの頻度が見つからなかった為今回は除外。
※日照条件、土壌は含めていません。
※ABCランク付けは概ね適当です。

[所感]
果実味と甘露さはパルメが突出しています。一級のワインに最も近いニュアンスを感じさせる甘露で豊満な味わい。シャトーマルゴーに近しい雰囲気だが、マルゴー程、瑞々しさや鮮明で鋭角的な味わいは感じ取れない。バランス型のワインでボルドーらしいボルドーと言えるかも。
対してコスデストゥルネルはボルドーとしては特異なタイプで、果実味と共に強いスパイスやハーブ香を感じさせる。こちらも甘露で果実味は豊かなものの、パルメに対して凝縮感、密度で大きく劣る。
タルボーは非常によく出来ていた。果実味とても豊かで豊満。タンニンに刺々しさが無く早飲みできる。クリュクラッセとしては格付け以上のものを発揮できている。左岸の王道的な味わい。冷涼な雰囲気は全く感じなかった。過熟的とも言える。

[所感と分析]
パルメに感じた果実味の豊かさや甘露さは恐らくヴィンテージによるもの。やや豊満な雰囲気を感じるのはメルローが多く含まれるセパージュによるものだと思う。鋭角さや鮮明さは具体的には思いつかないけど、カベルネ比率の違いか、抽出の強弱によるものかもしれない。
コスデストゥルネルのスパイスやハーブは、ヴィンテージ特性による果実味の主張の弱さに起因するものか。ただし、オーブリオンとも若干似た風味を感じたんだけど、セパージュやヴィンテージの特性に共通項が無いから本当にヴィンテージ起因かは不明。
ただ果実味や甘露さは一応しっかりと感じられたのは収量の低さによるものか。新樽比率の高さから樽の風味は感じられたが、若干熟成を経ている為か、そこまで樽香が目立ちすぎる事はなく、溶け込み始めていると思う。
タルボーの果実味の高さやリッチさは間違いなくヴィンテージ起因。捉え方によっては新世界のカベルネ並みの熟し方をしている。収量は高めだが、補って余りあるヴィンテージだったんだと思う。カベルネのピーマン香は感じられたのは、ややクラスが落ちるからからか。他の2本と比べるとテクニカルデータ上で作りの甘さというか丁寧さに若干欠けるが、果実味が全てを補っていたような気がする。
今まで飲んだタルボーと比べると突出して良い。

なんか思考実験みたいな感じになってしまいましたが、各要素がもたらす味わいの差異に、概ね醸造法とヴィンテージの関連性が見られた様な気がします。

ただ最初にもいいましたが、バーチカルでもホライズンでも無いので良い比較になっているかはわかりません。
しかしながら、まずまず面白いテイスティングだったかなと思います。




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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